(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記限界パワートレイントルク制限値を決定する手段は、1つまたはそれ以上の駆動車輪のスリップ値を所定のスリップ値より大きくするために必要なトルクの大きさに基づいて、前記限界パワートレイントルク制限値を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
瞬間的な車両速度を示す信号を受信するように構成され、前記瞬間的な車両速度を示す信号に少なくとも部分的にさらに基づいて、前記所定のスリップ値を決定するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載のコントローラ。
車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するように構成され、前記車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータにさらに基づいて、前記所定のスリップ値を決定するように構成されたことを特徴とする請求項3または4に記載のコントローラ。
前記車両が動作する運転モードを示すパラメータは、マニュアル運転モードセレクタ入力デバイスの状態、または自動運転モード選択手段により自動的に選択される運転モードを示す信号に対応することを特徴とする請求項7に記載のコントローラ。
各運転モードは、前記車両の少なくとも1つのサブシステムの制御モードに対応し、制御システムは、複数のサブシステム制御モードの中から選択されたサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御するためのサブシステムコントローラを有することを特徴とする請求項7または8を引用する請求項9に記載の制御システム。
1つまたはそれ以上の運転状況指標を評価して、各サブシステム制御モードが適当である程度を決定する評価手段を有することを特徴とする請求項10に記載の制御システム。
自動運転モード選択状況において動作可能であり、最も適当な前記サブシステム制御モードにおいて、前記サブシステムを制御するように前記サブシステムコントローラを自動的に制御するように構成されたことを特徴とする請求項8を引用する請求項10または11に記載の制御システム。
サスペンションシステム、車両本体、複数の車輪、前記車輪を駆動するパワートレイン、前記車輪を制動するブレーキシステム、および請求項1〜8のいずれか1に記載の動力車両コントローラもしくは請求項9〜13のいずれか1に記載の制御システムを備えた車両。
1つまたはそれ以上の駆動車輪のスリップ値を所定のスリップ値より大きくするために必要なトルクの大きさに基づいて、前記限界パワートレイントルク制限値を決定するステップを有することを特徴とする請求項16に記載の方法。
地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップは、車両に負荷される抵抗力の大きさを示すパラメータを受信するステップを有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
前記地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップは、車両が動作する運転モードを示すパラメータを受信するステップを有することを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
前記車両が動作する運転モードを示すパラメータを受信するステップは、マニュアル運転モードセレクタ入力デバイスの状態または自動運転モード選択手段により自動的に選択される運転モードを示す信号を受信するステップを有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
前記運転モードを示すパラメータに基づいて、複数のサブシステム制御モードの中から選択されたサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御するステップを有することを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、車両の1つまたはそれ以上の車輪と走行表面との間の表面摩擦係数が小さい状況で走行しているときの動力車両のトラクション特性を改善することである。
【0012】
本発明に係る実施形態は、添付クレームを参照することにより理解することかできる。
【0013】
本発明に係る態様は、装置、車両、および方法に関する。
【0014】
保護を求める本発明に係る1つの態様によれば、動力車両コントローラが提供され、この動力車両コントローラは、
車輪と走行表面との間の摩擦係数に対応する表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号を受信する手段と、
アクセル制御位置の許容可能な範囲におけるアクセル制御位置(accel_ctrl_pos)を示す信号を受信する手段と、
表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号の値に少なくとも部分的に基づいて、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定する手段と、
アクセル制御位置(accel_ctrl_pos)および限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を示す信号の値に基づいて、牽引力警告表示をドライバに提供する手段とを備える。
【0015】
本発明に係るいくつかの実施形態によれば、ドライバが限界値を超える大きさのパワートレイントルクを要求したことを、動力車両コントローラが予測すると、動力車両コントローラが牽引力警告表示をドライバに提供するという利点を有する。限界値は、たとえばタイヤに掛かる力が所定値を超えたときのパワートレイントルクの値に対応し、所定値は、少なくとも表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号に基づいて決定されるものであってもよい。
【0016】
所定値は、同様に、タイヤに掛かる横方向の力に依存するものであってもよい。横方向の力は、車両の横方向加速度の大きさに少なくとも部分的に基づいて決定してもよい。
【0017】
表面摩擦パラメータを示す信号を受信する手段は、表面摩擦パラメータを示す信号を受信するための電気的な入力部を含む電子プロセッサを含むものであってもよい。アクセル制御位置の許容可能な範囲におけるアクセル制御位置を示す信号を受信する手段は、アクセル制御位置の許容可能な範囲におけるアクセル制御位置を示す信号を受信するための電気的な入力部を含む電子プロセッサを含むものであってもよい。
【0018】
好適には、動力車両コントローラは、電子プロセッサに電気的に接続された電子メモリデバイスを有し、電子メモリデバイスには指令が記憶されている。表面摩擦パラメータの値を示す値に少なくとも部分的に基づいて、限界パワートレイントルク制限値を決定する手段は、メモリデバイスにアクセスして、記憶された指令を実行するように構成されたプロセッサを有し、そのプロセッサが表面摩擦パラメータの値に基づいて、限界パワートレイントルク制限値を決定するように動作することができる。
【0019】
好適には、アクセル制御位置(accel_ctrl_pos)および限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を示す信号の値に基づいて、牽引力警告表示をドライバに提供する手段は、メモリデバイスにアクセスして、記憶された指令を実行するように構成されたプロセッサを有し、プロセッサが警告表示をドライバに発することができる。
【0020】
本発明に係るいくつかの実施形態によれば、パワートレインが出力するトルクの大きさが限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を超えないように、ドライバがアクセルペダルの踏込量を制限することができるという利点がある。
【0021】
本発明に係るいくつかの実施形態によれば、オフロード運転状況でよく見受けられる滑りやすい地形上を運転している際、ドライバの不注意によって1つまたはそれ以上の駆動車輪が過剰にスリップしにくくすることにより、車両安定性を改善することができる。本発明に係る実施形態は、ドライバの負荷を軽減し、ドライバが車両の操舵に集中することができるという利点を有する。
【0022】
任意的には、表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号を受信する手段は、予想される表面摩擦力に対応する表面摩擦パラメータの値を受信するように構成されている。予想される表面摩擦パラメータの値は、実質的に一定の値であり、たとえば乾いたアスファルト表面に対応する値であり、任意的には実質的に1に等しい値である。いくつかの実施形態では、この値は、車両の動作モード(たとえば複数の運転モードを有する車両の車両運転モード)を示すパラメータに基づいて設定してもよい。運転モードは、草、砂利、雪、泥、石、岩、砂、および/または他の任意の地形状況等のさまざまな地形状況に適応させてもよい。他の構成も同様に有用である。
