(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475475
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】コラーゲン産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/99 20170101AFI20190218BHJP
A61K 8/9722 20170101ALI20190218BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20190218BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
A61K8/99
A61K8/9722
A61Q19/00
A61Q19/08
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-227803(P2014-227803)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2015-117234(P2015-117234A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-236020(P2013-236020)
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】JP
【微生物の受託番号】NITE NITE P-01713
【微生物の受託番号】NITE NITE P-01714
【微生物の受託番号】NITE NITE P-01715
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 智子
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】千葉 勝由
(72)【発明者】
【氏名】曽根 俊郎
【審査官】
神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−298778(JP,A)
【文献】
特開2003−259835(JP,A)
【文献】
特開2006−241036(JP,A)
【文献】
特開平09−040523(JP,A)
【文献】
特開平11−335293(JP,A)
【文献】
特開昭61−040746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A23L 31/00−31/15
A61K 8/00−8/99
A61K 36/00−36/9068
A61P 1/00−43/00
A61Q 1/00−90/00
C12N 1/00−7/08
C12P 1/00−41/00
Caplus/Registry(STN)
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロレラ属に属する微細藻類から選ばれる1種または2種以上の微細藻類および/またはその処理物を含有する培地中で、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ファビフェランタス(Lactobacillus fabiferentans)およびラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)からなる群から選ばれる1種または2種以上の乳酸菌を培養して得られる発酵物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)およびラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムYIT10278株(NITE P−01714)、ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266株(NITE P−01713)およびラクトバチルス・ブレビスYIT10281株(NITE P−01715)からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
微細藻類および/またはその処理物を含有する培地が、更に、乳酸菌が資化可能な糖類を1種または2種以上含有するものである請求項1〜3の何れか1項記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載のコラーゲン産生促進剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項6】
ラクトバチルス・プランタラムYIT10278株(NITE P−01714)。
【請求項7】
ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266株(NITE P−01713)。
【請求項8】
ラクトバチルス・ブレビスYIT10281株(NITE P−01715)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細藻類および/またはその処理物を含有する培地中で、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ファビフェランタス(Lactobacillus fabiferentans)およびラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)からなる群から選ばれる1種または2種以上の乳酸菌を培養して得られる発酵物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シワやたるみといった皮膚の老化の原因は様々あるが、その一つに真皮マトリックス成分量の低下が挙げられる。コラーゲンは真皮マトリックスの主要成分であり、皮膚にハリを与え、たるみなどを抑制する作用があるが、加齢や紫外線の照射によりその量が低下することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
