(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6475992
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】穿孔工具
(51)【国際特許分類】
B26F 1/16 20060101AFI20190218BHJP
B23B 51/00 20060101ALI20190218BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
B26F1/16
B23B51/00 M
B23B51/04 T
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-13253(P2015-13253)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-137538(P2016-137538A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年9月28日
【審判番号】不服2017-18915(P2017-18915/J1)
【審判請求日】2017年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】515024689
【氏名又は名称】環境開発興業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591065549
【氏名又は名称】福岡県
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】笠置 政治
(72)【発明者】
【氏名】永野 太
(72)【発明者】
【氏名】永松 久喜
(72)【発明者】
【氏名】谷川 義博
(72)【発明者】
【氏名】安部 年史
【合議体】
【審判長】
刈間 宏信
【審判官】
中川 隆司
【審判官】
平岩 正一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−7761(JP,A)
【文献】
特表2012−518549(JP,A)
【文献】
特開2014−108476(JP,A)
【文献】
特開平2−175730(JP,A)
【文献】
特開平2−139109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F1/16,B23B51/00-51/04,F16L41/00-41/18,F16L55/16,E03F7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設管の内周面を被覆しているガラス繊維強化プラスチック製のライニング材を該埋設管内部から穿孔する穿孔装置に装着され、前記ライニング材を切削する穿孔工具であって、
前記埋設管の半径方向が回転軸の方向とされ、前記回転軸回りに回転しながら該回転軸の方向に移動するホルダーと、矩形板状とされ、前記ホルダーに脱着可能に取り付けられる溶解ハイスからなる複数の切削刃とを備えることを特徴とする穿孔工具。
【請求項2】
請求項1記載の穿孔工具において、前記切削刃の長辺方向が前記回転軸の方向となるように、前記切削刃が前記ホルダーに装着され、
前記ライニング材に接触する、前記切削刃の長辺方向先端部が該ライニング材を切削する切削部とされ、前記切削部における前記回転軸方向のすくい角が6°以上12°以下とされていることを特徴とする穿孔工具。
【請求項3】
請求項2記載の穿孔工具において、前記切削刃の短辺方向が前記回転軸と直交する方向となるように、前記切削刃が前記ホルダーに装着され、
少なくとも2枚の前記切削刃について、前記回転軸側に位置する、前記切削刃の長辺先端が該長辺基端に比べて前記回転軸から遠い位置にあり、前記長辺と前記回転軸とが成す角度が1°超8°未満であることを特徴とする穿孔工具。
【請求項4】
請求項2又は3記載の穿孔工具において、前記切削部における前記回転軸方向のすくい面及び逃げ面によって構成される稜線が面取りされ、面取り面の幅が0.3mm以上とされていることを特徴とする穿孔工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水管等の埋設管の内周面を被覆しているライニング材を該埋設管内部から穿孔する穿孔装置に装着され、ライニング材を切削する穿孔工具に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水管等の埋設管を更生(補修)するため、埋設管の内周面にFRP(繊維強化プラスチック)などの熱硬化性合成樹脂をライニングするオールライナー工法(登録商標)が開発され、実用に供されている(特許文献1参照)。オールライナー工法の手順は以下の通りである(
