特許第6475479号(P6475479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475479
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】検査ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20190218BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20190218BHJP
   G01R 31/26 20140101ALI20190218BHJP
【FI】
   G01R1/067 C
   G01R1/073 B
   G01R31/26 G
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-240476(P2014-240476)
(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公開番号】特開2016-102696(P2016-102696A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】宮川 将尚
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−156530(JP,A)
【文献】 特開2001−091538(JP,A)
【文献】 特開2010−164439(JP,A)
【文献】 特開2007−012475(JP,A)
【文献】 特開2006−308486(JP,A)
【文献】 特開2010−060527(JP,A)
【文献】 特開2010−197402(JP,A)
【文献】 特開2009−085948(JP,A)
【文献】 特開2007−198835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0001692(US,A1)
【文献】 特開2006−098375(JP,A)
【文献】 特開2009−156710(JP,A)
【文献】 特開2010−237133(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0110504(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0313659(US,A1)
【文献】 特開2004−047376(JP,A)
【文献】 特開2003−302441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する金属ブロックと、
前記貫通孔に配置されるグランドブッシュと、
前記グランドブッシュの内側を貫通するグランド用コンタクトプローブとを備え、
前記グランドブッシュは、筒状本体部と、前記筒状本体部の外面から側方に突出する突出部とを有する導体であり、前記突出部は前記金属ブロックにおける前記貫通孔の開口周辺部に当接し、
前記金属ブロックの一方の側に絶縁体板が重ね合わされ、前記突出部は、前記金属ブロックと前記絶縁体板とで挟持されていることを特徴とする検査ユニット。
【請求項2】
貫通孔を有する金属ブロックと、
前記貫通孔に配置されるグランドブッシュと、
前記グランドブッシュの内側を貫通するグランド用コンタクトプローブとを備え、
前記グランドブッシュは、筒状本体部と、前記筒状本体部の外面から側方に突出する突出部とを有する導体であり、前記突出部は前記金属ブロックにおける前記貫通孔の開口周辺部に当接し、
前記金属ブロックの一方の側に絶縁体板が重ね合わされ、
前記金属ブロックの前記絶縁体板を設ける側の反対側に絶縁部材が配設され、前記コンタクトプローブは、チューブと、前記絶縁部材の貫通穴部を貫通する第1のプランジャと、前記絶縁体板の貫通穴部を貫通する第2のプランジャとを有し、前記絶縁部材及び前記絶縁体板に形成された貫通穴部の前記チューブ端部が入る部分の内径よりも、前記グランドブッシュの内径が小さいことを特徴とする検査ユニット。
【請求項3】
前記金属ブロックは複数の分割体からなり、前記突出部は前記分割体で挟持されていることを特徴とする請求項に記載の検査ユニット。
【請求項4】
前記突出部は前記筒状本体部の一端部又は中間部に形成されたフランジ部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査ユニット。
【請求項5】
前記突出部は1個又は複数あり、前記筒状本体部の一端部又は中間部から一方向又は複数方向に放射状に延長していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査ユニット。
【請求項6】
