【実施例】
【0078】
(実施例1)
ACGスライドの表面特性
厚さが少なくとも100nmの純アルミニウム(99.999%)の層をマイクロガラススライド上に各種のコーティング技法、たとえばマグネトロンスパッタリング、カソードアーク蒸発、および熱コーティングによってコートした。これらのスライドは、さらに操作を行わずに使用するか、または使用前に電気的にアノード酸化を行うかのどちらかであった。実施により、
図3は、ACGスライドの走査電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、およびX線光電子分光法(XPS)によって決定した、その表面形態、組成、およびあらさを示す。
図3Aは、カソードアーク蒸発によって蒸着されたアルミニウムを示す。
図3Bは、マグネトロンスパッタリングによって蒸着されたアルミニウムコーティングを示し、
図3Cは、熱コーティングと、続いての電気化学的表面アノード酸化によって得たアルミニウムAAO/ACGスライドを示す。
【0079】
見てわかるように、カソードアーク蒸発によって産生されたACGスライドは、大型顆粒のコーティングおよび高い表面あらさを有する。表面あらさが高いスライドは、表面濡れ特性に影響を及ぼす。マグネトロンスパッタリングしたACGスライドによって、許容される表面あらさが得られた;しかし、このスライドは、所望のコーティング厚を達成するために長いコーティング時間が必要であり、この研究の初期段階でのみ使用した。熱コートACGスライドは、比較的短時間で所望のコーティング厚を達成した。このスライドによって、表面あらさが10nmの最も平滑な表面が得られた。続いての表面アノード酸化処理によって、ACGスライドではグラフト化のための安定な表面が得られた。アノード酸化したスライド表面のみが、
図4に示すように、100%酸化アルミニウムによって覆われていた。
【0080】
図4に示す実験データの実施により、a)カソードアーク蒸発によって得られたNAO/ACGスライド、b)マグネトロンスパッタリングによって得られたNAO/ACGスライド、およびc)熱コーティングと続いての表面アノード酸化によって得られたAAO/ACGスライドの表面組成のXPSスペクトルが示されている。284.5eVにおけるC(1s)および531eVにおけるO(1s)の結合エネルギーを使用して、これらのスペクトルの結合エネルギーを校正した。ACGスライドの電気抵抗(両端間距離)は1.6〜4Ωとの間で測定された。これらのスライドは、酸化物層が厚くなったときに、非導電性となった。XPSの侵入深さは20〜50Åであり、本研究での酸化物層(NAOまたはAAOのどちらか)の厚さは、断面積から5nm以下であることが推定された。
【0081】
ガラススライド上にコートされたアルミニウムの厚さは100nm未満である必要があるため、基材は可視領域内で不透明のままである。透明基材を使用するとき、蛍光の一部が基材を通過して、スキャナはCy3蛍光の一部のみを検出した。不透明ACGスライドをバックグラウンド基材として使用したときには、装置はさらなる蛍光を検出した。
【0082】
図5は、マイクロガラススライドの光学特性と比較した、ACGスライドの光学特性のデータを示す。半透明ACGスライド上にコートしたアルミニウムの厚さはわずか2、3ナノメータであり、反射性ACGスライド上のアルミニウムの厚さは約300nmであった。
図5は、マイクロガラススライド、半透明ACGスライド、および全反射(不透明)ACGスライドの光学特性を示す。
図5Aでは、1000×、2000×、5000×、10000×、および20000×に希釈した1mg/mLのCy3−ストレプトアビジンの一連の溶液をこれらのスライドそれぞれにスポットして、空気乾燥させて、アレイWoRx蛍光分光計によって分析した。装置には波長540nmの光源が装備されていた。波長595nmの蛍光がスライド表面から放出され、検出装置によって検出した。スキャナによって、透明ガラススライドでは5000×希釈までしか蛍光が検出されなかったが、半透明ACGスライドおよび全反射ACGスライドでは、それぞれ10000×および20000×倍希釈まで検出され、コートされたアルミニウムの厚さは前者の2、3ナノメートルから後者の100nm超まで変化した。
図5Bは、各基材の実際に計算した蛍光強度が示されている実験データの実施を示す。
【0083】
(実施例2)
表面活性化
スクリーニング実験では、スライド表面活性化について、酸素、アルゴン、ならびに酸素およびアルゴンの混合ガスのプラズマを試験した。残留物(CO、CO
2、およびH
2O)を真空下で除去した。所望の有機化合物のグラフト化の化学的な成功に寄与しているのは、この表面汚染物質の除去である。表面は、全反射減衰フーリエ変換赤外(ATR/FTIR)分光計を使用して測定した。
図6に示すように、ATR/FTIRスペクトルは、800〜1100cm
−1付近にAl−OHピークを示し、表面が表面洗浄プロセスの後にAl−OHに変換されたことを指摘した。実施により、プラズマ処理は、ACGスライドの表面を洗浄するおよび「軽くさする」のに十分なだけのプラズマエネルギーを使用して、有機汚染物質を除去するが、下にある表面をエッチングすることなくアルミナ層をなお保持している。活性化プロセスは、270〜300mTorrのガス流圧の下で、わずか6.8W(680Vにて)のエネルギーを10分間使用することによって正常に完了した。アルゴンプラズマは、後の実験で観察されるように、糖誘導体をグラフトするために最も有効であることが判明した。
図6に示すように、800〜1100cm
−1領域におけるAl−OHピーク強度は、プラズマ処理の25〜99分後に著しく低下した。
【0084】
プラズマ処理後の親水性表面は、おそらく表面上に酸化物層が再形成するために、徐々に疎水性となった。基材表面からのAl−OHの消失をATR/FTIR分光法によって追跡した。800〜1100cm
−1領域におけるAl−OHピーク強度は、
図6に示すように、数時間にわたって著しく低下した。実施により、ACGスライドをプラズマ処理の直後に、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(APDMES)によって活性化する。この活性化されたACG表面を使用して、反応の次のステップにおいて、PCLを用いてマンノースおよびラクトース糖誘導体を固定化した。
【0085】
図7に示すように、表面の水接触角は表面活性化の間に変化した。
図7により、ACGスライドの水接触角の代表的な変化を示す。
図7Aは、溶媒で洗浄したACGスライドを示す;
図7Bは、プラズマで処理したACGスライドを示す;および
図7Cは、3−アミノ−プロピルジメチルエトキシシランによって活性化したACGスライドを示す。これらの試料は、不透明マグネトロンでスパッタリングしたACGスライドを用いた例として作製および測定した。したがって、接触角の測定は、活性化プロセスの完了の迅速な確認手段として使用できる。表面あらさが高い基材は、より小さい接触角を与える傾向がある。
【0086】
(実施例3)
ACGスライドの活性化表面上に固定化されたPCLを有するマンノース
図2に示すように、カルボキシ官能基を有する化合物27を合成した。HBTUおよび化合物27の溶液を、ACGスライドの活性化表面に手動でスポットして、マイクロアレイ化した。室温にて一晩で、ACGスライドの表面上でアミド形成が起こった。すべての塩残留物ならびに未結合マンノース誘導体をメタノールおよび脱イオン水によって完全に洗い流した。これらすべての調製の後、質量同定およびタンパク質結合評価のための物質の準備が整っていた。
【0087】
(実施例4)
ACGスライドにグラフトされた糖誘導体の質量分光分析
マトリクスを含まない多孔性ケイ素表面(DIOS)によって、試料の断片化が無視できるほどの分子−イオンピークが生じた。ACGスライドの寸法(75.5×25.4×1mm
3)は、ultraflex質量分光装置に合致した;スライドは、
図8および9に示すように、処理の各ステップで分析した。
【0088】
図8は、ultraflex質量分析法による糖(マンノース)誘導体の選択的結合切断および検出の実施スキームを示す。
【0089】
図9Aおよび9Bは、純アルミニウム板およびACGスライドに対する早期実験のMSデータを示し、これによりマンノースのピーク強度は比較的低かった。
図9Aは、(A)99.999%純アルミニウム板(厚さ1mm)および(B)カソードアーク蒸発によって形成されたACGスライドにグラフトされた、PCLを有するマンノースのUltraflex TOF質量スペクトルを示す。(C)は、ACGスライドのカソードアーク蒸発のバックグラウンド信号を表す。
図9Bは、興味のあるm/z領域における
図9AのUltraflex TOF質量スペクトルを示す。
【0090】
図9Cは、興味のあるm/z領域における、カソードアーク蒸発によって形成されたACGスライド上にグラフトされた、PCLを有するマンノースのTOF質量スペクトルを示す。さらに詳細には、
図9Cは、表面活性化条件が最適化され、マンノース誘導体のピーク強度が高かった、カソードアーク蒸発によって産生されたACGスライドのMSデータを示す。基材によってm/z415および451における大きいバックグラウンドピークが与えられ(
図9Aおよび9C)、マンノース誘導体(265)の分子量は、プロトン(m/z266)イオン、リチウム(m/z272)イオン、ナトリウム(m/z288)イオン、および時にはカリウム(m/z304)イオンを用いたその付加体によってきわめて容易に検出された。
【0091】
高真空下では、UVエキシマ・レーザー・エネルギーが酸化アルミニウムクラスタを揮発させて気相とすること;紫外光子イオン化によって、比較的軽量な酸化アルミニウムクラスタを用いてわずかな質量スペクトルが生じることが理論化される。真空下での気相中の酸化物クラスタの大部分がAlO(Al
2O
3)
nから成るが、酸化アルミニウムクラスタが多くの別の形でも存在することができる。
図9Aおよび9Cにおいて、m/z451および415で生じた大きいバックグラウンドピークは、酸化物クラスタ[(Al
2O
3)
4+Li]
+および[AlO(Al
2O
3)
4]
+に属することが推測される。
【0092】
(実施例5)
マンノースの含有量とそのタンパク質結合能力との半定量的比較
同じ種類のACGスライドに対するプラズマガス処理の最適化を、固定化された糖−タンパク質結合の蛍光強度によって評価した。
図10は、プラズマ洗浄に使用したガスの種類を選択することによって得た。カソードアーク蒸発によって産生されたACGスライドをアミノシラングラフト化の前に、酸素、アルゴン、または酸素およびアルゴン・プラズマ・ガスの混合物に暴露させた。マンノース誘導体(糖複合体溶液、160mm)の10×10ブロック(100スポット)は、基材表面へマイクロアレイ化された。糖複合体溶液も、特に質量同定のために、これらの各スライド(スポット当り1mL)に手動でスポットした。したがって、これらのスライドは、最初に質量分析法によって分析して、次にビオチン化ConA結合、続いてCy3タグ化ストレプトアビジン検出を受けさせた。
図10Aa)〜d)は、アレイ化されたスライドのタンパク質結合アッセイを示す;
図10Cは、基材の蛍光強度対市販のガラススライドの蛍光強度を示す。
図5に示す強度差は、基材の物理的特性の絶対効果を示す。
図10Cの強度差は、特定の基材の物理的特性および固定化された糖とその結合タンパク質との間の結合部位アーキテクチャの両方の効果から生じた。どちらのデータのセットも、ACGスライド表面のアルゴンプラズマ処理によって、マンノースグラフト化にとって、それゆえマンノース−タンパク質結合にとって最良の基材が産生されたことを指摘している。
【0093】
図10Aは、APDMESグラフト化の前のa)酸素プラズマ(Al−1)、b)アルゴンプラズマ(Al−2)、ならびにc)酸素およびアルゴンプラズマの混合物(Al−3)の処理時の、カソードアーク蒸発によって形成されたACGスライドのタンパク質結合アッセイを示す。d)では、Corning Glass製の市販のNH
