特許第6475953号(P6475953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475953
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/225 20170101AFI20190218BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20190218BHJP
   B60Q 3/78 20170101ALI20190218BHJP
   F21V 5/08 20060101ALI20190218BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20190218BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20190218BHJP
   F21W 106/00 20180101ALN20190218BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190218BHJP
【FI】
   B60Q3/225
   B60Q3/64
   B60Q3/78
   F21V5/08
   F21V5/00 510
   F21V5/00 300
   F21V8/00 320
   F21V5/00 610
   F21W106:00
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-228442(P2014-228442)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-88442(P2016-88442A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前野 正蔵
(72)【発明者】
【氏名】濱野 雄広
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−527258(JP,A)
【文献】 特開平10−082916(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/165597(WO,A2)
【文献】 特開2013−235820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/225
B60Q 3/64
B60Q 3/78
F21V 5/00
F21V 5/08
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を前記光源の光軸に対して略直角方向へと反射させる第1反射面を有する配光制御レンズと、
前記配光制御用レンズが挿入される孔を備えた導光レンズと、
を用いた照明装置であって、
前記配光制御用レンズは、円柱形状のレンズ部の外周面が、当該レンズ部の下側から入射して前記第1反射面で反射した光を出射する出射面とされ、
前記第1反射面は、
前記光源の光軸を軸にした逆円錐状に形成することによって、上方視凹形状として形成される凹部と、
前記凹部の一部を上下方向に切り欠くことで形成される切欠溝と、
を有し、
前記孔の内周面は、前記孔内に挿入された前記配光制御用レンズの外周面から出射した光が入射する入射面とされ、
前記導光レンズの外周には、前記内周面から入射した光を上方へと反射させる第2反射面が設けられ、
前記第2反射面は、前記光源の光軸を軸とする円周上のうち、前記第1反射面と対応する角度範囲に設けられており、
前記切欠溝は、前記光源の光軸を軸とする円周上のうちの前記第2反射面が設けられていない角度範囲に対応して上下方向に貫設されており、
前記配光制御用レンズを前記導光レンズの孔に挿入した状態で、前記切欠溝が前記孔と前記導光レンズの下方の外部空間とを繋ぐ流路を形成することを特徴とする照明装置
【請求項2】
前記凹部には、前記第1反射面と対応する領域に親水性を有する物質塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置
【請求項3】
前記導光レンズは、2つの円板部を連結した形状とされ、連結した円板部の外周縁に前記第2反射面が設けられており、
前記2つの円板部のそれぞれの中心に前記孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射する光を光軸に対して直角方向全周へと反射させる逆円錐状の凹部が形成された配光制御用レンズを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両には、車室内に配置されたカップホルダを夜間に照明し、該カップホルダの位置を乗員に明示するための照明装置が設けられているものがある。斯かる照明装置の光源として、発光効率が高くて寿命が長く、省電力である等の利点を有するLED(発光ダイオード)が使用されつつある。
【0003】
ところで、LEDから出射する光は指向性が強いため、この光をカップホルダの輪郭に沿った形状の導光レンズ内に入射させ、導光レンズ内に入射した光が全反射して進む過程で該光を反射させて外部へと出射させることによって導光レンズをカップホルダの輪郭に沿って均一に発光させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。ここで、カップホルダの照明装置に使用されている配光制御用レンズの一例を図及び図に基づいて以下に説明する。
