(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口の前縁部に沿って左右方向に延在するフロントフレームを更に有し、当該フロントフレームと前記前側サイドドレン部と前記サイドドレン接続部とが樹脂製の一体成形品である請求項2又は3に記載の車両用サンルーフ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サイドドレンレールの前側部分は開口に対応する前後方向の位置にあるが、後側部分は開口より後方の可動ルーフパネルの収納領域にあるから、サイドドレンレールの後側部分は前側部分に比して可動ルーフパネルから多くの雨水等を受け取ることがない。このため、全長に亘って一様な横断面積のサイドドレンレールにおいて、横断面積が前側領域において必要とされる値に設定されると、後側領域では必要以上の過大な横断面積になり、配置スペースの縮小化及びレールの軽量化が阻害されると共に材料経済性が悪化する。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、サイドドレンレールの横断面積が過大になることを排除して車両用サンルーフ装置の省スペース化、軽量化及び材料経済性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による車両用サンルーフ装置は、車両のルーフ(14)に形成された開口(16)を前後方向の移動によって開閉する可動ルーフパネル(20)と、前記開口(16)の左右の縁部に沿って前後方向に延在し、前記可動ルーフパネル(20)の前後方向の移動を案内する左右のルーフガイドレール(30)と、前記左右のルーフガイドレール(30)より外側において前記開口(16A)の左右の縁部に沿って前後方向に延在し、排水溝(35)を構成する左右のサイドドレンレール(34、100)とを有し、前記左右のサイドドレンレール(34、100)は、各々、前側サイドドレン部(34)と、前記前側サイドドレン部(34)より小さい横断面積の後側サイドドレン部(100)とを含む。
【0008】
この構成によれば、可動ルーフパネル(30)から多くの雨水等を受け取ることがない後側サイドドレン部(100)の横断面積が過大になることがなく、車両用サンルーフ装置の省スペース化及び軽量化が図られ、材料経済性が改善される。
【0009】
上記車両用サンルーフ装置において、好ましくは、前記前側サイドドレン部(34)と前記後側サイドドレン部(100)とが互いに前後に接続される別部材によって構成されている。
【0010】
この構成によれば、前側サイドドレン部(34)及び後側サイドドレン部(100)の個々の設計の自由度が高く、これらの製造も容易になる。
【0011】
上記車両用サンルーフ装置は、好ましくは、前記開口(16A)の前縁部に沿って左右方向に延在するフロントフレーム(36)を更に有し、当該フロントフレーム(36)と前記前側サイドドレン部(34)とが樹脂製の一体成形品(40)である。
【0012】
この構成によれば、部品点数の削減が図られる。
【0013】
上記車両用サンルーフ装置において、好ましくは、横断面積の大小によって前記前側サイドドレン部(34)と前記後側サイドドレン部(100)との境界部にできる肩部(104)に、前記前側サイドドレン部(34)をサイドドレンチューブ(108)に接続するサイドドレン接続部(106)が設けられている。
【0014】
この構成によれば、肩部(104)がサイドドレン接続部(106)の設置に有効に利用され、スペースパフォーマンスが向上する。
【0015】
上記車両用サンルーフ装置は、好ましくは、前記開口(16A)の前縁部に沿って左右方向に延在するフロントフレーム(36)を更に有し、当該フロントフレーム(36)と前記前側サイドドレン部(34)と前記サイドドレン接続部(106)とが樹脂製の一体成形品である。
【0016】
この構成によれば、部品点数の削減が図られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による車両用サンルーフ装置によれば、後側サイドドレン部の横断面積が過大になることがなく、車両用サンルーフ装置の省スペース化及び軽量化が図られ、材料経済性が改善される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0020】
サンルーフ装置10は、
図1及び
