特許第6475692号(P6475692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475692
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】改良された抗細菌活性を有する液体石鹸
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20190218BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20190218BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20190218BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20190218BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20190218BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20190218BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20190218BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20190218BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20190218BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20190218BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20190218BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20190218BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 33/38 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20190218BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   A61K8/19
   C11D1/04
   C11D17/08
   C11D3/04
   C11D3/20
   C11D3/36
   C11D3/48
   A01N59/16 A
   A01P3/00
   A01N25/02
   A61P31/04
   A61P17/00
   A61K8/36
   A61Q19/10
   A61K33/38
   A61K9/08
   A61K47/12
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-508092(P2016-508092)
(86)(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公表番号】特表2016-522802(P2016-522802A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2014057189
(87)【国際公開番号】WO2014170186
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】1429/MUM/2013
(32)【優先日】2013年4月16日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チヤンダル,プレム
(72)【発明者】
【氏名】ウー,グオホウイ
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ニテイシユ
(72)【発明者】
【氏名】マンテナ,ヴアムシー・クリシユナ
(72)【発明者】
【氏名】サンズギリ,ビブハブ・ラムラオ
(72)【発明者】
【氏名】シローチ,アナツト
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−039808(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00887247(GB,A)
【文献】 米国特許第03050467(US,A)
【文献】 カナダ国特許発明第00586350(CA,C)
【文献】 特開2009−007266(JP,A)
【文献】 特表2012−532141(JP,A)
【文献】 特表2012−509372(JP,A)
【文献】 特開平08−133918(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00759950(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61K 9/00−9/72
A61K 31/33−33/44
A61K 47/00−47/69
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
A61Q 1/00−90/00
C11D 1/00−19/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の皮膚のグラム陽性細菌を減少させる方法のための水性石鹸組成物であって、該水性石鹸組成物が
(a)脂肪酸石鹸を0.2から25重量%、および
(b)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物、を含み、
該方法が
(I)該水性石鹸組成物を人の皮膚に塗布し、
(II)前記水性石鹸組成物を、1分未満の接触時間、皮膚にとどまらせ、
(IV)前記皮膚から前記水性石鹸組成物を洗い流すことを含む、前記水性石鹸組成物
【請求項2】
人の皮膚のグラム陽性細菌を減少させる方法のための液体クレンジング配合物であって、該液体クレンジング配合物が
(i)脂肪酸石鹸を配合物の総重量に対して5から65重量%、
(ii)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を配合物の総重量に対して0.1から100重量ppm、
