特許第6476032号(P6476032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476032
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/08 20060101AFI20190218BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B65D5/08
   B65D5/66 301H
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-63666(P2015-63666)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-182968(P2016-182968A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】岡野 亮太
(72)【発明者】
【氏名】内田 直樹
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 特表平07−509205(JP,A)
【文献】 特開平08−080936(JP,A)
【文献】 特開2005−335751(JP,A)
【文献】 実開昭53−098025(JP,U)
【文献】 米国特許第03365114(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を折り曲げることにより形成され、角筒状の胴部を形成する二枚の側壁板と二枚の端壁板と、前記胴部の下方開口を塞ぐ底面板と、前記二枚の側壁板の上端にそれぞれ連接された二枚の蓋板と、前記二枚の蓋板の側端と前記端壁板の上端とに連接された二枚の連結板とを有し、
前記連結板は前記端壁板の上端に連接された受け部と前記蓋板の側端に連接された二枚の重ね部とからなり、
前記蓋板を下端で内側に折り曲げて前記胴部の上方開口を塞ぐと同時に前記連結板の前記重ね部を前記受け部との境界で内側に折り曲げ、さらに、前記受け部を下端で外側に折り曲げると同時に前記重ね部を側端で折り曲げることにより、前記連結板を下方に折り倒す包装箱であって、
前記受け部と前記重ね部との境界と、前記受け部の下端とのなす角度が45°を超え47°以下であり、
前記重ね部を前記受け部との境界で折り曲げた時、前記連結板の二枚の重ね部がそれぞれ部分的に重なり合う領域を有し、
前記重ね部の前記重なり合う領域には、前記蓋板の側端より略コの字型に切断されて前記側端より突出する突出片と、前記突出片の突出側端辺を開口端の一部とする切り抜きと、が形成されており、
前記連結板の二枚の重ね部が互いに重なり合った時、それぞれに形成された前記突出片と前記切り抜きとが互いに重なることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記連結板を下方に折り倒した時、受け部が湾曲状に反ることによって前記受け部と前記重ね部との境界が前記端壁板の上端を支点として前記端壁板に近づく方向に応力を受けることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記受け部と前記重ね部との境界と、前記受け部の下端とのなす角度が46°以上47°以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記受け部は、下端を下底とする台形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記蓋板の側端に沿った方向において、前記受け部の下端から前記突出片と前記切り抜きの中心までの距離が、前記端壁板の上端の長さの1/2よりも1mm〜3mm短いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記突出片を形成する前記略コの字型の切断線は、その両端が前記蓋板の側端を超えた前記蓋板内に位置するように、前記連結板側から前記蓋板側に延長して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は商品の包装に用いる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗での商品の包装に、厚紙や段ボール等からなる包装箱が利用されており、特許文献1には、シート材を折り曲げて形成される包装箱が開示されている。このような形態の包装箱は、使用直前までは折り畳んで嵩張らない状態で保管し、包装時に容易に箱状に成形することができることから、広く利用されている。