図2に示されているように、自動車のルーフ14に取り付けられる。ルーフ14は、外側のアウタルーフパネル14Aと内側(車室側)のルーフライニング14Bとによって構成されている。アウタルーフパネル14Aには上側開口16Aが形成されており、ルーフライニング14Bには下側開口16Bが形成されている。上側開口16Aと下側開口16Bとは、略同じ大きさの矩形で、概ね同じ位置に設けられている。なお、上側開口16Aと下側開口16Bとを総称して開口16と呼ぶ。
【0021】
サンルーフ装置10は、前後方向の移動によって上側開口16Aを開閉する可動ルーフパネル(サンルーフパネル)20及び可動ルーフパネル20の下方に重畳するように配置されて前後方向の移動によって下側開口16Bを開閉する可動シェードパネル22を含む。なお、
図2では可動シェードパネル22の図示を省略している。上側開口16Aと下側開口16Bとは概ね同じ大きさの矩形であることにより、可動ルーフパネル20と可動シェードパネル22とは概ね同じ大きさの矩形である。
【0022】
可動ルーフパネル20は、上側開口16Aの下方に降下したリフトダウン状態(
図2(C)参照)で、アウタルーフパネル14Aとルーフライニング14Bとの間に形成される空隙に格納されるインナスライド式のものであり、外周縁に上側開口16Aの内周縁に当接可能なウェザストリップ24が取り付けられている。
【0023】
サンルーフ装置10の詳細を、
図2〜
図12を参照して説明する。
【0024】
サンルーフ装置10は、
図2〜
図7に示されているように、上側開口16Aの互いに平行な左右の側縁部に沿って各々前後方向に延在した金属製の左右のルーフガイドレール30と、左右のルーフガイドレール30の配置位置より内側において下側開口16B(
図1参照)の互いに平行な左右の側縁部に沿って前後方向に延在した樹脂製の左右のシェードガイドレール32と、ルーフガイドレール30の配置位置より外側において上側開口16Aの互いに平行な左右の縁部に沿って前後方向に延在した左右の樹脂製のサイドドレンレール(前側サイドドレン部)34とを有する。
【0025】
ルーフガイドレール30は、可動ルーフパネル20を前後方向に移動可能に支持するものであり、可動ルーフパネル20の前後長の2倍より少し大きい前後長を有し、上側開口16Aの前後方向の全域に亘って延在し、更に、上側開口16Aより後方の可動ルーフパネル20の収納領域の前後方向の全域に亘って延在している。つまり、ルーフガイドレール30は、可動ルーフパネル20の開閉移動の全ストロークに亘って延在する前後長を有する。
【0026】
シェードガイドレール32は、可動シェードパネル22を前後方向に移動可能に支持するものであり、可動シェードパネル22の前後長より少し大きい前後長を有し、上側開口16Aの前後方向の全域に亘って延在している。
【0027】
なお、
図4では、可動ルーフパネル20の全体、可動シェードパネル22の右半分及び右側のルーフガイドレール30の図示が省略されている。
【0028】
サンルーフ装置10は、更に、上側開口16Aの前縁部に沿って左右方向に延在した樹脂製のフロントフレーム36と、上側開口16Aの後縁部に沿って左右方向に延在して両端を左右対応する側のルーフガイドレール30に接合された金属製のクロスフレーム38とを有する。
【0029】
左右のシェードガイドレール32及びサイドドレンレール34は、
図6及び
図7に示されているように、各々、直線状のものであり、前端をフロントフレーム36の左右対応する側の左右端に接続された態様でフロントフレーム36と一体成形されている。つまり、フロントフレーム36と左右のシェードガイドレール32と左右のサイドドレンレール34とが樹脂製の一つの一体成形品40によって構成されている。
【0030】
シェードガイドレール32とサイドドレンレール34とは、左右対応する側のもの同士で、ルーフガイドレール30の左右の幅寸法に等しい間隔をおいて互いに平行に延在し、前後方向に間隔をおいてこれらと一体成形された複数の橋渡し片42によって底部を互いに接続されている。つまり、一体成形品40は、左右のシェードガイドレール32と左右のサイドドレンレール34とを左右対応する側のもの同士で互いに接続する接続部として、シェードガイドレール32の底部に接合された内端及びサイドドレンレール34の底部に接合された外端を含み、前後方向に間隔をおいて配置された複数の橋渡し片42を含む。
【0031】
ルーフガイドレール30は、
図4、
図5及び
図8に示されているように、前側を、橋渡し片42上に載置されてシェードガイドレール32とサイドドレンレール34とに挟まれるようにして一体成形品40に固定されている。
【0032】