および
(iii)水を20から90重量%含み、
該方法が
液体クレンジング配合物を、0.2から25wt%の前記脂肪酸含量まで希釈することによって水性石鹸組成物を得て、更に
(I)該水性石鹸組成物を人の皮膚に塗布し、
(II)前記水性石鹸組成物を、1分未満の接触時間、皮膚にとどまらせ、
(IV)前記皮膚から前記水性石鹸組成物を洗い流すことを含む、前記液体クレンジング配合物。
【請求項3】
前記銀(I)化合物が、前記液体クレンジング配合物に、該配合物の総重量に対して1から50ppmの量で存在する、請求項1に記載の水性石鹸組成物または請求項2に記載の液体クレンジング配合物
【請求項4】
前記銀化合物が、酸化銀を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性石鹸組成物又は液体クレンジング配合物
【請求項5】
パーソナルケア用途の液体クレンジング配合物であって、前記配合物は、
(a)脂肪酸石鹸を前記配合物の総重量に対して5から65重量%、
(b)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を、前記配合物の総重量に対して0.1から100重量ppm、および
(c)水を20から90重量%含むとともに、
前記配合物は25℃でのpHが8から11である、パーソナルケア用途の液体クレンジング配合物。
【請求項6】
成分(b)が、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、およびリン酸銀からなる一つの群から選択された1種以上の銀化合物である、請求項5に記載の液体クレンジング配合物。
【請求項7】
前記銀(I)化合物が、酸化銀を含む、請求項5または6に記載の液体クレンジング配合物。
【請求項8】
人の皮膚のグラム陽性細菌を減少させる、人の皮膚を洗浄する方法のための液体クレンジング配合物であって、該液体クレンジング配合物が
(a)脂肪酸石鹸を配合物の総重量に対して5から65重量%、
(b)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を配合物の総重量に対して0.1から100重量ppm、
および
(c)水を20から90重量%を含み、
該方法が、
(I)該液体クレンジング配合物を泡立て、または発泡させ、この際、水を追加してもよく、
(II)前記発泡させた組成物を、1分未満の接触時間、皮膚に塗布し、
(III)前記皮膚から前記発泡させた組成物を洗い流すことを含む、前記液体クレンジング配合物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対する抗細菌活性が改良された石鹸系液体クレンジング配合物、ならびに、比較的接触時間の短い皮膚洗浄用途において、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対する抗細菌活性を改良する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石鹸組成物、例えば、固形石鹸および液体石鹸は、かかる製品のクレンジング/洗浄力作用によって、皮膚から有機体を除去することに大いに関連している抗細菌効果を有することが知られている。さらに、かかる組成物は、通常、多数のグラム陰性細菌に対して殺菌作用を有する。グラム陽性細菌、例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)等に対する石鹸組成物の殺菌作用は、しかしながら、製品の用途に特有の接触時間、通常は1分未満、より一般的にはおよそ30秒以下の範囲内では、かなり大きく制限される。グラム陽性細菌に対する殺菌作用を実現することは、高pH液体石鹸製品、すなわち、25℃でのpHが8から11、より具体的には9から11の液体石鹸組成物の場合に特に問題がある。
【0003】
石鹸組成物の殺菌活性を改良する様々な手段が提案されている。例えば、特許文献1(Taylorら)は、固形石鹸を開示しており、これは、炭素数8−10のアルキル鎖長を有する石鹸少なくとも約50%、水系溶剤約10%から約30%、および、遊離酸、好ましくは遊離脂肪酸を、固形石鹸の10%水溶液のpHが約9程度になるように含む。この固形石鹸は、記載された試験において、グラム陽性細菌に対する対数減少が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対して測定した場合、40℃で30秒接触後少なくとも3を示すとその中で特徴づけられている。Taylorらの表3に示されたデータは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する抗細菌活性におけるpHの関数として、遊離脂肪酸含量の効果を比較している。
【0004】
合成アニオン性界面活性剤、すなわち「合成洗剤」に基づく組成物だけでなく、石鹸系組成物を含むクレンジング組成物において抗菌効果を実現する手段には、殺菌効果を有する1以上の物質の使用も含まれる。
【0005】
特許文献2(Levisonら)は、その中で長期間にわたって抗菌性を与えることが可能であるとされる防腐剤処方を開示している。その中で開示された処方は、キレート金属イオン類(キレート銀イオン類を含む)と、このキレート金属イオン類を皮膚に結合させる能力を有する固定剤ポリマーを含んでいる。Levinsonらは、その表IVで、合成アニオン性界面活性剤系の液体石鹸用に、この処方を提供している。この処方は、いくつかある成分の中で特に、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、エチルアルコール、マカダミアグリセリド類、アクリレートクロスポリマー、クエン酸二水素銀、およびEDTA四ナトリウムを含んでいる。
【0006】
特許文献3は、抗菌性を有することを特徴とする化粧石鹸を開示しており、この石鹸は、ここで「石鹸系」と呼ばれるもの、機能性添加剤、およびAgおよび/またはCu2+イオンをインターカレートしたベントナイト粉末を含んでいる。
【0007】
