特許第6475764号(P6475764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475764
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】道路反射鏡
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/619 20160101AFI20190218BHJP
   E01F 9/615 20160101ALI20190218BHJP
【FI】
   E01F9/619
   E01F9/615
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-3172(P2017-3172)
(22)【出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2018-111994(P2018-111994A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】591132405
【氏名又は名称】燕振興工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】小柳 孝礼
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3001059(JP,U)
【文献】 特開2001−193027(JP,A)
【文献】 特開平08−260425(JP,A)
【文献】 特開平11−181727(JP,A)
【文献】 特開平11−305697(JP,A)
【文献】 特開2000−319828(JP,A)
【文献】 特開平10−183541(JP,A)
【文献】 特開平11−229332(JP,A)
【文献】 特開平11−149268(JP,A)
【文献】 特開平10−054014(JP,A)
【文献】 国際公開第10/135774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
E01F 9/615−9/619
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡において、鏡面部を有する反射鏡本体部の周縁部の全周に亘ってこの反射鏡本体部内に雨水が浸入することを防止する周縁カバー部が設けられており、この周縁カバー部は、柔軟性を有する合成樹脂製の環状体からなり、内側に周方向に沿って前記周縁部に被嵌し得る溝条部が形成され前記周縁部に着脱自在に設けられていると共に、蓄光材が混合含有されこの蓄光材の自発発光作用により全体が発光するように構成されていて、周囲が暗くなると前記周縁カバー部が発光して前記反射鏡本体部の形状を呈する環状の光を生成するように構成されていることを特徴とする道路反射鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡、特に周囲が暗くなりその存在が認識しづらくなった際に、通行人にその存在を認識させるために発光する発光手段を有する道路反射鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路反射鏡は、家や塀等によって死角が生じ見通しの悪くなった住宅街の交差点や山道の対向車の存在が確認できないような急なカーブの手前等に設置されるものである。
【0003】
従って、一般的には、自動車やバイクの運転手は、この道路反射鏡が設置されている場所は、左右方向や前方の見通しが悪く出会いがしらの事故が起き易く、通行する際は、安全に十分気を付けなければならない場所であるとの認識を持っている。
【0004】
ゆえに、自動車やバイクの運転手は、この道路反射鏡の存在を認識することで、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識し、この道路反射鏡で死角方向の状況、即ち、死角方向から他の車両や自転車、歩行者等が接近していないかどうかの安全確認を行ったうえで、十分安全に注意して交差点やカーブに進入し、出会いがしらの事故の発生を未然に防いでいる。
【0005】
しかし、従来の一般的な道路反射鏡は、夜間、周囲が暗くなると、鏡面部で死角方向の状況を確認することができなくなるばかりか、道路反射鏡そのものの存在が認識しづらくなってしまうものであったため、自動車やバイク等の運転手は、道路反射鏡の存在に気付かず、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができず、安全確認を怠り、事故を起こしてしまう懸念があるものであった。
【0006】
そこで、従来、夜間暗くなっても道路反射鏡の存在を認識させるため、鏡体の周囲に非鏡面部を形成し、この非鏡面部に再帰反射シートを貼着したもの(特許文献1)や、電気供給源と光センサにより暗くなったときに通電して発光する蛍光パネル体を鏡体の周縁に貼着したもの(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−98090号公報
