(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を詳細に説明する。本開示を例示的に記載し、使用する専門用語は、限定よりはむしろ本質的に説明を意図すると理解すべきである。教示に照らして本開示の多くの修正および変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に記載した以外の方法で実施することができると理解すべきである。
【0013】
化合物
1つの典型的な実施形態による化合物は、以下の式(I)によって表すことができる。
【0015】
1つの実施形態によると、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は、各々独立して、置換もしくは無置換C
6〜C
40アリール基、または置換もしくは無置換C
1〜C
40複素環式基であり得る;またはAr
1およびAr
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換もしくは無置換C
1〜C
40複素環式基であり得る;またはAr
3およびAr
4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換もしくは無置換C
1〜C
40複素環式基であり得る。好ましくは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は、各々独立して、置換もしくは無置換C
6〜C
40アリール基、または置換もしくは無置換C
1〜C
40ヘテロアリール基である;またはAr
1およびAr
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換もしくは無置換C
1〜C
40ヘテロアリール基である;またはAr
3およびAr
4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換もしくは無置換C
1〜C
40ヘテロアリール基である。
【0016】
1つの実施形態によると、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は、各々独立して、置換もしくは無置換フェニル基、置換もしくは無置換ビフェニル基、置換もしくは無置換ターフェニル基、置換もしくは無置換フルオレニル基、置換もしくは無置換トリベンジルオキセピニル基、置換もしくは無置換ジベンゾフラニル基、置換もしくは無置換ジベンゾチオフラニル基、置換もしくは無置換ナフチル基、または置換もしくは無置換トリベンジル−アゼピニル基であり得る。好ましくは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は、各々独立して、無置換フェニル基、アルキルで置換されたフェニル基、無置換ビフェニル基、無置換ターフェニル基、無置換フルオレニル基、アルキルで置換されたフルオレニル基、無置換トリベンジルオキセピニル基、無置換ジベンゾフラニル基、または無置換ナフチル基である。
【0017】
1つの実施形態によると、m1は1であり得る;およびm2は0または1であり得る。別の実施形態によると、m1は1であり得、m2は0であり得る。さらに別の実施形態によると、m1は1であり得、m2は1であり得る。
【0018】
1つの実施形態によると、m1は1であり得る;m2は0であり得る;そしてAr
1およびAr
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換もしくは無置換C
1〜C
40ヘテロアリール基であり得る。好ましくは、Ar
1およびAr
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、無置換トリベンジル−アゼピニル基である。
【0019】
1つの実施形態によると、m1およびm2が同時に0でない場合、−L
n1−NAr
1Ar
2および−Q
n2−NAr
3Ar
4は同じであり得る。
【0020】
1つの実施形態によると、m1およびm2は1であり、−L
n1−NAr
1Ar
2および−Q
n2−NAr
3Ar
4は同じであり得る。
【0021】
1つの実施形態によると、LおよびQは、各々独立して、置換もしくは無置換フェニレン、置換もしくは無置換ビフェニレン、または置換もしくは無置換ナフチレン基であり得る。好ましくは、LおよびQは、各々独立して、無置換フェニレン基である。
【0022】
1つの実施形態によると、qは0または1であり得る。
【0023】
qが1である場合、Gは置換もしくは無置換C
6〜C
40アリール基、置換もしくは無置換C
1〜C
40複素環式基、または−NR
1R
2(R
1およびR
2は、各々独立して、置換もしくは無置換C
6〜C
40アリール基)であり得る。好ましくは、Gは、窒素原子を含む置換もしくは無置換C
1〜C
40ヘテロアリール基、または−NR
1R
2(R
1およびR
2は同じであり、置換もしくは無置換フェニル、置換もしくは無置換ビフェニルまたは置換もしくは無置換ナフチレン基)である。さらに好ましくは、Gは無置換ピリジル基、または−NR
1R
2(R
1およびR
2は無置換フェニル基)である。
【0024】
1つの実施形態によると、G、−L
n1−NAr
1Ar
2および−Q
n2−NAr
3Ar
4は同じであり得る。例えば、m1が1であり、m2が0である場合、Gおよび−L
n1−NAr
1Ar
2は同じであり得る。
【0025】
別の実施形態によると、G、−L
n1−NAr
1Ar
2および−Q
n2−NAr
3Ar
4は異なり得る。例えば、m1が1であり、m2が0である場合、Gおよび−L
