(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レールは、前記噛合歯の両側に長手方向に沿って上平面を有しており、前記ピニオンギヤの両側に前記レールの前記上平面を支持する上面支持部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の移動ユニット。
前記上面支持部の両側に、前記移動体が前後に傾いた際に前記移動体の傾きを矯正するため、前記上平面に当接して位置を矯正する位置矯正部材を備えたことを特徴とする請求項4に記載の移動ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、レールが湾曲したり、捻ったりしている場合であっても、移動体が移動中にラックの噛合歯に確実に噛合し、また、レールと過度に干渉することを低減することができ、よりスムーズにレールに沿って移動可能な移動ユニットを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明にかかる移動ユニットは、
噛合歯が形成され、湾曲して又は捻れて配置されるレールと、前記噛合歯に嵌合するピニオンギヤを有し前記レールに沿って移動する移動体と、を備え、
前記レールの両側側面を支持する側面支持部と、前記噛合歯と前記ピニオンギヤの噛合を確保するため前記レールの底面を支持する底面支持部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の移動ユニットは、側面支持部によって移動ユニットの側方方向の移動を抑制するとともに、底面支持部によって噛合歯とピニオンギヤとの相対位置関係を保持することができる。そのため、移動中に噛合歯に対してピニオンギヤとの噛合がゆるくなり空転したり、逆にレールと移動体が過度に干渉してスムーズに移動できなくなるといった可能性を低減することができる。そのため、移動体の安定した走行を確保することができる。
【0009】
また、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記側面支持部の少なくとも一方は、前記レールの側面に付勢されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、レールが湾曲したり、捻れている場合等にレールの幅が変わったり、両側の側面の平行性が保たれていない部位があった場合であっても、過度な干渉をすることなく側面を保持することができ、移動体のより安定した移動を確保することができる。
【0010】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記側面支持部の少なくとも一方は、ローラからなり、前記ローラは、軸が前記レールの側面に対して反対側が開放された溝に配置されており、前記ローラは板バネによってレールの側面側に付勢されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、レールの湾曲又は捻れにより過度に干渉している場合に、ローラが板バネを押すことで干渉を和らげれることができるとともに、板バネからの付勢力によってレールを本来の位置に戻すことができる。
【0011】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記レールは、前記噛合歯の両側に長手方向に沿って上平面を有しており、前記ピニオンギヤの両側に前記レールの上平面を支持する上面支持部を有することを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、レールの噛合歯とピニオンギヤとの相対的な位置関係を保持することができるので、移動体のより安定した移動を確保することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記底面支持部の両側に、前記底面を支持する弾性体からなるガイド部材が設けられていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、レールが湾曲したり、捻れたりしている場合等に、噛合歯とピニオンギヤの前後のレールを保持して本来の位置に戻すことができる。このため、移動体のより安定した移動を確保することができる。また、噛合歯とピニオンギヤが噛合する部位は底面支持部で確実に位置関係を保持しつつ、噛合歯とピニオンギヤの噛合位置から前後に離れた位置は、弾性体を使用して移動体に対してレールが若干移動可能に設けておくことで、移動体とレールが過度に干渉して移動しなくなる可能性を低減することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、一方の前記側面支持部は、前記レールの長手方向に間隔をおいて2箇所で支持しており、他方の前記側面支持部は1箇所で支持しており、前記他方の側面支持部は、側面から視た場合に、2箇所で支持する前記一方の側面支持部の間に配置されていることを特徴とするものであってもよい。レールに対して移動体のがたつき具合を抑えることが可能になる。