2ガラススライド(#40004)のタンパク質結合アッセイを示す。
図10Bは、糖の質量同定のためのMALDI質量スペクトルからのシグナル強度を示す。各物質から観察された最大強度スペクトル(70%フルエンス)を使用して、
図10Bのスペクトルを生成した。
図10Cは、アレイWoRx蛍光分光計によって計算した標準誤差を含めた、a)〜d)の蛍光強度を示す。アレイは、糖複合体の同じ水溶液のブロック当り10×10(100)個のスポットを用いて、スライド当り4個のブロックとして作製した。各スライドから最良のブロックのみを選択した(b)〜d)に示すように);蛍光強度計算のために、最良のブロックの中で大きなスポットを除去した。
【0094】
固定化されたマンノースの含有量とマンノース−タンパク質結合の能力との半定量的比較を
図11および12に示す。2種類の異なるスライド基材、すなわちNH
2官能化ガラススライドおよびアルミニウムで熱コートした後に、表面アノード酸化処理を行ったAPDMES活性化NH
2−ACGスライドを、PCLが組み込まれたマンノースを固定化するために使用した。マンノース−ACGスライドは、最初に分子量同定のためのMS分析を、次にマンノース−ガラススライドと共にタンパク質結合評価を受けさせた。
図11は、2種類の異なるスライド基材から得たタンパク質結合データを示す。マンノース−ACGスライド(
図11b))がガラススライド(
図11a)よりも、Cy3の高い蛍光を高い感受性と共に示したことが、明確に示されている。ACGスライドによる蛍光強度を計算して、
図12Bに示す。
【0095】
図11の蛍光強度の相違は、スライド基材の物理的特性の相違ならびにマンノース−ConAおよびCy3−ストレプトアビジンの結合度の相違によって引き起こされた。この相違は次に、基材表面上でのマンノースのグラフト密度の変動を示唆している。最近の報告により、基材表面上のマンノースの密度が約100Å離れているときに、ConAとマンノースとの間の相互作用が弱くなり、それゆえ多価相互作用の程度が反映されることが指摘された。
【0096】
同じマンノース−ACGスライドのMS分析(
図11b))によって、親ピーク(m/z265)ならびにプロトン(m/z266)付加体およびリチウム(m/z272)付加体が示された。このスライドを分析する際に、それぞれ手動でスポットした(段階希釈の)試料を、測定1回当り500ショットで6回測定した。標準偏差を含む平均ピーク強度を
図12Aに示し、図ではグラフト化のための溶液の濃度が15.6nmまで希釈されたときでも、MSがなお糖を同定できることが明示されている。MS(
図12A)によって測定したシグナル強度を
図12Bの蛍光強度とさらに比較する。これら2つの異なる測定値の下降傾向は似ている。明らかに、固定化された糖の量がそのタンパク質結合能力を反映している。
【0097】
図11は、ガラススライドおよびACGスライドに固定化されたマンノースの蛍光タグ化タンパク質結合アッセイの実施の写真である。NH
2官能化ガラススライドは、Corning Glassから購入した(#40004)。ACGスライドを純アルミニウムで熱コートして、次に電気化学的にアノード酸化した。10×6(60)スポットのブロックでアレイを作製した。糖−HBTU複合体の溶液(156mM)を100×および10000×希釈で調製した。各溶液をグラフト化のためのブロック内の2個のカラム(20スポット)にスポットした。基材a)は、最初の2個のカラム(糖複合体の溶液)のみで蛍光を示すが、基材b)は、6番目のカラム(糖複合体の開始溶液の10000×希釈)までシグナルを示す。
【0098】
図12は、ACGスライドにグラフトしたPCLを有するマンノースのultraflex TOF質量スペクトルのピーク強度と、熱コーティングと、続いてのスライド表面での電気化学的アノード酸化とによって形成されたマンノース−タンパク質結合ACGスライドの蛍光強度との比較を示す、実験データの実施のグラフである。マンノース溶液の濃度は、156mMから102(1.56mM)および104×希釈(15.6nM)まで変化した。
図12Aでは、マンノース質量分光付加体の平均ピーク強度がm/z 265.1[M]
+、266.1[M+1]
+、および272.1[M+Li]
+で得られた。
図12Bでは、蛍光タグ化タンパク質−結合アッセイから得た同じマンノースACGスライド試料の対応する蛍光強度を示す。
【0099】
(実施例6)
炭水化物マイクロアレイでのACGスライドの有用性
図13Aに示すように、
図2に示す合成経路を使用することによって、PCLを有するラクトースもACGスライドに固定化した。本試料のMS分析で見られるように(
図13B)、415および451におけるわずかな酸化アルミニウムのピークから生じる干渉が発生した。しかし、ラクトース誘導体の分子量(m/z427)は、プロトン(m/z428)、ナトリウム(m/z450)、およびカリウム(m/z466)イオンとのその付加体によって、なお明らかに同定できる。
【0100】
この新たに製造した基材をさらに利用するために、NH
2−ACG表面を、DMFおよびジイソプロピルエチルアミン中のスベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)を用いた処理による、NHS−ACGへの変換によって修飾した。ガラススライドを参照として、アミン官能基を有するGlobo H誘導体をNHS−ACGスライド(
図13C)上にアレイ化して、VK9(マウスIgG抗Globo Hモノクローナル抗体)タンパク質結合評価を受けさせた。
図13Dおよび13Eの結果は、ACGスライドが3つの試料すべてで最高の蛍光強度を示すことを指摘している。
【0101】
図13Aは、PCLを有するラクトース−ACGスライドを示す。
図13Bは、PCLを有するラクトース−ACGスライドから得たUltraflex TOF質量スペクトルを示す。
図13Cは、PCLのないGlobo H−ACGスライドを示す。
図13Dは、NHS−ガラススライド、NH
2修飾ガラススライド(Corning#40004)、およびNHS−ACGスライドに固定化したGlobo Hの蛍光タグ化タンパク質結合アッセイを示す。最後に
図13Eは、GenePix 4000蛍光スキャナを用いて
図13Dから計算した対応する蛍光強度を示す。
【0102】
(実施例7)
蛍光強度に影響を及ぼす因子−基材の特性および表面形態
基材の光学特性は、蛍光強度に明らかに影響を及ぼす。蛍光(Cy3)は、タンパク質結合アッセイで唯一の光源である。ガラスならびに多孔性ケイ素はどちらも、光を異なる程度で通過させて反射する。これに対して、アルミニウムコートガラスは、ガラスが完全に不透明となり、光源から供給される光の「ムダ」を最小限に抑えるように製造することができる。
【0103】
基材の表面形態は、糖を固定化するときのグラフト化密度に影響を及ぼすことがある。NAO表面は、わずが75%の酸化物含有率を示した。これに対して、AAO表面は100%酸化アルミニウムを含有し、それゆえ安定な表面を与えて、アッセイのための最終スライドの安定な固定化密度を生じさせる。
【0104】
基材の安定性は、表面が化学処理される方法によっても影響を及ぼされ得る。一例は架橋アミンを有する表面対アミン官能基の単層を有する表面であり、このどちらもACGスライドを3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)または3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(APDMES)のどちらかで活性化することによって作製した。ACGスライド表面の各種の化学処理は、調査中である。
【0105】
(実施例8)
蛍光強度に影響を及ぼす因子−結合部位アーキテクチャ/タンパク質と基材表面上に固定化された糖との間の相互作用
本出願人らの実験条件下では、コンカナバリンAおよびストレプトアビジンはどちらも、その4級構造のテトラマーとして存在する。マンノースのConAに対する寸法の比は、約1:400である(265対104kDaのその分子量に相当する)。幾何的な制約のために、表面でのマンノース結合に利用できる結合部位は、ビオチン化ConAのテトラマー1個当りわずか2個である。高密度マンノースアレイ表面では、各ConAテトラマーは2個のマンノース分子を結合して、2個のマンノース分子はおそらく、互いにそれほど離れずに表面上にグラフトされるであろう。マンノース誘導体の鎖長が長くなるので、グラフト化密度および固定化された糖−タンパク質結合の量が両方が上昇するときに、グラフトされたマンノースは基材からさらに遠くなり、ランダム度の高い相互作用が生じ得る。さらに、ストレプトアビジン−Cy3複合体のビオチン化ConAへの可撓性の結合が可能となる。同様の幾何的な制約は、Globo H、IgGモノクローナル抗体VK9(マウスから)、およびそのヤギ抗マウスIgGタンパク質についても例証することができる。糖とタンパク質との間の結合部位アーキテクチャは、蛍光タグ化タンパク質の密度に、それゆえ糖−タンパク質結合の蛍光強度に影響を及ぼすことがある。
【0106】
糖の表面固定化を研究する1つの目的は、生物学的実体の細胞表面で起こるリガンド相互作用、たとえば正常および悪性細胞の表面上での糖抗原Globo Hの存在または過剰発現を模倣することである。糖抗原は、細胞表面に過剰に存在するときに、大きな多価炭水化物−タンパク質相互作用を生じさせて、生体に備わっている生物学的機能に多大な影響を与えることがある。本研究は、このような生体系のより正確な定量的測定および比較を提供する。
【0107】
(実施例9)
PTFE様ACGスライドの調製
PTFE様ACGスライドを調製するために、トリエトキシシラン1およびホスホン酸誘導体3を合成して、酸化アルミニウム表面との反応に使用した。シランベースのスライドの製造には、2ステップの化学反応が含まれる。第1のステップは、化合物1(
図14)をグラフト化試薬として使用することによって、酸化アルミニウム表面をアミノ基に官能化することであった。このステップは、副反応を避けるために水分を含まない環境で実施した。第2のステップでは、NHS活性化ポリフルオロ炭化水素化合物2(
図14)とスライド表面上のアミノ基との間でアミド結合形成が起きた。これに対して、ホスホン酸ベースのPTFE様ACGスライドを1ステップ化学反応で作製した。3の水溶液を洗浄した酸化アルミニウム表面と超音波処理によって反応させると、表面上に共有結合されたパーフルオロホスホナートの単層が形成された。ホスホン酸の共有結合形成は、
図28Bに示すように、FTIRおよび接触角によって確認できる。これらの2種類のスライドをバックグラウンド試験のためにMS−TOF分光法で確認すると、どちらもスライドのバックグラウンドの明瞭なベースラインを示した。本出願人らの以前のACGスライドで確認された望ましくないわずかな酸化アルミニウムピークは、本方法では見られなかった(
図26および27を参照)。
【0108】
図28Aに図示するように、純粋化合物3(HDFDPA、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルホスホン酸)のFTIRスペクトルおよびACG表面グラフト化合物3のFTIRスペクトル。
図28Bは、ホスホン化ACGスライド表面の水接触角(〜−120°)画像を図示する。
【0109】
図14に示すように、化合物は以下の通りである:アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES、1);N−スクシンイミジル4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルカーボネート2;(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)ホスホン酸(HDFDPA、3)、4〜10は、マンノース(4)、ラクトース(5)、Gb5(6)、Globo H(7)、セロビオース(8)、セロトリオース(cellolotriose)(9)およびセロテトラオース(10)のポリフッ化誘導体である。