n1−NAr
1Ar
2は異なり得る。
【0026】
1つの実施形態によると、式(I)の化合物は、以下の式(I−1)〜(I−18)のうちのいずれか1つによって表すことができる。
【0028】
式(I−1)〜(I−18)中のAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、L、Q、G、n1、およびn2は、上記と同じものを表す。
【0029】
1つの実施形態によると、−L
n1−NAr
1Ar
2および−Q
n2−NAr
3Ar
4は、各々独立して、以下の群から成る化合物から選択することができる。
【0031】
式中、*は結合位置を表し、RaおよびRbは、各々独立して、C
1−20アルキルであり、そしてxおよびyは、各々独立して、1または2である。ここで、RaおよびRbは同じであり得る。xおよびyは同じであり得る。RaおよびRbの例は、メチル、エチルまたはプロピルであり得る。加えて、n1またはn2は0であり得る。
【0032】
1つの実施形態によると、n1は0であり、n2は1である。別の実施形態によると、n1は1であり、n2は1である。これらの2つの実施形態において、L
n1−NAr
1Ar
2および−Q
n2−NAr
3Ar
4は、各々独立して、以下の群から成る化合物選択することができる。
【0034】
式中、*は結合位置を表す。Ra、Rb、xおよびyの定義は上記のものと同じである。これらの2つの実施形態において、LおよびQは、各々独立して、置換もしくは無置換C
6〜C
40アリーレン基、例えばフェニレンであり得る。
【0035】
以下、式(I)の置換基を詳細に説明する。本開示で定義されていない置換基は、当該技術分野で公知のように定義される。
【0036】
本開示において、無置換アルキル基は直鎖または分枝であり得る。アルキル基の例としては、C
1−20アルキル、C
1−10アルキル、またはC
1−6アルキルが挙げられる。無置換アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオ−ペンチル、またはヘキシル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で、無置換アルキル基の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、複素環式基、ニトリル基、またはアセチレン基で置換されていてもよい。
【0037】
本開示において、無置換アリール基とは芳香族炭化水素基を指す。アリール基の例は、C
6〜C
40アリール基、またはC
6〜C
20アリール基であり得る。加えて、アリール基の例は、単環式、二環式、三環式、または多環式芳香族炭化水素基であって;2以上の環が互いに縮合していてもよいし、または単結合を介して互いに結合していてもよいものであり得る。無置換アリール基の具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ターフェニル、クォーターフェニル、ナフチル、アントリル、ベンズアントリル、フェナントリル、ナフタセニル、ピレニル、クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、トリフェニレニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ベンゾフルオレニル、またはジベンゾフルオレニル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で、無置換アリール基の少なくとも1つの水素原子は、アルキル基に関して上述したのと同じ置換基で置換されていてもよい。加えて、アリーレン基の定義は上記のものと同様であり、アリーレン基の詳細な説明は、本明細書では繰り返さない。
【0038】
本開示において、無置換複素環式基とは非芳香族または芳香族炭化水素基を指す。複素環式基の例はC
1〜C
40複素環式基、C
2〜C
20複素環式基またはC
4〜C
20複素環式基であり得る。加えて、複素環式基の例は、O、SおよびNからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する単環式、二環式、三環式、もしくは多環式ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基であり得;2以上の環は互いに縮合してもよいし、または単結合を介して互いに連結されてもよい。無置換複素環式基の具体例としては、ピロリル、ピラジニル、ピリジニル、ピペリジニル、インドリル、イソインドリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、フリル、オザゾリル(ozazolyl)、チアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、カルバゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフラニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、トリベンジルオキセピニル(tribenzyloxepinyl)、チオフェニル、またはベンゾオキサゾリル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で、無置換複素環式基の少なくとも1つの水素原子は、アルキル基に関連して上述したものと同じ置換基で置換されていてもよい。
【0039】
1つの実施形態では、2以上のアリールまたはヘテロ環は互いに直接連結して、スピロ構造を形成してもよい。例えば、フルオレニルおよびトリベンゾ−シクロヘプタトリエニルは互いに連結してスピロ構造を形成してもよい。
