【実施例】
【0032】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【0033】
<共重合体(A−1)の製造例>
マレイン酸無水物が20質量%濃度となるようにメチルイソブチルケトンに溶解させた20%マレイン酸無水物溶液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが2質量%となるようにメチルイソブチルケトンに希釈した2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液とを事前に調製し、重合に使用した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kg、t−ドデシルメルカプタン40gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.1kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.1kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−1)を得た。得られた共重合体(A−1)をC−13NMR法により組成分析を行った。さらに重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表1に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、91.8%であった。
【0034】
<共重合体(A−2)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液3.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート8.4kg、t−ドデシルメルカプタン32gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.85kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.85kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で34.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−2)を得た。得られた共重合体(A−2)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表1に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、90.2%であった。
【0035】
<共重合体(A−3)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート12kg、t−ドデシルメルカプタン40g、メチルイソブチルケトン5kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を1.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま1.5kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で18kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−3)を得た。得られた共重合体(A−3)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表1に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、90.8%であった。
【0036】
<共重合体(A−4)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液5kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート6kg、t−ドデシルメルカプタン50gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を3.75kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま3.75kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で45kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−4)を得た。得られた共重合体(A−4)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表1に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、90.0%であった。
【0037】
<共重合体(A−5)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン13.8kg、メチルメタクレリレート16kg、t−ドデシルメルカプタン48gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.8kg/時、スチレン0.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に6時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを20g添加した。20%マレイン酸無水物溶液およびスチレンは、各々そのまま2.8kg/時、0.5kg/時の分添速度を維持しながら、10℃/時の昇温速度で3時間かけて118℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は積算で25.2kgになった時点で、スチレンの分添は積算で4.5kgになった時点で、各々の分添を停止した。昇温後、1時間118℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−5)を得た。得られた共重合体(A−5)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表1に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、89.5%であった。
【0038】
<共重合体(A−6)の製造例>
25%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート溶液は(A−1)と同様に調整した。攪拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、25%マレイン酸無水物溶液1.68kg、スチレン14.8kg、メチルメタクリレート1kg、t−ドデシルメルカプタン10gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら40分かけて97℃まで昇温した。昇温後97℃を保持しながら、25%マレイン酸無水溶液と、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液とを各々連続的に分添開始した。25%マレイン酸無水物溶液は、分添開始6時間目までが1.61kg/時、6時間目から9時間目までが0.91kg/時、9時間目から12時間目までが0.66kg/時、12時間目から15時間目までが0.25kg/時の分添速度となるように段階的に分添速度を変え、合計で15.12kg添加した。2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート溶液は、分添開始から9時間目までが0.13kg/時、9時間目から15時間目までが0.3kg/時の分添速度となるように段階的に分添速度を変え、合計で2.97kg添加した。重合温度は、分添開始から9時間目までは97℃を保持し、その後3.5℃/時の昇温速度で6時間かけて118℃まで昇温し、さらに118℃を1時間保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−6)を得た。得られた共重合体(A−6)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表1に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、89.5%であった。
【0039】
<共重合体(B−1)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を1.68kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を200g/時の分添速度で各々連続的に10時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを20g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま1.68kg/時の分添速度を維持しながら、6.4℃/時の昇温速度で5時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−1)を得た。得られた共重合体(B−1)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表2に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、90.3%であった。
【0040】
<共重合体(B−2)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kg、t−ドデシルメルカプタン300gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.1kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.1kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−2)を得た。得られた共重合体(B−2)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表2に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、91.5%であった。
【0041】
