特許第6475863号(P6475863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475863
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20190218BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20190218BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
   C23C16/24
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-549489(P2017-549489)
(86)(22)【出願日】2016年4月12日
(65)【公表番号】特表2018-514084(P2018-514084A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】KR2016003861
(87)【国際公開番号】WO2016167554
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0052533
(32)【優先日】2015年4月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ−ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウドク
(72)【発明者】
【氏名】チェ ソンテ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ギュジン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ソンミン
【審査官】 山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−142347(JP,A)
【文献】 特開2003−045864(JP,A)
【文献】 特開平06−326038(JP,A)
【文献】 特開平07−045529(JP,A)
【文献】 特開2014−116484(JP,A)
【文献】 特表2015−503227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/24
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間が形成されるチューブと、
内部に前記チューブを収容する外部チューブと、
前記チューブの内部に複数枚の基板を多段に積載し、前記複数枚の基板がそれぞれ処理される複数の処理空間を各々個別に形成する基板支持部と、
全ての前記複数の処理空間に第1のガスを供給する第1のガス供給部と、
前記複数枚の基板のそれぞれに第2のガスを各々個別に供給するように前記複数の処理空間のそれぞれに対応するように配置される複数の噴射器を有する第2のガス供給部と、
前記チューブ内のガスを排気する排気部と、
を備え
前記第1のガス供給部の噴射ユニット及び前記第2のガス供給部の前記噴射器は、前記チューブと前記外部チューブとの間に配置される基板処理装置。
【請求項2】
前記第1のガス供給部は、
前記基板が積載される方向に沿って延設される前記噴射ユニットと、
前記噴射ユニットにガスを供給するように前記噴射ユニットと接続されるガス供給ユニットと、
を備え、
前記噴射ユニットには、前記基板が積載される方向に沿って前記処理空間に対応して配置される複数の噴射孔が配設される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数の噴射孔は、前記噴射ユニットの前記ガス供給ユニットが接続される部分から遠距離に配置されるほど直径が大きくなる請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2のガス供給部は、
前記処理空間のそれぞれに対応するように高さが異なるように形成される複数の噴射器と、
前記噴射器の一方の端にそれぞれ接続される複数のガス供給ラインと、
を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記噴射器の他方の端にガスを噴射する噴射孔が形成され、
前記噴射孔は、前記チューブの周りに沿ってらせん状に配置される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数のガス供給ラインのそれぞれは、
ガスが移動する経路を形成し、噴射器にそれぞれ接続されるガス配管と、
前記ガス配管内のガスの流量を測定するように前記ガス配管に配設される流量センサと、
前記ガス配管内のガスの流量を制御するように前記ガス配管に配設される弁と、
を備え、
前記複数のガス供給ラインにおいては、各々個別にガスの流量が測定及び制御される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記チューブの周りに、前記第1のガス供給部に配設される噴射孔及び前記第2のガス供給部に配設される噴射孔と対応する貫通孔が形成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板支持部を回転させるように前記基板支持部と接続される回転駆動部を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1のガス供給部は、シリコン原料ガスからなる第1のガスを供給する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第2のガス供給部は、前記複数枚の基板のそれぞれに、ドーパントガス及びエッチングガスのうちの少なくとも1種からなる第2のガスを選択的に供給する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板支持部は、前記複数の処理空間が互いに孤立されるように前記基板が積載される方向に沿って前記基板の間にそれぞれ配置される複数枚のアイソレーションプレートを備える請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、さらに詳しくは、複数枚の基板のそれぞれが処理される空間ごとに各々個別にガスを供給することができる基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板処理設備は、1枚の基板に対して基板処理工程を行える枚葉式(Single Wafer Type)の基板処理設備と、複数枚の基板に対して基板処理工程を同時に行えるバッチ式(Batch Type)の基板処理設備とに大別される。枚葉式の基板処理設備は、設備の構成が簡単であるというメリットがあるが、生産性に劣るため、量産可能なバッチ式の基板処理設備が多用されている。
【0003】
バッチ式の基板処理設備は、水平状態で多段に積み重ねられた基板を収納して処理する処理室と、処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給ノズルと、処理室内を排気する排気ラインとを備える。この種のバッチ式の基板処理設備を用いた基板処理工程は、次のようにして行う。まず、複数枚の基板を処理室内に搬入する。次いで、排気ラインを介して処理室内を排気しながら、処理ガス供給ノズルを介して処理室内に処理ガスを供給する。次いで、処理ガス供給ノズルから噴射された処理ガスが各基板の間を通過しながら排気ラインに流れ込み、基板の上には薄膜が形成される。
