特許第6475986号(P6475986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475986
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】二相貯蔵部を有するフロー電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20190218BHJP
   H01M 8/18 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   H01M8/18
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-533252(P2014-533252)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-531721(P2014-531721A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2011053647
(87)【国際公開番号】WO2013048383
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年4月24日
【審判番号】不服2017-14946(P2017-14946/J1)
【審判請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マイケル エル.
【合議体】
【審判長】 池渕 立
【審判官】 中澤 登
【審判官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−223049(JP,A)
【文献】 特開平5−242905(JP,A)
【文献】 特開昭54−90538(JP,A)
【文献】 特開2009−283425(JP,A)
【文献】 特開昭57−113564(JP,A)
【文献】 特開平2−65065(JP,A)
【文献】 特開平2−129865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297, 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極(24)と、前記第1の電極(24)から離間された第2の電極(26)と、前記第1の電極(24)と前記第2の電極(26)との間に配置された電解液セパレータ層(28)と、を含んだ少なくとも一つのセル(22)と、
前記少なくとも一つのセル(22)と流体的に連結された貯蔵部(30a,32a)と、
前記貯蔵部(30a,32a)内に貯蔵されるとともに、前記少なくとも一つのセル(22)に選択的に供給される反応物質(30b,32b)と、
前記貯蔵部(30a,32a)からの前記反応物質(30b,32b)の入口(34a)と、前記少なくとも一つのセル(22)への出口(34b)と、を有する供給管(34)と、
前記少なくとも一つのセル(22)からの前記反応物質の入口(36a)と、前記貯蔵部(30a,32a)への出口(36b)と、を有する戻り管(36)と、
を備え、
前記反応物質(30b,32b)が、前記貯蔵部(30a,32a)において少なくとも部分的に沈殿物として貯蔵され、前記少なくとも一つのセル(22)において溶液として存在しており、
前記供給管(34)の前記入口(34a)が前記沈殿物の高さよりも高い位置となるように前記貯蔵部(30a,32a)の頂部付近に配置されるとともに、前記戻り管(36)の前記出口(36b)が前記貯蔵部(30a,32a)の底部付近に配置されて、前記少なくとも一つのセル(22)から前記貯蔵部(30a,32a)へと戻る前記反応物質(30b,32b)の溶液が、前記貯蔵部(30a,32a)における前記沈殿物を通して上方へと流れ、それにより前記貯蔵部(30a,32a)の前記底部に固液混合物の流動床を形成することを特徴とするフロー電池(20)
【請求項2】
前記戻り管(36)が延在する熱交換器(140)を含むことを特徴とする請求項1に記載のフロー電池(20)
【請求項3】
前記供給管(34)の入口(34a)が前記貯蔵部(30a,32a)の前記溶液と流体的に連結されることを特徴とする請求項1に記載のフロー電池(20)
【請求項4】
前記供給管(34)におけるフィルタ(160)を含むことを特徴とする請求項1に記載のフロー電池(20)
【請求項5】
前記溶液が、水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のフロー電池(20)
【請求項6】
