【実施例1】
【0020】
(1.全体構造の説明)
【0021】
本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め装置は、
図1〜
図17に示すように、車両中心線表示装置1と位置決め装置2とよりなる。
【0022】
(1.1.車両中心線表示装置の説明)
【0023】
前記車両中心線表示装置1は、
図1〜
図3に示すように、矩形箱状の本体部3と、該本体部3の上面に表示された直線状の基準線(又は基準点)4と、前記本体部3の前面に設けられた、前方にレーザー光が上下方向の線状に照射される前側の線状レーザーポインター部5と、前記本体部3の後面に設けられた、後方にレーザー光が上下方向の線状に照射される後側の線状レーザーポインター部6とよりなる。
【0024】
また、前記前側の線状レーザーポインター部5のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部6のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線4とは、水平面(床面)に直交する同一平面内となるように設けられる。
【0025】
即ち、
図4に示すように、前記前後の線状レーザーポインター部5、6から照射されたレーザー光が、それぞれ床7などの被照射物に照射された時に、該床7に表示された線5a、6aと前記基準線4とが、平面視において直線状に表示されるように、前記前後の線状レーザーポインター部5、6と前記基準線4が設けられる。
【0026】
なお、8は、各種センサーが調整される車両を示し、8aは、
図2(a)に示すように、該車両8の正面に、該正面の左右方向における中心部分に設けられたエンブレムを示し、8bは、
図2(b)に示すように、前記車両8の後面に、該後面の左右方向における中心部分に設けられたエンブレムを示す。
【0027】
また、9は、前記本体部3の上面に表示された、前記基準線4に直交すると共に、前記本体部3の上面の中心点10を通る直線を示す。
【0028】
また、11は、糸11aと逆円錐形状の重り11bとからなる下げ振りを示す。
【0029】
(1.2.位置決め装置の説明)
【0030】
また、前記位置決め装置2は、
図5及び
図6に示すように、立設された矩形板状のガイド板部12と、該ガイド板部12の前面12aの左右方向における中心上部に、鉛直方向に垂設して設けた平面状の鏡部13と、前記ガイド板部12の下端中央の前記鏡部13の下方に形成された、前後方向に貫通する切欠き部14と、前記ガイド板部12の上端に設けた距離センサー15と、前記ガイド板部12の後面12bの一方の側部12cから後方に延びる腕部16と、該腕部16の内側面に設けられた、前記他方の側部12dに向かって、前記鏡部13の面に対して並行すると共に、該鏡部13から前後方向において離間して、レーザー光が上下方向の線状に照射されるガイド用線状レーザーポインター部17とよりなる。
【0031】
なお、前記切欠き部14は、該切欠き部14の溝の高さが、前記前側の線状レーザーポインター部5の照射部よりも高い位置に形成され、該線状レーザーポインター部5から照射されたレーザー光が、該切欠き部14を貫通して、後方まで届くように形成される。
【0032】
そして、該位置決め装置2は、
図7に示すように、前記線5a上の所望の位置に位置決めされて設置され、該位置決めされた位置決め装置2に、例えば、
図8に示すようなターゲット板18などの各種センサーの調整用の基準具が設定されるようになる。
【0033】
(1.3.ターゲット板の説明)
【0034】
なお、前記ターゲット板18は、例えば、
図8に示すように、白黒模様が表示された正方形状のターゲット表示板部18aと、該ターゲット表示板部18aを所望の高さに位置させるための支柱部18bと、床7に載置され、前記支柱部18bを支える矩形板状の台部18cとよりなり、該矩形体状の台部18cの前面部19は、前記ターゲット表示板部18aの面と並行して直線状に形成さると共に、該前面部19には、前記ターゲット表示板部18aの左右方向の中心線の延長線に一致するケガキ線20が表示されている。
【0035】
そして、床7に表示された、車両の車両中心線21と、該車両中心線21に直交すると共に、前記車両と所望の距離離れた位置に表示されたターゲット設置ライン22と、該車両中心線21と該ターゲット設置ライン22との交点23を基準として、前記ターゲット板18の台部18cの前面部19が、前記ターゲット設置ライン22に一致すると共に、前記ケガキ線20が前記交点23に一致するように、ターゲット板18を設置することにより、正確に位置決めされるようになる。
