(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲートバー駆動部及び前記回動駆動部は、前記進行方向転換モードで動作するとき、前記ゲートバーを一旦起立させた後に、ゲートバー基部が車路に接近する方向に前記回動部を回動させて180度方向転換することを特徴とする請求項1に記載のゲート装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0018】
先ず、本発明の実施形態によるゲート装置1について説明する。ゲート装置1は、
図1等に示されるように、高速道路や有料道路の料金所又は有料駐車場の出入口等のゲートにおいて、車路2の脇に車路2に沿うように形成されたコンクリート製のプラットフォームであるアイランド3上に設置されている。ゲート装置1は、車路2上を進行する車両(移動体)のゲートの通行を、後述するゲートバー16の開閉によって規制する。なお、ゲート装置1の車路2側の面とアイランド3の車路2側の縁石部とは、極力接近していることが望ましく、接近しているほどゲートバー16の長さを短くすることができる。
【0019】
本実施形態では、説明の便宜上、車路2上においてゲート通過前の地点からゲートを見た場合に、手前側を「前」、向こう側(奥側)を「後」、右側を「右」、左側を「左」、上側を「上」、下側を「下」と定義する。以下、本実施形態において方向を説明する場合には、この定義に従うものとする。即ち、車路2を通常使用する場合の車両の進行方向(順方向)は、ゲート装置1の前方からゲート装置1に接近した後、ゲート装置1の後方へ進む方向である。一方、車路2をリバース車線として使用する場合の車両の進行方向(逆方向)は、ゲート装置1の後方からゲート装置1に接近した後、ゲート装置1の前方へ進む方向である。
【0020】
ゲート装置1は、本体部11と、垂直方向に伸長する垂直回動軸12を介して本体部11の上方に回動可能に設けられた回動部13と、垂直回動軸12と直交する水平回動軸14を介して回動部13に回動可能に設けられたゲートバー基部15と、後述するリリース動作できるようにゲートバー基部15に着脱可能に取り付けられたゲートバー16とを備える。
【0021】
本実施形態において、ゲート装置1は、車両の順方向の通行を規制するようにゲートバー基部15及びゲートバー16を配置させる一方、進行方向転換モード(リバースモード)で動作するとき、車両の逆方向の通行を規制するようにゲートバー基部15及びゲートバー16を配置させる。なお、以下では、進行方向転換モードを特定する場合を除いて、進行方向転換モードではない通常の構成及び動作について説明する。
【0022】
なお、水平回動軸14が前後方向に伸長するように位置するときの回動部13の位置を「車路遮断可能位置」と称する(
図1、
図2(1)及び(2)、
図4(1)及び(2)、
図5(2)参照)。また、リリース動作したゲートバー16を復帰させる動作(リリース復帰動作)においてゲートバー16をゲートバー基部15に保持させるときの回動部13の位置(水平回動軸14が左右方向に伸長するように位置するときの回動部13の位置)を「ゲートバー迎え位置」と称する(
図3(2)、
図4(4)、
図5(1)参照)。以下では、回動部13等の各部の説明における各方向は、特に指定のない限り、車路遮断可能位置を基準にして示している。
【0023】
また、回動部13が車路遮断可能位置(通常時の位置)にあるときに、水平回動軸14を回動してゲートバー基部15及びゲートバー16を横臥・起立させることにより車路2の遮断・開放を行う動作を「車路開閉動作」(又はゲート開閉動作)と称する。このとき、ゲートバー基部15及びゲートバー16が横臥する位置を「横臥位置」と称し(
図1、
図2(1)二点鎖線参照)、ゲートバー基部15及びゲートバー16が起立する位置を「起立位置」と称する(
図2(1)実線、
図5(2)実線参照)。以下では、ゲートバー基部15及びゲートバー16等の説明における各方向は、特に指定のない限り、横臥位置を基準にして示している。
【0024】
先ず、本体部11について説明する。本体部11は、矩形柱状に形成された本体筐体21を備え、本体筐体21は本体ベース4を介してアイランド3上に固定されている。また、本体筐体21の後面には開閉蓋(図示せず)が開閉可能に取り付けられていて、この開閉蓋を開いたときに本体筐体21の後面のほぼ全域が開口するようになっている。
【0025】
本体部11は、本体筐体21の内部に垂直回動軸12、及び垂直回動軸12を回動駆動させる回動駆動部22を備える。垂直回動軸12は、本体筐体21内のほぼ中央に配置され、垂直回動軸12の上端は、本体筐体21の上面のほぼ中央に形成された開口部を介して外部に露出し、回動部13と接続可能になっている。
【0026】
回動駆動部22は、後述する回動駆動モータ56(
図6参照)等を備えている。回動駆動部22は、垂直回動軸12を水平方向に回動させることにより、垂直回動軸12に接続された回動部13を、水平回動軸14、ゲートバー基部15及びゲートバー16と共に水平方向に回動させることができる。例えば、回動駆動部22は、リリース動作したゲートバー16を、リリース動作する前の状態、すなわち、車路開閉動作が可能な元の状態に復帰させる際に垂直回動軸12を回動させる。
【0027】
また、回動駆動部22は、通常時には、前後方向(車路2の進行方向)において回動部13よりも前側(一方側)にゲートバー基部15及びゲートバー16が配置されるように回動部13の配置を制御する一方、進行方向転換モードで動作するときには、前後方向(車路2の進行方向)において回動部13よりも後側(他方側)にゲートバー基部15及びゲートバー16が配置されるように回動部13の配置を制御する。
【0028】
また、本体筐体21の後面の左側には、リリース動作したゲートバー16を支持する第1のストッパ23が設けられている。第1のストッパ23は、本体筐体21から後方へ離間した位置で、アイランド3上に立設されている。また、前後方向において本体筐体21を挟んで第1のストッパ23とは反対側で、即ち、本体筐体21から前方へ離間した位置には、第2のストッパ24がアイランド3上に立設されている。更に、第1のストッパ23及び第2のストッパ24は、後述するリリース動作の際の、ゲートバー16の一端側の係止機構45の先端の回動軌跡よりも若干外側の位置であって、平面的に当接しない位置にある。
【0029】
次に、回動部13について説明する。回動部13は、矩形柱状に形成された箱状の回動筐体31を備えている。ゲート装置1を上方から見た場合に、回動筐体31の矩形状の外形は、本体筐体21の矩形状の外形と概ね同一であることが望ましく、回動筐体31の下面のほぼ中央で垂直回動軸12と接続される。なお、回動筐体31の後面には開閉扉(図示せず)が開閉可能に取り付けられていて、この開閉扉を開いたときに回動筐体31の後面のほぼ全域が開口するようになっている。
