(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
立体形状をなすワークの表面に対してレーザを照射して柄を描くレーザ照射装置と、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する煙をエアとともに吸引するエア吸引装置とを備えるレーザ描画装置であって、
前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くエア供給装置を備え、
前記エア吸引装置及び前記エア供給装置が、前記ワークを介して互いに対向させた状態に配置されており、
前記エア吸引装置及び前記エア供給装置を互いに対向させた状態で支持するエア給排ユニットと、前記エア給排ユニットを移動させるエア給排ユニット移動機構とを備える
ことを特徴とするレーザ描画装置。
立体形状をなすワークの表面に対してレーザを照射して柄を描くレーザ照射装置と、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する煙をエアとともに吸引するエア吸引装置とを備えるレーザ描画装置であって、
前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くエア供給装置と、
前記柄を示す画像データに基づいて生成されたレーザ照射用データを記憶するデータ記憶装置と、
前記レーザ照射用データに基づいて、前記ワークに対して前記レーザを照射させる制御を行うとともに、前記エア吸引装置及び前記エア供給装置の位置制御を行う制御装置と
を備え、
前記エア吸引装置及び前記エア供給装置が、前記ワークを介して互いに対向させた状態に配置されており、
前記制御装置は、前記ワークの表面に対して前記レーザの照射方向が直交するように、前記ワークの傾斜角度を調整させる制御を行う
ことを特徴とするレーザ描画装置。
前記制御装置は、前記レーザの照射部分において前記ワークの表面と平行に前記気流が流れるように、前記ワークの傾斜角度を調整させる制御を行うとともに、前記エア吸引装置及び前記エア供給装置の少なくとも一方の位置を調整させる制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のレーザ描画装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ワークが大型化すると、レーザの照射部位(即ち、煙が発生する部位)と、ワークの側方にあるエア吸引装置との距離が大きくなってしまう。この場合、エア吸引装置を用いて煙をエアとともに吸引しようとしても、煙を導くエアの流速が極端に遅くなるため、煙の一部がエア吸引装置に吸引されずにワークの表面上に残ってしまい、外観品質の低下に繋がる可能性がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザ照射時にワークから発生する煙をエア吸引装置によって確実に吸引することにより、ワークの外観品質を維持することができるレーザ描画装置、車両用加飾部品の製造方法、及び、レーザ加飾方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明は、立体形状をなすワークの表面に対してレーザを照射して柄を描くレーザ照射装置と、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する煙をエアとともに吸引するエア吸引装置とを備えるレーザ描画装置であって、
前記レーザの描画方向の逆方向から、前記レーザの描画方向と直交する方向までの範囲内で、前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くエア供給装置を備え、前記エア吸引装置及び前記エア供給装置が、前記ワークを介して互いに対向させた状態に配置されていることを特徴とするレーザ描画装置をその要旨とする。
【0008】
手段1に記載の発明によれば、レーザ照射時にワークの表面から発生する煙がエアとともにエア吸引装置に吸引されるのに加えて、ワークを介してエア吸引装置の反対側に配置されたエア供給装置により、煙がエアとともにエア吸引装置側に導かれる。その結果、ワークの大型化に伴って、レーザの照射部分とエア吸引装置との距離が大きくなる場合であっても、煙を導くエアの流速は低下しにくいため、煙の全てをエア吸引装置によって確実に吸引することができる。よって、煙がワークの表面に残ることに起因した外観品質の低下を防止することができる。
【0009】
なお、エア供給装置は、レーザの描画方向の逆方向から、レーザの描画方向と直交する方向までの範囲内で、レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させる
ようになっている。このようにすれば、レーザの進路を遮らないように煙が流れるため、煙が立ち上ることに起因して、ワークの特定箇所を狙ってレーザを照射することが困難になったり、レーザの照射強度がばらついたりすることを防止できる。
【0010】
手段2に記載の発明は、立体形状をなすワークの表面に対してレーザを照射して柄を描くレーザ照射装置と、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する煙をエアとともに吸引するエア吸引装置とを備えるレーザ描画装置であって、前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くエア供給装置を備え、前記エア吸引装置及び前記エア供給装置が、前記ワークを介して互いに対向させた状態に配置されており、前記エア吸引装置及び
