(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
但し、以下に示す実施形態等は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は例示された構成に限定されるものではない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照号符号の一部のみを図示する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、実施形態において説明された内容は、適宜、変形例に適用可能である。
【0015】
<1.一実施形態>
始めに、本発明の一実施形態について概略的に説明する。本発明の一実施形態における測定装置は、例えば熱中症計である。熱中症計は、例えば、気温、湿度から熱中症指標値(WBGT(湿球黒球温度))を算出し、熱中症の予防基準レベル等を表示する装置である。なお、熱中症指標値(WBGT(湿球黒球温度))は、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って算出することで求められるものであり、暑さの厳しさの程度を示す指数である。
【0016】
「ホルダについて」
図1は、本発明の一実施形態におけるホルダの外観を示す。ホルダ1は、例えば、ある程度柔軟性を有し、バネとして機能する材質の合成樹脂材を一体的に成形することで得られるものであり、ペン等や後述する熱中症計を保持するものである。
図1に示すように、ホルダ1は、板状の基部10を有しており、基部10は、ヘルメット側(内側)に向く内壁10aと、内壁10aの反対側(外側)である外壁10bとを有している。
【0017】
基部10の一端側には、底壁11が形成されている。底壁11は、例えば、基部10の端部が外側から内側に折り曲げられた、断面略U字状の形状を成している。詳細は後述するが、底壁11により区画された内部空間にヘルメットの外周縁が収納される。すなわち、底壁11がヘルメットの外周縁に取り付け可能な取付部の一例として機能する。基部10の内壁10aと底壁11の先端付近との間には、ヘルメットの外周縁の肉厚よりやや薄い程度の隙間が形成されている。底壁11の先端には、ヘルメットの外周縁を挿入し易くするために、内部空間の開放端を拡開するように折り曲げられた誘い部11aが形成されている。基部10の内壁10aの下側には、外側から内側に向けてやや凸となる鍔受け部12が形成されている。
【0018】
基部10の他端側には、内側および外側に波状に凹凸する凹凸部13が形成されている。凹凸部13において、内側から外側に向かって凸となる箇所が受け部13aとして機能する。受け部13aは、ペン等や熱中症計の係合部(詳細は後述する)を保持するものである。凹凸部13の一端側(基部10と反対側)には、上方に向かって延在する押さえ片16、17が離隔した位置に形成されている。押さえ片16、17は、弓状に曲がる湾曲部16a、17aをそれぞれ有している。押さえ片16、17の間には略U字形状を成し底部15aを有する切り込み15が形成されている。以上のように構成されたホルダ1がヘルメットに着脱自在とされる。なお、ホルダ1のヘルメットへの装着方法については後述する。
【0019】
「測定装置について」
次に、本発明の一実施形態における測定装置について説明する。上述したように、本発明の一実施形態における測定装置は、熱中症計(熱中症計2)である。熱中症計2は、例えば利用者が携行可能な程度の大きさとされている。
図2乃至
図5は、熱中症計2の外観の一例を示しており、
図2は熱中症計2の正面図、
図3は熱中症計2の右側面図、
図4は熱中症計2の背面図、
図5は熱中症計2の斜視図である。なお、
図2乃至
図5を参照してなされる測定装置に関する説明では、
図2を基準にして上下、左右、前後(手前側および奥行き側)方向を規定する。また、
図4では、説明の便宜を考慮して、センサ部およびセンサカバーの図示を省略している。
【0020】
熱中症計2は、筐体(ケース)21と、黒球22と、温度センサ部23と、センサカバー24と、取付部3とを備えている。筐体21は、例えば円盤状を成しており、樹脂等から構成されている。筐体21の正面には、液晶等から成る表示部21aが形成されている。表示部21aは、熱中症計2が計測した湿球黒球温度、気温、湿度、予防基準レベル等の各種の情報を表示する。筐体21の背面(
図4参照)には、筐体21の内部と外部とを連通させる孔である通気孔が設けられている。通気孔は、例えば、背面の上側に1個(通気孔21b)、背面の下側に2個(通気孔21c、21d)の計3個設けられている。なお、通気孔の個数や形成位置は適宜、変更できる。また、警告音を出すスピーカ等を取り付けるためのスピーカ孔が筐体21に設けられていてもよい。