図6参照)。
(1)未硬化の熱硬化性合成樹脂を含む筒状体53をマンホール21から埋設管本管20内に挿入し、筒状体53を埋設管本管20内に引き込む。なお、筒状体53内には供給ホース54が予め挿入されている。
(2)地上に駐車しているボイラー車52から供給ホース54を通して筒状体53内を水で満たし、筒状体53を埋設管本管20の内周面に押し付ける。
(3)この状態で、筒状体53内の水をボイラー車52で吸い上げて加熱し、加熱された水を再び筒状体53内に戻し、筒状体53内の熱硬化性合成樹脂を硬化させる。
(4)熱硬化性合成樹脂が硬化するのを待って筒状体53内の水を吸い上げ、その後、筒状体53両端部の切断及び供給ホース54の回収を行う。
【0003】
埋設管本管には多数の枝管が接続されている。そのため、埋設管本管の内周面をライニングすることにより、枝管との接続部がライニング材で塞がれることになる。そこで、例えば特許文献2では、複数の切削刃を有する穿孔工具を回転させて穿孔作業を行う切削モーター部と、切削モーター部を埋設管本管の半径方向に移動させるリーチシリンダー部と、切削モーター部及びリーチシリンダー部を支持するエクステンションシリンダーロッドと、エクステンションシリンダーロッドを埋設管本管の軸方向へ進退させるエクステンションシリンダーとを備える既設管の旋削装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−234159号公報
【特許文献2】特開2003−285221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、更生した下水管の強度を増すため、ライニング材にGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)が使用されるようになってきた。このようなGFRP製更生管はガラス繊維で強化されているため、従来の穿孔工具を使用した場合、切削刃の摩耗が激しく、穿孔時間も従来のFRP製更生管の5倍程度の時間を要している。また、従来の穿孔工具は、ホルダーと切削刃が一体となっているため、4枚刃の1枚でも破損摩耗すると、穿孔工具自体を新しいものと取り替えなければならなかった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来に比べて高能率な穿孔が可能で、破損摩耗した切削刃のみの交換が可能な穿孔工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、埋設管の内周面を被覆している
ガラス繊維強化プラスチック製のライニング材を該埋設管内部から穿孔する穿孔装置に装着され、前記ライニング材を切削する穿孔工具であって、
前記埋設管の半径方向が回転軸の方向とされ、前記回転軸回りに回転しながら該回転軸の方向に移動するホルダーと、矩形板状とされ、前記ホルダーに脱着可能に取り付けられる溶解ハイスからなる複数の切削刃とを備えることを特徴としている。
【0008】
切削刃には超硬合金製の切削刃が広く用いられている。しかし、後述するように、超硬合金製の切削刃を穿孔工具に装着してGFRP製ライニングの穿孔試験を行ったところ、穿孔に4分近く要し、穿孔時の振動も大きかった。そこで、高速度工具鋼からなる切削刃を製作してGFRP製ライニングの穿孔試験を行うこととした。
高速度工具鋼はハイス鋼とも呼ばれ、製法の違いによって粉末ハイスと溶解ハイスに分類される。一般に、粉末ハイスのほうが溶解ハイスに比べて強靱で、耐摩耗製に優れ、疲労に強く靭性に富んだ鋼材となる。寿命も粉末ハイスのほうが溶解ハイスに比べて長くなる。
そこで、粉末ハイス製の切削刃を穿孔工具に装着してGFRP製ライニングの穿孔試験を行ったが、穿孔に4分強かかり、穿孔時の振動も認められた。一方、溶解ハイス製の切削刃を穿孔工具に装着してGFRP製ライニングの穿孔試験を行ったところ、1分強で穿孔が完了し、穿孔時の振動も少なかった。上記試験結果は当業者の技術常識を覆すものであり、本発明者等によって得られた知見である。
【0009】
