特許第6475561号(P6475561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475561
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】土砂等の落下物回収装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/12 20060101AFI20190218BHJP
   E02F 7/00 20060101ALI20190218BHJP
   B65G 19/14 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   E21D9/12 H
   E02F7/00 L
   B65G19/14 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-94475(P2015-94475)
(22)【出願日】2015年5月2日
(65)【公開番号】特開2016-211198(P2016-211198A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】592099215
【氏名又は名称】株式会社冨士機
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 以和彦
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−110069(JP,A)
【文献】 実開平07−029097(JP,U)
【文献】 特開平05−229632(JP,A)
【文献】 特開2010−190008(JP,A)
【文献】 実開平06−020599(JP,U)
【文献】 特開平10−110594(JP,A)
【文献】 特開昭52−059926(JP,A)
【文献】 米国特許第06533944(US,B1)
【文献】 米国特許第05020858(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00− 9/14
B65G 19/00−19/30
E02F 7/00
E02F 7/04
E21F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の固定板と、該固定板の周囲に該固定板に対して回転可能に設けられたリング状回転ケーシングと、上記リング状回転ケーシングを回転駆動する駆動手段とを有し、
上記リング状回転ケーシングの内部は複数の隔壁板によって複数の収納空間に仕切られており、
上記固定板には土砂等の落下物の投入用開口部と、該投入用開口部から上記収納空間に投入された土砂等の落下物を排出するための排出用開口部とが形成されており、
主コンベアから落下した土砂等の落下物を上記投入用開口部まで搬送する移送手段を具備し、
上記投入用開口部から上記収納空間内に投入された土砂等の落下物を、上記リング状回転ケーシングの回転により上記排出用開口部まで搬送し、
上記土砂等の落下物を上記排出用開口部から排出して上記主コンベア上に戻すように構成したものであり、
上記リング状回転ケーシングの内側縁と上記固定板との間に間隙を設け、上記間隙に連通すると共に上記収納空間とは異なるリング状空間を上記収納空間に隣接して設けたものである土砂等の落下物回収装置。
【請求項2】
上記リング状回転ケーシングは断面が「コ」字状であり、上記隔壁板の内側に弾性板を有し、
該弾性板が上記リング状固定板の外周面に接しているものである請求項1記載の土砂等の落下物回収装置。
【請求項3】
上記リング状の固定板の内部に上記主コンベアが配置され、上記主コンベアから落下した土砂等の落下物を上記投入用開口部にて回収し、当該土砂等の落下物を上記排出用開口部から上記主コンベアに戻すものである請求項1又は2に記載の土砂等の落下物回収装置。
【請求項4】
上記リング状の固定板と上記リング状回転ケーシングは、上記主コンベアに対して直交又は斜交して配置されている請求項3記載の土砂等の落下物回収装置。
【請求項5】
リング状の固定板と、該固定板の周囲に該固定板に対して回転可能に設けられたリング状回転ケーシングと、上記リング状回転ケーシングを回転駆動する駆動手段とを有し、
上記リング状回転ケーシングの内部は複数の隔壁板によって複数の収納空間に仕切られており、
上記固定板には土砂等の落下物の投入用開口部と、該投入用開口部から上記収納空間に投入された土砂等の落下物を排出するための排出用開口部とが形成されており、