【0021】
筐体21の背面の中央付近には、筐体21内部に電池を収納するための電池蓋21eが設けられている。電池蓋21eにはネジ穴(後述の
図6等における21f)が形成されている。ネジ穴21fに雄ねじ25を差し込み、筐体21に設けられた雌ねじと雄ねじ25とを螺合することにより電池蓋21eを筐体21に取り付けることができる。なお、
図4では筐体21に電池蓋21eが取り付けられた状態が示されている。筐体21の右側面には、音量調整や各種設定を行うための操作部21gが設けられている。なお、操作部21gは、筐体21の前面や背面に設けられていてもよく、ボタン、ダイヤル、カウントアップキー等、種々の形状を採用することができる。表示部21aをタッチパネルとして構成し、タッチパネルを操作部21gとして機能させることもできる。
【0022】
黒球22は、筐体21の上側に配置された黒色の球体である。黒球22は、筐体21から上側に突出するように設けられている。黒球22は、熱中症計2の通常使用時には、筐体21よりも上側になるように配置される。黒球22の内部には、温度センサが設けられている。この温度センサは、黒球22内部における温度(黒球温度)を検出し輻射熱を得るセンサである。
【0023】
温度センサ部23は、例えば、筐体21から下方に突出する位置に設けられた柱状のものである。温度センサ部23は、周囲には温度センサ部23内外と連通する複数の孔部23aが形成されており、気温を検出する温度センサを内部に備えている。また、熱中症計2は、湿度を検出する湿度センサを備えている。湿度センサは、例えば、筐体21内部における通気孔21cまたは通気孔21dの近傍に配置されている。
【0024】
センサカバー24は、温度センサ部23を保護するものである。センサカバー24は、例えば、温度センサ部23の前側を保護するセンサカバー24aと、温度センサ部23の後側を保護するセンサカバー24bとから成る。各センサカバーの端部が筐体21に取り付けられ支持されている。
【0025】
「取付部について」
次に、熱中症計2が有する取付部3について、上述した
図3、4に加え、
図6乃至
図9を参照して説明する。
図6は取付部3の構成例を説明するための正面図、
図7は取付部3の構成例を説明するための右側面図、
図8は取付部3の構成例を説明するための左側面図、
図9は取付部3の構成例を説明するための平面図である。なお、以下になされる取付部に関する説明では、
図6を基準にして上下、左右方向を規定する。また、電池蓋21eを基準にして電池蓋21eから筐体21の内部に向かう方向(
図6における奥行き方向)を内側または前方側と称し、反対側(筐体21の背面方向であり、
図6における手前方向)を外側または後方側と称し、
図7乃至
図9でも同様の表現を適宜、使用する。
【0026】
取付部3は、連結部31と係合部32とを有している。連結部31は、筐体21と係合部32とを連結するためのものである。一実施形態における連結部31は、例えば、円筒状の部材がL字状に折り曲げられた形状を成している。連結部31は、電池蓋21eの背面から外側(第1の方向の一例)に突出する突出部31aと、突出部31aを途中から下方に折り曲げられることにより形成される折曲部31bとを有している。
【0027】
この連結部31を介して係合部32が筐体21に対して連結されている。係合部32は、例えば、突出部31aが突出する方向に対して略直交する方向(第2の方向の一例)に延在し、折曲部31bの先端付近に接続されている円筒状の部材である。折曲部31bの中央付近等に係合部32が接続されていてもよい。係合部32は、熱中症計2をホルダ1に装着した際に受け部13aと係合し、受け部13aにより保持されるものである。なお、連結部31および係合部32は、樹脂成形等により一体的に形成してもよく、別々に形成しネジ等の結合部材、組み付け、接着、溶接等により接続するようにしてもよい。
【0028】
連結部31の内側の周面には、回転防止部の一例である回転防止用突起33が設けられている。回転防止用突起33は、底壁33aを有する突起であり、熱中症計2がホルダ1に取り付けられた際に熱中症計2が前後方向(ヘルメットに対面する方向)に回転してしまうことを防止するものである。熱中症計2をホルダ1に装着した際に、ホルダ1の切り込み15の底部15aに対して底壁33aが当接する。
【0029】
