(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)実施形態について説明する。なお、以下では、車両に搭載されるシート(以下、車両用シート)をシートの具体例として挙げて説明することとする。ただし、本発明は、車両用シート以外のシートにも適用可能であり、例えば、車両以外の乗物に搭載されるシート、あるいは住宅や施設等の建物内で用いられるシートにも本発明は適用可能である。
【0019】
また、以下の説明中、「シート幅方向」は、シートの幅方向に相当し、詳しくは車両用シートの横幅方向(左右方向)に該当する。また、「前後方向」は、シートの前後方向に相当し、車両用シートが搭載された車両の走行方向と一致する。また、「高さ方向」は、シートの上下方向に相当し、詳しくは着座可能な状態にあるときの車両用シートの高さ方向に該当し、より詳しくは車両用シートのシートバックの下端から上端に向かう方向である。なお、以下の説明中、各機器の位置や向き等については、当該機器が車両用シートに取り付けられた状態での内容となっている。
【0020】
<<本実施形態に係る生体情報計測装置の概要>>
先ず、本実施形態に係る生体情報計測装置の概要を説明する。本実施形態に係る生体情報計測装置は、車両用シートに着座している着座者の生体情報として、当該着座者の心拍を計測する心拍計測装置1である。より詳しく説明すると、心拍計測装置1は、着座者が車両用シートに着座している間、車両用シートに取り付けられた静電容量結合型のセンサにて着座者の身体電位を検出する。そして、心拍計測装置1は、上記のセンサが着座者の身体電位に応じて出力する電気信号に基づいて着座者の心拍を計測する。
【0021】
心拍計測装置1の構成について
図1を参照しながら概説する。
図1は、心拍計測装置1が取り付けられた車両用シートSの正面図である。ちなみに、車両用シートSは、心拍計測装置1が取り付けられている点を除き、公知の車両用シートと略同様の構成となっている。すなわち、本実施形態に係る車両用シートSは、着座者の背が凭れ掛かるシートバックS1と、着座者の臀部を下方から支持するシートクッションS2と、着座者の頭部を支えるヘッドレストS3と、を備えている。シートバックS1及びシートクッションS2は、それぞれ、各々の骨格をなすフレームにパッド材を載置して当該パッド材の表面を表皮材で覆うことによって構成されている。
【0022】
心拍計測装置1は、
図1に図示したセンサユニット10A、10B、及び演算装置としてのECU(Electric Control Unit)2を主な構成要素として有する。センサユニット10A、10Bは、
図1に示すように、シートバックS1及びシートクッションS2にそれぞれ一つずつ取り付けられている。詳しく説明すると、一つのセンサユニット10Aは、シートバックS1のうち、着座者が車両用シートSに着座しているときに着座者の背部と対向する部分に取り付けられている。もう一つのセンサユニット10Bは、シートクッションS2のうち、着座者が車両用シートSに着座しているときに着座者の臀部と対向する部分に取り付けられている。
【0023】
各センサユニット10A、10Bは、静電容量結合型のセンサ(具体的には、後述の心拍センサ11)を有しており、このセンサが着座者の身体に静電容量結合することで当該着座者の身体電位を検知する。そして、各センサユニット10A、10Bは、センサによって検知された着座者の身体電位に応じた電気信号を、ECU2に向けて出力する。
【0024】
なお、
図1に図示の構成では、各センサユニット10A、10BがシートバックS1及びシートクッションS2の各々の表面(厳密には、着座者の身体と当接する面)に貼り付けられて露出している。かかる構成において、各センサユニット10A、10Bに備えられた静電容量結合型のセンサは、着座者の着衣を介して当該着座者の身体に静電容量結合することになる。ただし、これに限定されるものではなく、シートバックS1及びシートクッションS2の各々において、表皮材とパッド材との間にセンサユニット10A、10Bが挟み込まれた状態で設けられてもよい。かかる場合、各センサユニット10A、10Bは、表皮材及び着座者の着衣を介して当該着座者の身体に静電容量結合することになる。
【0025】
ECU2は、各センサユニット10A、10Bから出力された電気信号を受信し、当該電気信号を解析することで着座者の心拍数を算出する。なお、センサユニット10A、10Bからの出力信号に基づいて心拍数を算出する具体的な方法については、説明を省略するが、公知の算出方法(例えば、特開2015−123359号公報に記載の算出方法)が利用可能である。
【0026】
また、ECU2は、センサユニット10A、10Bからの出力信号を解析するに際して、当該出力信号に対して増幅処理やフィルタ処理等を施す。すなわち、ECU2には、上記の各処理を実施するための回路が組み込まれており、各回路にて、対応する信号処理が実行される。換言すると、本実施形態において、ECU2は、計装アンプとしての機能を有しており、後述する差動アンプ30によって増幅された電気信号を更に増幅し、増幅後の信号に対してハイパスフィルタやローパスフィルタによるフィルタ処理を実行する。
【0027】
また、本実施形態においてECU2は、
図1に示すように、シートクッションS2の裏側(下側)に配置されている。また、同図に示すように、各センサユニット10A、10BとECU2との間には、両者を連結するためのケーブルCが敷設されている。各ケーブルCの一端は、ECU2に繋ぎ込まれており、他端は、各センサユニット10A、10Bに接続されている。なお、ケーブルCは、
図1に示すようにシートバックS1やシートクッションS2を構成する表皮材及びパッド材を貫いており、車両用シートSの表側(露出する側)から裏側へ回り込むように敷設されている。
【0028】
<<センサユニットの詳細構成>>
次に、センサユニット10A、10Bの詳細構成について説明する。先ず、シートバックS1に取り付けられているセンサユニット10Aについて
図2を参照しながら説明する。
図2は、シートバックS1に取り付けられたセンサユニット10Aを、車両用シートSの正面(前方)から見たときの図である。
【0029】
センサユニット10Aは、