主コンベアから落下した土砂等の落下物を上記投入用開口部まで搬送する移送手段を具備し、
上記投入用開口部から上記収納空間内に投入された土砂等の落下物を、上記リング状回転ケーシングの回転により上記排出用開口部まで搬送し、
上記土砂等の落下物を上記排出用開口部から排出して上記主コンベア上に戻すように構成したものであり、
上記主コンベアに隣接して上記リング状の固定板と上記リング状回転ケーシングを配置することで、上記主コンベアを上記リング状回転ケーシングのリングの外部に設置し、上記主コンベア下方に落下する土砂等の落下物を上記移送手段により上記投入用開口部に移送するように構成し、
上記排出用開口部から排出される土砂等の落下物を移送手段により上記主コンベアに戻すように構成したものである土砂等の落下物回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシールド掘削等において発生する土砂を土砂搬出コンベアによって地上まで搬出する過程において、土砂搬出コンベアから落下した土砂を回収して土砂搬出コンベアに戻すための土砂等の落下物回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、立坑を掘削した後、さらに地下からシールド掘削機を用いて横穴を掘削する際、発生する土砂は、地上から立坑を介して地下まで土砂搬出コンベアを設置し、シールド掘削機からスクリューコンベア等によって搬送された土砂を上記土砂搬出コンベアによって地上まで持ち上げて搬出することが行われている。
【0003】
上記土砂搬出コンベアは、立坑の底面に配置され、シールド掘削機からの土砂を受ける横向コンベア部と、当該横向コンベア部から立坑に沿って地上まで垂直に配置された垂直コンベア部と、地上において横向きに配置された横向コンベア部とから構成されており、これらの土砂搬送コンベアの全体を被覆するケーシングが設けられている。
【0004】
上記土砂搬送コンベアのコンベアベルトは一定間隔毎に土砂を持ち上げるための桟が設けられており、上記横向コンベア部にて上部から落下供給される土砂を、桟にて上方に持ち上げる構成である(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−268593号公報
【特許文献2】特開平8−2638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の土砂搬送コンベアでは、横向コンベア部において、上方から土砂が落下供給されて搬送する際、コンベアベルトの両側から土砂がコンベア下方にこぼれ落ちるため、定期的に人力で溜まった土砂を搬送コンベア上に戻す作業を必要としており、この作業が非効率的であり、掘削作業の無人化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、例えば立坑底面において、土砂搬出用のコンベアの横向コンベア部において、コンベアベルトから落下した土砂を回収して、自動的にコンベアに戻すことのできる土砂等の落下物回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、
リング状の固定板と、該固定板の周囲に該固定板に対して回転可能に設けられたリング状回転ケーシングと、上記リング状回転ケーシングを回転駆動する駆動手段とを有し、上記リング状回転ケーシングの内部は複数の隔壁板によって複数の収納空間に仕切られており、上記固定板には土砂等の落下物の投入用開口部と、該投入用開口部から上記収納空間に投入された土砂等の落下物を排出するための排出用開口部とが形成されており、主コンベアから落下した土砂等の落下物を上記投入用開口部まで搬送する移送手段を具備し、上記投入用開口部から上記収納空間内に投入された土砂等の落下物を、上記リング状回転ケーシングの回転により上記排出用開口部まで搬送し、上記土砂等の落下物を上記排出用開口部から排出して上記主コンベア上に戻すように構成したものであり、上記リング状回転ケーシングの内側縁と上記固定板との間に間隙を設け、上記間隙に連通すると共に上記収納空間とは異なるリング状空間を上記収納空間に隣接して設けたものである土砂等の落下物回収装置により構成される。
【0009】