前記コンタクトプローブには、検査動作中に前記貫通孔の中心軸に対して傾斜方向若しくは偏心方向の力が加わることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路等の被検査電子部品の検査のために使用する検査ユニットに係り、とくにグランド用コンタクトプローブを有する検査ユニットにおけるグランド用コンタクトプローブと金属ブロックとの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の高周波対応のソケットを構成する検査ユニット及びグランドチューブであって、(A)はグランド用コンタクトプローブ取り付け部分の正断面図、(B)はグランド用コンタクトプローブと金属ブロックとを接続するグランドチューブの正面図である。図12(A)において、グランド用コンタクトプローブ1は、導電性円筒状チューブ2から、内蔵するスプリングにより導電性プランジャ3,4を突出方向に付勢した導電性構造体であり、金属ブロック(ピンブロック)10の貫通孔11を挿通する配置である。そして、金属ブロック10の上下面に固定配置されたリテーナ(絶縁体の固定手段)12,13によりグランド用コンタクトプローブ1は貫通孔11内周面に対して同軸に支持される。
【0003】
グランド用コンタクトプローブ1と金属ブロック10との接続は、図12(B)のグランドチューブ20を用いて行っている。グランドチューブ20は金属板材を筒状に丸めて作製するものであり、一方の端部をグランド用コンタクトプローブ1の外周面に接触するようにプローブ1の外径より僅かに小さい内径となるように丸め、他方の端部を貫通孔11内周面に接触するように広げた形状である。このグランドチューブ20はプローブ1と金属ブロック10の隙間に配設され、両者の電気的な接続を果たす。
【0004】
図12の従来技術は、下記特許文献1の従来例として記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−60527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図12のグランドチューブ20は金属板材の片側をグランド用コンタクトプローブ1に接触する径に丸め、もう一方の側を金属ブロック10の貫通孔内壁に接触させるために広げた形状となっており、広げられたグランドチューブ20の弾性を利用して金属ブロック10とコンダクトプローブ1に噛みつかせ、導通をとっている。このため、以下に列挙する問題点がある。
【0007】
(1) グランドチューブ20は、打ち抜いた金属板を手作業でラッパ形状に曲げて作られるため寸法の精度が出しづらく、手作業によるため、高コストである。
【0008】
(2) グランドチューブ20は、手作業によって作られるため、径のバラツキが大きく、以下に述べるように組立性が悪い問題がある。
a.コンタクトプローブ1にグランドチューブ20の細い径の端が食い込み、コンタクトプローブ1の再利用が出来なくなることがある。
b.金属ブロック10側の貫通孔内面にグランドチューブ20の径の大きい側の端が食いつき、グランドチューブ20の抜き取りが困難になる。
c.湾曲したグランドチューブ20によってコンタクトプローブ1の動きが金属ブロック10内で拘束され(コンタクトプローブ1を途中までしか挿入できない事態が生じ)、リテーナ12,13の組み付けが困難な場合がある。
【0009】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、グランド用コンタクトプローブと金属ブロックとの電気的接続をグランドブッシュで確実かつ安定に行い、しかも保守性を向上させることが可能な検査ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は検査ユニットである。この検査ユニットは、貫通孔を有する金属ブロックと、前記貫通孔に配置されるグランドブッシュと、前記グランドブッシュの内側を貫通するグランド用コンタクトプローブとを備え、
前記グランドブッシュは、筒状本体部と、前記筒状本体部の外面から側方に突出する突出部とを有する導体であり、前記突出部は前記金属ブロックにおける前記貫通孔の開口周辺部に当接し、
前記金属ブロックの一方の側に絶縁体板が重ね合わされ、前記突出部は、前記金属ブロックと前記絶縁体板とで挟持されていることを特徴とする。
本発明のもう一つの態様も検査ユニットである。この検査ユニットは、 貫通孔を有する金属ブロックと、前記貫通孔に配置されるグランドブッシュと、前記グランドブッシュの内側を貫通するグランド用コンタクトプローブとを備え、
前記グランドブッシュは、筒状本体部と、前記筒状本体部の外面から側方に突出する突出部とを有する導体であり、前記突出部は前記金属ブロックにおける前記貫通孔の開口周辺部に当接し、
前記金属ブロックの一方の側に絶縁体板が重ね合わされ、