【0023】
択一的には、表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号を受信する手段は、1つまたはそれ以上の車輪スリップ値、表面湿度、および/または他の1つまたはそれ以上のパラメータ等の1つまたはそれ以上のパラメータの測定値に応じて決定された表面摩擦パラメータの測定値または推定値に対応する信号を受信するように構成される。
【0024】
任意的には、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定する手段は、1つまたはそれ以上の駆動車輪のスリップ値を所定のスリップ値より大きくするために必要なトルクの大きさに基づいて限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定するように構成される。
【0025】
所定のスリップ値は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)に少なくとも部分的に基づいて、データ処理装置により決定されるように動力車両コントローラを構成してもよい。
【0026】
動力車両コントローラは、瞬間的な車両速度(ref_speed)を示す信号を受信するように構成され、瞬間的な車両速度(ref_speed)を示す信号に少なくとも部分的に基づいて、所定のスリップ値を決定するように構成されるものであってもよい。
【0027】
動力車両コントローラは、車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するように構成され、かつ車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータに基づいて、所定のスリップ値を決定するように構成されるものであってもよい。
【0028】
任意的には、少なくとも1つのさらなるパラメータは、車両に負荷される抵抗力の大きさを示すパラメータを含んでもよい。
【0029】
車両に負荷される抵抗力の大きさは、砂等の容易に変形可能な表面上を車両が走行しているか否かを特定する上で有用となり得る。こうした抵抗力は、ドライバがこうした地形を走行することをきわめて困難にするものである。
【0030】
任意的には、少なくとも1つのさらなるパラメータは、車両が動作する運転モードを示すパラメータを含む。
【0031】
任意的には、車両が動作する運転モードを示すパラメータは、マニュアル運転モードセレクタ入力デバイスの状態、または自動運転モード選択手段により自動的に選択される運転モードを示す信号に対応する。
【0032】
保護を求める本発明に係る1つの態様によれば、別の態様に係る動力車両コントローラを備えた動力車両制御システムが提供される。
【0033】
任意的には、各運転モードは、車両の少なくとも1つのサブシステムの制御モードに対応し、制御システムは、複数のサブシステム制御モードの中から選択されたサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御するためのサブシステムコントローラを有する。
【0034】
任意的には、各運転モードは、1つまたはそれ以上のさまざまな車両運転状況に対応するものであってもよい。
【0035】
任意的には、制御システムは、1つまたはそれ以上の運転状況指標を評価して、各サブシステム制御モードが適当である程度を決定する評価手段を有する。
【0036】
任意的には、制御システムは、自動運転モード選択状況において動作可能であり、最も適当なサブシステム制御モードにおいて、サブシステムを制御するようにサブシステムコントローラを自動的に制御するように構成される。
【0037】
各運転モードは、以下の制御モードの中から選択される1つまたはそれ以上の制御モードであり、前記制御モードは、
エンジン制御システム、トランスミッションシステム、ステアリングシステム、ブレーキシステム、サスペンションシステムの中から選択された少なくとも1つの車両サブシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが複数の最低地上高を有するサスペンションシステムの制御モードと、
車両の対向側の車輪用サスペンション間が流体連通され、複数のサブシステム構成モードが異なるレベルの連通を提供する流体サスペンションシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが異なるレベルでステアリングを支援するステアリング支援可能なステアリングシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが異なるレベルでブレーキを支援するブレーキ支援できるブレーキシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが異なるレベルで車輪スリップを可能にする、アンチロック機能を提供して車輪スリップを制御できるブレーキ制御システムの制御モードと、
パワートレイン制御手段およびアクセルすなわちスロットルペダルを含むパワートレインシステムの制御モードと、サブシステム構成モードが、アクセルまたはスロットルペダルの移動に対してパワートレイン制御手段の異なるレベルの応答性を実現し、
車輪スピンを制御するように配置される静止摩擦制御システムの制御モードと、複数のサブシステム構成モードが異なるレベルの車輪スピンを可能にし、
車両揺れを制御するように構成される揺れ制御システムの制御モードと、複数のサブシステム構成モードが、予測される揺れから異なる相違度の車両揺れを可能にし、
複数のトランスミッション比で動作可能なトランスミッションシステムの制御モードと、トランスミッションシステムは、車両の少なくとも1つのパラメータをモニタし、応答して少なくとも1つのパラメータを選択するように構成されたトランスミッション制御手段を有し、サブシステム構成モードは複数のトランスミッション比が少なくとも1つのパラメータに応じて異なるように選択される複数のトランスミッション構成モードを含む。
【0038】
保護を求める本発明に係る1つの態様によれば、1つの態様に係る動力車両コントローラまたは別の態様に係る動力車両制御システムを備えた車両が提供される。
【0039】
保護を求める本発明に係る1つの態様によれば、シャーシ、シャーシが固定された本体、複数の車輪、車輪を駆動するパワートレイン、車輪を制動するブレーキシステム、および1つの態様に係る動力車両コントローラもしくは別の態様に係る動力車両制御システムを備えた車両が提供される。
【0040】
保護を求める本発明に係る1つの態様によれば、コントローラを用いて実行する方法が提供され、この方法は、
車輪と走行表面との間の摩擦係数に対応する表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号を受信するステップと、
アクセル制御位置の許容可能な範囲におけるアクセル制御位置(accel_ctrl_pos)を示す信号を受信するステップと、
表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号の値に少なくとも部分的に基づいて、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定するステップと、
アクセル制御位置(accel_ctrl_pos)および限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を示す信号の値に基づいて、牽引力警告表示をドライバに提供するステップとを有する。
【0041】
この方法は、1つまたはそれ以上の駆動車輪のスリップ値を所定のスリップ値より大きくするために必要なトルクの大きさに基づいて、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定するステップを有するステップを有してもよい。
【0042】
この方法は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)に少なくとも部分的に基づいて、所定のスリップ値を決定するステップを有してもよい。
【0043】
この方法は、瞬間的な車両速度(ref_speed)を示す信号を受信するステップと、瞬間的な車両速度(ref_speed)を示す信号に少なくとも部分的に基づいて、所定のスリップ値を決定するステップとを有してもよい。
【0044】
任意的には、この方法は、車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップと、車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータに基づいて、所定のスリップ値を決定するステップとを有してもよい。
【0045】