上記試験結果に基づき、本発明に係る穿孔工具では、切削刃が溶解ハイス製とされている。加えて、本発明に係る穿孔工具では、切削刃がホルダーに脱着可能に取り付けられるので、破損摩耗した切削刃のみの交換が可能である。
【0010】
また、本発明に係る穿孔工具では、前記切削刃の長辺方向が前記回転軸の方向となるように、前記切削刃が前記ホルダーに装着され、
前記ライニング材に接触する、前記切削刃の長辺方向先端部が該ライニング材を切削する切削部とされ、前記切削部における前記回転軸方向のすくい角が6°以上12°以下とされていることを好適とする。
【0011】
切削部における回転軸方向のすくい角が6°未満であると、穿孔時間が2分以上となり、穿孔時の振動や音も大きくなる。
一方、切削部における回転軸方向のすくい角が12°超であると、くさび効果が大きくなり過ぎて穿孔装置に掛かる負荷が過大となる。
【0012】
また、本発明に係る穿孔工具では、前記切削刃の短辺方向が前記回転軸と直交する方向となるように、前記切削刃が前記ホルダーに装着され、
少なくとも2枚の前記切削刃について、前記回転軸側に位置する、前記切削刃の長辺先端が該長辺基端に比べて前記回転軸から遠い位置にあり、前記長辺と前記回転軸とが成す角度が1°超8°未満であることを好適とする。
【0013】
回転軸側に位置する長辺と回転軸とが成す角度が1°以下であると、切削された円盤状のライニング材が落下せず、ホルダー内に嵌入する(以下、「コア詰まり」と呼ぶ。)ため、切削されたライニング材を作業員がホルダーから取り除かなければならない。
一方、回転軸側に位置する長辺と回転軸とが成す角度が8°以上であると、切削時の振動が大きく切削に支障を来すことがある。
【0014】
また、本発明に係る穿孔工具では、前記切削部における前記回転軸方向のすくい面及び逃げ面によって構成される稜線が面取りされ、面取り面の幅が0.3mm以上とされていることを好適とする。
【0015】
すくい面及び逃げ面によって構成される稜線を面取りし、面取り面の幅を0.3mm以上とすることによって、穿孔時の振動が減少し、穿孔時間を短縮することができる。面取り面の幅が0.3mm未満であると、切削当初、切削刃がライニング材に食い付きすぎて振動が発生する。
なお、面取り面の幅の最大値は2mm程度とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る穿孔工具では、複数の切削刃が溶解ハイス製とされ、ホルダーに脱着可能に取り付けられるので、従来に比べて高能率な穿孔が可能で、破損摩耗した切削刃のみの交換が可能である。これにより、穿孔作業の効率化及び穿孔作業に要する費用の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る穿孔工具が装着された穿孔装置の斜視図である。
【
図2】同穿孔工具が装着された穿孔装置によるライニング材の穿孔方法を説明するための模式図である。
【
図3】同穿孔工具の斜視図及び切削刃先端部の拡大図である。
【
図4】(A)は同穿孔工具を構成するホルダーの平面図、(B)は同ホルダーの立面図である。
【
図5】(A)は同穿孔工具を構成する切削刃の正面図、(B)は同切削刃の側面図、(C)は同切削刃の平面図である。
【
図6】オールライナー工法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
【0019】
本発明の一実施の形態に係る穿孔工具11が装着された穿孔装置10を
図1に示す。
穿孔装置10は、埋設管の内周面を被覆するライニング材を切削する穿孔工具11と、穿孔工具11を保持し穿孔工具11を回転させる回転部14と、回転部14を保持し回転部14を埋設管の半径方向に移動させるリフト部15と、リフト部15を保持しリフト部15を埋設管の軸方向に移動かつ埋設管の周方向に回動させる円筒状の胴体部16とを備えている。また、胴体部16の両側部にはそれぞれ車輪18が取り付けられ、胴体部16の上部には、埋設管の半径方向に延びるアウトリガー17が装備されている。
【0020】
埋設管本管20を被覆するライニング材23を、埋設管本管20内から穿孔装置10を用いて穿孔する方法について
図2を用いて説明する。なお、地中に埋設された埋設管本管20には、地上から延びる複数の枝管22が接続され、枝管22と埋設管本管20との接続部はライニング材23で塞がれている。また、埋設管本管20の両端には、上方に開口するマンホール21がそれぞれ設置されている。
【0021】