【0110】
(実施例10)
PTFE様ACGスライド上での非共有結合型グリカンアレイの生成
この有望な結果を得て、リン酸ベースのスライドを使用して、
図15に概略を示した実験手順のためのグリカンアレイを生成した。
図16に示すスキームによって図示されるように、アミノリンカー11を有するマンノースを化合物2と反応させて、ポリフッ化(−C
8F
17)末端4を合成して、モデル化合物として使用した。この糖誘導体の溶液をPTFE様ACGスライド表面上にロボットによってスポットした。インキュベーションの後、スライドを蒸留水で繰り返しすすいで、MS−TOF分析を受けさせた。非常に明瞭な質量スペクトルが得られた。この単層の質量スペクトルによって、それぞれナトリウム付加体およびカリウム付加体の806および822のピークが明らかになる。MS分析の後に、Alexa 488標識コンカナバリンAをタンパク質源として用いて、同じスライドをタンパク質結合分析に使用した。この種のグリカンアレイの適用範囲をさらに拡大するために、以前本出願人らの研究室で開始物質として合成した化合物12〜14の使用。ポリフッ化Gb5 5、ならびにラクトース6およびGlobo H7を
図16に図示するように合成して、本明細書で開示した方法よる質量分析およびタンパク質結合アッセイの両方のために、PTFE様ACGスライド表面上にこれらを固定化した。
【0111】
さらなるマトリクスを加えない、
図17Aに示すデータによって図示された実験の実施で示すように、Globo−Hなどの不安定な糖の使用によっても、シグナルの断片化は見出されなかった。
図17Aは、PTFE様ACGスライドにそのナトリウム付加体[M+Na]
+として固定化されたポリフッ化Globo H 7(MW.1604.40)、Gb5 5(MW.1458.39)およびラクトース6(MW.932.21)のMALDI質量分光分析データをそれぞれ1627.44、1481.39、および954.39に示す。マトリクスを加えないフルエンス率は12%である。
【0112】
図17Bの実験データの実施により、これらのグリカンアレイはその糖−タンパク質結合パターンを維持した。
図17Bは、GloboH/VK9/抗VK9−Cy3のタンパク質結合アッセイである。
図17Cは、Gb5/抗SSEA3−A488のタンパク質結合アッセイである。マトリクスは、過フッ化Globo H(左4カラム)、ラクトース(5および6番目のカラム、陰性対照として)、およびGb5(右4カラム)の10×10(100スポット)アレイであった。
【0113】
この新たな表面に対するレーザーフルエンス率およびマトリクスの効果も調べた。不安定な炭水化物Globo Hを一例とすると、MALDI−MSで使用されるときにGlobo Hはフコース部分が消失することが多い。質量分析法を検出装置として使用することによって、結果を表1に示した。マトリクスを加えることなく、非常に低いフルエンス率(9%)にて高いシグナル対ノイズ(S/N)比(22)が観察され、この低いレーザーフルエンス率の下では、シグナルの断片化は見出されなかった。フルエンス率が10%まで上昇するとき、S/N比は断片化を伴わずに40まで向上する。
図18は、マトリクスを加えない各種のレーザーフルエンス条件下で得られた質量分析法データを図示する。
【0114】
図19は、同じ実験であるが、マトリクスを加えたものを図示する。DHBをマトリクスとして加えて、ACG表面に対するマトリクスの効果を確認した。フルエンス率が11%であるとき、S/Nはわずか7.3である。フルエンス率を13%まで上昇させるためには、S/Nは61%であり、6%のシグナル断片化を有する。したがってDHBマトリクスは、低いレーザーフルエンス率が使用されるときに、S/Nシグナルを上昇させない。しかし、表1に示すようにフルエンス率が25%を超えるとき、DHBマトリクスは、S/Nを上昇させて、断片化を減少させる役割を果たすことができる。
【0115】
【表1】
(実施例11)セルラーゼ活性の研究
以前の研究から、PTFE様ACGスライドに固定化したポリフッ化炭水化物は、低いレーザーエネルギーによって容易にイオン化/脱離される。したがって断片化のない高いS/N質量スペクトルが得られ、本開示のデバイスをグリコシダーゼ特異性および活性研究に好適なものとする。
【0116】
固定化されたポリフッ化セロビオース8の酵素加水分解(
図14を参照)をインサイチューでホスホン酸スライド表面にて最初に実施した。3つの市販のセルラーゼである、アスペルギルス・ニガー(A.Niger)、トリコデルマ・リーセイ(T.Reesei)、およびトリコデルマ・ビリデ(T.Viride)を酢酸ナトリウム(25mM)緩衝溶液(pH5)によって別々に5U/mLで調製して、Fast Frame反応チャンバを使用して16ウェルに分割されている官能化スライド上に装填した。比較のために、酵素溶液の一定分量(100μL)をエッペンドルフ管内のフッ化セロビオースの溶液(0.5mMの100μL)に添加して、溶液中で酵素加水分解反応を実施した。反応後、これを同じスライドの空のウェルに移した。各ウェルを別々に、脱イオン水で3回すすいで、高真空下でスライドを再度乾燥させてから、MS−TOF分析を受けさせた。
【0117】
MS−TOF分析では、明瞭なバックグラウンドベースラインにより、各試料の加水分解成分のパーセンテージの計算が可能となった。
図20のMS−TOFの結果に示すように、加水分解された生成物のパーセンテージを各スペクトルのピーク強度から計算する。
図20に示す実験データの実施に従って、
図20Aの溶解状態の、および
図20BのPTFE様ACGスライドに固定化された、ポリフッ化セロビオースの酵素加水分解のMS−TOFデータ。対照は、(a)にて酵素なしで行った同じ実験条件である;(b)、(c)、および(d)は、A.Niger(b)、T.Reesei(c)、およびT.Viride(d)によるセルラーゼタンパク質を用いた実験条件である。
【0118】
これらの結果(
図20)は、ACGスライド表面での加水分解の、溶液状態での加水分解に対する割合を示す。A.Niger、T.Reesei、およびT.Virideによるセルラーゼとそれぞれ反応させると、ACGスライド上の100%、69%、および77%の加水分解されていないセロビオースと比較して、溶解状態の加水分解されていないセロビオースは64%、7%、および3%であった(表2)。
【0119】
【表2】
図21Aに示す実験データの実施により、セロトリオース誘導体の加水分解された断片はPTFE様ACGスライド表面上に残存していた。
図21Aは、考えられる各種誘導体をその分子量と共に示す。
図21Bは、酵素を含まない対照操作の(a)、A.Niger(b)、T.Reesei(c)、およびA.ビリデ(d)によるセルラーゼタンパク質を用いた、ポリフッ化セロトリオースの酵素加水分解の実験MS−TOFデータの実施を示す。
【0120】
T.Virideによる酵素は、溶解状態のセロビオースに対して最も良好に機能して、スライド上の3つの酵素源の中で、T.Reeseiによる酵素は2糖を最も効果的に加水分解した。溶解状態では、全体の反応によって1116.3[M+Na]
+のm/zのナトリウム付加体として検出されるセロトリオース(MW1093)が8%産生されたので、A.Nigerによる酵素はシンテターゼとしても作用すると思われる。A.Nigerによる酵素は、長さ5グルコース単位を一度に切断する、代表的なエンド型セルロースとして特徴づけされた。その酵素はセロビオースもp−ニトロフェニル−β−D−グルコシドも加水分解しなかった。作用機序をさらに理解するために、ポリフッ化(−C
8F
17)セロトリオース9(
図14)に溶解状態で酵素加水分解を受けさせた。
【0121】
同じ分析手順を使用すると、結果(
図21B)によって、3つの異なる種による酵素の中でT.Reeseiによる酵素が、セロトリオース基質を最も効率的に加水分解することが指摘された。A.Nigerでは、
図20および
図21に示した結果によって、この酵素がセロビオースまたはセロトリオースの加水分解で十分に機能しないことが指摘された。しかし溶解状態では、酵素は、ポリフッ化セロビオース8、および1グルコース単位を有するセロトリオース9を一度に、非常に低い反応速度で加水分解した。この市販の酵素は純粋でないため、この現象は、混合物中の少量のβ−グリコシダーゼの汚染によるものであり得る。
【0122】
T.Virideによるセルラーゼは、新聞材料を効果的に分解することができ、T.Reeseiはセルロースの結晶形を加水分解することができる。
図20のデータによって指摘されるように、一般にACGスライド表面上での酵素加水分解は、溶解状態の酵素加水分解よりも部位特異的であるが、はるかに低速である。
【0123】
(実施例12)
セルラーゼ特異性の研究およびグリカンアレイを質量分析法と併用することによるセルラーゼの種類の定義
セルラーゼは通常、その機能に基づいて複数のサブクラスのアイソザイムに分類される:セロビオースを個別のグルコース分子に切断する1,4−β−グルコシダーゼ[EC 3.2.1.74]、セルロース鎖の末端からセロビオース単位を切断する、エキソグルカナーゼ(1,4−β−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ[EC 3.2.1.91])、および鎖を内部位置でランダムに切断して、エキソグルカナーゼの新たな末端を生成する、エンドグルカナーゼ(1,4−β−D−グルカングルカノヒドロラーゼ[EC 3.2.1.6])。MUF−グルコシドの加水分解の生成物のHPLC分析は、これらの精製された酵素の加水分解特異性を決定するために使用されることが多い。上の結果から、本開示のデバイスおよび方法は、多様な種類のセルラーゼの特異性を研究するための別のプラットフォームとなる。
【0124】
検証するために、わずかに変更を加えた、文献で周知の方法に従って、エキソグルカナーゼ(L3)およびエンドグルカナーゼ(44A)を調製した。最初に、基質8、9および10を使用して、精製した酵素による酵素加水分解反応を溶解状態で行った。反応の完了時に、溶解混合物をPTFE様ACGスライドに移し、MS−TOFアッセイを受けさせる前に以前と同じ洗浄手順を使用することによって調製した。
【0125】
図22は、溶解状態のポリフッ化セロビオース(A)、ポリフッ化セロトリオース(B)およびポリフッ化セロテトラオース(C)の酵素加水分解のMS−TOFデータを示す。各炭水化物に対して、特異的酵素を添加した:(a)は酵素を含まない対照操作であり、(b)はエキソグルカナーゼL3であり、(c)はエンドグルカナーゼ44Aである。
図23は、ACGガラススライド上のポリフッ化セロビオース(A)、ポリフッ化セロトリオース(B)およびポリフッ化セロテトラオース(C)の酵素加水分解のMS−TOFデータを示す。各炭水化物に対して、特異的酵素を添加した:(a)は酵素を含まない対照操作であり、(b)はエキソグルカナーゼL3であり、(c)はエンドグルカナーゼ44Aである。
【0126】
図22に示す実験データの実施により、エキソグルカナーゼL3は、エキソグルカナーゼの定義と一致して、基質8の末端からセロビオース単位を低速で切断し、化合物9または10が基質であるときにはセロビオースを急速に切断する。エンドグルカナーゼ44Aは、セロビオース基質8またはセロトリオース基質9を受容することはできないが、セロテトラオース基質10の3糖または4糖単位を切断する。
【0127】
比較のために、そして
図23に示した実施によって図示されるように、基質8、9、および10をPTFE様ACG表面上に固定化して、セルラーゼ加水分解を表面上で直接行い、同じ洗浄手順の後に、これらのスライドにMS−TOFアッセイを受けさせた。