【0004】
しかしながら、従来の基板処理設備は、1本の処理ガス供給ラインを備えているため、処理室内に供給される処理ガスの量しか制御することができず、基板のそれぞれに供給される処理ガスの量を各々個別に制御することはできなかった。すなわち、各基板に供給される処理ガスの濃度を制御することができなかった。したがって、基板に形成される成長膜の膜厚を制御することができないため、基板ごとに成長膜の膜厚が異なってしまうという不都合が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数枚の基板がそれぞれ処理される処理空間ごとに各々個別にガスを供給することができる基板処理装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、基板の処理工程の状況に応じて選択的に1種以上のガスを制御することができる基板処理装置を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、基板処理工程の効率を向上させることができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため案出された本発明に係る基板処理装置は、 内部に空間が形成されるチューブと、チューブの内部に複数枚の基板を多段に積載し、複数枚の基板がそれぞれ処理される複数の処理空間を各々個別に形成する基板支持部と、全ての複数の処理空間に第1のガスを供給する第1のガス供給部と、複数枚の基板のそれぞれに第2のガスを各々個別に供給するように複数の処理空間のそれぞれに対応するように配置される複数の噴射器を有する第2のガス供給部と、チューブ内のガスを排気する排気部とを備えることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、第1のガス供給部は、基板が積載される方向に沿って延設される噴射ユニットと、噴射ユニットにガスを供給するように噴射ユニットと接続されるガス供給ユニットとを備え、噴射ユニットには、基板が積載される方向に沿って処理空間に対応して配置される複数の噴射孔が配設される。
【0010】
また、好ましくは、複数の噴射孔は、噴射ユニットのガス供給ユニットが接続される部分から遠距離に配置されるほど直径が大きくなる。
【0011】
さらに、好ましくは、第2のガス供給部は、処理空間のそれぞれに対応するように高さが異なるように形成される複数の噴射器と、噴射器の一方の端にそれぞれ接続される複数のガス供給ラインとを備える。
【0012】
さらにまた、好ましくは、噴射器の他方の端にガスを噴射する噴射孔が形成され、噴射孔は、チューブの周りに沿ってらせん状に配置される。
【0013】
さらにまた、好ましくは、複数のガス供給ラインのそれぞれは、ガスが移動する経路を形成し、噴射器にそれぞれ接続されるガス配管と、ガス配管内のガスの流量を測定するようにガス配管に配設される流量センサと、ガス配管内のガスの流量を制御するようにガス配管に配設される弁と備え、複数のガス供給ラインにおいては、各々個別にガスの流量が測定及び制御される。
【0014】
さらにまた、好ましくは、チューブの周りに、第1のガス供給部に配設される噴射孔及び第2のガス供給部に配設される噴射孔と対応する貫通孔が形成される。
【0015】
さらにまた、好ましくは、基板処理装置は、基板支持部を回転させるように基板支持部と接続される回転駆動部を備える。
【0016】
さらにまた、好ましくは、基板処理装置は、内部にチューブを収容する外部チューブを備え、第1のガス供給部の噴射ユニット及び第2のガス供給部の噴射器は、チューブと外部チューブとの間に配置される。
【0017】
さらにまた、好ましくは、第1のガス供給部は、シリコン原料ガスからなる第1のガスを供給する。
【0018】
さらにまた、好ましくは、第2のガス供給部は、複数枚の基板のそれぞれに、ドーパントガス及びエッチングガスのうちの少なくとも1種からなる第2のガスを選択的に供給する。
【0019】
さらにまた、好ましくは、基板支持部は、複数の処理空間が互いに孤立されるように基板が積載される方向に沿って基板の間にそれぞれ配置される複数枚のアイソレーションプレートを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施の形態による基板処理装置は、複数枚の基板が処理される処理空間ごとに各々個別にガスを供給するガス供給部を備える。したがって、各基板の状況に応じて処理空間に供給されるガスの量を各々個別に制御することができる。このため、各基板に対して最上の条件下で処理工程が行われるので、基板または基板上の薄膜の品質が向上する。
【0021】
また、本発明の実施の形態によれば、処理工程の状況に応じて選択的に1種以上のガスを処理空間に供給することができる。したがって、基板の上に形成される薄膜の膜厚を調節することができるので、基板または基板上の薄膜の品質が向上する。
【0022】
さらに、処理空間別に供給されるガスの量及びガスの種類を制御することができるので、基板の状況に応じて処理工程の条件を速やかに制御することができる。したがって、基板または基板上の薄膜に不良が発生することが低減されて、基板処理工程の効率が向上する。
【0023】
さらにまた、本発明の実施の形態による基板処理装置は、主原料ガスを供給する第1のガス供給部と、1種以上のガスのうちの少なくとも1種を選択的に供給する第2のガス供給部とを備える。このため、第2のガス供給部から供給されるガスを選択して処理空間内のガスの混合割合を制御することができる。なお、第2のガス供給部から供給されるガスを選択して基板に対する種々の処理工程を選択的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る基板処理設備を概略的に示す図。
図2】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構造を示す図。
図3】本発明の実施の形態に係る基板支持部を示す図。
図4】本発明の実施の形態に係るチューブ及びガス供給部の構造を示す斜視図。
図5】本発明の実施の形態に係るチューブ及びガス供給部の構造を示す平面図。
図6】本発明の実施の形態に係るガス供給ユニット及びガス供給ラインの構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る複合膜の蒸着装置及び蒸着方法について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施の形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施の形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施の形態に係る複合膜の蒸着装置及び蒸着方法について説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を附し、本発明の実施の形態に係る複合膜の蒸着装置及び蒸着方法について正確に説明するために図中の構成要素の大きさが部分的に誇張されていてもよく、図中、同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理設備を概略的に示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構造を示す図であり、図3は、本発明の実施の形態に係る基板支持部を示す図である。また、図4は、本発明の実施の形態に係るチューブ及びガス供給部の構造を示す斜視図であり、図5は、本発明の実施の形態に係るチューブ及びガス供給部の構造を示す平面図であり、図6は、本発明の実施の形態に係るガス供給ユニット及びガス供給ラインの構造を示す図である。
