(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475749
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】遠心式圧縮機及びそれを備えた遠心機ユニット
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20190218BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
F04D29/46 H
F04D29/46 J
F04D29/66 H
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-556934(P2016-556934)
(86)(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公表番号】特表2017-508100(P2017-508100A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2014083752
(87)【国際公開番号】WO2015135282
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2017年5月9日
(31)【優先権主張番号】201410091344.8
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089359
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンスィズ,インコーポレーテッド オブ ジュハイ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100140464
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホンシン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チーピン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ルイシン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,カイユン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジャンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユーフイ
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第00305214(GB,A)
【文献】
中国実用新案第201330717(CN,Y)
【文献】
特開昭63−013916(JP,A)
【文献】
特開平07−227662(JP,A)
【文献】
特開2006−131051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/46
F04D 29/66
F04D 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に連通される多段の圧縮ユニットを備え、
各段ごとの前記圧縮ユニットは、
拡散チャンバ(1)と、
それに対応して設けられた前記拡散チャンバ(1)の流通面積を変更させるための、遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられる可動部材(21)を含む拡散チャンバ調節装置と、を含み、
各段ごとの前記拡散チャンバ調節装置は、
前記可動部材(21)に駆動連結される伝達ロッド(22)と、
前記拡散チャンバ(1)の腔壁に固定連結されるガイド構造であって、前記伝達ロッド(22)が前記ガイド構造に対して前記遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられるガイド構造と、をさらに含み、
各段ごとの前記拡散チャンバ調節装置は、自体における前記可動部材(21)を、対応する前記拡散チャンバ(1)の流通面積が最大限になるように移動させるための復元機構(25)、をさらに含み、
前記拡散チャンバ(1)は、第1腔壁と、前記第1腔壁と離間して設けられる第2腔壁とで囲まれてなり、前記ガイド構造は、前記伝達ロッド(22)の外周に外挿されるブッシュ(23)を含み、前記ブッシュ(23)は、前記第1腔壁に開設された収容孔内に固定し、
前記ブッシュ(23)の内周面上に収容溝が開設されており、前記ガイド構造は、前記収容溝内に設けられた前記伝達ロッド(22)と滑合する支持ベルト(26)をさらに含み、
給気口と、
駆動装置と、