前記水溶液が、バナジウム、臭素、鉄、クロム、亜鉛、セリウム、鉛、またはそれらの組合せからなる群から選択された電気化学的活性元素を含むことを特徴とする請求項5に記載のフロー電池(20)
【請求項7】
前記第1及び第2の電極(24,26)供給される前記電気化学的活性元素が、いずれもバナジウム種を含むことを特徴とする請求項6に記載のフロー電池(20)
【請求項8】
前記沈殿物が、前記貯蔵部(30a,32a)内の流動床にあることを特徴とする請求項1に記載のフロー電池(20)
【請求項9】
前記沈殿物が、水和塩であることを特徴とする請求項1に記載のフロー電池(20)
【請求項10】
第1の電極(24)と、前記第1の電極(24)から離間された第2の電極(26)と、前記第1の電極(24)と前記第2の電極(26)との間に配置された電解液セパレータ層(28)と、を含んだ少なくとも一つのセル(22)と、
前記少なくとも一つのセル(22)と流体的に連結された少なくとも一つの貯蔵部(30a,32a)と、
前記少なくとも一つの貯蔵部(30a,32a)のうちの第1の貯蔵タンク内(30a)に貯蔵されるとともに前記少なくとも一つのセル(22)の前記第1の電極(24)に選択的に供給される第1の反応物質(30b)であって、前記少なくとも一つの貯蔵部において少なくとも部分的に沈殿物として貯蔵されるとともに、前記少なくとも一つのセル(22)において溶液として存在する、第1の反応物質(30b)と、
前記第1の貯蔵タンク(30a)からの前記第1の反応物質(30b)の入口(34a)と、前記少なくとも一つのセル(22)の前記第1の電極(24)への出口(34b)と、を有する供給管(34)と、
前記少なくとも一つのセル(22)の前記第1の電極(24)からの前記第1の反応物質(30b)の入口(36a)と、前記第1の貯蔵タンク(30a)への出口(36b)と、を有する戻り管(36)と、
前記第1の反応物質(30b)とは異なる第2の反応物質(32b)であって、前記少なくとも一つの貯蔵部(30a,32a)のうちの第2の貯蔵タンク(32a)内に貯蔵されるとともに前記少なくとも一つのセル(22)の前記第2の電極(26)に選択的に供給されるか、または、貯蔵タンクを持たずに前記第2の電極(26)を通して循環されるか、のいずれかである、第2の反応物質(32b)と、
を備え、
前記供給管(34)の前記入口(34a)が前記沈殿物の高さよりも高い位置となるように前記第1の貯蔵タンク(30a)の頂部付近に配置されるとともに、前記戻り管(36)の前記出口(36b)が前記第1の貯蔵タンク(30a)の底部付近に配置されて、前記第1の電極(24)から前記第1の貯蔵タンク(30a)へと戻る前記第1の反応物質(30b)の溶液が、前記第1の貯蔵タンク(30a)における前記沈殿物を通して上方へと流れ、それにより前記第1の貯蔵タンク(30a)の前記底部に固液混合物の流動床を形成する、フロー電池(20)
【請求項11】
第1の電極(24)と、前記第1の電極(24)から離間された第2の電極(26)と、前記第1の電極(24)と前記第2の電極(26)との間に配置された電解液セパレータ層(28)と、を含んだ少なくとも一つのセル(22)と、反応物質(30b,32b)貯蔵用の貯蔵部(30a,32a)と、前記貯蔵部(30a,32a)の頂部付近に配置された反応物質(30b,32b)の入口(34a)と前記少なくとも一つのセル(22)への出口(34b)とを有する供給管(34)と、前記少なくとも一つのセル(22)からの前記反応物質の入口(36a)と前記貯蔵部(30a,32a)の底部付近に配置された出口(36b)とを有する戻り管(36)と、を備えたフロー電池(20)の運転方法であって、
前記貯蔵部(30a,32a)に前記反応物質(30b,32b)の少なくとも一部を沈殿物として貯蔵し、
前記沈殿物を溶液中に溶解させ、
前記反応物質(30b,32b)の溶液を前記貯蔵部(30a,32a)の頂部から前記少なくとも一つのセル(22)に供給し、
前記反応物質(30b,32b)の溶液を前記少なくとも一つのセル(22)から前記貯蔵部(30a,32a)の底部へと戻し、
前記貯蔵部(30a,32a)の前記底部に固液混合物の流動床を形成させるように、前記貯蔵部(30a,32a)に戻る前記反応物質(30b,32b)の溶液を、前記沈殿物を通して上方へと通流させる、
ことを備え、
前記供給管(34)の前記入口(34a)が、前記沈殿物の高さよりも高い位置となるように前記貯蔵部(30a,32a)の頂部付近に配置された、フロー電池(20)の運転方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つのセル(22)から前記貯蔵部(30a,32a)への前記反応物質(30b,32b)の溶液の戻り時に、前記沈殿物を沈殿させるように該反応物質(30b,32b)の溶液を冷却することを含むことを特徴とする請求項11に記載のフロー電池(20)の運転方法。