特許文献4(Carnaliら)は、その中で改良された抗細菌活性を有するとされる石鹸系洗浄液処方を開示しており、この組成物は、0.01から10wt.%の抗菌剤、例えば、銀粒子、亜鉛粒子、銅粒子、またはこれらの混合物を含んでいる。この石鹸系処方は、C12−18の脂肪酸の脂肪酸混合物(この脂肪酸混合物は、さらに中和度70%から90%を有していると特徴づけられている)10から50重量%、好ましくは、25から40重量%、より好ましくは、30から40重量%、共溶媒、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびこれらの混合物等10から40重量%、および、水18重量%未満、好ましくは、16重量%未満を、共溶媒の水に対する割合が、0.4−10、好ましくは、0.8から7、より好ましくは、1.0から5の範囲になるように含むと述べられている。
【0008】
特許文献5(Horowitzら)は、水溶性石鹸が約90重量%から約99重量%と、部分解重合アルギン酸の銀塩が約10重量%から約1重量%の混合物を含む、殺菌クリーナー、例えば石鹸および洗剤を開示している。列挙されたアルギン酸量は、銀含量が0.01から1重量%の組成物を与えると述べられている。
【0009】
特許文献6(Arataら)は、クエン酸二水素銀および生理学的に許容される媒体を含む、パーソナルケア製品を開示している。この組成物は、銀イオンを50ppbから10,000ppmの濃度で含むと述べられており、かかる濃度は、最終組成物の単位容積(液体の場合)当たりの、または、最終組成物の単位重量(固体の場合)当たりの総銀イオン重量に基づいている。
【0010】
グラム陽性細菌に対して、洗い流すクレンジング用途に特有の比較的短い接触時間、すなわち、1分未満、より具体的には30秒以下、さらに具体的には10秒以下で、改良された殺菌活性をもたらす個人的洗浄方法、および、液体石鹸処方、特に、かかる方法での使用に適する高pH液体石鹸処方が依然として要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6794344号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/003413号明細書
【特許文献3】国際公開第01/1131422号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0098776号明細書
【特許文献5】米国特許第3050467号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0115440号明細書
【発明の概要】
【0012】
以下でより具体的に述べられる、選択された銀(I)化合物、より具体的には、選択された銀イオン溶解度値を有する銀(I)化合物をその中に組み込むことによって、液体石鹸の、例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)を含むグラム陽性細菌に対する直接的な殺菌作用、すなわち、細菌を殺す作用が、液体石鹸用途と関連する短い接触時間で改良可能であることが見出されている。さらに、かかる殺菌が、銀(I)化合物を用いて、この化合物自体では、水中での同等のpH(すなわち、8から11、より具体的には9から11)においては、液体石鹸用途に特有の望ましい短期間の接触時間、すなわち、1分未満、より具体的には30秒以下、さらに具体的には10秒以下の接触時間の範囲内では、効果的な殺菌活性を得られない濃度において実現可能であることが見出されている。
【0013】
理論にとらわれることを望まず、本発明者らは、石鹸系液体クレンジング配合物を再検討する中で、かかる低濃度の銀(I)化合物の役割は、石鹸分子が殺菌剤の役割を果たすことを可能にするために、微生物の環境を修正することであることを見出している。したがって、本発明は、一つには、グラム陽性およびグラム陰性菌に対する石鹸自体の抗細菌活性を改良することを目的とする。
【0014】
銀の比較的高い費用を考えると、かかる銀化合物の低濃度は、この銀化合物自体が目的の接触時間で著しい殺菌効果を有するために必要とされる高濃度と比較して、著しい費用便益をもたらす。さらに、この銀化合物の低濃度は、感覚および工程利益の両方から望ましい。
【0015】
一実施形態において、パーソナルケア用途の液体クレンジング配合物(「液体クレンジング配合物」という用語は、ここではその他に「パーソナルクレンジング配合物」または「液体石鹸配合物」と言う)が提供されており、この配合物は、
(a)脂肪酸石鹸を該配合物の総重量に基づいて5から65重量%、
(b)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を該配合物の総重量に基づいて0.1から100重量ppm、好ましくは1から50ppm、より好ましくは、5から20ppm、および
(c)水を20から90重量%含むとともに、該配合物は25℃でのpHが8から11、より具体的には、9から11の範囲である。
【0016】
別の実施形態では、脂肪酸石鹸系の高pH液体クレンジング配合物の、グラム陽性細菌に対する抗細菌効果を改良する方法であって、銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を前記液体クレンジング配合物に0.1から100重量ppm、より具体的には1から50ppm、さらに具体的には、5から20ppm組み込むことを含むとともに、得られる配合物が、好ましくは、後述するインビトロ時間−殺菌手順で、接触時間30秒で、少なくとも2.5、好ましくは少なくとも3の黄色ブドウ球菌(S.aureus ATCC6538)に対するLog10減少、さらに好ましくは、接触時間10秒で、少なくとも1.5、より好ましくは、少なくとも2の黄色ブドウ球菌(S.aureus ATCC6538)に対するLog10減少を与える方法が提供される。
【0017】
別の実施形態では、人の皮膚を洗浄する方法、より具体的には人の皮膚のグラム陽性細菌を減少させる人の皮膚を洗浄する方法であって、
(i)
(a)脂肪酸石鹸を配合物の総重量に基づいて5から65重量%、
(b)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を配合物の総重量に基づいて0.1から100重量ppm、より好ましくは1から50ppm、および
(c)水を20から90重量%含む、液体クレンジング配合物を泡立て、または発泡させ、この際、水を追加してもよく、