前記金属ブロックの前記絶縁体板を設ける側の反対側に絶縁部材が配設され、前記コンタクトプローブは、チューブと、前記絶縁部材の貫通穴部を貫通する第1のプランジャと、前記絶縁体板の貫通穴部を貫通する第2のプランジャとを有し、前記絶縁部材及び前記絶縁体板に形成された貫通穴部の前記チューブ端部が入る部分の内径よりも、前記グランドブッシュの内径が小さいことを特徴とする。
【0012】
前記態様において、前記金属ブロックは複数の分割体からなり、前記突出部は前記分割体で挟持されているとよい。
【0013】
前記態様において、前記突出部は前記筒状本体部の一端部又は中間部に形成されたフランジ部であるとよい。
【0014】
前記態様において、前記突出部は1個又は複数あり、前記筒状本体部の一端部又は中間部から一方向又は複数方向に放射状に延長しているとよい。
【0015】
前記態様において、前記コンタクトプローブには、検査動作中に前記貫通孔の中心軸に対して傾斜方向若しくは偏心方向の力が加わる構成であるとよい。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る検査ユニットによれば、筒状本体部と、前記筒状本体部の外面から側方に突出する突出部を有するグランドブッシュを用いることで、グランド用コンタクトプローブと金属ブロックとの電気的接続を確実かつ安定に行うことができる。しかもグランド用コンタクトプローブの挿入、抜き取りを容易にして保守性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施の形態であって、検査ユニット、被検査電子部品及び検査用基板を示す一部を断面とした概略正面図。
図2図1の要部拡大断面図。
図3】第1の実施の形態において、グランドブッシュを用いたグランド用コンタクトプローブ取り付け部分の正断面図。
図4】前記グランドブッシュの要部であって、(A)は部分断面図、(B)は底面図。
図5】前記グランドブッシュを用いる場合の金属ブロックに対するグランド用コンタクトプローブの取付手順を示す分解断面図。
図6】被検査電子部品側電極端子が、グランド用コンタクトプローブ及びグランドブッシュを介して金属ブロックに電気的に接続される経路を説明する正断面図。
図7】グランド用コンタクトプローブとグランドブッシュ間の電気的接続が、グランド用コンタクトプローブのチューブの傾斜により確実に行われることを説明する正断面図。
図8】本発明の第2の実施の形態におけるグランドブッシュの要部であって、(A)は部分断面図、(B)は底面図。
図9】本発明の第3の実施の形態におけるグランドブッシュの要部であって、(A)は部分断面図、(B)は底面図。
図10】本発明の第4の実施の形態におけるグランドブッシュの要部であって、(A)は部分断面図、(B)は底面図。
図11】本発明の第5の実施の形態における要部拡大断面図。
図12】従来の検査ユニット及びグランドチューブであって、(A)はグランド用コンタクトプローブ取り付け部分の正断面図、(B)はグランド用コンタクトプローブと金属ブロックとを接続するグランドチューブの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態であって、検査ユニット(ソケット)30、被検査電子部品80及び検査用基板90を示す一部を断面とした正面図、図2図1の要部拡大断面図、図3はグランドブッシュ60を用いたグランド用コンタクトプローブ40Aの取り付け部分の正断面図である。これらの図に示すように、高周波対応のソケットを構成する検査ユニット30は、多数の貫通孔51を形成した金属ブロック(ピンブロック)50と、貫通孔51に挿入、配置されるグランド用コンタクトプローブ40A、電源用コンタクトプローブ40B及び高周波信号用コンタクトプローブ40Cと、グランド用コンタクトプローブ40Aの周囲に配されるグランドブッシュ60と、絶縁体板である樹脂プレート(ピンプレート)70と、絶縁部材としてのインシュレータリング75とを備えている。
【0022】
なお、本例では金属ブロック50の各貫通孔51は同径であり、コンタクトプローブ40A,40B,40Cは径を同じくする同一のものを使用する。コンタクトプローブ40A,40B,40Cは、金属導体のチューブ41の両端から金属導体のプランジャ42,43がチューブ41に内蔵されるスプリングの弾性力で突出している(内部構造は後述する)。
【0023】
金属ブロック50は、真鍮やアルミニウム等の導体金属であり、その一方の平面(上面)には検査時に被検査電子部品80をガイドするガイド部材35が固着され、金属ブロック50の検査用基板90に対向する他方の平面(底面)には樹脂プレート70を配置するために凹んだ段差面53が形成されている。段差面53には凹部54が形成され、凹部54の底面54aと樹脂プレート70の対向面に隙間Gが形成されることになる(隙間Gを設ける理由は後述する)。凹部54はコンタクトプローブ40A,40B,40Cの配置領域を内側に含む。