コラーゲン量の減少の原因としては、真皮の線維芽細胞によるコラーゲンの産生能の低下が挙げられ、その結果、皮膚のシワやたるみが発生する。
【0004】
これらを改善するために微細藻類の抽出物が利用されてきている。具体的には、クロレラ属の微細藻類の抽出物をコラーゲン産生促進剤の有効成分として利用することや、セネデスムス属の微細藻類の抽出物をコラーゲン産生促進剤の有効成分として利用することが報告されている(特許文献1〜3)。
【0005】
しかしながら、これまで報告されている微細藻類の抽出物のコラーゲン産生促進作用は十分と言えるものではなく、シワやたるみを防止・改善するまでには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−40523号公報
【特許文献2】特開2006−241036号公報
【特許文献3】特開2007−186471号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】American Journal of Pathology. 2006;168:1861-1868.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は微細藻類を利用するものであって、従来のものよりも優れたコラーゲン産生促進作用を示す新規なものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、微細藻類および/またはその処理物を含有する培地中で、特定の乳酸菌を培養して得られる発酵物に、優れたコラーゲン産生促進効果があることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は微細藻類および/またはその処理物を含有する培地中で、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ファビフェランタス(Lactobacillus fabiferentans)およびラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)からなる群から選ばれる1種または2種以上の乳酸菌を培養して得られる発酵物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤である。
【0011】
また、本発明は上記コラーゲン産生促進剤を含有する皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコラーゲン産生促進剤は従来のものより効果が高く、しかも、これまで食経験も豊富な微細藻類を、やはり食経験が豊富な乳酸菌で発酵させて得られる発酵物を有効成分とするものであるので安全性も高いものである。
【0013】
従って、上記コラーゲン産生促進剤を配合した皮膚外用剤等は、コラーゲンの減少に起因ないし関連する症状の改善、治療等に極めて有効で安全に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、微細藻類および/またはその処理物を含有する培地中で、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ファビフェランタス(Lactobacillus fabiferentans)およびラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)からなる群から選ばれる1種または2種以上の乳酸菌を培養して得られる発酵物を有効成分とするものである。
【0015】
また、本明細書において、コラーゲン産生促進剤とは、コラーゲンの産生を促進するものであり、特にI型コラーゲンの産生を促進するものである。I型コラーゲンは真皮、靱帯、腱、骨等の主成分であり、I型コラーゲンの産生量を増やすことは生体維持の観点からも非常に重要である。
【0016】
この発酵物の原料となる微細藻類は、陸上植物を除いた光合成を行う生物のうち、大きさ数ミクロン〜数百ミクロンのものをいう。このような微細藻類としては、例えば、スピルリナ(Spirulina)属、クロレラ(Chlorella)属、アファニゾメノン(Aphanizomenon)属、フィッシェレラ(Fisherella)属、アナベナ(Anabaena)属、ネンジュモ(Nostoc)属、スイゼンジノリ(Aphanothece)属、ヘマトコッカス(Haematococcus)属、ドナリエラ(Dunaliella)属、セネデスムス(Scenedesmus)属等が挙げられる。これらの微細藻類の中でもクロレラ属に属するものが好ましく、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・レギュラリス(Chlorella regularis)、クロレラ・エリプソイデア(Chlorella ellipsidea)がより好ましく、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・ピレノイドサ、クロレラ・レギュラリスが特に好ましい。これらの微細藻類は1種または2種以上を用いることができる。
【0017】
これら微細藻類は生菌をそのまま用いることもできるが、何らかの処理をして得られる処理物を用いてもよい。処理としては、特に限定されず、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理、加熱処理、細胞壁粉砕等の粉砕処理、熱水抽出等の抽出処理、酵素を作用させる酵素処理等が挙げられ、更に、これらの処理に加えて濃縮処理や遠心分離等による分離処理を施してもよい。また、これらの処理により得られるものとその残渣のいずれも処理物として利用できる。更に、これらの処理は1種または2種以上を組み合わせて行ってもよく、これらの処理物の中でも乾燥処理した微細藻類を用いることが好ましい。
【0018】