図20Bに示すように、エキソグルカナーゼL3は、24時間のインキュベーションの後にセロビオース基質8の一部のみを切断して、基質が化合物9または10であるときにはセロビオースを急速に切断した。エンドグルカナーゼ44Aは、化合物8または9を基質として受容できない。しかしエンドグルカナーゼは、基質が化合物10であるときに、セロテトラオースを急速に切断する。溶解状態での加水分解反応操作とは対照的に、エンドグルカナーゼ44Aはセロテトラオースを一度に切断して、セロテトラオース10が基質であるときにはセロトリオースを切断しなかった。上の結果から、セロテトラオース基質10は、行った実験でPTFE様ACG表面上にアレイを生成するのに最良の炭水化物であった。このアレイを使用することによって、未知のセルラーゼの活性および特異性が検査され得る。
【0128】
(実施例13)
PTFE様ACGスライド上での共有結合型グリカンアレイの生成
グリカンアレイのための複数の官能化ガラススライド、たとえば:アミン、カルボキシラート、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、アビジン、エポキシ、アルデヒド、キレート化ニッケル基などでコートしたガラススライドが市販されている。これらの表面上にグリカンアレイを生成するとき、好適な緩衝剤ならびに反復される遮断および洗浄ステップが必要である。実施により、ホスホン酸官能基を有する基質はACGスライド上でのキレート化が容易であり、反復される洗浄ステップに耐えることができる。したがって、有効なグリカンアレイ調製のための新規方法が本明細書で開示される。
【0129】
ホスホン酸化合物21を有するマンノースは、
図24に図示したスキームによって合成された。市販の化合物15は、TBDPS基によって保護されて、次にアルブソフ反応を使用することによって、臭素がホスホン酸塩に変化した。脱シリル化の後、次のグリコシル化反応のための化合物18が得られた。BF
3・OEt
2をプロモータとして使用することによって、化合物19を糖供与体として使用して、ホスホン酸基誘導体20を有するマンノース分子を得た。全体的な脱保護の後に、ホスホン酸化合物21を有するマンノースを得た。
【0130】
化合物21をメタノールに溶解させた。この糖誘導体の溶液をPTFE様ACGスライド表面上にロボットによってスポットした。インキュベーションの後に、遮断せずに、スライドを蒸留水で反復してすすぎ、Alexa 488標識コンカナバリンAをタンパク質源として使用することによって、タンパク質結合分析に使用した。各種のインキュベーション時間を評価して、糖誘導体がACGスライド上にキレート化するには15分で十分であることを判断した。各種濃度の化合物21をACGスライド上にスポットすると、結果は
図25に図示するように、ACGスライドはNHSコートガラススライドに匹敵していた。
【0131】
(実施例14)
物質および方法
すべての化学薬品および無水溶媒は、販売元から購入して、さらに精製せずに使用した。グリコシル化のためのモレキュラーシーブ(MS)はAW−300(Aldrich)であった。FluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジは、Sigmaより購入した。反応は、EMシリカゲル60 F254プレートによる分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて監視して、UV(254nm)の下でおよび/またはKMnO
4もしくはp−アニスアルデヒドで染色することによって描出した。
1H NMRスペクトルは、Bruker ULTRASHIELD−600 PLUS(600MHz)分光計で298Kにて記録した。化学シフト(ppmでの)は、CDCl
3(δ=7.24ppm)の内部標準シグナルに従って割り当てた。
13C NMRスペクトルは、Bruker ULTRASHIELD−600 PLUS分光計を用いて得て、CDCl
3(δ=77.00ppm)によって校正した。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)で報告する 分裂パターンは、以下の省略形を使用することによって説明する:s、1重線;brs、幅広1重線、2重線;t、3重線;m、多重線。
【0132】
基材物質
マイクロガラススライド(75.5×25.4×1mm
3)を濃H
2SO
4および30%H
2O
2(70:30v/v)の混合物であるピラニア溶液中で、120℃にて30分間洗浄して、大量の脱イオン水によってpH7まですすぎ、高品質の窒素ガスによってパージ乾燥させた。高純度アルミニウムターゲット(純度99.999%)は、Summit−Tech Resource Corp.(Hsin−Chu,Taiwan)から入手した。これらの原料は、マグネトロンスパッタリング、カソードアーク蒸発、および熱蒸発などの各種のコーティング技法によるACCスライドの製造のために、ベンダーのCheng−Jen Corp.(Kao−Hsiung,Taiwan)およびYujay−Tech Corp.(Chin−Ju,Taiwan)に提供された。製造されたACGスライドは、直接使用するか、または20Vの直流電流(Keithley 2400 Model)で48℃にて、0.3Mシュウ酸水溶液中で60〜90秒間、アノード酸化するかのどちらかであった。製造したACGスライドの表面特性を
図1に示す。表面を金でスパッタリングして、SEM(FEI XL30 SFEG,FEI Company)によって検査した。アルミニウムコーティングの表面あらさおよび厚さをAFM(Dimension 3100 Veeco Instruments,Inc.)によって測定した。これらのスライドの表面組成は、超高真空(1×10
−10Torr)下で単色AlκαX線(1486.6eV)源を備えたOmicron ESCA分光計を使用することによって、XPSで分析した。すべてのスペクトルを284.5eVの炭素1sスペクトルおよび532eVの酸素1sスペクトルによって校正した。
【0133】
NH
2−ACGスライドの製造
ACGスライドは、アセトンおよび水を連続的に用いてマルチシェーカー(FMS2 FINEPCR)で2〜3分間洗浄して、高純度窒素ガスによってパージ乾燥させ、100℃の乾燥器で10〜15分間さらに乾燥させた。表面活性化は、プラズマクリーナー(Harrick PDC 32G、200〜600mTorr)によって酸素、アルゴン、または混合ガスを用いて室温にて10分間行った。プラズマ処理の直後に、APDMES(0.8mL)を表面上に(バルクで)均一に配置して、密閉したペトリ皿で覆い、ホットプレート上で直接、658℃にて40分から1時間加熱した。反応が完了したときに、試料スライドを完全にすすぎ、メタノール中で3分間超音波処理して(出力20%)、高純度窒素ガスによってパージ乾燥させた。アミノシラングラフト基材を有する表面を、マンノース誘導体化合物27およびHBTUを用いたインサイチューでのアミド結合形成に使用した。市販のNH
2ガラススライド(#40004、Corning Inc.製)をタンパク質結合の比較のために使用した。
【0134】
NHS−ACGスライドの製造
熱蒸発によってコートしたACGスライドを0.2Mシュウ酸中で90秒間アノード酸化して、脱イオン水ですすぎ、通常通りアルゴンプラズマで活性化した。汚染物質を一切含まない状態で、スライドは、設計されたPTFE密閉熱伝達型反応セル内で組み立てられて、セルにAPTES(1mL、バルク)をただちに添加した。PTFEセルをガラス板で覆った。水分を含まない条件下で、セルを658℃にて30分間加熱して、塩化メチレンおよびメタノールによって完全にすすいだ。次にスライドを窒素ガスによってパージ乾燥させた。事前に、DSS(0.5g;CAS #68528−80−30)のDMF(4mL)およびジイソプロピルエチルアミン(220mL)による飽和溶液を調製した。この飽和溶液の一部(1.33mL)を各反応セルに添加した。NHS−ACGスライドを、室温にて絶えず渦動させながら3時間以内に形成した。スライドを酢酸エチルで完全にすすいで、高品質窒素ガスによってパージ乾燥させた。PTFEセルを乾燥させて分解した後に、Globo H−NH
2マイクロアレイのためのスライドの準備が整っていた。
【0135】
ACGスライドの調製−シランベースPTFE様ACGスライドの製造
水分を含まない条件下で、アルゴンプラズマ活性化ACGスライドをバルクの3−アミノプロピルトリエチルシランと65℃にて30分間反応させて、次に塩化メチレンで完全に洗浄し、大気条件下で窒素ガスによって乾燥させた。シラン化ACGスライドをN−スクシンイミジル(succimidyl)3−パーフルオロオクチルプロピオネート(0.05wt%)溶液の溶媒混合物(DMF/IPA/DIPEA 12/6/1体積比)に、室温にて2時間浸漬した。反応後、スライドをIPAで完全にすすいで、窒素ガスによってパージ乾燥させた。スライド製造の完了について、水接触角(≧115°)測定を迅速に確認した。
【0136】
ACGスライドの調製−ホスホン酸ベースPTFE様ACGスライドの製造
アルミニウム・コート・ガラススライドをアセトンおよび水で3回洗浄して、次に乾燥した清浄空気によって乾燥させた。次に清浄なスライドを酸素プラズマ(Harrick plasma,PDC−32G)によって15分間活性化および洗浄した。活性化の後、スライドを3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルホスホン酸(HDFDPA)3溶液(1M、H
2O中65%2−プロパノール、pH=6.17)にただちに浸漬した。溶液を弱い超音波処理(50W)によって15分間振動させた。超音波処理の後、スライドを溶液から取り出し、次に別の純2−プロパノール溶液中に15分間浸漬した。スライド表面上の過剰なホスホン酸の除去を促進するために、溶液も超音波処理した。スライドを乾燥窒素および減圧によって乾燥させた。反応の完了時に、スライドをIPAで完全にすすいで、窒素パージ乾燥させた。スライド製造の完了に関して、水接触角(≧115°)測定を迅速に確認した。
【0137】
基準対照NHS−ガラススライド
NHS−ガラススライド(SCHOTT製、North America)を直接使用した。NH
2ガラススライド(#40004、Corning,Inc.製)は、NHS−ACGスライドと同じ調製方法を使用して修飾した。スライドは、設計されたPTFE密閉熱伝達型反応セル内で組み立てられた。飽和DSS溶液の一部(1.33mL)をNH
2−ガラス表面との反応のために添加した。室温にて3時間絶えず渦動させた後、スライドを酢酸エチルで完全にすすぎ、高品質窒素ガスによってパージ乾燥させた。PTFEセルを乾燥させて分解した後に、Globo H−NH
2マイクロアレイのためのスライドの準備が整っていた。
【0138】
化学物質
6の合成で使用したすべての化学薬品は、Aldrichまたは指定の個々の化学薬品会社から購入して、さらに精製せずに使用した。
【0139】
合成
【0140】
【化2】
ジエチル3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルホスホナート(S1):1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロ−10−ヨードデカン(1.02g、1.78mmol)およびP(OEt)
3(15ml、過剰)を50ml丸底フラスコに添加した。混合物を窒素下で120℃まで40時間加熱して、次にFluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジによって精製した。残存する淡黄色油を酢酸エチル/ヘキサンを用いてクロマトグラフにかけて生成物を得た(0.96g、92%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ(ppm)4.10-4.00(m, 4H, CH
2CH
3), 2.35-2.23 (m, 2H, CH
2CF
2),1.92-1.86 (m, 2H, PCH
2), 1.25 (t, J= 7.2 Hz, 6H, CH
2CH
3).