【0027】
本発明の実施の形態に係る基板処理装置100は、基板Sがそれぞれ処理される複数の処理空間を各々個別に形成する基板支持部171と、全ての処理空間に第1のガスを供給する第1のガス供給部140と、複数枚の基板Sのそれぞれに第2のガスを各々個別に供給するように複数の処理空間のそれぞれに対応するように配置される複数の噴射器151を有する第2のガス供給部150と、チューブ130内のガスを排気する排気部160とを備える。
【0028】
まず、本発明の理解への一助となるために、本発明の実施の形態に係る基板処理設備について例示的に説明する。
【0029】
図1を参照すると、基板処理設備は、工程設備1000及び設備前方端部モジュール(Equipment Front End Module:EFEM)50、60、70を備える。設備前方端部モジュール50、60、70は、工程設備1000の前方に取り付けられて、複数枚の基板が収容された容器(図示せず)と工程設備1000との間に基板を搬送する。容器としては、前面開放一体式ポッド(Front Open Unified Pod:FOUP)などの密閉用容器を用いることができる。
【0030】
設備前方端部モジュール50、60、70は、複数のロードポート(Load ports)60及びフレーム50を備える。フレーム50は、ロードポート60と工程設備1000との間に配置される。基板を収容する容器は、オーバヘッドトランスファ(overhead transfer)、オーバヘッドコンベヤ(overhead conveyor)または無人搬送車(automatic guided vehicle)などの搬送手段(図示せず)によりロードポート60の上に置かれる。
【0031】
フレーム50内には、ロードポート60に置かれた容器と工程設備1000との間に基板を搬送するフレームロボット70が配設される。また、フレーム50内には、容器の扉を自動的に開閉するドアオープナ(図示せず)が配設されてもよい。さらに、フレーム50には、清浄な空気がフレーム50内の上部から下部に流れるように清浄な空気をフレーム50内に供給するファンフィルタユニット(Fan Filter Unit:FFU)(図示せず)が配設されてもよい。
【0032】
基板に対しては、工程設備1000内において所定の工程が行われる。工程設備1000は、搬送装置200と、ロードロック装置300と、洗浄装置500a、500bと、バッファ装置400と、エピタキシャル装置100a、100b、100cとを備える。このとき、本発明の実施の形態に係る基板処理装置は、エピタキシャル装置100a、100b、100cであってもよい。
【0033】
搬送装置200は平面が多角状に形成されており、ロードロック装置300と、洗浄装置500a、500bと、バッファ装置400と、エピタキシャル装置100a、100b、100cとが、該搬送装置200の側面に配設される。
【0034】
ロードロック装置300は、搬送装置200の側部のうち設備前方端部モジュール50、60、70と隣り合う側部に位置する。基板は、ロードロック装置300内に一時的に留まった後、搬送装置200により洗浄装置500a、500bと、バッファ装置400と、エピタキシャル装置100a、100b、100cとに搬入されて工程が行われる。工程が終わった後、基板は搬送装置200により搬出されてロードロック装置300内に一時的に留まる。
【0035】
搬送装置200と、洗浄装置500a、500bと、バッファ装置400と、エピタキシャル装置100a、100b、100cとは真空に保たれ、ロードロック装置300は、真空及び大気圧に切り換えられる。ロードロック装置300は、外部の汚染物質が、搬送装置200と、洗浄装置500a、500bと、バッファ装置400と、エピタキシャル装置100a、100b、100cとに流れ込むことを防ぐ。なお、基板が搬送される間に、基板が大気に露出されないので、基板の上に酸化膜が成長することを防ぐことができる。
【0036】
ロードロック装置300と搬送装置200との間及びロードロック装置300と設備前方端部モジュール50、60、70との間にはゲート弁(図示せず)が配設される。設備前方端部モジュール50、60、70とロードロック装置300との間に基板Sが移動する場合、ロードロック装置300と搬送装置200との間に配設されたゲート弁が閉じられ、ロードロック装置300と搬送装置200との間に基板が移動する場合、ロードロック装置300と設備前方端部モジュール50、60、70との間に配設されるゲート弁が閉じられる。
【0037】
搬送装置200は、基板ハンドラ210を備える。基板ハンドラ210は、ロードロック装置300と、洗浄装置500a、500bと、バッファ装置400と、エピタキシャル装置100a、100b、100cとの間で基板を搬送する。搬送装置200は、基板が移動するときに真空を保つように封止される。したがって、基板が汚染物に露出されることを防ぐことができる。
【0038】
洗浄装置500a、500bは、エピタキシャル装置100a、100b、100c内で基板に対するエピタキシャル工程が行われる前に基板を洗浄する役割を担う。エピタキシャル工程が成功的に行われるには、結晶性基板の上に存在する酸化物の量が最小となる必要がある。基板の表面への酸素の含有量が高過ぎる場合、酸素原子が種基板上の蒸着材料の結晶学的な配置を妨げるため、エピタキシャル工程は影響を受ける。このため、基板Sの上に形成された自然酸化膜(または、表面酸化物)を取り除く洗浄工程が洗浄装置500a、500b内において行われることが可能である。
【0039】
エピタキシャル装置100a、100b、100c、または、本発明の実施の形態に係る基板処理装置は、基板の上にエピタキシャル層を形成する役割を担う。このとき、エピタキシャル装置100a、100b、100cは、選択的なエピタキシャル装置であってもよい。この実施の形態においては、3つのエピタキシャル装置100a、100b、100cが配設される。エピタキシャル工程には洗浄工程に比べて長い時間がかかるため、複数のエピタキシャル装置を用いて製造の歩留まり率を高めることができる。しかしながら、配設されるエピタキシャル装置100a、100b、100cの数はこれに何等限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0040】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置(または、エピタキシャル装置)100について詳細に説明する。