<共重合体(B−3)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液8kg、スチレン0.8kg、メチルメタクレリレート17.6kg、t−ドデシルメルカプタン30gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を250g/時の分添速度で各々連続的に6時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを10g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.5kg/時の分添速度を維持しながら、16℃/時の昇温速度で2時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で20kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−3)を得た。得られた共重合体(B−3)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表2に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、88.8%であった。
【0042】
<共重合体(B−4)の製造例>
マレイン酸無水物が10質量%濃度となるようにメチルイソブチルケトンに溶解させた10%マレイン酸無水物溶液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが2質量%となるようにメチルイソブチルケトンに希釈した2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液とを事前に調製し、重合に使用した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、10%マレイン酸無水物溶液2kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート14kg、t−ドデシルメルカプタン48g、メチルイソブチルケトン2kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて90℃まで昇温した。昇温後90℃を保持しながら、10%マレイン酸無水物溶液を1.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。10%マレイン酸無水物溶液はそのまま1.5kg/時の分添速度を維持しながら、7.5℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。10%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で18kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−4)を得た。得られた共重合体(B−4)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表2に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、90.1%であった。
【0043】
<共重合体(B−5)の製造例>
25%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、25%マレイン酸無水物溶液4.9kg、スチレン29kg、メチルメタクレリレート4.3kg、t−ドデシルメルカプタン30gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて92℃まで昇温した。昇温後92℃を保持しながら、25%マレイン酸無水物溶液を4.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を250g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。25%マレイン酸無水物溶液はそのまま3.75kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。25%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で44kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−5)を得た。得られた共重合体(B−5)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表2に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、88.6%であった。
【0044】
<共重合体(B−6)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液1.2kg、スチレン35.2kg、t−ドデシルメルカプタン30g、メチルイソブチルケトン2kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて92℃まで昇温した。昇温後92℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を0.76kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を250g/時の分添速度で各々連続的に15時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを60g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま0.76kg/時の分添速度を維持しながら、4℃/時の昇温速度で9時間かけて128℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で18.24kgになった時点で停止した。昇温後、1時間128℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−6)を得た。得られた共重合体(B−6)について、A−1と同様に組成分析と重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、ビカット軟化温度の測定を行った。組成分析結果及び各種測定結果を表2に示す。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した結果、88.0%であった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
<実施例1〜10、比較例1〜7>
塩化ビニル樹脂97質量%、滑剤1質量%、安定剤2質量%を、単軸押出機(東芝機械社製SE−65CA)にて、シリンダー温度190℃で溶融混練して塩化ビニル樹脂(C−1)を作製した。共重合体(A−1)〜(A−6)または共重合体(B−1)〜(B−6)と塩化ビニル樹脂(C−1)を表3〜表4で示した割合(質量%)で混合した後、単軸押出機にて、シリンダー温度190℃で溶融混練して樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物より射出成形にて試験片を調製した他、斜軸異方向二軸押出機(東芝機械社製TEC67)にて、シリンダー温度190℃で溶融混練し、金型温度180℃で押出成形を行い、丸パイプ(外径60mm、肉厚1.2mm)を作製した。この丸パイプをプラスチックパイプカッター(KTS社製EA338BF)を用いて、長さ500mmにカットすることで塩化ビニル配管とした。この樹脂組成物を用いて以下の評価を行い、その評価結果を表3〜表4に示した。なお、塩化ビニル樹脂は、大洋塩ビ社製「TH−1000」、滑剤は日油社製ステアリン酸さくら、安定剤は日東化成社製「TVS#8832」を用いた。
【0048】
<比較例8>
塩素化塩化ビニル樹脂として、カネカ社製「H516A」を使用した。
【0049】
(組成分析)
各単量体単位の組成分析は、C−13NMR法にて下記記載の測定条件で測定した。
装置名:JNM−ECXシリーズFT−NMR(JEOL社製)
溶媒:重水素化クロロホルム
濃度:14質量%
温度:27℃
積算回数:8000回
【0050】
(重量平均分子量)
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、下記記載の条件にて測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製した。
【0051】
(メルトマスフローレイト)
メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS K7210:1999に基づき、220℃、98N荷重にて測定した。測定機は東洋精機製作所社製メルトインデックサF−F01を使用した。
【0052】
(ビカット軟化点)
ビカット軟化点は、JIS K7206:1999に基づき、50法(荷重50N、昇温速度50℃/時間)で試験片は10mm×10mm、厚さ4mmのものを用いて測定した。なお、測定機は東洋精機製作所社製HDT&VSPT試験装置を使用した。
【0053】
(加熱変形率)
縦30mm、横200mm、厚み2mmの試験片を作製し、温風乾燥機(yamato社製DN−43H)を用いて、温度60℃で60分間加熱した。また、外径60mm、肉厚1.2mm、長さ500mmの塩化ビニル配管をギヤーオーブン(東洋精機社製60UL)内に入れ、温度55℃で3時間加熱した。加熱変形率は、前者の場合は加熱前後の横方向の長さから、後者の場合は加熱前後の長さ(押出方向の長さ)から、以下の式を用いて絶対値として算出した。加熱変形率2.0%以下を合格とした。
加熱変形率(%)= (|加熱後の長さ−加熱前の長さ|)/加熱前の長さ×100%
【0054】
(外観)
縦90mm、横90mm、厚み2mmの試験片50個を目視にて観察し、着色、気泡、焼けコンタミ、ブツなどの外観不良が発生したサンプル数を数えることによって、外観評価を行った。また外径60mm、肉厚1.2mm、長さ500mmの塩化ビニル配管30個について目視にて観察し、同様の外観評価を行った。評価基準は以下の通りで、◎と○を合格とした。
◎:外観不良のサンプル数が0〜1個
○:外観不良のサンプル数が2〜5個
△:外観不良のサンプル数が6〜10個
×:外観不良のサンプル数が11個以上
【0055】
(熱安定性)
外径60mm、肉厚1.2mm、長さ500mmの塩化ビニル配管をギヤーオーブン(東洋精機社製60UL)内に入れ、温度200℃で加熱し塩化ビニル配管が黒色になるまでの時間を測定した。60分以上黒色にならなかったものを合格とした。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
本発明の共重合体(A−1)〜(A−6)を用いた実施例は、いずれも加熱変形率が低く、且つ優れた外観を備えることが出来ていた。一方、本発明の条件に合わない共重合体(B−1)〜(B−6)を用いた比較例や塩素化塩化ビニル樹脂では、加熱変形率が高くなる場合や外観不良が発生するなど、実施例に比べて劣るものであった。