任意的には、地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップは、車両に負荷される抵抗力の大きさを示すパラメータを受信するステップを有する。
【0046】
任意的には、地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップは、車両が動作する運転モードを示すパラメータを受信するステップを有する。
【0047】
任意的には、車両が動作する運転モードを示すパラメータを受信するステップは、マニュアル運転モードセレクタ入力デバイスの状態または自動運転モード選択手段により自動的に選択される運転モードを示す信号を受信するステップを有する。
【0048】
任意的には、この方法は、運転モードを示すパラメータに基づいて、複数のサブシステム制御モードの中から選択されたサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御するステップを有する。
【0049】
本願の範疇において、上記段落、クレーム、および/または以下の明細書および図面に記載された、さまざまな態様、実施形態、実施例、および択一例、特に個々の特徴物は、独立してまたは組み合わせて採用することができる。たとえば1つの実施形態に関連して説明された特徴物は、その特徴物が矛盾するものでなければ、すべての実施形態に適用することができる。
【0050】
疑義を解消するため、本発明に係る1つの態様に関して記載された特徴物は、単独で、または1つもしくはそれ以上のその他の特徴物と適当に組み合わせて、本発明のその他の任意の態様に含めてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明に係る実施形態による動力車両100の概略図である。車両100は、オフロードでの利用に適するように設計されたものであり、すなわち一般的な舗装道路(アスファルト道路)およびオンロード以外の地形に適するように設計されたものである。車両100は、トランスミッション124を有するドライブライン130に接続されたエンジン121含むパワートレイン129を備える。図示された実施形態において、トランスミッション124は、オートマチックトランスミッション124である。本発明に係る実施形態は、マニュアルトランスミッション、無段可変トランスミッション、または任意の他の適当なトランスミッションを備えた車両に利用される上で適したものである。
【0053】
ドライブライン130は、前方ディファレンシャル135Fおよび前方ドライブシャフト118を介して、一対の車両前輪111,112を駆動するように構成されている。前方ディファレンシャル135Fおよび前方ドライブシャフト118は、車両100の前軸部131Fの一部を構成している。また後方ディファレンシャル135は、補助ドライブシャフトすなわちプロペラシャフト132、後方ディファレンシャル135および後方ドライブシャフト139を介して、一対の車両後輪114,115を駆動するように構成された補助ドライブライン部131を備える。後方ディファレンシャル135および後方ドライブシャフト139は、車両100の後軸部131Rの一部を構成している。
【0054】
図1の実施形態において、トランスミッション124は、パワートランスファユニット(PTU)137を介して補助ドライブライン部131に解放(離脱)可能に接続することにより、2輪駆動運転または4輪駆動運転を選択することができる。他の構成も同様に有用である。
【0055】
パワートランスファユニット(PTU)137は、インプットシャフトとアウトプットシャフトの間のギア比を高速比または低速比に選択できる「ハイレシオ(ハイレンジ)」構成または「ローレシオ(ローレンジ)」構成で動作させることができ、「ハイレシオ(ハイレンジ)」構成は、一般のオンロードまたは「高速道路」での運転に適しており、「ローレシオ(ローレンジ)」構成は、特定のオフロード地形状態および牽引時等の他の低速での利用により適している。
【0056】
理解されるように、本発明の実施形態は、プロペラシャフトおよび/またはパワートランスファユニット(PTU)を有するドライブラインを備えた車両に限定されない。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の車輪は、たとえばトランスミッション、プロペラシャフト、ディファレンシャル、または他のドライブライン構成部品を介することなく実質的に直接的に電気的な推進モータに接続してもよい。他の構成も同様に有用である。
【0057】
車両100は、アクセルペダル161、ブレーキペダル163、および操舵ハンドル181を備える。
【0058】
車両100は、車両制御ユニット(VCU)140と呼ばれる中央コントローラを備える。車両制御ユニット140は、車両に搭載されたさまざまなセンサおよびサブシステムと複数の信号を送受信する。
【0059】
車両制御ユニット140は、エンジンコントローラ121C、トランスミッションコントローラ124C、電動アシストステアリングコントローラ(ePASコントローラ)181C、各車輪111,112,114,115に対する制動力を制御するように構成されたアンチロックブレーキシステム(ABS)コントローラ150C、およびサスペンションシステムコントローラ190Cを含む数多くの車両サブシステムコントローラと通信する。いくつかの実施形態では、ePASコントローラ181Cの代わりに、油圧式のパワーアシストステアリングユニットを用いてもよい。
【0060】
5つのサブシステムが車両制御ユニット(VCU)140により制御されるものとして説明するが、いくつかの実施形態では、より数多くの車両サブシステムが搭載され、車両制御ユニット140により制御されてもよい。
【0061】
車両制御ユニット140は、車両走行中の地形等の運転状況(地形状況ともいう)に適するようにサブシステムの制御を実行するように各車両サブシステムに制御信号を出力するサブシステム制御モジュール142を備える。これらのサブシステム12は、サブシステム状況に関する情報をフィードバックするために、サブシステム制御モジュール142と通信する。
【0062】
車両制御ユニット140は、サブシステムが複数の制御モードのうちの1つの制御モードで動作するように制御するように動作可能である。各制御モードにおいて、各サブシステムは、複数のサブシステム構成モードのうちの1つを実行する。制御モードは、車両が草、砂利、または雪の地形上を走行するときに適した草/砂利/雪・制御モード(GGSモード)、車両が泥または轍の地形上を走行するときに適した泥/轍・制御モード(MRモード)、岩または巨礫の地形上を走行するときに適した岩クロール/巨礫・制御モード(RBモード)、砂(または深く柔らかな雪)の地形上を走行するときに適した砂・制御モード、およびすべての地形状況、とりわけ高速道路および一般道路上を走行するときに好適な折衷モードすなわち通常モードである特別プログラムオフモード(SPオフモード)を有する。その他の数多くの制御モードを想到できる。
【0063】
地形の摩擦力および地形の凹凸に基づいてさまざまな地形タイプに分類することができる。たとえば、草、砂利、および雪はすべて摩擦力が小さく、滑らかな表面を有する地形として分類し、岩および巨礫は摩擦力が大きく、きわめて凹凸の大きい表面を有する地形として分類することが適当である。
【0064】
ユーザは、
図1に示す制御モードセレクタ141を用いて、要求制御モードを選択することができる。制御モードセレクタ141は、適当な制御モードを選択するために回転させるダイヤルの形態を有するものであってもよい。この機能を実行するシステムは、知られており、たとえば米国特許出願公開第2003/0200016号に開示されている。
【0065】
要求制御モードを手動で選択することに加え、車両制御ユニット140は、自動選択モードまたは自動選択状態になったとき、適当な制御モードを自動的に決定するように構成される。
【0066】
(A−688 アクセルペダルをあまりにも強く踏み込んだ場合)
図2は、エンジンコントローラ121Cをより詳細に図示したものである。エンジンコントローラ121Cは、アクセルペダル161の許容可能な踏込範囲全体に対してアクセルペダル161が踏み込まれた量を示すアクセル制御位置信号(accel_ctrl_pos)をアクセルペダル161から受信する。この信号は、許容可能な踏込範囲全体に対するアクセルペダル161の位置を示す。この実施形態では、0〜1の間の値を有し、値0はアクセルペダル161を解放したときに対応し、値1はアクセルペダル161を完全に踏み込んだときに対応する。
【0067】
エンジンコントローラ121Cは、車両100が現時点で動作中の運転モードを示す運転モード信号(driving_mode)を受信する。エンジンコントローラ121Cは、運転モード信号に基づいて、アクセル制御位置信号(accel_ctrl_pos)と、エンジン121が出力するように要求された大きさのトルク(PT_TQ)との間にある複数の所定の関連性の中から1つの関連性を選択する。すなわち各運転モードは、アクセル制御位置信号(accel_ctrl_pos)と、エンジン121が出力するように要求された大きさのトルク(PT_TQ)との間に対応する所定の関連性を有する。対応する所定の関連性を決定する際、エンジンコントローラ121Cは、現時点でのアクセル制御位置信号(accel_ctrl_pos)に対応する要求出力トルク(PT_TQ)を決定する。