【0041】
図2から図5を参照すると、本発明の実施の形態に係る基板処理装置100は、チューブ130と、基板支持部171と、第1のガス供給部140と、第2のガス供給部150と、排気部160とを備える。また、基板処理装置100は、内部空間を有するチャンバ110と、チャンバ110の内部に配置され、内部にチューブ130が収容される空間を形成する外部チューブ120と、外部チューブ120の周りに配置されるヒータ190と、基板支持部171を支持するシャフト172と、基板支持部171を上下に移動させる上下駆動部173と、基板支持部171を回転させる回転駆動部174と、支持板180とを備えていてもよい。
【0042】
チャンバ110は、四角筒状または円筒状に形成され、内部空間を有する。また、チャンバ110は、上チャンバ110a及び下チャンバ110bを備え、上チャンバ110a及び下チャンバ110bは互いに連通される。下チャンバ110bの一方の側には搬送チャンバ110と連通される嵌込口が配設される。したがって、基板Sが搬送チャンバ110から嵌込口を介してチャンバ110に搬入可能である。
【0043】
チャンバ110の嵌込口と対応する搬送チャンバ110の一方の側には流込口220が形成され、流込口220と嵌込口との間にはゲート弁230が配設される。したがって、搬送チャンバ110の内部空間及びチャンバ110の内部空間はゲート弁230により隔離可能である。また、流込口220及び嵌込口は、ゲート弁230により開閉される。このとき、嵌込口は下チャンバ110bに配設されてもよい。
【0044】
外部チューブ120は、上部が開放された下チャンバ110bの上側または上チャンバ110aに配置される。外部チューブ120は、エピタキシャル工程または選択的なエピタキシャル工程が行われる内部空間を有し、下部が開放される。なお、外部チューブ120の内部にはチューブ130が収容されてもよい。
【0045】
ヒータ190は、チャンバ110の内部に配設され、外部チューブ120またはチューブ130の側面の周り及び上部を取り囲むように配置される。ヒータ190は、外部チューブ120またはチューブ130に熱エネルギーを与えて外部チューブ120またはチューブ130の内部空間を加熱する役割を担う。したがって、外部チューブ120またはチューブ130の内部空間の温度をエピタキシャル工程が行える温度に調節することができる。
【0046】
チューブ130は、下チャンバ110bの上側または上チャンバ110aに配置される。詳しくは、チューブ130が外部チューブ120の開放された部分を介して外部チューブ120の内部空間に嵌め込まれて外部チューブ120の内部空間に配置される。また、チューブ130は、内部に基板支持部171が収容される空間を形成し、下部が開放される。したがって、基板支持部171が上チャンバ110a及び下チャンバ110b内において上下に移動する場合、チューブ130の開口部を介してチューブ130内に搬入または搬出可能である。
【0047】
チューブ130は、円筒状に形成され、下部が開放されてもよい。また、チューブ130の周りの一方の側には、後述する第1のガス供給部140の噴射ユニット141及び第2のガス供給部150の噴射器151の噴射孔と対応する貫通孔が形成される。詳しくは、噴射ユニット141に対応する貫通孔は、噴射ユニット141の延長方向に沿って一の字状にチューブ130に形成されてもよい。噴射器151に対応する貫通孔は、噴射器151の一方の端が嵌め込まれるように噴射器151の一方の端の断面の形状に倣って形成されてもよい。なお、チューブ130の周りの他方の側には、排気部160と連通される貫通孔が形成される。しかしながら、貫通孔の形状はこれに何等限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0048】
また、チューブ130の下部は、外部チューブ120またはチャンバ110の内壁と接続されて支持されるように、チューブ130の周りの外側に突き出て外部チューブ120またはチャンバ110に接続される突出部が配設されてもよい。さらに、噴射ユニット141及び噴射器151を安定的に支持するようにチューブ130の周りに配設されて噴射ユニット141及び噴射器151を支持する円板状の支持ユニット135が配設されてもよい。しかしながら、チューブ130の構造及び形状はこれに何等限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0049】
基板支持部171は、複数枚の基板Sを上下方向に積載する。例えば、基板支持部171は、15枚の基板を多段に積載してもよい。基板支持部171は、複数枚の基板Sがそれぞれ処理される処理空間を各々個別に形成する。すなわち、基板支持部171は、上下方向に複数の層を有し、各層に1枚の基板Sが積載される。したがって、基板支持部171の各層に基板Sの処理空間が各々個別に形成されて処理空間同士の干渉を防ぐことができる。
【0050】
例えば、図3を参照すると、基板支持部171は、基板ボート(Wafer Boat)171a、171bと、ヒートアイソレーションユニット(Heat Isolation Unit)(図示せず)と、ローテーションキット(Rotation Kit)(図示せず)とを備えていてもよい。基板ボート171a、171bには、基板Sが載置されるように中心部に向かって突き出る突起171bが形成される。突起171bは、上下方向に複数配置され、突起171bの上に基板Sが積載される。
【0051】
また、基板ボート171a、171bには、処理空間同士を仕切る複数枚のアイソレーションプレート(Isolation Plate)171aが配設される。例えば、アイソレーションプレート171aは円板状に形成され、処理空間を仕切るように複数が配設されて、基板Sが積載される方向に沿って基板S同士の間にそれぞれ配置される。すなわち、基板Sを積載した突起171b同士の間に仕切りのようにアイソレーションプレート171aが配設される。したがって、複数の処理空間が互いに孤立され、各々個別に形成される。
【0052】
ヒートアイソレーションユニットは、基板ボート171a、171bの下部に接続され、チューブ130の内部の熱損失を防ぐ。ローテーションキットは、上部がヒートアイソレーションユニットの下部に接続され、下部にシャフト172が接続される。
【0053】
シャフト172は、上下方向に延設され、上端が基板支持部171の下部と接続される。シャフト172は、基板支持部171を支持する役割を担う。シャフト172の下部は、下チャンバ110bを貫通して下チャンバ110bの外側の上下駆動部173及び回転駆動部174と接続される。
【0054】
上下駆動部173は、シャフト172と接続されて該シャフト172を上下に移動させる。したがって、シャフト172の上端に接続された基板支持部171もシャフト172の移動につれて上下に移動する。例えば、上下駆動部173の作動により基板支持部171が下側に移動して下チャンバ110bの内部(または積載位置)に位置してもよい。したがって、搬送チャンバ110から下チャンバ110bに搬入された基板Sが下チャンバ110bの内部に位置する基板支持部171に積載可能である。
【0055】