13CNMR (150 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 121-106 (m, C-Fカップリングは未解析), 62.28 (d,
2J
cp=6Hz, CH
2CH
3), 25.33 (t,
2J
cF=23 Hz,CH
2CF
2), 17.24 (d,
2J
cp= 148Hz, PCH
2),16.38,
3J
cp=6 Hz, CH
2CH
3).HRMS C
14H
14F
17O
3Pの計算値:[M+H]
+、585.0487;実測値:585.0433
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルホスホン酸(3):ブロモトリメチルシラン(0.74mL、5.75mmol)を注射器によって、S1(1.12g、1.92mmol)の無水CH
2Cl
2(15ml)による溶液に窒素下で添加した。混合物を30時間撹拌した。揮発物を真空下で完全に除去して、白色粉末を得た。白色粉末はさらに精製せずに、次の実験で直接使用することができる(0.99g、97%)。
1H NMR (600MHz, MeOD): δ (ppm) 2.48-2.42(m, 2H, CH
2CF
2), 1.99-1.96 (m, 2H, PCH
2).
13CNMR (150 MHz, MeOD): δ (ppm) 121-106 (m, C-Fカップリングは未解析), 25.55 (t,
2J
cF=23Hz, CH
2CF
2), 18.26 (d,
2J
cp=143 Hz,PCH
2).HRMS C
10H
5F
17O
3Pの計算値:[M−H]
−、526.9699;実測値:526.9669
【0141】
【化3】
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロ−ウンデシルカーボネート(S2):4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカン−1−オール(214mg、0.45mmol)およびDSC(184mg、0.72mmol)のアセトニトリルによる撹拌溶液に、0℃のトリエチルアミン(0.5ml、3.60mmol)を窒素下で添加して、次に溶液を室温までゆっくり加温して、16時間撹拌した。反応物をH
2Oで3回洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させて、濾過して、減圧下で濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、白色固体を得た(242mg、87%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ(ppm) 4.40 (t, 2H, J= 6.3 Hz, CH
2O), 2.83 (s, 4H), 2.27-2.18 (m, 2H,CH
2CH
2F), 2.10-2.05 (m, 2H, FCH
2-).
13CNMR (150 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 168.73 (NCO), 151.65 (OCO), 121-106(m, C-Fカップリングは未解析), 69.87 (OCH
2), 25.66 (FCH
2), 20.12(FCH
2CH
2)
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]α−D−マンノピラノシド(4):S2(250mg、0.40mmol)および5−アミノペンチルα−D−マンノピラノシド(112mg、0.39mmol)のCH
2Cl
2による撹拌溶液に、0℃のトリエチルアミン(0.2mL)を窒素下で添加して、次に氷浴を取り外した。反応物を室温まで加温して、一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去して、生成物をFluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジおよびフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、白色固体を得た(253mg、83%)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ(ppm) 7.97 (s, 1H, NH), 4.72 (d, J= 1.6 Hz, 1H, Manの1-H), 4.10 (t, J= 6.2 Hz,2H, O-CH
2), 3.82-3.80 (m, 1H), 3.77-3.76 (m, 1H), 3.73-3.70 (m, 2H),3.69-3.66 (m, 1H), 3.59 (t, J= 9.6 Hz, 1H), 3.52-3.49 (m, 1H), 3.42-3.38 (m,1H), 3.08 (t, J=7.1 Hz, 1H, O-CH
2), 2.32-2.23 (m, 2H, CH
2CH
2F),1.94-1.89 (m, 2H, FCH
2-), 1.63-1.54 (m, 2H), 1.51-1.46 (m, 2H),1.42-1.32 (m, 4H).
13C NMR (150 MHz, CDCl
3): δ (ppm)157.44 (NCO), 120-105 (m, C-Fカップリングは未解析), 100.12 (Manの1-C), 73.19, 71.25,70.87, 67.22, 67.04, 62.80, 61.51, 40.27 (CH
2N), 29.41, 19.10,26.20, 25.63, 24.86, 20.07.HRMS C
23H
28F
17NO
8の計算値:[M+Na]
+、806.1598;実測値:806.1643。
【0142】
【化4】
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]β−D−ラクトシド(5):S3(44mg、0.10mmol)およびS2(76mg、0.12mmol)のDMF(5mL)による溶液に0℃のEt
3N(28μL、0.20mmol)を添加した。室温にて一晩撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮して、カラムクロマトグラフィーおよびFluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジによって精製して、5を白色泡状固体(29mg、30%)として得た。R
f:0.68(EtOAc:MeOH=5:1)。
1H NMR (600MHz, MeOD): δ 4.36 (d,J=7.6 Hz, 1H), 4.27 (d, J=7.8 Hz, 1H), 4.15 (bt, 1H), 4.10 (t, J=6.0 Hz, 2H),3.90-3.40 (m, 12H), 3.39 (m, 1H), 3.25 (t, J=8.1 Hz, 1H), 3.09 (t, J=6.9 Hz,2H), 2.31-2.26 (m, 2H), 1.93-1.90 (m, 2H), 1.64-1.62 (m, 2H), 1.52-1.49 (m,2H), 1.42-1.40 (m, 2H).
13C NMR (150MHz, MeOD): δ 157.53,120.62-110.33 (m, C-Fカップリングは未解析), 103.79, 102.93, 79.38, 75.79, 75.16, 75.13,73.52, 73.46, 71.26, 69.38, 69.00, 62.90, 61.19, 60.62, 40.36, 29.29, 29.05,27.33 (t), 22.96, 20.18.MS(ESI)C
29H
38F
17NO
13Na
+の計算値:954.1970[M+Na]
+;実測値:954.1964。
【0143】
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]β−D−ガラクトピラノシル−(1→3)−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−ガラクトピラ−ノシル−(1→3)−α−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−β−D−ガラクト−ピラノシル−(1→4)−β−D−グルコ−ピラノシド(6):化合物6を化合物S4から、5について説明した手順に従って調製して、カラムクロマトグラフィーおよびFluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジによる精製の後の収率は55%であった。R
f:0.18(EtOAc:MeOH=1:1)。白色泡状固体。
1H NMR (600MHz, MeOD): δ 4.72 (d, J=8.4 Hz, 1H),4.44 (d, J=7.0 Hz, 1H), 4.37 (d, J=7.4 Hz, 1H), 4.31 (d, J=7.7 Hz, 1H), 4.29(m, 1H), 4.19 (d, J=2.1 Hz, 1H), 4.13 (t, d, J=6.0 Hz, 2H), 4.09 (m, 1H), 4.01(bs, 1H), 3.95-3.67 (m, 20H), 3.60-3.42 (m, 11H), 3.26 (t, J=8.6 Hz, 1H), 3.12(t, J=7.0 Hz, 2H), 2.34-2.26 (m, 2H), 2.01 (s, 3H), 1.98-1.91 (m, 2H),1.69-1.64 (m, 2H), 1.55-1.52 (m, 2H), 1.46-1.43 (m, 2H).
13C NMR(150MHz, MeOD): δ 173.69, 157.44, 120.11-108.43 (m, C-Fカップリングは未解析), 105.22,104.06, 102.91, 102.80, 101.38, 80.11, 79.83, 79.34, 78.55, 75.38, 75.11, 75.05,74.97, 74.94, 73.46, 73.24, 73.17, 71.17, 71.07, 71.00, 69.31, 69.21, 68.87,68.14, 68.07, 62.81, 61.21, 60.50, 60.16, 51.98, 40.26, 29.22, 28.97, 22.87,21.95, 20.08, 19.47.MS(MALDI)C
49H
71F
17N
2O
28Na
+の計算値:1481.382[M+Na]
+;実測値:1481.452。
【0144】
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]α−L−フコピラノシル−(1→2)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→3)−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−ガラクトピラノシル−(1→3)−α−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−β−D−ガラクト−ピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシド(7):化合物7を化合物S5から、5について説明した手順に従って調製して、カラムクロマトグラフィーおよびFluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジによる精製の後の収率は88%であった。R
f:0.18(EtOAc:MeOH=1:1)。白色泡状固体。
1H NMR (600MHz, MeOD): δ 5.26 (d, J=3.8Hz, 1H), 4.96 (d, J=3.8 Hz, 1H), 4.58 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.44 (d, J=7.0 Hz,1H), 4.30 (d, J=7.6 Hz, 1H), 4.29 (m, 1H), 4.17-4.10 (m, 5H), 4.01 (bs, 1H),3.93-3.69 (m, 24H), 3.68-3.53 (m, 8H), 3.44-3.41 (m, 1H), 3.26 (t, J=8.6 Hz,1H), 3.12 (t, J=7.0 Hz, 2H), 2.32-2.28 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 1.97-1.93 (m,2H), 1.69-1.64 (m, 2H), 1.56-1.52 (m, 2H), 1.47-1.42 (m, 2H), 1.27 (d, J=6.5Hz, 3H).
13C NMR (150MHz, MeOD): δ 173.17, 157.55, 104.20, 104.07,102.93, 102.59, 101.54, 99.78, 80.05, 79.26, 78.81, 77.83, 76.82, 75.50, 75.21,75.09, 74.23, 73.56, 73.41, 72.25, 71.33, 71.22, 70.25, 69.41, 69.32, 69.09,68.37, 68.33, 66.83, 62.91, 61.31, 61.26, 60.65, 60.25, 51.82, 40.37, 29.32,29.07, 22.97, 22.18, 20.19, 15.40.MS(MALDI)C
55H
81F
17N
2O
32Na
+の計算値:1627.440[M+Na]
+;実測値:1627.526。
【0145】
【化5】
5−アジドペンチル2,3,6,2,3,4,6‘−ヘプタ−O−アセチル−β−D−セロビオシド
(S7):化合物S6(1.01g、1.29mmol)、5−アジド−1−ペンタノール(0.84g、6.47mmol)、および3ÅモレキュラーシーブのCH
2Cl
2(10mL)による懸濁物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却して、BF
3・Et
2O(33μL、0.26mmol)を滴加して処理した。0℃にて2時間撹拌した後、NaHCO
3飽和水溶液を添加して、反応混合物をセライトで濾過した。混合物をCH
2Cl
2で希釈して、次に塩水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、クロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:1→2:1→1:1)によって精製して、S7を白色泡状固体(330mg、34%)として得た。R
f:0.48(ヘキサン:EtOAc=1:1)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ5.16 (t, J=9.4 Hz, 1H), 5.13 (t, J=9.4 Hz, 1H), 5.04 (t, J=9.7 Hz, 1H),4.91-4.85 (m, 2H), 4.50-4.47 (m, 2H), 4.42 (d, J=8.2 Hz, 1H), 4.34 (dd, J=12.5,4.3 Hz, 1H), 4.06 (dd, J=12.0, 4.7 Hz, 1H), 4.01 (dd, J=12.3, 1.9 Hz, 1H), 3.81(m, 1H), 3.74 (t, J=9.5 Hz, 1H), 3.64-3.62 (m, 1H), 3.56 (m, 1H), 3.43 (m,1H),3.23 (t, J=6.8 Hz, 2H), 2.10 (s, 3H), 2.06 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 2.00 (s, 3H),1.99 (s, 3H), 1.98 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 1.59-1.54 (m, 4H), 1.40-1.35 (m, 2H).