上記駆動手段は駆動モータ(M2,M3)、駆動ローラ(28,29)等により構成することができる。上記移送手段は例えば土砂移送コンベア(14)により構成することができる。上記主コンベアは土砂搬送コンベア(1)により構成することができる。従って、主コンベアから落下した土砂等の落下物を移送手段にてリング状回転ケーシング内に投入し、該回転ケーシングの回転により当該土砂等の落下物を排出用開口部から主コンベアに戻すことができる。よって、主コンベアから落下する土砂等の回収を略無人化することができ、掘削工事に伴う土砂等の排出作業の効率を著しく向上することができる。上記リング状空間は、リング状ポケット(40,42)等により構成することができる。上記間隙は小間隙(N)により構成することができる。このように構成すると、水分の多い土砂はリング状空間に分離して搬送することができ、水分の多い土砂であっても効率的に回収が可能となる。
【0010】
第2に、上記リング状回転ケーシングは断面が「コ」字状であり、上記隔壁板の内側に弾性板を有し、該弾性板が上記リング状固定板の外周面に接しているものである上記第1記載の土砂等の落下物回収装置により構成される。
【0011】
上記弾性板はゴム板(36)により構成することができる。
【0014】
に、上記リング状の固定板の内部に上記主コンベアが配置され、上記主コンベアから落下した土砂等の落下物を上記投入用開口部にて回収し、当該土砂等の落下物を上記排出用開口部から上記主コンベアに戻すものである上記第1又は2に記載の土砂等の落下物回収装置により構成される。
【0015】
に、 上記リング状の固定板と上記リング状回転ケーシングは、上記主コンベアに対して直交又は斜交して配置されている上記第記載の土砂等の落下物回収装置により構成される。
【0016】
に、リング状の固定板と、該固定板の周囲に該固定板に対して回転可能に設けられたリング状回転ケーシングと、上記リング状回転ケーシングを回転駆動する駆動手段とを有し、上記リング状回転ケーシングの内部は複数の隔壁板によって複数の収納空間に仕切られており、上記固定板には土砂等の落下物の投入用開口部と、該投入用開口部から上記収納空間に投入された土砂等の落下物を排出するための排出用開口部とが形成されており、主コンベアから落下した土砂等の落下物を上記投入用開口部まで搬送する移送手段を具備し、上記投入用開口部から上記収納空間内に投入された土砂等の落下物を、上記リング状回転ケーシングの回転により上記排出用開口部まで搬送し、上記土砂等の落下物を上記排出用開口部から排出して上記主コンベア上に戻すように構成したものであり、上記主コンベアに隣接して上記リング状の固定板と上記リング状回転ケーシングを配置することで上記主コンベアを上記リング状回転ケーシングのリングの外部に設置し、上記主コンベア下方に落下する土砂等の落下物を上記移送手段により上記投入用開口部に移送するように構成し、上記排出用開口部から排出される土砂等の落下物を移送手段により上記主コンベアに戻すように構成したものである土砂等の落下物回収装置により構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、主コンベアから落下した土砂等の落下物を搬送手段にてリング状回転ケーシング内に投入し、該回転ケーシングの回転により当該土砂等の落下物を排出用開口から主コンベアに戻すことができる。よって、主コンベアから落下する土砂等の回収を略無人化することができ、掘削工事に伴う土砂等の排出作業の効率を著しく向上することができる。
【0018】
また、水分の多い土砂はリング状空間に分離して搬送することができ、水分の多い土砂であっても効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る土砂等の落下物回収装置を土砂搬送コンベアに適用した場合の同上回収装置の側面図である。
図2】同上装置の正面図である。
図3】同上装置の拡大正面図である。
図4】同上装置の拡大側面図である。
図5】(a)は図3におけるロータリーエレベータのX−X線断面図、(b)は図3におけるロータリーエレベータのY−Y線断面図である。
図6】(a)は図1の土砂等の落下物回収装置の概略図、(b)は同上装置の他の実施形態であり、平行型を示す同上装置の概略図、(c)は同上装置の他の実施形態であり、斜交型を示す同上装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る土砂等の落下物回収装置について詳細に説明する。
【0021】
