【実施例】
【0082】
製造例1:平均粒径30μm以下のメリンジョ粉末の製造
メリンジョ種子乾燥物を気流粉砕機(YTK−5222:株式会社豊製作所)にて粉砕した。粉砕条件は、角型の12本の羽根のついたローターを用いて、ローター回転数が2600rpm、風量が60m
3/minであった。得られたメリンジョ粉末100mgを2−プロパノール(特級:和光純薬工業株式会社)10mlに分散させ、そして粒度分布測定装置(LS13 320:BECKMAN COULTER)を用いてメリンジョ粉末の粒度分布を測定した。粒度分布測定には、レーザー回析散乱法(JIS規格8825−1)を用いた。算術平均により算出したメリンジョ粉末の平均粒径は26μmであり、粒径が35μm以下のメリンジョ粉末のメリンジョ粉末総質量に対する割合は75質量%以上であった。
【0083】
製造例2:平均粒径40μm以下のメリンジョ粉末の製造
メリンジョ種子乾燥物を超遠心粉砕機(ZM−200:株式会社レッチェ)にて粉砕した。粉砕条件は、ローター回転数10000rpmとし、スクリーン0.25mmのメッシュを装着した。得られたメリンジョ粉末100mgを2−プロパノール(特級:和光純薬工業株式会社)10mlに分散し、そして粒度分布測定装置(LS13 320:BECKMAN COULTER)を用いて湿式方式で粒度分布を測定した。粒度分布測定には、レーザー回析散乱法(JIS規格8825−1)を用いた。算術平均により算出したメリンジョ粉末の平均粒径は35μmであり、粒径が35μm以下のメリンジョ粉末のメリンジョ粉末総質量に対する割合は67質量%以上であった。
【0084】
製造例3:平均粒径40μm超のメリンジョ粉末の製造
メリンジョ種子乾燥物を超遠心粉砕機(ZM−200:株式会社レッチェ)にて粉砕した。粉砕条件は、ローター回転数16000rpmとし、スクリーン0.5mmのメッシュを装着した。得られたメリンジョ粉末100mgを2−プロパノール(特級:和光純薬工業株式会社)10mlに分散し、そして粒度分布測定装置(LS13 320:BECKMAN COULTER)を用いて湿式方式で粒度分布を測定した。粒度分布測定には、レーザー回析散乱法(JIS規格8825−1)を用いた。算術平均により算出したメリンジョ粉末の平均粒径は52μmであり、粒径が35μm以下のメリンジョ粉末のメリンジョ粉末総質量に対する割合は51質量%以上であった。
【0085】
製造例4(参考):乾燥ゴーヤ粉末の製造
乾燥ゴーヤ粉末を、完熟していない青いゴーヤの種子とワタを除いた後、ミキサー(TM640:株式会社シェコム)で粉砕してから、真空凍結乾燥機(RLE-206:共和真空技術株式会社)で凍結乾燥して作製した。得られた乾燥ゴーヤ粉末100mgを2−プロパノール(特級:和光純薬工業株式会社)10mlに分散し、そして粒度分布測定装置(LS13 320:BECKMAN COULTER)を用いて湿式方式で粒度分布を測定した。粒度分布測定には、レーザー回析散乱法(JIS規格8825−1)を用いた。算術平均により算出した乾燥ゴーヤ粉末の平均粒径は34μmであり、粒径が35μm以下の乾燥ゴーヤ粉末の乾燥ゴーヤ粉末総質量に対する割合は63質量%以上であった。
【0086】
評価方法
以下の実施例、比較例及び参考例においては、製造されたチョコレート製品を訓練されたパネラー10名が試食を行うことにより評価した。具体的には、メリンジョ粉末を配合していない比較例(比較例1及び7)をコントロールとして、以下の評価項目について以下の評価基準に従って採点し、10名の合計点で評価した。
【0087】
評価項目
苦味の余韻:苦味が続く長さ
カカオマスの苦味:チョコレート本来の苦味
ブドウ皮のような苦味:ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味
かんきつ類の皮のような苦味:かんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味
渋柿のような苦味:舌に残り、甘み、酸味を打ち消すような苦味(悪味)
食感:チョコレートの食感の滑らかさ
【0088】
評価基準
食味の評価は以下のスコアで採点した。
2点:各評価項目を強く感じる
1点:各評価項目を感じる
0点:各評価項目を感じない
食感の評価は以下のスコアで採点した。
2点:ざらつきが全くなく、食感が非常になめらかである
1点:ざらつきが僅かに感じられるが、食感の滑らかさを保持している