微細藻類および/またはその処理物(以下、単に「微細藻類等」という)を含有する培地は、微細藻類等を1種または2種以上含有していればよく、特に限定されないが、例えば、水、乳、人乳、山羊乳等の獣乳、クリーム、脱脂粉乳等の動物由来の原料を含有する培地、MRS(Man, Rogosa and Sharpe)培地やM−17培地等の乳酸菌用培地等に微細藻類等を分散させたものが挙げられ、これらの中でも特に水に微細藻類等を分散させたものが好ましい。微細藻類等の培地中の含有量は、特に限定されないが、例えば、培地に微細藻類等の乾燥固形分として、0.1〜30質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは0.5〜10%である。
【0019】
上記培地には、微細藻類等の他に、乳酸菌が資化可能な糖類を加えると、乳酸菌の発酵が促進され、微細藻類特有の臭いを減少させることができるので好ましい。このような糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、多糖類等が挙げられる。単糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース等が挙げられる。二糖類としては、例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、オリゴ糖類としては、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース等が挙げられる。糖アルコール類としては、キシリトール、マルチトール等が挙げられる。多糖類としては、例えば、アミロース、アミロペクチン、セルロース、グリコーゲン、β−グルカン、ムコ多糖等が挙げられる。これらの糖類の中でも単糖類が好ましく、特にグルコースやフルクトースが好ましい。これらの糖類は、上記培地に0.1〜5%含有させることが好ましく、特に0.2〜1%が好ましい。これらの糖類は1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
また、上記培地には、更に、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、塩類、界面活性剤、脂肪酸、金属類等の乳酸菌の培養に必要とされている公知の栄養素を添加してもよい。
【0021】
更に、上記培地のpHは特に限定されないが、例えば、5.0〜9.0に調整されていることが好ましく、6.0〜8.0に調整されていることがより好ましい。なお、pHの調整方法は特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性物質、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸等の酸性物質、緩衝液等を培地に添加する方法等が挙げられる。
【0022】
上記培地は、上記した各成分を混合等するだけで使用することもできるが、熱処理を行ってから使用することが好ましい。熱処理の条件は、特に限定されないが、例えば、60〜120℃で50〜120分行う条件が挙げられる。この熱処理により、微細藻類由来の成分が抽出され、それを特定の乳酸菌で発酵させることにより効果の高い発酵物を得ることができる。
【0023】
上記培地に接種される乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ファビフェランタス(Lactobacillus fabiferentans)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)であり、これらの乳酸菌の中でも、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ペントーサス、ラクトバチルス・ブレビスが特に好ましい。なお、これら乳酸菌は1種または2種以上を用いることができる。
【0024】
上記乳酸菌の中でも特に好ましいものは、以下の寄託番号で、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8 122号室(郵便番号292−0818))に寄託された菌株である。
・ラクトバチルス・プランタラムYIT10278株(NITE P−01714、寄託日:2013年10月9日)
・ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266株(NITE P−01713、寄託日:2013年10月9日)
・ラクトバチルス・ブレビスYIT10281株(NITE P−01715、寄託日:2013年10月9日)
それぞれの菌株は、各菌種の基準株との16SrRNA遺伝子の相同性が97%以上であったことから、それらの菌種に同定した。
【0025】
上記寄託菌株のうち、ラクトバチルス・プランタラムYIT10278株は、後記する試験例1に記載の方法で測定されるコラーゲン産生促進率が222%と、従来の菌株よりも高い新菌株である。
【0026】
また、ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266株は、後記する試験例1に記載の方法で測定されるコラーゲン産生促進率が262%と、従来の菌株よりも高い新菌株である。
【0027】
更に、ラクトバチルス・ブレビスYIT10281株は、後記する試験例1に記載の方法で測定されるコラーゲン産生促進率が235%と、従来の菌株よりも高い新菌株である。
【0028】
上記乳酸菌を上記培地で培養する条件は、乳酸菌が増殖する条件であれば特に限定されず、例えば、上記熱処理を施した培地に、乳酸菌を接種し、20〜45℃、好ましくは25〜40℃で8〜100時間、好ましくは20〜80時間培養する条件等が挙げられる。
【0029】
また、培地への乳酸菌の接種量も特に限定されず、例えば、1×10
4cfu/ml〜1×10
8cfu/ml程度の乳酸菌を含むものであれば培地に0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%接種する。なお、接種する乳酸菌は、1〜3代、上記微細藻類等を含有する培地で予め継代しておいてもよい。
【0030】
更に、培養の方法も特に限定されず、例えば、静置培養、攪拌培養、振盪培養、通気培養、嫌気培養等が挙げられ、乳酸菌の種類に応じて、これらから適した方法を適宜選択すればよい。
【0031】
上記のようにして微細藻類等を含有する培地で乳酸菌を培養して得られる発酵物は、培養終了時に乳酸菌を1×10