図1は、立坑の底面に設置された土砂搬送コンベア1であり、本実施形態においては、図示しない地上面から垂直方向に底面Gまで立坑が掘削され、該底面Gから横方向(図1中左方向)にシールド掘削機(図示せず)により横穴を掘削していく場合において、該掘削機から排出される掘削土砂を、当該土砂搬送コンベア1にて地上まで搬送する場合を説明する。
【0022】
上記シールド掘削機から排出される土砂は、シールド掘削機の先端部より水平方向搬送コンベア2により矢印A方向に搬送され、該搬送コンベア2の後端部より下方に落下し、ホッパー3を介して下方(矢印B方向)に落下して、土砂搬送コンベア(主コンベア)1のコンベアベルト9上に供給される。
【0023】
上記土砂搬送コンベア1のケーシング1’は、上記立坑に沿って地上から垂直方向に設置された垂直ケーシング1aと、該垂直ケーシング1aから横穴に沿って横方向に沿って設置されたテールケーシング1bとから構成されており、上記垂直ケーシング1aは上記立坑底面Gに立設された機枠4,4により支持され、上記テールケーシング1bは上記立坑底面Gに立設された機枠5,5により支持されている。
【0024】
上記テールケーシング1bの上記ホッパー3の下方位置、即ち該テールケーシング1bの上面は、上記コンベア2からの土砂を受け入れるために開口部11が形成されている。この開口部11は後述のリング状回転ケーシング17の排出用開口部34の下方位置まで開口が形成されており、上記排出用開口部34から下方に落下する土砂等が上記コンベアベルト9上に落下供給し得るように構成されている。
【0025】
上記土砂搬送コンベア1の上記ケーシング1’内には、地上面に設けられた図示しない駆動プーリと、上記垂直ケーシング1aと上記テールケーシング1bとの接続部に設けられた変角プーリ6,7、及びテールケーシング1b先端部に設けられたプーリ8間に無端のコンベアベルト9が張設されており、上記駆動プーリの回転駆動によって上記コンベアベルト9は上記ケーシング1’内を矢印C方向に駆動される。
【0026】
このコンベアベルト9は、その上面の全域に一定間隔毎に、先端部が進行方向に屈曲した複数の横桟10が設けられている。この横桟10は上記コンベアベルト9の横幅の全域に設けられており、上記ホッパー3の下方を通過する際に、該ホッパー3から土砂が連続的に落下供給され、当該コンベアベルト9上面と上記横桟10により構成される収納部12に順次土砂が落下供給され、当該収納部12に収納した土砂を矢印C方向に搬送するものである。
【0027】
当該土砂搬送コンベア1の上記収納部12に収納された土砂は、上記テールケーシング1bに沿って立坑方向に搬送され、上記変角プーリ6を介して垂直ケーシング1aに沿って垂直方向に上昇して上記横桟10によって垂直上方に搬送され、地上の端部の駆動プーリにて反転することにより、地上の別の図示しない搬送コンベア上又は土砂集積ピットに落下供給される。上記土砂を排出したコンベアベルト9は垂直ケーシシング1内を再び立坑を矢印C方向に下降し、変角プーリ7を介してテールケーシング1bを矢印C方向に進行し、再び上記ホッパー3下方を通過することにより、連続的に上記ホッパー3から供給される土砂を地上まで搬送するものである。
【0028】
上記テールケーシング1bの下方には先端部壁面1b’と後端部壁面1b”が設けられており、上記両壁面1b’,1b”間は開口部13が設けられている。この開口部13は、上記テールケーシング1bに沿う上記コンベアベルト9の略全域に対応する範囲及び立抗部分に至るように設けられており、上記コンベアベルト9から下方に落下する土砂等は上記開口部13下方の落下土砂移送コンベア14上に落下する。
【0029】
この落下土砂移送コンベア(移送手段)14は、所謂バーコンベアであり、上記開口部13下側の全域に亘って水平に設置されている。この落下土砂移送コンベア14の前端部には駆動スプロケット15が設けられており、後端部には従動スプロケット16が設けられており、当該コンベア14は上記両スプロケット15,16間に掛け渡され、駆動モータM1による上記駆動スプロケット15の駆動により矢印D方向に回転駆動し得るように構成されている。
【0030】
この落下土砂移送コンベア14は、上記テールケーシング1b内を回動する上記コンベア9から下方に落下してくる土砂の内、バーコンベアを構成するバー間に留まる土砂を矢印D方向に搬送して、当該コンベア14の前端部から次段のロータリーエレベータ17内に落下土砂を供給するものである。
【0031】
尚、上記落下してくる土砂中の流動物は上記コンベア14のバー間を通過して底面Gに落下する。
【0032】