【0036】
(2.車両センサー調整用基準具の位置決め装置の設置方法の説明)
【0037】
次に、本発明の車両センサー調整用基準具の位置決め装置方法と効果を説明する。
【0038】
各種センサーが調整される車両を整備ストールの所定の位置に入庫する。
【0039】
(2.1.車両中心線の表示方法の説明)
【0040】
作業者は、前記車両の車両中心線を床に表示させるために、
図1及び
図2に示すように、前記車両8の前後、例えば、車両の前面と後面にそれぞれ設けられた、車両中心の目安となるエンブレム8a、8bの左右方向の中心に、前記下げ振り11を下げる。
【0041】
次に、前記車両中心線表示装置1の前後の線状レーザーポインター部5、6からそれぞれ線状にレーザー光を照射させる。
【0042】
そして、前記前側の下げ振り11の重り11bの下端が、前記車両中心線表示装置1の前記基準線4上(又は中心点10上)に位置するように、前記車両中心線表示装置1を床7に載置すると共に、前記床7に照射された前記後側の線状レーザーポインター部6からのレーザー光の線6aが、前記後側の下げ振り11の重り11bの下端の下に一致するように、前記車両中心線表示装置1を水平面に対して回転(傾動)させる。
【0043】
そして、
図4に示すように、前記床7に照射された、前記前後の線状レーザーポインター部5、6からのレーザー光の線5a、6aからなる直線を車両中心線21として表示させることができるようになる。
【0044】
なお、前記は、車両中心線表示装置1を車両の前側に設置する場合であるが、車両中心線表示装置1を車両の後側に設置する場合も同様に、前記後側の下げ振り11の重り11bの下端が、前記車両中心線表示装置1の前記基準線4上(又は中心点10上)に位置するように、前記車両中心線表示装置1を床7に載置すると共に、前記床7に照射された前記前側の線状レーザーポインター部5からのレーザー光の線5aが、前記前側の下げ振り11の重り11bの下端の下に一致するように、前記車両中心線表示装置1を水平面に対して回転(傾動)させるようにする。
【0045】
(2.1.1.後方確認手段の説明)
【0046】
なお、例えば、前記車両8の前側で、前記車両中心線表示装置1の位置調整をする作業者は、後側のレーザー光の方向を調整するためには、膝をついたり、屈みこんだりして、前記車両8の底を覗いて後方を見て、後側に照射されたレーザー光の線6aと後側の下げ振り11の下端の位置確認をする必要があり、作業者の腰を痛めるなどの負担が大きい。
【0047】
そこで、膝をついたり、屈みこんだりせずに、後方を確認できるようにするために、
図9〜
図13に示すように、前記車両中心線表示装置1の位置決めを補助する鏡スタンド24などの後方確認手段を、別途設けるようにしてもよい。
【0048】
該鏡スタンド24は、例えば、鏡25aと鏡枠25bとよりなる矩形板状の鏡本体25と、該鏡本体25の背面に固定された、床7に載置される載置台26とよりなり、該載置台26は、例えば、
図13に示すように、前記鏡本体25の鏡25aの鏡面を、床7に対して、所望の角度で傾斜した状態で載置できるように形成される。
【0049】
該所望の角度とは、作業者が、膝をついたり、屈みこんだりしなくても、鏡面を見ることにより、車両の前方から該車両の底を通じて、後側に照射されたレーザー光の線6aと後側の下げ振り11の下端の位置確認できる角度(車両中心線表示装置1を車両の後方に設置する場合は、車両の後方から該車両の底を通じて、前側に照射されたレーザー光の線5aと後側の下げ振り11の下端の位置確認できる角度)であり、車両の前方から該車両の底を通じて後方(又は、車両の後方から該車両の底を通じて前方)を確認できれば、前記角度は特に限定されるものではないが、例えば、80度から20度の間の角度、好ましくは、50度から40度の角度、更に好ましくは、45度の角度に設定される。
【0050】
また、前記載置台26は、例えば、前記鏡本体25の背面の一方及び他方の側部に、それぞれ垂設されると共に、互いの面が平行する一対の平板などからなる側壁板27、27と、該各側壁板27の下辺に形成された、前記鏡25bの鏡面に対して、前記所望の角度、例えば、45度傾斜した直線状の傾斜辺28とよりなり、
図13に示すように、該傾斜辺28が床7に設置されることにより、前記鏡25aの鏡面が床7に対して、所望の角度、例えば、45度傾斜した状態となるようになる。