前記エア供給装置を互いに対向させた状態で支持するエア給排ユニットと、
前記エア給排ユニットを移動させるエア給排ユニット移動機構とを備えること
を特徴とするレーザ描画装置をその要旨とする。上記手段2に記載の発明によれば、エア給排ユニットにおいて、エア吸引装置及びエア供給装置が互いに対向した状態に位置決めされているため、エア給排ユニット移動機構によってエア給排ユニットを移動させたとしても、エア吸引装置及びエア供給装置の位置関係を元通りにする等の作業が不要となる。よって、ワークの製造効率が向上する。ここで、エア給排ユニット移動機構は、エア給排ユニットを移動可能な多関節ロボットであることが好ましい。このようにすれば、エア給排ユニット移動機構として多関節ロボットを使用することにより、エア吸引装置及びエア供給装置の姿勢を自由に調整することができる。このため、レーザの描画方向に基づいて、エア吸引装置及びエア供給装置を迅速かつ正確に移動させることができる。
【0011】
さらに、レーザ描画装置は、ワークを移動させるワーク移動機構を備えていてもよい。このようにした場合、ワークの姿勢を自由に調整することができるため、レーザ照射装置から照射されるレーザに基づいて、ワークを迅速かつ正確に移動させることができる。
【0012】
なお、エア吸引装置に吸引されるエアの流量は、エア供給装置から供給されるエアの流量よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、レーザ照射時にワークの表面から発生する煙を、エア吸引装置によってより確実に吸引することができる。仮に、エア吸引装置に吸引されるエアの流量がエア供給装置から供給されるエアの流量よりも小さくなると、ワークの周囲に煙が拡散するおそれがある。
【0013】
手段3に記載の発明は、立体形状をなすワークの表面に対してレーザを照射して柄を描くレーザ照射装置と、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する煙をエアとともに吸引するエア吸引装置とを備えるレーザ描画装置であって、前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くエア供給装置と、前記柄を示す画像データに基づいて生成されたレーザ照射用データを記憶するデータ記憶装置と、
前記レーザ照射用データに基づいて、
前記ワークに対して
前記レーザを照射させる制御を行うとともに、
前記エア吸引装置及び
前記エア供給装置の位置制御を行う制御装置とを備え、
前記エア吸引装置及び前記エア供給装置が、前記ワークを介して互いに対向させた状態に配置されており、前記制御装置は、
前記ワークの表面に対して
前記レーザの照射方向が直交するように、
前記ワークの傾斜角度を調整させる制御を行うこと
を特徴とするレーザ描画装置をその要旨とする。上記手段3に記載の発明によれば、制御装置によってワークの傾斜角度を調整させる制御を行うことにより、ワークの表面に対するレーザの照射方向を直交した状態に保つことができる。その結果、ワークの表面に対してレーザを均一に照射することができる。従って、ワークに対して、意匠性が高い装飾を加えることができる。
【0014】
さらに、制御装置は、レーザの照射部分においてワークの表面と平行に気流が流れるように、ワークの傾斜角度を調整させる制御を行うとともに、エア吸引装置及びエア供給装置の少なくとも一方の位置を調整させる制御を行うことがより好ましい。このようにすれば、制御装置の制御により、ワークの表面と平行に気流が流れる状態に保つことができる。その結果、煙を導くエアがワークの表面と接触することに起因した、エアの流速の低下を確実に防止できるため、煙をエア吸引装置によってより確実に吸引することができる。
【0015】
手段4に記載の発明は、
手段1乃至3のいずれか1つに記載のレーザ描画装置を用いて、前記ワークの表面に対して
前記レーザを照射して
前記柄を描くレーザ照射工程と、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する
前記煙を
前記エアとともに
前記エア吸引装置に吸引させるエア吸引工程とを経て、車両用加飾部品を製造する方法であって、前記エア吸引工程では、前記ワークを介して前記エア吸引装置の反対側に配置された
前記エア供給装置によって、前記レーザの描画方向の逆方向から、前記レーザの描画方向と直交する方向までの範囲内で、前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くことを特徴とする車両用加飾部品の製造方法をその要旨とする。
【0016】
手段
4に記載の発明によれば、エア吸引工程において、レーザ照射時にワークの表面から発生する煙がエアとともにエア吸引装置に吸引されるのに加えて、ワークを介してエア吸引装置の反対側に配置されたエア供給装置により、煙がエアとともにエア吸引装置側に導かれる。その結果、ワークの大型化に伴って、レーザの照射部分とエア吸引装置との距離が大きくなる場合であっても、煙を導くエアの流速は低下しにくいため、煙の全てをエア吸引装置によって確実に吸引することができる。よって、煙がワークの表面に残ることに起因した外観品質の低下を防止することができる。
【0017】
手段5に記載の発明は、
手段1乃至3のいずれか1つに記載のレーザ描画装置を用いて、前記ワークの表面に対して
前記レーザを照射して
前記柄を描くとともに、レーザ照射時に前記ワークの表面から発生する
前記煙を
前記エアとともに
前記エア吸引装置に吸引させるレーザ加飾方法であって、前記ワークを介して前記エア吸引装置の反対側に配置された