0点:ざらつきがあり、食感の滑らかさに非常に欠ける
【0089】
実施例1〜13、比較例1〜7並びに参考例1及び2:ダークチョコレートの製造
以下の表1に示す配合量に従ってカカオマス(株式会社富澤商店)とメリンジョ粉末又は乾燥ゴーヤ粉末とをミキサー(KSM5WH:株式会社エフエムアイ)により周囲温度で5分間混合し、この混合物に以下の表1に示す配合量に従ってカカオバター(株式会社富澤商店)、粉糖(共立食品株式会社)、スクラロース(登録商標)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)、スキムミルク(株式会社富澤商店)及びレシチン(カーギルジャパン)を添加し、そしてミキサー(KSM5WH:株式会社エフエムアイ)により5分間周囲温度で混合して組成物を得た。その後、各組成物を卓上ミキサー(5DMV:株式会社品川工業所)により品温50℃に加温してから60分間混練してコンチング処理した後、氷水上で品温28℃まで低下させ、そして再び卓上ミキサーにより品温32℃まで加温してテンパリングを行ってチョコレート生地を得た。その後、チョコレート生地を型に流し込み、4℃で1時間冷却して固化させてチョコレート製品を得た。
【0090】
表1:ダークチョコレート製品中の各成分の配合比
【表1-1】
【表1-2】
【0091】
実施例1〜13、比較例1〜7及び参考例1及び2で製造されたチョコレートを、上記評価方法、評価項目及び評価基準により評価した。以下の表2に評価結果をまとめる。
【0092】
ダークチョコレートの評価
【表2】
【0093】
表2から分かるように、製造例1及び製造例2で製造されたメリンジョ粉末を含有する本発明のダークチョコレート(実施例1〜13)は、メリンジョ粉末を含有しない比較例1のダークチョコレートと比較して、カカオマス本来の苦味を損なわず、苦味の余韻が長く続き、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わり、チョコレートの食味が向上した。このような食味の向上により、実施例1〜10のダークチョコレートは、より高級感のある深みのある食味となった。さらに、実施例1〜13のダークチョコレートは、比較例1のダークチョコレートに匹敵する食感を有していた。
これに対し、メリンジョ粉末の含有量が5質量%よりも少ないと、ブドウ皮のような苦味やかんきつ類の皮のような苦味がさほど付与されず、実施例のようにダークチョコレートの食味を顕著に向上させることができない(比較例2参照)。
【0094】
また、表2から、メリンジョ粉末の含有量が増加すると、苦味の余韻、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味が増す傾向にあり、このような好ましい苦味は、10〜20質量%の含有量で最大になることが分かる。しかし、メリンジョ粉末含有量が20質量%を超えて30質量%になると、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味といった好ましい苦味が若干減り、僅かながら渋柿のような苦味を感じるようになる。このような渋柿のような苦味は、メリンジョ粉末の含有量が35質量%になると、かなり強く感じるようになる(比較例3)。また、ダークチョコレートの食感は、メリンジョ粉末含有量が増加すると悪化する傾向があるが、5質量%〜20質量%の含有量のときにメリンジョ粉末を含有しないチョコレートと遜色のない食感が保持されることが分かった。
以上のことから、ダークチョコレートにおいて最適な食味と食感とのバランスを与えるメリンジョ粉末含有量は10〜20質量%であることが分かった。
【0095】
さらに、本発明の組成物によれば、油脂分の少ない高カカオチョコレートにおいても、カオマス本来の苦味を損なわず、苦味の余韻が長く続き、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わった高級感のある深みのある食味をもたらすことができると共に、チョコレート本来の食感を損なわないことが分かった(実施例5参照)。
【0096】
また、表2から、製造例3で製造されたメリンジョ粉末を含有する組成物から得られたダークチョコレートは、ざらつきがあり滑らかさに欠ける食感であることが分かる。
【0097】