【0068】
エンジンコントローラ121Cは、車両100の車輪と、車両100が走行している表面との間の表面摩擦係数の値に対応する表面摩擦信号(surface_friction)を受信する。本実施形態では、表面摩擦信号の値は、ABSコントローラ150Cが受信した車輪速度信号と、地面上の車両100の実際の速度に対応する車両基準速度値(v_ref)とを比較して、ABSコントローラ150Cにより計算される。車輪速度信号は、車両100の各車輪に付随する車輪速度センサ111S,112S,114S,115Sにより生成される。ABSコントローラ150Cは、車輪スリップの測定値に少なくとも部分的に基づいて表面摩擦信号(surface_friction)の値を推定するように構成される。本実施形態では、所与の路面車輪のスリップ値は、所与の車輪111,112,114,115の速度と車両基準速度値(v_ref)との差としてABSコントローラ150Cにより計算される。
【0069】
いくつかの実施形態では、表面摩擦信号(surface_friction)の値は、実質的に一定の固定的な値であり、1つまたはそれ以上の測定されたパラメータに基づいて決定されるものではない。いくつかの実施形態では、運転モードに基づいて決定され、表面摩擦信号(surface_friction)の値は、車両がそれぞれの運転モードで動作しているときに用いられる。たとえば車両が高速道路運転に対応する運転モードで動作しているとき、表面摩擦信号(surface_friction)の値は、草、砂利、または雪上の運転に対応する運転モードで動作している場合に比してより大きい。いくつかの実施形態では、たとえば、高速道路運転モードでは実質的に1の値が用いられ、草、砂利、または雪上の運転に対応する運転モードでは0.5の値が用いられる。表面摩擦信号(surface_friction)の値は、1つまたはそれ以上の運転モードにおいて同じであってもよい。
【0070】
エンジンコントローラ121Cは、表面摩擦信号(surface_friction)を受信すると、車両100の所与の車輪が正味の横方向の力を受けないと仮定して、その車輪に所定の縦方向スリップ値(S_long)を超えるスリップが生じると予想される前に、その車輪に加わる最大縦方向力(F_long_max)を決定するように構成されている。エンジンコントローラ121Cは、同様に、車輪が正味の縦方向の力を受けないと仮定して、その車輪に所定の横方向スリップ値(S_lat)を超えるスリップが生じると予想される前に、その車輪に加わる最大横方向力(F_lat_max)を決定する。エンジンコントローラ121Cは、たとえばコーナーリング、サイドスロープ(側方勾配)の存在、およびブレーキトルクならびに/もしくはパワートレイン駆動トルクの付加に起因する、所与の瞬間における所与の車輪に対する現時点の最大縦方向力(F_long_max)および最大横方向力(F_lat_max)を計算する。本実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、ブレーキコントローラ150Cに付随する横方向加速度センサを参照して車輪に掛かる正味の横方向力を決定する。いくつかの実施形態では、同様に、ヨー加速度を用いて、横方向力を計算することができることが理解される。ヨー加速度とは、各車輪に対する力により生じる車両の重心の周りのモーメントの合計値である。ヨー加速度および横方向加速度が分かれば、各車輪に対する力の合計を計算することができる。
【0071】
エンジンコントローラ121Cは、所与のタイミングで車輪に加わるパワートレイン駆動トルクおよび/またはブレーキトルクの大きさを参照することにより、所与の車輪に対する正味の縦方向力を決定する。エンジンコントローラ121Cは、所与の瞬間において、エンジンコントローラにより生成されるパワートレイントルク信号、およびブレーキコントローラ150Cにより生成されるブレーキ圧信号を参照することによりパワートレイン駆動トルク値を決定する。いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、操舵可能な車輪に対する横方向力(F_lat)および縦方向力(F_long)を計算するとき操舵可能な車輪の角度を参照してもよい。いくつかの実施形態では、操舵可能な車輪の角度は、1つまたはそれ以上の操舵可能な車輪に対して実質的に直接的に測定したものであってもよい。追加的または択一的には、操舵可能な車輪の角度は、たとえば操舵可能な車輪の角度または他の任意の適当な測定値等、操舵システムの1つまたはそれ以上の所定の位置に対応する信号を参照して決定してもよい。
【0072】
理解されるように、車輪に掛かる縦方向力(F_long)とは、車輪が、地面上の平面で車輪の回転軸に垂直な方向に、車輪と地面の間の接触面積(すなわち接触面)に対して付加する正味の力を意味する。車輪に掛かる横方向力(F_lat)とは、車輪が、地面上の平面で車輪の縦方向力とは垂直な方向に(車輪の回転軸に平行な方向に)、車輪と地面の間の接触面積(すなわち接触面)に対して付加する正味の力を意味する。
【0073】
例示として、
図3は、横方向の車輪スリップ値が縦方向スリップ値(S_lat)を超えたときの限界横方向力(F_lat_crit)の関数として、縦方向の車輪スリップ値が縦方向スリップ値(S_long)を超えたときの限界縦方向力(F_long_crit)を示すプロット(図)である。このプロットは、一般に「摩擦円」FCまたは「摩擦楕円」と呼ばれる。本願では、これらの「摩擦円」および「摩擦楕円」の用語は、同意語として用いる。ただし、理解されるように、このグラフが実質的にまたは近似的に円形または楕円形であるかは、所与の車輪と地面との間の表面摩擦係数に異方性があるか否かに少なくとも部分的に依存する。理解されるように、プロットの形状は、タイヤに関する1つまたはそれ以上のパラメータ、走行表面、タイヤに掛かる垂直方向の負荷、走行表面のキャンバ、および/または1つまたはそれ以上の他のパラメータに依存するので、いくつかの実施形態および/または状況においては、円形形状または楕円形状から実質的に逸脱する。
【0074】
限界縦方向力(F_long_crit)がゼロであるとき、限界横方向力(F_lat_crit)が最大横方向力(F_lat_max)と同一となり、限界横方向力(F_lat_crit)がゼロであるとき、限界縦方向力(F_long_crit)が最大縦方向力(F_long_max)と同一となると仮定すると、実質的に同じ大きさを有する限界横方向力(F_lat_crit)および最大縦方向力(F_long_max)の直交軸を描くと、摩擦円FCは実質的に円形となることが予想される。上述のように、摩擦円は、1つまたはそれ以上のタイヤ、走行表面、タイヤに掛かる垂直方向の負荷、走行表面のキャンバ、および/または1つまたはそれ以上の他のパラメータに少なくとも部分的に依存して任意の他の形状を有し得る。
図3から明らかなように、この実施形態では、摩擦円FCは、限界横方向力(F_lat_crit)の軸と、限界縦方向力(F_long_crit)の軸とが直交し、限界横方向力(F_lat_crit)は、最大横方向力(F_lat_max)にプラスマイナスしたものであり、限界縦方向力(F_long_crit)は、最大縦方向力(F_long_max)にプラスマイナスしたものである。
【0075】
本実施形態において、エンジンコントローラ121Cは、所与の瞬間において所与の車輪に掛かる最大許容可能な正味トルクが摩擦円FC上にあると仮定する。すなわち、エンジンコントローラ121Cは、所与の車輪に掛かる正味の横方向力(F_lat)および正味の縦方向力(F_long)を決定した後、結果として所与の車輪に掛かる正味の力(F_net)を決定し、したがって、所与の車輪に対する正味のトルク(F_net)を摩擦円FCに交差させるためには、どの程度の正のパワートレイン駆動トルクを追加する必要があるか決定することができる。
【0076】
具体的には、
図3は、車輪に掛かる横方向力(F_lat1)および正味の縦方向力(F_long1)に起因して車輪に加わる正味の力1(F_net1)を示す。正味の力1(F_net1)は、摩擦円FC上にあることは明らかである。換言すると、横方向力(F_lat1)および縦方向力(F_long1)は、横方向力(F_lat)および縦方向力(F_long)の限界値に相当するものである。したがって、横方向力(F_lat)または縦方向力(F_long)が増大すると、横方向または縦方向の車輪スリップ値が横方向スリップ値(S_lat)または縦方向スリップ値(S_lat)を超えることになる。
【0077】
対照的に、
図3のプロットで示す正味の力2(F_net2)が摩擦円上にないとき、最終的な正味の力(F_net2')が摩擦円と交差するまで車輪に追加できる力(F_add)と実質的に等しい力(F_long)の追加的な縦方向成分を付加できることは明らかである。
