【実施例】
【0065】
以下の実施例は本発明の主題を説明することを可能にし、純粋に手引きとして与えられるが、本発明の様々な実施形態を限定することを決して意図するものではない。
【0066】
ゼオライト粒状材料中のゼオライト画分の量は、略語XRDによって当業者に知られているX線回折による分析によって測定される。この分析は、Bruekerブランドの機器上で実行され、その後Brueker社のTOPASソフトウェアを用いてゼオライト画分の量を評価する。
【0067】
ゼオライト粒状材料は、ゼオライト粒状材料の元素化学分析により、より正確には波長分散型分光器(WDXRF)、例えば、Brueker社のTiger S8上で、規格NF EN ISO 12677:2011に記載されているようにX線蛍光化学分析により、Si/A原子l比およびカチオン交換率について評価した。X線蛍光スペクトルは、定量的および定性的の両方の正確な決定を与える元素の化学的組み合わせにほとんど頼らないという利点を有する。各酸化物SiO
2およびAl
2O
3ならびにナトリウム、カリウム、バリウム酸化物の較正後、0.4重量%未満の測定の不確実性が慣習的に得られる。Si/Al原子比の測定の不確実性は±5%である。
【0068】
試料にカメラの対物レンズの前を通過させるベルトコンベアを使用して、規格ISO 13322−2:2006に従った画像解析による凝集サンプルの粒度分布の分析により、粒状材料のサイズを決定する。次いで、対象物のサイズ(数平均直径)を、規格ISO 9276−2:2001を適用することにより、粒度分布から計算する。精度は、本発明のゼオライト粒状材料のサイズ範囲に対して0.01mmのオーダーである。
【0069】
マクロ孔体積およびメソ細孔体積を水銀圧入ポロシメトリーにより測定する。マイクロメリティクス社からのオートポア(R) 9500水銀ポロシメーターをマクロ孔およびメソ細孔に含まれる細孔容積の分布を分析するために使用する。
【0070】
ASTM D4284−83を参照する機械の操作マニュアルに記載された実験方法は、予め秤量した吸着剤(測定すべきゼオライト粒状材料)(既知の強熱減量)の試料をポロシメーターセル内に配置し、その後予め脱気(30μmHgの真空圧力で少なくとも10分間)した後、所定の圧力(0.0036MPa)で水銀でセルを充填し、その後400MPaまで段階的に圧力を増加させ、試料の細孔ネットワーク内に水銀を徐々に浸透させることにある。
【0071】
適用された圧力と見掛けの細孔直径との関係は、円筒状の細孔、140°という水銀と孔の壁との接触角度および485ダイン/cmの水銀表面張力を仮定して確立される。適用される圧力の関数として導入される水銀の累積量を記録する。その値以上で水銀が全ての粒子内空隙を満たす値を0.2MPaに設定し、この値の上では水銀が粒状材料の細孔内に浸透すると考える。ポロシメーターのセルの体積からこの圧力(0.2MPa)での水銀の累積体積を引き、この差を無水の等価の粒状材料の質量、即ち強熱減量について補正された前記材料の質量で割ることによって、粒子体積(Vg)を計算する。
【0072】
粒状材料のマクロ孔体積を、50nmを超える見掛けの直径を有する細孔に含まれる体積に対応する、0.2MPaから30MPaの間の圧力で導入された水銀の累積体積として定義する。粒状材料のメソ細孔体積を、30MPaから400MPaの間の圧力で導入された水銀の累積体積として定義する。
【0073】
本明細書では、cm
3.g
−1で表されるゼオライト吸着剤のマクロ孔体積およびメソ細孔体積はこのように水銀圧入により測定され、試料の無水の等価の重量、即ち、強熱減量について補正された前記材料の質量に関連する。
【0074】
微小孔体積は、当業者に公知の任意の方法に従って、例えば、窒素、アルゴン、酸素等の気体の液化温度での吸着等温線の測定から決定される。この吸着測定の前に、本発明のゼオライト粒状材料を真空下(P<6.7×10
−4Pa)で9時間から16時間の間300℃から450℃の間で脱気する。その後、例えば、FAU構造のゼオライトに対し、77Kでの窒素吸着等温線の測定は、マイクロメリティクス社からのASAP 2010 M装置上で、0.002から1の間の比P/P
0の相対圧力で少なくとも35の測定点を取って行われる。微小孔体積は、規格ISO 15901−3:2007を適用することにより得られた等温線からDubinin−Raduskevitch等式に従って決定される。このように評価された微小孔体積は、吸着剤1グラム当たりの液体吸着質のcm