(1)穿孔装置10の前端部(穿孔工具11が装着されている側)と、ライト等の光源を有するカメラ26が搭載されたカメラ装置25の後端部(カメラ26が搭載されている側)とをワイヤー24で連結する。カメラ26のレンズは、後方の穿孔装置10に向けられている。なお、便宜上、穿孔装置10に対してカメラ装置25のある側を「前」側、カメラ装置25に対して、穿孔装置10のある側を「後」側とする。
(2)穿孔装置10の後端部とカメラ装置25の前端部にそれぞれワイヤー24を取り付け、穿孔装置10及びカメラ装置25をマンホール21から埋設管本管20内に挿入する。なお、穿孔装置10の後端部に取り付けられたワイヤー24は穿孔装置10の後方に設置されているマンホール21から地上に引き出され、カメラ装置25の前端部に取り付けられたワイヤー24はカメラ装置25の前方に設置されているマンホール21から地上に引き出されている。
【0022】
(3)カメラ装置25に搭載されているカメラ26で穿孔装置10の位置を確認しながら、カメラ装置25の前端部に取り付けられたワイヤー24を引っ張り、カメラ装置25及び穿孔装置10を埋設管本管20内で前進させる。そして、穿孔装置10が枝管22と埋設管本管20との接続部に到達した時点で穿孔装置10の前進を停止する。
(4)穿孔装置10に装備されているアウトリガー17をライニング材23に向けて延ばし、アウトリガー17でライニング材23を押圧することにより、穿孔装置10の胴体部16を固定する。
【0023】
(5)胴体部16に対してリフト部15を埋設管本管20の軸方向に移動かつ埋設管本管20の周方向に回動させ、穿孔工具11を枝管22に対峙させる。
(6)回転部14を作動させて穿孔工具11を回転させつつ、リフト部15を作動させて穿孔工具11を埋設管本管20の半径方向外側に移動させ、ライニング材23に孔をあける。
【0024】
穿孔工具11の全体形状を
図3に示す。同図に示すように、穿孔工具11は、穿孔装置10の回転部14の回転軸(図示省略)に装着されるホルダー12と、ホルダー12にボルト19で脱着可能に取り付けられる複数(本実施の形態では4枚)の切削刃13とから構成されている。
【0025】
図4(A)、(B)にホルダー12の形状を示す。ホルダー12は、平面視六角形状のベース28と、ベース28の上面に形成された円盤状のプレート27(直径80mm程度)と、プレート27の周縁部に形成された複数(本実施の形態では4個)の立設部29とから構成されている。
【0026】
プレート27の中心が回転軸の軸芯30とされ、隣接する立設部29と軸芯30とが成す角度は90°とされている。各立設部29は部分円筒形状とされ、切削刃13を固定するボルト19が螺入するボルト孔32が2箇所形成されている。また、切削時におけるライニング材との摩擦を低減するため、立設部29の頂部は、切削刃13が装着される側から非装着側に向けて下方に傾斜している(
図4(B)参照)。
【0027】
ホルダー12は、埋設管本管20の半径方向を回転軸(軸芯30)の方向とし、回転軸回りに回転しながら回転軸の方向に移動する。
なお、ホルダー12の回転方向は、穿孔工具11の移動方向に対して右回り、即ち右ねじの方向である。従って、
図4(A)に示したホルダー12の平面図では、ホルダー12の回転方向は反時計回りとなる。
【0028】
図5(A)〜(C)に示すように、切削刃13は矩形板状(短辺長さ:10mm程度、長辺長さ:30mm程度、厚さ:3mm〜5mm程度)とされ、板材の中央部には、ボルト19が挿通するボルト孔33が長辺方向に2箇所設けられている。
切削刃13の材種は溶解ハイスであり、SKH57などを使用することができる。
【0029】
各切削刃13は、ホルダー12の立設部29の一方の側面(ホルダー12回転方向がわ側面)にボルト19で固定される。これにより、切削刃13の長辺方向が回転軸(軸芯30)の方向、かつ切削刃13の短辺方向が回転軸と直交する方向となる。
【0030】
切削刃13の長辺方向先端部の回転軸から遠い部位が、ライニング材に接触してライニング材を切削する切削部31とされている。切削部31は、穿孔工具11の移動方向及び回転方向に向けて凸となる。
切削刃13の厚さは、切削部31のある長辺方向先端部に比べて長辺方向基端部が薄く(
図5(B)参照)、かつ切削部31のある短辺方向側部位に比べて切削部31の無い短辺方向側部位が薄くなっている(
図5(C)参照)。即ち、切削刃13は、切削部31に向けて板が厚くなっている。
【0031】