図3に示すように、力(F_add)の追加的な縦方向成分が力(F_net)に追加された場合、結果として得られる全体の力は力(F_net2')となり、その横方向成分の力2が力(F_net2)となり、その縦方向の成分の力2(F_long2')は、正味の力2(F_net2)と力(F_add)の合計となる。
【0078】
エンジンコントローラ121Cは、追加的な力(F_add)の値を決定した後、追加的な力(F_add)の値を車輪に出力するために必要な追加的な大きさのパワートレイントルクを決定することができる。
【0079】
本実施形態において、必要とされる追加的なパワートレイントルクの大きさが計算されると、エンジンコントローラ121Cは、パワートレイントルクの大きさ(PT_TQ)が追加的なパワートレイントルクの大きさを出力するのに十分な限界エンジン速度値(speed_crit)を計算するように構成されている。エンジンコントローラ121Cは、許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TBを、
図4および
図5に示す車両100の計器クラスタパネルの一部を構成するディスプレイスクリーンの一部上に表示されたタコメータ121Tで強調表示させる。タコメータ121Tは、対応する指標上でエンジン速度を示すように回転するニードル121TNを有する。ドライバが許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TB内でニードル121TNを維持するならば、所与の車輪に掛かる正味トルク(F_net)は、摩擦円で定義された境界を超えることはない。本実施形態において、エンジンコントローラ121Cは、ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)コントローラ100HMIに限界エンジン速度(speed_crit)信号を出力することにより、許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TBをタコメータ121T上で強調表示させる。そしてHMIコントローラ100HMIは、タコメータ121T上で許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TBをアイドリング速度から限界エンジン速度値(speed_crit)を強調表示する。他の構成も同様に有用である。
【0080】
エンジンコントローラ121Cは、正味トルク(F_net)を摩擦円と交差させるのにパワートレイントルクの大きさ(PT_TQ)が十分となるときのエンジン速度値を反復的に決定するように構成されていることを理解されたい。この値は、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)と呼ばれる。エンジンコントローラ121Cは、エンジン速度の計算結果に基づいて、許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TBの長さを反復的に更新する。
【0081】
理解されるように、いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121C以外のコントローラが、正味トルク(F_net)を摩擦円と交差させるのにパワートレイントルクの大きさ(PT_TQ)が十分となるときのエンジン速度値、すなわち限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を実現するエンジン速度値を決定する際の1つまたはそれ以上の計算を実行するように構成されるようにしてもよい。こうした計算に、1つまたはそれ以上のコントローラを利用してもよい。いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121C以外のコントローラがそれぞれの計算を実行する。いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、1つまたはそれ以上のコントローラが1つまたはそれ以上の計算を実行できるように、これらのコントローラに情報を提供してもよい。いくつかの実施形態では、ABSコントローラ150Cが、正味トルク(F_net)を摩擦円(限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT))と交差させるのにパワートレイントルクの大きさ(PT_TQ)が十分となるときのエンジン速度値を決定してもよい。スタビリティ制御システム(SCS)を備えた車両において、スタビリティ制御システムに付随するコントローラが決定するように構成してもよい。シートベルトまたはエアバッグのコントローラ等の拘束システムを制御するように構成された1つのまたはそれ以上の制御モジュールを備えた車両において、拘束システムに付随する、またはこれを構成する制御モジュールが、決定するように構成してもよい。
【0082】
許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TBを表示することに加えて、本実施形態では、
図5に示すようなヘッドアップディスプレイシステムを用いて、グラフィック表示が提供される。いくつかの実施形態では、ヘッドアップディスプレイシステムは採用されない。本実施形態に係るヘッドアップディスプレイシステムは、一対の対向配置された半円形のディスプレイ要素121A1,121A2を表示するように構成され、車両100の直ぐ前方であって、ドライバの視野の中心の両側に上向きで配置されている。ディスプレイ要素121A1,121A2は、ドライバの視野中心を通る実質的な垂直の鏡面に対して鏡面対称となるように配置されている。実質的に水平インジケータバーまたはチャップレット121AB1,121AB2が各ディスプレイ要素上に重ね合わせて表示される。インジケータバーは、正味トルク(F_net)が摩擦円内に維持されるエンジン速度範囲を示すように、半円形の各ディスプレイ要素121A1,121A2内で垂直方向に上下するように構成されている。
図5に示す実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、正味トルク(F_net)が摩擦円と交差することが予想されるエンジン速度に達したときに、インジケータバー121AB1,121AB2が各ディスプレイ要素121A1,121A2の垂直方向の上限値に達するように構成されている。各ディスプレイ要素121A1,121A2の垂直方向の下限値は、アイドリング速度に対応する。
【0083】
いくつかの実施形態では、許容可能なエンジン速度のバンド(範囲)121TBを表示すること加えて、またはこれに代えて、エンジンコントローラ121Cは、エンジン121が出力するパワートレイントルクの大きさ(PT_TQ)が、正味トルク(F_net)を限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)と交差させるのに必要な大きさの追加的なパワートレイントルクを出力するのに十分な大きさとなる前に、アクセルペダル161を踏み込むことができる程度を示す指標を表示してもよい。
【0084】
たとえば、いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、アクセルペダル161の許容可能な踏込量の範囲に対応するバーを表示してもよく、踏込量の限界値は、バーの最上端等のバーに沿って空間的に分離された位置により、またはバーに重ね合わせた指標により表示される。矢印もしくはライン等の第1のマーカまたはチャプレットは、アクセルペダルの踏込範囲の両端におけるアクセルペダルの現時点での位置を示すようにバーの上に重ね合わされる。第2のマーカまたはチャプレットは、所与の車輪に掛かる正味トルク(F_net)が摩擦円または摩擦楕円と交差するときのアクセルペダル161の踏込位置を示すようにバーの上に重ね合わされる。
【0085】
こうしたディスプレイの具体例を
図10に図示する。このディスプレイは、長さLを有するバー要素221Rの形態を有してもよい。バーの長さLは、アクセルペダル161の踏込範囲を示す。アクセルペダル位置チャプレット161PCは、アクセルペダル161の踏込範囲全体に対する現時点での(現在の)アクセルペダル161の位置を示すようにバー要素221Rに重ね合わされる。たとえばアクセルペダル161が許容可能な踏込範囲の約50%に対応する量だけ踏み込まれた場合、アクセルペダル位置チャプレット161PCは、バー要素221Rの両端の間のほぼ中間の位置を示す。
図6に示す構成において、アクセルペダル位置チャプレット161PCの位置は、アクセルペダル161が踏込範囲全体の約40%だけ踏み込まれたことを示す。
【0086】
アクセルペダル位置チャプレット161PCとバー要素221Rの下側端部との間にあるバー要素221Rの部分は、ドライバがアクセルペダル161の踏み込まれた程度を視認することを支援するために、(実質的に踏み込まれていないアクセルペダル161に対応する)バー要素221Rの残余部分とは異なるように斜線が描かれている。