【0024】
インシュレータリング75は、円環状樹脂製で、内側にコンタクトプローブ40A,40B,40Cの肩部(チューブ41の端部)を収容する大径内周部75aを形成すると共にコンタクトプローブ40A,40B,40Cのプランジャ42が障害なく通れる程度の小径内周部75bを形成している。一方、インシュレータリング75の外側に貫通孔51の大径部51aと同径の大径外周部75cを形成すると共に貫通孔51の一方の端部(被検査電子部品80に対向する側、つまり上側)の小径部51bに嵌合する小径外周部75dを形成している。これにより、インシュレータリング75が金属ブロック50から抜けないようになっている。なお、インシュレータリング75の大径内周部75aの径はコンタクトプローブ40A,40B,40Cの肩部(チューブ41)の径よりも大径に形成されており、コンタクトプローブ40A,40B,40Cが貫通孔51の中心軸に対して偏心する方向に移動できるようになっている。これにより、コンタクトプローブ40A,40B,40Cが僅かに傾くことができる。
【0025】
金属ブロック50のインシュレータリング75を配置した側の反対側には、樹脂プレート70が設けられ、樹脂プレート70の金属ブロック50に対向する側の面には、各コンタクトプローブの位置に合わせて凹部71が形成されている。樹脂プレート70の凹部71は、インシュレータリング75の内側と同様にコンタクトプローブ40A,40B,40Cの肩部(チューブ41の端部)を収容する大径部71aとプランジャ43が障害なく通れる程度の小径部71bが形成されている。樹脂プレート70の大径部71aの径はコンタクトプローブ40A,40B,40Cの肩部(チューブ41)の径と同径に形成されているが、インシュレータリング75と同様に大径にしてコンタクトプローブ40A,40B,40Cが貫通孔51の中心軸に対して偏心する方向に移動できるようにしてもよい。さらに、大径部71aの金属ブロック側はテーパ状に拡がった形状とされている。
【0026】
グランド用コンタクトプローブ40Aが収容される貫通孔51にはグランドブッシュ60が挿入されている。図4(A),(B)に示すように、グランドブッシュ60は金属ブロック50と同様の導体金属であり、内側をグランド用コンタクトプローブ40が貫通するチューブ状(円筒状)の本体部61と、チューブ状(円筒状)の本体部61の一端部の外周面から側方(径方向)に突出する突出部としてのフランジ部62とを有する。本体部61は外径が貫通孔51の大径部51aよりも若干小さく形成され、内径がコンタクトプローブ40Aよりも若干大きく形成されている。
【0027】
グランドブッシュ60の一端部に形成されたフランジ部62は、樹脂プレート70を金属ブロック50の段差面53に取り付けることによって、金属ブロック50と樹脂プレート70の前述の隙間Gに挟み込まれ、金属ブロック50の一面に圧接される。つまり、金属ブロック50側凹部54の深さ寸法よりもフランジ部62の厚みが僅かに大きく設定されており、この結果、フランジ部62は凹部54の底面54aと樹脂プレート70の対向面で挟持されて金属ブロック50における貫通孔51の開口周辺に当接し、確実に電気的に接触する。なお、フランジ部62は樹脂プレート70に食い込むことになる。
【0028】
フランジ部62の径(突出量)は、隣接する貫通孔51にグランドブッシュ60を配置した際に干渉しない径に設定されている。また、グランドブッシュ60の内径は、インシュレータリング75の大径内周部75a(チューブ41の端部が入る部分)の径よりも小さくなるように形成されている。これによって、グランド用コンタクトプローブ40Aの外周が確実にグランドブッシュ60の内側に接触することができる。この理由は図7を用いて後述する。
【0029】
グランドブッシュ60の長さは、貫通孔51に挿入されたときに貫通孔51の一端に配置されるインシュレータリング75近傍まで、すなわち、貫通孔51の略全長に亘って延びるように形成されている。但し、インシュレータリング75には接触せず隙間を開けている。隙間を開けているのはフランジ部62が金属ブロック50(貫通孔51の開口周辺部)に確実に接触するようにするためで、また、グランドブッシュ60がインシュレータリング75近傍まで延びているのは、被検査電子部品80に近いところでコンタクトプローブ40Aに対して電気的導通をとると電気的な特性(とくに高周波特性)がよいからである。
【0030】