前記エア供給装置によって、前記レーザの描画方向の逆方向から、前記レーザの描画方向と直交する方向までの範囲内で、前記ワークの表面に沿って前記レーザの照射部分に向かって流れる気流を発生させることにより、前記煙を前記エアとともに前記エア吸引装置側に導くことを特徴とするレーザ加飾方法をその要旨とする。
【0018】
手段
5に記載の発明によれば、レーザ照射時にワークの表面から発生する煙をエアとともにエア吸引装置に吸引させるのに加えて、ワークを介してエア吸引装置の反対側に配置されたエア供給装置により、煙をエアとともにエア吸引装置側に導いている。その結果、ワークの大型化に伴って、レーザの照射部分とエア吸引装置との距離が大きくなる場合であっても、煙を導くエアの流速は低下しにくいため、煙の全てをエア吸引装置によって確実に吸引することができる。よって、煙がワークの表面に残ることに起因した外観品質の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1〜
8に記載の発明によると、レーザ照射時にワークから発生する煙をエア吸引装置によって確実に吸引することにより、ワークの外観品質を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1,
図2に示されるように、車両用加飾部品1は、立体形状をなすワーク2と、ワーク2の表面を被覆するように形成された塗膜層3とを有している。塗膜層3の表面には、炭素繊維織布を模したカーボン調の柄4が描かれている。本実施形態の車両用加飾部品1は、ドアのアームレストを構成する内装部品である。ワーク2は、ABS樹脂を用いて形成され、一辺の長さが50cm以上となる大型のワークであり、全体的に黒色に着色されている。また、塗膜層3は、高光沢黒色(ピアノブラック)の塗料を用いて形成されている。
【0023】
図1に示されるように、本実施形態の柄4は、縦方向に細長形状をなす複数の柄パターン5を配向してなる第1ブロック6と、横方向に細長形状をなす複数の柄パターン7を配向してなる第2ブロック8とを複数個ずつ組み合わせて描画されている。即ち、柄パターン5の配向方向と柄パターン7の配向方向とは直交する関係にある。具体的に言うと、柄パターン5は、横方向の直径よりも縦方向の直径が長い縦長の長楕円パターンであり、柄パターン7は、縦方向の直径よりも横方向の直径が長い横長の長楕円パターンである。
【0024】
図2,
図3に示されるように、各柄パターン5,7は、レーザ照射によって描画された線幅W1が80μm、深さD1が12μmのレーザ加工溝からなる。また、
図3に示されるように、第1ブロック6の柄パターン5は、短径X1が0.2mm、長径X2が4mmとなっている。さらに、第1ブロック6の縦幅は、柄パターン5の長径X2と等しく、第1ブロック6における縦幅と横幅X3との比は2:1となっている。同様に、第2ブロック8の柄パターン7も、短径が0.2mm、長径が4mmとなっている。しかし、第2ブロック8では、第2ブロック8の横幅が柄パターン7の長径と等しく、第2ブロック8における縦幅と横幅との比が、1:2となっている。
【0025】
そして、
図1に示されるように、複数個の第1ブロック6は、横方向に1ブロック、縦方向に半ブロックずつずらした位置にそれぞれ連続して配置されている。一方、複数個の第2ブロック8は、横方向に半ブロック、縦方向に1ブロックずつずらした位置にそれぞれ連続して配置されている。また、第1ブロック6及び第2ブロック8は、縦方向及び横方向に交互に配置されている。そして、これらブロック6,8の柄パターン5,7により、朱子織の炭素繊維織布を模した柄4が形成されるようになっている。
【0026】
次に、レーザ描画装置11について説明する。
【0027】
図4に示されるように、本実施形態のレーザ描画装置11は、車両用加飾部品1に柄4を描画する装置である。レーザ描画装置11は、支持治具12、ワーク移動ロボット13(ワーク移動機構)、及び、レーザ照射装置14を備えている。
【0028】
支持治具12は、ワーク2(車両用加飾部品1)を支持するためのものである。支持治具12は、同支持治具12の中央部裏面から下方に突出する支持軸12aを備えている。支持軸12aは、ワーク移動ロボット13のアーム13aの先端に設けられたロボットハンド13bによって把持されている。なお、このワーク移動ロボット13は、支持治具12に支持されたワーク2を移動可能な多関節ロボットである。そして、ワーク移動ロボット13は、ロボットハンド13bで支持軸12aを把持した状態でアーム13aを駆動することにより、支持治具12を上下方向及び左右方向に移動させ、支持治具12に支持されているワーク2を移動させる。その結果、ワーク2の表面(塗膜層3の表面)に対するレーザL1の照射位置や照射角度が変更されるようになっている。
【0029】
図4に示されるように、レーザ照射装置14は、支持治具12によって支持されたワーク2の上方に設置されている。また、レーザ照射装置14は、ワーク2の表面(塗膜層3の表面)を臨むように配置されており、塗膜層3の表面に対してレーザL1を照射して柄4を描くようになっている。なお、レーザ照射装置14は、所定波長のレーザL1(例えば波長が1064nmのYVO
4レーザ)を発生させるレーザ発生部21と、レーザL1を偏向させるレーザ偏向部22と、レーザ発生部21及びレーザ偏向部22を制御するレーザ制御部23とを備えている。レーザ偏向部22は、レンズ24と反射ミラー25とを複合させてなる光学系であり、これらレンズ24及び反射ミラー25の位置を変更することにより、レーザL1の照射位置や焦点位置を調整するようになっている。レーザ制御部23は、レーザ発生部21及びレーザ偏向部22を制御することにより、レーザL1の照射強度、レーザL1の走査速度などのレーザ照射条件を調整する。