【0087】
所与の車輪に対する正味トルク(F_net)がその車輪に対する摩擦円FCと交差する前に、ドライバがアクセルペダル161の踏込制限値をユーザに視覚的に表示するために、同様に、最大ペダル位置インジケータバー161P_maxをバー要素221R上に重ね合わさせる。このペダル位置を限界アクセルペダル位置という。
【0088】
いくつかの実施形態では、アクセルペダル位置の「理想的なバンド」(または範囲)の限界値を表示するために、最大ペダル位置インジケータバー161P_maxの下方の位置にさらなるマーカを設けてもよい。さらなるマーカは、たとえば解放位置から最大ペダル位置インジケータバー161P_maxに相当する位置までのアクセルペダル161の移動範囲の80%のアクセルペダル位置に相当する位置に設けてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、アクセルペダルの移動(ストローク)を表示することに加えて、またはこれに代えて、エンジンコントローラ121Cは、所与の車輪に掛かる正味トルク(F_net)が摩擦円または摩擦楕円と交差するときのパワートレイントルクの大きさに関連して、所与の瞬間において、ドライバが要求したパワートレイントルクの大きさを表示するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、ドライバ要求トルクの瞬間的な大きさ、および車輪に加わる正味トルク(F_net)を摩擦円と交差させるようなパワートレインの大きさを、トルク値の範囲(任意的には、車両の仕様に基づく車両の実現可能なパワートレイントルク値の範囲)を表す実質的に固定されたスケール上に表示してもよい。実現可能なパワートレイントルク値の範囲は、たとえばトランスミッションの上流側またはトランスミッションの下流側の位置で実現可能なトルク値の範囲、任意的には実現可能な車輪トルク値の範囲等、パワートレイントルクの所定位置で実現可能なトルク値の範囲であってもよい。他の構成も同様に有用である。
【0090】
いくつかの実施形態では、追加的または択一的に、エンジンコントローラ121Cは、アクセルペダル161がアクセルペダル位置の「理想的なバンド」(または範囲)から逸脱していることを不変的または明滅的に視覚表示するように構成してもよい。この視覚表示は、インジケータランプ、LCDパネル等のデジタルディスプレイパネルの一部、または任意の他の手段を用いて実現してもよい。こうしたランプの具体例は、
図6の符号221Lにより破線アウトラインで示す。いくつかの実施形態では、インジケータランプ221Lまたはディスプレイパネルの一部が点滅する頻度を、最大ペダル位置インジケータバー161P_maxに相当する位置にアクセルペダルが接近したことに少なくとも部分的に基づいて変化させてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザが希望するならば、アクセルペダル161を理想的なバンド内または範囲内に維持しやすくするために、視覚表示により、アクセルペダルが理想的なバンドまたは範囲の限界値に接近していることをユーザに通知することができる。いくつかの実施形態では、アクセルペダル位置が限界アクセルペダル位置を超えそうになった時点を示すために、アクセルペダル161の位置に基づいて、ディスプレイパネルの色を変化させてもよい。
【0091】
理解されるように、追加的または択一的に、音響的な警告を提供してもよい。いくつかの実施形態では、たとえば座席191、操舵ハンドル181、アクセルペダル161またはブレーキペダル163等の構成部品に振動を与えることにより、触覚的なフィードバックを提供してもよい。追加的または択一的に、アクセルペダル161の抵抗力の変化等、構成部品を操作するときの抵抗力に変化を与えてもよい。いくつかの実施形態では、アクセルペダル161が所与の車輪に掛かる正味トルク(F_net)を摩擦円または摩擦楕円と交差させるのに十分な踏込量に達する前に、アクセルペダル161への抵抗力を加えるようにしてもよい。
【0092】
理解されるように、いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、車両100の独立した車輪のそれぞれに対して、(
図3の摩擦円を画定する)最大横方向力(F_lat_max)ならびに最大縦方向力(F_long_max)および正味トルク(F_net)を計算するように構成されている。択一的には、エンジンコントローラ121Cは、複数の車輪(任意的には各駆動輪)に関する最大横方向力(F_lat_max)ならびに最大縦方向力(F_long_max)の平均値および正味トルク(F_net)の平均値を計算してもよい。いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、各車輪に対して、最大横方向力(F_lat_max)ならびに最大縦方向力(F_long_max)の平均値および正味トルク(F_net)を計算し、複数の車輪のそれぞれに対する正味トルク(F_net)が摩擦円と交差する前に、追加的なパワートレイントルクの大きさを計算してもよい。正味トルク(F_net)を摩擦円と交差させる前に必要とされるパワートレイントルクの大きさが最も小さい車輪に対して、エンジン速度121TBのバンドが計算され、表示されるか、または限界アクセルペダル位置が決定される。こうして車両の任意の車輪が過剰なスリップ値を有する前に、ドライバは警告を受ける。いくつかの実施形態では、エンジンコントローラ121Cは、最大横方向力(F_lat_max)と最大縦方向力(F_long_max)は同じであるため、最大横方向力(F_lat_max)および最大縦方向力(F_long_max)の両方を決定するために、最大横方向力(F_lat_max)または最大縦方向力(F_long_max)のいずれか一方のみを計算する必要がある。
【0093】
本発明に係るいくつかの実施形態において、エンジンコントローラ121Cは、最大横方向力(F_lat_max)および最大縦方向力(F_long_max)の支配的な値の大きさ(および表面摩擦パラメータ(surface_friction)の値の大きさ)をユーザに提供するように構成される。
【0094】
図7は、本発明に係る実施形態による車両の計器クラスタパネル300ICの一部のスクリーンショットを示す。
図1の実施形態と同様の
図7に示す特徴物を、接頭数字1の代わりに接頭数字3を付した同様の参照符号を用いて示す。
【0095】
エンジンコントローラ121Cは、計器クラスタパネル300IC上に摩擦円300FCを表示するように構成される。摩擦円300FCは、その中央に車両300を表すアイコン300Iを有する。使用時、エンジンコントローラ121Cは、最大縦方向力(F_long_max)および最大横方向力(F_lat_max)の値を反復的に計算し、最大縦方向力(F_long_max)および最大横方向力(F_lat_max)の大きさに基づいて、摩擦円300FCの直径(D_FC)を縮小拡大する。したがって、車輪と地面との間の表面摩擦係数が増大するほど、摩擦円300FCの直径(D_FC)は増大する傾向があり、表面摩擦係数が減少するほど、摩擦円300FCの直径(D_FC)は減少する傾向がある。
【0096】
図8(a)は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)が実質的に1に等しいときの計器クラスタパネル300ICの一部を示し、
図8(b)は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)が実質的に0.4に等しいときの計器クラスタパネル300ICの同一部分を示す。図面から明らかなように、
図8(a)に比して
図8(b)の摩擦円300FCの直径(D_FC)は小さい。さらに図示された実施形態において、エンジンコントローラ121Cは、表面摩擦係数が0.5以下になったとき、比較的に滑りやすい運転状況にあることを示すために、雪の結晶のアイコン300ISの表示を起動するように構成されている。
【0097】
図8(c)は、計器クラスタパネル400ICの一部を示し、外側の摩擦円400FCOが車両400(図示せず)の画像400I上に重ね合わせて表示される。外側の摩擦円400FCOは、表面摩擦係数が実質的に1である場合に対応する直径を有し、表面摩擦係数(surface_friction)の実際の値とは関係なく、実質的に一定の直径を維持する。しかしながら、エンジンコントローラ121Cは、依然として、縮小拡大される摩擦円300FCの直径(D_FC)を計算する。エンジンコントローラ121Cは、表面摩擦係数(surface_friction)に基づいて、外側の摩擦円400FCOの直径を縮小する代わりに、外側の摩擦円400FCOの周縁部から、これと同心円上の概念的な円の直径(D_FC)まで、外側の摩擦円400FCOで画定される領域のバンド(範囲)に陰影を付する。概念的な円は、