(ii)前記発泡させた組成物を、接触時間1分未満、より具体的には30秒以下、さらに具体的には10秒以下で皮膚に塗り、さらに、
(iii)皮膚からこの発泡組成物を洗い流すことを含む方法が提供される。
【0018】
さらに別の実施形態では、人の皮膚のグラム陽性細菌を減少させる方法であって、
(I)
(a)脂肪酸石鹸を0.2から25重量%、
(b)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を含む水性石鹸組成物であるとともに、この水性石鹸組成物が、必要に応じて、
(i)脂肪酸石鹸を配合物の総重量に基づいて5から65重量%、
(ii)銀イオンの溶解度(25℃の水中)が少なくとも1×10−4mol/Lの、少なくとも1種の銀(I)化合物を配合物の総重量に基づいて0.1から100重量ppm、より好ましくは1から50ppm、および
(iii)水を20から90重量%含む、液体クレンジング配合物を、0.2から25wt%の前記脂肪酸含量まで希釈することによって得られたものである、水性石鹸組成物を人の皮膚に塗布し、
(II)この水性石鹸組成物を接触時間1分未満、好ましくは30秒以下、さらに好ましくは10秒以下、皮膚にとどまらせ、さらに、
(III)皮膚から前記水性石鹸組成物を洗い流すことを含む方法が提供される。
【0019】
本方法で使用される液体クレンジング配合物は、通常、pHが8から11であり、より具体的には、9から11である。1以上の実施形態では、本方法で使用される液体クレンジング配合物の銀含量は、該配合物の総重量に基づいて、5−20ppmであり、より具体的には、5から15ppmである。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、脂肪酸石鹸、銀化合物、および水を上述の通り(好ましくは上述のpHレベルで)含む液体クレンジング配合物が、さらに精油の抗菌活性成分チモールおよびテルピネオールと組み合わせて用いられた場合に、優れた抗細菌効果が得られることが見出されている。特に、銀塩と、チモールおよびテルピネオールの両方との組合せは、グラム陽性およびグラム陰性細菌の両方に対して全般的な抗細菌効果を有する。
【0021】
チモールとテルピネオールのそれぞれは、好ましくは、組成物全体の0.01から2wt.%の濃度で存在する。
【0022】
好ましくは、チモールとテルピネオールは、本発明の銀含有組成物に、(a)チモールとテルピネオールの精油活性成分混合物を0.01から2%を含む抗菌組成物、および(b)ヒドロトロープ(好ましくは、安息香酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される)として添加されてもよい。
【0023】
好ましくは、前記銀含有組成物は、チモールとテルピネオールの合計で0.01から1%を含む。さらなる精油活性成分、例えば、オイゲノール、ゲラニオール、または混合物を用いてもよい。改良された抗細菌効果のために銀含有組成物に用いられる別の好ましい油混合物は、チモール、テルピネオール、およびオイゲノールである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施例と比較例におけるものを除いて、あるいは、別段の明確な指示がない限り、本明細書において、材料、材料物性、および、反応条件の量、部、百分率、比、および割合を示すすべての数は、「約」という単語で修飾されていると理解されたい。別段の指示がない限り、本明細書で言及する材料の部、百分率、比、および割合はすべて重量による。
【0025】
「含む(comprising)」という用語は、いかなる後に述べられる要素も限定しないことを意味し、特定されていない、機能的に重要な、またはあまり重要でない要素を包含することを意味する。言い換えれば、記載された段階、要素、あるいは選択肢は、必ずしも包括的ではない。「含む(including)」または「有する(having)」という単語が用いられた場合はいつでも、これらの用語は、上述した「含む(comprising)」と同等の意味である。本発明の組成物が、特定の成分または材料を「含む(including)」または「含む(comprising)」と記載された場合、前記組成物が、列挙された成分または材料を「基本的に〜からなる(consist essentially of)」または、「〜からなる(consist of)」とできる下位の実施形態もまた考えられる。
【0026】
任意の範囲の濃度または量を特定する際、任意の特定の上方の濃度または量と、任意の特定の下方の濃度または量を関連させることができることにも注意されたい。
【0027】
脂肪酸石鹸
「脂肪酸石鹸」、またはより単純に「石鹸」という用語は、ここでは一般的な意味で用いられており、すなわち、好ましくは炭素数6から22、および好ましくは炭素数8から18の脂肪族アルカン−またはアルケンモノカルボン酸である脂肪酸の塩のことである。
【0028】
この脂肪酸石鹸は、目的の液体クレンジング配合物の、5から65重量%、好ましくは、10から55重量%を構成するべきである。この言及された脂肪酸濃度は、使用時に希釈することを考慮しない、消費者に提供される一般的な形態での配合物用である。使用時、かかる範囲内のより高い濃度で脂肪酸石鹸を含む配合物は、通常、皮膚に塗布される希釈組成物が、典型的には脂肪酸石鹸を25%以下、より具体的には、0.2から25%以下含むように水で希釈される。
【0029】
典型的な石鹸塩は、かかる脂肪酸のアルカリ金属塩、またはアルカノールアンモニウム塩であるが、その他の金属塩、例えばマグネシウム塩もまた、使用されうる。かかる酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、モノ−、ジ−、およびトリ−エタノールアンモニウム塩は、ここでの使用に適するより一般的な石鹸である。1以上で通常、カリウム石鹸が本発明の配合物に用いられるが、石鹸の約25%までは、ナトリウムまたはマグネシウム石鹸でよい。
【0030】
上述したように、上記石鹸塩が得られる上記脂肪酸は、不飽和を含んでいてもよい。不飽和の程度は、商業的に受け入れられる標準に従うべきである。過度の不飽和は、着色と臭気の問題を最小限にするために通常は回避される。通常、上記石鹸塩が形成される脂肪酸の40wt.%以下が不飽和である。もう一つの実施形態では、上記石鹸塩が形成される脂肪酸の10から40wt.%、より具体的には、20から40wt.%が不飽和である。