複数枚の基板Sが基板支持部171に全て積載されると、基板支持部171が上下駆動部173により上側に移動して、外部チューブ120またはチューブ130の内部(または、工程位置)に移動する。したがって、外部チューブ120またはチューブ130内で基板Sに対するエピタキシャル工程が行える。
【0056】
回転駆動部174は、基板支持部171を回転させるように基板支持部171と接続されたシャフト172と接続される。回転駆動部174は、シャフト172の上下方向の中心軸を基準としてシャフト172を回転させる。したがって、シャフト172と接続された基板支持部171も上下方向の中心軸を基準として回転可能である。基板Sの処理工程が行われるとき、チューブ130の一方の側に供給された1種以上のガスが基板支持部171に積載された基板Sを通過してチューブ130の他方の側に排気される。このとき、回転駆動部174の作動により基板支持部171が回転すると、基板支持部171を通過しようとするガスが混合され、基板S上の面積に亘って均一に分布可能である。したがって、基板Sの上に蒸着される膜の品質が向上する。
【0057】
支持板180は、シャフト172に配設され、基板支持部171とともに上昇して外部チューブ120またはチューブ130の内部の工程空間を外部から密閉する役割を担う。支持板180は、基板支持部171の下側に離間して配置される。また、支持板180と外部チューブ120との間または支持板180とチューブ130との間にはOリング状の封止部材181が配設されて工程空間を密閉する。支持板180とシャフト172との間には軸受け部材182が配設され、シャフト172は、軸受け部材182により支持された状態で回転可能である。
【0058】
図4から図6を参照すると、第1のガス供給部140は、基板Sが積載される方向に沿って延設される噴射ユニット141と、該噴射ユニット141にガスを供給するように噴射ユニット141と接続されるガス供給ユニット142とを備える。このとき、第1のガス供給部140は、複数枚の基板Sにシリコン原料ガス及びエッチングガスが供給可能である。すなわち、第1のガス供給部140は、基板Sの処理工程の主な原料ガスを処理空間内に供給する役割を担う。
【0059】
噴射ユニット141は、パイプ状に形成され、基板Sが積載される方向、例えば、上下方向に延設される。噴射ユニット141は、チューブ130と外部チューブ120との間に配置される。噴射ユニット141は上部が閉鎖され、その下部がガス供給ユニット142と接続される。また、噴射ユニット141には、基板Sが積載される方向に沿って基板Sの処理空間に対応して配置される複数の噴射孔141aが配設される。すなわち、基板支持部171が形成する各層と対応する位置に噴射孔141aが配設される。したがって、ガス供給ユニット142を介して噴射ユニット141の内部に供給された第1のガスが噴射孔141aを介して基板Sの各処理空間に供給される。
【0060】
複数の噴射孔141aは、噴射ユニット141のガス供給ユニット142が接続される部分から遠距離に配置されるほど直径が大きく形成される。例えば、ガス供給ユニット142が噴射ユニット141の下端と接続されて第1のガスが噴射ユニット141の下部から上部に供給される場合、上側に位置する噴射孔の直径が下側に位置する噴射孔の直径よりも大きく形成されてもよい。
【0061】
すなわち、ガス供給ユニット142と近い噴射孔の場合、第1のガスが近い位置から供給されるので、多量の第1のガスが流れ込み易い。これに対し、第1のガス供給部140から遠距離に配置される噴射孔の場合、第1のガスが遠距離から供給されるため、近い位置の噴射孔よりも遠い距離を移動して第1のガスを供給される。このため、第1のガス供給部140を介して噴射ユニット141に第1のガスを供給する場合、第1のガス供給部140と近い下側の噴射孔から噴射される第1のガスの量と、第1のガス供給部140から遠距離に配置される噴射孔から噴射される第1のガスの量とが異なってくることがある。
【0062】
したがって、第1のガス供給部140と近い位置の噴射孔は直径を小さくして第1のガスが噴射可能な量を減らし、第1のガス供給部140から遠距離に位置する噴射孔は直径を大きくして第1のガスが噴射可能な量を増やすことができる。すなわち、第1のガス供給部140と近い位置の噴射孔と、第1のガス供給部140から遠距離に配置される噴射孔とが均一な量の第1のガスを供給するように、噴射孔141aの直径を調節することができる。このため、各層の基板Sに均一な量の第1のガスが供給されて工程の効率が向上する。
【0063】
ガス供給ユニット142は、第1のガスが移動する経路を形成する第1のガス配管142aと、1種以上のガスをそれぞれ貯留する1以上のガス供給源及び各ガス供給源別に配設される1以上の制御弁を備える。
【0064】
このとき、第1のガスとしては、シリコン原料ガス、エッチングガス(Etching Gas)、及びキャリアガス(Carrier Gas)のうちのいずれか1種を用いることができる。また、シリコン原料ガスとしては、シラン(SiH)、ジクロロシラン(DCS)などを用いることができ、エッチングガスとしては、塩化水素(HCl)などを用いることができ、キャリアガスとしては、水素(H)などを用いることができる。キャリアガスは、シリコン原料ガス及びエッチングガスの濃度を希釈させる。したがって、キャリアガスの供給量を制御すると、シリコン原料ガスまたはエッチングガスの濃度を制御することができる。なお、シリコン原料ガス、エッチングガス及びキャリアガスは、分子量が異なるため混合され易い。しかしながら、第1のガスの原料はこれに何等限定されるものではなく、ドーパントガスなどの様々な原料を採用することができる。
【0065】
第1のガス配管142aは、パイプ状に形成されて、一方の端が噴射ユニット141と接続され、他方の端がガス供給源と接続される。
【0066】
ガス供給源は、用いられる第1のガスの種類に見合う分だけ配設される。例えば、ガス供給源は、シリコン原料ガスが貯留されるシリコン原料ガス供給源142cと、エッチングガスが貯留されるエッチングガス供給源142eと、キャリアガスが貯留されるキャリアガス供給源142gとを備えていてもよい。したがって、第1のガス配管142aの他方の端は、経路が分割されて各ガス供給源に接続される。すなわち、シリコン原料ガスの移動経路、エッチングガスの移動経路及びキャリアガスの移動経路が一つに合流されて噴射ユニット141と接続される。
【0067】
制御弁142b、142d、142fは、各ガス供給源に配設されて第1のガス配管142aに供給されるガスの流量を制御する。例えば、制御弁142b、142d、142fは、シリコン原料ガス供給源142cに配設されてシリコン原料ガスの流量を制御するシリコン原料ガス制御弁142bと、エッチングガス供給源142eに配設されてエッチングガスの流量を制御するエッチングガス制御弁142dと、キャリアガスガス供給源142gに配設されてキャリアガスの流量を制御するキャリアガス制御弁142fとを備えていてもよい。したがって、制御弁142b、142d、142fを制御すると、噴射ユニット141を介して基板Sに噴射される第1のガスの全体の流量を制御することができる。なお、基板Sに供給されるガスの種類を選択することができる。しかしながら、用いられるガスの種類や第1のガス供給部140の構造はこれに何等限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0068】
