(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475659
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】椅子及びそれを含む組立体
(51)【国際特許分類】
A47C 7/46 20060101AFI20190218BHJP
A47C 7/42 20060101ALI20190218BHJP
A47C 7/62 20060101ALN20190218BHJP
【FI】
A47C7/46
A47C7/42
!A47C7/62 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-68050(P2016-68050)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-176454(P2017-176454A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】原島 徹
(72)【発明者】
【氏名】中野 美喜男
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−151143(JP,U)
【文献】
特開昭51−128869(JP,A)
【文献】
実公昭41−014523(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3088318(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3180766(JP,U)
【文献】
米国特許第06299248(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00
A47C 7/46
A47C 7/42
A47C 7/62
A61G 5/02
A61G 5/10
A61G 13/12
A61G 15/10
A61H 7/00
B60N 2/66
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部と、前記座面部から上方に向けてのびる背もたれ部とを有する椅子であって、
前記背もたれ部には、前記背もたれ部に沿って上下方向に移動自在な台座が設けられ、
前記背もたれ部は、前記座面部から前記背もたれ部の上端まで、その幅が等しく、
前記台座の幅は、前記背もたれ部の前記幅に略等しいことを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記台座は、前記背もたれ部に着脱自在に設けられている請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記台座は、前記背もたれ部から、着座した使用者の前方に向けて突出する支持部と、前記座面部からの高さを任意の位置で固定するための基部とを含む請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項4】
前記基部には、前記背もたれ部が挿通されるガイド部が形成されている請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の椅子と、前記台座に取り付けられたクッションとを含むことを特徴とする組立体。
【請求項6】
前記台座は、前記台座に前記クッションが取り付けられることにより、前記座面部からの高さが任意の位置で固定される固定機構を有する請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記クッションは、マッサージ機能を有する請求項5又は6に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ部に台座が設けられた椅子及びそれを含む組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背もたれ部に、クッション等を取り付けるための取付部材が設けられた椅子が提案されている。例えば、下記特許文献1の椅子は、背もたれ部に取付部材が装着される。この取付部材には、クッション等を取り付けるための係止具が設けられている。クッションを係止具に取り付けることにより、背もたれ部の所定の高さにクッションが保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−169836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、係止具が予め定められた位置に固定されていたため、背もたれ部に対するクッションの位置を自在に調整することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、背もたれ部の任意の高さに、クッション等を取り付けることが可能な椅子及びそれを含む組立体を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、座面部と、前記座面部から上方に向けてのびる背もたれ部とを有する椅子であって、前記背もたれ部には、前記背もたれ部に沿って上下方向に移動自在な台座が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る椅子において、前記台座は、前記背もたれ部に着脱自在に設けられているのが望ましい。
【0008】
本発明に係る椅子において、前記背もたれ部は、前記座面部から前記背もたれ部の上端まで、その幅が等しいのが望ましい。
【0009】
本発明に係る椅子において、前記台座の幅は、前記背もたれ部の前記幅に略等しいのが望ましい。
【0010】