図2に示すように、左右一対の心拍センサ11と、バッファ回路部21と、心拍センサ11及びバッファ回路部21が載置されたベースフィルム14と、を有する。また、ベースフィルム14にはガードリング15が形成されている。以下、センサユニット10Aの各部について詳述する。
【0030】
(心拍センサ11)
心拍センサ11は、静電容量結合型のセンサであり、ベースフィルム14を介してシートバックS1の前面(着座者との当接面)に沿うように配置されている。そして、心拍センサ11は、シートバックS1に着座者の背が凭れ掛かっているときに当該着座者の身体電位を検知し、その検知結果に応じた電気信号を出力する。ここで、着座者の身体電位は、着座者の心拍(心拍数)に応じて変化するものである。したがって、心拍センサ11は、着座者の心拍に応じた電気信号を出力することになる。
【0031】
なお、本実施形態において、心拍センサ11は、複数設置され、具体的にはシート幅方向におけるシートバックS1の中央位置を境にして対称的に左右一対(すなわち、2個)配置されている。これは、着座者の心拍を計測するにあたり、左右一対の心拍センサ11がそれぞれ出力する電気信号間の電位差(電位差信号)が必要となるためである。
【0032】
ちなみに、左右一対の心拍センサ11は、シート幅方向において所定の隙間を隔てて並んだ状態でシートバックS1に取り付けられている。これにより、着座者の背がシートバックS1に凭れた際、左右一対の心拍センサ11は、シート幅方向において着座者の心臓を挟む位置に存するようになる。
【0033】
なお、上記の隙間の幅(シート幅方向における長さであって、
図3中、記号Wにて示す)については、80〜150mmに設定されるのが好適である。上記の範囲で隙間を設定すれば、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に、各心拍センサ11が着座者の背部のうち、脊柱起立筋に相当する部位と対向するようになり当該部位を接触し易くなる(すなわち、静電結合し易くなる)。
【0034】
心拍センサ11の構成について説明すると、各心拍センサ11は、シート状の電極からなり、
図1に図示したように略長方形状の外形形状を有する。そして、各心拍センサ11は、着座者の身体電位を検知するのに十分な面積及び静電容量を有する。
【0035】
心拍センサ11の構成についてより詳しく説明すると、各心拍センサ11は、導線12と、導線12を内包する基部13と、によって構成されている。基部13は、略長方形のシートからなり、心拍センサ11の外形を規定している。また、本実施形態において、基部13は、
図3に示すように積層構造となっている。
図3は、心拍センサ11の断面図であり、
図2中のA−A断面を示す模式図である。
【0036】
基部13は、
図3に示すように、最下層13aと中間層13bと最上層13cとを有する。最下層13aは、PET(Poly Ethylene Terephthalate)製の樹脂膜である。中間層13bは、カーボン樹脂製の樹脂膜である。最上層13cは、チタン酸バリウムを含む金属インクの塗膜である。
【0037】
そして、
図3に示すように、最下層13aと中間層13bとの間には導線12が配置されている。導線12は、銀からなり、心拍センサ11が着座者の身体電位に応じて発生させる電気信号の伝送路をなす。つまり、電気信号は、導線12を通じて心拍センサ11内で伝送され、最終的に、導線12の末端部12aを通じて心拍センサ11外へ出力される。
【0038】
なお、
図3に示すように、導線12は、基部13内において格子状に配索されている。すなわち、基部13では、その外形形状と対応させて導線12が配索されており、具体的には、基部13の長手方向に沿って配置された導線12と、基部13の短手方向に沿って配置された導線12とが複数存在し、各々が互いに交差した状態にある。
【0039】
また、導線12のうち、末端部12aに相当する部分(換言すると、電気信号の伝送路のうち、最も下流側に位置する部分)は、それ以外の部分から外れるように配索されている。
図2を参照しながら具体的に説明すると、導線12の末端部12aを含む基部13の一部は、それ以外の部分(略長方形をなす部分)からシート幅方向内側に張り出している。この張り出し部分は、導線12の末端部12aとともにバッファ回路部21に向かって延びている。そして、導線12の末端部12aは、バッファ回路部21に設けられた回路基板22、より厳密には、回路基板22の入力端子23に繋ぎ込まれている。
【0040】
心拍センサ11の外形形状について付言すると、
図2に示すように、心拍センサ11(厳密には基部13)の外縁部には、円弧状の切り欠き13xが形成されている。具体的には、基部13の外縁部のうち、短手方向における一端部及び他端部には、それぞれ2つの切り欠き13xが形成されている。また、基部13の外縁部のうち、長手方向一端部には、1つの切り欠き13xが形成されている。このように基部13の外縁部の数カ所に切り欠き13xが形成されていることにより、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かったときの心拍センサ11への影響を軽減することが可能となる。
【0041】
具体的に説明すると、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際、着座者の背からの荷重が心拍センサ11に作用する。この荷重によって心拍センサ11中の基部13が折れ曲がるようになるが、この際に皺が発生すると、当該皺に沿って導線12が屈曲してしまう。そして、屈曲箇所に応力が集中する結果、導線12を断線させてしまう虞がある。これに対して、本実施形態では、基部13の外縁部に切り欠き13xが形成されているので、折れ曲がる際には皺を伴わずに折れ曲がることになる。これにより、導線12の屈曲及びこれに起因する断線を効果的に抑制することが可能となる。
【0042】
(ベースフィルム14)
ベースフィルム14は、左右一対の心拍センサ11をシートバックS1の前面(背凭れ面)に取り付けるための基材である。本実施形態において、ベースフィルム14は、アクリル製のフィルムからなり、略方形状の外形形状を有している。また、ベースフィルム14の前面には心拍センサ11が貼り付けられており、ベースフィルム14の後面がシートバックS1の前面の所定位置に取り付けられている。