第2のガス供給部150は、処理空間のそれぞれに対応するように高さが異なるように形成される複数の噴射器151と、噴射器151の一方の端にそれぞれ接続される複数のガス供給ライン152とを備える。このとき、第2のガス供給部150は、複数枚の基板Sのそれぞれに選択的にドーパントガスまたはエッチングガスを供給してもよい。すなわち、第2のガス供給部150は、基板Sの処理工程に際して補助ガスを処理空間内に供給する役割を担う。
【0069】
噴射器151は、パイプ状に形成され、基板支持部171が有する処理空間の数に見合う分だけ、または処理空間の数よりも1つ少ない数だけ配設される。例えば、基板支持部171が15枚の基板Sを支持して15枚の基板Sの処理空間が形成される場合、14個の噴射器151が配設されてもよい。すなわち、噴射器151は、噴射ユニット141と重なり合う1箇所を除いては、全ての処理空間と接続されてもよい。
【0070】
噴射器151の他方の端には、ガスを噴射する噴射孔151aが形成され、噴射器151の他方の端は、処理空間に向かって延設される。また、噴射器151は、チューブ130と外部チューブ120との間に配置される。例えば、噴射器151は、「L」字状に形成されてもよい。したがって、基板Sの処理空間に突き出た他方の端がチューブ130の貫通孔を介して処理空間と接することができる。このため、ガス供給ライン152を介して噴射器151の一方の端、例えば、下端に供給された第2のガスが噴射器151の内部に供給されて噴射孔151aを介して各処理空間に配置された基板Sに噴射される。
【0071】
また、複数の噴射器151は、各処理空間、すなわち、基板支持部171が形成する各層にガスを各々個別に供給するために高さが異なるように形成される。すなわち、下側の処理空間と接する噴射器151は高さが小さく形成され、上側の処理空間と接する噴射器151の高さは大きく形成される。例えば、噴射器151の噴射孔151aは、チューブ130の周りに沿ってらせん状に配置されて、高さが最も小さい噴射器151から高さが最も大きい噴射器151に順次噴射器151が配置されてもよい。したがって、高さが異なる複数の噴射器151が不規則的に配置されるときよりも空間の効率が向上する。
【0072】
ガス供給ライン152は、ガスが移動する経路を形成し、噴射器にそれぞれ接続される第2のガス配管152aと、第2のガス配管152a内のガスの流量を測定するように第2のガス配管152aに配設される流量センサ152bと、第2のガス配管152a内のガスの流量を制御するように第2のガス配管152aに配設される弁152cとを備える。
【0073】
このとき、第2のガスとしては、ドーパントガス(Dopant Gas)、エッチングガス及びキャリアガスのうちの少なくとも1種を用いることができる。エッチングガスとしては、塩化水素(HCl)を用いることができ、キャリアガスとしては、水素(H)を用いることができる。ドーパントガスは、シリコン原料ガスと混合されて基板Sの上に薄膜を蒸着する。したがって、基板Sが処理される処理空間内のドーパントガスの濃度を制御すると、シリコン薄膜のドーピング濃度を各々個別に制御することができる。キャリアガスは、シリコン原料ガスまたはエッチングガスの濃度を希釈させる。したがって、キャリアガスの供給量を制御すると、シリコン原料ガスまたはエッチングガスの濃度を制御することができる。しかしながら、第2のガスの原料はこれに何等限定されるものではなく、シリコン原料ガスなど様々な原料を採用することができる。
【0074】
このため、第2のガスの種類を選択することができるので、各処理空間別の工程を選択することができる。すなわち、第2のガスとしてエッチングガスのみを選択する場合、処理空間内のエッチングガスの混合率が高くなって基板Sに対する選択的なエピタキシャル成長が行われるようにエッチング工程を行うことができる。また、第2のガスとしてドーパントガスのみを選択する場合、処理空間内のドーパントガスの混合率が高くなり、第1のガスのシリコン原料ガス及びドーパントガスがミックスされて基板Sの上に薄膜を形成することもできる。なお、第2のガスの供給を止めると、第1のガスにより処理空間内の基板Sの上にシリコン薄膜を形成することができる。
【0075】
一方、第2のガス配管152aがシリコン原料ガス供給源と接続される場合、基板S上の薄膜の膜厚をなお一層効率良く制御することができる。すなわち、基板S上の薄膜の膜厚が小さい場合、第2のガスとしてシリコン原料ガスを供給し、基板S上の薄膜の膜厚が大きい場合、第2のガスとしてエッチングガスを供給して、基板S上の薄膜の膜厚を調節することができる。したがって、基板Sの各処理空間別に供給される第2のガスを選択して処理空間別に基板Sの膜厚を制御することができ、基板S上の薄膜の品質が向上する。
【0076】
第2のガス配管152aは、パイプ状に形成されて、一方の端が噴射器151と続され、他方の端が供給源152e、152g、152iと続される。
【0077】
供給源152e、152g、152iは、第2のガスが含むガスの種類に見合う分だけ配設される。例えば、供給源152e、152g、152iは、ドーパントガスが貯留されるドーパントガス供給源152eと、エッチングガスが貯留されるエッチングガス供給源152gと、キャリアガスが貯留されるキャリアガス供給源152iとを備えていてもよい。第2のガス配管152aの一方の端は、経路が分割されて複数の噴射器151とそれぞれ接続され、一つに合流されてから、供給源152e、152g、152iの数に見合う分だけ分割されて他方の端が各供給源152e、152g、152iと接続される。
【0078】
流量弁152d、152f、152hは、各供給源に配設されて第2のガス配管152aに供給されるガスの流量を制御する。例えば、流量弁152d、152f、152hは、ドーパントガス供給源152eに配設されてドーパントガスの流量を制御するドーパントガス流量弁152dと、エッチングガス供給源152gに配設されてエッチングガスの流量を制御するエッチングガス流量弁152fと、キャリアガス供給源152iに配設されてキャリアガスの流量を制御するキャリアガス流量弁152hとを備えていてもよい。したがって、流量弁152d、152f、152hを制御すると、噴射器151を介して基板Sに噴射される第2のガスの全体の流量を制御し、噴射されるガスの種類を選択することができる。
【0079】
流量センサ152bは、第2のガス配管152aの分割されたそれぞれの一方の端に配設される。すなわち、それぞれの処理空間に供給される第2のガスの量を各々個別に測定するために処理空間の数に見合う分だけ、各処理空間と接続された第2のガス配管152aの複数の一方の端に各々個別に配設される。流量センサ152bは、噴射ユニット141及び第2のガス配管152aの一方の端が合流される部分の間に配設される。したがって、流量センサ152bを用いて、各処理空間に供給される第2のガスの流量を各々個別にリアルタイムにてモニタリングすることができる。
【0080】