【0030】
図4,
図5に示されるように、レーザ描画装置11は、エア給排ユニット30及びユニット移動ロボット40(エア給排ユニット移動機構)を備えている。詳述すると、エア給排ユニット30は、金属板(アルミニウム板)を折り曲げることによってコ字状に形成されており、本体板31と一対の腕部32,33とからなっている。本体板31は、縦200mm×横600mmの略矩形板状をなし、各腕部32,33は、それぞれ縦200mm×横500mmの略矩形板状をなしている。また、本体板31の中央部には、ユニット移動ロボット40のアーム40aの先端に接続されている。なお、このユニット移動ロボット40は、エア給排ユニット30を移動可能な多関節ロボットである。そして、ユニット移動ロボット40は、アーム40aを駆動することにより、エア給排ユニット30を上下方向及び左右方向に移動させるようになっている。
【0031】
図5〜
図7に示されるように、レーザ描画装置11は、エア吸引装置50及びエア供給装置60を備えている。エア吸引装置50及びエア供給装置60は、エア給排ユニット30によって互いに対向した状態に支持されている。エア吸引装置50は、レーザ照射時にワーク2の表面(塗膜層3の表面)から発生する煙A1をエアとともに吸引する装置である。エア吸引装置50は、エア給排ユニット30の腕部32付近に設けられ、エア吸引用ダクト51、エア吸引用ホッパー52及びエア吸引用ファン53を備えている。エア吸引用ダクト51は、腕部32を貫通しており、上流側端部にエア吸引用ホッパー52が取り付けられるとともに、腕部32よりも下流側の部分にエア吸引用ファン53が取り付けられている。エア吸引用ホッパー52は、本体板31と一対の腕部32,33とによって囲まれた領域A0(
図5参照)内において開口しており、煙A1をエアとともに吸引するようになっている。また、エア吸引用ファン53は、エア吸引用ホッパー52から吸引されてエア吸引用ダクト51内を流れてきた煙A1及びエアを、エア給排ユニット30の外部(領域A0外)に放出するようになっている。なお、本実施形態では、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量が、25m
3/minに設定されている。
【0032】
一方、
図5〜
図7に示されるエア供給装置60は、エア給排ユニット30の腕部33付近に設けられている。即ち、エア吸引装置50及びエア供給装置60は、ワーク2を介して互いに対向させた状態に配置されている。また、エア供給装置60は、ワーク2の表面(塗膜層3の表面)に沿ってレーザL1の照射部分に向かって流れる気流A2を発生させることにより、煙A1をエアとともにエア吸引装置50側に導く装置である。具体的に言うと、エア供給装置60は、レーザL1の描画方向F1の逆方向(
図6,
図7に示す矢印F2方向)に、レーザL1の照射部分に向かって流れる気流A2を発生させるようになっている。
【0033】
また、エア供給装置60は、エア供給用ダクト61、エア供給用ファン62及びエア供給用ホッパー63を備えている。エア供給用ダクト61は、腕部33を貫通しており、腕部33よりも上流側の部分にエア供給用ファン62が取り付けられるとともに、下流側端部にエア供給用ホッパー63が取り付けられている。エア供給用ファン62は、エア給排ユニット30の外部のエアをエア供給用ダクト61内に供給するようになっている。また、エア供給用ホッパー63は、領域A0(
図5参照)内において開口しており、エア供給用ファン62によって吸引されてエア供給用ダクト61内を流れてきたエアを、領域A0内に放出するようになっている。ここで、エア供給装置60から供給されるエアの流量は、20m
3/minに設定されている。即ち、上述したエア吸引装置50に吸引されるエアの流量(25m
3/min)は、エア供給装置60から供給されるエアの流量よりも大きくなっている。
【0034】
次に、レーザ描画装置11の電気的構成について説明する。
【0035】
図4に示されるように、レーザ描画装置11は、装置全体を統括的に制御する制御装置70を備えている。制御装置70は、CPU71、メモリ72及び入出力ポート73等からなる周知のコンピュータにより構成されている。制御装置70は、ワーク移動ロボット13、レーザ照射装置14、ユニット移動ロボット40、エア吸引装置50のエア吸引用ファン53、及び、エア供給装置60のエア供給用ファン62に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。
【0036】
メモリ72には、ワーク2の三次元形状を示す形状データが記憶されている。また、メモリ72には、塗装機(図示略)の塗装条件(塗装時間、塗料の噴霧量、塗膜層3の厚さなど)を示す塗膜層形成用データがあらかじめ記憶されている。さらに、メモリ72には、ワーク移動ロボット13、レーザ照射装置14、ユニット移動ロボット40、エア吸引用ファン53及びエア供給用ファン62を制御するためのプログラムが記憶されている。また、メモリ72には、柄4の柄パターン5,7に応じた柄データや、レーザ照射装置14のレーザ照射条件(レーザL1の照射時間、レーザL1の照射強度、レーザL1のスポット径など)を示すデータがあらかじめ記憶されている。
【0037】
次に、車両用加飾部品1の製造方法を説明する。
【0038】
まず、樹脂材料(例えばABS樹脂)を用いて所定の立体形状に成形したワーク2を準備する。なお、ワーク2は、作業者によって固定テーブル(図示略)にセットされる。
【0039】