それぞれ前記駆動装置に駆動連結される複数の伝動軸(4)であって、前記給気口に最も近い前記圧縮ユニットの前記伝動ロッド(22)が前記伝動軸(4)に伝動連結され、残った各段の圧縮ユニットの前記伝動ロッド(22)が、それぞれそれより上位段の前記圧縮ユニットの前記可動部材(21)に伝動連結される複数の伝動軸(4)と、をさらに備える
ことを特徴とする遠心式圧縮機。
【請求項2】
前記復元機構(25)は、
前記伝達ロッド(22)の端部に連結されるバッフルプレート(251)と、
前記ブッシュ(23)の外周に外挿されるバネ(252)であって、前記第1腔壁上の前記収容孔が前記ブッシュ(23)とフィットする第1区分と、前記バネ(252)とフィットする第2区分とを有し、前記バネ(252)が、前記第1区分と前記第2区分とを接続する段差面と、前記バッフルプレート(251)との間に位置するバネ(252)と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遠心式圧縮機。
【請求項3】
前記可動部材(21)は、前記遠心式圧縮機の軸線を中心とした円環を含み、前記第1腔壁上には、前記円環とフィットする凹溝が開設されており、前記収容孔は、前記凹溝の底部に設けられた前記伝達ロッド(22)が通過するための開口を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の遠心式圧縮機。
【請求項4】
前記ガイド構造は、前記伝達ロッド(22)と同軸に設けられた少なくとも1つのガイドリング(24)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遠心式圧縮機。
【請求項5】
前記給気口に設けられる複数の入口案内翼(3)をさらに備え、
前記駆動装置は、前記複数の入口案内翼(3)に駆動連結され、
前記複数の伝動軸(4)は、前記複数の入口案内翼(3)の1つごとに個別に駆動連結される
ことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一項に記載の遠心式圧縮機。
【請求項6】
1つの前記伝動軸(4)に外挿されながら、1つの前記伝動ロッド(22)に対応して設けられる少なくとも1つの駆動輪(5)、をさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載の遠心式圧縮機。
【請求項7】
前記駆動輪(5)は、カム又は偏心軸受であり、前記駆動輪(5)に対応する前記伝動ロッド(22)の第1端は、前記駆動輪(5)の外周面に当接し、前記駆動輪(5)に対応する前記伝動ロッド(22)の第2端は前記可動部材(21)に連結される
ことを特徴とする請求項6に記載の遠心式圧縮機。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の遠心式圧縮機を備えることを特徴とする遠心機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷房設備分野に関し、より具体的には、遠心式圧縮機及びそれを備えた遠心機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
遠心機ユニットは、運転負荷が低下する場合、遠心式圧縮機の入口案内翼が次第に閉じられ、給気量が少なくなり、仮に拡散チャンバの通路面積が変わらないとすれば、気体の流速が低下するようになり、気体の流速が拡散チャンバにおける摩擦損失を相殺できない場合、気流が停滞してしまい、気体運動エネルギーが低下するため、変換された圧力エネルギーも低下し、気体圧力が排気圧力よりも小さい場合、気流が逆流し、サージになってしまう。単段遠心式圧縮機の場合、遠心式圧縮機におけるサージの発生を防止するために、常に拡散チャンバ調節装置を介して調節機構と連動して、インペラー出口に作用するようにし、運転負荷が低下する場合、拡散チャンバの通路面積を小さくすることで気体流速を高めることができ、これにより、遠心式圧縮機におけるサージの発生を効果的に防止することができる。一方、多段遠心式圧縮機の場合、エネルギー効率を高めるために、一般的には、各段間に節約装置が存在し、このため、空気補給口があり、例えば、やはり単独の可動拡散チャンバ調節装置を使用したら、遠心式圧縮機にサージが発生すると、単段のみのインペラー出口における拡散チャンバが調節機能を有し、他段が該機能を有しないため、サージ現象は調節機能を有する一段にてしか改良されることができず、他の各段は依然として改良されることができない。そして、多段遠心式圧縮機は、いずれか一段にてサージが発生したら、機械全体の正常動作を妨害し、遠心式圧縮機に大きな損害を招き、遠心式圧縮機の性能が明らかに劣化し、騒音が大きくなり、ユニット全体の振動が一段と激しくなり、遠心式圧縮機の動作の信頼性をひどく影響することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、遠心式圧縮機の多段圧縮ユニットのうちいずれか一段にてサージが発生する確率を低下させるために、遠心式圧縮機及びそれを備えた遠心機ユニットを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明によれば、順に連通される多段の圧縮ユニットを備える遠心式圧縮機であって、各段ごとの圧縮ユニットは、拡散チャンバと、拡散チャンバ調節装置であって、それに対応して設けられた拡散チャンバの流通面積を変更させるための、遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられる可動部材を含む拡散チャンバ調節装置と、を含む遠心式圧縮機が提供される。