【0051】
よって、該鏡スタンド24を用いれば、作業者は、車両の底を覗いて後方(又は前方)を見なくても、上から、又は、斜め上から、載置した鏡を見れば、該鏡に後方(前方)が写しだされるので、膝をついたり、屈みこんだりしなくても、後側に照射されたレーザー光の線6aと後側の下げ振り11の下端の位置確認(又は、前側に照射されたレーザー光の線5aと前側の下げ振り11の下端の位置確認)ができ、作業者の負担を軽減し、そして、簡単に、車両中心線表示装置1を、所定の位置に設置できるようになる。
【0052】
また、
図14及び
図15に示すように、前記一対の側壁板27、27間を、前記車両中心線表示装置1の幅と略同じ幅となるよう形成し、前記鏡本体25と、該一対の側壁板27、27とにより形成された凹部29に、前記車両中心線表示装置1を嵌め込めるようにし、車両中心線表示装置1を使用しない場合には、前記鏡スタンド4を、前記車両中心線表示装置1に嵌め込んで、前記車両中心線表示装置1と一緒に保管できるようにしてもよい。
【0053】
また、前記車両中心線表示装置1の矩形箱状の本体部3が金属製であれば、前記鏡本体25の背面に、ラバーマグネットなどの板状の磁石30を固定すれば、前記鏡スタンド24を前記車両中心線表示装置1に嵌め込んだ時、前記金属製の本体部3に前記磁石30がくっつき、簡単に脱落しないようになる。
【0054】
なお、31は、前記各側壁板17の内側面に設けた緩衝部材(弾性部材)を示し、該緩衝部材31を介して、前記車両中心線表示装置1を嵌合するようにし、前記車両中心線表示装置1の外周面を保護するようにしてもよい。
【0055】
なお、鏡スタンド24を用いる代わりに、鏡25aのみを利用して、該鏡を手で持って、後方、又は、前方を確認するようにしてもよい。
【0056】
(2.2.位置決め装置の設置の説明)
【0057】
次に、整備マニュアル等に基づき、前記表示された車両中心線を基準として、車両前方の所望の距離の位置に、ターゲット板などの調整用基準具を位置決めして設置するようにする。
【0058】
なお、該調整用基準具は、前記車両中心線21に直交すると共に、車両と所望の距離離れた位置となるターゲット設置ライン22を床7に表示させてから、前記車両中心線21と該ターゲット設置ライン22を基準として、設置してもよいが、床7に該ターゲット設置ライン22の表示に手間がかかるので、以下説明するように、位置決め装置2を用いて、調整用基準具を設置してもよい。
【0059】
作業者は、前記位置決め装置2を、前記レーザー光の線5a上に載置させると共に、前記距離センサー15により、該位置決め装置2と前記車両8との距離を測定し、該距離が所望となる位置となるように設置する。
【0060】
更に、前記位置決め装置2を、
図16に示すように、前記ガイド板部12の鏡部13に、前記前側の線状レーザーポインター部5からのレーザー光が照射されるように配置し、そして、
図7に示すように、該鏡部13で反射した前記レーザー光が、前記前側の下げ振り11の糸11a(又は、前記基準線4)に一致するように、前記位置決め装置2を水平面に対して回動(傾動)させる。
【0061】
これにより、前記位置決め装置2のガイド板部12(鏡部13の面)は、車両中心線21(5a)に対して直角に設置されると共に、前記車両8から所望の位置に設置されるようになる。
【0062】
次に、前記線状レーザーポインター部17からレーザー光を照射させ、
図7に示すように、床7に線17aが表示されるようになる。
【0063】
また、前記線状レーザーポインター部5のレーザー光は、前記位置決め装置2のガイド板部12の切欠き部14を貫通して、該ガイド板部12の後方においても、線5aが表示されるようになる。
【0064】
そして、
図17に示すように、前記線5aを、車両中心線21とみなし、また、前記線17aを、ターゲット設置ライン22とみなして、前記ターゲット板18の台部18cの前面部19を、前記線17aに一致すると共に、前記ケガキ線20が前記線5aと線17aの交点に一致するように、ターゲット板18を設置することにより、正確に位置決めされるようになる。
【0065】
そして、前記位置決め装置2を取り外して、前記調整用基準具(ターゲット板等)を用いて、車両に設けられた各種センサーの調整を行うようにする。
【0066】
本発明によれば、車両中心線を容易に床に表示できると共に、車両センサーの調整用の基準具を容易に設置できるようになる。