【特許文献2】特開平9−256330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示される道路反射鏡は、その存在を認識させるものとして再帰反射シートを用いているが、この再帰反射シートはヘッドライト等の照射手段を有する自動車やバイクの運転手に対しては有効であるものの、照射手段を持たない歩行者にはその存在を認識させることができない懸念があるものであった。また、特許文献2に開示される道路反射鏡は、その存在を認識させるものとして蛍光パネルを用いているが、電気供給源やセンサ、蛍光パネルなどの多くの部材で構成されるためコストが掛かり、しかも、蛍光パネルを鏡面部に貼着するため鏡面部が狭くなり道路反射鏡の視認性が低下してしまうという懸念があるものであった。
【0009】
本発明は、このような従来例が抱える問題を解消したもので、周囲が暗くなりその存在の認識が困難な状況になっても、その存在を認識させることができる存在認識手段としての発光手段を有するとともに、この発光手段が極めて簡易な構成で容易に設計実現可能であり、しかも、自発発光により電気供給源が不要で安価に製造可能となる画期的な道路反射鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡において、鏡面部1を有する反射鏡本体部2の周縁部3の全周に亘ってこの反射鏡本体部2内に雨水が浸入することを防止する周縁カバー部4が設けられており、この周縁カバー部4は、柔軟性を有する合成樹脂製の環状体からなり、内側に周方向に沿って前記周縁部3に被嵌し得る溝条部5が形成され前記周縁部3に着脱自在に設けられていると共に、蓄光材が混合含有されこの蓄光材の自発発光作用により全体が発光するように構成されていて、周囲が暗くなると前記周縁カバー部4が発光して前記反射鏡本体部2の形状を呈する環状の光を生成するように構成されていることを特徴とする道路反射鏡に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、周囲が暗くなりその存在の認識が困難な状況になっても、その存在を認識させることができる存在認識手段としての発光手段が極めて簡易な構成で容易に設計実現可能であり、しかも、自発発光するから電気供給源が不要となり、安価に製造することができる実用性に優れた画期的な道路反射鏡となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例を示す説明斜視図である。
図2】本実施例を示す説明分解斜視図である。
図3】本実施例の反射鏡本体部を示す説明側断面図である。
図4】本実施例の夜間における使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0015】
従来の道路反射鏡の多くは、反射鏡本体が、鏡面が形成されている表板部材と、支柱取付部が設けられている裏板部材とを重ね合わせた構成とされている。
【0016】
また、従来の道路反射鏡は、反射鏡本体がこのような重ね合わせ構造のため、表板部材と裏板部材の重ね合わせ部から雨水が浸入して錆などが発生する懸念があることから、重ね合わせ部、即ち、反射鏡本体の周縁に雨水の浸入を防止するための周縁カバーが設けられている。
【0017】
本発明は、従来、単に反射鏡本体内に雨水が浸入することを防止する目的として取り付けられている周縁カバーを、蓄光材を含有し紫外線吸収により自発発光する周縁カバー部4に構成し、周囲が暗くなりその存在の認識が困難な状況になっても、この周縁カバー部4の自発発光によりその存在を認識させることができる画期的な道路反射鏡を、極めて簡易な構成で容易に設計実現可能とした実用性に優れた画期的な道路反射鏡である。
【0018】
即ち、本発明は、周囲が暗くなると、周縁カバー部4が蓄光材の発光作用により発光する。
【0019】
この周縁カバー部4は、鏡面部1が設けられている反射鏡本体部2の周縁部3全周に亘って設けられているので、この周縁カバー部4が発光することで、反射鏡本体2の周縁部3が全周に亘って発光し、この反射鏡本体部2の周縁部3全周の発光により、反射鏡本体部2(鏡面部1)の形状が暗闇に浮かび上がり、暗くなって道路反射鏡の存在が認識しづらくなっても、自動車、バイク、自転車の運転手や歩行者がこの反射鏡本体部2の形状を呈する光によって道路反射鏡の存在に気付き、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができる。
【0020】
これにより、道路反射鏡の存在に気付いた自動車、バイク、自転車の運転手や歩行者は、この反射鏡本体部2(鏡面部1)の形状に浮かび上がった明かりの内側を視認し、車やバイク、自転車などのヘッドライトが移っていないかどうか等の安全を確認しながら注意してこの場所を進入してゆくこととなるので、一時不停止や飛び出しなどがなくなり事故の発生を未然に防ぐことができる画期的な道路反射鏡となる。
【0021】
しかも、上述のように、本発明は、周縁カバー部4が蓄光材により自発発光する構成とされているので、発光のための電気供給源が不要で安価に製造可能となる。
【実施例】
【0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡に係るものであり、図示するように、反射鏡本体部2と、これを支持する支柱部6とからなる構成とされている。
【0024】
更に、本実施例は、図示するように、周囲が暗くなり、通行人がその存在を認識することが困難な状況になっても、反射鏡本体部2の周縁部3が発光して、通行人にその存在を認識させることができるように構成されている。
【0025】