【0005】
さらに、各段ごとの拡散チャンバ調節装置は、可動部材に駆動連結される伝達ロッドと、拡散チャンバの腔壁に固定連結されるガイド構造であって、伝達ロッドがガイド構造に対して遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられるガイド構造と、をさらに含む。
【0006】
さらに、各段ごとの拡散チャンバ調節装置は、自体における可動部材を、対応する拡散チャンバの流通面積が最大限になるように移動させるための復元機構、をさらに含む。
【0007】
さらに、拡散チャンバは、第1腔壁と、第1腔壁と離間して設けられる第2腔壁とで囲まれてなり、ガイド構造は、伝達ロッドの外周に外挿されるブッシュを含み、ブッシュは、第1腔壁に開設された収容孔内に固定する。
【0008】
さらに、復元機構は、伝達ロッドの端部に連結されるバッフルプレートと、ブッシュの外周に外挿されるバネであって、第1腔壁上の収容孔がブッシュとフィットする第1区分と、バネとフィットする第2区分とを有し、バネが、第1区分と第2区分とを接続する段差面と、バッフルプレートとの間に位置するバネとを含む。
【0009】
さらに、可動部材は、遠心式圧縮機の軸線を中心とした円環を含み、第1腔壁上には、円環とフィットする凹溝が開設されており、収容孔は、凹溝の底部に設けられた伝達ロッドが通過するための開口を有する。
【0010】
さらに、ブッシュの内周面上に収容溝が開設されており、ガイド構造は、収容溝内に設けられた伝達ロッドと滑合する支持ベルトをさらに含む。
【0011】
さらに、ガイド構造は、伝達ロッドと同軸に設けられた少なくとも1つのガイドリングを含む。
【0012】
さらに、復元機構は、伝動ロッドの端部に連結されるバッフルプレートと、伝達ロッド外に外挿されながら、バッフルプレートと該バッフルプレートに隣接するガイドリングとの間に設けられるバネと、を含む。
【0013】
さらに、拡散チャンバは、収容孔が開設された第1腔壁と、第1腔壁と離間して設けられた第2腔壁とで囲まれてなり、少なくとも1つのガイドリングの外周面が収容孔の内周面に繋がる。
【0014】
さらに、可動部材は、円環状であり、第1腔壁上には、可動部材とフィットする凹溝が開設されており、収容孔は、凹溝の底部に設けられた開口を有する。
【0015】
さらに、遠心式圧縮機は、給気口と、給気口に設けられる複数の入口案内翼と、複数の入口案内翼に駆動連結される駆動装置と、それぞれ駆動装置に駆動連結されながら、複数の入口案内翼の1つごとに個別に駆動連結される複数の伝動軸であって、給気口に最も近い圧縮ユニットの伝動ロッドが伝動軸に伝動連結され、残った各段の圧縮ユニットの伝動ロッドが、それぞれそれより上位段の圧縮ユニットの可動部材に伝動連結される複数の伝動軸と、をさらに備える。
【0016】
さらに、遠心式圧縮機は、
1つの伝動軸に外挿されながら、1つの伝動ロッドに対応して設けられる少なくとも1つの駆動輪、をさらに備える。
【0017】
さらに、駆動輪は、カム又は偏心軸受であり、駆動輪に対応する伝動ロッドの第1端は、駆動輪の外周面に当接し、駆動輪に対応する伝動ロッドの第2端は可動部材に連結される。
【0018】
本発明の他の一形態によれば、上記遠心式圧縮機を備える遠心機ユニットがさらに提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の技術案を適用して、遠心式圧縮機は、順に連通される多段の圧縮ユニットを備え、各段ごとの圧縮ユニットは、拡散チャンバと、拡散チャンバ調節装置であって、それに対応して設けられた拡散チャンバの流通面積を変更させるための、遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられる可動部材を含む拡散チャンバ調節装置と、を含む。本発明の技術案を適用して、各段ごとの圧縮ユニットは、遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられる可動部材を含み、各段ごとの圧縮ユニットにおける可動部材により、該段の圧縮ユニットにおける拡散チャンバの流通面積を変更させ、サージの発生確率を効果的に低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の一部を構成する明細書図面は、本発明をさらに理解させるためのものであり、また、本発明における模式的実施例及びその説明は本発明を説明するものであり、本発明を不当に限定するものではない。図面において、