弁152cは、第2のガス配管152aの分割されたそれぞれの一方の端に配設される。すなわち、それぞれの処理空間に供給される第2のガスの量を各々個別に制御するために処理空間の数に見合う分だけ配設されて各処理空間と接続された第2のガス配管152aの複数の一方の端に各々個別に配設される。弁152cは、噴射ユニット141及び第2のガス配管152aの一方の端が合流される部分の間に配設される。また、弁152cは、流量センサ152bの前端または後端に配置されてもよい。このため、弁152cの作動を制御すると、各処理空間に供給される第2のガスの流量を各々個別に制御することができる。
【0081】
これについて述べると、基板支持部171が形成する基板Sの処理空間別に基板S上の薄膜の膜厚に違いが生じることがある。基板S上の薄膜の膜厚が大き過ぎる場合、処理空間に供給されるドーパントガスの量を減らしたり、供給されるエッチングガスの量を増やしたりしなければならない。逆に、基板S上の薄膜の膜厚が小さ過ぎる場合、供給されるドーパントガスの量を増やしたり、供給されるエッチングガスの量を減らしたりしなければならない。このため、各処理空間内の基板S上の薄膜の膜厚が異なる場合、特定の基板を基準として第2のガスが供給されるガスの量を制御すると、一部の基板の薄膜の膜厚は大き過ぎてしまい、他の一部の基板の薄膜の膜厚は小さ過ぎてしまうという不都合が生じる。
【0082】
したがって、処理空間別の基板S上の薄膜の膜厚を確認して、処理空間に応じて供給されるガスの濃度を制御することができる。すなわち、基板S上の薄膜の膜厚に応じて、流量センサ152bを用いて各処理空間に供給されるガスの流量を測定しながら弁152cを用いて各処理空間に供給されるガスの流量を制御することができる。このため、特定の基板Sを基準として供給されるガスの濃度を決定することなく、処理空間別に各々個別にガスの濃度を制御することができる。
【0083】
例えば、最上側に位置する基板Sの薄膜の膜厚が大き過ぎる場合、最上側の処理空間へのエッチングガスの供給量を増やして薄膜のうちの一部をエッチングし、最下側の処理空間へのエッチングガスの供給を遮断すればよい。
【0084】
これについて詳細に説明すると、基板Sに選択的なエピタキシャル成長(Selective Epitaxial Growth:SEG)工程を行う場合、ヒータ190を用いて、基板Sが収容された全ての処理空間の温度を選択的なエピタキシャル成長に適した温度に昇温させる。次いで、第1のガス供給部140を介して、全ての処理空間にシリコン原料ガス、エッチングガス及びキャリアガスのうちの少なくとも1種からなる第1のガスを供給する。第1のガスは、基板Sを通過して排気部160を介して処理空間の外部に排気される。次いで、第2のガス供給部150を用いて、後述する様々な方法で第2のガスを処理空間にそれぞれ供給する。
【0085】
第一に、全ての流量弁152d、152f、152h及び第2のガス配管152aの全ての弁152cを開いて、ドーパントガス、エッチングガス及びキャリアガスのうちの少なくとも1種からなる第2のガスを全ての処理空間に供給する。したがって、第1のガス及び第2のガスが混合され、基板Sの上にシリコン及びドーパントが混合された薄膜を形成することができる。
【0086】
第二に、ドーパントガス流量弁152dを閉じた後、第2のガス配管152aの全ての弁152cを開いてエッチングガスのみを各処理空間に供給し、処理空間内の不純物を取り除くことができる。また、エッチングガスは、薄膜をエッチングして薄膜の膜厚を小さくする。すなわち、シリコン原料ガス、エッチングガス及びキャリアガスのうちの少なくとも1種からなる第1のガスが処理空間に供給される状態でエッチングガスのみからなる第2のガスを処理空間に供給することができる。したがって、処理空間の内部ガス中のエッチングガスの割合が高くなって薄膜がエッチングされる。
【0087】
このとき、薄膜の膜厚が小さい基板Sが収容された処理空間に供給されるエッチングガスの量を調節することができる。すなわち、膜厚が小さい基板Sが収容された処理空間と接続される第2のガス配管152aの弁152cのみを閉じて処理空間の内部に供給されるエッチングガスの流量のみを減らしたり、エッチングガスの流れ込みを遮断したりすることができる。このため、処理空間別にエッチングガスの供給量を制御して、薄膜の膜厚が大きい基板Sが収容された処理空間には多量のエッチングガスが供給されるようにし、薄膜の膜厚が小さい基板Sが収容された処理空間には少量のエッチングガスが供給されるようにしたり、エッチングガスの供給を止めたりすることができる。
【0088】
一方、先行工程においてパターニングされた酸化物層または窒化物層などを有する基板Sに対して選択的なエピタキシャル工程を行ってもよい。まず、シリコン原料ガスからなる第1のガスを基板の上に供給してもよい。したがって、シリコン原料が基板Sの上に蒸着される。このとき、シリコンベア(bare)基板の部分における薄膜の形成速度及びパターンが形成された部分における薄膜の形成速度が異なる。
【0089】
このため、基板Sの上に第2のガスを供給して基板Sが処理される処理空間の内部のガス成分を調節することができる。すなわち、エッチングガスのみまたはエッチングガス及びキャリアガスのみからなる第2のガスを基板Sの処理空間に供給すれば、第1のガス及び第2のガスが混合され、第2のガスにより処理空間の内部のエッチングガスの割合が高くなる。したがって、基板Sの薄膜の形成速度が遅い部分においては、薄膜が成長する前にエッチングガスにより取り除かれる。逆に、基板Sの薄膜の形成速度が速い部分においては、薄膜がエッチングガスに取り除かれる前に蒸着されて薄膜が成長することができる。このため、第2のガスのエッチングガスの濃度を制御すると、選択的なエピタキシャル工程を行うことができる。
【0090】
また、第2のガス供給部150の処理空間別に配設された弁152cによりそれぞれの処理空間に供給される第2のガスの量を処理空間別に各々個別に制御することができる。したがって、処理空間別にエッチングガスの濃度を制御すると、一部の基板においては薄膜の蒸着が盛んに行われ、他の基板においては薄膜の蒸着を鈍化させて基板S上の薄膜の成長速度に応じて基板Sの処理環境を選択的に制御することができる。
【0091】
第三に、ドーパントガス流量弁152dは開き、エッチングガス流量弁152fは閉じた後、第2のガス配管152aの全ての弁152cを開いてドーパントガスのみを各処理空間に供給することができる。処理空間に供給されたドーパントガスは第1のガスと混合されて、基板Sの上に薄膜が形成される。このとき、薄膜のシリコン薄膜のドーピング濃度が高い処理空間に供給されるドーパントガスの量を調節することができる。
【0092】
すなわち、薄膜のドーピング濃度が高い処理空間と接続される第2のガス配管152aを閉じて処理空間の内部に供給されるドーパントガスの流量のみを減らしたり、ドーパントガスの流れ込みを遮断したりすることができる。このため、処理空間別にドーパントガスの供給量を制御して、薄膜のドーピング濃度が高い処理空間には少量のドーパントガスが供給されるようにしたり、ドーパントガスの供給を止めたりし、薄膜のドーピング濃度が低い処理空間には多量のドーパントガスが供給されるようにすることができる。
【0093】
第四に、ドーパントガス流量弁152d及びエッチングガス流量弁152fを全て閉じ、第2のガス配管152aの全ての弁152cを閉じてもよい。したがって、処理空間の内部に第1のガスのみが供給されるので、シリコン原料ガスにより基板Sの上にシリコン薄膜のみを形成することができる。