【0040】
本開示において、ハロゲンとしては、F、Cl、BrおよびIが挙げられ;好ましくはFまたはBrである。
【0041】
本開示において、無置換アルコキシ基とは、上記定義のアルキルが酸素原子と結合している部分を指す。アルコキシ基の例としては、直鎖もしくは分枝C
1−10アルコキシ、または直鎖もしくは分枝C
1−6アルコキシを挙げることができる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ネオ−ペンチルオキシまたはヘキシルオキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で、無置換アルコキシ基の少なくとも1つの水素原子は、アルキル基に関連して上述したものと同じ置換基で置換されていてもよい。
【0042】
本開示において、無置換シクロアルキル基とは、3〜20個の炭素原子、または3〜12個の炭素原子を有する一価飽和炭化水素環系を指す。無置換シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で、無置換シクロアルキル基の少なくとも1つの水素原子は、アルキル基に関連して上述したものと同じ置換基で置換されていてもよい。
【0043】
本開示において、無置換アルケニル基は直鎖または分枝であり得、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し得る。アルケニル基の例としては、C
1−20アルケニル、C
1−10アルケニル、またはC
1−6アルケニルが挙げられる。無置換アルケニル基の具体例としては、エテニル、プロペニル、プロペニレン、アリル、または1,4−ブタジエニル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で、無置換アルケニル基の少なくとも1つの水素原子は、アルキル基に関連して上述したものと同じ置換基で置換されていてもよい。
【0044】
式(I)の化合物の例としては、以下の化合物(1)〜(224)のいずれか1つを挙げることができる。
【0046】
ここで、化合物(1)〜(224)の少なくとも1つの水素原子は、前記置換基で任意選択的にさらに置換することができる。
【0047】
有機電子デバイス
前記化合物を含む有機電子デバイスも本開示で提供される。
【0048】
1つの実施形態では、有機電子デバイスは:第1電極;第2電極;および第1電極と第2電極との間に配置された有機層を含み、有機層は前記化合物のいずれか1つを含む。
【0049】
本明細書中で、「有機層」という語は、有機電子デバイスの第1電極と第2電極との間に配置された単一層または複数の層を指す。
【0050】
本開示の有機電子デバイスの用途には、有機発光デバイス、有機太陽電池デバイス、有機薄膜トランジスタ、有機光検出器、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、テレビ、広告用掲示板、室内もしくは屋外照明用ライト、室内もしくは外部信号用ライト、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明なディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザプリンタ、電話、携帯電話、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、デジタルカメラ、カムコーダ、ファインダー、マイクロディスプレイ、車両、広い壁面、映画館もしくはスタジアムのスクリーン、または標識が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、本開示の有機電子デバイスは、有機発光デバイス、または有機太陽電池デバイスに適用される。
【0051】
1つの実施形態では、有機電子デバイスは有機発光デバイスであり得る。
図2は、本開示の1つの実施形態において使用することができる有機発光デバイスの典型的な構造を示す斜視図である。
図2において示すように、有機発光デバイスは:基板11;アノード12;カソード18;ならびに正孔注入層13、正孔輸送層14、発光層15、電子輸送層16および電子注入層17を含む有機層を含む。しかしながら、本開示はそれらに限定されない。有機発光デバイスの発光効率を改善することができる他の層、例えば電子ブロッキング層または正孔ブロッキング層も本開示の有機発光デバイスで形成することができる。本開示の有機発光デバイスが電子ブロッキング層をさらに含む場合、電子ブロッキング層を正孔輸送層14と発光層15との間に配置することができる。本開示の有機発光デバイスが正孔ブロッキング層をさらに含む場合、正孔ブロッキング層を電子輸送層16と発光層15との間に配置することができる。
【0052】
1つの実施形態では、本開示の有機発光デバイスは、前記化合物を含む正孔輸送層を含んでもよい。別の実施形態において、本開示の有機発光デバイスは、前記化合物を含む正孔注入層を含んでもよい。さらに別の実施形態において、本開示の有機発光デバイスは、前記化合物を含む電子ブロッキング層を含んでもよい。しかしながら、本開示は、それらに限定されるものではない。
【0053】
1つの実施形態では、発光層は、イリジウムまたは白金を含み得るリン光発光材料を含み得る。別の実施形態において、発光層は、量子ドットまたは半導体ナノ結晶材料を含み得る。しかしながら、本開示は、それらに限定されるものではない。
【0054】
別の実施形態において、有機電子デバイスは有機太陽電池であり得る。