13C NMR (150MHz, CDCl
3): δ 170.54, 170.34, 170.26,169.86, 169.60, 169.34, 169.08, 100.81, 100.64, 76.51, 72.94, 72.67, 72.49,71.96, 71.61, 71.56, 69.73, 67.76, 61.84, 61.54, 51.33, 28.94, 28.52, 23.14,21.08, 20.90, 20.69, 20.57.HRMS(ESI)C
31H
45N
3O
18Na
+の計算値:770.2590[M+Na]
+;実測値:770.2570。
【0146】
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]2,3,6,2,3,4,6’−ヘプタ−O−アセチル−β−D−セロビオシド(S8):S7(50mg,0.07mmol)、触媒量のPd/CのMeOHの5%ギ酸(5mL)による懸濁物をH
2バルーン下で2時間撹拌した。セライトによる濾過の後、濾過ケーキをMeOHで洗浄した。濾液を蒸発させて、トルエンと共蒸発させた。残留物は精製せずに次のステップで使用した。
【0147】
上述の残留物をCH
2Cl
2(5mL)に溶解させて、次に化合物S2(50mg、0.08mmol)を添加した。混合物を0℃まで冷却した。トリエチルアミン(19μL、0.13mmol)を添加して、溶液の撹拌を室温にて12時間続けた。反応混合物を濃縮して、クロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)によって精製して、S8を白色泡状固体(49mg、2ステップで60%)として得た。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ5.14 (t, J=9.5 Hz, 1H), 5.11 (t, J=9.5 Hz, 1H), 5.03 (t, J=, 9.5 Hz, 1H),4.91-4.84 (m, 2H), 4.76 (br, 1H), 4.50 (dd, J=12.0, 1.7 Hz, 1H), 4.48 (d, J=7.9Hz, 1H), 4.40 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.34 (dd, J=12.5, 4.3 Hz, 1H), 4.09 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.05 (dd, J=12.0, 4.9 Hz, 1H), 4.01 (dd, J=12.5, 2.2 Hz, 1H), 3.80 (m,1H), 3.73 (t, J=9.5 Hz, 1H), 3.64-3.61 (m, 1H), 3.55-3.53 (m, 1H), 3.43 (m,1H), 3.12 (m, 2H), 2.18-2.13 (m, 2H), 2.09 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.00 (2xs,6H), 1.98 (s, 3H), 1.97 (s, 3H), 1.95 (s, 3H), 1.92-1.88 (m, 2H), 1.56-1.52 (m,2H), 1.49-1.44 (m, 2H), 1.34-1.29 (m, 2H).
13C NMR (150MHz, CDCl
3):δ 170.51, 170.35, 170.25, 169.84, 169.62, 169.33, 169.06, 156.25, 120.18-108.01(m, C-Fカップリングは未解析), 100.78, 100.62, 76.47, 72.91, 72.68, 72.45, 71.94, 71.60,71.56, 69.77, 67.74, 63.17, 61.76, 61.52, 40.83, 29.68, 29.49, 28.92, 27.99,27.84, 27.69, 23.02, 21.03, 20.84, 20.64, 20.53, 20.33.HRMS(ESI)C
43H
52F
17NO
20Na
+の計算値:1248.2703[M+Na]
+;実測値:1248.2675
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]β−D−セロビオシド(8):S8(222mg、0.18mmol)およびNaOMe(50mg、0.09mmol)のMeOH(7mL)による溶液を室温にて一晩撹拌した。混合物をAmberlyst−15イオン交換樹脂(resign)によって5分間中和して、セライトを充填した焼結漏斗によって濾過した。濾過後にフィルタパッドをメタノールですすいだ。合せた濾液を減圧下で濃縮して、次にフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH=10:1→8:1)によって精製して、8を白色固体(123mg、73%)として得た。R
f:0.47(EtOAc:MeOH=5:1)。
1H NMR (600MHz, MeOD): δ 4.40 (d,J=7.9 Hz, 1H), 4.27 (d, J=7.8 Hz, 1H), 4.10 (t, J=6.1 Hz, 2H), 3.89-3.86 (m,4H), 3.65 (dd, J=11.8, 5.7Hz, 1H), 3.57-3.53 (m, 2H), 3.50 (t, J=9.0Hz, 1H),3.39-3.32 (m, 3H), 3.30 (m, 1H), 3.22 (m, 2H), 3.09 (t, J=6.7 Hz, 2H),2.32-2.23 (m, 2H), 1.94-1.89 (m, 2H), 1.66-1.61 (m, 2H), 1.53-1.48 (m, 2H),1.43-1.38 (m, 2H).
13C NMR (150MHz, MeOD): δ 157.51, 120.11-108.43(m, C-Fカップリングは未解析), 103.20, 102.79, 79.31, 76.69, 76.43, 75.03, 73.47, 69.95,69.29, 61.00, 60.74, 60.42, 40.32, 29.52, 28.95, 27.36, 27.21, 27.07, 22.86,20.07.HRMS(ESI)C
29H
38F
17NO
13Na
+の計算値:954.1964[M+Na]
+;実測値:954.1966。
【0148】
【化6】
パラ−メトキシフェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(S10):Vesallaによって報告されたのと同様の手順に従って、S6(1.68g、2.16mmol)、S9(1.0g、1.8mmol)および3ÅモレキュラーシーブのCH
2Cl
2(20mL)による懸濁物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物を−40℃まで冷却して、TMSOTf(98μl、0.54mmol)を滴加して処理した。−40℃にて2時間撹拌した後、NaHCO
3飽和水溶液を添加して、反応混合物をセライトで濾過した。混合物をCH
2Cl
2で希釈して、次に塩水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、クロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:1→2:1→1:1)によって精製して、S10を白色泡状固体(1.86g、88%)として得た。R
f:0.55(ヘキサン:EtOAc=1:1)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ7.38-7.25(m, 15H), 7.00 (d, J=9.1Hz, 2H), 6.81 (d, J=9.1 Hz, 2H), 5.10-5.05 (m, 2H),5.00-4.98 (m, 2H), 4.94-4.91 (m, 2H), 4.85-4.82 (m, 2H), 4.78 (d, J=11.6 Hz,1H), 4.72 (d, J=11.6 Hz, 2H), 4.64 (d, J=8.2 Hz, 1H), 4.49 (d, J=12.0 Hz, 1H),4.39 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.37 (dd, J=12.5, 4.3 Hz, 1H), 4.23 (dd, J=12.0, 2.0Hz, 1H), 4.01 (dd, J=12.0, 2.2 Hz, 1H), 3.95 (t, J=9.2 Hz, 1H), 3.90 (dd,J=12.0, 4.6 Hz, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.78-3.62 (m, 6H), 3.46-3.44 (m, 1H),3.19-3.16 (m, 1H), 2.08 (s, 3H), 2.02 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.98(s, 3H), 1.97 (s, 3H), 1.95 (s, 3H).
13C NMR (150MHz, CDCl
3):δ 170.71, 170.46, 170.42, 170.01, 169.68, 169.53, 169.22, 155.53, 151.64,139.42, 138.34, 138.01, 128.79, 128.48, 128.38, 128.35, 128.26, 128.20, 127.86,127.40, 127.13, 118.70, 114.71, 102.91, 101.04, 100.15, 82.77, 81.60, 76.39,75.20, 74.92, 74.89, 73.85, 73.11, 72.67, 72.37, 72.09, 71.65, 67.99, 67.93,61.98, 61.70, 55.85, 20.93, 20.88, 20.75.HRMS(ESI)C
60H
70O
24Na
+の計算値:1197.4149[M+Na]
+;実測値:1197.4142。
【0149】
パラ−メトキシフェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(S11):S10(1.01g、0.86mmol)、触媒量のPd(OH)
2のMeOH/EA(1/1、10mL)による懸濁物をH
2バルーン下で12時間撹拌した。セライトによる濾過の後、濾過ケーキをMeOHで洗浄した。濾液を蒸発させて、残留物は精製せずに次のステップで使用した。
【0150】
上述の残留物をピリジン(5mL)および無水酢酸(5mL)に溶解させた。混合物を室温にて一晩撹拌した。溶液にMeOHを添加して過剰な無水酢酸を破壊して、次に真空中で濃縮した。CH
2Cl
2を添加して、反応混合物を1M HCl水溶液、NaHCO
3飽和水溶液および塩水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、クロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)によって精製し、S11を白色泡状固体(794mg、2ステップで90%)として得た。R
f:0.24(ヘキサン:EtOAc=1:1)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ6.88 (d, J=9.0 Hz, 2H), 6.76 (d, J=9.0 Hz, 2H), 5.19 (t, J=9.2 Hz, 1H),5.11-5.07 (m, 3H), 5.02 (t, J=9.7 Hz, 1H), 4.88-4.81 (m, 4H), 4.50 (dd, J=12.0,2.0 Hz, 1H), 4.46 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.44 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.37 (dd, J=12.0,2.0 Hz, 1H), 4.32 (dd, J=12.5, 4.3 Hz, 1H), 4.10-4.06 (m, 2H), 4.00 (dd,J=12.5, 2.0 Hz, 1H), 3.80 (t, J=9.5 Hz, 1H), 3.73 (t, J=9.5 Hz, 1H), 3.72 (s,3H), 3.67-3.64 (m,1H), 3.61-3.55 (m, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 2.05 (s,3H), 2.02 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.97 (2s, 6H), 1.96 (s, 3H),1.94 (s, 3H).