【
図1】本発明実施例に係わる遠心式圧縮機の構造を示す図である。
【
図2】
図1におけるA箇所が拡大された構造を示す図である。
【
図3】
図1におけるB箇所が拡大された構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
なお、衝突しない限り、本願の実施例及び実施例中の構成要件を組み合わせることができる。以下、図面を参照しつつ実施例を結合して本発明を詳しく説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明実施例に係わる遠心式圧縮機は、順に連通される多段の圧縮ユニットを備え、各段ごとの圧縮ユニットは、拡散チャンバ1と、拡散チャンバ調節装置とを含む。拡散チャンバ調節装置は、それに対応して設けられた拡散チャンバ1の流通面積を変更させるための可動部材21を含み、可動部材21は、遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられる。
【0023】
可動部材21は、遠心式圧縮機の軸方向に沿って移動する中、拡散チャンバ1の流通面積を変更させる。運転負荷が低下する場合、拡散チャンバ1の流通面積を減少させることで気体流速を高め、そのうえ、圧縮機におけるサージの発生を効果的に防止することができる。
【0024】
各段ごとの拡散チャンバ調節装置は、伝達ロッド22と、ガイド構造とをさらに含む。伝達ロッド22は、可動部材21に駆動連結される。
【0025】
本実施例において、可動部材21は、伝達ロッド22の一端に固定連結される。伝達ロッド22は、可動部材21を遠心式圧縮機の軸方向に沿って移動するように駆動する。
【0026】
ガイド構造は、拡散チャンバ1の腔壁に固定連結され、伝達ロッド22は、ガイド構造に対して遠心式圧縮機の軸方向に移動可能に設けられる。
【0027】
ガイド構造は、伝達ロッド22が拡散チャンバ1に対して遠心式圧縮機の軸方向に沿って移動するように保証するためのものである。さらに、ガイド構造により、伝達ロッド22の移動中における摩擦力を低減し、拡散チャンバ調節装置の実用性を高め、拡散チャンバ調節装置を長寿命化する。さらに、拡散チャンバ調節装置の精度を効果的に向上させる。
【0028】
各段ごとの拡散チャンバ調節装置は、自体における可動部材21を、対応する拡散チャンバ1の流通面積が最大限になるように移動させるための復元機構25、をさらに含む。
【0029】
復元機構25は、可動部材21を、対応する拡散チャンバ1の流通面積が最大限になる位置へ移動させる力F1を提供する。運転負荷が低下する場合、伝達ロッド22は、可動部材21に拡散チャンバの流通面積を小さくする方向へ移動する力F2を与える。F2がF1よりも大きい場合、可動部材21は、拡散チャンバの流通面積を小さくする方向へ移動する。
【0030】
図2に示すように、本実施例において、拡散チャンバ1は、第1腔壁と、第1腔壁と離間して設けられた第2腔壁とを含み、ガイド構造は、伝達ロッド22の外周に外挿されるブッシュ23を含み、ブッシュ23は、第1腔壁に開設された収容孔内に固定する。
【0031】
復元機構25は、バッフルプレート251と、バネ252とを含む。バッフルプレート251は、伝達ロッド22に連結されながら、伝達ロッド22の径方向に沿って伝達ロッド22から離れる方向へ延在する。バッフルプレート251は、伝達ロッド22の端部に連結される。
【0032】
バネ252は、ブッシュ23の外周に外挿され、第1腔壁上の収容孔は、ブッシュ23とフィットする第1区分と、バネ252とフィットする第2区分とを含み、バネ252は、第1区分と第2区分とを接続する段差面と、バッフルプレート251との間に位置する。
【0033】
ブッシュ23の内周面上に収容溝が開設されており、ガイド構造は、収容溝内に設けられた支持ベルト26をさらに含み、支持ベルト26は、伝達ロッド22と滑合する。
【0034】
収容溝は、ブッシュ23の内周面上に開設された伝達ロッド22と同軸になる環状溝である。収容溝内に設けられた支持ベルト26は、収容溝とフィットする環状である。支持ベルト26の内面がブッシュ23の内面よりも高い。このため、伝達ロッド22が軸方向に沿って移動する中、支持ベルトの内面のみに接する。支持ベルト26の内面は、滑らかな表面であり、伝達ロッド22の移動中の摩擦力を効果的に低減する。
【0035】
運転負荷が増大する場合、バネ252は、可動部材21を、拡散チャンバの流通面積を大きくする方向へ移動するように駆動する。これにより、遠心式圧縮機の作業効率を向上させる。
【0036】
可動部材21は、遠心式圧縮機の軸線を中心とした円環を含み、第1腔壁上には、円環とフィットする凹溝が開設されており、収容孔は、凹溝の底部に設けられた伝達ロッド22が通過するための開口を有する。
【0037】