【0003】
特許文献1に開示されている包装箱は、前板及び後板と二枚の側板とからなる角筒状の胴部と、該胴部の下方開口を塞ぐ底板と、上方開口を塞ぐ二枚の蓋板とが一枚のシート材からなり、二枚の蓋板は側板の上端に連接された折畳板で互いに連接されている。折畳板は、側板の上端を底辺とする直角二等辺三角形の折込板と、蓋板の側端に連接され折込板とは斜折線を介して連接されている一対の重ね板とからなる。商品を包装する際には、胴部の下方の開口を底板で塞いだ後、商品を収納し、蓋板を閉じるが、この時、折畳板を斜折線で折り曲げて折込板と重ね板とを重ね合わせ、三角形状となった折畳板を側板の上端から折り倒し、三角形の先端を側板に設けた切り込みに差し込んで固定する。これにより、蓋板が胴部の上方開口を塞いだ状態で固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−76409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された包装箱においては、斜折線で折り曲げて三角形状となった折畳板は、側板の上端から折り倒して先端を下方に向けただけでは容易に浮き上がって水平方向に突出してしまい、蓋板が開いてしまうおそれがある。そのため、上記したように折畳板の三角形の先端を切り込みに差し込んで固定したり、折畳板の三角形の先端をテープやシールなどで前板及び後板に固定する必要があり、包装作業が繁雑であった。また、折畳板の三角形の先端を切り込みに差し込んでおいても、折畳板が浮き上がろうとする力によって、切り込みから先端が抜けて折畳板が浮き上がってしまう恐れがあった。また、テープやシール等を貼付した場合には開封時に係るテープやシールを剥がす手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、包装作業や開封作業が容易で、且つ、蓋板が開きにくい包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート材を折り曲げることにより形成され、角筒状の胴部を形成する二枚の側壁板と二枚の端壁板と、前記胴部の下方開口を塞ぐ底面板と、前記二枚の側壁板の上端にそれぞれ連接された二枚の蓋板と、前記二枚の蓋板の側端と前記端壁板の上端とに連接された二枚の連結板とを有し、
前記連結板は前記端壁板の上端に連接された受け部と前記蓋板の側端に連接された二枚の重ね部とからなり、
前記蓋板を下端で内側に折り曲げて前記胴部の上方開口を塞ぐと同時に前記連結板の前記重ね部を前記受け部との境界で内側に折り曲げ、さらに、前記受け部を下端で外側に折り曲げると同時に前記重ね部を側端で折り曲げることにより、前記連結板を下方に折り倒す包装箱であって、
前記受け部と前記重ね部との境界と、前記受け部の下端とのなす角度が45°を超え47°以下であり、
前記重ね部を前記受け部との境界で折り曲げた時、前記連結板の二枚の重ね部がそれぞれ部分的に重なり合う領域を有し、
前記重ね部の前記重なり合う領域には、前記蓋板の側端より略コの字型に切断されて前記側端より突出する突出片と、前記突出片の突出側端辺を開口端の一部とする切り抜きと、が形成されており、
前記連結板の二枚の重ね部が互いに重なり合った時、それぞれに形成された前記突出片と前記切り抜きとが互いに重なることを特徴とする。
【0008】
また、本発明においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
前記連結板を下方に折り倒した時、受け部が湾曲状に反ることによって前記受け部と前記重ね部との境界が前記端壁板の上端を支点として前記端壁板に近づく方向に応力を受ける。
前記受け部と前記重ね部との境界と、前記受け部の下端とのなす角度が46°以上47°以下である。
前記受け部は、下端を下底とする台形状である
記蓋板の側端に沿った方向において、前記受け部の下端から前記突出片と前記切り抜きの中心までの距離が、前記端壁板の上端の長さの1/2よりも1mm〜3mm短い。