上記落下土砂移送コンベア14の前端部には、該コンベア14に対して直角方向にロータリーエレベータ17が設置されている。
【0033】
このロータリーエレベータ17は、図2に示すように、断面が長方形(図5参照)のリング状の構造物であり、内部は土砂等の落下物を運ぶための複数の収納空間Sが形成されている。このロータリーエレベータ17は、図2に示すように、内側のリング状の固定板18が、底面G上に立設された左右の垂直機枠19a,19bに固定されており、この固定板18の周りに、同心に設けられた断面「コ」字状のリング状回転ケーシング20が上記固定板18に対して矢印E方向に回転可能に支持されている。
【0034】
上記機枠19a,19bは左右方向に一定間隔離間して設けられており、上記機枠19a,19b間には上記テールケーシング1bの先端部の一部が挿入されている(図1参照)。従って、上記機枠19a,19b間には、上記テールケーシング1b前端の上記プーリー8が位置すると共に、当該機枠19a,19b間を上記コンベア9が走行するように構成されている。
【0035】
さらに、図2に示すように、上記底面G上に、垂直機枠21a,21bと、これら垂直機枠21a,21bの上端を左右方向に連結する水平機枠21cからなる門型機枠21が立設され、これと同じ形状の垂直機枠22a,22b及び水平機枠22cからなる門型機枠22が、上記ロータリーエレベータ17の前後方向幅Tより若干大の前後方向間隔を以って、上記ロータリーエレベータ17の前方側と後方側に設置されている(図1参照)。
【0036】
そして、この前方側の門型機枠21の下側左右2か所及び上側左右2か所に、ローラ23,24,25,26が軸支されており、これらのローラ23〜26が各々上記ロータリーエレベータ17の上記リング状回転ケーシング20の前方側外周面を回転可能に支持している。また、後方側の門型機枠22の下側左右2か所及び上側左右2か所にも、ローラ23’,24’,25’,26’が軸支されており、これらのローラ23’〜26’が各々上記ロータリーエレベータ17の上記リング状回転ケーシング20の後方側外周面を回転可能に支持している。
【0037】
さらに図3に示すように、上記機枠21a,21b間に水平方向の機枠27を設け、当該機枠27上に駆動ローラ28,29を回転可能に軸支し、当該駆動ローラ28,29のローラ面を上記リング状回転ケーシング20の左右下部に接触させる。さらに上記水平機枠27の下方位置に同じく、水平機枠30を上記機枠21a,21b間に設け、当該機枠30上に一対の駆動モータM2,M3を設け、各モータM2,M3の出力軸と上記各駆動ローラ28,29の駆動軸との間に駆動ベルト30,31を張設し、上記両駆動モータM2,M3を駆動することで、上記固定板18の周りを上記リング状回転ケーシング20が矢印E方向に回転し得るように構成する。
【0038】
上記リング状回転ケーシング20は、図5(a)(b)にその断面を示すように、前後のリング状円盤20a,20bと、そのリング状円盤20a,20bの外周を接続する短円筒20cを一体化したリング状の構造体であり、内部には一定間隔毎に隔壁板32が固定されており、その結果、上記リング状カバー20内部には、前後を上記隔壁板32,32により囲まれた土砂等の落下物の収納空間Sが複数個形成されている。
【0039】
さらに、上記土砂移送コンベア14の先端部の下方に対応する上記ロータリーエレベータ17の上記固定板18の上面位置、即ち、上記ロータリーエレベータ17の固定板18の最下端位置(又は下方位置)には、上記コンベア14にて運ばれてきた土砂等の落下物をリング状回転ケーシング20内に受け入れるための投入用開口部33が開口形成されている。
【0040】
また、上記ロータリーエレベータ17の上記固定板18上端位置(又は上方位置)には、排出用開口部34が形成されており、当該開口部34の下方位置にホッパー35が設けられ、上記ロータリーエレベータ17にて上方に持ち上げた土砂を上記コンベア9に戻すことができるように構成されている(図1図2参照)。
【0041】
このように本発明に係るロータリーエレベータ17は、そのリング状回転ケーシング20のリングの内部(リング状の固定板18の内部)に上記土砂搬送コンベア(主コンベア)のテールケーシング1bのコンベア9(主コンベア)が挿入配置され、コンベア9の下方に上記投入用開口部3が位置し、上記コンベア9の上方に上記排出用開口部34が位置している。即ち、コンベア9の進行方向とリング状回転ケーシング20が直交しており、上記コンベア9の下方に位置する上記土砂移送コンベア14の先端部の下方に、上記投入用開口部33が位置し、上記排出用開口部34の下方に上記コンベア9(主コンベア)が位置するように構成されている。