【0030】
回動部13は、回動筐体31の内部に水平回動軸14、及び水平回動軸14をゲートバー基部15及びゲートバー16と共に回動駆動させるゲートバー駆動部32を備える。水平回動軸14の先端は、回動筐体31の前面に形成された開口部を介して外部に露出し、ゲートバー基部15と接続可能になっている。水平回動軸14の先端には、ゲートバー基部15をネジ等により着脱可能に取り付けるためにフランジ33が固定されている。
【0031】
ゲートバー駆動部32は、後述するゲートバー駆動モータ52(
図6参照)等を備えている。ゲートバー駆動部32は、回動部13が車路遮断可能位置にあって水平回動軸14が前後方向に伸長するように位置している間、水平回動軸14をゲートバー基部15及びゲートバー16と共に回動駆動させることにより車路開閉動作を行うことができる(
図2(1)破線矢印参照)。例えば、ゲートバー駆動部32は、車路2を遮断するときにはゲートバー基部15及びゲートバー16が「横臥位置」になるように、また、車路2を開放するときにはゲートバー基部15及びゲートバー16が「起立位置」になるように水平回動軸14を回動する。なお、ゲートバー基部15及びゲートバー16の「起立位置」は、車路2(ゲート)を十分に開放するような位置であればよく、例えば、ゲートバー基部15及びゲートバー16を鉛直に直立させた位置や、85度程度に起立させた位置でよいが、進行方向転換モードで動作する際には、略直立の位置を「起立位置」という。
【0032】
また、ゲートバー駆動部32は、通常時には、前後方向(車路2の進行方向)において回動部13よりも前側(一方側)で車両の通行を規制するようにゲートバー基部15及びゲートバー16の配置を制御する一方、進行方向転換モードで動作するときには、前後方向(車路2の進行方向)において回動部13よりも後側(他方側)で車両の通行を規制するようにゲートバー基部15及びゲートバー16の配置を制御する。
【0033】
次に、ゲートバー基部15及びゲートバー16について説明する。ゲートバー基部15は、前側が開口された断面コ字状に形成された長尺状の部材であり、ゲートバー16の一端側を嵌合する形状を有する。ゲートバー基部15は、長手方向一端側(右側)の後面が水平回動軸14に取り付けられていて、水平回動軸14の回動に応じて回動部13に対して回動可能になっている。一方、ゲートバー基部15の長手方向他端側(左側)は、水平回動軸14と交わる方向(本実施形態においては水平回動軸14と直交する方向)に伸長している。また、ゲートバー基部15の他端側には、短手方向(上下方向)に伸長するリリース回動軸41が備えられている。ゲートバー基部15の底部には、保持部スプリング42が装着されている(
図4(2)〜(4)参照)。
【0034】
ゲートバー16は、長尺に形成され、1台のゲート装置1で車両の通行を規制する場合には、車路2を遮断できる程度の長さを有する。なお、後述するゲート制御システム71のように、2台のゲート装置1L、1Rを車路2の左右にそれぞれ配置する場合には、ゲートバー16は比較的短く形成される。ゲートバー16は、長手方向一端側(右側)に設けられるゲートバー保持部43と、ゲートバー保持部43に装着されて長手方向他端側(左側)に延在するゲートバー本体44とを備える。ゲートバー本体44は、軽量な材料、例えば、アルミの中空パイプ等からなる芯部の他端側を、発泡ウレタン等からなる緩衝材で覆うことによって形成される。ゲートバー本体44を構成する緩衝材の外表部には、ドライバー等からの視認性を良くするために、赤白のストライプ等のラミネートが施されるとよい。
【0035】
ゲートバー16は、ゲートバー保持部43がゲートバー基部15に嵌合するように、ゲートバー基部15に取り付けられる。このとき、ゲートバー16の中間部に位置するゲートバー保持部43の長手方向他端側が、ゲートバー基部15のリリース回動軸41に回動可能に支持される。これにより、ゲートバー16は、ゲートバー保持部43に対してリリース回動軸41周りに回動可能になる。
【0036】
ゲートバー16の一端側は、ゲートバー基部15の一端側に着脱可能に保持される。具体的には、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側には、係止機構45が設けられていて、係止機構45により、ゲートバー基部15の一端側とゲートバー16の一端側とが互いに着脱可能に係止される。ゲートバー基部15及びゲートバー16は、係止機構45によって係止されることで一直線状に伸長して一体化固定され、車路開閉動作が可能な状態になる。また、ゲートバー基部15及びゲートバー16は、係止機構45による係止が外れると、一体化固定が解除され、ゲートバー16はゲートバー基部15に対してリリース回動軸41周りに回動する。本実施形態では、この回動動作を「リリース動作」と称し、リリース動作によってゲートバー16がリリース回動軸41周りに回動する方向(車路2の右側のアイランド3に配置したゲート装置1の場合には、ゲートバー16の長手方向他端部が車両進行方向へと向かう方向であって、上方から見て時計回り方向)を「リリース方向」と称する(
図4(2)破線矢印参照)。なお、ゲート装置1が進行方向転換モードで動作する場合には、上方から見て反時計回り方向がリリース方向となる。
【0037】
なお、係止機構45は、車路開閉動作による振動や風圧等の力が加えられても、ゲートバー基部15とゲートバー16(ゲートバー保持部43)との係止を維持する程度の保持力を有する。一方、係止機構45は、上記保持力以上の力、例えば、車両がゲートバー16に衝突する際に加わる外力によって、ゲートバー基部15とゲートバー16(ゲートバー保持部43)との係止が外れるように構成される。なお、係止機構45は、リリース動作したゲートバー16が、非リリース方向に回動して、所定の押圧力によってゲートバー基部15に嵌合されるとき、ゲートバー基部15及びゲートバー16を係止する構成を有する。
【0038】
また、図示しないが、ゲートバー基部15においてリリース回動軸41の近傍にはリリース付勢部としてのトーションスプリングが設けられている。トーションスプリングは、リリース動作時にゲートバー16のリリース方向の回動を助長するようにゲートバー16に付勢力を与える。
【0039】
次に、ゲート装置1におけるリリース動作及びリリース復帰動作について
図2ないし
図5を参照しながら説明する。
図2ないし