【0014】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記上面支持部の両側に、前記移動体が前後に傾いた際に前記移動体の傾きを矯正するため、前記上平面に当接して位置を矯正する位置矯正部材を備えたことを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、移動体の前後でレールとの間隔が大きく変更することが抑制され、移動体のより安定した移動を確保することができる。
【0015】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記移動体には、装飾用LEDを備えていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、移動体に装飾的効果を付与することができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記装飾用LEDは、円盤型基板に複数配置されており、前記円盤型基板を回転させる回転手段を有することを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、装飾用LED自体が移動体内で移動するため、より動きがあるように見せることができ、さらに装飾的効果の高い移動ユニットを提供することができる。
【0017】
さらに、本発明にかかる移動ユニットにおいて、前記レールは、前端と後端とで異なる高さとなるように配置されていることを特徴とするものであってもよい。本発明にかかる移動ユニットは、レールが湾曲したり、捻れていたりする場合に加えて、レールが高さ方向に傾斜を有する場合であっても、噛合歯とピニオンギヤがしっかり噛合しているので、問題なく移動させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる移動ユニットは、レールが湾曲したり、捻ったりしている場合であっても、移動中にラックの噛合歯に確実に噛合し、かつ過度な干渉を低減することで、移動に支障のない移動ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記図面に基づいて、実施形態にかかる移動ユニット100について説明する。なお、各図面において、各構成部品の組立には、複数の取り付け用ビスを使用しているが、図面が見づらくなることから、適宜省略されている。なお、説明の便宜上、本明細書及び特許請求の範囲において、上面側、底面側、一方側面側、他方側面側、前方側、後方側とは、
図2に示す矢印のように、レール10の噛合歯11を有する方を上面とし、レール10の噛合歯がある面と反対側の方を底面とし、レール10の長手方向を前後方向として説明する。
【0021】
移動ユニット100は、
図1に示すように、レール10と、このレール10を移動する移動体20と、を主として備えている。
【0022】
レール10は、
図2に示すように、一般的なラックアンドピニオンのラックに相当する部材であり、ピニオンギヤ41と噛合する噛合歯11を有する長尺の部材である。実施形態においては、レール10は、平板に噛合歯11が設けられた形態を有する歯部材12を、断面が略凹形状に形成された枠部材13に嵌め込んで作製されている。レール10の素材は、特に限定するものではなく、例えばアルミニウム、鉄等の金属製でもよいし、合成樹脂であってもよい。合成樹脂で作製することによって、曲線部や捻れ部を容易に作製することができるという効果がある。レール10は、直線のみではなく、
図3に示すように、湾曲した領域10fや捻れた領域10gを有していても良いし、上下方向に垂直又は傾いて配置された領域10hを有していてもよい。また、歯部材12が下方に向いて配置されていてもよい。レール10を作製する場合に、こうした領域を作製する際に、レール10を折り曲げたり、捻ったりすると、正確に加工することが難しく、レール10の一部が変形した領域(例えば10iの部分)が発生する可能性がある。本発明にかかる移動ユニット100は、こうしたレール10においても安定した移動を確保することができる点が特徴の一つである。
【0023】
移動体20は、
図2に示すように、主として、レール10や種々の構成部品を取り付けるための取付部材30と、レール10に取り付けられた移動体20をレール10に沿って移動させるための移動手段40と、これらを収容する分割可能な筐体70と、を備えている。
【0024】
取付部材30は、主として、レール10の他方側面10aに配置される第1取付部材31と、一方側面10bに配置される第2取付部材32と、レール10の他方側面10a及び底面14を支持する底面等支持部材33と、を備えている。