図8(c)の点線のアウトラインで示すように、外側の摩擦円400FCOの上に重ね合わせて図示される。概念的な円の直径(D_FC)の値が変化するとき(表面摩擦係数(surface_friction)の値が変化するとき)、これに応じて、エンジンコントローラ121Cは、バンド(範囲)400FCBの幅を変化させる。
図8(c)に示す状況において、表面摩擦係数(surface_friction)の値は、実質的に0.4である。
【0098】
図9は、本発明に係るさらなる実施形態による計器クラスタパネル500ICの一部を示す。この一部は、
図8(c)の実施形態の前記一部と同様のものであり、実質的に正方形形状を有する。エンジンコントローラ121Cは、摩擦円の縮小拡大された直径(D_FC)を計算するように構成されており、その摩擦円の直径は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)が実質的に1に等しいときの計器クラスタパネル500ICの前記一部の直径にほぼ等しい。エンジンコントローラ121Cは、
図9に示す計器クラスタパネル500ICの前記一部の外側端部から、車両アイコン500Iを中心とする直径(D_FC)の円までの計器クラスタパネル500ICの領域に陰影を付ける。表面摩擦パラメータ(surface_friction)の値が減少すると、円の直径(D_FC)が小さくなる。したがって、ドライバは、支配的な表面摩擦係数に関する直感的で視覚的なフィードバックを受ける。
【0099】
図9(a)は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)が実質的に1に等しいときの計器クラスタパネル500ICの一部を示し、
図9(b)は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)が実質的に0.7に等しいときの計器クラスタパネル500ICの同一部分を示す。図面から明らかなように、計器クラスタパネル500ICの外側端部から、車両アイコン500Iを中心とする直径(D_FC)を有する(点線のアウトラインで示す)概念的な円500ICまでの領域に陰影が付される。
図9(c)は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)が実質的に0.4に等しいときの対応する画像である。
【0100】
図10(a)は、本発明に係る実施形態の
図8(a)と同様のスクリーンショットを示し、摩擦円600FCの直径(D_FC)は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)の優先的な値に基づいて変化するように構成されている。さらに車両アイコン600Iは、所与の瞬間において、車両(図示せず)の車輪に掛かる横方向力(F_lat_max)および縦方向力(F_long_max)に基づいて摩擦円600FCの中で移動するように構成されている。車両アイコン600Iの重心Cの位置は、瞬間的な横方向力(F_lat_max)および縦方向力(F_long_max)の値に基づいて決定される。摩擦円600FCの中心から重心Cまでの距離は、横方向力(F_lat_max)および縦方向力(F_long_max)の値に対する車輪に掛かる正味トルク(F_net)の大きさに比例して縮小拡大する。すなわち正味トルク(F_net)の大きさが摩擦円の半径と等しくなったとき、重心Cは、
図10(a)の摩擦円と交差する。同様に、摩擦円の中心から重心CへのベクトルVの方向は、横方向力(F_lat_max)および縦方向力(F_long_max)の値の相対的な大きさに基づいて決定され、車輪に掛かる正味トルクが車両に対して作用する方向に相当する。
【0101】
図10(a)に示す状況において、図面から明らかなように、車輪に掛かる正味トルクは、車両に対して225度の方向に作用し、このとき車両に対して前方直進方向は、0/360度に相当する。
図10(a)の車両アイコン600Iの位置は、車両が左方向に曲がり、かつ減速する傾向があることを示す。
【0102】
図9に示す実施形態では、摩擦円は、図示された計器クラスタパネル700ICの一部の陰影領域と非陰影領域との間において、境界700FCIにより画定された点を除き、
図10(b)は、本発明に係る実施形態の
図10(a)と同様のスクリーンショットである。車両アイコン700Iは、
図10(a)の実施形態のものと同様に移動する。すなわち
図10(b)に示す特定の状況において、車両の位置は、車両が右方向に曲がり、かつ加速していることと相応する力が車輪に掛かっていることに対応するものである。
【0103】
図10(c)は、
図10(a)と同様のスクリーンショットであり、本発明に係る実施形態を示す。
図10(c)の実施形態は、車両の形状を有するアイコンではなく、円形のアイコン800Iが車両を表す点が異なる。いくつかの実施形態では、HMIコントローラを用いて、ユーザが好みに応じてさまざまなアイコンを選択することができる。同様に、いくつかの実施形態では、HMIコントローラは、本願で説明または図示した1つのまたはそれ以上の実施形態に対応して、さまざまな表示モードを選択することができる。
【0104】
上述のように、いくつかの実施形態では、視覚的なフィードバックに加えて、またはこれに代えて、座席191、操舵ハンドル181、アクセルペダル161またはブレーキペダル163等のペダルに振動を与えることにより、触覚的なフィードバックをユーザに提供してもよい。いくつかの実施形態では、アクセルペダル161が車輪に掛かる正味トルク(F_net)が牽引力の限界値に近い位置に接近して、かつ車輪の横方向または縦方向のスリップの大きさがそれぞれ、横方向スリップ値(S_lat)または縦方向スリップ値(S_lat)を超えた場合、座席191、操舵ハンドル181、アクセルペダル161は、振動するように構成されている。
【0105】
理解されるように、
図4または
図6〜
図10のうちの1つまたはそれ以上の図面に示す任意の1つまたはそれ以上の視覚的表示は、ヘッドアップディスプレイの形態で提供されてもよい。
【0106】
本発明に係るいくつかの実施形態は、車輪に作用する力に関して、ユーザに直感的なフィードバックを提供できるという特徴を有する。本発明に係るいくつかの実施形態は、車両に関する限界的性能に関して、ユーザに直感的なフィードバックを提供できるという特徴を有する。
【0107】
本発明に係るいくつかの実施形態は、以下の番号が付与された段落を参照して理解することができる。
【0108】
段落1:
動力車両コントローラであって、
車輪と走行表面との間の摩擦係数に対応する表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号を受信し、
アクセル制御位置の許容可能な範囲におけるアクセル制御位置(accel_ctrl_pos)を示す信号を受信し、
表面摩擦パラメータ(surface_friction)の値に少なくとも部分的に基づいて、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定し、
アクセル制御位置(accel_ctrl_pos)および限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)の値に基づいて、牽引力警告表示をドライバに提供するように構成された、動力車両コントローラ。
【0109】
段落2:
限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定する手段は、1つまたはそれ以上の駆動車輪のスリップ値を所定のスリップ値より大きくするために必要なトルクの大きさに基づいて限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定するように構成された、段落1に記載の動力車両コントローラ。
【0110】
段落3:
所定のスリップ値は、表面摩擦パラメータ(surface_friction)に少なくとも部分的に基づいて、データ処理装置により決定される、段落2に記載の動力車両コントローラ。
【0111】
段落4:
瞬間的な車両速度(ref_speed)を示す信号を受信するように構成され、
瞬間的な車両速度(ref_speed)に少なくとも部分的に基づいて、所定のスリップ値を決定するように構成された、段落3に記載の動力車両コントローラ。
【0112】
段落5:
車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するように構成され、
車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータに基づいて、所定のスリップ値を決定するように構成された、段落3または4に記載の動力車両コントローラ。
【0113】
段落6:
少なくとも1つのさらなるパラメータは、車両に負荷される抵抗力の大きさを示すパラメータを含む、段落5に記載の動力車両コントローラ。
【0114】
段落7:
少なくとも1つのさらなるパラメータは、車両が動作する運転モードを示すパラメータを含む、段落5または6に記載の動力車両コントローラ。