次に、塗装工程を行い、ワーク2の表面に塗膜層3を形成する。詳述すると、CPU71は、メモリ72に記憶されている塗膜層形成用データを読み出し、読み出した塗膜層形成用データに基づいて塗膜層形成信号(駆動信号)を生成し、生成した塗膜層形成信号を塗装機(図示略)に出力する。塗装機は、CPU71から出力された塗膜層形成信号に基づいて、塗膜層3の塗装を開始させる。具体的に言うと、ワーク2の表面上に、塗装機を用いて塗料を塗装、乾燥することにより、黒色の塗膜層3を形成する。なお、塗膜層3は、模様のない層(いわゆる「ベタ層」)であり、位置合わせをすることなく形成される。その後、作業者は、固定テーブル上のワーク2を、ワーク移動ロボット13のロボットハンド13bによって把持された支持治具12上に載せ替える。
【0040】
続くレーザ照射工程では、ワーク2の表面(塗膜層3の表面)に対してレーザL1を照射することにより、柄4を描くようにする。詳述すると、まず、作業者は、従来周知の画像作成ソフトを用いて、柄4を示す画像データを作成する。次に、CPU71は、作成した画像データをCADデータに変換する。なお、本実施形態では、制御装置70とは別のコンピュータを用いて、画像データをCADデータに変換するようにしてもよい。
【0041】
次に、CPU71は、CADデータに変換された画像データを、レーザ照射を行うためのレーザ照射用データに変換する。次に、CPU71は、変換したレーザ照射用データをメモリ72に記憶する。即ち、メモリ72は、レーザ照射用データを記憶するデータ記憶装置としての機能を有している。さらに、CPU71は、レーザ照射に用いられるレーザ照射パラメータ(レーザL1の照射位置、焦点位置、照射角度、照射面積、照射時間、照射強度など)を設定する。
【0042】
次に、CPU71は、メモリ72に記憶されているレーザ照射用データに基づいて、ワーク2に形成された塗膜層3に対してレーザL1を照射させる制御を行うことにより、塗膜層3の表面に柄4を形成する。具体的に言うと、CPU71は、メモリ72に記憶されているレーザ照射用データを読み出し、読み出したレーザ照射用データに基づいてワーク移動信号(駆動信号)を生成し、生成したワーク移動信号をワーク移動ロボット13に出力する。ワーク移動ロボット13は、CPU71から出力されたワーク移動信号に基づき、アーム13aを駆動して支持治具12に支持されたワーク2の位置及び角度を変更することにより、塗膜層3の表面に対するレーザL1の照射位置や照射角度を変更する。
【0043】
さらに、CPU71は、読み出したレーザ照射用データに基づいてレーザ照射信号(駆動信号)を生成し、生成したレーザ照射信号をレーザ照射装置14に出力する。レーザ照射装置14は、CPU71から出力されたレーザ照射信号に基づいて、ワーク2の表面に形成された塗膜層3にレーザL1を照射することにより、塗膜層3の表面に複数の柄パターン5,7を形成する。
【0044】
詳述すると、まず、レーザ照射装置14によるレーザ照射を行い、第1ブロック6を構成する複数の柄パターン5を順次描画する。具体的には、柄4の左上に配置される第1ブロック6の左端の柄パターン5(
図1参照)から描画を開始させる。まず、柄パターン5の一方(上側)の頂点部分(描画開始点P1)からレーザL1の照射点を移動させ、柄パターン5の左側部分(前半部分)を描画する(
図8参照)。このとき、レーザL1の照射点は、エア給排ユニット30を構成するエア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。そして、レーザL1の照射点が、柄パターン5の他方(下側)の頂点部分(描画完了点P2)に到達した時点で、レーザ照射を一旦停止させる(
図9参照)。
【0045】
その後、レーザL1の照射点を、右隣の柄パターン5の一方(上側)の頂点部分(描画開始点P1)に移動させ、レーザ照射を再開させる。そして、描画開始点P1からレーザL1の照射点を移動させ、右隣の柄パターン5の左側部分を描画する(
図10参照)。なお、このときも、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。このような手順で、1つの第1ブロック6を構成する柄パターン5の左側部分を順次描画する。
【0046】
そして、1つの第1ブロック6において、全ての柄パターン5の左側部分の描画が完了すると、第1ブロック6の左端の柄パターン5から再度描画を開始させる。まず、柄パターン5の描画開始点P1からレーザL1の照射点を移動させ、柄パターン5の右側部分(後半部分)を描画する(
図11参照)。このとき、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。そして、レーザL1の照射点が描画完了点P2に到達した時点で、レーザ照射を一旦停止させる。
【0047】
その後、レーザL1の照射点を、右隣の柄パターン5の描画開始点P1に移動させ、レーザ照射を再開させる。そして、描画開始点P1からレーザL1の照射点を移動させ、右隣の柄パターン5の右側部分を描画する。なお、このときも、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。このような手順で、1つの第1ブロック6を構成する柄パターン5の右側部分を順次描画する。
【0048】
そして、1つの第1ブロック6において、全ての柄パターン5の右側部分の描画が完了すると、右下に隣接する第1ブロック6の左端の柄パターン5(描画開始点)にレーザL1の照射点を移動し、複数の柄パターン5をレーザ照射によって順次描画する動作を繰り返し行う。その結果、複数個の第1ブロック6が順次描画されていく(