【0043】
また、
図2に示すように、ベースフィルム14は、左右一対の心拍センサ11を載置するのに十分な面積を有する。すなわち、本実施形態では、一つのベースフィルム14上に2つの心拍センサ11が載置されている。このため、心拍センサ11毎にベースフィルム14を設ける構成に比して部品点数が少なくなっている。ただし、これに限定されるわけではなく、ベースフィルム14が心拍センサ11毎に分かれて設けられている構成であってもよい。
【0044】
また、ベースフィルム14のうち、心拍センサ11同士の間に位置する部分は、
図2に示すように、略矩形状に打ち抜かれている。この打ち抜かれた部分の上側及び下側には、心拍センサ11同士の間を連結する連結部14a、14bが形成されている。この連結部14a、14bによって心拍センサ11が連結されていることで、左右一対の心拍センサ11をまとめて取り扱うことが可能となる。例えば、心拍センサ11の取り付け作業時には、左右一対の心拍センサ11をまとめて取り付けることが可能である。ただし、これに限定されるわけではなく、左右一対の心拍センサ11が連結されておらず分離している構成であってもよい。
【0045】
また、
図2に示すように、ベースフィルム14の縁部のうち、心拍センサ11の基部13に形成された切り欠き13xと隣り合う部分には、同様に円弧状の切り欠き14xが形成されている。これにより、ベースフィルム14についても、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に皺が発生することなく折れ曲がるようになる。この結果、皺の発生に伴う導線12の屈曲、及びこれに起因する断線をより効果的に抑制することが可能となる。
【0046】
(バッファ回路部21)
バッファ回路部21は、心拍センサ11とECU2との間を中継するものである。このバッファ回路部21は、各心拍センサ11からの出力信号(電気信号)を増幅し、増幅後の信号をECU2に向けて出力する。また、バッファ回路部21は、シート幅方向において心拍センサ11同士の間に配置されている。より詳しく説明すると、バッファ回路部21は、ベースフィルム14のうち、下側の連結部14b上に載置されている。
【0047】
バッファ回路部21の構成について説明すると、
図2に示すように、バッファ回路部21は、回路基板22と入力端子23と出力端子24とを備えている。これらの機器は、樹脂製の基板ケース25内に収容されている。
【0048】
回路基板22は、バッファ回路部21の本体をなす部分である。この回路基板22により、各心拍センサ11からの出力信号(電気信号)に対して増幅処理が施される。より具体的に説明すると、回路基板22は、
図4に示すように、増幅部としての差動アンプ30を有している。入力端子23に入力された各心拍センサ11からの出力信号は、差動アンプ30の機能によって増幅される。なお、
図4は、回路基板22の構成を示した模式回路図である。
【0049】
また、回路基板22は、
図4に示すように、差動アンプ30の前段にインピーダンス調整部31を備えている。このインピーダンス調整部31は、左右一対の心拍センサ11のうちの一方が電気信号を出力する際のインピーダンス値と、他方が電気信号を出力する際のインピーダンス値と、を合わせるための回路である。
【0050】
なお、
図2に示すように、回路基板22は、シート幅方向において左右一対の心拍センサ11の間に挟まれた状態にあり、心拍センサ11間に形成された隙間内に配置されている。このように本実施形態では、心拍センサ11間の隙間を利用して回路基板22を配置することで、回路基板22の取り付けに起因する車両用シートSの大型化を抑制している。
【0051】
入力端子23は、各心拍センサ11からの出力信号が入力される端子であり、金属片からなる。入力端子23は、シート幅方向において回路基板22の両端部に組み付けられている。また、各入力端子23は、
図2に示すように、対応する心拍センサ11の基部13(厳密には、シート幅方向内側に張り出した部分)と隣り合う位置に配置されている。そして、基部13のうち、入力端子23(換言すると、回路基板22)と隣り合う部分に内包された導線12の末端部12aは、最寄りの入力端子23に直接繋がれている。
【0052】
すなわち、本実施形態では、導線12の末端部12aが、入力端子23に接した状態で入力端子23に繋がれている。これにより、導線12の末端部12aと入力端子23との間に他の導線が介在する場合に比して、心拍センサ11からの出力信号の伝送路が短くなる。そして、伝送路が短くなる分、心拍センサ11からの出力信号にノイズが重畳され難くなるので、当該出力信号に基づいて着座者の心拍を計測する際の精度が向上する。
【0053】
なお、導線12の末端部12aを入力端子23に繋ぎ込む方式については、特に限定されるものではなく、カシメによって繋ぎ込まれてもよく、あるいは不図示のコネクタを用いて繋ぎ込まれてもよい。
【0054】
出力端子24は、差動アンプ30によって増幅された電気信号が出力される端子であり、金属片からなる。この出力端子24には、ケーブルCの端部(厳密には、ケーブルCの芯材)が接続されている。したがって、出力端子24から出力された電気信号は、ケーブルCを通じてECU2に向かって伝送されることになる。
【0055】
(ガードリング15)
ガードリング15は、心拍センサ11を取り囲むように設けられたパターン状の導体であり、心拍センサ11からのリーク電流を抑制するものである。このガードリング15は、
図2に示すように、ベースフィルム14の縁部(内縁部及び外縁部)に沿うように縁部全周に亘って形成されている。また、ベースフィルム14のうち、連結部14a、14bに該当する部分においては、当該部分の表面(前面)全体に亘ってガードリング15が形成されている。
【0056】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、各心拍センサ11、ガードリング15及び回路基板22がシート幅方向に沿って横並びの状態で配置されている。これにより、これらの機器の各々が互いにずれた状態(厳密には、高さ方向にずれた状態)で配置されている構成と比較して、各機器の設置スペースがよりコンパクトになっている。