【請求項13】
前記貯蔵部(30a,32a)から前記少なくとも一つのセル(22)への前記反応物質(30b,32b)の溶液の供給時に、前記沈殿物を除去するように該反応物質(30b,32b)の溶液を濾過することを含むことを特徴とする請求項11に記載のフロー電池(20)の運転方法。
【請求項14】
前記貯蔵部(30a,32a)の頂部から前記反応物質(30b,32b)の溶液を供給することを特徴とする請求項11に記載のフロー電池(20)の運転方法。
【請求項15】
前記沈殿物が前記貯蔵部(30a,32a)内の流動床にあることを特徴とする請求項11に記載のフロー電池(20)の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に化学エネルギーを貯蔵し、電気エネルギーを放出するフロー電池に関する。
【背景技術】
【0002】
レドックスフロー電池またはレドックスフローセルとして知られるフロー電池は、電気エネルギーを、蓄電可能であるとともに電力需要があるときに電気エネルギーを後で放出することが可能な、化学エネルギーに変換するように設計される。一例として、フロー電池は、消費者需要を超えたエネルギーを貯蔵し、高い需要があるときにそのエネルギーを後で放出するように、風力発電装置などの再生可能エネルギーシステムとともに用いられる。
【0003】
基本的なフロー電池は、イオン交換膜などの電解液セパレータ層によって隔離された負極および正極を有するレドックスフローセルを含む。負極電解液が負極に送られ、正極電解液が正極に送られて、電気化学的に可逆的なレドックス反応を生じさせる。充電時に、外部電源から電極に供給された電気エネルギーにより一方の電解液で化学的還元反応が生じ、かつ他方の電解液で酸化反応が生じる。電解液セパレータは電解液の混合を防止するが、選択されたイオンは透過してレドックス反応を完了させる。放電時は、電解液中に含まれる化学エネルギーを逆反応で放出させて、電極から電気エネルギーが引き出され、外部負荷に供給される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の電極と、第1の電極から離間された第2の電極と、第1の電極および第2の電極の間に配置された電解液セパレータ層と、を有する少なくとも一つのセルを含んだフロー電池を開示する。反応物質が、貯蔵部内に貯蔵されるとともに、少なくとも一つのセル内の少なくとも一つの電極へと選択的に供給される。少なくとも一つの反応物質が貯蔵部内において固相で存在し、かつ、少なくとも一つのセル内において液相で存在する。
【0005】
フロー電池の運転方法が、貯蔵部に反応物質を固相状で貯蔵し、固相を液相に変換し、液相を少なくとも一つのセルに供給することを含む。
【0006】
開示の実施例の様々な特徴および利点が、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかとなるであろう。詳細な説明に添付の図面を以下のように簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】固相状で貯蔵され、液相状で使用される反応物質を含む一例のフロー電池を示す図。
図2】反応物質の温度を調節するための熱交換器を含む別の実施例のフロー電池を示す図。
図3】セルへの供給前に液相反応物質から固相反応物質を除去するためのフィルタを含んだ別の実施例のフロー電池を示す図。
図4】各電極に異なる反応物質を含んだ別の実施例のフロー電池を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は選択的に化学エネルギーを貯蔵し、電気エネルギーを放電する一例のフロー電池20の選択された部分を概略的に示す。一例として、フロー電池20は、再生可能エネルギーシステムで発生させた電気エネルギーを、以降の電気エネルギーが必要となる時期まで貯蔵することが可能な化学エネルギーに変換するように用いられる。次いでフロー電池20は、例えば配電網への供給用に化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0009】
図示の例では、フロー電池20は、電気を発生させ、または電気エネルギーを化学エネルギーとして貯蔵するように、電気化学的に可逆的なレドックス反応を生じさせる少なくとも一つのセル22を含む。少なくとも一つのセル22は、積層状に配置された一つまたは複数のセル22を含む。各セル22は、第1の電極24と、第1の電極24から離間された第2の電極26と、第1の電極24および第2の電極26の間に配置された電解液セパレータ層28と、を含む。フロー電池20はまた、反応物質を分配する流れ場、反応物質を移送するポンプ、弁、圧力および温度変換装置などの、実施例に特に図示しないその他のコンポーネントを含む。