【0025】
第1取付部材31は、各種構成部品を取り付けることができるように、各構成部品取付部(例えば、モータ取付部31a)を有する。第1取付部材31は、分割された一方の筐体70aに取り付けられて、各構成部材を筐体70aに固定することができる。また、第1取付部材31の底面14側には、ネジ止め等で底面等支持部材33を取り付けることができる。
【0026】
底面等支持部材33は、レール10の他方側面10aを支持する側面支持部としての2つの第1支持ローラ33bと、レール10の底面14を支持する底面支持部としての第1底面支持ローラ33aを備えている。2つの第1支持ローラ33bは、筐体70a内でレール10に沿って前後に間隔を開けて配置されており、他方側面10aに沿って移動できるようにされている。なお、第1支持ローラ33bの素材にウレタンやシリコン等の弾性部材を使用してレール10と相対位置が変化した場合に緩衝可能となるように形成してもよい。また、
図4に示すように、2つの第1支持ローラ33bは、2枚の板部材34(図面では手前側の1枚のみ図示してある。)の両側の軸支部34aで軸支されている。板部材34は、中央と軸支部34aとの間にそれぞれ貫通孔34bが設けられており、貫通孔34bの直径に対して短い直径を有する軸34cが貫通孔34b内に挿入されている。この状態で図示しないバネにより矢印Aの方向、すなわち、レール10の他方側面10aの方向に付勢されている。この状態でレール10が矢印Aと反対方向に第1支持ローラ33bに力が加わると、貫通孔34bと軸34cとの隙間分だけ移動することができる。かかる構成を採用することによって、レール10が湾曲したり、捻れたりしている場合に他方側面10a側との距離が移動中に変更した場合であって他方側面10aに追従することができる。また、レール10の湾曲又は捻れにより過度に干渉することを抑制してスムーズな移動を可能にすることができる。さらに、底面等支持部材33には、移動体20がレール10に沿ってより安定して移動することができるように、レール10への嵌め込み具合又はガタつき具合を調整することができるガイド部材33dがレール10の底面側であって、かつ第1底面支持ローラ33aの両脇に取り付けられている。このガイド部材33dは、弾性力を有する部材、例えば、プラスチック、薄い金属板等で作製されており、移動体20がレール10に対して傾いたり、外れる方向へ移動したりした場合に、ガイド部材33dが移動体20を元の位置に戻すようにレール10を押圧することで、移動体20を元の位置に復帰させることができ、安定した走行を確保することができる。また、レール10の湾曲又は捻れにより過度に干渉している場合に、弾性を有する部材を使用することによって、干渉を和らげてスムーズな移動を可能にすることができる。また、ガイド部材33dは、
図5Aに示すように、ビス33eで止められており、ビス33eを中心にレール10の底面14に沿って矢印Bの方向に手で移動させることができる。ガイド部材33dを移動させることで、レール10の底面14の支持する位置を変更して調整することができ、移動体20の位置安定性と移動容易性等を考慮して支持位置を決定することができる。
【0027】
第2取付部材32は、
図2に示すように、各種構成部品を取り付けることができるように、各構成部品取付部(例えば、蓄電池取付部32c)と、レール10の一方側面10bを支持する側面支持部としての第2支持ローラ32aと、レール10の底面14を支持する底面支持部としての第2底面支持ローラ32bと、を有しており、レール10の一方側面10b及び底面14を支持する。第2支持ローラ32aは、
図4に示すように、第2支持ローラ32aの軸36が、レール10の一方側面10b側と反対側が開放した溝36bが設けられた第2支持ローラ固定部36aに挿入されている。溝36bの開放側には、板バネ36cが設けられている。このため、レール10が第2支持ローラ32aに当接して押圧した場合には、第2支持ローラ32aが板バネ36cを押圧して移動できるように形成されている。かかる構成を採用することによって、レール10の湾曲又は捻れにより過度に干渉している場合に、干渉を和らげられるようにしてもよい。第2支持ローラ32aを1箇所で支持することによって、レール10の噛合歯11とピニオンギヤ41との相対位置を確保し、第1支持ローラ33bは、反対側の側面で側面から視た場合に第2支持ローラ32aの前後に配置されるようにすることで、第2支持ローラ32aの前後はある程度レール10側面方向に移動させることができ、レール10の湾曲又は捻れにより過度に干渉している場合に、干渉を和らげることができる。第2底面支持ローラ32bは、主としてレール10の一方側面10b側の底面14を支持するものである。
【0028】