【0057】
以上のように構成されたセンサユニット10Aは、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に適切に着座者の身体電位を検出する。詳しく説明すると、センサユニット10Aは、シートバックS1において着座者が違和感を感じ難い位置に配置されている。より具体的に説明すると、回路基板22を含むバッファ回路部21は、シート幅方向においてシートバックS1の中央(
図2中、破線にて図示)に位置するようにシートバックS1の前面に取り付けられている。このようにバッファ回路部21がシートバックS1の幅方向中央に位置することにより、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かっても、バッファ回路部21が着座者の背に当たり難くなっている。
【0058】
より詳しく説明すると、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に、シートバックS1の幅方向中央は、
図5に示すように、着座者の背のうち、左右一対の脊柱起立筋の間に位置する部位(具体的には、腹側にやや窪んだ部分であり、
図5中、記号DPにて表記された部分)と対向する。
図5は、着座者の背がシートバックS1に凭れた際の着座者の背と心拍センサ11とバッファ回路部21との位置関係を示す模式図である。ちなみに、図中、ハッチングが施された領域が脊柱起立筋に相当する部位に相当する。
【0059】
以上のようにシートバックS1の幅方向中央にバッファ回路部21が配置されていることにより、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際、着座者の背(厳密には、脊柱起立筋に相当する部位)にバッファ回路部21が当たり難くなる。
【0060】
なお、本実施形態では、バッファ回路部21が着座者の背に当たるのを一層効果的に抑制すべく、バッファ回路部21が高さ方向において所定の高さに位置するようにシートバックS1の前面に取り付けられている。
【0061】
具体的に説明すると、バッファ回路部21は、着座者(厳密には、一般的な成人男性)の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に、その者の背部のうち、棘突起が位置する部位と略同じ高さに位置するように取り付けられている。ここで、棘突起とは、人体の脊椎のうち、腹側に向かって弧状に湾曲した部分(
図6中、記号SPにて表記された部分)である。換言すると、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際、着座者の背部のうち、棘突起に相当する部位がシートバックS1から離れることになる。
図6は、着座者の脊椎における棘突起の位置を示す図である。
【0062】
以上のように本実施形態では、バッファ回路部21がシート幅方向においてシートバックS1の中央に位置し、高さ方向において着座者の棘突起と略同じ位置に配置されている。これにより、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際にバッファ回路部21が着座者の背に当たり難くなる。この結果、バッファ回路部21が着座者の背に当たることで着座者が違和感を感じてしまう事態を、効果的に抑制することが可能となる。
【0063】
次に、シートクッションS2に取り付けられているセンサユニット10Bについて
図7を参照しながら説明する。
図7は、シートクッションS2に取り付けられたセンサユニット10Bを上方から見たときの図である。
【0064】
センサユニット10Bは、シートクッションS2に取り付けられている点を除き、シートバックS1に取り付けられたセンサユニット10Aと略同様の構成となっている。すなわち、センサユニット10Bは、
図7に示すように、左右一対の心拍センサ11と、バッファ回路部21と、心拍センサ11及びバッファ回路部21が載置されたベースフィルム14と、を有する。また、ベースフィルム14の外縁部には、ガードリング15が形成されている。
【0065】
左右一対の心拍センサ11は、ベースフィルム14を介してシートクッションS2の上面(着座者との当接面)に沿うように配置されている。また、左右一対の心拍センサ11は、シート幅方向におけるシートクッションS2の中央位置を境にして対称的に配置されている。また、左右一対の心拍センサ11は、シート幅方向において所定の隙間を隔てて並んだ状態でシートクッションS2に取り付けられている。
【0066】
なお、シートクッションS2に取り付けられた心拍センサ11の構成については、
図7に示すように基部13の外形形状が若干異なる点を除き、前述した構成(シートバックS1に取り付けられた心拍センサ11の構成)と同様である。以下では、シートクッションS2に取り付けられた心拍センサ11の構成に関し、上記の内容以外の内容について説明を省略することとする。
【0067】
ベースフィルム14は、左右一対の心拍センサ11をシートクッションS2の上面(当接面)に取り付けるために用いられる。ベースフィルム14は、
図7に示すようにシート幅方向に長い長尺形状となっており、その長手方向両端部に心拍センサ11が載置されている。なお、ベースフィルム14の長手方向中央部は、前後方向にくびれており、長手方向両端部に比べてやや幅狭となっている。また、ベースフィルム14の長手方向中央部は、心拍センサ11同士の間を連結する連結部14cとして機能する。ただし、これに限定されるものではなく、上記の連結部14cが形成されておらず、左右一対の心拍センサ11が別々に分離した状態でシートクッションS2に取り付けられていてもよい。
【0068】
バッファ回路部21は、回路基板22、入力端子23、出力端子24、及びこれらを収容する基板ケース25を有する。回路基板22の回路構成については、シートバックS1に取り付けられたバッファ回路部21の回路基板22と同様であり、説明を省略することとする。
【0069】
また、
図7に示すように、回路基板22は、シート幅方向において左右一対の心拍センサ11の間に挟まれた状態にあり、心拍センサ11間に形成された隙間内に配置されている。また、回路基板22のシート幅方向両端部に組み付けられた各入力端子23は、