【0042】
上記固定板18と上記リング状回転ケーシング20の上記隔壁板32は図5に示すように構成されている。上記隔壁板32は上記リング状回転ケーシング20を構成するリング状円盤20a,20b及び短円筒20cに溶接されており、固定板18側に一辺にゴム板(弾性体)36が固定されており、上記ゴム板36の内周側36aが上記固定板18に接触しており、これにより上記隔壁板32,32間に土砂等の落下物の収納空間Sが形成されている。
【0043】
また、上記固定板18の前後両端部には、前方側のリング状固定円盤37及び後方側のリング状固定円盤38が設けられており、上記前方のリング状固定円盤37と上記前方側リング状円盤20aとの間には、ゴム製の短円筒39の前端部が固定されており、該ゴム製の短円筒39の後端部39aは上記リング状円盤20aに接触している。これにより、固定板18の前方側に、リング状ポケット(リング状空間)40が形成されている。
【0044】
このリング状ポケット40と上記収納空間Sは上記リング状円盤20aの内縁と上記固定板18との間の小間隙Nによって連通しており、収納空間S内に収納された水分の多い土砂は上記小間隙Nを介して上記リング状ポケット40に流出するように構成されている。
【0045】
また、上記前後のリング状固定円盤38と上記後方側リング状円盤20bとの間には、ゴム製の短円筒41の後端部が固定されており、該ゴム製の短円筒41の前端部41aは上記リング状円盤20bに接触している。これにより、固定板18の後方側に、リング状ポケット(リング状空間)42が形成されている。
【0046】
このリング状ポケット42と上記収納空間Sは上記リング状円盤20bの内縁と上記固定板18との間の小間隙Nによって連通しており、収納空間S内に収納された水分の多い土砂は上記小間隙Nを介して上記リング状ポケット42にも流出するように構成されている。
【0047】
本発明に係る落下物回収装置は上述のように構成されるので、次のその動作を説明する。
【0048】
まず、シールド掘削機によって横穴が掘られている状態で、水平方向搬送コンベア2が駆動され、かつケーシング1’内のコンベア9も矢印C方向に駆動されており、さらに駆動モータM1によって落下土砂移送コンベア14も矢印D方向に駆動されているとする。また、駆動モータM2,M3を駆動することにより、ロータリーエレベータ17も矢印E方向に回転駆動を行っているものとする。
【0049】
シールド掘進機から排出される土砂は、水平方向搬送コンベア2により搬送され、ホッパー3よりテールケーシング1b内に開口部11を介して落下供給される。
【0050】
テールケーシング1b内に供給された土砂は、該ケーシング1b内を走行するコンベア9の収納部12に供給され、当該コンベア9の矢印C方向の走行により、立坑を垂直上方に搬送され、地上において別の搬送コンベア又は集積ピット内に搬入され、コンベア9はかかる動作をケーシング1’内にて循環して繰り返し行う。
【0051】
このようなコンベア9の土砂搬送動作中に、テールケーシング1bにおいて、上記コンベア9から土砂等が下方に落下する。テールケーシング1bにおいて、下方に落下した土砂は、落下土砂移送コンベア14によって選別され、当該コンベア14のバー間隔より大の比較的大きな土砂は、当該コンベア14によって矢印D方向に搬送され、当該コンベア14先端部よりロータリーエレベータ17内に投入用開口部33を介して落下供給される。
【0052】
上記ロータリーエレベータ17は、その固定板18に対してリング状回転ケーシング20が矢印E方向に回転しているので、その最下端の投入用開口部33から投入された土砂等の落下物は、リング状回転ケーシング20内の何れかの土砂等の落下物の収納空間S内に順次投入されていく。
【0053】
上記土砂等の収納空間S内に投入された土砂は、当該ロータリーエレベータ20の矢印E方向の回転により、上方に搬送され、最上部に至ったところで、固定板18の上端部の排出用開口部34からホッパー35を介して、上記テールケーシング1b上の開口部11から上記土砂搬送コンベア1のコンベアベルト9上、具体的には収納部12内に回収することができる。尚、図2中に収納空間Sによって上方に運ばれる土砂を破線にて示している。
【0054】