ルーフガイドレール30は橋渡し片42上に載置されてシェードガイドレール32とサイドドレンレール34とに挟まれて一体成形品40に固定されるから、一体成形品40にルーフガイドレール30の固定のための係止部等を別途設ける必要がない。
【0033】
ルーフガイドレール30は、アルミニウム板等の金属板の折曲成形品による直線状のものであり、
図8〜
図10に示されているように、最もサイドドレンレール34の側(外側)にあって樹脂製のベルトガイド部材44を装着される略矩形横断面のガイド装着部30Aと、ガイド装着部30Aのシェードガイドレール32側に隣接する底片による下部第1レール部30Bと、下部第1レール部30Bの上方に所定の上下間隔をおいて対向するリップ片による上部第1レール部30Cと、最もサイドドレンレール34の側(内側)に形成されたリップ片による第2レール部30Dとを含むリップ付き溝形鋼のような横断面形状を有する。下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cと第2レール部30Dとは互いに平行である。
【0034】
左右のルーフガイドレール30は、各々、要求される剛性(荷重支持特性)を満たすべく、個別の金属製部品であるのに対して、ルーフガイドレール30に比して要求される剛性が低いフロントフレーム36と左右のシェードガイドレール32と左右のサイドドレンレール34とは樹脂製である。これにより、フロントフレーム36と左右のシェードガイドレール32と左右のサイドドレンレール34が要求される剛性を満たして必要以上の剛性を備えることがなく、つまりオーバスペックを排除して軽量化が促進されると共に材料経済性が向上する。しかも、フロントフレーム36と左右のシェードガイドレール32と左右のサイドドレンレール34とは同一樹脂材による一体成形品40として構成されるから、部品点数及び組み付け工数の増加が最小限度に抑えられる。
【0035】
可動ルーフパネル20の下底部(車室内側)の左右両側には、
図2に示されているように、各々、取付具46によって板状の左右の支持ステー50が取り付けられている。換言すると、左右の支持ステー50は上部に取付具46を介して可動ルーフパネル20を支持している。支持ステー50は、
図3、
図10〜
図12に示されているように、金属板からなる前後方向に細長い主部材52と、主部材52の前端部に固定された樹脂製の前部スライド部材54、主部材52の中間部に固定された樹脂製の前部ガイド部材56及びカム形成部材58と、主部材52後端部に固定された樹脂製の後部ガイド部材60及び後部衝突部材62とを含む。前部スライド部材54、前部ガイド部材56、カム形成部材58、後部ガイド部材60及び後部衝突部材62は、全てアウトサート成形によって主部材52に固定されるアウトサート成形品である。
【0036】
前部スライド部材54は、第2レール部30Dにスライド可能に且つチルト可能に係合し、可動ルーフパネル20のチルトアップの支点をなす。
【0037】
前部ガイド部材56及び後部ガイド部材60は、
図3に示されているように、可動ルーフパネル20のリフトダウンによって、上部第1レール部30Cに形成されている開口31、33から下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cとの間の空間にスライド可能に進入し、リフトダウン状態での可動ルーフパネル20の前後移動を案内する。開口31は上部第1レール部30Cに装着された樹脂製の前側ガイド部材64及び後側ガイド部材66によって画定されている。前部ガイド部材56は前側ガイド部材64及び後側ガイド部材66に案内されて下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cとの間の空間に進入する。開口33は上部第1レール部30Cに装着された樹脂製の前側ガイド部材68及び後側ガイド部材70によって画定されている。後部ガイド部材60は前側ガイド部材68及び後側ガイド部材70に案内されて下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cとの間の空間に進入する。
【0038】
後部衝突部材62は、可動ルーフパネル20のリフトダウン時に後側ガイド部材70の傾斜上面70Aに当接して傾斜上面70A上を摺動し、可動ルーフパネル20のリフトダウン時に後部ガイド部材60が下部第1レール部30Bに当接する際の打音を軽減する。
【0039】
カム形成部材58は、
図10〜