図3は、本明細書中で用いられる有機太陽電池の典型的な構造を示す斜視図である。
図3で示すように、有機太陽電池は:第1電極21;第2電極22;および第1電極21と第2電極22との間に配置され、前記化合物のいずれか1つを含む有機層23を含み得る。ここで、有機層23は、キャリア輸送層としての役目を果たし得る。
【0055】
本発明の他の目的、利点、および新規特徴は、添付の図面とあわせると、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0056】
実施例
以下の実施例は、本開示の特徴を説明するために提示する。しかしながら、本開示は、以下の実施例の記載によって限定されない。
【0057】
以下の合成は、別段の指示がない限り、保護された気体雰囲気下で実施する。出発材料は、AldrichもしくはAlfaから購入することができるか、または文献の手順にしたがって得ることができる。
【0058】
合成実施例1−中間体A1〜A8およびその合成
式(I)の化合物を調製するために使用した中間体A1〜A8を以下の表1に記載し、表中、各々の中間体の下の数はそのCAS番号を指す。
【0060】
中間体A1〜A5
中間体A1〜A5はAldrichまたはAlfaから購入し、CAS番号を上記した。
【0062】
中間体A6〜A8は、上記スキームIにしたがって調製することができる。出発材料Ar
1−NH
2(アリールアミン)およびBr−Ar
2(臭化アリール)を以下の表2に記載する。
【0063】
簡単に言うと、臭化アリール(1.0eq)、アリールアミン(1.05eq)、Pd(OAc)
2(0.01eq)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)(0.04eq)、ナトリウムtert−ブトキシド(1.5eq)、およびトルエンの混合物を圧力管に取り、80℃にて12時間N
2雰囲気下で加熱した。反応が完了した後、揮発性物質を真空下で除去し、得られた溶液をジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を塩溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、黄色固体が残った。さらに、ヘキサン/ジクロロメタン混合物(2:1v/v)を溶離液として使用することによってシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。得られた生成物、すなわち中間体A11〜A14の分析データを以下の表2に記載する。
【0065】
合成実施例2−中間体B1〜B4およびその合成
式(I)の化合物を調製するために使用した中間体B1〜B4を以下の表3に記載する。
【0068】
中間体B1は、上記スキームIIにしたがって調製することができる。
【0069】
ステップ1:中間体B1−1の合成
四塩化炭素(430ml)中の3−ブロモジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オン(86g、1.0eq)、N−ブロモスクシンイミド(106g、2eq)、および過酸化ベンジル(0.7g、0.01eq)の混合物を85℃に加熱した。反応をHPLCによってモニターした。反応完了後、沈殿をろ過によって分離し、MeOHで洗浄し、次いで再結晶によって精製した。精製した生成物を濃縮乾固させ、これによって、白色固体生成物を123gの量で、92.3%の収率で得た。FD−MS分析C
15H
9Br
3O:理論値444.94、実測値444.94。
【0070】
ステップ2:中間体B1−2の合成
得られた中間体B1−1(116.0g、1.0eq)を960mlのフラン/THF(v/v=2/1)中に溶解させ、反応物を0℃に冷却し、次いでKO−t−Bu(87.8g、3.0eq)で処理した。反応物を0℃で1時間撹拌した後、室温まで上昇させ、さらに12時間撹拌した。反応が完了した後、それをDI水でクエンチし、有機層を溶媒抽出操作によって回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を有機層から減圧下での蒸留によって除去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製した生成物を濃縮乾固させ、それによって淡黄色固体生成物を46.8gの量で収率51.1パーセントで得た。FD−MS分析C
19H
11BrO
2:理論値351.19、実測値351.19。
【0071】
ステップ3:中間体B1−3の合成
得られた中間体B1−2(53.5g、1.0eq)および5%Pd/C(8.1g、0.025eq)の535mlの酢酸エチル中懸濁液を、水素のバルーンによって提供される水素雰囲気下で3〜6時間撹拌した。得られた混合物をセライトのパッドでろ過し、酢酸エチルで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮して、100g(100%)の中間体B1−3を黄色固体として得た。得られた化合物である中間体B1−3を、さらに精製することなく次の反応で直接使用した。
【0072】
ステップ4:中間体B1の合成
530mlのトルエン中得られた中間体B1−3(53g、1.0eq)およびp−トルエンスルホン酸(57g、2.0eq)を12時間還流加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いでNaHCO
3の飽和水溶液でクエンチし、CH
2Cl
2で抽出した。有機層を水、ブライン(塩水)で洗浄し、続いて無水Na
2SO
4で乾燥させた。次いで、結果として得られる溶液を減圧下で濃縮し、CH