前記突出片を形成する前記略コの字型の切断線は、その両端が前記蓋板の側端を超えた前記蓋板内に位置するように、前記連結板側から前記蓋板側に延長して形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連結板の受け部と重ね部との境界を、従来の位置からずらせることによって、折り倒された連結板が自然に下方に向くため、連結板を端壁板に固定しなくても、連結板が浮き上がりにくくなる。さらに、連結板の重ね部に突出片と切り抜きとを設けて、互いに重なり合う重ね部同士を固定することにより、連結板を端壁板に沿った状態に保持することができる。よって本発明によれば、従来よりも簡易な包装作業によって蓋体が容易に開くことがなく、開封作業も容易な包装箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の包装箱の一実施形態の展開図である。
図2図1の包装箱を成形した状態を示す斜視図である。
図3図2の包装箱を下方から見た図である。
図4図2の包装箱の蓋板を閉じた状態の連結板周辺の上面図である。
図5図2の包装箱の連結板を折り倒した状態の連結板周辺を示す斜視図である。
図6図1の展開図の連結板の部分拡大図である。
図7図2の包装箱の連結板における受け部と重ね部とを境界で切り離して蓋板を閉じた状態の連結板周辺の上面図である。
図8】連結板の二枚の重ね部に設けた突出片と切り抜きの位置をずらせた実施形態において、蓋板を閉じた状態の連結板周辺の上面図である。
図9図1の展開図の蓋板の部分拡大図である。
図10図1の包装箱の蓋板を閉じた状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、本発明は下記実施形態に限定されない。また、以下に参照する図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0012】
図1は本発明の包装箱の好ましい実施形態の展開図であり、図2図1の包装箱を商品を入れられるように成形した状態を示す斜視図である。図中の破線及び一点鎖線は折り曲げ線であり、破線は山折り線、一点鎖線は谷折り線を示す。
【0013】
本発明の包装箱は、基本的に、シート材を折り曲げることにより形成される。本発明に用いられるシート材としては、従来用いられている板紙、厚紙、段ボール、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0014】
本発明の包装箱は、角筒状の胴部100を形成する二枚の側壁板10,10と二枚の端壁板20,20と、胴部100の下方開口を塞ぐ底面板30と、側壁板10の上端11に連接された二枚の蓋板40,40と、蓋板40の側端41と端壁板20の上端21とに連接された二枚の連結板50,50とを有している。連結板50,50はそれぞれ、二枚の蓋板40の側端41,41に挟まれて連接される。
【0015】
本発明においては、先ず、図1のシート材の、側壁板10と端壁板20との境界を90°に折り曲げることにより、角筒状の胴部100を成形する。本例では、紙面左側の一方の端壁板20の一方の側端に貼着板73を連接させているため、係る貼着板73を紙面右側の側壁板10に接着剤によって接着して固定する。また、紙面左側の一方の連結板50の一方の側端には、貼着板74が連接されており、係る貼着板74を紙面右側の一蓋板40に接着剤によって接着して固定する。
【0016】
次に、底面板30を、該底面板30が連接された一方の側壁板10の下端12から90°折り曲げて胴部100の下方開口を塞ぐ。本例では、底面板30の、側壁板10に連接されている端辺12に相対する端辺31に補強板32を連接させているため、係る補強板32を端辺31で90°折り曲げて他方の側壁板10の内側に沿わせる。また、本例では、一方の端壁板20の下端22に補強板62を連接しており、係る補強板62には折り曲げ線を介して貼着板72が連接されているため、貼着板72を底面板30に接着剤で接着することにより補強板62を介して底面板30が端壁板20に連接され、補強される。
【0017】
また、本例では、他方の側壁板10の下端12に補強板60が連接されており、該補強板60を下端12で90°に折り曲げて底面板30の外側を部分的に覆うことで底面板30が補強される形態となっている。また、本例では他方の端壁板20の下端22に補強板61が連接され、補強板61には折り曲げ線を介して貼着板71が連接されているため、貼着板71を補強板60に接着剤で接着することにより補強板61を介して補強板60が他方の端壁板20に連接され、補強板60自体が補強される形態となっている。