また、水分の多い土砂は、上記土砂収納空間Sから前後のリング状ポケット40,42に移行し、これらリング状ポケット40,42内を上方に向けて搬送される。図5(a)に示すように、排出用開口部34は、上記リング状ポケット40,41の範囲まで開口しており、よって上記リング状ポケット40,42内を搬送されてきた水分の多い土砂も、当該排出用開口部34から上記コンベア9に戻すことができ、効率的な土砂の回収を行うことができる。
【0055】
本発明によれば、主コンベア(土砂搬送コンベア1)から落下した土砂等の落下物を搬送コンベア14にてリング状回転ケーシング20内に投入し、該回転ケーシング20の回転により当該土砂等の落下物を排出用開口部34から主コンベアに戻すことができる。よって、主コンベアから落下する土砂等の回収を略無人化することができ、掘削工事に伴う土砂等の排出作業の効率を著しく向上することができる。
【0056】
また、水分の多い土砂はリング状空間(40,42)に分離して搬送することができ、水分の多い土砂であっても効率的に回収することができる。
【0057】
本発明に係る土砂等の落下物回収装置は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、上記実施形態では、立抗底面のテールケーシング1bに設けたが、地上の横向コンベア部に設けても良いし、その他、シールド掘削機に近接して設置しても良く、土砂等の搬送コンベア近傍であって、土砂等の落下物を回収する必要のある場所であれば、どのような場所にも設置が可能である。また、土砂等の落下物をリング状回転ケーシングに移送する手段は、上記実施形態では移送コンベア14としたが、これもコンベアに限らず、ホッパー、シュートのような移送手段であっても良い。また、2台の移送コンベア14を互いに対向方向に走行させ、両コンベア14の対向位置にロータリーエレベータ17の投入用開口部33が位置するように構成しても良い。
【0058】
図6に本発明に係る土砂等の落下物回収装置の他の実施形態を含めて説明する。同図(a)は、上記実施形態と同一形式を示すものであり、ロータリーエレベータ17のリングの内部に主コンベア9を配置し、主コンベア9の進行方向とロータリーエレベータ17のリング状回転ケーシング20が直交するタイプ、(b)は平行型又は隣接型であって、主コンベア9の進行方向(紙面に直交方向)に平行に隣接してロータリーエレベータ17を配置し、主コンベア9下のシュート(移送手段)50により土砂等の落下物を回収してリング状回転ケーシング20の投入用開口部33に投入し、同ケーシング20の排出用開口部34からシュート(移送手段)51を介して主コンベア9に戻すタイプ、(c)は斜交型であって、立坑の地上に配置された主コンベア9としての横向コンベアにおいて、ロータリーエレベータ17のリングの内部に主コンベア9を挿入配置するが、ロータリーエレベータ17を主コンベア9に対して斜交して配置し、主コンベア9下方に配置され、互いに対向方向に移動する土砂移送コンベア14a,14bの中央部にリング状回転ケーシング20の投入用開口部33を配置したものである。このように、本発明の土砂等の落下物回収装置は、主コンベアに対してロータリーエレベータ17を斜めに配置しても良い。このように、他の機器配置との制約がある場合は、回転ケーシング20を斜交しても何ら支障なく回収動作を行うことができる。
【0059】
尚、図3図4中、符号43は機枠21a,21bに軸支され、上記リング状回転ケーシング20の前後に当接する支持ローラである。また、コンベア9の前端部はプーリ8と共にテールケーシング1bの前方側に移動調節が可能な構成となっている(図1参照)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、主コンベアから土砂等の落下が生じる場合であっても、自動的に落下した土砂を回収して主コンベアに戻すことができるため、立坑掘削後、シールド掘削機で横穴を掘削する際等において、極めて有効に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 土砂搬送コンベア(主コンベア)
9 コンベアベルト(主コンベア)
14 土砂移送コンベア
18 リング状固定板
20 リング状回転ケーシング
28,29 駆動ローラ
32 隔壁板
33 投入用開口部
34 排出用開口部
36 ゴム板(弾性板)
40,42 リング状ポケット(リング状空間)
M2,M3 駆動モータ
N 間隙
S 収納空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6