図12参照)。即ち、CPU71は、全ての第1ブロック6について、レーザL1を一定方向に照射させる動作をレーザ照射装置14に複数回実行させる制御を行う。そして、柄4の右下に位置する第1ブロック6の右端の柄パターン5を描画した後、第2ブロック8を構成する柄パターン7をレーザ照射によって順次描画する。
【0049】
ここで、第1ブロック6を描画する工程から第2ブロック8を描画する工程への移行を行う場合、最後に描画した柄パターン5の描画完了点から最も近い位置にある第2ブロック8の柄パターン7に移動して、レーザ照射による描画を開始する。具体的には、第2ブロック8の最下部にある柄パターン7の一方(右側)の頂点部分(描画開始点)にレーザL1の照射点を移動する。また、CPU71は、メモリ72に記憶されているレーザ照射用データを読み出し、読み出したレーザ照射用データに基づいてユニット移動信号(駆動信号)を生成し、生成したユニット移動信号をユニット移動ロボット40に出力する。ユニット移動ロボット40は、CPU71から出力されたユニット移動信号に基づいてアーム40aを駆動することにより、エア給排ユニット30を、鉛直方向に延びる仮想軸を中心として90°回転させる位置制御を行う。その結果、支持治具12に支持されたワーク2と、エア給排ユニット30に支持されたエア吸引装置50及びエア供給装置60との位置関係が変更され、柄パターン7の他方(左側)にエア供給装置60のエア供給用ホッパー63が位置するようになる。
【0050】
そして、レーザ照射を再開させた後、柄パターン7の描画開始点からレーザL1の照射点を移動させ、柄パターン7の下側部分(前半部分)を描画する。このとき、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。そして、レーザL1の照射点が、柄パターン7の他方(左側)の頂点部分(描画完了点)に到達した時点で、レーザ照射を一旦停止させる。
【0051】
その後、レーザL1の照射点を、上側に隣接する柄パターン7の一方(右側)の頂点部分(描画開始点)に移動させ、レーザ照射を再開させる。そして、描画開始点からレーザL1の照射点を移動させ、上側に隣接する柄パターン7の下側部分を描画する。なお、このときも、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。このような手順で、1つの第2ブロック8を構成する柄パターン7の下側部分を順次描画する。
【0052】
そして、1つの第2ブロック8において、全ての柄パターン7の下側部分の描画が完了すると、第2ブロック8の最下部にある柄パターン7から再度描画を開始させる。まず、柄パターン7の描画開始点からレーザL1の照射点を移動させ、柄パターン7の上側部分(後半部分)を描画する。このとき、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。そして、レーザL1の照射点が描画完了点に到達した時点で、レーザ照射を一旦停止させる。
【0053】
その後、レーザL1の照射点を、上側に隣接する柄パターン7の描画開始点に移動させ、レーザ照射を再開させる。そして、描画開始点からレーザL1の照射点を移動させ、上側に隣接する柄パターン7の上側部分を描画する。なお、このときも、レーザL1の照射点は、エア供給装置60のエア供給用ホッパー63側に向かって移動する。このような手順で、1つの第2ブロック8を構成する柄パターン7の上側部分を順次描画する。
【0054】
そして、1つの第2ブロック8において、全ての柄パターン7の上側部分の描画が完了すると、左上に隣接する第2ブロック8の最下部にある柄パターン7(描画開始点)にレーザL1の照射点を移動し、複数の柄パターン7をレーザ照射によって順次描画する動作を繰り返し行う。その結果、複数個の第2ブロック8が順次描画されていく(
図13参照)する。即ち、CPU71は、全ての第2ブロック8について、レーザL1を一定方向に照射させる動作をレーザ照射装置14に複数回実行させる制御を行う。そして、第1ブロック6を描画する工程及び第2ブロック8を描画する工程を繰り返すことにより、
図1に示されるカーボン調の柄4が塗膜層3の表面に描画される。
【0055】
なお、レーザ照射工程では、ワーク2の表面から煙A1が発生する。そこで、本実施形態では、エア吸引工程を行い、レーザ照射時にワーク2の表面から発生する煙A1をエアとともにエア吸引装置50に吸引させるようになっている。具体的に言うと、CPU71は、レーザL1の照射が開始されると同時(即ち、レーザ照射信号がレーザ照射装置14に出力されると同時)に、エア吸引装置50のエア吸引用ファン53に対してエア吸引信号(駆動信号)を出力する。エア吸引用ファン53は、CPU71から出力されたエア吸引信号に基づいて駆動することにより、エア吸引用ホッパー52からエア吸引用ダクト51内に煙A1をエアとともに吸引する。なお、エア吸引用ホッパー52から吸引されてエア吸引用ダクト51内を流れてきた煙A1及びエアは、エア吸引用ファン53を通過して、エア給排ユニット30の外部(
図5に示す領域A0の外側)に放出される。
【0056】
また、エア吸引工程では、ワーク2を介してエア吸引装置50の反対側に配置されたエア供給装置60によって、ワーク2の表面に沿ってレーザL1の照射部分に向かって流れる気流A2を発生させることにより、煙A1をエアとともにエア吸引装置50側に導くようになっている。具体的に言うと、CPU71は、レーザL1の照射が開始され、かつ、エア吸引装置50による煙A1及びエアの吸引が開始されると同時(即ち、レーザ照射信号がレーザ照射装置14に出力され、かつ、エア吸引信号がエア吸引用ファン53に出力されると同時)に、エア供給装置60のエア供給用ファン62に対してエア供給信号(駆動信号)を出力する。エア供給用ファン62は、CPU71から出力されたエア供給信号に基づいて駆動することにより、エア給排ユニット30の外部からエア供給用ダクト61内にエアを吸引する。なお、エア供給用ダクト61内に吸引されたエアは、エア供給用ファン62を通過して、エア供給用ダクト63から領域A0内に放出される。