【0018】
上記のようにして、角筒状の胴部100を成形し、胴部100の下方開口を塞ぐことで、図2に示した形態とすることができる。この状態で下方から見た図が図3であり、補強板60の紙面右下の角部を、底面板30と補強板62との隙間に差し込むことにより、強度に富んだ底部が形成される。
【0019】
本発明では、図2の状態から、折り畳んで平板状にすることができる。即ち、補強板61と貼着板71との境界、補強板62と貼着板72との境界、底面板30内の折り曲げ線でそれぞれ折り曲げ、図1の紙面左側の一方の端壁板20が一方の側壁板10に、及び、紙面右側の他方の端壁板20が他方の側壁板10に、それぞれ重なるように、それぞれの境界で折り畳んで胴部100の開口を閉じることにより、平板状とすることができる。
【0020】
図2の状態から、胴部100内に商品を収納し、蓋板40,40を閉じる際には、蓋板40を下端、即ち側壁板10の上端11で内側に90°折り曲げる。この時、連結板50,50はそれぞれ重ね部52を受け部51との境界53で内側に折り曲げて重ね、受け部51は下端、即ち端壁板20の上端21で外側に90°折り曲げる。この状態で図4に示すように連結板50は水平方向に突出する。
【0021】
さらに、受け部51を下端21でさらに90°折り曲げ、重ね部52は側端、即ち蓋板40の側端41で90°折り曲げることにより、連結板50を下方に折り倒す。この状態を図5に示す。
【0022】
ここで、本発明においては、下方に折り倒した連結板50が上方に持ち上がりにくい構成となっている。図6図7を用いて説明する。
【0023】
本発明においては、連結板50の受け部51と重ね部52との境界53と、受け部51の下端21とのなす角度θ1が、45°を超え47°以下である。従って、連結板50の受け部51と重ね部52との境界53と、重ね部52の側端41とのなす角度θ2は43°以上45°未満である。
【0024】
従来、連結板50は、折り曲げた際に受け部51の下端21と重ね部52の側端41とが一致して重なり合うように、θ1=θ2=45°の境界で折り曲げていた。本発明では、θ1をθ2よりも若干大きくすることで、従来にはない、連結板50を下方に向かわせる作用が得られる。θ1>θ2とすると、境界53の任意の位置において、境界53から受け部51の下端21までの距離L1が、境界53から重ね部52の側端41までの距離L2よりも若干長くなる。従って、受け部51と重ね部52とを境界53で切り離し、重ね部52の側端41と受け部51の下端21とが一致するように重ねた場合には、図7に示すように、境界53の位置にずれが生じる。
【0025】
本発明では、連結板50を下方に折り倒した際に、係るずれによって受け部51の中央が重ね部52から離れるように、即ち端壁板20に向かって凸となる湾曲状に反る。受け部51には係る湾曲を解消する方向に復元力が働くため、係る復元力によって、受け部51と重ね部52との境界53は端壁板20の上端21を支点として端壁板20に近づく方向に応力を受ける。よって、本発明によれば、下方に折り倒した連結板50を端壁板20に固定しなくても、下方に向いた状態が保持され、先端を切り込みに差し込んだり、テープやシールを貼付したりして固定する必要がない。
【0026】
また、重ね部52と受け部51との境界53、及び受け部51の下端21にそれぞれ予め折癖をつけておいたり、後述するハーフカットやミシン目等によって折り曲げやすくしておいたりすることで、重ね部52の側端41は成形時に既に90°に折れ曲げられて折癖がついていることから、蓋板40,40を閉じた時点で自然に重ね部52が受け部51に重なり、連結板50が下方に折れ曲がり、包装作業自体が容易になる。
【0027】
本発明においてはθ1が45°を超えた場合に上記作用が得られ、係る作用を確実に得る上で好ましくは46°以上である。また、θ1が47°を超えると、θ2との差が大きくなり過ぎて、逆に連結板50を折り倒しにくくなる傾向が見られるため、θ1は47°以下である。
【0028】