【0094】
これらの過程を種々に組み合わせて、基板Sに高品質の薄膜、すなわち、高品質の選択的なエピタキシャル膜を形成することができる。また、基板Sの処理空間別に各々個別に基板Sの処理が行われる最上の条件を造成して、生産される基板Sまたは基板S上の薄膜の品質が向上する。しかしながら、ドーパントガス、エッチングガスなどが供給される順序及び方法はこれに何等限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0095】
一方、第1のガスを供給する第1のガス供給部140及び第2のガスを供給する第2のガス供給部150を各々個別に配設することにより、複数の処理空間のそれぞれに供給されるガスの混合比を制御することができる。すなわち、第1のガス供給部140は、基板Sの処理工程の主ガス(第1のガス)を全ての処理空間に供給して基板Sの上にシリコン薄膜を蒸着することができる。第2のガス供給部150は、基板Sの処理工程の補助ガス(第2のガス)を供給して主ガスと混合する。このとき、第2のガス供給部150は、ドーパントガス及びエッチングガスのうちの少なくとも一方を選択してそれぞれの処理空間に供給する。したがって、処理空間の内部のドーパントガスの濃度を高めたり、エッチングガスの濃度を高めたりすることができる。このため、第2のガス供給部150から供給したガスは、第1のガス供給部140から供給するガスの成分比を調節する。すなわち、第2のガスを供給することにより、第1のガスまたは処理空間の内部のガスをチューニング(Tunning)することができる。
【0096】
例えば、第2のガスとしてエッチングガスを供給すれば、処理空間の内部のエッチングガスの供給比が高くなって、選択的なエピタキシャル成長が行われるようにエッチング工程を行うことができる。逆に、第2のガスとしてドーパントガスを供給すれば、処理空間の内部のドーパントガスの割合が高くなって、処理空間内においてドーピング工程が盛んに行われる。したがって、第2のガス供給部150が供給するガスの種類を選択すれば、処理空間の内部においてドーピング工程を行うか、エッチング工程を行うか、または選択的なエピタキシャル工程を行うかなどを選択することができる。
【0097】
また、第2のガス供給部150は、複数の処理室のそれぞれに供給される第2のガスの流量を各々個別に制御することができる。したがって、第2のガス供給部150を用いて、それぞれの処理空間の内部のガス成分を各々個別に調節することができる。したがって、それぞれの処理空間の内部の環境が各々個別に制御し易く、装備の構成が単純になる。
【0098】
これに対し、第1のガス供給部140及び第2のガス供給部150を各々個別に配設することなく、単一のガス供給部を介して複数の処理空間に処理ガスを供給する場合は、複数の処理空間の内部のガス成分を各々個別に制御することができない。すなわち、全体の処理空間に対するガスの成分しか制御することができず、処理空間別に処理空間の内部のガス成分を制御することができない。したがって、特定の処理空間を基準として処理ガスを供給する場合、他の処理空間内の基板の上には薄膜が正常に蒸着されないか、または蒸着され過ぎてしまうという不都合が発生する。
【0099】
また、複数の処理空間のそれぞれに、シリコン原料ガス供給源、ドーパントガス供給源、エッチングガス供給源及びキャリアガス供給源を接続する場合は、処理空間の内部のガスをチューニングし難い。すなわち、それぞれの処理空間に供給されるガスは選択することができるが、ガスの流量を制御する構成要素が配設されていないため、チューニングに限界がある。これに対し、本発明の実施の形態に係る第2のガス供給部150は、それぞれのガス供給源の流量を制御する制御弁152d、152f、152hとは別途に、それぞれの処理空間に供給される第2のガスの流量を制御する別途の弁152c及び流量センサ152bが配設されて、手軽に処理空間に供給されるガスの種類及び流量を制御することができる。
【0100】
さらに、複数の処理空間のそれぞれに、シリコン原料ガス供給源、ドーパントガス供給源、エッチングガス供給源及びキャリアガス供給源を接続する場合、処理空間が増えるにつれて、配設すべきガスの供給源が増え、ガス配管の接続関係が複雑になるため、装備が肥大化する虞がある。装備が肥大化するほど、装備のメンテナンスが行い難いという不都合が発生する。
【0101】
排気部160は、チューブ130の内部空間と連通される排気孔を備え、チューブ130の他方の側に配設される排気管161と、一方の端が排気管161と接続される排気ライン162と、排気ライン162の他方の端と接続される排気ポンプ(図示せず)とを備える。排気管161の排気孔は、チューブ130の周りの一方の側に配置される噴射ユニット141の噴射孔と対応する位置に配置される。なお、排気ライン162には排気ガス制御弁(図示せず)が配設されて、排気ライン162を開閉してもよい。したがって、排気部160は、チューブ130の内部のガスや反応副産物をチューブ130の外部に排気することができる。しかしながら、基板処理装置100の構造及び形状はこれに何等限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0102】
このように、複数枚の基板Sが処理される処理空間ごとに各々個別にガスを供給するガス供給部140、150を配設して、各基板Sの状況に応じて処理空間に供給されるガスの量を各々個別に制御することができる。このため、各基板Sに対して最上の条件下で処理工程が行われるので、基板Sまたは基板S上の薄膜の品質が向上する。
【0103】
また、ガス供給部140、150が処理工程の状況に応じて選択的に1種以上のガスを処理空間に供給することができるので、基板Sの上に形成される薄膜の膜厚を調節することができ、その結果、基板Sまたは基板S上の薄膜の品質が向上する。
【0104】
さらに、処理空間別に供給されるガスの量及びガスの種類を制御することができるので、基板Sの状況に応じて処理工程の条件を速やかに制御することができる。したがって、基板Sまたは基板S上の薄膜に不良が生じることが低減されて、基板処理工程の効率が向上する。
【0105】
さらにまた、主原料ガスを供給する第1のガス供給部140及び1種以上のガスのうちの少なくとも1種を選択的に供給する第2のガス供給部150を配設して、第2のガス供給部から供給されるガスを選択して、処理空間内のガスの混合割合を制御することができる。なお、第2のガス供給部150から供給されるガスを選択して、基板Sに対する種々の処理工程を選択的に行うことができる。
【0106】
以上、本発明の詳細な説明の欄においては具体的な実施の形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において種々の形態に変形可能である。よって、本発明の範囲は説明された実施の形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものにより定められるべきである。
図1
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図3
図4
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図6