6cfu/ml以上含有することが好ましく、1×10
7cfu/ml〜1×10
9cfu/ml含有することが特に好ましい。また、この発酵物は、そのまま使用することもできるが、更に、公知のろ過、透析、遠心分離等の分離・精製処理、溶媒等による抽出処理、加熱処理、脱臭処理、pH調整処理、凍結乾燥処理、濃縮乾固処理等の追加処理を施したものを使用することもでき、本発明の発酵物とはこれらの処理物も包含する。これらの追加処理の中でも少なくとも分離・精製処理を行い、発酵物から微細藻類や乳酸菌の菌体を除去することが安定性、安全性の観点から好ましく、特に培養上清を用いることが好ましい。
【0032】
また、この発酵物は、コラーゲン産生促進作用、特にI型コラーゲン産生促進作用を有している。その効果は、具体的には水を逆浸透膜でろ過して得られるRO水のコラーゲン産生に対して170〜350%、特に190〜280%であることが好ましい。
【0033】
上記発酵物は、コラーゲン産生促進作用を有していることから、コラーゲン産生促進剤としてコラーゲンの減少に起因ないし関連するシワやたるみといった症状の改善、治療等に用いることができる。
【0034】
また、上記コラーゲン産生促進剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤、飲食品、医薬品等とすることもでき、皮膚外用剤とすることが好ましい。皮膚外用剤は、常法に従って調製することができ、例えば、精製水や化粧水基剤、クリーム基剤、乳液基剤等にコラーゲン産生促進効果を効果が発揮できる量で配合すればよい。
【0035】
皮膚外用剤としては、例えば、化粧水、乳液、各種クリーム、パック、美容液等の基礎化粧料、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリーム、ヘアミルク等の頭髪用製品、入浴剤等の浴用化粧品、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウ等のメーキャップ化粧品、日焼け止め等を挙げることができる。これら皮膚外用剤への、コラーゲン産生促進剤の配合量は、特に限定されるものではなく、剤型や用途に応じて決定すればよく、好ましくは発酵物として0.01%〜100%であり、好ましくは0.1%〜90%、より好ましくは1〜30%である。
【0036】
また、上記皮膚外用剤には、必須成分であるコラーゲン産生促進剤の他に、通常、皮膚外用剤に配合される任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、界面活性剤、油分、アルコール類、保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収・散乱剤、粉体、ビタミン類、アミノ酸類、水溶性高分子、発泡剤、顔料、植物抽出物、動物由来成分、海藻抽出物、各種薬剤、添加剤、水等を挙げることができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例等を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら限定されるものではない。
【0038】
実 施 例 1
発酵物の調製:
クロレラ(C.regularis)を噴霧乾燥して得られたクロレラ粉末10g、水1000mL、グルコース5gを混合したものを培地とした。これを105℃、100分間加熱殺菌後、以下の表1に示す乳酸菌の前培養液(1×10
6〜8cfu/ml)をそれぞれ1%接種し、30℃、72時間静置培養した。なお、培養前の培地のpHは約6.8であった。培養終了後に遠心分離およびろ過によりクロレラおよび乳酸菌を除去して発酵物を得た。なお、培養終了時の発酵物のpHは3.2〜4.2であった。また、培養終了時の菌数を、発酵物をMRS培地(ベクトンディッキンソン社製)で混釈培養し、計数した。その結果を表1に示した。培養終了時の菌数から、どの乳酸菌を使用しても十分に発酵が進んでいることが確認された。
【0039】
【表1】
【0040】
比 較 例 1
発酵物の調製:
実施例1において、乳酸菌を表2に記載された株に代える以外は同様にして発酵物を得た。培養終了時の菌数を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
試 験 例 1
コラーゲン産生促進作用の評価:
(1)ヒト皮膚線維芽細胞の培養
10%ウシ胎児血清含有DMEM培地(シグマ社製)を用い、ヒト皮膚線維芽細胞(CCD45SK:DSファーマ社製)を96ウェルプレートに1×10
4/Wellで播種し、5%CO
2環境下、37℃、24時間培養した。その後、培地を無血清DMEM培地に交換してから、実施例1および比較例1で得た発酵物を最終濃度で10%となるよう添加し、5%CO
2環境下、37℃、3日間培養して培養物を得た。なお、発酵物に代えてRO水を添加して得た培養物をコントロールとした。また、コラーゲン産生促進作用が報告(特開2002−80340号公報)されている乳酸菌をスキムミルク培地で培養した発酵物を別途調製し、この発酵物についても上記と同様に培養物を得た。発酵物の調製は、実施例1において培地を1%スキムミルク培地に代え、乳酸菌としてラクトバチルス・ペントーサスYIT10266を用いる以外は同様にして行った。なお、培養終了時の菌数は1.2×10
8(cfu/ml)であった。
【0043】
(2)コラーゲン産生促進率の算出
上記(1)で得たヒト皮膚線維芽細胞の培養物の上清中のI型コラーゲン量を、ELISAキット(Procollagen Type I C-peptide(PIP) EIA kit:タカラバイオ社製)を用いて測定した。なお、発酵物のコラーゲン産生促進率は、コントロールのコラーゲン産生量を100%として算出した。
【0044】
(3)結果