【0031】
1以上の実施形態では、C12、C14、C16、およびC18脂肪酸の組合せが、上記石鹸塩が形成される脂肪酸の合計の90から100wt%、より具体的には、95から100wt.%を占め、かつ、好ましくは、C16およびC18脂肪酸の組合せが、上記石鹸塩が形成される脂肪酸の合計の10から35wt.%、より具体的には、12から30wt%、さらに具体的には14から28wt.%を占めることが好ましい。好ましくは、CおよびC10脂肪酸の合計量は、上記石鹸塩が形成される脂肪酸の5wt%未満、好ましくは3wt.%未満である。
【0032】
銀化合物
目的の配合物および組成物などで使用される銀化合物は、銀イオンの溶解度が少なくとも1×10−4mol/L(25℃の水中)の、1種以上の水溶性銀(I)化合物である。銀イオンの溶解度とは、後述の通り、多くの化合物に報告されている周知のパラメータである、25℃の水中での溶解度積(Ksp)から誘導される値である。より具体的には、mol/Lで与えられる値である銀イオンの溶解度[Ag]は、下記式を用いて計算されうる。
【0033】
[Ag+]=(Ksp・x)(1/(x+1)))
式中、Kspは、目的の化合物の25℃の水中での溶解度積であり、xは、化合物1モル当たりの銀イオンのモル数を表す。銀イオンの溶解度が少なくとも1×10−4mol/Lの銀(I)化合物が、ここでの使用に適していることが見出されている。様々な銀化合物についての銀イオンの溶解度値を表1に示す。
【表1】
【0034】
ここで使用するのに適した銀(I)化合物は、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、およびリン酸銀であり、1以上の実施形態において、酸化銀、硫酸銀、およびクエン酸銀が特に注目される。少なくとも一つの好ましい実施形態において、この銀(I)化合物は、酸化銀を含む。
【0035】
少なくとも一つの実施形態において、上記銀化合物は、クエン酸二水素銀ではない。別の実施形態において、上記銀化合物は、アルギン酸塩または実質的に解重合されたアルギン酸塩ではない。一つの好ましい実施形態では、上記銀化合物は、ナノ粒子の形ではなく、ナノ粒子に付着しておらず、インターカレートされた、例えばベントナイト等のシリケートの一部でもない。
【0036】
1以上の実施形態において、目的の方法で使用される水系石鹸組成物の、銀化合物の石鹸塩に対する重量比は、1:500から1:650,000、好ましくは、1:1000から1:250,000、より好ましくは、1:1200から1:200,000である。
【0037】

本発明のパーソナルクレンジング配合物は、典型的には、該配合物の総重量に基づいて、水を20から90重量%、より具体的には、50から85重量%の量含んでいる。かかる水含量は、濃縮および非濃縮製品の両方を含む、比較的広範囲の配合物を代表し、水含量が20から50重量%未満の配合物は、濃縮製品の典型である。
【0038】
使用時、上記配合物は、通常水で希釈される。希釈の程度は、個別の製品形状による。一般的ではないが、ここでは使用が考慮されるのは、典型的には、ポンプ内の篩を製品が通過する、ポンプ式ディスペンサの使用によって希釈なしで発泡される配合物である。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明の銀含有組成物は、精油の抗菌活性成分チモールおよびテルピネオールと組み合わせて用いられる。好ましくは、それぞれは、銀含有組成物全体に、該組成物の0.01から2%の濃度で存在する。
【0040】
チモールは、好ましくは、組成物の0.02から0.5重量%、より好ましくは0.3重量%まで、さらに好ましくは、0.2重量%までで存在する。チモールは、精製された形で抗菌組成物に添加されうる。あるいは、チモールが本発明の組成物に所望の濃度で存在することを保証しつつ、チモールを含むタイム油またはタイム抽出物を抗菌組成物に添加してもよい。タイム油またはタイム抽出物は、タイム植物から得られる。タイム植物とは、タイム(Thymus)属に属する植物のことを言い、以下の種を含むが、これらに限定されない:チムス・ブルガリス(Thymus vulgaris)、チムス・ジギス(Thymus zygis)、チムス・サツレオイデス(Thymus satureoides)、チムス・マストキナ(Thymus mastichina)、チムス・ブルーソネッティ(Thymus broussonetti)、チムス・マロカヌス(Thymus maroccanus)、チムス・パリダス(Thymus pallidus)、チムス・アルゲリエンシス(Thymus algeriensis)、チムス・セルピルム(Thymus serpyllum)、チムス・プレゴイデ(Thymus pulegoide)およびチムス・シトリオドラス(Thymus citriodorus)。
【0041】
チモールとその異性体カルバクロールの構造を以下に示す。
【化1】
【0042】
テルピネオールは、好ましくは、組成物の0.05から1重量%、より好ましくは0.5重量%までで存在する。テルピネオールは、好ましくは、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、またはこれらの混合物から選択される。テルピネオールがα−テルピネオールであることが、特に好ましい。テルピネオールは、精製された形で抗菌組成物に添加されうる。あるいは、テルピネオールを含むパイン油を抗菌組成物に添加してもよい。テルピネオール化合物の構造を以下に示す。
【化2】
【0043】
必要に応じて、上記配合物は、上記脂肪酸石鹸に加えて、洗浄性界面活性剤を含んでいてもよい。かかる洗浄性界面活性剤は、例えば、アニオン性、双性イオン性、および/またはノニオン性界面活性剤を含む。
【0044】
ここで使用するのに適したアニオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、メチルラウロイルタウリンナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸ナトリウム、ラウロイルスルホコハク酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