図12に示されているように、主部材52の第1の側面52A及び第1の側面52Aとは反対の側の第2の側面52Bを含む全周を取り囲むアウトサート成形品であり、主部材52の第1の側面52Aと同じ側にある外側の第1の側面58Aに前後方向に長い波形のカム形状部59を成形されている。カム形状部59は、主部材52を溝底壁として外側に向けて開口した有底の凹溝をなすものであり、凹溝の上面及び下面がカム面59A及び59Bをなす。カム形状部59が樹脂成形により形成されるので、高い繰り返し精度をもって生産性よく形成される。更に、カム形成部材58はアウトサート成形によって主部材52に固定されることによっても生産性がよい。
【0040】
この構成によれば、主部材52にカムのための前後方向に長い貫通孔(開口)を形成する必要がないから、つまり、カムのための開口が存在しないから、開口によって主部材52の剛性が低下することがない。これにより、カム形成部材58のアウトサート成形時に樹脂の射出圧によって主部材52が変形することがなく、主部材52の変形に起因してカム形状部59の精度が低下することを回避できる。また、併せて主部材52の薄肉化による小型軽量化が可能になる。
【0041】
カム形成部材58の内側の第2の側面58Bは、主部材52の第2の側面52Bと同じ側にあり、平らな面になっている。
【0042】
左右のルーフガイドレール30には、各々、スライダ72がスライド可能に係合している。後部スライダ72は、
図10〜
図12に示されているように、金属板からなるスライダ本体74を含む。スライダ本体74は、支持ステー50の下方を左右方向に横切って延在する基部74Aと、基部74Aより起立してカム形成部材58の第1の側面58Aに対向するピン支持部74Bとを有する。
【0043】
基部74Aの一端には、ルーフガイドレール30の下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cとの間に挿入されてルーフガイドレール30に沿ってスライド可能な樹脂製の係合子(第1の係合部)76が取り付けられている。ピン支持部74Bには金属製のカムフォロアピン78が取り付けられている。カムフォロアピン78は、一端をピン支持部74Bにかしめ結合されてピン支持部74Bから支持ステー50の側に突出した片持ちピンであり、カム形状部59のカム面59A、59Bに摺動可能に係合している。なお、カムフォロアピン78の他端(遊端)とカム形状部59の溝底壁をなす主部材52との間には隙間があり、カムフォロアピン78の他端は主部材52とは非接触である。
【0044】
カムフォロアピン78は片持ち構造であるから、予めカムフォロアピン78の一端がかしめ装着された後部スライダ72を準備するだけでよく、後部スライダ72と支持ステー50との組み付け時にカムフォロアピン78のかしめを行う必要がなく、カムフォロアピン78の取付作業性が改善される。また、組立作業時に後部スライダ72と支持ステー50とをカムフォロアピン78によって連結されたサブアッシーとして取り扱う必要がなく、カムフォロアピン78をカム形状部59に係合させるだけでよいから、これらの組み付け作業性が改善される。
【0045】
基部74Aの他端は第2レール部30Dの上方にまで立ち上がっており、当該他端には、カム形成部材58の第2の側面58Bに摺動可能に当接(対向)する平らな側面80Aを備えた樹脂製の当接部材80が固定されている。
【0046】
これにより、後部スライダ72のピン支持部74Bと当接部材80とはカム形成部材58を前後方向に移動可能に左右から挟むことになる。
【0047】
なお、ピン支持部74B及び当接部材80はカム形成部材58の第1の側面58A及び第2の側面58Bに密着する必要はなく、組み付け誤差等があっても後部スライダ72がカム形成部材58に対して円滑に前後方向に移動できるように、ピン支持部74Bと第1の側面58Aとの間及び当接部材80と第2の側面58Bとの間に間隙があってよい。
【0048】
当接部材80がカム形成部材58と対向する側とは反対の側には凹溝(第2係合部)82が形成されている。凹溝82には第2レール部30Dが前後方向にスライド可能に係合している。
【0049】
これにより、後部スライダ72は、係合子76と凹溝82とによって左右両側がルーフガイドレール30に係合することになり、ルーフガイドレール30に対する後部スライダ72の前後方向のスライド移動がスキュー変位(こじれ)を生じることなく安定して行われる。
【0050】
左右のルーフガイドレール30の各々に装着されたベルトガイド部材44には、
図10に示されているように、各々、ラックベルト84が通されている。各ラックベルト84は、可撓性を有する樹脂製ベルトであり、後端部を左右対応する側のスライダ本体74と接続(連結)されている。左右のラックベルト84は、各々、ベルトガイド部材44から前方に延出し、