図5はゲート装置1のリリース動作とリリース復帰動作を示している。ここで、「リリース復帰動作」とは、リリース動作したゲートバー16を、リリース動作前の状態、すなわち、車路開閉動作が可能な元の状態に復帰させる動作である。
【0040】
先ず、ゲート装置1のリリース動作について説明する。ゲート装置1において、通常時は、
図2(1)及び
図4(1)に示すように、回動部13は車路遮断可能位置にあって、水平回動軸14が前後方向に伸長するように配置されていて、ゲートバー基部15及びゲートバー16の車路開閉動作が可能な状態になっている。
【0041】
正常な状態では、車路2を遮断しているゲートバー16に車両が衝突することはない。しかし、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)車載器にETCカードを装着し忘れた車両がETCのゲートを通過する場合等の正常でない状態では、車路2を遮断しているゲートバー16に車両が衝突することがある。
【0042】
車路2を遮断しているゲートバー16に、車路2を進行する車両が衝突する場合、車両はゲートバー16の他端側(ゲートバー本体44の他端側)に衝突する。このように車両がゲートバー16に衝突すると、その衝突によってゲートバー16の他端側に加わる外力により、係止機構45の係止が解かれ、ゲートバー基部15の一端側からゲートバー16の一端側(ゲートバー保持部43の一端側)が離脱する。そして、
図2(2)及び
図4(2)に示すように、ゲートバー16がリリース回動軸41を中心に、車両進行方向(リリース方向)に回動する(
図4(2)破線矢印参照)。
【0043】
このとき、衝突によりゲートバー16の他端側に加わる力が小さい場合には、ゲートバー16は、衝突による力と、リリース回動軸41の近傍に設けられたトーションスプリング(リリース付勢部、図示せず)の付勢力とにより回動し、比較的弱い力で第1のストッパ23に当たって停止する。このように、トーションスプリングによれば、リリース動作するゲートバー16を第1のストッパ23に確実にかつ迅速に到達させることができると共に、ゲートバー16が第1のストッパ23に当たって停止した状態を維持することができる。一方、衝突によりゲートバー16の他端側に加わる力が大きい場合には、ゲートバー16は、衝突による力により勢いよく回動し、比較的強い力で第1のストッパ23に当たるが、これにより第1のストッパ23が受ける衝撃は、第1のストッパ23の緩衝材(若しくは第1のストッパ23自体の撓みによる緩衝性)によって吸収される。このようにして、ゲートバー16は、例えば、上方から見て時計回り(リリース方向)におよそ90度回動して停止し、ゲートバー16の向きが車路2とほぼ平行になって、リリース完了の状態になる。
【0044】
次に、ゲート装置1のリリース復帰動作について説明する。上記のようなゲートバー16のリリース動作は、後述するリリース検知スイッチ60(
図6参照)により検知され、これに応じて、制御部51(
図6参照)により、直ちにリリース復帰動作が自動的に開始される。リリース復帰動作において、先ず、
図3(1)又は
図4(3)に示すように、回動駆動部22が垂直回動軸12を回動して、回動部13がゲートバー16のリリース動作の回動に追随又は後追いするように回動させる。例えば、回動駆動部22は、回動部13を車路遮断可能位置からゲートバー迎え位置まで、上方から見て時計回り(リリース方向)におよそ90度回動させる(
図3(1)及び(2)破線矢印参照)。
【0045】
このとき、ゲートバー16も、回動部13の回動に伴って上方から見て時計回り方向に回動する。ゲートバー16は、第1のストッパ23に当接しているので、回動部13が時計回り方向に回動する間、ゲートバー16は、第1のストッパ23との当接が維持されたまま後方にスライドすることになる(なお、ゲート装置1が進行方向転換モードで動作する場合には、回動部13が上方から見て反時計回り方向に回動するため、ゲートバー16は前方にスライドすることになる)。そして、ゲートバー16は、第1のストッパ23との当接部分を支点にしてリリース回動軸41周りを非リリース方向に回動し、ゲートバー16の一端側(ゲートバー保持部43の一端側)がゲートバー基部15の一端側に徐々に接近する。
【0046】
なお、
図3(1)又は
図4(3)に示すように、回動部13が回動する間、ゲートバー16の他端側は車路2から離れる方向に若干移動し、ゲートバー16の向きが車路2と平行でない状態となることがあるが、このときに、ゲートバー16の他端がアイランド3上に設置された他の装置に干渉する場合には、第1のストッパ23の本体部11からの距離をより長くして、ゲートバー16の他端に近い部分が第1のストッパ23に当接するように構成する。これにより、ゲートバー16の他端側が車路2から離れる方向に移動する量を小さくすることができるので、ゲートバー16の他端が他の装置へ干渉するのを防止することができる。
【0047】
そして、
図3(2)及び
図4(4)に示すように、回動部13が回動してゲートバー迎え位置に到達すると、ゲートバー16の一端側(ゲートバー保持部43の一端側)がゲートバー基部15の一端側に当接し、その後、回動駆動部22が回動部13を回動する力によって、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側が上方から見て時計回り方向に押圧される。また、ゲートバー16の一端側は、ゲートバー基部15の底部の保持部スプリング42から弾発力を受ける。このとき、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側には、互いに向きが反対である回動駆動部22の力と保持部スプリング42の力が作用するので、互いに接近又は接触する方向に強く押される。これにより、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側に設けられた係止機構45が互いに確実に係止される。この係止によって、ゲートバー基部15とゲートバー16とは両者が同一方向を向くように一体化固定される。
【0048】
このようにして、回動部13が、ゲートバー迎え位置まで回動して、リリース動作したゲートバー16の一端側をゲートバー基部15の一端側に係止(保持)させると、回動駆動部22は回動部13の回動を停止する。
【0049】
続いて、
図5(1)に示すように、ゲートバー駆動部32が水平回動軸14を回動して、ゲートバー基部15及びゲートバー16を水平回動軸14の先端側から見て時計回り方向に上方へと回動させる(
図5(1)破線矢印参照)。このとき、一体化固定されたゲートバー基部15及びゲートバー16の向きは車路2に平行のままである。そして、上方に回動するゲートバー基部15及びゲートバー16が起立位置となった時点で、ゲートバー駆動部32は水平回動軸14の回動を停止する。