13C NMR (150MHz, CDCl
3): δ 170.53, 170.27,170.23, 169.79, 169.57, 169.32, 169.10, 155.77, 150.88, 118.69, 114.53, 100.80,100.57, 100.07, 76.44, 76.13, 72.89, 72.81, 72.77, 72.65, 72.41, 72.02, 71.75,71.55, 71.52, 67.70, 62.15, 61.49, 55.67, 20.86, 20.80, 20.70, 20.57, 20.50.HRMS(ESI)C
45H
58O
27Na
+の計算値:1053.3058[M+Na]
+;実測値:1053.3051。
【0151】
5−アジドペンチル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(S12):化合物S11(866mg、0.84mmol)をアセトン−H
2O(20mL 3:1)に溶解させて、混合物を冷却した(氷水浴)。CAN(2.3g、4.20mmol)のアセトン/H
2O(10mL 3:1)による溶液を添加して、混合物を室温にて30分間撹拌した。混合物を体積10mLまで濃縮して、CH
2Cl
2で希釈し、NaHCO
3飽和水溶液で洗浄して、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過して、濃縮した。次に残留物をCH
2Cl
2に溶解させて、トリクロロアセトニトリル(1.0mL)およびCs
2CO
3(250mg、0.77mmol)で処理した。室温にて12時間撹拌した後、反応物を水、塩水で洗浄して、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過して、濃縮した。トリクロロアセトイミデート化合物、5−アジド−1−ペンタノール(0.54g、4.20mmol)、および3Åモレキュラーシーブ(1.5g)のCH
2Cl
2(10mL)による懸濁物を室温にて1時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却して、BF
3−Et
2O(0.11mL、0.84mmol)を滴加して処理した。0℃にて2時間撹拌した後、NaHCO
3飽和水溶液を添加して、反応混合物をセライトで濾過した。混合物をCH
2Cl
2で希釈して、次に塩水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、クロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:1→2:1→1:1)によって精製して、S12を白色泡状固体(210mg、3ステップで24%)として得た。R
f:0.31(ヘキサン:EtOAc=1:1)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ5.12-5.05 (m, 3H), 5.00 (t, J=9.7 Hz, 1H), 4.87-4.79 (m, 3H), 4.48 (dd, J=11.8,2.0 Hz, 1H), 4.43 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.42 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.38 (d, J=8.0 Hz,1H), 4.35 (dd, J=12.0, 2.0 Hz, 1H), 4.31 (dd, J=12.5, 4.3 Hz, 1H), 4.07 (dd,J=12.1, 5.2 Hz, 1H), 3.99 (dd, J=12.5, 2.0 Hz, 1H), 3.80-3.74 (m, 1H), 3.71(dt, J=10.0, 9.5 Hz, 2H), 3.60-3.58 (m, 2H), 3.55-3.52 (m, 2H), 3.45-3.40 (m,1H), 3.21 (t, J=6.8 Hz, 2H), 2.09 (s, 3H), 2.08 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 1.99 (s,3H), 1.98 (s, 3H), 1.97 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 1.95 (s, 3H), 1.94 (2xs, 6H),1.60-1.52 (m, 4H), 1.42-1.33 (m, 2H).
13C NMR (150MHz, CDCl
3):δ 170.52, 170.31, 170.21, 169.82, 169.79, 169.54, 169.31, 169.10, 100.79,100.59, 100.55, 76.49, 76.14, 72.87, 72.67, 72.41, 71.75, 71.62, 71.53, 67.72,62.14, 61.72, 61.48, 51.34, 28.91, 28.50, 23.12, 20.87, 20.68, 20.55, 20.48.HRMS(ESI)C
43H
61N
3O
26Na
+の計算値:1058.3436[M+Na]
+;実測値:1058.3419。
【0152】
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(S13):化合物S13を化合物S12から、S8について説明した手順に従って調製して、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1→2:3)の後の収率は55%(2ステップ)であった。白色固体。R
f:0.41(ヘキサン:EtOAc=1:1)。
1H NMR (600MHz, CDCl
3): δ5.13-5.06 (m, 3H), 5.01 (t, J=9.7 Hz, 1H), 4.88-4.81 (m, 4H), 4.79 (br, 1H),4.50 (dd, J=11.8, 1.3 Hz, 1H), 4.44 (d, J=7.2 Hz, 1H), 4.43 (d, J=7.6 Hz, 1H),4.38 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.36 (dd, J=12.0, 1.8 Hz, 1H), 4.32 (dd, J=12.5, 4.3Hz, 1H), 410-4.06 (m, 3H), 4.02 (dd, J=12.0, 4.8 Hz, 1H), 3.99 (dd, J=12.4, 2.0Hz, 1H), 3.79-3.74 (m, 1H), 3.72 (dt, J=11.5, 9.6 Hz, 2H), 3.63-3.58 (m, 1H),3.56-3.50 (m, 2H), 3.43-3.40 (m, 1H), 3.11 (m, 1H), 2.20-2.10 (m, 2H), 2.10 (s,3H), 2.09 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.98 (2xs, 6H), 1.97 (s, 3H),1.96 (s, 3H), 1.94 (2xs, 6H), 1.91-1.86 (m, 2H), 1.54-1.52 (m, 2H), 1.48-1.43(m, 2H), 1.34-1.26 (m, 2H).
13C NMR (150MHz, CDCl
3): δ170.53, 170.35, 170.22, 169.81, 169.58, 169.32, 169.11, 153.25, 120.2-108.01(m, C-Fカップリングは未解析), 100.79, 100.58, 100.55, 76.47, 76.14, 72.88, 72.70, 72.66,72.39, 72.00, 71.75, 71.63, 71.54, 71.34, 69.76, 67.69, 63.67, 63.18, 62.13,61.65, 61.48, 40.84, 29.50, 28.93, 27.99, 27.84, 27.70, 23.02, 20.89, 20.76,20.67, 20.54, 20.48, 20.34.HRMS(ESI)C
55H
68F
17NO
28Na
+の計算値:1536.3656[M+Na]
+;実測値:1536.3548
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]β−D−グルコピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシド(9):化合物9は化合物S13から、8について説明した手順に従って調製して、カラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH=3:1→1:1)およびFluoroFlash(登録商標)SPEカートリッジによる精製の後の収率は55%であった。白色固体。R
f:0.66(EtOAc:MeOH=3:1)。
1H NMR (600MHz, MeOD): δ 4.44 (d,J=8.0 Hz, 1H), 4.39 (d, J=7.8 Hz, 1H), 4.27 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.10 (t, J=6.1Hz, 1H), 3.91-3.84 (m, 6H), 3.67-3.63 (m, 3H), 3.58-3.48 (m, 7H), 3.39-3.32 (m,3H), 3.30 (m, 1H), 3.22 (m, 2H), 3.09 (t, J=6.9 Hz, 1H), 2.31-2.26 (m, 2H),1.97-1.90 (m, 2H), 1.65-1.61 (m, 2H), 1.52-1.48 (m, 2H), 1.43-1.37 (m, 2H).
13CNMR (150MHz, MeOD): δ 157.71, 120.11-108.43 (m, C-Fカップリングは未解析), 103.44, 103.21,103.05, 79.40, 79.00, 76.95, 76.66, 75.47, 75.25, 75.02, 73.75, 73.48, 70.19,69.56, 63.07, 61.26, 60.58, 60.30, 40.50, 29.45, 29.20, 27.61, 27.46, 27.32,23.10, 20.32.HRMS(ESI)C
35H
48F
17NO
18Na
+の計算値:1116.2492[M+Na]
+;実測値:1116.2520。
【0153】
[(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデコキシカルボニル−アミノ)ペンチル]β−D−グルコピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−β−D−グルコピラノシド(10):化合物10は、9について説明した手順に従って調製して、カラムクロマトグラフィーによる精製の後の収率は86%であった。δ 4.47 (d, J=8.0 Hz, 1H ), 4.46 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.42 (d, J=7.8 Hz,1H), 4.30 (d, J=7.9 Hz, 1H), 4.10 (t, J=6.1 Hz, 2H), 3.91-3.89 (m, 9H),3.68-3.63 (m, 3H), 3.60-3.50 (m, 14H), 3.39-3.25 (m, 14H), 3.12 (t, J=6.9 Hz,2H), 2.33-2.26 (m, 2H), 1.96-1.90 (m, 2H), 1.70-1.61 (m, 2H), 1.55-1.52 (m,2H), 1.43-1.37 (m, 2H).HRMS(ESI)C
41H
58F
17NO
23Na
+の計算値:1255.3128[M+Na]
+;実測値:1255.3225。
【0154】
質量分析法
固定化スライドを、窒素パルスレーザ(355nm)を装備したBruker Ultraflex MALDI−TOF質量分光計によって分析した。各データポイントをレーザビーム平均500〜1000ショットで収集して、レーザーフルエンスを40〜95%で適用し、最良の結果はほぼ50〜80%で得た。マンノース−NH
2の標準水溶液をACGスライドの規定の範囲に手動で配置して、同じスライド基材上に固定化された糖から得たデータを校正するのに使用した。各種の濃度でのグラフト化マンノース誘導体の定量的比較のために、すべての分析を80%フルエンスにて500ショットの1回の測定で行った。S/N比に対する平均ピーク強度の変動をプロットした。
【0155】
タンパク質結合アッセイ
固定化マンノースとビオチン化ConAおよびCy3タグ化ストレプトアビジンとのマンノース−タンパク質結合アッセイ。MS分析に使用したのと同じスライドを弱い超音波処理の下で蒸留水で再度洗浄して、次にPBS(リン酸緩衝生理食塩水)緩衝液ですすいだ。ビオチン標識ConA(Invitrogen C 21420)をPBST緩衝液(0.05%Tween 20を含むPBS)で500〜1000倍に希釈した。タンパク質溶液(50mL)を各アレイ基材に加えて、Whatman 16パッド・インキュベーション・チャンバでインキュベートした。これらのスライドをフォイルで包み、室温にて振とう器で1時間インキュベートした。インキュベーションの後、スライドをPBST緩衝液で3回洗浄した。ストレプトアビジン−Cy3(Sigma S 6402)をPBS緩衝液で100倍に希釈して、スライドをアルミニウムフォイルで覆い、再度ストレプトアビジン−Cy3によってさらに1時間インキュベートした。2回目のインキュベーションの後、スライドをPBST緩衝液および蒸留水で洗浄して、次に高品質窒素ガスでパージ乾燥させた。アレイパターンは、Applied Precision製のArray WoRx蛍光スキャナを使用して、反射モードで540nmレーザ光によって分析した。統計的蛍光強度分析のために、各スライド上の最良のブロックを選択した。
【0156】