上記アニオン性界面活性剤は、例えば、脂肪族スルホネートでよく、第一級C−C22アルカンスルホネート、第一級C−C22アルカンジスルホネート、C−C22アルケンスルホネート、C−C22ヒドロキシアルカンスルホネート、または、アルキルグリセリルエーテルスルホネート等である。
【0046】
ここで使用するのに適した双性イオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体を含むとともに、その脂肪族基は、直鎖または分岐鎖でよく、かつ、この脂肪族置換基の一つが、約8から約18の炭素原子を含み、一つの置換基がアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含む。具体的な双性イオン性界面活性剤は、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、オレイルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチル−γ−カルボキシプロピルベタイン、ラウリルビス(2−ヒドロキシプロピル)−α−カルボキシエチルベタイン、およびこれらの混合物である。スルホベタイン類は、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン、およびこれらの混合物を含みうる。
【0047】
使用してもよいノニオン性界面活性剤は、疎水性基と反応性水素原子を有する化合物の反応生成物を含む。具体的には、アルキレンオキシド類、特にエチレンオキシドを単独で、またはプロピレンオキシドとともに反応させた、アルコール類、酸類、アミド類、またはアルキルフェノール類である。具体的なノニオン性界面活性剤は、C−C22アルキルフェノール−エチレンオキシド縮合物、C−C18脂肪族第一級または第二級直鎖または分岐アルコール類とエチレンオキシドの縮合生成物、および、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとエチレンジアミンの反応生成物との縮合で作製された生成物である。その他のノニオン性界面活性剤としては、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、およびジアルキルスルホキシドが挙げられる。同様に有用なのは、アルキル多糖である。
【0048】
存在する場合、付加的な洗浄性界面活性剤の量は、一つにはその選択によって、および脂肪酸石鹸の量によって決まる。目的のパーソナルクレンジング配合物は、石鹸系であり、すなわち、ここに含まれる脂肪酸石鹸の総量は、脂肪酸石鹸ではない洗浄性界面活性剤の総量を超える。通常、上記脂肪酸石鹸は、パーソナルクレンジング配合物に存在する洗浄性界面活性剤の総量の、85から100wt.%、より具体的には、90から100wt.%を占める。
【0049】
上記配合物は、典型的には1以上の皮膚有益剤を含む。「皮膚有益剤」という用語は、皮膚(角質層)を、その含水量を増加させるか、脂質やその他の皮膚の栄養を添加または交換することのどちらか一方またはその両方によって、軟化させるか、または、その弾力性、外観、および若々しさを改良し、かつ、その含水量の減少を遅延させることで皮膚を柔軟に保つ物質として定義される。適切な皮膚有益剤としては、皮膚軟化剤が含まれ、例えば、疎水性皮膚軟化剤、親水性皮膚軟化剤、あるいはこれらの混合物が含まれる。
【0050】
有用な皮膚有益剤は、以下のものを含む。(a)シリコーンオイルとその変性体類、例えば直鎖および環状ポリジメチルシロキサン類;アミノ、アルキル、アルキルアリール、およびアリールシリコーンオイル類等;(b)天然油脂類を含む油脂類、例えば、ホホバ油、大豆油、ヒマワリ油、米ぬか油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、杏仁油、ヒマシ油、ヤシ油、およびミンク油;カカオ脂、牛脂および豚脂;上記油を水素化して得られた硬化油;および合成モノ、ジ、およびトリグリセリド、例えば、ミリスチン酸グリセリドおよび2−エチルヘキサン酸グリセリド等;(c)ワックス類、例えば、カルナバ、鯨ろう、蜜ろう、ラノリン、およびそれらの誘導体等;(d)疎水性および親水性の植物抽出物;(e)炭化水素類、例えば、流動パラフィン、ペトロラタム、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクアレン、プリスタン、および鉱油等;(f)高級脂肪酸類、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、およびポリ不飽和脂肪酸(PUFA)等;(g)高級アルコール類、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール、および2−ヘキシデカノール等;(h)エステル類、例えば、オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、乳酸アルキル、クエン酸アルキル、および酒石酸アルキル等;(i)精油およびその抽出物類、例えば、ハッカ、ジャスミン、樟脳、ヌマヒノキ、苦橙皮、リュウ、テレピン、桂皮、ベルガモット、温州ミカン、ショウブ、パイン、ラベンダー、ベイ、クローブ、ヒバ、ユーカリ、レモン、スターフラワー、タイム、ペパーミント、バラ、セージ、ゴマ、ジンジャー、メボウキ、杜松、レモングラス、ローズマリー、紫檀、アボカド、グレープ、グレープシード、ミルラ、キュウリ、クレソン、キンセンカ、エルダーフラワー、ゼラニウム、リンデンブロッサム、アマランス、海草、イチョウ、朝鮮人参、ニンジン、ガラナ、ティーツリー、ホホバ、ヒレハリソウ、オートミール、ココア、橙花、バニラ、緑茶、ペニーロイヤル、アロエ、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネル、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、マツヨイグサ、樟脳、チモール、スピラントール、ぺネン、リモネン、およびテルペノイド油等;(j)多価アルコール類、例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール等;およびポリエチレングリコール類等のポリオール類、例としては:Polyox WSR−205 PEG 14M、Polyox WSR−N−60K PEG 45M、またはPolyox WSR−N−750、およびPEG 7Mであり;(k)脂質類、例えば、コレステロール、セラミド類、ショ糖エステル類、および欧州特許第556957号明細書に記載の疑似セラミド類等;(l)ビタミン類、ミネラル類、および、皮膚の栄養素、例えば、乳液、ビタミンA、E、およびK等;ビタミンCアルキルエステルを含むビタミンアルキルエステル類;マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、およびその他の金属成分等;(m)日焼け止め類、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル(Parsol MCX)およびブチルメトキシベンゾイルメタン(Parsol 1789)等;(n)リン脂質類;および(o)老化防止化合物、例えば、α−ヒドロキシ酸類およびβ−ヒドロキシ酸類。