レール10は、底面等支持部材33を取り外した状態で第1取付部材31と第2取付部材32の間に挿入し、底面等支持部材33を第1取付部材31に取り付けてレール10の底面14を支持することで取付部材30内に配置される。レール10は、取付部材30内に取り付けられた状態で第2支持ローラ32aと第1支持ローラ33bとの間に配置され、レール10の側方方向の移動を規制され、第1底面支持ローラ33aと第2底面支持ローラ32bでそれぞれ底面14の両側が支持され、レール10が外れることが防止される。なお、第2支持ローラ32aと第1支持ローラ33bは、移動中常にレール10に当接している必要はなく、摩擦によって移動が妨げられることを防止するためにわずかに隙間を設けてもよい。
【0029】
移動手段40は、移動体20をレール10上で移動させるための駆動手段であり、主として、ピニオンギヤ41、駆動力発生手段であるモータ42及びモータ42の駆動力及び速さを調整してピニオンギヤ41に伝達するための中間ギヤ43及び動力源である電池44と、を備えている。ピニオンギヤ41が回転することで、レール10の噛合歯11と噛合した状態で回転し、移動体20をレール10上で移動させることができる。ピニオンギヤ41は、ギヤ歯の周囲に円筒部41aが設けられており、この円筒部41aはピニオンギヤ41の回転時にレール10の噛合歯11の両側の上平面10dに当接しつつ回転移動することによって、レール10を所定の位置に保持する上面支持部をなす。モータ42及び中間ギヤ43は、特に限定するものではなく、既知のものを使用することができる。これらの移動手段40は、第1取付部材31又は第2取付部材32に取り付けられている。
【0030】
筐体70は、前述した取付部材30、移動手段40を収容するための部材であり、本実施形態においては、略球体に形成してあるが、特にその形態は限定するものではない。本実施形態にかかる筐体70は、2分割して形成されており、分割することにより、取付部材30と移動手段40の取り付け取り外しができる。
【0031】
さらに、本発明の移動ユニット100は、上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。例えば、以下の構成を任意に追加してもよいし。
【0032】
CPUを中心とするマイクロプロセッサ、移動体20の動きを制御する制御プログラム等の各種プログラムを記憶したROM、モータ42を制御するモータドライバ等を有する移動制御基板(図示しない。)を設け、移動体20の動きを制御してもよい。
【0033】
レール10の装飾効果を向上させるために、レール10の底面14に立体的な装飾部を設けたり、
図5Aに示したように、装飾用LED16をレール10に沿って複数配置して電飾による装飾効果を発揮させたりしてもよい。勿論、装飾用LED16の色、点灯方法等は任意に設定することができる。
【0034】
また、
図5Bに示すように、レール10の枠部材13に透明又は半透明な素材又は透光性のある素材を使用して、歯部材12の底面14に装飾用LED16を設けても良い。かかる構成を採用することによって、レール10の透明度、色等によっても異なる装飾効果を有するものとすることができる。
【0035】
また、
図6に示すように、一方の筐体70aを透明な素材で作製し、その内側に複数の装飾用LED71が配置された円盤型基板75を回転可能に配置してもよい。具体的には、円盤型基板75を駆動するための円盤型基板用モータ76を設け、一方、円盤型基板75には、円盤型基板75の中心に円形ギヤ79を有する回転軸78を設け、この円形ギヤ79に中間ギヤを介して駆動力を加えることで円盤型基板75を回転させる。この場合において、円盤型基板用モータ76の電源としては、電池44を使用してもよいし、別途専用の電池を設けても良い。また、この場合に、円盤型基板用モータ76用のモータドライバを設けて、円盤型基板75の回転方向や回転スピードを制御したり、装飾用LED71のLEDドライバを設けて、装飾用LED71の各LEDの明るさや点滅等を制御したりしてもよい。かかる構成を採用することによって、装飾する場所に合わせて異なる装飾効果を得ることができる。
【0036】
なお、移動体20に対する装飾方法としては、特に限定するものではなく、装飾用LED71の代わりに回転灯を設けても良いし、単に筐体70に図柄等が描かれているものであってもよい。使用させる場所に応じて適宜選択して使用することができる。
【0037】
また、レール10の支持方法としても、前述した方法のみに限定するものではなく、さらに構成を追加してもよい。例えば、
図5Bに示すように、レール10の底面14にレール10の長手方向に沿って延出部17を有する断面凸状に形成し、この延出部17の両側に第1底面支持ローラ33aと第2底面支持ローラ32bを配置し、第1底面支持ローラ33aと第2底面支持ローラ32bの先端が延出部17の側面に当接するように又は近傍に設けることによって、レール10が側方方向に移動することを規制することができる。
【0038】