ダークチョコレートに苦味を付与するために、メリンジョ粉末の代わりに製造例4の乾燥ゴーヤ粉末(3質量%)を使用した場合には、苦味の余韻、カカオマスの苦味を高める効果があるものの、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わった高級感のある深みのある食味をもたらすことはなかった(参考例1)。また、乾燥ゴーヤ粉末の含有量を増加させても(5質量%;参考例2)、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わることはなかった。その代わりに、ゴーヤそのものの尾を引く青臭い苦味が強く出て薬味のような風味が加わり、カカオマスの苦味との調和に欠けるものとなった。
【0098】
実施例14〜21、比較例8〜14並びに参考例3及び4:中程度の無脂ココア固形分チョコレートの製造
これらの例では、実施例1〜13のダークチョコレートと同等又はそれよも低い無脂ココア固形分を有し、かつ、乳製品含有量の多いチョコレート(以下、中程度の無脂ココア固形分チョコレート)を製造し、その食味を評価する。以下の表3に示す配合量に従ってカカオマス(株式会社富澤商店)とメリンジョ粉末又は乾燥ゴーヤ粉末とをミキサー(KSM5WH:株式会社エフエムアイ)により周囲温度で5分間混合し、この混合物に以下の表3に示す配合量に従ってカカオバター(株式会社富澤商店)、粉糖(共立食品株式会社)、スクラロース(登録商標)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)、スキムミルク(株式会社富澤商店)及びレシチン(カーギルジャパン)を添加し、そしてミキサー(KSM5WH:株式会社エフエムアイ)により5分間周囲温度で混合して組成物を得た。その後、各組成物を卓上ミキサー(5DMV:株式会社品川工業所)により品温50℃に加温してから60分間混練してコンチング処理した後、氷水上で品温28℃まで低下させ、そして再び卓上ミキサーにより品温32℃まで加温してテンパリングを行ってチョコレート生地を得た。その後、チョコレート生地を型に流し混み、4℃で1時間冷却して固化させてチョコレート製品を得た。
【0099】
中程度の無脂ココア固形分チョコレート製品中の各成分の配合比
【表3】
【0100】
実施例14〜21、比較例8〜14及び参考例3及び4で製造された中程度の無脂ココア固形分チョコレートを、上記評価方法、評価項目及び評価基準により評価した。以下の表4に評価結果をまとめる。
【0101】
中程度の無脂ココア固形分チョコレートの評価
【表4】
【0102】
表4から分かるように、製造例1及び2で製造されたメリンジョ粉末を含有する本発明の中程度の無脂ココア固形分チョコレート(実施例14〜21)は、メリンジョ粉末を含有しない比較例8のチョコレートと比較して、苦味の余韻が長く続き、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わり、チョコレートの食味が向上した。このような食味の向上により、実施例14〜21のチョコレートは、中程度の無脂ココア固形分チョコレートにもかかわらず食味に深みが出て、より高級感のある成人の嗜好にあった風味となった。さらに、実施例14〜21の中程度の無脂ココア固形分チョコレートは、比較例8の中程度の無脂ココア固形分チョコレートに匹敵する食感を有していた。
これに対し、メリンジョ粉末の含有量が5質量%よりも少ないと、ブドウ皮のような苦味やかんきつ類の皮のような苦味がさほど付与されず、実施例のように中程度の無脂ココア固形分のチョコレートの食味を顕著に向上させることができない(比較例9参照)。
【0103】
また、表4から、ダークチョコレートの場合と同様に、メリンジョ粉末の含有量が増加すると、苦味の余韻、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味が増す傾向にあり、このような好ましい苦味は、10〜20質量%の含有量で最大になることが分かる。しかし、メリンジョ粉末含有量が20質量%を超えて30質量%になると、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味といった好ましい苦味が若干減り、僅かながら渋柿のような苦味を感じるようになる。このような渋柿のような苦味は、メリンジョ粉末の含有量が35質量%になると、かなり強く感じるようになる(比較例10)。また、ダークチョコレートの場合と同様に、中程度の無脂ココア固形分チョコレートの食感もメリンジョ粉末含有量が増加すると悪化する傾向があるが、5質量%〜20質量%の含有量のときにメリンジョ粉末を含有しないチョコレートと遜色のない食感が保持されることが分かった。