穿孔工具11が移動と回転を行いながらライニング材を切削していくため、切削刃13に設けられた切削部31のすくい角α及び逃げ角γは、穿孔工具11の回転軸方向と回転軸直交方向それぞれについて設定しなければならない。
本実施の形態では、切削部31における回転軸方向のすくい角α
Aは6°〜12°、逃げ角γ
Aは14°〜16°とされ(
図5(B)参照)、切削部31における回転軸直交方向のすくい角α
Vは1°〜3°とされている(
図5(C)参照)。また、回転軸直交方向の逃げ角γ
Vは短辺方向両側部にそれぞれ設けられ、7°〜9°とされている(
図5(C)参照)。
【0032】
また、本実施の形態では、
図5(A)に示すように、回転軸側に位置する、切削刃13の長辺先端Pが長辺基端Qに比べて回転軸から遠い位置にあり、長辺と回転軸とが成す角度β(以下、「内側長辺傾斜角」と呼ぶ。)が1°超8°未満とされている。
さらにまた、
図3の拡大図に示すように、切削部31における回転軸方向のすくい面34と逃げ面35によって構成される稜線が面取りされ、面取り面36の幅(以下、「マージン幅」と呼ぶ。)が0.3mm以上とされている。
【0033】
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、切削刃の枚数を4枚としているが、3枚あるいは5枚以上でもよい。また、上記実施の形態では、全ての切削刃について、内側長辺傾斜角を設定したが、少なくとも2枚の切削刃について内側長辺傾斜角を設定すればよい。
【実施例】
【0034】
本発明の効果について検証するために実施した検証試験について説明する。
穿孔工具を穿孔装置に取り付けて、直径600mm、厚さ20mmの円筒状GFRP内に挿入し、穿孔試験を実施した。なお、下水配管の場合、埋設管本管の内径は270mm〜600mm程度、GFRPの厚さは7mm〜20mm程度である。
【0035】
穿孔試験の評価は、穿孔時間及び穿孔時の振動等に基づいて行った。具体的には、穿孔時間が2分以下の場合、総合評価は○、2分超3分以下の場合、総合評価は△、3分超の場合、総合評価は×とした。その際、穿孔時の振動及び/又は音が小さければ、1ランク上げ(例えば○→◎)、穿孔時の振動・音が大きければ1ランク下げた(例えば○→△)。
【0036】
切削刃の材種が穿孔作業に及ぼす影響について実施した第1試験の結果を表1に示す。
実施例1に使用した溶解ハイスはSKH57、比較例1に使用した超硬合金はK20、比較例2に使用した粉末ハイスはHAP10である。
全ての試験体について、切削刃の回転軸方向のすくい角は10°、逃げ角は15°、回転軸直交方向のすくい角は2°、逃げ角は8°とした。また、全ての試験体について、内側長辺傾斜角は0°、マージン幅は0mmとした。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1は穿孔時間が2分以下で、穿孔時の振動も小さかったので、総合評価を◎とした。一方、比較例1及び2は、穿孔時間が3分超、かつ振動も大きかったので、総合評価を×とした。
【0039】
また、切削刃の回転軸方向のすくい角、内側長辺傾斜角、及びマージン幅が穿孔作業に及ぼす影響について、切削刃の材種を溶解ハイスSKH57として実施した第2試験の結果を表2に示す。
なお、第2試験における穿孔試験の総合評価は、上述した評価方法に加えて、コア詰まりについても考慮した。
【0040】
【表2】
【0041】
第2試験により以下のことが判明した。
・切削刃の回転軸方向のすくい角が6°以上12°以下であると、切削時間が2分以下となる(実施例2〜6)。特に、実施例4、5は、切削時の振動も小さく、コア詰まりも発生しなかった。一方、切削刃の回転軸方向のすくい角が6°未満であると、切削時間が2分超となる(実施例7参照)。
・内側長辺傾斜角が1°以下であると、コア詰まりが発生する(実施例2、3)。
・マージン幅が0.3mm未満であると、切削当初、切削刃がライニング材に食い付きすぎて振動が発生する(実施例2)。
【符号の説明】
【0042】
10:穿孔装置、11:穿孔工具、12:ホルダー、13:切削刃、14:回転部、15:リフト部、16:胴体部、17:アウトリガー、18:車輪、19:ボルト、20:埋設管本管、21:マンホール、22:枝管、23:ライニング材、24:ワイヤー、25:カメラ装置、26:カメラ、27:プレート、28:ベース、29:立設部、30:軸芯、31:切削部、32、33:ボルト孔、34:すくい面、35:逃げ面、36:面取り面