【0010】
一例では、電解液セパレータ層28は、ポリマすなわちプロトン交換膜である。しかしながら、当然のことながら、電解液セパレータ層28はあらゆる特定の種類の電解質材料に限定されるものではなく、図示の例ではその他の種類の電解液セパレータ層または電解質材料を利用することができる。
【0011】
フロー電池20はまた、第1の反応物質30b(例えば、アノード液)を貯蔵するための第1の貯蔵部30aと、第2の反応物質32b(例えば、カソード液)を貯蔵するための第2の貯蔵部32aと、を含む。実施例では、反応物質30b,32bは、バナジウム、臭素、鉄、クロム、亜鉛、セリウム、鉛、またはそれらの組合せなどの、一つ以上の電気化学的活性元素を含む水溶液である。
【0012】
図示するように、貯蔵部30a,32aは実質的に同等な円筒状の貯蔵タンクであるが、貯蔵部30a,32aは、代替的にその他の形状またはサイズを有してもよい。
【0013】
反応物質30bは、供給管34を通してセル22に供給(例えば、ポンプ輸送)され、戻り管36を通してセル22から貯蔵部30aへと戻る。供給管34は、貯蔵部30aにおける入口34aと、セル22における出口34bと、の間で延在する。戻り管36は、セル22における入口36aと、貯蔵部30aにおける出口36bと、の間で延在する。貯蔵部32bも供給管34および戻り管36とともに同様に配置される。
【0014】
フロー電池の大きさは、概ねその貯蔵タンクの大きさによって占められる。開示のフロー電池20により、貯蔵タンクの大きさを縮小する機能が提供され、それにより装置のエネルギー密度が増加する。フロー電池20に要求される貯蔵サイズを縮小するように、液相30d中に溶解する反応物質30bの電気化学的活性元素が、少なくとも部分的に固相30cとして貯蔵される。固相30cは液相30dよりも高密度であり、したがって貯蔵容積が小さくて済む。固相は水和塩の形態でもよい。
【0015】
電気化学的活性元素は溶液中の溶解限度を有する。電気化学的活性元素の濃度がフロー電池20の所定条件における溶解限度を超えると、貯蔵部30a,32a内に固相30c,32cの沈殿が水和塩として生じる。一部の例では、水和塩は硫酸塩または塩化物であるが、塩の組成は選択された電気化学的活性元素の組成によって決まる。したがって、反応物質30b,32bの一部は、液体ではなく固体として貯蔵され、それにより貯蔵部30a,32aに要求されるサイズが縮小される。
【0016】
固相30cはセル22内の電気化学反応では使用されず、すなわち電気化学的に活性ではなく、したがって反応物質30bの電気化学的活性元素は、セル22内の電気化学反応で使用されるように、固相30cと溶解した液相30dとの間で動的に変換される。その点に関して、反応物質30bは貯蔵部30aの液相30dにも存在する。図示のように、固相30cは概ね貯蔵部30aの底部に向かって沈殿する一方、液相30dは貯蔵部30aの頂部付近に浮遊する。貯蔵部32bは固相32cおよび液相32dについて同様に配置されるが、貯蔵部30aまたは貯蔵部32aのうちの一つがその反応物質30bまたは32bを固体として貯蔵しない場合が考えられる。例えば、電極のうちの一つが、気相反応物(例えば、レドックス空気電池の場合の空気)、固体反応物(例えば、リチウム)、または電極内で固体と溶解種との間で変換される反応物(例えば、金属亜鉛と亜鉛陽イオン)などの、その他の公知の電池反応物を利用してもよい。
【0017】
この例では、貯蔵部30aから液相30dを引き込むように、供給管34の入口34aが貯蔵部30aの頂部付近に配置される。一例では、入口34aは、貯蔵部30aの高さの上部25%の位置にある。戻り管36の出口36bは貯蔵部30aの底部またはその付近に配置される。一例では、出口36bは、貯蔵部30aの高さの底部15%の位置にある。したがって、供給管34の入口34aは、戻り管36の出口36bの鉛直方向上部にある。また貯蔵部30aの底部付近における戻り管36の出口36bの位置により、液相30dが固相30cを通して上方へと流れ、貯蔵部30aの下部に固液混合物すなわち流動床31を形成する。供給管34および戻り管36は第2の貯蔵部32aに関しても同様に配置される。特定の実施例は、分離された液相30dが貯蔵部30aの頂部付近にあり、分離された固相30cが底部付近にあることを前提にしている。しかしながら、当然のことながら供給管34の入口34aは、実質的に分離された液相30dがどこにあっても液相30dを引き込むように配置され、戻り管36の出口36bは、実質的に分離された固相30cがどこにあっても戻る液相30dを送給するように配置される。したがって、液相30dが固相30cに比べて高密度である場合、供給管34の入口34aは戻り管36の出口36bの鉛直方向下部にある。