以上のことから、中程度の無脂ココア固形分チョコレートにおいても、最適な食味と食感とのバランスを与えるメリンジョ粉末含有量は10〜20質量%であることが分かった。
【0104】
また、中程度の無脂ココア固形分チョコレートの食味について、苦味の余韻、カカオマスの苦味、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味のいずれも、従来のダークチョコレートの食味を超えるものであり、かつ、本発明のメリンジョ粉末を含有するダークチョコレートに匹敵するものであった(表2の比較例1及び実施例1〜13も参照)。したがって、本発明は、中程度の無脂ココア固形分チョコレートの場合であっても、従来のダークチョコレートよりも複雑さ及び深みが付与された高級感のある食味をもたらすという予想外の効果を奏することが分かった。
【0105】
また、表4から、製造例3で製造されたメリンジョ粉末を含有する中程度の無脂ココア固形分チョコレートは、ざらつきがあり滑らかさに欠ける食感であることが分かる。
【0106】
中程度の無脂ココア固形分チョコレートに苦味を付与するために、メリンジョ粉末の代わりに乾燥ゴーヤ粉末(3質量%)を使用した場合には、苦味の余韻、カカオマスの苦味を高める効果があるものの、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わった高級感のある深みのある食味をもたらすことはなかった(参考例3)。また、乾燥ゴーヤ粉末の含有量を増加させても(5質量%;参考例4)、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わることはなかった。その代わりに、ゴーヤそのものの尾を引く青臭い苦味が強く出て薬味のような風味が加わり、カカオマスの苦味との調和に欠けるものとなった。
【0107】
実施例22〜32、比較例15〜22並びに参考例5及び6:カカオマスを含まないチョコレート及び低程度の無脂ココア固形分チョコレートの製造
これらの例では、カカオマスを含まず、かつ、乳製品含有量の多いチョコレート及び実施例14〜21と同等又はそれよりも低い無脂ココア固形分含有量を有し、かつ、乳製品含有量の多いチョコレート(以下、それぞれカカオマスを含まないチョコレート及び低程度の無脂ココア固形分チョコレート)を実施例14〜21、比較例8〜14並びに参考例3及び4と同様の方法で製造したが、ただし、スクラロースを使用せず、また乳脂肪として無塩バター(雪印メグミルク株式会社)を使用した。カカオマスを含まないチョコレート及び低程度の無脂ココア固形分チョコレートに使用した成分は次のとおりである。
【0108】
【表5】
【0109】
実施例22〜32、比較例15〜22並びに参考例5及び6で製造されたカカオマスを含まない又は低程度の無脂ココア固形分チョコレートを、上記評価方法、評価項目及び評価基準により評価した。以下の表6に評価結果をまとめる。
【0110】
カカオマスを含まない又は低程度の無脂ココア固形分チョコレートの評価
【表6】
【0111】
表6から分かるように、製造例1及び2で製造されたメリンジョ粉末を含有する本発明の低程度の無脂ココア固形分チョコレート(実施例22〜24及び実施例26〜28)は、メリンジョ粉末を含有しない比較例15のチョコレートと比較して、苦味の余韻が長く続き、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わり、チョコレートの食味が向上した。このような食味の向上により、実施例22〜24及び実施例26〜28のチョコレートは、低程度の無脂ココア固形分チョコレートにもかかわらず食味に深みが出て、より高級感のある成人の嗜好にあった風味となった。さらに、実施例22〜24及び実施例26〜28の低程度の無脂ココア固形分チョコレートは、比較例15の低程度の無脂ココア固形分チョコレートに匹敵する食感を有していた。
これに対し、メリンジョ粉末の含有量が5質量%よりも少ないと、ブドウ皮のような苦味やかんきつ類の皮のような苦味がさほど付与されず、実施例のように低程度の無脂ココア固形分チョコレートの食味を顕著に向上させることができない(比較例16参照)。
【0112】