【0057】
さらに、CPU71は、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量(吸引量)と、エア供給装置60から供給されるエアの流量(供給量)とを調整する制御を行う。本実施形態において、CPU71は、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量を、エア供給装置60から供給されるエアの流量よりも大きくする制御を行う。詳述すると、CPU71は、図示しない吸引量調整用インバータを介して、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量を大きくする制御を行う。それとともに、CPU71は、図示しない供給量調整用インバータを介して、エア供給装置60から供給されるエアの流量を小さくする制御を行う。
【0058】
また、CPU71は、レーザ照射用データに基づいて、ワーク2の位置制御を行う。詳述すると、CPU71は、メモリ72に記憶されているレーザ照射用データを読み出し、読み出したレーザ照射用データに基づいてワーク移動信号を生成し、生成したワーク移動信号をワーク移動ロボット13に出力する。ワーク移動ロボット13は、CPU71から出力されたワーク移動信号に基づいてアーム13aを駆動することにより、支持治具12に支持されたワーク2の位置及び角度を変更させる制御を行う。
【0059】
さらに、CPU71は、レーザ照射用データに基づいて、エア吸引装置50及びエア供給装置60の位置制御を行う。詳述すると、CPU71は、レーザ照射用データに基づいてユニット移動信号を生成し、生成したユニット移動信号をユニット移動ロボット40に出力する。ユニット移動ロボット40は、CPU71から出力されたユニット移動信号に基づいてアーム40aを駆動することにより、エア給排ユニット30を移動させる位置制御を行う。
【0060】
その結果、支持治具12に支持されたワーク2と、エア給排ユニット30に支持されたエア吸引装置50及びエア供給装置60との位置関係が変更される。具体的には、ワーク2の表面(塗膜層3の表面)に対してレーザL1の照射方向が直交するように、ワーク2の傾斜角度が調整される。さらに、レーザL1の照射部分においてワーク2の表面と平行に気流A2が流れるように、ワーク2の傾斜角度が調整されるとともに、エア吸引装置50及びエア供給装置60の位置が調整される。なお、本実施形態では、複雑な立体形状をなすワーク2を用いているため、ワーク2の傾斜角度を調整することにより、レーザL1が照射されない領域や、気流A2が当らない領域を小さくしている。
【0061】
その後、CPU71は、塗膜層3の表面に対する柄4の描画が終了してレーザL1の照射が終了すると同時に、エア吸引用ファン53に対するエア吸引信号の出力を終了し、エア吸引装置50による煙A1及びエアの吸引を終了させる制御を行う。さらに、CPU71は、レーザL1の照射が終了し、かつ、エア吸引装置50による煙A1及びエアの吸引が終了すると同時に、エア供給用ファン62に対するエア供給信号の出力を終了し、エア供給装置60からのエアの供給を終了させる制御を行う。以上の工程を経て、本実施形態の車両用加飾部品1が製造される。
【0062】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0063】
(1)本実施形態のレーザ描画装置11では、レーザ照射時にワーク2の表面から発生する煙A1がエアとともにエア吸引装置50に吸引されるのに加えて、ワーク2を介してエア吸引装置50の反対側に配置されたエア供給装置60により、煙A1がエアとともにエア吸引装置50側に導かれる。その結果、ワーク2の大型化に伴ってレーザL1の照射部分とエア吸引装置50との距離が大きくなり、ワーク2が複雑な立体形状となる本実施形態の場合であっても、煙A1を導くエアの流速は低下しにくいため、煙A1の全てをエア吸引装置50によって確実に吸引することができる。よって、煙A1がワーク2の表面に残ることに起因した外観品質の低下を防止することができる。
【0064】
(2)本実施形態では、黒色の塗膜層3に柄4が描画されているため、車両用加飾部品1の外観を実際の炭素繊維織布の外観に近付けることができる。また、塗膜層3はワーク2の表面よりも硬いため、その塗膜層3に柄4を描画することで、ワーク2の表面の柄4が傷付きにくくなる。
【0065】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0066】
・上記実施形態のエア供給装置60は、エア供給装置60は、レーザL1の描画方向F1の逆方向(
図6,
図7に示す矢印F2方向)に、レーザL1の照射部分に向かって流れる気流A2を発生させるようになっていた。しかし、エア供給装置60は、描画方向F1の逆方向から描画方向F1と直交する方向までの範囲内で、気流A2の向きを変更してもよい。例えば、
図7に示されるように、エア供給装置60は、描画方向F1と直交する方向(
図7に示す矢印F3方向)に気流A2を発生させてもよいし、描画方向F1を基準として所定角度(ここでは45°)傾斜した方向(