また、
図7に示すように、第1取付部材31、第2取付部材32のいずれか又は両方に上面支持部としての円筒部41aの両側に、移動体20が前後に傾いた(矢印Cの方向)際に移動体20の傾きを矯正するため、上平面10dに当接して位置を矯正する位置矯正部材35を設けても良い。具体的には、円筒部41aの前後両方に、2枚の板状の弾性部材が取付部材31、32から間隔を開けて平行に配置されており、中央側が取付部材31、32に取り付けられ、前後に開放した板バネ状態で取り付けられている。この位置矯正部材35は、ラックの曲がり部やねじり部等でレール10と移動体20が前後に傾いた場合にレール10と接触して、いわゆるバネ機能により本来の位置にレール10を矯正することができる。
【0039】
さらに、上述した実施形態においては、動力源として電池を使用したが、動力源としては、これに限定するものではなく、外部電源を設けても良い。例えば、電源装置と、この電源装置のフィーダーと連結された2本の金属をレール10に沿って設け、一方、これに接触する端子を移動体20側に設けて、これら2本のレール10から電源を供給するものであってもよい。この場合において、スピードをコントロールしたり、進行方向を切り替えたりといった操作を電源装置側で行っても良い。
【0040】
また、移動体20に、電磁誘導方式等の非接触電力伝送の二次側モジュールを設け、電磁誘導方式等の非接触電力伝送の一次側モジュールをレール10に沿って複数配置して、電力を得る非接触給電方式を使用してもよい。
【0041】
また、移動体20側の電池に蓄電池を設け、一定の場所に移動した場合に電気を充電できるようにしてもよい。この方法の詳細は後述する。
【0042】
以上のように作製された移動ユニット100は、様々な装飾用又は演出用の移動体ユニットとして使用することができる。
【0043】
例えば、様々な商品を展示しているショーケースの内側や、ゲームセンター等の遊技装置(例えば、クレーンゲームの内側等)にレール10を配置して、移動体20を移動させることによって、様々な演出効果を付与することができる。
【0044】
以下、特に、効果的に使用できると思われるパチンコ用の遊技機に使用した例について詳細に説明する。まず、
図8から
図10を用いて、本実施形態の移動ユニット100が使用されるパチンコ用の遊技機200の実施形態の一例について構成を詳しく説明する。パチンコ用の遊技機200は、
図8に示すように、パチンコホール等の島に上板と下板との間に挟持されて支持される外枠222と、外枠222に軸支される本体枠230と、本体枠230の一側に設けられ図示しない蝶番により開閉可能に軸着される前面枠260と、を備えている。
【0045】
本体枠230は、
図9に示すように、遊技領域251を含む遊技盤250と、前面下部の一側方位置に回転可能に設けられた発射ハンドル232と、前面下部に設けられ図示しない遊技球を貯留する球受皿234と、球受皿234の下部であって本体枠230の両側部に設けられ演出音等を放音するスピーカ236と、を備えている。また、本体枠230の裏面側には、
図10に示すように、上部に設けられた球タンク238から賞球を供給する球払出装置240と、封入ケースに封入された球払出制御基板248及び主制御基板270と、演出用制御基板290が設けられている。球受皿234内の図示しない遊技球は、図示しない打球供給装置を経由して図示しない打球発射装置に導かれ、発射ハンドル232の回転度に応じた強さで遊技領域251内に発射される。
【0046】
遊技盤250は、
図9に示すように、略中央部に位置し入賞等による各種演出を表示する大型の液晶パネルを有する図柄変動表示装置252や図柄変動表示装置252の下方に位置する大入賞口258及び大入賞口258の両側方向に位置する複数の入賞口256を有し、風車や多数の障害釘からなる障害釘群が表面に適宜配置される遊技領域251を有している。球受皿234内の図示しない遊技球は、図示しない打球供給装置を経由して図示しない打球発射装置に導かれ、発射ハンドル232の回転度に応じた強さで遊技領域251内に発射される。図示しない発射装置によって障害釘群や入賞口256等を有する遊技領域251内に射出された遊技球は、風車や障害釘群を通過して入賞口256や大入賞口258に到達すると、入賞口256や大入賞口258に設けられた入賞球スイッチ246によって検出され、主制御基板270が入賞信号を受信することによって入賞として扱われる。この場合には、主制御基板270より球払出制御基板248に球払出信号が発信され、球タンク238から球払出装置240を介して賞球が球受皿234に供給されることにより、遊技者は賞球を得ることができる。
【0047】
移動ユニット100は、例えば、