図4〜
図7に示されているように、フロントフレーム36に形成されたベルトガイド溝86に移動可能に係合している。フロントフレーム36には電動機88及び電動機88によって回転駆動されるピニオン90が取り付けられている。ピニオン90には左右のラックベルト84のラック(不図示)が噛合している。
【0051】
これにより、左右のラックベルト84は電動機88によって駆動され、左右の後部スライダ72はラックベルト84によって互いに同期して前後方向に移動する。
【0052】
後部スライダ72のピン支持部74Bは、
図3に示されているように、前方に延出する鉤形をしていて、その前方への延出端にカムフォロアピン78が固定されている。そしてスライダ本体74の基部74Aには、ラックベルト84に形成された孔に嵌合する嵌合部77がピン支持部74Bに対して前側および後側にそれぞれ設けられている。これにより、後部スライダ72はカムフォロアピン78を極力前方へ位置させると共に、ラックベルト84から伝達される荷重を前後の嵌合部77を介してバランスよく受けることができる。
【0053】
シェードガイドレール32は、
図6、
図8に示されているように、側方に開口した溝形断面形状をしている。可動シェードパネル22は、
図5に示されているように、前部の左右両側にフロントスライダ92を有し、後部の左右両側にリヤスライダ94を有する。
【0054】
フロントスライダ92は、
図8に示されているように、側方に開口した組合わせ溝形断面形状をしていて、シェードガイドレール32に前後方向に移動可能に係合している。換言すると、左右のシェードガイドレール32は左右対応する側のフロントスライダ92と係合して可動シェードパネル22の前後方向の移動を案内する。
【0055】
リヤスライダ94は、
図9に示されているように、内側に開口した凹溝95を有し、凹溝95にルーフガイドレール30の第2レール部30Dが前後方向に移動可能に係合している。換言すると、左右の第2レール部30Dは、左右対応する側のリヤスライダ94の凹溝95に係合し、可動シェードパネル22の前後方向の移動を案内する。
【0056】
ルーフガイドレール30は第2レール部30Dによって可動シェードパネル22のリヤスライダ94の移動を案内するガイドレールを兼ねているから、シェードガイドレール32は、可動シェードパネル22のフロントスライダ92の移動を案内するだけでよく、フロントスライダ92の前後方向の移動範囲の長さがあればよい。これにより、シェードガイドレール32はルーフガイドレール30よりも短尺になっている。
【0057】
このことにより、可動シェードパネル22の開閉移動を阻害することなく、シェードガイドレール32を節約(短尺化)できるので、シェードガイドレール32を含む一体成形品40が小型化され、無駄な樹脂材料費の削減と共に、一体成形品40の成形金型も小型化され、材料節約だけでなく、金型費用の削減にもなる。
【0058】
可動シェードパネル22は、可動ルーフパネル20が上側開口16Aに整合する前側位置にある時には、手動操作によって下側開口16Bに整合する前側位置とこれより後方の後側位置との間を移動できる。可動シェードパネル22は、可動ルーフパネル20が上側開口16Aより後方に移動して上側開口16Aを開放する時には、可動シェードパネル22の後縁に設けられた突条部22A(
図4、
図5参照)に可動ルーフパネル20の後縁が当接することによって可動ルーフパネル20の後方への移動に追従して後方へ移動する。
【0059】
可動シェードパネル22が上述のような前後方向の移動を行えるように、リヤスライダ94は、可動シェードパネル22が下側開口16Bを完全に閉じる位置にある状態において、上側開口16Aを完全に閉じる位置にある可動ルーフパネル20の後縁より後方に配置されている。これにより、リヤスライダ94が第2レール部30Dに係合していても、リヤスライダ94が支持ステー50や当接部材80と干渉することがなく、リヤスライダ94が可動ルーフパネル20の移動を阻害することがない。フロントスライダ92はルーフガイドレール30とは別の可動シェードパネル専用のシェードガイドレール32に係合しているので、フロントスライダ92が支持ステー50や当接部材80と干渉することがなく、フロントスライダ92も可動ルーフパネル20の移動を阻害することがない。
【0060】
左右のサイドドレンレール34は、
図4〜
図7に示されているように、各々、ルーフガイドレール30の前側部分に対応する前後部分に延在し、換言すると、上側開口16Aの前後方向の全域に亘って延在し、上方開口の樋状のサイド排水溝35を形成している。フロントフレーム36には上側開口16A(