図7に示すように、対応する心拍センサ11の基部13(厳密には、シート幅方向内側に張り出した部分)と隣り合う位置に配置されている。
【0070】
そして、基部13のうち、入力端子23(換言すると、回路基板22)と隣り合う部分に内包された導線12の末端部12aは、最寄りの入力端子23に直接繋がれている。これにより、シートクッションS2に取り付けられたセンサユニット10Bにおいても、心拍センサ11からの出力信号の伝送路が極力短くなり、その分、心拍センサ11からの出力信号にノイズが重畳され難くなる。この結果、シートクッションS2に取り付けられた心拍センサ11からの出力信号に基づいて着座者の心拍を計測する際の精度が向上する。
【0071】
ガードリング15は、ベースフィルム14の外縁部に沿って当該外縁部全周に亘って形成されている。また、シート幅方向におけるベースフィルム14の中央部に設けられた連結部14cにおいては、当該部分の表面(上面)全体に亘ってガードリング15が形成されている。
【0072】
なお、
図7に示すように、シートクッションS2に取り付けられたセンサユニット10Bにおいても、シートバックS1に取り付けられたセンサユニット10Aと同様に、各心拍センサ11、ガードリング15及び回路基板22がシート幅方向に沿って横並びの状態で配置されている。これにより、上記の各機器の設置スペースがコンパクトになっている。
【0073】
以上のように構成されたセンサユニット10Bは、着座者の臀部がシートクッションS2に載った際に適切に着座者の身体電位を検出する。詳しく説明すると、センサユニット10Bは、シートクッションS2において着座者が違和感を感じ難い位置に配置されている。より具体的に説明すると、回路基板22を含むバッファ回路部21は、シート幅方向においてシートクッションS2の中央(
図7中、破線にて図示)に位置するようにシートクッションS2の上面に取り付けられている。
【0074】
また、バッファ回路部21は、前後方向において所定の範囲に存するようにシートクッションS2の上面に取り付けられている。具体的に説明すると、バッファ回路部21は、着座者(厳密には、一般的な成人男性)の臀部がシートクッションS2に載った際に、前後方向において当該着座者の臀裂部(臀裂溝)が位置する範囲内に存するように取り付けられている。ここで、臀裂部とは、人体の臀部のうち、腹側に向かって窪んだ部分である。換言すると、着座者の臀部がシートクッションS2に載った際、臀裂部に相当する部位は、シートクッションS2から離れることになる。
【0075】
以上のように本実施形態では、バッファ回路部21がシート幅方向においてシートクッションS2の中央に位置し、前後方向において着座者の臀裂部が位置する範囲内に配置されている。これにより、着座者の臀部がシートクッションS2に載った際にバッファ回路部21が着座者の臀部に当たり難くなるため、バッファ回路部21が着座者の臀部に当たることで着座者が違和感を感じてしまう事態を、効果的に抑制することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態では、
図8に示すように、シートバックS1に取り付けられた回路基板22がシート幅方向において存する範囲(図中、R1と表記)と、シートクッションS2に取り付けられた回路基板22が幅方向において存する範囲(図中、R2と表記)と、が重なっている。
図8は、シートバックS1及びシートクッションS2の各々における回路基板22の存在範囲を示す模式図である。
【0077】
本実施形態では、以上のような位置関係により、シートクッション及びシートクッションの各々に回路基板22を収まり良く取り付けることが可能となる。この結果、それぞれの回路基板22を取り付ける際には、その取り付け作業が比較的容易に行われるようになる。なお、
図8に図示の構成では、シートバックS1に取り付けられた回路基板22が存する範囲R1と、シートクッションS2に取り付けられた回路基板22が存する範囲R2と、がシート幅方向において完全に重なっているが、これに限定されるものではなく、少なくとも一部が重なっていればよい。
【0078】
<<センサユニットの変形例>>
上述した実施形態では、センサユニットの一例を挙げて説明した。ただし、上述したセンサユニットの構成は、あくまでも一例に過ぎず、他の例も考えられる。以下では、本発明の第二の実施形態(以下、変形例)に係るセンサユニット100A,100Bについて説明する。なお、変形例は、センサユニット100A,100Bの構成の点では上述の実施形態と相違するものの、その他の点では先の実施形態と共通する。すなわち、変形例に係る生体情報計測装置は、先の実施形態に係る生体情報計測装置と同様の機能を有し、当該機能がもたらす効果と同様の効果を奏するものである。
【0079】
変形例では、
図9に示すように、シートバックS1に1つのセンサユニット100Aが配置されている。また、
図10に示すように、シートクッションS2に1つのセンサユニット100Bが配置されている。
図9及び
図10は、変形例に係るセンサユニット100A,100Bの説明図であり、
図9は、シートバックS1を正面(前方)から見た図であり、
図10は、シートクッションS2を上方から見た図である。
【0080】
各センサユニット100A,100Bの配置位置は、先の実施形態(
図2に図示の実施形態)におけるセンサユニット10A,10Bの配置位置と略同じ位置である。また、変形例では、各センサユニット100A,100Bの裏側に矩形帯状の導電布40が配置されている。導電布40は、導電布として公知の材質からなり、シートバックS1やシートクッションS2を構成する表皮材に対して、当該導電布40の縁に沿うように縫合されている。
【0081】
導電布40の配置位置について詳しく説明すると、シートバックS1の背凭れ面(前面)には、
図9に示すように、3つの導電布40がシートバックS1のシート幅方向中央部に配置されている。これら3つの導電布40は、シートバックS1のシート幅方向中央に対して左右対称に配置されている。そして、シートバックS1側のセンサユニット100Aは、シート幅方向において3つの導電布40のすべてに載る位置に配置されている。換言すると、シートバックS1側のセンサユニット100Aは、3つの導電布40のすべてに跨るように配置されている。