固定化Globo Hとマウスによるモノクローナル抗体VK9(IgG)およびCy3タグ化2次抗体とのGlobo H−タンパク質結合アッセイ。Globo Hマイクロアレイスライドをエタノールアミン水溶液(50mM)で遮断して、スライド表面上の未反応NHSを除去した。スライドは再度反応セル内で組み立てられて、PBS緩衝液(pH7.4)で洗浄した。次に、VK9(各セルに1mL、50μg/mL)、マウスによる抗Globo Hモノクローナル抗体(IgG)のPBST(pH7.4)による溶液をセルに添加した。1時間絶えず振とうしながら結合実験を行った。スライドをPBST緩衝液(pH7.4)で3回(毎回、絶えず渦動させながら10分間)洗浄した。VK9のためのCy3タグ化ヤギ抗マウスIgGをセルに添加して、混合物を暗所で1時間振とうしながらインキュベートした。タンパク質結合スライドをそれぞれPBST緩衝液(pH7.4)、PBS緩衝液(pH7.4)、および水で5回洗浄して、次に窒素ガスによってパージ乾燥させた。
【0157】
4のMS−TOF分析およびグリカンアレイ調製−PTFE様ACGスライド上に吸着されたポリフッ化マンノースのMS−TOF分析
化合物4をメタノール/水(6/4)溶媒混合物に、約10mM、1mM、100uMにて順次溶解させた。溶液(各1μL)をスライド上に手動でスポットして、BioDotAD3200装置(Agilent Technology)でロボットピン(Array It,SMP4)を用いてマイクロアレイ化して、アレイのスポット当り溶液約1.1nLを配置した。スライドを湿度30%のチャンバに一晩保管して、次に質量分析法によって分析した。ブランクスライドおよびポリフッ化マンノーススライドは、どちらもシランベースおよびリン酸ベースのACGスライドを含有しており、窒素パルスレーザ(355nm)を装備したBruker Ultraflex MALDI−TOF質量分光計によって分析した。等体積のBSAトリプシン消化(1pmoel/μL)溶液をDHB(ジヒドロキシ安息香酸、1:1アセトニトリル/水中10mg)溶液と均一に混合して、MS−TOF質量校正の標準として使用した。各データポイントをレーザビーム平均500ショットで収集して、2〜20%のレーザーフルエンスを適用した。大半の実験は、正分極電場の下で行った。
【0158】
図26Aおよび
図27Aは、これらの新たに製造したPTFE様ACGスライドのMS−TOFバックグラウンド結果を示す。
図26Aにおいて、(a)は、シランベースPTFE様ACGのバックグラウンドのMS−TOF結果を示し;(b)は、上のACGスライドに吸着されたポリフッ化マンノースのMS−TOFの結果を示す。
図27Aにおいて、(a)は、ホスホン酸ベースPTFE様ACGのバックグラウンドのMS−TOFの結果を示し、(b)は、上のACGスライドに吸着されたポリフッ化マンノースのMS−TOFの結果を示す。マンノース誘導体(Mw.783)の分子イオンは806[M+Na]
+、および822[M+K]
+にて観察され、有機化学薬品はPTFE様ACGスライド表面に接着しないためベースラインは非常に明瞭であった。
【0159】
図26Bおよび
図27Bは、ポリフッ化マンノースのシランベースおよびホスホン酸ベーススライドの結果を与える。
図26Bは、シランベースPTFE様ACGスライドのマイクロアレイの実施を表す。マンノース溶液(1.1μL/スポット)は濃度が様々であった(12mMから1.2mM、120μMまで)。同様に27Bは、ホスホン酸ベースPTFE様ACGスライドのマイクロアレイを示す。マンノース溶液(1.1μL/スポット)は濃度が様々であった(14mMから1.4mM、140μMまで)。マンノース誘導体がPTFE様ACGスライド上にマイクロアレイ化された、蛍光タグ化ConA−マンノース結合。
【0160】
PTFE様ACGスライド上に吸着されたポリフッ化マンノースの蛍光タグ化ConA/マンノース結合。
【0161】
リン酸BSA緩衝液(25μg/mL、pH6.5)中のAlex488タグ化コンカナバリンA 100μLをマンノース誘導体が固定化されたACGスライド表面上に加えた。ConA溶液を含むこれらのスライドを室温にて約2時間インキュベーションした。インキュベーションの後、スライドをペトリ皿内で静かに渦動させながら、それぞれ12mlのリン酸BSA緩衝液、PBST緩衝液、および脱イオン水で3回洗浄した。次に窒素パージ乾燥させて、Array WoRx(Applied Precision)によって蛍光スキャナの反射モードで530nmにて分析した。
図S1(c)および
図S2(c)は、これらのバイオアッセイの結果を示す。
【0162】
MALDI−TOF(Ultra−Flex II)によるオンチップ分析(エッペンドルフ管内での反応)
セルラーゼを調製した(pH5.05の25mM NaOAc緩衝溶液中5U/mL)。基質をNaOAc緩衝液溶液(25mM、pH5.05)に溶解させて、0.5mM基質溶液を得た。セルラーゼ溶液100uLをエッペンドルフ管内の基質溶液100uLに添加して、0.25mM基質を含む2.5U/mLセルラーゼ溶液を得た。この溶液を37℃で18時間インキュベートした。インキュベートした溶液100μLをFAST(登録商標)フレームに装填したスライド上に添加した。スライドを乾燥ボックスに入れて水を除去して、次に高真空を使用して微量の水を除去した。水100μLを使用して、FAST(登録商標)フレーム・マルチスライド・プレートの各ウェルをすすいで、緩衝液溶液の塩を分解および除去した。高真空によってプレート上の残留水をすべて除去して、次にMALDI−TOF Ultra−Flex IIによってスライドを分析した。
【0163】
MALDI−TOF(Ultra−Flex II)によるオンチップ分析(チップ上での直接の反応)
セルラーゼを調製した(pH5.05の25nM NaOAc緩衝溶液中5U/mL)。基質をNaOAc緩衝液溶液(25mM,pH5.05)に溶解させて、0.5mM基質溶液を得た。セルラーゼ溶液50μLをFAST(登録商標)フレーム・マルチスライド・プレートに装填されたガラススライド上の基質溶液50μLに添加して、0.25mM基質を含む2.5U/mLセルラーゼ溶液を得た。プレートのウェルを密閉して、アセンブリ全体を37℃で18時間インキュベートした。スライドを乾燥ボックスに入れて水を除去して、次に高真空を使用して微量の水を除去した。水100μLを使用して、FAST(登録商標)フレーム・マルチスライド・プレートの各ウェルをすすいで、緩衝液溶液の塩を分解および除去した。高真空によってプレート上の残留水をすべて除去して、次にMALDI−TOF Ultra−Flex IIによってスライドを分析した。
【0164】
セルラーゼ精製およびセルラーゼ活性のMS−TOF分析。
【0165】
エキソグルカナーゼおよびエンドグルカナーゼのクローニング、発現および精製
スルホロブス・ソルファタリカス(ATCC35092)およびクロストリジウム・サーモセラム(ATCC27405)のゲノムDNAをATCC biological resource centerから入手した。Sso7d(NCBIアクセション番号:AAK42090)遺伝子断片をスルホロブス・ソルファタリカスゲノムから、
【0166】
【化7】
を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって直接増幅した。Sso7dをコードするPCR生成物をNdeIおよびBamHIで消化して、続いて発現ベクターpET−28a(Novagen)中にクローニングして、pET−28−Sso7dを生成した。
【0167】
【化8】
を用いて変性およびアニーリングすることによって生成された、2粘着末端リンカーをBamHI切断pET−28−Sso7d中に挿入して、pET−28−Sso7d−Fxaを生成した。CtCbhA(NCBIアクセション番号:X80993)遺伝子断片の機能性ドメインを、
【0168】
【化9】
を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、クロストリジウムサーモセラムゲノムから直接増幅した。CtCbhAをコードするPCR生成物をBglIIおよびSalIによって消化して、続いてBamHIおよびSalI切断pET−28−Sso7d−Fxa中にクローニングして、pET−28−Sso7d−Fxa−CtCbhAを生成した。CtCel44A(NCBIアクセション番号:D83704)遺伝子断片の機能性ドメインを
【0169】
【化10】
を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、クロストリジウムサーモセラムゲノムから直接増幅した。
【0170】
CtCel44AをコードするPCR生成物をBglIIおよびSalIによって消化して、続いてBamHIおよびSalI切断pET−28−Sso7d−Fxa中にクローニングして、pET−28−Sso7d−Fxa−CtCel44Aを生成した。すべてのDNA構築物をヌクレオチド配列決定によって検証した。正しい構築物をタンパク質発現のためのエシェキリアコリ株BL21(DE3)コンピテント細胞に形質転換した。単一形質転換体を一晩培養したもの10mlを使用して、30℃の、30μg/mlカナマイシンを含有する新しいLB培地1リットルに接種した。細胞がA
600nm=0.8〜1に増殖するまで、インキュベート温度を16℃に変更した。1時間後、イソプロピルβ−チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度0.5mMまで添加した。16時間後、細胞を7,000×gでの15分間の遠心分離によって回収して、細胞ペーストを収集した。細胞ペレットを20mM Tris−HCl、400mM NaCl、10mMイミダゾールを含有する溶解緩衝液、pH7.5にただちに再懸濁させた。細胞懸濁をConstant Cell Disruption System(CONSTANT SYSTEM Ltd.,UK)によって中断させて、17,000×gにて遠心分離して細胞片を除去した。細胞を含まない抽出物を、溶解緩衝液によって事前に平衡とされたNi
2+−NTAカラムに装填した。カラムを溶解緩衝液によって洗浄して、続いてHis
6タグ化タンパク質を10mM〜300mMイミダゾールの直線勾配によって溶離させた。精製His
6タグ化Sso7d融合CtCbhAおよびCtCel44Aタンパク質は、−80℃にて貯蔵するために、Amicon−Ultra−15(Millipore,MA,USA)の30kDaカットオフサイズ膜によって濃縮して、貯蔵緩衝液(50mM Tris−HCl、100mM NaCl、pH8.0)に変化させた。
【0171】
実施に従って、本開示のデバイスおよび用法(たとえば質量分析法)は、汎用または特殊目的のコンピューティングシステムまたは構成を含む環境で動作可能である。本発明での使用に好適であり得る周知のコンピューティングシステム、環境、または構成の例は、これに限定されるわけではないが、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯型またはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、セット・トップ・ボックス、プログラマブル家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、電話技術システム、上のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などを含む。
【0172】
本開示のデバイスおよび方法は、コンピュータによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行型命令の一般的な状況で説明され得る。一般にプログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。システムは、通信ネットワークを通じてリンクされているリモート処理デバイスによってタスクが実行される、分散コンピューティング環境でも実行され得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶デバイスを含むローカルおよびリモートの両方のコンピュータ記憶媒体に配置され得る。コンピュータプログラムは、メモリ媒体もしくは記憶媒体に記憶されるか、またはネットワークもしくはI/Oバスを通じて処理ユニットに提供され得る。
【0173】
一態様において、本開示のデバイスおよび方法は、少なくとも1個の中央処理ユニット(CPU)またはプロセッサを含む。CPUは、コンピュータ実行型命令を含有するメモリ、ROMまたはコンピュータ可読媒体に接続できる。コンピュータ可読媒体は、システムがアクセスできる任意の利用可能な媒体であることが可能であり、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよびノンリムーバブル媒体のどちらも含む。コンピュータ記憶媒体は、これに限定されるわけではないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ポータブルメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多目的ディスク(DVD)もしくは他の光学ディスク記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または所望のデータを記憶するのに使用可能であり、指紋生成一致システムがアクセスできる任意の他の媒体を含む。通信媒体は通例、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを、搬送波または他の運搬機構などの変調データシグナルとして具体化し、任意の情報送達媒体を含む。一例として、制限なく、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体、ならびに音響、RF、赤外および他の無線媒体などの無線媒体を含む。上のいずれの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。コンピュータ可読媒体は、本明細書に記載するシステムの全部または一部を実装する命令またはデータを記憶し得る。
【0174】
装置および方法が現在最も実用的で好ましい実施形態であると見なされるものに関して説明されてきたが、本開示が開示された実施形態に限定される必要がないことが理解されるべきである。本開示は、請求項の精神および範囲に含まれる各種の変更および類似の構成を対象とすることを意図するものであり、請求項の範囲は、これらの変更および類似の構成をすべて含むために、最も広範な解釈を与えられるべきである。本開示は、以下の請求項のありとあらゆる実施形態を含む。