【0115】
段落8:
車両が動作する運転モードを示すパラメータは、マニュアル運転モードセレクタ入力デバイスの状態、または自動運転モード選択手段により自動的に選択される運転モードを示す信号に対応する、段落7に記載の動力車両コントローラ。
【0116】
段落9:
上記段落に記載された動力車両コントローラを備えた動力車両制御システム。
【0117】
段落10:
各運転モードは、車両の少なくとも1つのサブシステムの制御モードに対応し、
制御システムは、複数のサブシステム制御モードの中から選択されたサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御するためのサブシステムコントローラを有する、段落7または8を引用する段落9に記載の制御システム。
【0118】
段落11:
1つまたはそれ以上の運転状況指標を評価して、各サブシステム制御モードが適当である程度を決定する評価手段を有する、段落10に記載の制御システム。
【0119】
段落12:
自動運転モード選択状況において動作可能であり、
最も適当なサブシステム制御モードにおいて、サブシステムを制御するようにサブシステムコントローラを自動的に制御するように構成された、段落8を引用する段落10または11に記載の制御システム。
【0120】
段落13:
各運転モードは、以下の制御モードの中から選択される1つまたはそれ以上の制御モードであり、前記制御モードは、
エンジン制御システム、トランスミッションシステム、ステアリングシステム、ブレーキシステム、サスペンションシステムの中から選択された少なくとも1つの車両サブシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが複数の最低地上高を有するサスペンションシステムの制御モードと、
車両の対向側の車輪用サスペンション間が流体連通され、複数のサブシステム構成モードが異なるレベルの連通を提供する流体サスペンションシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが異なるレベルでステアリングを支援するステアリング支援可能なステアリングシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが異なるレベルでブレーキを支援するブレーキ支援できるブレーキシステムの制御モードと、
複数のサブシステム構成モードが異なるレベルで車輪スリップを可能にする、アンチロック機能を提供して車輪スリップを制御できるブレーキ制御システムの制御モードと、
パワートレイン制御手段およびアクセルすなわちスロットルペダルを含むパワートレインシステムの制御モードと、サブシステム構成モードが、アクセルまたはスロットルペダルの移動に対してパワートレイン制御手段の異なるレベルの応答性を実現し、
車輪スピンを制御するように配置される静止摩擦制御システムの制御モードと、複数のサブシステム構成モードが異なるレベルの車輪スピンを可能にし、
車両揺れを制御するように構成される揺れ制御システムの制御モードと、複数のサブシステム構成モードが、予測される揺れから異なる相違度の車両揺れを可能にし、
複数のトランスミッション比で動作可能なトランスミッションシステムの制御モードと、トランスミッションシステムは、車両の少なくとも1つのパラメータをモニタし、応答して少なくとも1つのパラメータを選択するように構成されたトランスミッション制御手段を有し、サブシステム構成モードは複数のトランスミッション比が少なくとも1つのパラメータに応じて異なるように選択される複数のトランスミッション構成モードを含む、段落10〜12のいずれか1に記載の制御システム。
【0121】
段落14:
段落1〜8のいずれか1に記載の動力車両コントローラ、または段落9〜13のいずれか1に記載の制御システムを備えた動力車両。
【0122】
段落15:
サスペンションシステム、本体、複数の車輪、車輪を駆動するパワートレイン、車輪を制動するブレーキシステム、および段落1〜8のいずれか1に記載の動力車両コントローラもしくは段落9〜13のいずれか1に記載の制御システムを備えた車両。
【0123】
段落16:
コントローラを用いて実行する方法であって、
車輪と走行表面との間の摩擦係数に対応する表面摩擦パラメータ(surface_friction)を示す信号を受信するステップと、
アクセル制御位置の許容可能な範囲におけるアクセル制御位置(accel_ctrl_pos)を示す信号を受信するステップと、
表面摩擦パラメータ(surface_friction)の値に少なくとも部分的に基づいて、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定するステップと、
アクセル制御位置(accel_ctrl_pos)および限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)の値に基づいて、ドライバに牽引力警告表示を提供するステップとを有する、方法。
【0124】
段落17:
1つまたはそれ以上の駆動車輪のスリップ値を所定のスリップ値より大きくするために必要なトルクの大きさに基づいて、限界パワートレイントルク制限値(PT_TQ_CRIT)を決定するステップを有する、段落16に記載の方法。
【0125】
段落18:
表面摩擦パラメータ(surface_friction)に少なくとも部分的に基づいて、所定のスリップ値を決定するステップを有する、段落17に記載の方法。
【0126】
段落19:
瞬間的な車両速度(ref_speed)を示す信号を受信するステップと、
瞬間的な車両速度(ref_speed)に少なくとも部分的に基づいて、所定のスリップ値を決定するステップとを有する、段落18に記載の方法。
【0127】
段落20:
車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップと、
車両走行中の地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータに基づいて、所定のスリップ値を決定するステップとを有する、段落18または19に記載の方法。
【0128】
段落21:
地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップは、車両に負荷される抵抗力の大きさを示すパラメータを受信するステップを有する、段落20に記載の方法。
【0129】
段落22:
地形の性状を示す少なくとも1つのさらなるパラメータを受信するステップは、車両が動作する運転モードを示すパラメータを受信するステップを有する、段落20または21に記載の方法。
【0130】
段落23:
車両が動作する運転モードを示すパラメータを受信するステップは、マニュアル運転モードセレクタ入力デバイスの状態または自動運転モード選択手段により自動的に選択される運転モードを示す信号を受信するステップを有する、段落22に記載の方法。
【0131】
段落24:
運転モードを示すパラメータに基づいて、複数のサブシステム制御モードの中から選択されたサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御するステップを有する、段落22または23に記載の方法。
【0132】
段落25:
段落19〜24のいずれか1に記載の方法を実施するように車両を制御するためのコンピュータ可読コードを担持する担持媒体。
【0133】
段落26:
段落19〜24のいずれか1に記載の方法を実施するためにプロセッサ上で実行可能にコンピュータプログラム。
【0134】
段落27:
段落26に記載のコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体。
【0135】
段落28:
段落19〜24のいずれか1に記載の方法、または段落26に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成されたプロセッサ。
【0136】
本願明細書の発明の詳細な説明およびクレームを通して、「備える(comprise)」および「含む(contain)」の用語、およびこれらの用語から派生した「備えた(comprising)」および「備え(comprises)」の用語は、「これらに限定することなく有する」という意味であり、その他の部分、付随物、成分、完成品、またはステップを排除することを意図したものではない。
【0137】
本願明細書の発明の詳細な説明およびクレームを通して、単数形は、文脈上要求されるものでなければ、複数形のものを含む。特に、不定冠詞を用いた場合には、文脈上要求されるものでなければ、単数形のみならず、複数形のものを含む。
【0138】
本発明に係る特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明した特徴物、完成品、特性、成分、化学成分、または化学塩基は、矛盾するものでなければ、任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であるものと理解すべきである。