図7に示す矢印F4方向)に気流A2を発生させてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、レーザ照射工程において特定のブロック6,8を形成する際に、全ての柄パターン5,7の前半部分の描画が完了した後、全ての柄パターン5,7の後半部分を描画していた。しかし、柄パターン5,7の描画方法を変更してもよい。例えば、特定のブロック6,8を形成する際に、1つ目の柄パターン5,7の前半部分→1つ目の柄パターン5,7の後半部分→1つ目の柄パターン5,7に隣接する柄パターン5,7の前半部分→隣接する柄パターン5,7の後半部分→…の順番で、描画を行ってもよい。
【0068】
・上記実施形態のCPU71は、エア吸引装置50及びエア供給装置60の両方の位置を調整させる制御を行っていた。しかし、CPU71は、エア吸引装置50のみの位置を調整させる制御を行ってもよいし、エア供給装置60のみの位置を調整させる制御を行ってもよい。この場合、エア給排ユニット30は、エア吸引装置50を支持するユニットと、エア供給装置60を支持するユニットに分けられることがよい。
【0069】
・上記実施形態のCPU71は、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量を、エア供給装置60から供給されるエアの流量よりも大きくする制御を行っていた。しかし、CPU71は、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量と、エア供給装置60から供給されるエアの流量とを同一にする制御を行ってもよい。
【0070】
・上記実施形態のCPU71は、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量を大きくする制御を行うとともに、エア供給装置60から供給されるエアの流量を小さくする制御を行うことにより、エア吸引装置50から吸引されるエアの流量を、エア供給装置60から供給されるエアの流量よりも大きくしていた。しかし、CPU71は、エア吸引装置50に吸引されるエアの流量を大きくする制御のみを行うことにより、エア吸引装置50から吸引されるエアの流量を、エア供給装置60から供給されるエアの流量よりも大きくしてもよい。また、CPU71は、エア供給装置60から供給されるエアの流量を小さくする制御のみを行うことにより、エア吸引装置50から吸引されるエアの流量を、エア供給装置60から供給されるエアの流量よりも大きくしてもよい。
【0071】
・上記実施形態の柄4は、黒色の塗膜層3に形成されていたが、柄4の種類に応じて他の有色の塗膜層に形成されるものであってもよい。また、塗装によって形成される塗膜層以外に、めっきや蒸着によって形成される被膜に柄4を形成してもよい。さらに、ワーク2の表面を被覆する塗膜層3を省略し、ワーク2の表面に柄4を直接描画してもよい。また、塗膜層3を保護する別の塗膜層を形成し、その塗膜層に柄4を描画してもよい。
【0072】
・上記実施形態の車両用加飾部品1では、塗膜層3の表面に炭素繊維織物を示す模様の柄4が描画されていたが、木目模様の柄や、ヘアライン加工が施されたアルミパネルを示す模様の柄等の他の柄が描画されていてもよい。
【0073】
・上記実施形態では、レーザ照射によって凹状のレーザ加工溝を形成して柄4を描画していたが、これに限定されるものではない。例えば、レーザ照射によってワーク2の表面を凸状に膨らませたレーザ加工部を形成し、そのレーザ加工部によって柄4を描画してもよい。なお、レーザ加工部は、例えばレーザ照射による発泡現象(樹脂を溶融させる際に泡が発生する現象)を利用して形成する。
【0074】
・上記実施形態では、車両用加飾部品1をドアのアームレストに具体化するものであったが、これ以外に、コンソールボックス、インストルメントパネルなどの内装部品や、ラジエターグリル、ロッカーモールなどの外装部品に具体化してもよい。
【0075】
・上記実施形態のレーザ描画装置11は、車両用加飾部品1を製造するものであったが、これに限定される訳ではなく、家電製品や家具などの加飾部品を製造するものであってもよい。
【0076】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0077】
(1)手段1において、前記ワークを移動させるワーク移動機構を備え、前記ワーク移動機構は、前記ワークを移動可能な多関節ロボットであることを特徴とするレーザ描画装置。
【0078】
(2)手段1において、前記ワークに対して前記レーザを照射させる制御を行う制御装置を備え、前記柄は、繊維織布を模した柄であって、略楕円形状の複数の柄パターンを配向してなるブロックを複数個組み合わせたものであり、前記制御装置は、複数個の前記ブロックのうち少なくとも1つのブロックについては、前記レーザを一定方向に照射させる動作を前記レーザ照射装置に複数回実行させる制御を行うことを特徴とするレーザ描画装置。
【0079】
(3)手段1において、前記エア吸引装置及び前記エア供給装置の位置制御を行う制御装置を備え、前記制御装置は、前記エア吸引装置に吸引される前記エアの流量と、前記エア供給装置から供給される前記エアの流量とを同一にする制御を行うことを特徴とするレーザ描画装置。
【0080】
(4)手段1において、前記エア吸引装置及び前記エア供給装置の位置制御を行う制御装置を備え、前記制御装置は、前記エア吸引装置に吸引される前記エアの流量を、前記エア供給装置から供給される前記エアの流量よりも大きくする制御を行うことを特徴とするレーザ描画装置。
【0081】
(5)手段1において、前記ワークは、一辺の長さが50cm以上となる大型のワークであることを特徴とするレーザ描画装置。