【0004】
即ち、図は従来の配光制御用レンズと光源の平面図、図は図のC−C線断面図であり、図に示すように、基板105上に実装された光源であるLED104の上方には円柱状の透明な配光制御用レンズ103が配置されている。ここで、配光制御用レンズ103の中心部(LED104の光軸x上)には、上方に向かってテーパ状に開く逆円錐状の凹部103Aが形成されている。
【0005】
而して、LED104が発光すると、図に矢印にて示すように、LED104から上方に向かう光は、配光制御用レンズ103に形成された凹部103Aのテーパ状の反射面103bによって反射して光軸xに対して直角方向(水平方向)全周へと拡散してカップホルダの照明に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−525546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図及び図に示した配光制御用レンズ103においては、凹部103Aの反射面103bに接する空気が光の進路制御に重要な役割を果たしているが、外部から進入した水等の液体が凹部103Aに溜まり易い。配光制御用レンズ103の凹部103Aに溜まった液体が凹部103Aの反射面103bに付着すると、空気と凹部103Aの反射面103bとの接触が阻害されて配光制御が良好に行われないという問題が発生する。
【0008】
又、外部から進入した液体がレンズ表面の腐食を促すような成分を含んでいる場合には、その液体が配光制御用レンズ103の凹部103Aに溜まり続けることによって、配光制御用レンズ103表面の劣化が促進されて製品寿命が短くなるという問題も発生する。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、液体の付着による光の反射不良や表面劣化を防いで所望の配光制御を安定的に行うことができるとともに、耐久性の向上を図ることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
光源と、
前記光源から出射された光を前記光源の光軸に対して略直角方向へと反射させる第1反射面を有する配光制御レンズと、
前記配光制御用レンズが挿入される孔を備えた導光レンズと、
を用いた照明装置であって、
前記配光制御用レンズは、円柱形状のレンズ部の外周面が、当該レンズ部の下側から入射して前記第1反射面で反射した光を出射する出射面とされ、
前記第1反射面は、
前記光源の光軸を軸にした逆円錐状に形成することによって、上方視凹形状として形成される凹部と、
前記凹部の一部を上下方向に切り欠くことで形成される切欠溝と、
を有し、
前記孔の内周面は、前記孔内に挿入された前記配光制御用レンズの外周面から出射した光が入射する入射面とされ、
前記導光レンズの外周には、前記内周面から入射した光を上方へと反射させる第2反射面が設けられ、
前記第2反射面は、前記光源の光軸を軸とする円周上のうち、前記第1反射面と対応する角度範囲に設けられており、
前記切欠溝は、前記光源の光軸を軸とする円周上のうちの前記第2反射面が設けられていない角度範囲に対応して上下方向に貫設されており、
前記配光制御用レンズを前記導光レンズの孔に挿入した状態で、前記切欠溝が前記孔と前記導光レンズの下方の外部空間とを繋ぐ流路を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記凹部には、前記第1反射面と対応する領域に親水性を有する物質塗布されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記導光レンズは、2つの円板部を連結した形状とされ、連結した円板部の外周縁に前記第2反射面が設けられており、前記2つの円板部のそれぞれの中心に前記孔が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び3記載の発明によれば、配光制御用レンズの凹部に外部から水等の液体が進入しても、この液体は凹部に形成された切欠溝を通って外部に排出され、凹部に滞留することがないため、凹部の内面(反射面)に液体が付着することによる光の反射不良が防がれ、配光制御用レンズによる所望の配光制御が安定的になされる。又、配光制御用レンズの凹部に液体が滞留し続けることによるレンズ表面の腐食が防がれ、配光制御用レンズの耐久性が高められる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、配光制御用レンズの凹部の切欠溝以外の内面(反射面)に親水性を有する物質を塗布したため、凹部へと進入する液体の流動性が高められて該液体が切欠溝から外部へと確実に排出される。このため、配光制御用レンズの凹部の内面(反射面)に液体が付着しにくくなり、液体の付着による光の反射不良や表面劣化が確実に防がれて所望の配光制御が安定的になされるとともに、配光制御用レンズの耐久性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る照明装置の平面図である。
図2】本発明に係る照明装置の側面図である。
図3図1のA−A線断面図である。
図4】本発明に係る照明装置の配光制御用レンズと光源の平面図である。
図5図4のB−B線断面図である。
図6】従来の配光制御用レンズと光源の平面図である。