2Cl
2/ヘキサン1/1(v/v)を溶離液として用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。46.0gの中間体B1が淡黄色固体として91.5%の収率で得られた。FD−MS分析C
19H
11BrO:理論値335.19、実測値335.19。
【0073】
中間体B2からB4の合成
中間体B2からB4の合成手順は、中間体B1を調製するために使用した3−ブロモジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンを、中間体B2を調製するために2−ブロモジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンに代える、中間体B3を調製するために3,7−ジブロモジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンに代える、または中間体B4を調製するためにジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンに代える以外は、中間体B1を調製するためのものと同じ方法を使用した。すべてのステップにおける中間体、収率およびMS分析データを以下の表4に記載する。
【0075】
合成実施例3 中間体C1〜C4およびその合成
式(I)の化合物を調整するために使用した中間体C1〜C4を以下の表5に記載し、表中、中間体の各々の下の数字はそのCAS番号を指す。
【0077】
中間体C4の合成
トルエン(730ml)中の、1−ブロモ−2−クロロ−4−ヨードベンゼン(1.0eq)、4−クロロフェニルボロン酸(1.1eq)、Pd(OAc)
2(0.95g、0.01eq)、PPh
3(4.45g、0.04eq)、および3.0MのK
2CO
3水溶液(58.6g、144mLのH
2O中2.0eq)の溶液を窒素下、65℃にて12時間加熱した。室温に冷却した後、次にロータリエバポレータを用いて溶媒を除去し、残存する物質をカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体C4(65%)を得た。MS:[M]
+=301.99。
【0078】
合成実施例4−中間体D1〜D15およびその合成
式(I)の化合物を調製するために使用した中間体D1〜D15を以下の表6に記載する。
【0081】
中間体D1は上記スキームIIIにしたがって調製することができる。
【0082】
ステップ1:スピロアルコールの合成
無水THF(0.4M)中の中間体C1(1.0eq)に、n−BuLi(1eq)を滴加し、−78℃で撹拌した。20分間撹拌した後、中間体B4(0.7eq)を混合物に添加し、反応混合物を室温まで昇温させた。反応をHPLCによってモニターした。反応完了後、反応溶液を水でクエンチし、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液および有機層をまとめ、飽和生理食塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、この混合物を吸引ろ過に供し、次いでろ液を濃縮した。65gのスピロアルコールを淡黄色粉末状固体として得、さらに精製することなくステップ2で直接使用した。
【0083】
ステップ2:中間体D1の合成
得られたスピロアルコール(1eq)に、酢酸(反応物質に対してw/v=1/3)およびH
2SO
4(5滴)を添加し、混合物を110℃で6時間撹拌した。反応をHPLCによってモニターした。反応完了後、沈殿をろ過によって分離した。残存する物質をカラムクロマトグラフィーで精製して、58gの中間体D1を白色固体として93.0%の収率で得た。FD−MS分析C
31H
19Br:理論値471.39、実測値471.39。
【0084】
中間体D2〜D13の合成
中間体D2〜D13を調製するための手順は、中間体D1を調製するために使用された中間体B4および中間体C1を以下の表7に記載する化合物で置換した以外は、中間体D1を調製するための手順と類似していた。得られた中間体D1〜D13は白色固体で存在する。加えて、中間体D1〜D13の収率およびMS分析データも以下の表7に記載する。
【0086】
中間体D14およびD15の合成
【化10】
【0087】
中間体D14およびD15は上記スキームIVにしたがって調製することができる。
【0088】
トルエン中、中間体D1またはD5(1.0eq)、ボロン酸(1.1eq)、Pd(OAc)
2(0.01eq)、PPh
3(0.04eq)、K
2CO
3(1.5eq、3M)を100℃にて12時間加熱した。反応が完了した後、揮発性物質を真空下で除去し、得られた溶液をジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。まとめた有機抽出物をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、黄色固体が残った。さらに、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。加えて、中間体D14およびD15の収率およびMS分析データを以下の表8に記載する。
【0090】
合成実施例5−化合物(1)〜(33)
化合物(1)〜(26)の合成
本開示の化合物は以下のスキームVにしたがって合成することができる。
【0092】
簡単に言うと、トルエン(0.3M)中の、中間体D1〜D15(1.0eq)、中間体A1〜A9(1.05eq)、Pd(OAc)
2(0.005eq)、P(t−Bu)
3HBF