また、表6から、メリンジョ粉末の含有量が増加すると、苦味の余韻、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味が増す傾向にあり、このような好ましい苦味は、10〜20質量%の含有量で最大になることが分かる。また、ダークチョコレートの場合と同様に、低程度の無脂ココア固形分チョコレートの食感もメリンジョ粉末含有量が増加すると悪化する傾向があるが、5質量%〜20質量%の含有量のときにメリンジョ粉末を含有しないチョコレートと遜色のない食感が保持されることが分かった。
以上のことから、低程度の無脂ココア固形分チョコレートにおいても、最適な食味と食感とのバランスを与えるメリンジョ粉末含有量は10〜20質量%であることが分かった。
【0113】
また、低程度の無脂ココア固形分チョコレートの食味について、苦味の余韻、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味のいずれも、従来のダークチョコレートの食味を超えるものであった(表2の比較例1)。したがって、本発明は、低程度の無脂ココア固形分チョコレートの場合であっても、従来のダークチョコレートよりも複雑さ及び深みが付与された高級感のある食味をもたらすという予想外の効果を奏することが分かった。
【0114】
また、表6から、製造例3で製造されたメリンジョ粉末を含有する低程度の無脂ココア固形分チョコレートは、ざらつきがあり滑らかさに欠ける食感であることが分かる(比較例19〜22)。
【0115】
低程度の無脂ココア固形分チョコレートに苦味を付与するために、メリンジョ粉末の代わりに乾燥ゴーヤ粉末(3質量%)を使用した場合には、苦味の余韻を高める効果があるものの、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わった高級感のある深みのある食味をもたらすことはなかった(参考例5)。また、乾燥ゴーヤ粉末の含有量を増加させても(5質量%;参考例6)、ブドウ皮のような仄かな収斂を感じる苦味及びかんきつ類の皮のような酸味を伴った苦味が加わることはなかった。その代わりに、ゴーヤそのものの尾を引く青臭い苦味が強く出て薬味のような風味が加わり、カカオマスの苦味との調和に欠けるものとなった。
【0116】
また、表6を参照すると、カカオマスを含まないチョコレートは、苦味の余韻、カカオマスの苦味、ブドウの皮のような苦味、かんきつ類の皮のような苦味といったチョコレートにとって好ましい食味がない(比較例18)。しかしながら、このカカオマスを含まないチョコレートに本発明のメリンジョ粉末を加えると、「カカオマスの苦味」が加わるのみならず、苦味の余韻、ブドウの皮のような苦味、かんきつ類の皮のような苦味が加わったチョコレートとなった(実施例25及び29〜32参照)。また、このメリンジョ粉末を加えたカカオマスを含まないチョコレートの「カカオマスの苦味」は、従来の低程度のカカオ成分チョコレートの「カカオマスの苦味」に匹敵するものであった(実施例25及び29〜32と比較例15との比較)。さらに、メリンジョ粉末を加えたカカオマスを含まないチョコレートの食味は、メリンジョ粉末を含む低程度のカカオ成分チョコレートの食味に匹敵するものであった(実施例25及び29〜32と実施例22〜24参照)。
したがって、本発明のメリンジョ粉末は、カカオマスの代替品としての役割を果たすのみならず、チョコレート製品にとって好ましい食味をさらに付与することができると言える。
【0117】
また、表6を参照すると、本発明のメリンジョ粉末を加えたカカオマスを含まないチョコレートは、メリンジョ粉末を含まない従来の低程度のカカオ成分チョコレートに匹敵する食感を有していた(実施例25及び29〜32と比較例15及び18との比較)。
【0118】
さらに、表6から、カカオマスを含まないチョコレートにおいて、メリンジョ粉末の含有量が増加すると、苦味の余韻、ブドウ皮のような苦味及びかんきつ類の皮のような苦味が増す傾向にあり、このような好ましい苦味は、10〜20質量%の含有量で最大になることが分かる。また、カカオマスを含まないチョコレートの食感はメリンジョ粉末含有量が増加すると悪化する傾向があるが、5質量%〜20質量%の含有量のときにメリンジョ粉末を含有しないチョコレートと遜色のない食感が保持されることが分かった。
以上のことから、カカオマスを含まないチョコレートにおいて、最適な食味と食感とのバランスを与えるメリンジョ粉末含有量は10〜20質量%であることが分かった。