取付部3は、さらに、1または複数の突起部を有している。突起部は、ヘルメットの表面に当接することで、ホルダ1に取り付けられた熱中症計2の姿勢を安定して保つ役割を果たす。取付部3は、例えば3個の突起部を有している。具体的には、取付部3は、突出部31aと折曲部31bとの境界付近における外側表面から、突出部31aの突出方向と同方向に突出する突起部35aを有している。また、取付部3は、係合部32の外側表面に形成された略平坦な箇所の両端付近から、突出部31aの突出方向と同方向に突出する突起部35b、35cを有している。各突起部の先端は、やや丸みを帯びた形状を成している。
【0030】
3個の突起部のうち、通常使用時の熱中症計2の姿勢において相対的に上方に形成された突起部35aの大きさが、下方に形成される突起部35b、35cの大きさより大きくなるように、各突起部の大きさが設定されている。突起部の大きさは、例えば、突起部の突出方向における長さにより規定することができる。換言すれば、3個の突起部のうち、相対的に上方に形成された突起部35aの先端が、下方に形成される突起部35b、35cの先端より外側に位置するように、各突起部の大きさが設定されている。なお、略同じ高さ位置に形成されている突起部35b、35cの大きさは略同じ大きさに設定されている。
【0031】
なお、熱中症計2の電気的な構成についての説明は省略するが、例えば、上述した特許文献1に開示された内容を適用することができる。
【0032】
「使用状態について」
次に、
図10および
図11を参照して、本発明の一実施形態における熱中症計2の使用状態の一例について説明する。
図10は使用状態の概要を説明するための図であり、
図11はヘルメットに装着されたホルダ1に対して、熱中症計2が装着された状態を示す図である。なお、
図11では、ヘルメットの一部のみを図示している。
【0033】
概略的に説明すれば、
図10に示すように、ヘルメット4の左右方向のいずれかにホルダ1が装着される。ヘルメット4に装着されたホルダ1に対して熱中症計2を取り付けることができ、また、熱中症計2をホルダ1から取り外すことができる。
【0034】
図11を参照して、ヘルメット4に対するホルダ1の取付方法およびホルダ1に対する熱中症計2の取付方法を説明する。なお、以下になされる熱中症計2の使用状態の説明では、
図11における右側(ヘルメット4を装着するユーザ側)を内側と称し、反対の左側を外側と適宜、称する。
【0035】
ホルダ1は、例えば以下のようにしてヘルメット4に装着することができる。ヘルメット4の外周縁42に対してホルダ1を下方から差し込み、底壁11の誘い部11a付近を内側に向かって弾性変形させながら隙間を広げ、ヘルメット4の外周縁42を底壁11により形成される内部空間内に挿入する。この操作により、ヘルメット4の外周縁42が底壁11により挟持されるとともに、湾曲部16a、17a付近がヘルメット4の外側面41に押し当てられるような状態でホルダ1がヘルメット4に装着される。なお、
図11に示すように、ヘルメット4の外周縁42に鍔部が形成されている場合には当該鍔部が鍔受け部12により係止されるため、ホルダ1をヘルメット4に確実に装着することができる。
【0036】
ヘルメット4に装着されたホルダ1に対して、例えば、以下のようにして熱中症計2を取り付けることができる。熱中症計2の突出部31aをホルダ1の上方から切り込み15に挿通させるとともに、係合部32を押さえ片16、17の内側に配置する。そして、熱中症計2を下方に押し込む。このとき、係合部32が押さえ片16、17の湾曲部16a、17aを内側から外側に押しのけるようにして押さえ片16、17を弾性変形させつつ、係合部32が下方に向かって挿入される。
【0037】
そして、係合部32が受け部13aに収納、保持されるとともに、押さえ片16、17が弾性変形前の位置に戻ろうとする。以上の操作により、係合部32が受け部13aおよびヘルメット4により挟持される。このように、係合部32をあたかもペン等のようにして熱中症計2をホルダ1に取り付けることができる。なお、熱中症計2をホルダ1に取り付けた状態では、回転防止用突起33の底壁33aが、ホルダ1の切り込み15における底部15aに当接する。
【0038】
反対に熱中症計2をホルダ1から取り外すときは、熱中症計2を上方に向けて移動させ、押さえ片16、17を内側から外側に向けて弾性変形させながら熱中症計2を取り外せばよい。ホルダ1は、ペン等を容易に着脱できるように構成されたものである。このため、大きな力を必要としないで、且つ、ヘルメット4をしたまま熱中症計2をホルダ1から簡単に取り付けることができる。また、ヘルメット4をしたまま熱中症計2のみを取り外すことができる。ホルダ1から熱中症計2を取り外して、熱中症計2の表示部21aに表示された内容を確認することができる。自分自身ではなく、