【0050】
その後、
図5(2)に示すように、回動駆動部22は、回動部13を車両の進行方向(リリース方向)と逆の方向(非リリース方向)に回動する(
図5(2)破線矢印参照)。そして、回動部13が車路遮断可能位置に到達した時点で、回動駆動部22は回動部13の回動を停止する。例えば、回動部13は、上方から見て反時計回り(非リリース方向)におよそ90度回動して車路遮断可能位置に到達する。このようにして回動部13が車路遮断可能位置に到達したとき、ゲートバー16の位置は、車路開閉動作において車路2を開放したときの位置と同じになるので、このままリリース復帰動作を完了させてもよいし、更にゲートバー16を水平回動軸14の先端側から見て反時計回り方向に回動させて横臥位置にしてからリリース復帰動作を完了させてもよい。なお、ゲートバー16を横臥位置に回動させてからリリース復帰動作を完了させる場合には、ゲートバー16を回動させる前に、安全のため、ゲートを通過する車両がないか否かを判断し、ゲートを通過する車両がない場合に限り、ゲートバー16を横臥位置に回動させる。
【0051】
次に、ゲート装置1の電気的な構成について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、ゲート装置1の動作を電気的に制御するための構成を示していて、更に、このゲート装置1を備えた後述のゲート制御システム71の電気的な構成も示している。
【0052】
ゲート装置1は、
図6に示すように、ゲート装置1を統括制御するための制御部51と、ゲートバー基部15を回動させるゲートバー駆動モータ52と、ゲートバー基部15又はゲートバー16が横臥位置に到達したことを検知するリミット検知スイッチとしての第1の横臥位置検知スイッチ53と、ゲートバー基部15又はゲートバー16が起立位置に到達したことを検知する起立位置検知スイッチ54と、逆方向の(進行方向転換モードにおける)横臥位置に到達したことを検知するリミット検知スイッチとしての第2の横臥位置検知スイッチ55と、回動部13を回動させる回動駆動モータ56と、回動部13が車路遮断可能位置に到達したことを検知するリミット検知スイッチとしての第1の遮断位置検知スイッチ57と、回動部13がゲートバー迎え位置に到達したことを検知する迎え位置検知スイッチ58と、回動部13が逆方向の(進行方向転換モードにおける)車路遮断可能位置に到達したことを検知するリミット検知スイッチとしての第2の遮断位置検知スイッチ59と、ゲートバー基部15及びゲートバー16の一体化固定の成立・解除を検知するリリース検知スイッチ60と、右設置用の制御プログラムと左設置用の制御プログラムとの切り換えを可能にする設定操作部61と、車路制御装置80等と通信を行う通信部62とを備えている。
【0053】
制御部51は、本体筐体21内に設けられ、例えば、CPU(中央演算処理装置)やメモリ等で構成され、メモリには、ゲート装置1の車路開閉動作やリリース復帰動作等を制御する制御プログラムが記憶されている。
【0054】
ゲートバー駆動モータ52及び回動駆動モータ56は、それぞれ例えば直流モータである。リリース検知スイッチ60は、例えば、水平回動軸14の軸孔内に取り付けられ、ゲートバー基部15とゲートバー保持部43とが十分に接近又は接触したときにOFFとなり、両者が離れたときにONとなる。設定操作部61は、例えばディップスイッチであり、本体筐体21内に設けられている。通信部62は、本体筐体21内に設けられ、例えばゲート装置1がETCゲートに設置される場合に、ETCアンテナから車路制御装置80へ送られた車両データを車路制御装置80から受信する。また、通信部62は、車路制御装置80を介して後述する管理PC81に接続されていて、通信部62が管理PC81から進行方向転換モードの動作の指示を受けると、制御部51は、回動駆動部22及びゲートバー駆動部32を進行方向転換モードで動作させる。
【0055】
次に、ゲート装置1において、上記したようにリリース動作したゲートバー16のリリース復帰動作における制御部51による各部の制御を、
図7のフローチャートに沿って説明する。以下では、車路2の右側に設置されたゲート装置1において、制御部51が右設置用の制御プログラムによってリリース復帰動作を制御する例を説明する。
【0056】
先ず、ゲート装置1において、ゲートバー16が、車路開閉動作中に、又は横臥位置にあり車路2を遮断しているときに、車両がゲートバー16の他端側に衝突すると、ゲートバー基部15とゲートバー16との一体化固定が解除されてゲートバー16がリリース方向に回動するリリース動作をする。ゲートバー基部15とゲートバー16との一体化固定が解除されると、リリース検知スイッチ60がONになる(ステップS1:YES)。
【0057】
リリース検知スイッチ60がONになると、制御部51は、回動駆動モータ56を上方から見て時計回り方向に回転駆動させる(ステップS2)。回動駆動モータ56の時計回り方向への回転により、車路遮断可能位置にある回動部13が上方から見て時計回り方向に回転して、即ち車両の進行方向(ゲートバー16のリリース方向)に回動する。
【0058】
そして、回動部13がゲートバー迎え位置に到達すると、迎え位置検知スイッチ58がONになる(ステップS3:YES)。このように回動部13がゲートバー迎え位置に到達することによって、上記したようにゲートバー16がゲートバー基部15に係止されて両者間に一体化固定が成立し、リリース検知スイッチ60がOFFになる(ステップS4:YES)。この直後、制御部51は、回動駆動モータ56を停止させる(ステップS5)。
【0059】
続いて、制御部51は、ゲートバー駆動モータ52を水平回動軸14の先端側から見て時計回り方向に回転させる(ステップS6)。ゲートバー駆動モータ52の時計回り方向への回転により、横臥位置にあるゲートバー基部15及びゲートバー16が水平回動軸14の先端側から見て時計回り方向に回転して、即ち起立位置に向かって回動する。ゲートバー基部15及びゲートバー16が起立位置に到達すると、起立位置検知スイッチ54がONになる(ステップS7:YES)。この直後、制御部51は、ゲートバー駆動モータ52を停止させる(ステップS8)。
【0060】
続いて、制御部51は、回動駆動モータ56を上方から見て反時計回り方向に回転させる(ステップS9)。回動駆動モータ56の反時計回り方向への回転により、ゲートバー迎え位置にある回動部13が、上方から見て反時計回り方向に回転して、即ち車両の進行方向(ゲートバー16のリリース方向)と逆方向に回転する。そして、回動部13が車路遮断可能位置に到達すると、第1の遮断位置検知スイッチ57がONになる(ステップS10:YES)。この直後、制御部51は、回動駆動モータ56を停止させる(ステップS11)。