連結板50が下方に折り倒された状態が保持されると、蓋板40は側端41が連結板50に連接しているため、両側端41,41間で引っ張られた状態となり、開きにくくなる。また、折り倒された連結板50は固定されていないため、下方先端、即ち、図1の展開図における重ね部52の上端を指で外側に引っ張って持ち上げるだけで、容易に蓋板40を開けることができる。
【0029】
尚、本例において、受け部51は下端21を下底とする台形状としているが、重ね部52,52が互いに連接していない範囲で形状は特に限定されない。例えば、境界53,53の延長線上の交点を頂点とし、受け部51の下端21を底辺する二等辺三角形としてもよい。
【0030】
本発明は、以上のように受け部51と重ね部52との境界53と、受け部51の下端21とのなす角度を調整することによって、折り倒した連結板50が下方を向く作用を得ることができるが、さらに、重ね部52に突出片52aと切り抜き52bとを設けることで、折り倒した連結板50の浮き上がりを確実に抑制することができる。図4乃至図6を用いて説明する。
【0031】
本例の包装箱においては、重ね部52の側端41の長さW2が、端壁板20の上端21の長さW1の1/2よりも長く、重ね部52を境界53で折り曲げて受け部51に重ねた時、連結板50の二枚の重ね部52,52は互いに重なり合う領域を有している。本例では、この重なり合う領域内に、突出片52aと切り抜き52bが設けられている。突出片52aは重ね部52の側端41から略コの字型に切断されて形成されており、本例では好ましい形態として、突出片52aは、蓋板40の側端41を超えて蓋板40内から形成されている。また、切り抜き52bは、突出片52aの突出側端辺を開口端の一部として、突出片52aの突出側に隣接して形成されている。突出片52aと切り抜き52bは、二枚の重ね部52,52にそれぞれ、相対するように形成されている。
【0032】
本例において、重ね部52を境界53で折り曲げて受け部51に重ねると同時に、一方の重ね部52を他方の重ね部52の上に重ねた際には、図4に示すように、一方の突出片52aと他方の突出片52a、及び、一方の切り抜き52bと他方の切り抜き52bとが互いに重なり合う。この状態で受け部51を下端21で、重ね部52を側端41で、それぞれ折り曲げて連結板50を下方に折り倒すと、図5に示すように、突出片52aが蓋板40に連続して水平方向に突出した状態で、突出片52a以外の重ね部52が下方に折り倒される。この時、下方に位置する他方の突出片52aが、上方に位置する一方の突出片52aが抜けて開いた開口内に突出して該開口に嵌合し、二枚の重ね部52,52が互いに固定されると同時に、他方の突出片52aと、該突出片52aが嵌合した開口の開口端との摩擦によって、連結板50が上方に上がりにくくなる。
【0033】
本例において、突出片52aの突出方向の長さt1は3mm〜5mmである。3mm未満では嵌合が外れやすくなり、また、5mmを超えても効果に変わりはなく、逆に突出した突出片52aが邪魔になる恐れがある。尚、本例のように、突出片52aを蓋板40の側端41を超えて蓋板40から形成した場合には、蓋板40側の長さt2が1mm〜2mmとなるように形成する。この場合、t1−t2=t3が2mm以上となるように調整する。本例のように、突出片52aを蓋板40の側端41を超えて蓋板40から形成した場合には、突出片52aの切断端部(コの字の端部)が蓋板40内に位置して、折り曲げ位置となる側端41からずれるため、側端41で重ね部52を折り曲げた際に、突出片52aが重ね部52に引っ張られて折れ曲がる、或いは切断端部が千切れるなどの不都合を生じる恐れがなくなる。
【0034】
また、突出片52aの、側端41に沿った方向の長さt4は、10mm〜40mmが好ましい。t4が短すぎると強度に劣り、長すぎると重ね部52に残される領域が狭くなり、重ね部52の強度が低下してしまう。
【0035】
また、切り抜き52bは、下方に位置する突出片52aが、上方に位置する突出片52aが抜けた開口内に突出しやすいように設けられるが、側端41に沿った方向の長さt5が突出片52aの長さt4と同じ、或いは、突出片52aを挟んで0.5mm〜1mm広がる程度が好ましい。また、切り抜き52bの側端41に直行する方向の長さt6は、5mm〜30mmである。
【0036】