図8に示すように、前面に配置されるガラス面257の両側面に前面側に膨出する透明部材259が設けられ、その後方に2つのレール10をそれぞれ始端から後端の位置に高低差があるように略上下方向に配置され、上方では遊技領域に合わせて内側にカーブを描くように配置されている。また、レール10は全体的に捻りが加えられており、移動体20は、上方に移動するに従って、移動体20の一方の筐体70側が正面に向き、装飾用LED71が見えやすいように取り付けられる。
【0048】
移動体20は、前述したように、底面等支持部材33を取り外した状態で第1取付部材31と第2取付部材32の間にレール10を挿入して取り付けられる。
【0049】
本実施形態に使用される移動ユニット100は、移動体20側に受電モジュール50を有している。受電モジュール50は、電磁誘導方式等の非接触電力伝送の二次側モジュールと制御回路を含んでおり、主として、後述する給電装置80から電力を受電する受電回路と、
図11に示すように、電池に代わり、受電した電力を蓄電してモータ42に電力を供給する蓄電池44aと、後述する給電装置80に位置情報を光で報知するための受電側LED55と、給電装置80の給電側LED83からの光を検知する受電側フォトセンサ53、給電装置80とデータ通信を行なう受電側データ通信用モジュール52(例えば IrDAモジュール、Bluetooth(登録商標)(等)、蓄電池44aの電力量を検出する検流計58、データ信号を変換するトランスミッタ、モータ42やLED等を制御する各種ドライバ、Memory Control Unit(MCU)等を備えた基板(以上
図13参照)を備えている。
【0050】
給電装置80は、
図12に示すように、主として、給電モジュール81(
図13参照)とこれらを収容する給電側筐体89と、を備えている。給電モジュール81は、
図13に示すように、電磁誘導方式等の非接触電力伝送の一次側モジュールであり、受電モジュール50に電力を供給する給電回路85と、受電側フォトセンサ53に位置情報を光で報知するための給電側LED83と、移動体20の受電側LED55からの光を検知する給電側フォトセンサ84、受電側データ通信用モジュール52とデータ通信を行なう給電側データ通信用モジュール82、データ信号を変換するトランスミッタ、モータドライバ及びこれらを制御するMemory Control Unit(MCU)等を備えた基板(図示しない。)を備えている。給電側フォトセンサ84、給電側LED83及び給電側データ通信用モジュール82は、それぞれ受電側LED55、受電側フォトセンサ53及び受電側データ通信用モジュール52と対向して配置した場合に、それぞれが対応する位置となるように配置されている。さらに、給電装置80は、
図8又は9に示すように、左右両側のレール10の上下の始端(下端)から後端(上端)にそれぞれに1つずつ、合計4つ設けられている。
【0051】
移動体20が給電装置80に配置された際には、受電側LED55、受電側フォトセンサ53及び受電側データ通信用モジュール52と対向するように配置される。各フォトセンサとLEDとの間及びデータ通信用モジュールとの間は、1.5mm〜2.0mm程度となるように設けることが好ましい。
【0052】
次に、遊技機200及び移動ユニット100の制御部の構成について説明する。主制御基板270は、
図13に示すように、CPU271を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、遊技の入賞を行う遊技プログラム等の各種プログラムを記憶したROM272と、一時的にデータを記憶するRAM273と、がそれぞれ電気的に接続された状態で配設されている。この主制御基板270は、各種スイッチや後述する演出用制御基板290等の各種基板と電気的に接続されており、各種信号の送受信を行っている。図示しない遊技球が始動入賞口254に入賞すると、始動入賞口254に設けられた入賞球スイッチ246から入賞信号がCPU271に入力され、ROM272に予め記憶されている遊技プログラムに従い抽選が行われる。この抽選により所定の確率で大当たりが招来されると、図柄変動表示装置252、スピーカ236及び後述する演出用制御基板290に各種演出を出力する出力信号を出力するとともに、球払出制御基板248を介して球払出装置240に球払出信号を出力し、球払出装置240より賞球が払出される。
【0053】
演出用制御基板290は、CPU291を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、遊技機200の演出を行う演出プログラム等の各種プログラムを記憶したROM292と、一時的にデータを記憶するRAM293と、がそれぞれ電気的に接続された状態で配設される。この演出用制御基板290は、主制御基板270等の各種基板や、図柄変動表示装置252、スピーカ296、受電モジュール50及び給電モジュール81等と電気的に接続されており、各種信号の送受信を行っている。この演出用制御基板290は、主制御基板270からの信号に従い、図柄変動表示装置252、スピーカ296、移動体20等を制御して、種々の演出を実行する。