【0061】
続いて、制御部51は、車路2の遮断の可否を判定する(ステップS12)。例えば、制御部51は、車路制御装置80から遮断不可若しくは車両進入中を示す信号を受信した場合には、遮断不可と判定し、このような信号を受信していない場合には、遮断可能と判定する。
【0062】
制御部51は、車路2を遮断可能と判定した場合には(ステップS12:YES)、ゲートバー駆動モータ52を水平回動軸14の先端側から見て反時計回り方向に回転させる(ステップS13)。ゲートバー駆動モータ52の反時計回り方向への回転により、起立位置にあるゲートバー基部15及びゲートバー16が水平回動軸14の先端側から見て反時計回り方向に回転して、即ち横臥位置に向かって回動する。続いて、ゲートバー基部15及びゲートバー16が横臥位置に到達すると、第1の横臥位置検知スイッチ53がONになる(ステップS14:YES)。この直後、制御部51は、ゲートバー駆動モータ52を停止させる(ステップS15)。これにより、リリース復帰動作は完了する。
【0063】
次に、本発明の実施形態によるゲート制御システム71について説明する。このゲート制御システム71は、例えば、高速道路や有料道路のETC車両専用レーン、ETC車両と非ETC車両との共用レーン、又は非ETC車両専用レーン等の車路2のゲートに適用されるものである。
【0064】
ゲート制御システム71は、
図8に示すように、車路2の左右のアイランド3(3L、3R)のそれぞれにゲート装置1(左側ゲート装置1L、右側ゲート装置1R)を設けている。そして、左側ゲート装置1L及び右側ゲート装置1Rの各ゲートバー16が両開きすることで車両86が通過可能となる。右側ゲート装置1Rは、上記したゲート装置1と同様の構成を有して右設置用の制御プログラムによって制御されるものであるため、その詳細な説明は省略する。また、左側ゲート装置1Lは、車路2を挟んで右側ゲート装置1Rと対称となる構成を有して左設置用の制御プログラムによって制御されるものであり、即ち、各部の配置、移動方向及び回転方向等が、右側ゲート装置1Rと対称であるが、基本的には同様の配置、移動方向及び回転方向等であるため、その詳細な説明は省略する。
【0065】
また、ゲート制御システム71は、ゲートの入口側から順に、第1車両センサ72、順方向用のETCアンテナ73、第2車両センサ74、ゲート装置1L及び1R、カメラ75、第3車両センサ76、逆方向用のETCアンテナ77及び第4車両センサ78を備えている。更に、ゲート制御システム71は、車路制御装置80を備えているが、車路制御装置80の位置は、左右のアイランド3L若しくは3Rにおける他の位置、又はアイランド3L及び3R以外の他の位置でもよい。車路制御装置80は、
図6に示すように、ゲート装置1L及び1Rの通信部62に通信可能に接続され、更に、第1車両センサ72、順方向用のETCアンテナ73、第2車両センサ74、第3車両センサ76、逆方向用のETCアンテナ77及び第4車両センサ78にも通信可能に接続されている。
【0066】
更に、ゲート制御システム71は、当該システムを管理するための管理PC81(遠隔操作部)やモニター82を備える。管理PC81及びモニター82は、例えば、料金所の係員等が常駐する監視ブース83に設置され、管理PC81は、車路制御装置80と通信可能に接続されている(
図6参照)。監視ブース83は、アイランド3L又は3Rの近傍に設けられてもよいが、遠隔で監視することができれば、アイランド3L及び3Rとは離れた位置に設けられてもよい。
【0067】
第1車両センサ72は、ゲートの順方向の入口に進入する車両86を検出するもので、第2車両センサ74は、ゲートを順方向に進行する車両86を検出するもので、第3車両センサ76は、ゲートの出口から順方向に退出する車両86を検出するものである。一方で、ゲートに逆方向に進行する車両に対しては、第4車両センサ78が第1車両センサ72の代わりに、第3車両センサ76が第2車両センサ74の代わりに、第2車両センサ74が第3車両センサ76の代わりに、それぞれ動作するように制御される。第1車両センサ72、第2車両センサ74、第3車両センサ76、第4車両センサ78は、例えば、赤外光を発光する発光部と、発光された赤外線を受光する受光部とを、左右のアイランド3L及び3Rのそれぞれに配置して、受光部の受光状態を検出することにより、左右のアイランド3L及び3Rに渡って車路2を横切る検出エリアにおける車両86の存在を検出するように構成される。あるいは、第1車両センサ72、第2車両センサ74、第3車両センサ76、第4車両センサ78は、検出エリアをスキャン(走査)するレーザーエリアセンサ等で構成されてもよい。なお、第1車両センサ72は、順方向に進行する車両86の高さを検出する機能も有し、第4車両センサ78は、逆方向に進行する車両の高さを検出する機能も有する。
【0068】
順方向に進行する車両用のETCアンテナ73は、例えば、車路2の上方に位置するように、左右のアイランド3L及び3Rに渡って架けられたガントリー84(門型柱)に設置される。ETCアンテナ73は、車路2を通行する車両86に搭載されたETC車載器(図示せず)と通信(以下、ETC通信と称する)して車両86の車種やETCカードの有効期限等のETC情報を取得すると共に車路制御装置80へと送信する。なお、ETCアンテナ73とETC車載器や車路制御装置80とのETC通信動作は極めて高速に行われる。一方で、逆方向に進行する車両に対しては、ETCアンテナ73に代えて逆方向用のETCアンテナ77が用いられ、ETCアンテナ77も左右のアイランド3L及び3Rに渡って架けられたガントリー85(門型柱)に設置される。なお、これらETCアンテナ73、77は、2台でそれぞれ進行中の車両と通信して、データの補間等をしてもよい。また、何れか1台で順方向及び逆方向の両方を兼用してもよい。
【0069】
カメラ75は、例えば、右側のアイランド3Rに設置され、車路2上を通行する車両86や、車両86のドライバーや同乗者の行動を撮影するものである。
【0070】
車路制御装置80は、上記したように通信可能に接続されたゲート制御システム71の各部を統合的に制御するものである。車路制御装置80は、基本的には、順方向であればETCアンテナ73におけるETC通信結果に応じてゲート装置1L及び1Rを開動作し、第3車両センサ76における検出結果に応じてゲート装置1L及び1Rを閉動作するものである。例えば、車路制御装置80は、ETCアンテナ73のETC通信結果に応じて車両86を通行させる場合、通常はゲートバー16を横臥位置から起立位置まで回動することでゲートバー16による車路遮断を解除するようにゲート装置1L及び1Rを制御する。