3で表される。測定の不確実性は±0.003g/cm
3である。
【0075】
測定された機械的強度は、Vinch Technologies社により販売されているBCSテスター機器に関連する、シェル法シリーズSMS1471−74(Determination of Bulk Crushing Strength of Catalysts. Compression−Sieve Method」)に従って特徴付けられたバルク破砕強度(BCS)である。
【0076】
当初は3mmから6mmの触媒の特徴付けのために意図された、BCSを測定するためのこの方法は、特に破砕時に生成される微粉を分離することを可能にする425μmのふるいの使用に基づく。425μmのふるいの使用は、1.6mmより大きい直径を有する粒子には適したままであるが、特徴付けが所望される材料の粒子サイズに従って適合させなければならない。本発明のゼオライト粒状材料については、シェル法規格SMS1471−74に記載された425μmのふるいの代わりに、200μmのふるいが使用される。
【0077】
測定プロトコルは以下の通りである。適切なふるい(200μm)で予めふるいわけされ、(シェル法規格SMS1471−74に記載された300℃の代わりに)250℃で少なくとも2時間オーブン中で予め乾燥された、分析されるべき材料20cm
3の試料を、既知の内部断面の金属シリンダー内に配置する。材料にピストンが加える力をより良好に分配するために5cm
3の鋼ボール(1.6mmより厳密に小さい直径を有する球形の粒子に対しては直径2mmのボールを使用)のベッドを通して、ピストンによりこの試料に加える力を段階的に増加する。様々な圧力段階で得られた微粉を篩分け(200μmの適切なふるい)によって分離し、秤量する。
【0078】
BCSは、ふるいを通過する微粉の累積量が試料の0.5重量%である、メガパスカル(MPa)で表される圧力によって決定される。この値は、ゼオライト材料床に加えられる力の関数として得られた微粉の質量をグラフ上にプロットし、累積微粉の0.5質量%に補間することによって得られる。機械的バルク破砕強度は、典型的には、数百kPaから数十MPaの間にあり、一般には0.3MPaから3.2MPaの間にある。精度は、通常、0.1MPa未満である。
【0079】
添付の図面は、種々のゼオライト粒状材料の研磨断面の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察中に得られた画像である。材料の研磨された表面をイオン研磨(アルゴンイオン)によって調製した。調製のために使用された装置はGatan社によって市販されているllion+(商標)機であり、以下のパラメータ、即ち、5kVの加速電圧、4時間の研磨時間、0°の傾斜角、周囲温度、断面モードを用いる。
【0080】
添付の図面を以下に説明する。
・
図1a:例1に対応する非接合ゼオライト粒状材料、倍率5000;
・
図1b:例1に対応する非接合ゼオライト粒状材料、倍率10000;
・
図2a:実施例2に対応する接合ゼオライト粒状材料、倍率5000;
・
図2b:実施例に対応する接合ゼオライト粒状材料、倍率10000。
【0081】
試料の観察について、電界放出銃走査型電子顕微鏡(FEG SEM)を以下の条件、即ち、2kVの加速電圧、Everhart− Thornley横方向二次電子検出器を用いる画像解析、基準倍率ポラロイド(登録商標)545で使用する。
【0082】
以下の実施例は本発明の主題を説明する。それらは純粋に手引きとして与えられ、本発明の様々な実施形態を限定することを決して意図するものではない。
【0083】
[例1(比較例)]
NaXに基づく非接合材料の調製
【0084】
結晶サイズが1μmで、原子比Si/Alが1.25のゼオライトNaX粉末100g(焼成等価物として表される)をカオリン15g(焼成等価物として表される)および商品名Klebosol(R) 30(30重量%のSiO
2および0.5%のNa
2Oを含有)の下で販売されたコロイダルシリカ7.5gと押出作業に適した量の水と共に均質に混合し、凝集することにより得られた、原子比Si/Alが1.25で結晶サイズが1μmのゼオライトX粉末に基づき、ゼオライト吸着剤を調製する。
【0085】
吸着剤を乾燥させ、数平均等価直径が0.5mmに等しい粒子を回収するために破砕し、次いで2時間窒素気流下に550℃で焼成する。
【0086】