図5にグランドブッシュ60を用いる場合の金属ブロック50に対するグランド用コンタクトプローブ40Aの取付手順を示す。金属ブロック50の上下を反転して貫通孔51の小径部51bを下にする。そして、インシュレータリング75、グランドブッシュ60の順に貫通孔51内に挿入し、グランドブッシュ60の内周にグランド用コンタクトプローブ40Aを挿入して金属ブロック50に樹脂プレート70をネジ等で固定する。樹脂プレート70及びインシュレータリング75はリテーナとして機能し、金属ブロック50からのグランド用コンタクトプローブ40A及びグランドブッシュ60の抜けを防止する。また、樹脂プレート70及びインシュレータリング75は、他のコンタクトプローブ40B,40Cに関しては金属ブロック50との間の絶縁を確保する機能も果たす。
【0031】
図6を用いて被検査電子部品80の電極端子81が、グランド用コンタクトプローブ40A及びグランドブッシュ60を介して金属ブロック50に電気的に接続される経路を説明する。検査時において、グランド用コンタクトプローブ40Aのプランジャ42が被検査電子部品80の電極端子81を押圧して接触し、プランジャ42と導通しているチューブ41がグランドブッシュ60の内周面に接触し、グランドブッシュ60のフランジ部62が金属ブロック50に圧接して、電気的接続を行う。さらに検査時においては、金属ブロック50の下面に検査用基板90を固定するので、検査用基板90を金属ブロック50に締め付ける力を利用して樹脂プレート70を圧縮し、金属ブロック50にグランドブッシュ60のフランジ部62を押し付ける効果で安定した電気的導通をとることができる。
【0032】
図7を用いてグランド用コンタクトプローブ40Aとグランドブッシュ60間の電気的接続が、グランド用コンタクトプローブ40Aのチューブ41の傾斜により確実に行われることを説明する。図7に示すように、グランド用コンタクトプローブ40Aにおいて、検査時には上下のプランジャ42,43がコンタクト対象(被検査電子部品80の電極端子81、検査用基板90の配線端子91)に突き当たることでチューブ41内に押し込まれるが、このときプランジャ42,43のスプリング44を受ける面が傾斜面にされているため、プランジャ42,43のチューブ41に摺動自在に収容されている大径部分42a,43aがチューブ内面側へと移動してチューブ内面への側圧が発生する。この側圧によりチューブ41がグランドブッシュ60側に押されて、チューブ41がグランドブッシュ60の内側面に押し付けられる。これによって、グランド用コンタクトプローブ40Aとグランドブッシュ60との電気的導通が確実なものとなる。図7では、それぞれのプランジャ42,43に形成される傾斜面が異なる方向を向いているため(プランジャ42の傾斜面は左下向き、プランジャ43の傾斜面は右上向き)、グランド用コンタクトプローブ40Aが傾斜してチューブ41の上部と下部とがグランドブッシュ60に接触する。
【0033】
なお、プランジャ42,43に形成される傾斜面が左右いずれかの同方向を向いている場合(例えばプランジャ42の傾斜面は左下向き、プランジャ43の傾斜面は左上向き)、チューブ41は側圧によって傾斜を伴わずに側方に移動してグランドブッシュ60に接触する。
【0034】
このように、プランジャ42,43のチューブ41内面への側圧を利用して、コンタクトプローブ40Aを貫通孔51の中心軸から偏心させることで、コンタクトプローブ40Aとグランドブッシュ60との電気的導通を確実にすることができる。従って、被検査電子部品80の電極端子81と、検査用基板90の配線端子91間をグランド用コンタクトプローブ40Aで電気的に接続するとともに、電極端子81をグランド用コンタクトプローブ40Aのプランジャ42、チューブ41、グランドブッシュ60及びそのフランジ部62の経路で金属ブロック50に電気的に確実かつ安定に接続する。
【0035】
従って、検査ユニット30にガイド部材35を利用して被検査電子部品80を載置、固定し、検査ユニット30の下方に検査用基板90を配置、固定して検査を行う場合、グランド用コンタクトプローブ40A先端に接触した被検査電子部品80側電極端子81からグランド電流がコンタクトプローブ40Aに流れ、コンタクトプローブ40Aとグランドブッシュ60の内側面の接触箇所を通りグランドブッシュ60に流れ、さらにグランドブッシュ60のフランジ部62から金属ブロック50に流れる。
【0036】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0037】
(1) グランド導通の安定化を図ることができる。すなわち、グランドブッシュ60のフランジ部62を、樹脂プレート70で金属ブロック50の一面(貫通孔51の開口周辺部)に押し付ける作用によって、グランド電流の導通がより安定化する。
【0038】
(2) グランド用コンタクトプローブ40Aにおけるプランジャ42,43のチューブ41内面への側圧を利用して、コンタクトプローブ40Aを金属ブロック50の貫通孔51の中心軸から偏心させることで、コンタクトプローブ40Aとグランドブッシュ60との電気的導通を確実にすることができる。
【0039】