【0082】
また、上記3つの導電布40の各々は、シート幅方向における長さ(幅)が均一になるように形成されている。一方、上記3つの導電布40のうち、真ん中の導電布40は、残り2つの導電布40よりも短くなっている。より詳しく説明すると、上記3つの導電布40の各々は、当該各々の上端が高さ方向において揃うように配置されている。なお、上記3つの導電布40の各々の上端は、
図9に示すように、センサユニット100Aの上端よりも幾分上方に位置している。一方、上記3つの導電布40のうち、真ん中の導電布40の下端は、残り2つの導電布40の下端よりも幾分上方に位置している。
【0083】
シートクッションS2における導電布40の配置位置について説明すると、シートクッションS2の着座面(上面)には、
図10に示すように、5つの導電布40がシートクッションS2のシート幅方向中央部に配置されている。より詳しく説明すると、上記5つの導電布40は、シートクッションS2のシート幅方向中央に対して左右対称に配置されている。また、上記5つの導電布40のうちの2つ(以下、前列の導電布40)がシートクッションS2の前端部に配置されており、残り3つ(以下、後列の導電布40)が前列の導電布40よりも若干後方位置に配置されている。そして、シートクッションS2側のセンサユニット100Bは、シート幅方向において後列の導電布40のすべてに載る位置に配置されている。換言すると、シートクッションS2側のセンサユニット100Bは、後列の導電布40のすべてに跨るように配置されている。
【0084】
また、上記5つの導電布40の各々は、シート幅方向における長さ(幅)が均一になるように形成されている。さらに、後列の導電布40の各々は、当該各々の前端が前後方向において揃うように配置されている。なお、後列の導電布40の各々の前端は、
図10に示すように、センサユニット100Bの前端よりも幾分前方に位置している。一方、前列の導電布40の各々の前端部は、シートクッションS2の前端面に回り込んでいる。
【0085】
以下、変形例に係るセンサユニット100A,100Bの構成について説明する。先ず、シートバックS1側のセンサユニット100Aの構成について
図11を参照しながら説明する。
図11は、シートバックS1側のセンサユニット100Aを正面(前方)から見た図である。
センサユニット100Aは、
図11に示すように、アース電極部110と、左右一対の心拍センサ111と、バッファ回路部121と、ベースフィルム114と、を有する。また、ベースフィルム114にはガードリング115が形成されている。
【0086】
アース電極部110は、心拍センサ111が着座者の身体電位を検知する際の基準電位(つまり、0V)を規定するものであり、左右一対の心拍センサ111の間に挟まれる位置に配置されている。このアース電極部110は、心拍センサ111との電位差を確認する目的、及び、静電気等に起因するノイズの発生を抑制する目的のために用いられる。アース電極部110の構成は、心拍センサ111と同様である。詳しく説明すると、アース電極部110は、シート状の電極からなり、
図11に図示したように略長方形状の外形形状を有する。なお、
図9に図示のように、アース電極部110は、その左右中央位置がシートバックS1のシート幅方向中央位置と一致するように配置されている。
【0087】
アース電極部110は、導線112と、導線12を内包する基部113と、によって構成されている。基部113は、先の実施形態に係る心拍センサ11の基部13と同様の積層構造(
図3に図示の積層構造)となっている。また、基部113の中央部には、上下方向に細長く延びた長孔113hが形成されている。導線112は、基部113内において規則的に配索されている。具体的に説明すると、アース電極部110をなす導線112は、略長方形状のアース電極部110の縁に沿って配索された部分と、上記の長孔113hを囲うように配索された部分と、これらの部分を連絡するように上下方向又はシート幅方向に沿って配索された部分と、を有する。また、導線112のうち、最も下方に位置する末端部112aは、
図11に示すように、バッファ回路部121に向かって下方に延出している。そして、導線112の末端部112aは、バッファ回路部121に設けられた回路基板122の入力端子123に繋ぎ込まれている。
【0088】
左右一対の心拍センサ111は、シート幅方向においてシートバックS1の中央位置を境にして対称的に配置されており、その間にアース電極部110を挟み込んでいる。より詳しく説明すると、左右一対の心拍センサ111は、互いに向かい合った略C字状の外形形状をなしている。そして、左右一対の心拍センサ111は、その間にアース電極部110が配置されることで、当該アース電極部110の四方を囲むように配置されている。
【0089】
変形例に係る心拍センサ111の構成について説明すると、各心拍センサ111は、先の実施形態に係る心拍センサ11と同様、導線112と、導線112を内包する基部113と、によって構成されている。基部113は、心拍センサ111の外形を規定するシート状部材であり、先の実施形態に係る心拍センサ11の基部13と同様の積層構造(
図3に図示の積層構造)となっている。また、基部113の外縁部の所定箇所(具体的には、シート幅方向外側の端部と下端部)には、円弧状の切り欠き113xが形成されている。これにより、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に基部113が皺を伴わずに折れ曲がるようになる。この結果、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かったときの心拍センサ111への影響(具体的には、導線112の屈曲及びこれに起因する断線)が抑えられる。
【0090】
心拍センサ111を構成する導線112は、基部113内において心拍センサ111の縁に沿って配索された部分と、当該部分の内側で格子状に配索された部分と、を有する。なお、心拍センサ111の縁に沿って配索された導線112のうち、心拍センサ111のシート幅方向内側の端部に位置している部分は、