皮膚有益剤は、通常、上記液体石鹸配合物の最大で30wt.%までを構成するとともに、0から25wt.%、より具体的には0から20wt%の濃度が、一般的に「皮膚軟化剤」として知られるそれら皮膚有益剤が目的の配合物の多くに使われる典型的な濃度である。好ましい皮膚有益剤としては、脂肪酸類、炭化水素類、多価アルコール類、ポリオール類、およびそれらの混合物が挙げられるとともに、少なくとも一つのC12からC18脂肪酸、ペトロラタム、グリセロール、ソルビトール、および/またはプロピレングリコールを含む皮膚軟化剤が、1以上の実施形態で特に注目される。
【0051】
その他の任意成分としては、水溶性/水分散性ポリマー類が挙げられる。これらポリマー類は、分子量が100,000ダルトンを超えるカチオン性、アニオン性、両性、またはノニオン性のものであってよい。それらは、液体パーソナルクレンジング配合物の粘度と安定性を増加させ、使用中および使用後の皮膚の知覚特性を改良し、泡のクリーム状態と泡の安定性を改良することが知られている。存在する場合、かかるポリマー類の総量は、通常、上記パーソナルクレンジング配合物の0.1から10重量%の範囲である。
【0052】
水溶性または水分散性ポリマー類の例としては、炭水化物ガム、例えば、セルロースガム、微結晶性セルロース、セルロースゲル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、グアーガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアガム、アカシアガム、アガーガム、キサンタンガム、およびそれらの混合物等;変性および非変性デンプン粒およびアルファ化冷水可溶性デンプン;エマルションポリマー類、例えば、Aculyn(登録商標)28、Aculyn(登録商標)22、またはCarbopol(登録商標)Aqua SF1等;カチオン性ポリマー、例えば、ローヌプーランよりJaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17、またはJaguar C16の商品名で入手可能なカチオン化グアーを含む、変性多糖類等;カチオン化変性セルロース、例えば、Amerchol製UCARE Polymer JR 30またはJR 40等;Hercules製N−Hance(登録商標)3000、N−Hance(登録商標)3196、N−Hance(登録商標)GPX 215、またはN−Hance(登録商標)GPX 196;合成カチオン性ポリマー、例えば、Nalcoより販売されているMerquat(登録商標)100、Merquat(登録商標)280、Merquat(登録商標)281、およびMerquat(登録商標)550等;カチオン化デンプン類、例えば、Staley Inc.より販売されているStaLok(登録商標)100、200、300、および400等;カチオン化ガラクトマンナン類、例えば、Henkel Inc.のGalactasol(登録商標)800シリーズ等;Quadrosoft(登録商標)LM−200;およびPolyquaternium−24が挙げられる。同様に適するのは、高分子量ポリエチレングリコール類であり、例えば、Polyox(登録商標)WSR−205(PEG14M)、Polyox(登録商標)WSR−N−60K(PEG45)、およびPolyox(登録商標)WSR−301(PEG90M)等である。
【0053】
保存料/抗菌剤は、潜在的に有害な微生物の成長を防ぐために、本発明のパーソナルクレンジング配合物に好ましく組み込むことができる。本発明の配合物に適切な伝統的な保存料は、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル類である。その他の保存料/抗菌剤で、最近になって使われるようになったものとしては、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および様々な第四級アンモニウム化合物が挙げられる。特に注目の保存料/抗菌剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびベンジルアルコールである。特に注目のその他の保存料は、数例を挙げれば、ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL 1000)、パラベン類、ソルビン酸、チモール、およびテルピネオールである(例えば、本明細書に引用して援用する米国特許出願公開第2011/0223114号明細書に記載の通り、チモールとテルピネオールの組合せは、1以上の実施形態で特に注目される)。
【0054】
保存料/抗菌剤は、上記配合物の使用と、保存料と他の成分の間の起こり得る不和合性を考慮して選択するべきである。保存料は、好ましくは、パーソナルクレンジング配合物の0.01から2重量%の量で使用される。
【0055】