図10に示すように熱中症計2をホルダ1に装着したまま、他の作業者が表示部21aに表示された内容を確認してもよい。
【0039】
なお、本発明の一実施形態では熱中症計2の取付部3に突起部35a、35b、35cを設けている。
図11に示すように、各突起部の先端がヘルメット4の表面に当接することで、熱中症計2が傾くことを防止し熱中症計2を略直立した状態で保持することができる。さらに、上方に位置する突起部35aの大きさを、下方に位置する突起部35b、35cの大きさより大きくすることで、通常、曲面とされるヘルメットの表面に各突起部の先端を確実に当接させることができる。以上のように、各突起部を設けることにより、様々な形状のヘルメットに対して熱中症計2を安定した姿勢で保持することが可能となる。
【0040】
また、本発明の一実施形態では、熱中症計2の取付部3に回転防止用突起33を設けている。この回転防止用突起33をホルダ1に形成された平面(この例では底部15a)に当接させることにより、熱中症計2自身の重さ(自重)や衝撃等によりヘルメット4のユーザの左右方向に熱中症計2が回転してしまうことを防止できる。
【0041】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0042】
回転防止用突起33の突起の形状や形成位置は、上述した一実施形態に限定されるものではない。また、係合部32に回転防止部を設けてもよい。例えば、
図12Aに示すように、係合部32に板状部材51を接続した構成でもよい。
図12Bに示すように、ホルダ1に熱中症計2を取り付けた状態で、板状部材51をホルダ1とヘルメット4との間に配置する。これにより、例えば熱中症計2が左右方向に回転する場合に、板状部材51がヘルメット4の外側面や内壁10aに当接し、熱中症計2が回転してしまうことを防止できる。板状部材51を設けた場合に、回転防止用突起33は設けてもよく設けなくてもよい。すなわち、連結部31および係合部32の少なくとも一方に回転防止部が設けられていればよい。
【0043】
上述した実施形態では、取付部3の突出部31aが筐体21の背面にある電池蓋21eから突出する構成としたがこれに限定されるものではない。例えば、筐体21の底面付近から下方や斜め下方向に突出部31aが突出してもよい。突出部31aは、筐体21とホルダ1との間に所定間隔(クリアランス)を設けるものであれば、その形成位置、長さ等が特定のものに限定されるものではなく、突出部31aを含む連結部31の形状は適宜、変更することができる。
【0044】
上述した一実施形態では、取付部に突起部35a、35b、35cを設ける構成としたが、これに限定されるものではない、突起部35aのみでもよく、突起部35bおよび突起部35cのみでもよい。すなわち、連結部31および係合部32の少なくとも一方に突起部が形成されていればよい。また、ホルダ1を介して熱中症計2をヘルメット4に取り付けた際に、例えば表示部21aの画面が他者から見やすい位置となるべく略垂直した状態で熱中症計2を保持できるのであれば、突起部35の形状、個数、形成位置等が特定のものに限定されるものではない。
【0045】
本発明における測定装置を取付可能なホルダは、上述したホルダ1に限定されるものではない。ペン等を保持する受け部を有するホルダに対して、本発明の測定装置を取り付けることができる。係合部32の形状は、受け部に保持される形状であれば円筒状に限定されるものではなく、断面が矩形や多角形でもよい。なお、ペン等を保持する用途でホルダ1を使用する場合は、熱中症計2と同様にしてペン等を受け部13aに差し込めばよい。
【0046】
本発明の測定装置は、鍔がある工事用のヘルメットに限定されるものではなく、鍔がない工事用のヘルメットに取り付けることも可能である。また、本発明の測定装置は、バイク、自転車に乗る際に装着されるヘルメットにも取り付けることができ、頭部を保護する保護帽に広く適用可能である。また、本発明の測定装置は熱中症計に限定されるものではなく、温度計、騒音計測装置、ガス濃度計測装置、放射能計測装置等の他の測定装置に対しても適用することができる。
【0047】
上述した一実施形態では、取付部3が筐体21に接続された構成として説明したが、取付部3が筐体21に着脱自在でもよい。すなわち、ホルダ1に熱中症計2を取り付ける場合にのみ筐体21に取付部3を取り付けるようにし、その他の場合には、熱中症計2をそのまま携帯してもよく、首から紐等によりぶら下げるようにしてもよい。このようにして、様々な用途に応じて熱中症計2を使用することができる。