図1参照)の前縁部に沿って延在する上方開口の樋状のフロント排水溝37が形成されている。左右のサイド排水溝35の前端とフロント排水溝37の左右端とは互いに連通している。フロントフレーム36の左側には左側のサイド排水溝35とフロント排水溝37との接続部近傍に連通するフロントドレン接続部96が一体成形品40に一体成形されている。フロントドレン接続部96にはフロントドレンチューブ98(
図5参照)が接続される。
【0061】
左右のサイドドレンレール34の後端には、
図4、
図5に示されているように、各々、一体成形品40とは別部材の樹脂製の延長ドレンレール(後側サイドドレン部)100が接合されている。左右の延長ドレンレール100は、各々、ルーフガイドレール30の後側部分に対応する前後部分に延在し、つまり、上側開口16Aより後方の可動ルーフパネル20の収納領域の前後方向の略全域に亘って延在し、サイド排水溝35に連通する上方開口の樋状の延長サイド排水溝101を形成している。延長サイド排水溝101の後端は延長ドレンレール100と一体のエンド壁102によって閉じられている。
【0062】
サイドドレンレール34は上側開口16Aの左右の縁部に沿って延在しているので、サイドドレンレール34に形成されたサイド排水溝35には、降雨後等の可動ルーフパネル20のリフトダウン時に比較的多くの雨水が可動ルーフパネル20より流れ込むことがあるが、延長ドレンレール100は可動ルーフパネル20の収納領域にあるから、延長ドレンレール100に形成された延長サイド排水溝101には、可動ルーフパネル20のリフトダウン時に多くの雨水が流れ込む虞がない。このため、延長ドレンレール100の横断面積はサイドドレンレール34より小さい。
【0063】
延長ドレンレール100はサイドドレンレール34とは別体であるので、サイドドレンレール34及び延長ドレンレール100の個々の設計の自由度が高く、これらの製造も容易になる。これらの成形性も容易になる。
【0064】
この横断面積の大小によってサイドドレンレール34と延長ドレンレール100との境界部に肩部104が形成される。肩部104にはサイド排水溝35に連通するサイドドレン接続部106が一体成形品40に一体成形されている。サイドドレン接続部106にはサイドドレンチューブ108(
図5参照)が接続される。このように、肩部104がサイドドレン接続部106の設置に有効に利用され、スペースパフォーマンスがよい。また、サイドドレン接続部106を別部材として一体成形品40に取り付ける必要がなく、部品点数の削減が図られる。
【0065】
図2(A)及び
図3(A)は可動ルーフパネル20が上昇位置にあって上側開口16Aを閉じている状態を示している。この状態から、後部スライダ72が前方に移動すると、
図2(B)及び
図3(B)に示されているように、カムフォロアピン78がカム形状部59の前側に移動し、前部スライド部材54を支点として可動ルーフパネル20が回動し、可動ルーフパネル20の後側が持ち上がるチルトアップが行われる。
【0066】
可動ルーフパネル20が上側開口16Aを閉じている状態から、後部スライダ72が後方に移動すると、
図2(C)及び
図3(C)に示されているように、カムフォロアピン78がカム形状部59の後側に移動し、前部ガイド部材56が開口31を通って下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cとの間まで降下すると共に後部ガイド部材60が開口33を通って下部第1レール部30Bと上部第1レール部30Cとの間まで降下する。これにより、可動ルーフパネル20が上側開口16Aより下方にリフトダウンされる。これより更に後部スライダ72が後方に移動することにより、可動ルーフパネル20がアウタルーフパネル14Aとルーフライニング14Bとの間の空隙に格納され、上側開口16Aが開かれる。
【0067】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、カム形成部材58は、アウトサート成形品に限られることなく、接着剤やねじ等によって主部材52に固定されてもよい。カムフォロアピン78の固定も、かしめに限られることはなく、ねじ止め等であってもよい。ルーフガイドレール30は、金属板のプレス加工品(折曲成形品)に限られることはなく、押出成形品等であってもよい。後部スライダ72の駆動は、ラックベルト84に代えてプッシュプルケーブル等によって行われてもよい。
【0068】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。