【0018】
セル22は運転時に熱を発生し、反応物質30b,32b中の電気化学的活性元素を液相30d,32dに維持する。しかしながら、セル22に亘る循環時に、電気化学的活性元素の酸化状態が変化するとともに戻り管36を通して循環部が各貯蔵部30a,32aへと戻る場所では、液相30d,32dが冷却され、固相30c,32cとして沈殿する。
【0019】
バナジウムに基づく一例では、電気化学的活性種はV2+およびV3+である。初期濃度のV2+を有する液相30dがセル22へと供給され、ここでV2+の酸化状態が電気化学反応によりV3+に変化して溶液内中に溶解する。次いで高濃度のV3+を有する液相30dが貯蔵部30aに戻る。セル22から戻ると、液相30dは冷やされ、貯蔵部30aの底部付近に沈殿する水和塩の形態で固相30cが沈殿する。貯蔵部30aの液相30d中のV2+およびV3+の濃度もまた、溶解限度および固相30cとの各酸化状態における平衡に応じて変化する。したがって、液相30dには、溶液中で異なる溶解限度を有するV2+またはV3+が動的に補充される。V4+またはV5+、あるいは、臭素、鉄、クロム、亜鉛、セリウムまたは鉛のイオン対などの、その他のイオン対が液相と固相との間を同様に変化する。
【0020】
図2は、別の実施例のフロー電池120を示す。本明細書では、適切な場合には同様の参照符号は同様の構成要素を示し、その参照符号に100またはその倍数を付けた参照符号は対応する構成要素と同様の特徴部および利益を組み込むものとして理解される修正された要素を表す。この例では、フロー電池120は熱交換器140を付加的に含み、その熱交換器140を通して戻り管36が延在する。熱交換器140は、セル22から貯蔵部30aに戻る反応物質30bを積極的に冷却するように用いられる。反応物質30bを冷却することにより、貯蔵部30bへの貯蔵のために固相30cが、液相30dからより容易に沈殿する。同様に、第2の貯蔵部32aの戻り管36が熱交換器140を通して延在する。
【0021】
更なる例では、反応物質30b,32bの温度、延いては沈殿する固相30c,32cの量を選択的に調節するように熱交換器140がコントローラ142と連通する。一例として、コントローラ142は、貯蔵部30a,32a内における液相30d,32dの、関連する固相30c,32cに対する所望の比率を維持するように、反応物質30b,32bの温度を調節する。
【0022】
図3は、図1に示すフロー電池20と同様の別の実施例のフロー電池220を示すが、貯蔵部30a,32aとセル22との間の供給管34に配置された分離装置160を含む。フィルタなどの分離装置160は、液相30d,32dからあらゆる固相30c,32cをセル22への供給前に除去する役割を果たす。除去された固相30c,32cは貯蔵部30a,32aに戻される。
【0023】
図4は、図3に示すフロー電池220と同様の別の実施例のフロー電池320を示す。この例では、任意選択的な貯蔵部32aを破線で示し、その反応物質32bは固体として貯蔵されない。例えば、第2の電極26は、気相反応物(例えば、水素貯蔵タンクを有するレドックス水素電池の場合の水素)、固体反応物(例えば、リチウム)、または電極内で固体と溶解種との間で変換される反応物(例えば、金属亜鉛と亜鉛陽イオン)などの、その他の公知の電池反応物を利用する。この点に関し、貯蔵部32aは使用される反応物質の種類に応じて適切に寸法、形状が取られる。代替的に、貯蔵部32aすなわちタンクはなく、第2の電極26の反応物が単純に第2の電極26を通して循環される(例えば、貯蔵部32aが除外され、戻り管36が供給管34に直接連結される)。このケースの例は、レドックス空気電池の場合の空気である。
【0024】
特徴部の組合せを図示の例に示すが、本発明の様々な実施例の利点を実現するために全ての特徴部を組み合わせる必要はない。換言すれば、本発明の実施例に従って設計されたシステムは、必ずしも図の一つに示された全ての特徴部または図に概略的に示す全ての部位を含むものではない。さらに、一実施例の選択された特徴部をその他の実施例の選択された特徴部と組み合わせてもよい。
【0025】
上記の記載は本質的に限定的なものではなく例示に過ぎない。本発明の真意を逸脱することなく開示の実施例に対する種々の変形や修正が当業者にとって明らかとなるであろう。本発明に付与される法的保護の範囲は付記の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定される。
図1
図2
図3
図4