この工程で、本発明による材料の研磨断面の観察をSEMにより実施する。即ち、10000倍の倍率を有する10個の画像上で、ゼオライト結晶の凝集体を観察し、結晶は前記材料の全体積にわたって接合した集合体を形成せず、接合表面は画像中に材料が占める表面の約5%を表す(
図1a)。
【0087】
上記のように測定されたこれらの凝集体の機械的バルク強度BCSは0.8MPaである。マクロ孔およびメソ細孔の全体積に対するメソ細孔の体積の比率は
【0088】
【数2】
であり、マクロ孔体積、メソ細孔体積および微小孔体積の合計に対する微小孔体積の比率は
【0089】
【数3】
であり、粒状材料の全体積に対するメソ細孔体積およびマクロ孔体積の比率は
【0090】
【数4】
である。
【0091】
[実施例2(本発明)]
NaXに基づく接合ゼオライト材料の合成
【0092】
例1で調製したゼオライト吸着剤を用いる。
【0093】
これらの乾燥し、焼成した押出物を、穏やかに撹拌しながら、水酸化ナトリウム(水中において50重量%でのNaOH)200gを水300gと混合することにより調製した塩基性溶液と接触させる。次いで、この混合物をプラスチックチューブに移し、その後にチューブを封止する。この系を自生圧力下で2時間、120℃に調整した温度に維持する。
【0094】
吸着剤を回収し、次いでそのpHが10に近づくまで水で洗浄する。押出物を乾燥させ、0.5mmに等しい数平均等価直径を有する粒子を回収するために破砕し、次いで2時間窒素気流下に550℃で焼成する。
【0095】
この工程の吸着剤を、イオン研磨により調製した研磨断面上でSEMにより観察する。10000倍の倍率を有する、異なる研磨断面上に撮影した10個の画像の観察により、均質な多孔性および均質な材料が示される。SEM画像の解析により、10個の画像の平均で、接合表面は各画像上において材料が占める表面の約78%を表し、これは本発明の意味の範囲内の接合材料に相当する。
【0096】
また、機械的強度の強化が、硬質材料に特徴的なカーテン効果(
図2aまたは
図2bで観察された溝)を介して、記載の条件下で研磨間に観察される。この効果は、
図1aまたは
図1bに表された材料(結晶が接合集合体を形成しないようなゼオライト結晶の凝集体である)の研磨の間は存在しない。
【0097】
上記のように測定されたこれらの凝集体の機械的バルク強度BCSは2.5MPaである。全マクロ孔およびメソ細孔の体積に対するメソ細孔の体積の比率は
【0098】
【数5】
であり、マクロ孔体積、メソ細孔体積および微小孔体積の合計に対する微小孔体積の比率は
【0099】
【数6】
であり、粒状材料の全体積に対するメソ細孔体積およびマクロ孔体積の比率は
【0100】
【数7】
である。
【0101】
[実施例3(本発明)]
BaXに基づく接合ゼオライト材料の合成
【0102】
水中で50重量%での水酸化ナトリウム50g、結晶サイズが0.8μmで、Si/Al原子比が1.20のゼオライトNaX粉末20g(無水等価物として表される)、550℃で2時間予め焼成されたカオリン(焼成等価物として表す)1g、および商品名Klebosol(R) 30(30重量%のSiO
2および0.5%のNa
2Oを含有)で販売されているコロイダルシリカ0.5gを、容器内で25gの水と混合する。
【0103】
このようにして得られた混合物をプラスチックチューブに移してから、封止する。この系を自生圧力下で2時間、120℃に調整した温度に維持する。
【0104】
吸着剤を回収し、次いでそのpHが10に近づくまで水で洗浄する。押出物を乾燥させ、0.5mmに等しい数平均等価直径を有する粒子を回収するために破砕し、次いで2時間窒素気流下に550℃で焼成する。
【0105】
これらの吸着剤を、4つの工程において95℃で0.5M塩化バリウムの水溶液の作用を介して、カチオン交換に供する。各工程において、固体の質量に対する溶液の体積比は20mL/gであり、交換は各時間について4時間継続する。各交換の間、過剰な塩を取り除くために、固体を数回洗浄する。次いで、凝集体を80℃で2時間乾燥させ、最終的に窒素気流下で250℃で2時間活性化させる。
【0106】
上記のように測定されたこれらの凝集体の機械的バルク強度BCSは2MPaである。全マクロ孔およびメソ細孔の体積に対するメソ細孔の体積の比率は
【0107】
【数8】
であり、マクロ孔体積、メソ細孔体積および微小孔体積の合計に対する微小孔体積の比率は
【0108】
【数9】
であり、粒状材料の全体積に対するメソ細孔体積およびマクロ孔体積の比率は
【0109】
【数10】
である。