【0071】
管理PC81は、料金所の係員がゲート制御システム71を管理するために用いるコンピュータであり、通信可能に接続された車路制御装置80を介して各装置を監視したり、遠隔操作する機能を有する。管理PC81は、係員等の操作者の選択操作に応じて、ゲート装置1L及び1Rの進行方向転換モードの動作を選択可能に構成されていて、ゲート装置1L及び1Rは、進行方向転換モードが選択された場合には自動的に現在の進行方向と逆方向への進行方向転換モード動作を行う。
【0072】
モニター82は、管理PC81に接続されて管理状況を表示するだけでなく、カメラ75に接続されていて、カメラ75で撮影される車路2上の車両86や、車両86のドライバーや同乗者の画像や映像を監視可能に表示することができる。なお、モニター82は、複数の車路2のそれぞれに複数のカメラ75が備わる場合にはそれぞれの撮影結果を表示する。
【0073】
次に、ゲート制御システム71におけるゲート装置1Rの開動作及び閉動作を、
図9のフローチャートに沿って説明する。ここでは、特に指定のない限り、各部の動作及び判定は車路制御装置80によって行われるものとする。なお、ゲート装置1Lの開動作及び閉動作は、ゲート装置1Rと同様であるため、説明を省略する。
【0074】
先ず、ゲート制御システム71では、第1車両センサ72によって、ゲートに進入する車両を監視していて(ステップS21)、第1車両センサ72の車両検知がONになると(ステップS21:YES)、ETCアンテナ73がETC情報を取得するべく車両86のETC車載器とETC通信を行う(ステップS22)。これと略同時に、第2車両センサ74によって、ゲートを通行する車両86を監視し(ステップS23)、第2車両センサ74の車両検知がONになると共に、第1車両センサ72の車両検知がOFFになると、車両86が通行していると判断できるので、ETC通信結果の判定処理(ステップS24)に移行する。
【0075】
ETC通信結果の判定処理(ステップS24)では、車路制御装置80は、ETCアンテナ73からのETC通信結果と、車路制御装置80に予め記録された様々なデータとを照合して、通過できるETC車両か否かを判定する。通過できるETC車両とは、有効なETCカードをきちんと装着したETC車両であり、また、高速道路の出口の場合には、料金収受可能なETC車両である。そして、通過できるETC車両であると判定した場合(ステップS24:YES)、ゲート開動作として、ゲートバー駆動モータ52の時計回り方向回転動作(ステップS25)に移行する。
【0076】
ゲート開動作では、ゲート装置1Rの制御部51が、ゲートバー駆動モータ52を駆動させて水平回動軸14を回動することにより、ゲートバー基部15及びゲートバー16を横臥位置から起立位置まで回動させる。次に、ステップS26で起立位置検知スイッチ54がONになるかを監視し、ONになるとステップS27に移行してゲートバー駆動モータ52をすぐさま停止させる。なお、このとき、回動駆動モータ56は駆動されないので、垂直回動軸12は回動せずに、回動部13は停止したままである。これにより、上記の通過できるETC車両は、開動作したゲート装置1Rをノンストップで通過可能となる。その後、第3車両センサ76によって、ゲートを退出する車両86を監視し(ステップS28)、第3車両センサ76の車両検知がONになってからOFFに戻ると(ステップS28:YES)、車両86が退出したと判断できるので、ゲート閉動作として、ゲートバー駆動モータ52の反時計回り方向回転動作(ステップS29)に移行する。
【0077】
ゲート閉動作は、上記のゲート開動作とは逆の動作であり、ゲート装置1Rの制御部51が、ゲートバー駆動モータ52を駆動させて水平回動軸14を回動することにより、ゲートバー基部15及びゲートバー16を起立位置から横臥位置まで回動させる。そして、ステップS30で第1の横臥位置検知スイッチ53がONになるかを監視し、ONになるとステップS31に移行してゲートバー駆動モータ52をすぐさま停止させる。なお、このとき、回動駆動モータ56は駆動されないので、垂直回動軸12は回動せずに、回動部13は停止したままである。このようにしてゲート装置1Rが閉動作すると、1台の車両86についてのフローが終了する。
【0078】
また、上記のETC通信結果の判定処理(ステップS24)において、何らかの原因でETC車両ではないと判定され、又は正規に通過できない車両だと判定された場合(即ち、ETC通過不可車両と判定された場合)には(ステップS24:NO)、車路制御装置80は、ETC通過不可車両の到来を監視ブース83に通知し(ステップS32)、ゲート開動作(ステップS25)に移行することなく、横臥位置のゲートバー16によって車両の通過を規制することになる。
【0079】
監視ブース83では、ETC通過不可車両の到来を示す情報が、モニター82又は管理PC81の画面に表示される。また、ETC通過不可車両は、カメラ75で撮影されていて、その映像や画像が監視ブース83のモニター82に表示される。例えば、ETC通過不可車両が停車しないと、ゲートバー16に衝突し、ゲートバー16はリリース動作を行うので、上記したようなリリース復帰動作(
図7参照)に移行することになる。このとき、係員は、管理PC81又はモニター82を視認して、ゲートバー16に衝突したETC通過不可車両を確認することができる。
【0080】
他方、ETC通過不可車両は、ゲートバー16の直前で停止することがある。このとき、係員は、管理PC81又はモニター82を視認して、停止したETC通過不可車両を確認することができる。
【0081】
このとき、係員は、ETC通過不可車両について料金収受等の所定の処置を行う待避所等の他の場所へと移動させるために、ETC通過不可車両をゲートから退出させる必要があるので、管理PC81を用いた遠隔操作を開始する(ステップS33:YES)。なお、係員は、ゲート装置1Rの開動作を行う前に、管理PC81を用いてスピーカ(図示せず)を通じて、ETC通過不可車両のドライバーに対して開動作後の行動を音声で案内してもよく、例えば、出口の先に待避所があることや、その待避所で停止すべきことを指示することができる。
【0082】
ところで、高速道路の料金所等では、上り車線と下り車線の双方に利用できるリバース車線を設けて、例えば、時間帯によって、又は季節や行楽シーズンの繁忙期に、上り車線と下り車線とを切り換えることで車線をフレキシブルに運用することがある。
図8は、車路2をリバース車線とするゲート制御システム71を示し、車路2の前後方向の略中央において、左右のアイランド3L及び3Rのそれぞれにゲート装置1L及び1Rが配置されている。また、