【0054】
さらに、演出用制御基板290は、移動体20に設けられた各種演出を実行するためのプログラム等を記憶したROM292と、一時的にデータを記憶するRAM293と、がそれぞれ電気的に接続された状態で配設される。この演出用制御基板290は、蓄電池44aの充電状況を検知するための検流計58と、モータ42や、円盤型基板75を回転させるための円盤型基板用モータ76、装飾用LED71等と電気的に接続されており、受電側データ通信用モジュール52、給電側データ通信用モジュール82を介して受信した演出用制御基板290からの信号に従い、移動体20を移動させたり、装飾用LED16、71による種々の演出を実行したりする。
【0055】
給電装置制御基板90は、CPU86を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、起動準備処理ルーチンや監視処理ルーチン、給電モジュール動作処理ルーチン等の移動体20に給電するための各種プログラム等を記憶したROM88と、一時的にデータを記憶するRAM87と、がそれぞれ電気的に接続された状態で配設される。この給電装置制御基板90は、給電回路85等と電気的に接続されており、フォトセンサによって移動体が給電モジュールに位置した場合を検知して、給電回路85を用いて移動体20に給電する。
【0056】
ここで、移動体20の動作パターンの一例について説明する。移動体20の動作パターンとしては、例えば、円盤型基板75を回転させたり、装飾用LED16、71を点滅させたりしながら、給電装置80から離れる方向に所定距離移動した後に、再び給電装置80の方向に戻る動きを繰り返す。こうすることにより、移動体20が小刻みに動くことになり、今後の演出の期待感を持たせることができる。また、例えば、円盤型基板75を回転させたり、装飾用LED16,71を点滅させたりしながら、給電装置80から離れる方向に移動と停止を繰り返し、所定距離だけ離れた後に、再び給電装置80の方向に戻るように動いても良い。こうすれば、受電モジュール50が段階的に動くことになるため、期待感を段階的に膨らませることができる。さらに、例えば、給電装置80から所定距離だけ離れる方向に移動した後、小刻みに給電装置80に近づいたり離れたりする動きを繰り返し、その後、他方側の給電装置80まで移動するように動いても良い。このように、途中で小刻みに給電装置80に近づいたり離れたりする動きを繰り返すことで、一直線に移動する場合と比較して、移動中の期待感を膨らませることができる。さらにまた、例えば、移動体20を給電装置80から遠ざかる方向に一定距離だけ動かした後、一度停止し、段階的に停止又は移動を繰り返して他方側の給電装置80まで移動するように動いても良い。このように段階的に停止又は移動を繰り返すことで、期待感を段階的に膨らませることができる。
【符号の説明】
【0058】
10…レール、10a…他方側面、10b…一方側面、11…噛合歯、
12…歯部材、10…レール、10a…他方側面、10b…一方側面、
10d…上平面、10f…領域、10g…領域、10h…領域、
11…噛合歯、12…歯部材、13…枠部材、14…底面、
16…装飾用LED、17…延出部、20…移動体、30…取付部材、
31…第1取付部材、31a…モータ取付部、32…第2取付部材、
32a…第2支持ローラ、32b…第2底面支持ローラ、
32c…蓄電池取付部、33…底面等支持部材、
33a…第1底面支持ローラ、33b…第1支持ローラ、
33d…ガイド部材、33e…ビス、35…位置矯正部材、
36…軸、40…移動手段、41…ピニオンギヤ、41a…円筒部、
42…モータ、43…中間ギヤ、44…電池、44a…蓄電池、
50…受電モジュール、52…受電側データ通信用モジュール、
53…受電側フォトセンサ、55…受電側LED、58…検流計、
70…筐体、70a…筐体、71…装飾用LED、75…円盤型基板、
76…円盤型基板用モータ、78…回転軸、79…円形ギヤ、
80…給電装置、81…給電モジュール、
82…給電側データ通信用モジュール、83…給電側LED、
84…給電側フォトセンサ、85…給電回路、86…CPU、
87…RAM、88…ROM、89…給電側筐体、
90…給電装置制御基板、100…移動ユニット、200…遊技機、
222…外枠、230…本体枠、232…発射ハンドル、
234…球受皿、236…スピーカ、238…球タンク、
240…球払出装置、246…入賞球スイッチ、
248…球払出制御基板、250…遊技盤、251…遊技領域、
254…始動入賞口、256…入賞口、257…ガラス面、
258…大入賞口、259…透明部材、260…前面枠、
270…主制御基板、271…CPU、272…ROM、
273…RAM、290…演出用制御基板、291…CPU、
292…ROM、293…RAM、296…スピーカ