各発酵物のコラーゲン産生促進率は、ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266を用いたものが262%、ラクトバチルス・ペントーサスYIT10289を用いたものが216%、ラクトバチルス・プランタラムYIT10278を用いたものが222%、ラクトバチルス・プランタラムYIT0132を用いたものが178%、ラクトバチルス・ブレビスYIT10281を用いたものが235%、ラクトバチルス・ブレビスYIT0076を用いたものが174%、ラクトバチルス・カゼイYIT10136を用いたものが217%、ラクトバチルス・ファビフェランタスYIT12095を用いたものが194%であった。一方、ラクトバチルス・クリスパータスYIT0212を用いたものは147%、ラクトバチルス・アシドフィルスYIT0070を用いたものは140%、ラクトバチルス・ケフィリYIT0222を用いたものは140%、ラクトバチルス・マリYIT0451を用いたものは148%であった。なお、未発酵クロレラエキス(乳酸菌を接種しないこと以外は実施例1と同様に作製)のコラーゲン産生促進率は127%であり、また1%スキムミルク培地でラクトバチルス・ペントーサスYIT10266を培養して得られた発酵物のコラーゲン産生促進率は123%であった。これらの結果から、本発明の発酵物には優れたコラーゲン産生促進効果があることが確認された。また、この効果は未発酵クロレラエキスやスキムミルク培地を乳酸菌で発酵させた発酵物よりも非常に高く、これらを組み合わせた場合よりも、さらに顕著な効果であることが確認された。また、特に、ラクトバチルス・プランタラムYIT10278株、ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266株、ラクトバチルス・ブレビスYIT10281株を用いて得られた発酵物のコラーゲン産生促進率が高いことが確認された。
【0045】
実 施 例 2
発酵物の調製:
クロレラ(C.regularis)を噴霧乾燥して得られたクロレラ粉末50g、水1000mL、グルコース5gを混合したものを培地とした。これを105℃、100分間加熱殺菌後、ラクトバチルス・ペントーサスYIT10266、ラクトバチルス・プランタラムYIT10278またはラクトバチルス・ブレビスYIT10281の前培養液(1×10
6〜8cfu/ml)をそれぞれ1%接種し、30℃、72時間静置培養した。培養終了後に遠心分離およびろ過によりクロレラおよび乳酸菌を除去して発酵物を得た。培養終了時の菌数を表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
実 施 例 3
発酵物の調製:
実施例2において、クロレラ(C.regularis)をクロレラ(C.pyrenoidosa)に代える以外は同様にして発酵物を得た。培養終了時の菌数を表4に示した。
【0048】
【表4】
【0049】
実 施 例 4
実施例2において、クロレラ(C.regularis)をクロレラ(C.vulgaris)に代える以外は同様にして発酵物を得た。培養終了時の菌数を表5に示した。
【0050】
【表5】
【0051】
試 験 例 2
コラーゲン産生促進作用の評価:
試験例1において、ヒト皮膚線維芽細胞としてCCD45SKの代わりにNHDF(Lonza社製)を用いる以外は同様にして、実施例2〜4で得られた発酵物のコラーゲン産生促進率を算出した。その結果を表6に示した。
【0052】
【表6】
【0053】
以上の結果から、本発明の発酵物の優れたコラーゲン産生促進効果は、クロレラの種類には影響されないことがわかった。
【0054】
実 施 例 5
化粧水:
下記組成の化粧水を製造した。
<組成> (質量%)
(1)エタノール 4.5
(2)1−3ブチレングリコール 2.0
(3)ヒアルロン酸 0.2
(4)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.05
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)発酵物
※ 5.0
(7)精製水 全体で100となる量
※実施例1に記載のラクトバチルス・ペントーサスYIT10266を用いて得られた発酵物
【0055】
<製法>
(7)に(3)と(6)を分散し、これに(1)、(2)、(4)及び(5)を加えて十分撹拌することにより化粧水を得た。
【0056】
実 施 例 6
乳液:
下記組成の乳液を製造した。
<組成> (質量%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)スクワラン 2.0
(4)ソルビタンモノステアレート 1.5
(5)ポリオシキエチレン(20) 2.0
ソルビタンモノステアレート
(6)パラオキシ安息香酸ブチル 0.05
(7)グリセリン 2.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)発酵物
※ 3.0
(10)精製水 全体で100となる量
※実施例1に記載のラクトバチルス・プランタラムYIT10278を用いて得られた発酵物
【0057】
<製法>
(10)に(7)〜(9)を加え、これに80℃で(1)〜(6)を加えて乳化し、室温まで冷却して乳液を得た。
【0058】
実 施 例 7
クリーム:
下記組成のクリームを製造した。
<組成> (質量%)
(1)流動パラフィン 22.0
(2)ワセリン 7.0
(3)セタノール 1.0
(4)ステアリン酸 2.0
(5)ミツロウ 2.0
(6)ソルビタンモノステアレート 3.5
(7)ポリオシキエチレン(20) 2.5
ソルビタンモノステアレート
(8)パラオキシ安息香酸ブチル 0.05
(9)ヒアルロン酸 0.1
(10)1−3ブチレングリコール 1.0
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(12)発酵物
※ 1.0
(13)精製水 全体で100となる量
※実施例1に記載のラクトバチルス・ブレビスYIT10281を用いて得られた発酵物
【0059】
<製法>
(13)に(10)〜(12)を加え、これに(9)を分散せしめて分散液を得る。次いでこれを80℃で(1)〜(8)を加えて乳化し、室温まで冷却してクリームを得た。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、コラーゲンの減少に起因ないし関連する症状の改善、治療等に極めて有効で安全に利用することができる。
以 上