目的のパーソナルクレンジング配合物に存在してもよい付加的な任意成分は、例えば、香料類;金属イオン封鎖剤およびキレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、エタンヒドロキシジホスホネート(EHDP)、およびエチドロン酸、別名1−ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)等;着色剤;乳白剤および真珠光沢剤、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO、エチレングリコールモノステアレート(EGMS)、エチレングリコールジステアレート(EGDS)、または、Lytron 621(スチレン/アクリレートコポリマー)等;pH調整剤;老化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等;安定剤;気泡促進剤、例えば、ココアシルモノ−またはジエタノールアミド等;電離塩、例えば、塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウム等、および、従来液体石鹸配合物に用いられているようなその他の成分である。かかる付加的な任意成分の総量は、典型的には、パーソナルクレンジング配合物の総重量に基づいて、0から10重量%、より具体的には、0.1から5重量%である。
【0056】
本発明のパーソナルクレンジング配合物は、特に黄色ブドウ球菌(S.aureus)を含むグラム陽性細菌に対する殺菌活性が関心対象である。この石鹸配合物が関心対象とするその他のグラム陽性細菌は、S.epidermidis、および/またはCorynebacteria、特に、腋窩分泌物の悪臭化合物への加水分解の原因となるCorynebacteria株である。望ましくは、この配合物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC6538)に対する殺菌活性におけるlog10減少が、接触時間30秒で少なくとも2.5、好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは、接触時間10秒で、黄色ブドウ球菌(S.aureus ATCC6538)に対するLog10減少が少なくとも1.5、さらにより好ましくは、少なくとも2である。
【0057】
使用時、上記パーソナルクレンジング配合物は、必要に応じて希釈され、水性クレンジング組成物を形成し、これは、1分未満、より具体的には30秒以下の接触時間(中から比較的長時間の接触時間に関しては、接触時間10から30秒が目的のものであり、短から中時間の接触時間に関しては、接触時間10秒以下が目的のものである)皮膚に塗布され、その後、典型的には水ですすぐことによって、皮膚から除去される。上記パーソナルクレンジング配合物は、皮膚に付けられる前、付けられた後、または付けられると同時に希釈されてよく、希釈は、通常、上記配合物が、手の中で、あるいは、洗面用タオル、スポンジ、またはプーフ等の塗布器上で泡になることで起こる。
【0058】
製造
ここに記載されたパーソナルクレンジング配合物は、当技術分野で慣行の製造技術によって生産されうる。ごく一般的な一手順では、溶融脂肪酸が加熱された水相の水に添加され、続いて、苛性(脂肪酸を中和して石鹸を形成するため)、合成洗剤、および共溶媒が添加され;生成物が室温まで冷却されるにつれ、必要に応じて残りの成分が添加される。
【0059】
上記パーソナルクレンジング配合物は、例えば、手洗い用、洗顔用、および身体用石鹸、シャワー用ジェル等を含む、様々な異なる製品形状に提供されうる。上記配合物は、ボトル、ポンプ式ディスペンサ、チューブ、小袋、または、製品形状に適するその他の梱包材料に提供されうる。
【実施例】
【0060】
以下に限定されない実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。以下の手順を、殺菌活性を評価するために用いた。
【0061】
インビトロ時間−殺菌手順
石鹸溶液の調製
溶液の調製は、一つには、液体石鹸配合物の具体的な形態によって左右される。例えば、使用時に希釈されない配合物、例えば、自己発泡性配合物は、そのまま使用される。30wt.%以下の洗浄性界面活性剤を含み、使用時に希釈されることを意図する配合物は、最初の配合物を50wt%含む石鹸溶液を形成するために同重量の水と混合される。30wt%を超える洗浄性界面活性剤を含み、使用時に希釈されることを意図する配合物は、最初の配合物を16wt%含む石鹸溶液を形成するために水と混合される。
【0062】
細菌
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC6538)は、本研究でグラム陽性細菌をそれぞれ象徴するために用いた。この細菌は、−80℃で保存した。新鮮分離株は、各実験の前に、トリプチックソイ寒天プレート上で、24時間37℃で2回培養した。
【0063】
インビトロ時間−殺菌分析
時間−殺菌分析は、本明細書に引用して援用する欧州規格EN1040:2005、タイトル「Chemical Disinfectants and Antiseptics−Quantitative Suspension Test for the Evaluation of Basic Bactericidal Activity of Chemical Disinfectants and Antiseptics−Test Method and Requirements(Phase 1)」に従って行う。この手順に従って、1ml当たりのコロニー形成単位(cfu/ml)が1.5×10から5×10の増殖期の細菌培養物を、25℃の石鹸溶液(上述の通りに調製したもの)で処理する。試験試料の形成において、上述の通りに調製した石鹸溶液8重量部を、培養物1重量部および水1重量部と混合する。10、30、および60秒の曝露後、石鹸溶液の抗細菌活性を止めるため、試料を中和する。その後、試験溶液は、連続的に希釈し、固体培地に塗布し、24時間培養し、生き残った細胞を数える。殺細菌活性は、0秒での細菌濃度に対するcfu/mlでの対数減少として定義される。いかなる石鹸溶液にも曝露されていない培養物を非処理の対照とする。
【0064】
log10減少は式:
Log10減少=log10(対照の数)−log10(生き残った試験試料)
を用いて計算した。
【0065】
[実施例1〜3]
液体石鹸配合物は、以下の表2に示すように調製した。
【表2】
【0066】
これら液体石鹸配合物の殺菌活性は、上述したインビトロ時間−殺菌手順に従って評価した。殺菌活性の結果を表3に示す。
【表3】
【0067】
表3のデータに示されるように、表示の接触時間では、液体石鹸2および液体石鹸3は、液体石鹸1(銀成分なし)より、黄色ブドウ球菌(S.aureus ATCC6538)に対する殺菌効力が大きかった。