4(0.02eq)、およびNaOtBu(1.5eq)の混合物を90℃にて8〜24時間加熱した。反応が完了した後、揮発性物質を真空下で除去し、得られた溶液をジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。まとめた有機抽出物をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、黄色固体が残った。さらに、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体を含む最終化合物を得た。
【0093】
化合物(27)の合成
トルエン(0.3M)中、中間体A9(1.0eq)、中間体D3(2.1eq)、Pd(OAc)
2(0.01eq)、P(t−Bu)
3HBF
4(0.04eq)、およびNaOtBu(3.0eq)を90℃にて24時間加熱した。反応が完了した後、揮発性物質を真空下で除去し、得られた溶液をジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。まとめた有機抽出物をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、黄色固体が残った。さらに、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体を含む最終化合物を得た。
【0094】
生成物(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、(10)から(15)、(20)、(21)および(30)から(33)、使用した中間体、収率、およびMS分析データを以下の表9に記載する。
【0096】
実施例−OLEDデバイス製作
厚さ1500ÅになるようにITO(インジウムスズ酸化物)をコーティングしたガラス基板を、洗剤を溶解させた蒸留水中に入れ、超音波洗浄した。本明細書中で、洗剤とはFischer Co.製の製品であり、蒸留水をフィルター(Millipore Co.)で2回ろ過した。ITOを洗剤で30分間洗浄した後、蒸留水で10分間2回超音波洗浄し、続いてイソプロピルアルコール、アセトン、およびメタノールで超音波洗浄し、これを次に乾燥させ、その後、プラズマクリーナに移した。次いで、基板を酸素プラズマで5分間洗浄し、次いで真空エバポレータに移した。
【0097】
様々な有機材料および金属材料を連続してITO基板上に堆積させて、本実施例のOLEDデバイスを得た。堆積の間の真空度は1×10
−6〜3×10
−7torrに維持した。加えて、以下のOLEDデバイスで使用した材料の式およびコードネームを以下の表10に記載する。
【0098】
青色OLEDデバイスの調製
本実施例の青色OLEDデバイスを製作するために、HATをまずITO基板上に堆積させて、厚さ100Åの第1の正孔注入層を形成した。HI−2を、ドーパントHAT(5.0wt%)を有する第1の正孔注入層上に堆積させて、750Åの厚さを有する第2の正孔注入層を形成した。
【0099】
次に、HT−1または本開示の化合物を堆積させて、100Åの厚さを有する第1の正孔輸送層(HT1)を形成した;および/またはHT−2もしくは本開示の化合物を堆積させて、100Åの厚さを有する第2の正孔輸送層(HT2)を形成した。
【0100】
次いで、ドーパントBD(3.5wt%)を有するBHを第1または第2の正孔輸送層上に堆積させて、250Åの厚さを有する発光層を形成した。ドーパントLiq(35.0wt%)を有するETを発光層上に堆積させて、250Åの厚さを有する電子輸送層を形成した。Liqを電子輸送層上に堆積させて、15Åの厚さを有する電子注入層を形成した。Alを電子注入層上に堆積させて、1500Åの厚さを有するカソードを形成した。
【0101】
前記過程の後、以下の試験で使用する青色OLEDデバイスを得た。
【0102】
緑色OLEDデバイスの調製
緑色OLEDデバイスの調製は、第2の正孔注入層、発光層および電子輸送層を除いては、青色OLEDデバイスの調製と類似していた。
【0103】
ここで、第2の正孔注入層の厚さは1300Åであった。ドーパントGD(10wt%)を有するGHを第1または第2の正孔輸送層上に堆積させて、400Åの厚さを有する発光層を形成した。電子輸送層の厚さは350Åであった。
【0104】
赤色OLEDデバイスの調製
赤色OLEDデバイスの調製は、第2の正孔注入層、発光層および電子輸送層を除いて、青色OLEDデバイスの調製と類似していた。
【0105】
ここで、第2の正孔注入層の厚さは2100Åであった。ドーパントRD(3.5wt%)を有するRHを第1または第2の正孔輸送層上に堆積させて、300Åの厚さを有する発光層を形成した。電子輸送層の厚さは350Åであった。
【0107】
OLEDデバイス測定
得られた青色、緑色および赤色OLEDデバイスのデバイス性能をPR−650によって測定した。青色および赤色OLEDデバイスに関しては、データを1000nitで集めた。緑色OLEDデバイスに関しては、データを3000nitで集めた。CIE、発光効率(Eff.)および駆動電圧(電圧)などのデータを下記表11〜13に記載する。
【0111】
表11〜13に示した結果によると、式(I)の化合物を塗布したOLEDデバイスは改善された発光効率および低い駆動電圧を示す。したがって、本開示の式(I)の化合物をOLEDデバイスの正孔輸送材料として効果的に使用することができる。
【0112】
本開示をその好ましい実施形態に関連して説明してきたが、以下で請求する本発明の主旨および範囲から逸脱することなく他の多くの可能な修正および変更をなすことができると理解されたい。