図11に示すように、アース電極部110をかわすようにアース電極部110の周縁に沿って屈曲している。また、心拍センサ111の縁に沿って配索された導線112(より厳密には、心拍センサ111のシート幅方向内側の端部に位置する導線112)の一部は、末端部112aをなしている。そして、末端部112aは、
図11に示すように、アース電極部110の下方位置に回り込んでバッファ回路部121に向かって湾曲しながら下方に延出し、最終的に、バッファ回路部121に設けられた回路基板122の入力端子123に繋ぎ込まれている。
【0091】
ベースフィルム114は、アース電極部110及び左右一対の心拍センサ111の各々をシートバックS1の前面(背凭れ面)に取り付けるためのシート状の基材である。そして、変形例では、アース電極部110取り付け用のベースフィルム114と、各心拍センサ111取り付け用のベースフィルム114とが、連続しており、全体として一枚のシートをなすように一体化している。
【0092】
変形例に係るベースフィルム114は、略H字状に成形されている。そして、H字型のベースフィルム114の側方部分(縦長部分)の前面には心拍センサ111が貼り付けられており、中央部分の前面にはアース電極部110が貼り付けられている。以上のように、変形例では、アース電極部110及び左右一対の心拍センサ111が一枚のベースフィルム114に貼り付けられていることでユニット化している。
【0093】
なお、ベースフィルム114において、左側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の上端部と、右側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の上端部と、の間には、縦長なスリット状の切り欠き(以下、縦切り欠き114y)が形成されている。また、ベースフィルム114の縁部のうち、心拍センサ111の基部113に形成された切り欠き113xと隣り合う部分には、同様に円弧状の切り欠き114xが形成されている。具体的に説明すると、
図11に示すようにベースフィルム114中、心拍センサ111が貼り付けられた部分の下端部に1つの切り欠き114xが形成されている。また、心拍センサ111が貼り付けられた部分の側端部(厳密には、シート幅方向外側の端部)には、上下方向に並んだ3つの切り欠き114xが形成されている。なお、上下方向に並んだ3つの切り欠き114xのうち、最上位置にある切り欠き114xは、高さ方向において前述の縦切り欠き114yの下端部と同じ位置に形成されている。つまり、縦切り欠き114yは、高さ方向において最上位置の切り欠き114xの形成位置に達するように形成されている。
【0094】
ベースフィルム114において、左側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の下端部と、右側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の下端部とは、シート幅方向において離間している。そして、変形例では、
図11に示すように、離間した下端部同士の間のスペースを利用してバッファ回路部121が配置されている。なお、当該スペースに配置されたバッファ回路部121は、
図11に示すように、ベースフィルム114の外縁のうちの最外部分よりも内側に位置している。また、同図に示すように、ベースフィルム114には、離間している下端部同士の間を連絡する連結部114bが設けられている。
【0095】
ガードリング115は、アース電極部110及び左右一対の心拍センサ111の各々を取り囲むようにベースフィルム114に形成されている。より具体的に説明すると、心拍センサ111周りに配置されたガードリング115は、心拍センサ111の基部113の縁の全周に亘って形成されている。アース電極部110周りに配置されたガードリング115は、アース電極部110の基部113の縁の全周に亘って形成されている。また、アース電極部110においては、
図11に示すように、長孔113hの周りにもガードリング115が形成されている。
【0096】
バッファ回路部121は、左右一対の心拍センサ111の間に位置し、かつ、アース電極部110の下方位置に配置されている。より具体的に説明すると、ベースフィルム114のうち、左側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の下端部と、右側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の下端部と、の間にバッファ回路部121が配置されている。なお、バッファ回路部121の配置位置にはベースフィルム114の連結部114bが設けられている。厳密に説明すると、変形例では、
図11に示すように、バッファ回路部121が連結部114bの後側(裏側)に配置されている。これにより、連結部114bは、バッファ回路部121の前方移動を規制する規制部として機能するようになる。
【0097】
次に、シートクッションS2側のセンサユニット100Bの構成について
図12を参照しながら説明する。
図12は、シートクッションS2側のセンサユニット100Bを上方から見た図である。
センサユニット100Bは、シートクッションS2に取り付けられている点を除き、シートバックS1に取り付けられたセンサユニット100Aと基本的には同様の構成となっている。すなわち、センサユニット100Bは、
図12に示すように、アース電極部110と、左右一対の心拍センサ111と、バッファ回路部121と、ベースフィルム114と、を有する。また、ベースフィルム114にはガードリング115が形成されている。これらのユニット構成部品は、形状や配置位置を除き、シートバックS1側のセンサユニット100Aを構成する部品と同様の構成となっている。
【0098】
アース電極部110は、
図12に図示したように横長な長方形状をなしている。また、アース電極部110は、
図10に示すように、その左右中央位置がシートクッションS2のシート幅方向中央位置と一致するように配置されている。また、アース電極部110を構成する基部113の中央部には、前後方向に細長く延びた長孔113hが形成されている。また、基部113に内方された導線112は、ジグザグ状に配索されている。なお、導線112のうち、長孔113hの直前に位置する末端部112aは、バッファ回路部121に向かって前方に延出し、バッファ回路部121中の回路基板122の入力端子123に繋ぎ込まれている。