本発明に係る椅子において、前記台座は、前記背もたれ部から、着座した使用者の前方に向けて突出する支持部と、前記座面部からの高さを任意の位置で固定するための基部とを含むのが望ましい。
【0011】
本発明に係る椅子において、前記基部には、前記背もたれ部が挿通されるガイド部が形成されているのが望ましい。
【0012】
上述の椅子と、前記台座に取り付けられたクッションとを含むことを特徴とする組立体のが望ましい。
【0013】
本発明に係る組立体において、前記台座は、前記台座に前記クッションが取り付けられることにより、前記座面部からの高さが任意の位置で固定される固定機構を有するのが望ましい。
【0014】
本発明に係る組立体において、前記クッションは、マッサージ機能を有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、背もたれ部には、背もたれ部に沿って上下方向に移動自在な台座が設けられている。このような台座は、クッション等の所望の物品が取り付け可能であるとともに、背もたれ部の任意の位置に自在に移動させることができる。したがって、本発明の椅子は、台座に支持されたクッション等の座面部からの高さを、容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の椅子の一実施形態を示す斜視図である。
【
図7】椅子とクッションとを含む組立体の斜視図である。
【
図9】台座の位置を移動させた組立体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1には、本実施形態の椅子1の斜視図が示されている。
図1に示されるように、本実施形態の椅子1は、床面F(図示省略)に設置される脚部2と、使用者の臀部を支持する座面部3と、座面部3の後方bb側から上方に向けてのびる背もたれ部4とを有している。
【0018】
本明細書では、矢印aで示されるように、床面Fに垂直な方向を上下方向aとし、矢印bで示されるように、上下方向aに直交する方向であって、使用者が背もたれ部4に背中をもたれるように着座したときの使用者(以下、「着座した使用者」という。)の正面側及び背面側を前後方向bとする。ここで、前後方向bのうち、座面部3の背もたれ部4側、すなわち、着座した使用者の背面側を後方bb、その反対側で、着座した使用者の正面側を前方bfとする。また、矢印cで示されるように、上下方向aと前後方向bとに直交する方向で、着座した使用者の左右側を左右方向cとする。さらに、左右方向cにおける長さを幅とする。
【0019】
本実施形態の脚部2は、前方bfに2本の前脚部2Aを有し、後方bbに背もたれ部4から連続してのびる1本の後脚部2Bを有している。なお、後脚部2Bは、2本であってもよい。
【0020】
本実施形態の座面部3は、略矩形状である。座面部3は、例えば、前方bf側が後方bb側よりも、その幅が大きい。なお、座面部3の形状は、矩形状に限定されるものではなく、例えば、三角形状や円形状であってもよい。
【0021】
図2には、椅子1の側面図が示されている。
図2に示されるように、座面部3は、前方bf側が後方bb側よりも上方に位置するように傾斜しているのが望ましい。このような座面部3は、使用者が安定して着座することができる。
【0022】
図3には、椅子1の正面図が示されている。
図3に示されるように、本実施形態の背もたれ部4は、座面部3から背もたれ部4の上端4aまで、その幅W1が等しい。背もたれ部4は、その上端4aが使用者の頭部を超えた位置となるように、上方に向けてのびるのが望ましい。このような背もたれ部4は、後述するように、台座5を使用者の腰部付近から頭部付近まで移動させることができる。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、背もたれ部4は、例えば、座面部3から上方にのびる第1背もたれ部4Aと、第1背もたれ部4Aから後方bb側へ傾斜する第2背もたれ部4Bと、第2背もたれ部4Bから上端4aまでのびる第3背もたれ部4Cとを有している。第1背もたれ部4Aと第3背もたれ部4Cとは、略平行に構成されているのが望ましい。このような背もたれ部4は、後述するように、使用者の背面に沿って、台座5を移動させることができる。なお、背もたれ部4は、座面部3から上端4aまで、直線状に形成されていてもよい。
【0024】
本実施形態の椅子1は、背もたれ部4の前方bf側(すなわち、座面部3側)に、背もたれ部4に沿って上下方向aに移動自在な台座5が設けられている。台座5は、例えば、背もたれ部4の上端4a側から取り付けられ、背もたれ部4に着脱自在に設けられている。このような台座5は、クッション10(
図7に示す)等の所望の物品が取り付け可能であるとともに、背もたれ部4の任意の位置に自在に移動させることができる。
【0025】
図3に示されるように、台座5の幅W2は、背もたれ部4の幅W1に略等しいのが好ましい。このような台座5は、コンパクトに構成することができ、かつ、クッション10(
図7に示す)等の所望の物品を安定した状態で支持することができる。なお、台座5の幅W2は、背もたれ部4の幅W1とは異なるものであってもよい。
【0026】
図4には、台座5の斜視図が示されており、
図5には、台座5の平面図が示されている。
図4及び
図5に示されるように、本実施形態の台座5は、所望の物品を支持する支持部6と、背もたれ部4が挿通されかつ台座5を背もたれ部4の任意の位置に固定する基部7とを含んでいる。
【0027】
本実施形態の支持部6は、背もたれ部4から前方bfに向けて突出しており、その上面に所望の物品を載せることができる。支持部6は、例えば、左右方向cに一対の第1支持部6Aと、両第1支持部6Aを連結する第2支持部6Bとを含んでいる。
【0028】
図6には、台座5の側面図が示されている。