可動部材21全体が凹溝内にある場合、拡散チャンバ1の流通面積が最大限になる。伝達ロッド22は、可動部材21を、遠心式圧縮機の軸方向に沿って第2腔壁へ移動するように駆動する中、拡散チャンバ1の流通面積を次第に小さくする。
【0038】
さらに、
図3に示すように、ガイド構造は、伝達ロッド22と同軸に設けられた少なくとも1つのガイドリング24を含むことが好ましい。復元機構25は、バッフルプレート251と、バネ252とを含む。バッフルプレート251は、伝達ロッド22の端部に連結され、バネ252は、伝達ロッド22外に外挿されながら、バッフルプレート251と該バッフルプレート251に隣接するガイドリング24との間に設けられる。
【0039】
拡散チャンバ1は、第1腔壁と、第1腔壁と離間して設けられた第2腔壁とで囲まれてなり、第1腔壁上に収容孔が開設されており、少なくとも1つのガイドリング24の外周面が収容孔の内周面に繋がる。
【0040】
本実施例において、復元機構は、ガイドリング24を1つ含む。該ガイドリングは、収容孔の第2腔壁に近接する一端に設けられる。バネ252は、伝達ロッド22上に外挿されながら、ガイドリング24とバッフルプレート251との間に位置する。
【0041】
ガイドリング24により、伝達ロッドの移動中の摩擦力が低減される。伝達ロッド22の移動のために経路を提供している。可動部材21の移動精度を保証する。
【0042】
可動部材21は円環状であり、第1腔壁上には、可動部材21とフィットする凹溝が開設されており、収容孔は、凹溝の底部に設けられた開口を有する。
【0043】
可動部材21全体が凹溝内にある場合、拡散チャンバ1の流通面積が最大限になる。伝達ロッド22は、可動部材21を、遠心式圧縮機の軸方向に沿って第2腔壁へ移動するように駆動する中、拡散チャンバ1の流通面積を次第に小さくする。
【0044】
運転負荷が増大する場合、バネ252は、可動部材21を、拡散チャンバの流通面積を大きくする方向へ移動するように駆動する。これにより、遠心式圧縮機の作業効率を向上させる。
【0045】
運転負荷が低下する場合、伝達ロッド22は、可動部材21を、拡散チャンバの流通面積を小さくする方向へ移動するように駆動するため、拡散チャンバ1の流通面積を減少させることで気体流速を高め、そのうえ、遠心式圧縮機におけるサージの発生を効果的に防止する。
【0046】
遠心式圧縮機は、駆動装置と、給気口と、複数の入口案内翼3と、複数の伝動軸と、をさらに備える。入口案内翼3は、給気口に設けられる。駆動装置は、複数の入口案内翼3に駆動連結される。
【0047】
複数の伝動軸4は、それぞれ駆動装置に駆動連結されながら、複数の入口案内翼3の1つごとに個別に駆動連結され、給気口に最も近い圧縮ユニットの伝動ロッド22は伝動軸4に伝動連結され、残った各段の圧縮ユニットの伝動ロッド22は、それぞれそれより上位段の圧縮ユニットの可動部材21に伝動連結される。
【0048】
複数の入口案内翼3は、給気口に対して、伝動軸4の軸方向回りで伝動軸の回動に伴って回動する。複数の入口案内翼3の回転によって、遠心式圧縮機の給気口の給気量を変えたうえで、遠心式圧縮機の運転負荷を変更させる。
【0049】
遠心式圧縮機は、少なくとも1つの駆動輪5をさらに備え、
駆動輪5は、1つの伝動軸4に外挿されながら、1つの伝動ロッド22に対応して設けられる。
【0050】
駆動輪5は、カム又は偏心軸受であり、駆動輪5に対応する伝動ロッド22の第1端は、駆動輪5の外周面に当接し、駆動輪5に対応する伝動ロッド22の第2端は可動部材21に連結される。
【0051】
入口案内翼3が遠心式圧縮機の給気量を小さくする方向に回動する中、駆動輪が回動するとともに、駆動輪の伝動ロッド22に当接する点と、伝動軸4の軸心との距離が次第に大きくなり、駆動輪は、伝動ロッド22を介して、可動部材21を、拡散チャンバ1の流通面積を小さくする方向へ移動するように駆動する。
【0052】
入口案内翼3が遠心式圧縮機の給気量を大きくする方向に回動する中、駆動輪が回動するとともに、駆動輪の伝動ロッド22に当接する点と、伝動軸4の軸心との距離が次第に小さくなり、伝動ロッド22は、バネ252に駆動されて、可動部材21を、拡散チャンバ1の径方向流通面積を大きくする方向へ移動するように連動する。
【0053】
本発明の他の一形態によれば、本実施例にて、上記遠心式圧縮機を備える遠心機ユニットがさら提供される。
【0054】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定することは意図していない。当業者であれば、本発明に様々な変更や変形が可能である。本発明の思想や原則内の如何なる修正、均等の置き換え、改良なども、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0055】
1…拡散チャンバ、21…可動部材、22…伝動ロッド、23…ブッシュ、24…ガイドリング、25…復元機構、26…支持ベルト、251…バッフルプレート、252…バネ、3…入口案内翼、4…伝動軸、5…駆動輪。