【0099】
さらに、基部113の後端部には、円弧状の切り欠き113xが形成されている。これにより、着座者の臀部がシートクッションS2に載った際に基部113が皺を伴わずに折れ曲がるようになる。この結果、着座者がシートクッションS2に着座したときのアース電極部110への影響(具体的には、導線112の屈曲及びこれに起因する断線)が抑えられる。
【0100】
左右一対の心拍センサ111は、シート幅方向においてシートクッションS2の中央位置を境にして対称的に配置されており、その間にアース電極部110を挟み込んでいる。より詳しく説明すると、左右一対の心拍センサ111の各々は、互いに向かい合った略L字状の外形形状をなしている。そして、
図12に示すように、心拍センサ111の後端部同士の間にアース電極部110が配置されている。
【0101】
また、各心拍センサ111を構成する基部113の縁部の所定箇所、具体的には、前端部及び後端部には、円弧状の切り欠き113xが形成されている。かかる切り欠き113xは、前述したアース電極部110の基部113に設けられた切り欠き113xと同様の効果を奏する。また、各心拍センサ111の基部113の内側部分には、前後方向に細長く延びた長孔113hが形成されている。この長孔113hは、
図12に示すように、シート幅方向において、切り欠き113xの形成位置と略同じ位置に形成されている。
【0102】
また、心拍センサ111を構成する導線112は、基部113内において心拍センサ111の縁に沿って配索された部分と、当該部分の内側でX字状に配索された部分と、を有する。なお、心拍センサ111の縁に沿って配索された導線112のうち、心拍センサ111のシート幅方向内側の端部に位置している部分は、
図12に示すように、アース電極部110をかわすようにアース電極部110の周縁に沿って屈曲している。また、心拍センサ111の縁に沿って配索された導線112(より厳密には、心拍センサ111のシート幅方向内側の端部に位置する導線112)の一部は、末端部112aをなしている。そして、末端部112aは、
図12に示すように、アース電極部110の前方位置に回り込んでバッファ回路部121に向かって湾曲しながら前方に延出し、最終的に、バッファ回路部121中の回路基板122の入力端子123に繋ぎ込まれている。
【0103】
ベースフィルム114は、一枚のシートによって構成されており、アース電極部110が貼り付けられる部分と、心拍センサ111が貼り付けられる部分と、が連続して一体化している。また、ベースフィルム114は、略下向きU字状に成形されている。この下向きU字型のベースフィルム114の側方部分の上面に心拍センサ111が貼り付けられており、中央部分の上面にアース電極部110が貼り付けられている。また、ベースフィルム114の縁部のうち、アース電極部110及び心拍センサ111の基部113に形成された切り欠き113xと隣り合う部分には、同様に円弧状の切り欠き114xが形成されている。
【0104】
ベースフィルム114において、左側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の前端部と、右側の心拍センサ111が貼り付けられた部分の前端部とは、シート幅方向において離間している。そして、
図12に示すように、離間した前端部同士の間のスペースを利用してバッファ回路部121が配置されている。なお、上記のスペースに配置されたバッファ回路部121は、
図12に示すように、ベースフィルム114の外縁のうちの最外部分よりも内側に位置している。また、同図に示すように、ベースフィルム114には、離間している前端部同士の間を連絡する連結部114bが設けられている。この連結部114bの下側(裏側)にバッファ回路部121が配置されていることにより、バッファ回路部121の上方移動が連結部114bによって規制されるようになる。
【0105】
ガードリング115は、アース電極部110及び心拍センサ111の各々が有する基部113の縁全周に亘って形成されていると共に、各基部13の内側領域に設けられた長孔113hの周りにも形成されている。
【0106】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態では、本発明の生体情報計測装置の構成について一例を挙げて説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0107】
また、上記の実施形態では、着座者の生体情報として心拍を計測することとした。ただし、これに限定されるものではなく、心拍以外の生体情報、例えば体温、脳波若しくは呼吸波形等を計測する場合にも本発明は適用可能である。
【0108】
また、上記の実施形態では、回路基板22中に、心拍センサ11からの出力信号(電気信号)を増幅する差動アンプ30が設けられているとともに、心拍センサ11間でインピーダンス値を合わせるためのインピーダンス調整部31が設けられていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、回路基板22中にインピーダンス調整部31が設けられておらず差動アンプ30のみが設けられている構成であってもよい。
【0109】
また、上記の実施形態では、心拍センサ11における導線12の配索パターンについて、一例(具体的には、
図2及び
図7に図示の例)を挙げて説明した。ただし、導線12の配索パターンについては、着座者の身体電位を好適に検出し得るものである限り、任意に設定することが可能である。
【0110】
また、上記の実施形態では、シートバックS1及びシートクッションS2にそれぞれ、左右一対の心拍センサ11が取り付けられていることとした。ただし、心拍センサ11の個数については、特に限定されるものではなく、シートバックS1及びシートクッションS2にそれぞれ心拍センサ11が一つずつ取り付けられている構成であってもよい。また、シートバックS1のみに心拍センサ11が取り付けられている構成であってもよい。