(3) コスト低減を図ることができる。すなわち、グランドブッシュと60は加工機による切削のみで製造が可能で、従来技術のグランドチューブの端を治具を使用して手作業で形成する必要が無いため、短時間での大量生産が可能であり、製造原価の大幅低減が可能になる。
【0040】
(4) 組立性の改善を図ることができる。すなわち、グランドブッシュ60は従来技術のグランドチューブのようにエッジ部を金属ブロック及びプローブ側面に食い込ませて導通を安定させる方法とは異なり、各金属部品同士を押し付ける力を利用して導通をとっている。そのため、ピンセットを使用して抵抗なくグランドブッシュ60の挿抜を行うことができ、金属ブロック50の貫通孔内面やグランド用コンタクトプローブ40Aの側面を傷めることが無く、部品の再利用が可能となる。
【0041】
(5) グランドブッシュ60の挿抜が容易であるから、金属ブロック50の貫通孔51の径をいずれも同一に形成するとともに、各コンタクトプローブとして同径のものを使用することで、被検査電子部品の電極パターンに対応させて、各種コンタクトプローブの配置を自由に変更することが可能となる。
【0042】
図8(A),(B)は、本発明の第2の実施の形態を示す。この場合、グランドブッシュ60は、チューブ状の本体部61の外面から側方に突出する突出部としての舌片部63が、本体部61の一端部に2箇所(180度間隔で)形成されている(複数方向に放射状に延長している)。
【0043】
図9(A),(B)は、本発明の第3の実施の形態を示す。この場合、グランドブッシュ60は、チューブ状の本体部61の外面から側方に突出する突出部としての舌片部63が、本体部61の一端部に4箇所(90度間隔で)形成されている(複数方向に放射状に延長している)。
【0044】
図10(A),(B)は、本発明の第4の実施の形態を示す。この場合、グランドブッシュ60は、チューブ状の本体部61の外面から側方に突出する突出部としての舌片部63が、本体部61の一端部に1箇所形成されている(一方向に放射状に延長している)。
【0045】
第2乃至第4の実施の形態においても、その他の構成を第1の実施の形態と同様の構成とすることで、第1の実施の形態と同様を作用効果が得られる。
【0046】
図11は本発明の第5の実施の形態を示す。この場合、グランドブッシュ60と金属ブロック50との電気的接続はグランドブッシュ60中間部(円Pで示す部分)で行っている。すなわち、金属ブロック50は上下に二分割され、上側分割体としての上側金属ブロック50Aと、下側分割体としての下側金属ブロック50Bとを重ねて一体化した構造体である。そして、グランドブッシュ60のチューブ状の本体部61の中間部外面から側方に突出する突出部、つまりフランジ部62又は舌片部63は上側及び下側金属ブロック50A,50Bにそれぞれ形成された凹部55A.55Bの底面56A,56B間に挟持されている(上側及び下側金属ブロック50A,50Bにおける貫通孔51の開口周辺部に当接する)。底面56A,56B間距離よりもフランジ部62又は舌片部63の肉厚を僅かに大きくすることで、フランジ部62又は舌片部63を上側及び下側金属ブロック50A,50Bに圧接させ、確実に導通をとることができる。なお、絶縁部材としてのインシュレータリング75の代わりに、絶縁体板としての樹脂プレート78を金属ブロック50に重ねて各コンタクトプローブを共通に絶縁支持する構造としている。なお、その他の構成は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0047】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0048】
第1の実施の形態において、グランド用コンタクトプローブでのプランジャのチューブ内面への側圧を発生させる構成として、図7のようにプランジャのスプリングを受ける面を傾斜面にしているが、この構造に限らず、例えば、プランジャのスプリング受け面を傾斜させず、スプリングのプランジャ当接部分を傾斜させてもよい。
【0049】
第1の実施の形態では、コンタクトプローブの一端部(上側)をインシュレータリングで絶縁支持したが、インシュレータリングの代わりに絶縁体板としての樹脂プレートを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,40A グランド用コンタクトプローブ
3,4,42,43 プランジャ
10,50 金属ブロック
11,51 貫通孔
20 グランドチューブ
30 検査ユニット
41 チューブ
60 グランドブッシュ
61 本体部
62 フランジ部
63 舌片部
70 樹脂プレート
75 インシュレータリング
80 被検査電子部品
90 検査用基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
図12