図6に示されるように、第1支持部6Aは、例えば、上面が円弧状に湾曲した形状を有している。第1支持部6Aの前方bf側及び後方bb側の上面位置は、第1支持部6Aの中央部の上面位置よりも上方であるのが望ましい。このような第1支持部6Aは、所望の物品を、安定した状態で支持することができる。
【0029】
図5に示されるように、第2支持部6Bは、例えば、中央部が後方側に凹むように円弧状に湾曲した形状を有している。このような第2支持部6Bは、使用者に接することが少なく、使用者に違和感を生じさせない。
【0030】
本実施形態の基部7は、例えば、左右方向cに一対の第1基部7Aと、両第1基部7Aを連結する第2基部7Bとを含んでいる。各第1基部7Aは、それぞれ、平面視で略コ字状に形成されている。第1基部7Aの幅W3は、第1支持部6Aの幅W4に等しいのが好ましい。第1基部7Aと第1支持部6Aとは、連続して形成されるのが望ましい。
【0031】
図4に示されるように、第1基部7Aには、例えば、背もたれ部4が移動自在に挿通される上下方向aにのびた溝形状のガイド部8が形成されている。ガイド部8は、上方側に上側開口部8Aを有し、下方側に下側開口部8Bを有している。このようなガイド部8は、背もたれ部4への取り付けが容易であるとともに、後述するように、台座5の座面部3(
図1に示す)からの高さを、任意の位置に容易に調整することができる。
【0032】
第2基部7Bは、例えば、上下方向aにのびる複数のリブ9が設けられている。このような第2基部7Bは、強度と軽量化とを両立することができる。また、リブ9は、背もたれ部4と第2基部7Bとの接触面積を低減させ得る。このため、後述するように、台座5は、背もたれ部4に対する移動が容易に行われ得る。このような支持部6及び基部7を有する台座5は、構造が単純であり、故障や破損のおそれが少ない。
【0033】
図7には、椅子1とクッション10とを含む組立体11の斜視図が示される。
図7に示されるように、本実施形態のクッション10は、台座5の支持部6の上に取り付けられる。台座5は、例えば、台座5にクッション10が取り付けられることにより、座面部3からの高さが任意の位置で固定される固定機構12を有している。このような椅子1は、台座5に支持されたクッション10等の座面部3からの高さを、容易に調整することができる。
【0034】
図8には、固定機構12の断面図が示されている。
図4及び
図8に示されるように、本実施形態の固定機構12は、ガイド部8により構成される。固定機構12は、上側開口部8Aの後方bb側のエッジ8Abと下側開口部8Bの前方bf側のエッジ8Bfとにより構成されるのが望ましい。上側開口部8Aの後方bb側のエッジ8Ab及び下側開口部8Bの前方bf側のエッジ8Bfは、それぞれ、背もたれ部4に向けて鋭角に突出するように形成されているのが望ましい。本実施形態では、この固定機構12と、背もたれ部4との摩擦力とを用いて、台座5の位置を固定している。
【0035】
すなわち、台座5には、台座5にクッション10が取り付けられることにより、支持部6に下向きの力fが作用する。このとき、台座5には、基部7を中心に回転させるモーメントが作用する。すると、台座5のガイド部8は、背もたれ部4に対して傾斜する。このため、台座5は、基部7の上側開口部8Aの後方bb側のエッジ8Ab及び下側開口部8Bの前方bf側のエッジ8Bfと、背もたれ部4との摩擦力が大きくなり、上下方向aの位置が固定され得る。
【0036】
一方、台座5のガイド部8と背もたれ部4とが接触しない状態となったとき、台座5が上下方向aに移動自在となる。このため、台座5からクッション10を取り外すことで、クッション10が所定の高さとなるように台座5の上下方向aの位置を変更し、台座5にクッション10を取り付けることで、その高さを固定することができる。本実施形態の固定機構12は、上述の機能を有しているので、台座5の座面部3からの高さを任意の位置に無段階で容易に調整することができる。
【0037】
なお、固定機構12は、例えば、凹凸構造を用いて、台座5を有段階で固定してもよい。このような固定機構12は、台座5の上下方向aの位置をより確実に固定することができる。
【0038】
図9には、台座5の位置を移動させた組立体11の側面図が示されている。
図9に示されるように、台座5は、椅子1の座面部3に接する位置まで下げることができる。本実施形態の椅子1は、台座5をこの位置まで下げることで、クッション10を使用者の腰部付近に当接させることができる。また、この椅子1は、台座5をこの位置まで下げることで、例えば、クッション10を取り付けない場合でも、台座5を取り外すことなく、通常の椅子として使用することができる。なお、図示は省略されるが、この椅子1は、台座5を、背もたれ部4の上端4a近傍まで移動させることで、クッション10を使用者の頭部付近に当接させることができる。
【0039】
図7及び
図9に示されるように、クッション10は、マッサージ機構を有しているのが望ましい。このようなクッション10は、使用者の任意の部位をマッサージすることができる。このような組立体11は、台座5の座面部3からの高さが容易に調整され得るので、マッサージする部位を容易に調整することができる。
【0040】
なお、上述の実施形態の台座5は、クッション10を取り付けるために用いられていたが、例えば、支持部6を背もたれ部4の後方bbに向けて背もたれ部4に取り付けることもできる。このとき、第2支持部6Bには、例えば、ハンガーや傘等がかけられ、下向きの力fが作用することで、その高さが固定される。
【0041】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【符号の説明】
【0042】
1 椅子
3 座面部
4 背もたれ部
5 台座