図7】図のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係る照明装置の平面図、図2同照明装置の側面図、図3図1のA−A線断面図、図4は配光制御用レンズと光源の平面図、図5図4のB−B線断面図である。
【0019】
図1図3に示す照明装置1は、車両の車室内に配置されるカップホルダを夜間に照明するためカップホルダ照明装置であって、2つのカップを受けることができる底板を構成する透明な導光レンズ2を備えている。この導光レンズ2は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂によって構成されており、2つの円板部2Aを連結した平面視瓢箪状に成形されている。そして、導光レンズ2においては、その中央の連結部を中心として左右の円板部2Aが左右に向かって若干傾斜しており、該導光レンズ2の下面外周縁には、図2及び図3に示すように、45°にカットされた第2反射面2aが形成されている。
【0020】
上記導光レンズ2の左右の各円板部2Aの中心には円孔2bがそれぞれ形成されており、各円孔2bには、配光制御用レンズ3が下方から挿入されている。そして、図2及び図3に示すように、各配光制御用レンズ3の下方には、光源であるLED4がそれぞれ配置されており、各LED4は、その光出射方向が上向きとなるように基板5上にそれぞれ実装されている。
【0021】
ここで、上記配光制御用レンズ3は、導光レンズ2と同様にアクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂によって構成されており、その上部中心部には、図4及び図5に示すように、上方に向かって開く逆円錐状(漏斗状)の凹部3Aが形成されている。
【0022】
而して、本実施の形態では、配光制御用レンズ3の凹部3Aの一部には、V字状にカットされた切欠溝3aが上下方向に貫設されている。ここで、切欠溝3aは、配光制御を必要としない角度範囲、具体的には、後述のように導光レンズ2の外周縁の発光に寄与しない角度範囲であって、図示の角度40°の範囲に形成されている。尚、図4及び図5は一方(図1及び図2の右側)の配光制御用レンズ3のみを示しているが、他方(図1及び図2の左側)の配光制御用レンズ3も同様に構成されている。
【0023】
以上のように構成された配光制御用レンズ3を備えるカップホルダ照明装置1において、各LED4に電流が供給されてこれらのLED4がそれぞれ発光すると、図3に示すように(図3には一方のLED4から出射する光の光路を示す)、LED4から上方に向かって出射する光は、配光制御用レンズ3の下面から入射し、凹部3Aの内面(第1反射面)3bで光軸に対して直角に屈折して図1及び図4に示すようにほぼ全周(凹部3Aの切欠溝の3a部分を除くほぼ全周)に向かって進み、配光制御用レンズ3の外周面から出射する。
【0024】
上述のように配光制御用レンズ3の外周面から水平方向にほぼ全周に亘って水平方向に出射した光は、図3に示すように、導光レンズ2の各円板部2Aに形成された円孔2bの内周面から導光レンズ2内に入射する。そして、導光レンズ2の各円板部2Aの円孔2bの内周面からほぼ全周に亘って水平に入射した光は、該導光レンズ2の各円板部2Aの内部をほぼ全周に亘って水平に進み、当該導光レンズ2の下面外周縁に形成された第2反射面2aで直角上方へと反射して上方へと出射するため、図1に斜線にて示すように、導光レンズ2の外周縁が発光する。このため、夜間においても乗員はカップホルダの位置を視認することができる。この場合、各配光制御用レンズ3に形成された凹部3Aの図1に示す角度40°の角度範囲は、導光レンズ2の外周縁の発光に寄与しないため、この角度範囲に切欠溝3aを形成しても、該切欠溝3aが配光制御を阻害することはない。
【0025】
而して、本実施の形態に係ルカップホルダ照明装置1において、配光制御用レンズ3の凹部3Aに外部から水等の液体が進入しても、この液体は凹部3Aに形成された切欠溝3aを通って外部に排出され、凹部3Aに滞留することがないため、凹部3Aの内面(第1反射面)3bに液体が付着することによる光の反射不良が防がれ、配光制御用レンズ3による所望の配光制御が安定的になされる。そして、配光制御用レンズ3の凹部3Aに液体が滞留し続けることによる表面の腐食が防がれ、配光制御用レンズ3の耐久性が高められる。
【0026】
尚、配光制御用レンズ3の凹部3Aの切欠溝3a以外の内面(第1反射面)3bに対応する領域に親水性を有する物質を塗布すれば、凹部3Aへと進入する液体の流動性が高められて該液体が切欠溝3aから外部へと確実に排出されるため、配光制御用レンズ3の凹部3Aの内面(第1反射面)3bに液体が付着しにくくなり、液体の付着による光の反射不良や表面劣化が確実に防がれて所望の配光制御が安定的になされるとともに、配光制御用レンズ3の耐久性が高められる。
【0028】
尚、本実施の形態では、本発明を車載のカップホルダ照明装置に使用した形態について説明したが、本発明は、他の任意の照明装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 カップホルダ照明装置
2 導光レンズ
2A 導光レンズの円板部
2a 導光レンズの反射面(第2反射面)
2b 導光レンズの円孔
3 配光制御用レンズ
3A 配光制御用レンズの凹部
3a 配光制御用レンズの切欠溝
3b 配光制御用レンズの凹部の内面(第1反射面)
4 LED
5 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7