即ち、一般的な道路反射鏡は、夜間、周囲が暗くなると、鏡面部で死角方向の状況を確認しづらくなるばかりか、道路反射鏡そのものの存在が認識しづらくなってしまうものであり、これにより、自動車やバイク等の運転手は、道路反射鏡の存在に気付かず、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができず、安全確認を怠り、事故を起こしてしまう懸念があるものであるが、本実施例は、暗くなっても発光によりその存在を通行人に認識させることができる構成とされており、これにより、上記のような懸念はなく、一時不停止や飛び出しなどを抑制し事故の発生を未然に防ぐことができるように構成されている道路反射鏡である。
【0026】
以下、本実施例について詳述する。
【0027】
本実施例を構成する反射鏡本体部2は、従来の一般的な道路反射鏡と同様、鏡面部1を有する金属製の表板部7と、この表板部7に重ね合わせ状態に設けられる金属性の裏板部8とで構成されている。
【0028】
また、本実施例の反射鏡本体部2は、図示するように、更に、周縁カバー部4と、フード部9とが設けられた構成とされている。
【0029】
本実施例のフード部9は、従来からある一般的な道路反射鏡のフードと同様の構成とされており、具体的には、金属板材(例えばステンレス鋼材)にオレンジ色のアクリル焼付塗装を施した構成とされている。
【0030】
また、本実施例の周縁カバー部4は、反射鏡本体部2の周縁部3の全周に亘って設けられる構成とされ、更に、この反射鏡本体部2に対して着脱交換自在に設けられる構成とされている。
【0031】
具体的には、本実施例の周縁カバー部4は、柔軟性を有する塩化ビニル製の環状体に形成され、内側の長手方向(周方向)に沿って反射鏡本体部2の周縁部3に被嵌し得る溝条部5が形成されている。
【0032】
より具体的には、本実施例の周縁カバー部4は、柔軟性を有する塩化ビニル製の帯状部材を長手方向に沿って二つ折り状態にして、端部同士を結合させて環状にした構成とされ、この二つ折りにより形成された対向帯状片部間に形成された溝条部5に反射鏡本体部2の周縁部3を挿入配設することで、対向帯状片部がこの反射鏡本体部2の周縁部3の表裏両面に挟着し、反射鏡本体部2の周縁部3に着脱自在に被嵌係止する構成とされている。
【0033】
また、本実施例の周縁カバー部4は、蓄光材を含有しており、周囲が暗くなると発光するように構成されている。
【0034】
即ち、本実施例の周縁カバー部4は、周囲が暗くなりその存在(道路反射鏡自体の存在)の認識が困難な状況になった際に、その存在を認識させるために発光する発光部材として構成されている。
【0035】
具体的には、蓄光材は、塩化ビニル(ベース部材)にストロンチウム系化合物(蓄光顔料)を混合したものであり、これを前述した周縁カバー部4を形成する塩化ビニルに混合して、本実施例の周縁カバー部4が形成されている。
【0036】
また、このような蓄光材を含有する本実施例の周縁カバー部4は、外観色が白色を呈している。
【0037】
一般的な道路反射鏡の周縁カバーは、支柱やフードと同様にオレンジ色のものが多いが、本実施例の周縁カバー部4は、白色にすることで、夜間、発光した際に、より鮮明に(より明るく)発光する構成とされている。
【0038】
尚、本実施例の周縁カバー部4は、上述のように連続する環状に形成されているが、例えば、分割状態に形成され、反射鏡本体部2の周縁部3に装着した状態が環状となるように形成しても良い。
【0039】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0040】
本実施例は、周囲が暗くなると、周縁カバー部4が蓄光材の発光作用により発光し、この周縁カバー部4が発光することで、反射鏡本体部2の周縁部3が全周に亘って発光し、この反射鏡本体部2の周縁部3全周の発光により、図示するような反射鏡本体部2(鏡面部1)の形状が暗闇に白いリング状の光となって浮かび上がる。
【0041】
これにより、暗くなって道路反射鏡の存在が認識しづらくなっても、自動車、バイク、自転車の運転手や歩行者がこの反射鏡本体部2の形状を呈する光によって道路反射鏡の存在に気付き、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができる。
【0042】
ゆえに、道路反射鏡の存在に気付いた自動車、バイク、自転車の運転手や歩行者は、この反射鏡本体部2(鏡面部1)の形状に浮かび上がった明かりの内側を視認し、車やバイク、自転車などのヘッドライトが移っていないかどうか等の安全を確認しながら注意してこの場所を進入してゆくこととなるので、一時不停止や飛び出しなどがなくなり事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0043】
また、本実施例は、上述したように、周縁カバー部4以外は従来の一般的な道路反射鏡と同様の構成であるから、従来の一般的な道路反射鏡に取り付けられている単に反射鏡本体内に雨水が浸入することを防止することを目的とした周縁カバーの代わりに、上述した蓄光材を含有し紫外線吸収により自発発光する周縁カバー部4を取り付けるだけで完成する極めて簡易な構成で容易に設計実現可能な実用性に優れた画期的な道路反射鏡となる。
【0044】
しかも、本実施例は、周縁カバー部4が蓄光材により自発発光する構成とされているので、発光のための電気供給源が不要で安価に製造可能となる。
【0045】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0046】
1 鏡面部
2 反射鏡本体部
3 周縁部
4 周縁カバー部
5 溝条部
図1
図2
図3
図4