図8は、車両86が前後方向に進行する順方向の状態を示しているが、周辺の交通状況を鑑みて、混雑が対向車線で発生するのが予想された場合等、この車路2を一旦封鎖(通行止め)した後、ゲート装置1L及び1Rを進行方向転換モードで動作させることで、車路2の進行方向を逆方向にすることができる。
【0083】
本発明の特徴である進行方向転換モード(リバースモード)の動作を、
図11と
図12の説明図を元に、
図10のフローチャートに沿って説明する。
図10は本発明の実施形態に係るゲート装置の進行方向転換モードの動作を示すフローチャートである。また、
図11は本発明の実施形態に係るゲート装置の進行方向転換モードの動作を説明する斜視図である。更に、
図12は本発明の実施形態に係るゲート装置の進行方向転換モードの動作を説明する平面図である。
図10〜
図12では、順方向を進行方向にしていた車路2を逆方向に転換する動作を示している。
【0084】
進行方向転換モードの動作を開始する前の時点では、ゲート装置1L及び1Rは、
図11(1)、
図12(1)に示すように、ゲートバー基部15及びゲートバー16は、前後方向(車路2の進行方向)において回動部13の前側(一方側)で横臥状態にされている。そして、料金所の係員等が管理PC81を操作して車路制御装置80を介してゲート装置1L及び1Rを遠隔操作し、ゲート装置1L及び1Rに対して進行方向転換モードを選択することによって、ゲート装置1L及び1Rにおいて進行方向転換モードの動作が開始される。以下では、ゲート装置1Lの動作を説明し、ゲート装置1Lの動作は、ゲート装置1Rと同様であるため、説明を省略する。
【0085】
進行方向転換モードでは、先ず、ゲートバー駆動部32がゲートバー駆動モータ52を駆動してゲートバー基部15又はゲートバー16を水平回動軸14の先端側から見て時計回り方向に回転させつつ(ステップS41)、起立位置検知スイッチ54を監視する(ステップS42)。そして、
図11(2)、
図12(2)に示すように、ゲートバー基部15又はゲートバー16が起立位置に到達して、起立位置検知スイッチ54がONになると(ステップS42:Yes)、ゲートバー駆動部32はゲートバー駆動モータ52を停止する(ステップS43)。
【0086】
次に、回動駆動部22が回動駆動モータ56を駆動して回動部13を上方から見て時計回り方向に回転させつつ(ステップS44)、第2の遮断位置検知スイッチ59を監視する(ステップS45)。
図11(3)は、回動部13が略45度回転した状態を示し、
図12(3)は、回動部13が略90度回転した状態を示す。そして、
図11(4)、
図12(4)に示すように、回動部13が略180度回転すると、第2の遮断位置検知スイッチ59がONになり(ステップS45:Yes)、回動駆動部22は回動駆動モータ56を停止する(ステップS46)。
【0087】
続いて、ゲートバー駆動部32がゲートバー駆動モータ52を駆動してゲートバー基部15又はゲートバー16を水平回動軸14の先端側から見て時計回り方向に回転させつつ(ステップS47)、第2の横臥位置検知スイッチ55を監視する(ステップS48)。そして、
図11(5)、
図12(5)に示すように、ゲートバー基部15又はゲートバー16が逆方向の横臥位置に到達して、第2の横臥位置検知スイッチ55がONになると(ステップS48:Yes)、ゲートバー駆動部32はゲートバー駆動モータ52を停止する(ステップS49)。
【0088】
これにより、リバース車線としての車路2の進行方向を逆方向にする際のゲート装置1L及び1Rの準備が整ったことになる。このとき、詳細な説明は省略するが、車路制御装置80によって第1車両センサ72、第2車両センサ74、第3車両センサ76及び第4車両センサ78の検知ロジックや、ETCアンテナ73及び77の動作等を切り換え、また、図示しない車線進行表示ランプ(通過可や通行不可の表示切換)や、図示しない車線規制ゲート等を開放し、更に、リバース車線まで誘導する物理的なバリヤ等の準備を整えた後に、リバース車線の逆方向でのゲート制御が運用開始される。
【0089】
上述のように、本実施形態によれば、車路2上の車両(移動体)の通行を規制するゲート装置1は、本体部11と、回動部13と、ゲートバー基部15と、ゲートバー16と、ゲートバー駆動部32と、回動駆動部22と、を備えている。そして、回動部13は、本体部11の上方に配置され、垂直方向に伸長する垂直回動軸12周りを回動可能となるように本体部11に支持されている。ゲートバー基部15は、一端側が回動部13に、水平方向に伸長する水平回動軸14周りを回動可能となるように支持され、他端側が水平回動軸14と交わる方向に伸長している。ゲートバー16は、中間部がゲートバー基部15の他端側に、ゲートバー基部15の伸長方向と交わる方向に伸長するリリース回動軸41周りを回動可能となるように支持され、一端側がゲートバー基部15の一端側に着脱可能に保持され、他端側がゲートバー基部15と同じ方向に伸長している。ゲートバー駆動部32は、ゲートバー基部15を、ゲートバー基部15及びゲートバー16が横臥する位置である横臥位置と、ゲートバー基部15及びゲートバー16が起立する位置である起立位置との間で水平回動軸14周りを回動させる。回動駆動部22は、車両の通行を規制するときには、横臥位置にあるゲートバー16が車路2を遮るように回動部13の位置を定め、また、ゲートバー16の一端側がゲートバー基部15の一端側から離脱してゲートバー16がリリース回動軸41周りを車両の移動方向に回動するリリース動作をしたときには、回動部13をゲートバー16の回動に追随するように回動させて、ゲートバー16の一端側をゲートバー基部15の一端側に接近又は接触させると共に、ゲートバー16の一端側をゲートバー基部15の一端側に保持させるように回動部の位置を定める。ゲートバー駆動部32及び回動駆動部22は、ゲートバー基部15及びゲートバー16を、車路2の進行方向(前後方向)において回動部13よりも一方側(前側)に配置させる一方、進行方向転換モードで動作するとき、回動部13、ゲートバー基部15及びゲートバー16を駆動して、ゲートバー基部15及びゲートバー16を、車路2の進行方向(前後方向)において回動部13よりも他方側(後側)に配置させる。
【0090】
このような構成により、本発明の本実施形態に係るゲート装置1では、車路2の進行方向を順方向と逆方向とで切り換えた場合でも、それぞれの進行方向に対応して車両の通行を規制することができると共に、それぞれの進行方向に対応した方向にゲートバーをリリースすることができる。従って、順方向用と逆方向用との2台のゲート装置を配置する必要がなく、設置コストを大幅に削減することができる。このため、ゲート装置1は、リバース車線に好適に設置されるので、進行方向を変更可能な車線の増加に貢献し、車線のフレキシブルな運用を可能にする。