本例において、蓋板40の側端41に沿った方向において、受け部51の下端21から突出片52aの中心までの距離W3が、受け部51の下端21の長さW1の1/2と等しければ、重ね部52を受け部51との境界53で折り曲げた際に、二枚の重ね部52,52の突出片52a,52a、及び切り抜き52b,52bは互いにずれなく重なり合う。本例では、さらに、二枚の重ね部52,52の突出片52a,52a、及び切り抜き52b,52bがずれても良い。
【0037】
具体的には、蓋板40の側端41に沿った方向において、受け部51の下端21から突出片52aの中心までの距離W3が、端壁板20の上端21の長さW1の1/2よりも1〜3mm短くなるように、突出片52aと切り抜き52bの位置を調整する。この場合、重ね部52を受け部51との境界53で折り曲げた際には、図8に示したように、二枚の重ね部52,52の突出片52a,52a、及び切り抜き52b,52bは、蓋板40の側端41に沿った方向においてずれることになる。そのため、受け部51と重ね部52との境界53,53を互いに近づく方向(図8中の矢印Aで示される方向)に押して、下方に位置する突出片52aを上方に位置する突出片52aに完全に重ねた状態で連結板50を折り倒し、下方の突出片52aを上方の突出片52aが抜けた開口に嵌合させ、図5の状態とする。
【0038】
この場合、図5の状態で、重ね部52,52は互いに離れる方向に応力が働いており、下方の突出片52aは上方の突出片52aが抜けた開口の開口端に押圧され、該開口から抜けにくくなる。また、受け部51と重ね部52との境界53,53を互いに近づく方向に押すことで、受け部51はより湾曲に反るため、上記したように、連結板50を下方に向かわせる作用が強くなる。よって、本例では折り倒した連結板50が下方に向いた状態がより良好に保持され、蓋板40が開く恐れがなくなる。
【0039】
上記のように、本例において、重ね部52に突出片52a及び切り抜き52bを設けて二枚の重ね部52,52を互いに固定すること、さらには、突出片52a及び切り抜き52bの位置を二枚の重ね部52,52でずらせることにより、折り倒した連結板50が下方に向いた状態が良好に保持される。そして、開封時には、折り倒された連結板5の下方を向いた先端を指で外側に引っ張って持ち上げるだけで、嵌合していた突出片52aは容易に外れるため、容易に蓋板40を開けることができる。
【0040】
本発明においては、上記したように、蓋板40が容易に開かない状態が保持されるが、図9に示す蓋板40の最小幅W4を、図6に示した端壁板20の上端21の長さW1の1/2よりも長くして、蓋板40を閉じた際に、一対の蓋板40,40が互いに重なり合うようにしておくことにより、外部からの異物の混入を防ぐことができる。また、蓋板40の下端、即ち側壁板10の上端11が長い場合には、一対の蓋板40,40が互いに重なり合っていても、蓋板40の下端11の長さ方向の中央部で上方の蓋板40が浮いて下方の蓋板40との間に隙間ができやすくなる。そのため、図9に示すように、蓋板40の上端43の中央部に突出部42aを設け、該突出部42aに対応する位置に切り込み42bを設けて、蓋板40を閉じた際に、図10に示すように、上方に位置する蓋板40の突出部42aを、下方に位置する蓋板40の切り込み部42bに差し込んで固定することが好ましい。
【0041】
尚、図1に示すように、本発明においては、一対の連結板50,50を同じ構成とし、それぞれ左右対称の形状としている。また、一対の蓋板40,40も同じ構成で、左右対称の形状としている。これにより、側壁板10,10のいずれを手前にしても同様に包装することができる。
【0042】
本発明の包装箱においては、図1の展開図に示した谷折り線、山折り線での折り曲げを容易にするため、各折り線をハーフカットする、或いは、ミシン目を入れておくなどの手段を講じておいても良い。
【符号の説明】
【0043】
10:側壁板、11:側壁板の上端,蓋板の下端、12:側壁板の下端、20:端壁板、21:端壁板の上端,受け部の下端、22:端壁板の下端、30:底面板、31:底面板の端辺、32:補強板、40:蓋板、41:蓋板の側端,重ね部の側端、42a:蓋板の突出部、42b:切り込み、43:蓋板の上端、50:連結板、51:受け部、52:重ね部、52a:突出片、52b:切り抜き、53:受け部と重ね部との境界、60,61,62:補強板、71,72,73,74:貼着板、100:胴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10