【0091】
また、本実施形態に係るゲート装置1において、ゲートバー駆動部32及び回動駆動部22は、進行方向転換モードで動作するとき、ゲートバー16を一旦起立させた後に、ゲートバー基部15が車路2に接近する方向に回動部13を回動させて180度方向転換する。
【0092】
このような構成により、進行方向転換モードにおいて、ゲートバー基部15が車路側に接近するように回動部13が回動しても、ゲートバー基部15が起立しているために車路2に大きく突出することがなく、仮に車路上に車両が停車等している場合でも、安全に進行方向転換モードを動作させることができる。更に、回動駆動部22の回動範囲がリリース復帰動作も含めて180度内に収まるので、機構や検知スイッチの構成が複雑にならず、簡単に構成できる。
【0093】
また、本実施形態に係るゲート制御システム71では、上記したゲート装置1と、ゲート装置1を遠隔操作する管理PC81(遠隔操作部)と、を備え、管理PC81は、操作者の選択操作に応じて、ゲート装置1に対して進行方向転換モードを選択可能に構成される。
【0094】
このような構成により、係員等が管理PC81を用いた遠隔操作によってゲート装置1の進行方向転換モードを選択する簡易な手法で、車路2を順方向に使用する場合と逆方向に使用する場合とで、ゲート装置1を自動的に切り換えて対応させることができる。
【0095】
このように、本発明の実施形態によるゲート装置1及びゲート制御システム71によれば、進行方向が順方向と逆方向との間で切り換えられるリバース車線において、何れの進行方向に対してもリリース自動復帰動作が可能な機構を搭載したゲートを設置できる。これにより、順方向と逆方向とで、それぞれ異なるゲートを設置する必要がなく、設置コストが安価に押さえられる。従って、結果的に、リバース車線を多数設置することができ、車線のフレキシブルな運用が可能となる。
【0096】
なお、本実施形態では、ゲート装置1が、回動部13やゲートバー基部15及びゲートバー16の位相を検知するために、第1の横臥位置検知スイッチ53、起立位置検知スイッチ54、第2の横臥位置検知スイッチ55、第1の遮断位置検知スイッチ57、迎え位置検知スイッチ58及び第2の遮断位置検知スイッチ59を備える構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、ゲートバー基部15及びゲートバー16の位相(ゲートバー駆動モータ52の位相)を360度検知できるエンコーダと、起立位置を検知するセンサとを備えれば、ゲートバー基部15及びゲートバー16(ゲートバー駆動モータ52)の略180度に亘る動作の詳細な速度制御まで可能となる。また、例えば、他の実施形態では、回動部13(回動駆動モータ56)の0度、90度、180度の3箇所の位置検知を、第1の遮断位置検知スイッチ57と、迎え位置検知スイッチ58又は第2の遮断位置検知スイッチ59との組合せによって判定してもよい。
【0097】
上記では、本実施形態に係るゲート装置1の動作において、順方向を進行方向とする車路2の右側アイランド3Rに設置したゲート装置1Rについて説明し、左側アイランド1Lに設置したゲート装置1Lの説明を省略したが、このゲート装置1Lも、ゲート装置1Rと同様に、各スイッチのロジックと各モータの回動方向を転換させるだけで、容易に左右の同期動作の制御が可能である。また、上記の進行方向転換モードにより車路2の逆方向を進行方向とするように設定されたゲート装置1L及び1Rを、再度順方向に戻す動作は、詳細な説明は省略するが、上記の進行方向転換モードにおいて各部を逆回転させればよく、同様に容易に制御が可能である。
【0098】
更に、本実施形態では、回動駆動部22は、回動部13(回動駆動モータ56)の回動範囲が0度、90度、180度と変化するように動作させるが、進行方向転換モードにおいては、回動駆動部22は、回動部13(回動駆動モータ56)を迎え位置への動作と逆方向に回動させてもよい。なお、迎え位置への動作と同様に、ゲートバー保持部43が車路2に接近する方向に回動部13を回動させる構成では、回動部13の回動範囲を全体で180度に抑えることができ、回動部13が360度回動する構成に比べて、図示しない配線の引き回し等も容易に収容することができる。一方、ゲートバー保持部43が車路2に接近する方向と逆方向に回動部13を回動させる構成では、進行方向転換モード動作中に、車線側に突出して動作するものがないため、仮に車線上に車両が停車しているような場合であっても、転換動作が可能となる利点がある。そこで、進行方向転換モードにおける回動駆動部22による回動部13の回動方向を選択可能に構成してもよく、例えば、係員による管理PC81の操作によって、この回動方向を選択可能にしてもよい。
【0099】
また、本発明の進行方向転換モードを実現したゲート装置1は、左右アイランド3L及び3Rに配置されるゲート装置1Lと1Rとで共通化して構成されてよく、また、進行方向転換モードを必要としない他のゲート装置についても、なんら構造を変えないで共通化して構成されてよい。これにより、スケールメリットが増加して装置コストを低減化することができる。ゲート装置1を上記のように多岐に亘って共通化するために、回動筐体31や本体筐体21は、通常のゲート開閉動作の状態で上から見て、水平回動軸14と垂直回動軸12を通る線を中心にして略左右対称の外形形状が望ましい。更に、ゲートバー16は、横臥位置の状態で、前方から見てゲートバー16の長手方向で水平回動軸14を通る中心に対して上下対称の外形形状が望ましい。これらの外形形状は、概ね対称であればよく、メンテナンスのために備えられる開閉扉等は、何れの位置に設けられてもよい。
【0100】
また、本実施形態では、第1のストッパ23及び第2のストッパ24をアイランドに立設する構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、第1のストッパ23及び第2のストッパ24に代えて、本体筐体21からアーム等で延長して第1と第2のストッパ23、24に相当するストッパ部を予め本体筐体21と一体的に設ける構成でもよい。さらには、第1のストッパ23に相当するストッパ部のみを本体筐体21に取り付け、第2のストッパ24はアイランドに立設させるようにしてもよい。
【0101】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うゲート装置及びゲート制御システムもまた本発明の技術思想に含まれる。