(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記アイコンに設定されている基準位置を中心とした場合の、前記重症度を示す情報の表示位置の、所定の向きからの角度にて、傷病者の受入からの経過時間を示す、
請求項5に記載の傷病者受入状況情報表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一実施形態における救急医療情報システムの機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、救急医療情報システム1は、サーバ装置100と、1つ以上の救急隊員用端末装置200と、1つ以上の医療機関用端末装置300と、ネットワーク900とを具備する。
【0019】
救急医療情報システム1は、救急隊による傷病者の救急搬送を支援するシステムである。特に、救急医療情報システム1は、搬送先医療機関(受入先医療機関とも言う)決定のための情報を提供する。ここでいう医療機関は、例えば救急病院など、傷病者を受け入れて医療行為を提供可能な機関であるが、これに限らない。例えば、救急医療の受付を行うことが可能な防災センター等の医療に関連する期間が医療機関に含まれていてもよい。
救急医療情報システム1は、傷病者受入状況情報表示システムの例に該当する。
【0020】
救急隊員用端末装置200は、傷病者受入状況情報表示装置の例に該当し、医療機関による傷病者受入の履歴、当該医療機関による傷病者受入不可の履歴、および、当該医療機関からの傷病者受入可否の通知など、医療機関における傷病者受入状況を示す情報を救急隊員に提供する。なお、医療機関における傷病者受入状況を示す情報を、傷病者受入状況情報と称する。ここでいう傷病者受入の履歴は、医療機関が傷病者を受け入れた履歴である。一方、傷病者受入不可の履歴は、医療機関が傷病者を受け入れなかった履歴である。
また、救急隊員用端末装置200は、救急隊員が行う傷病者受入交渉結果の登録を受け付ける。この傷病者受入交渉結果をサーバ装置100が医療機関毎に集計して、傷病者受入の履歴、および、傷病者受入不可の履歴を生成する。
救急隊員用端末装置200は、例えばスマートフォンまたはタブレット端末など携帯型の情報機器にて実現され、救急隊員が救急隊員用端末装置200を携帯する。ただし、救急隊員用端末装置200が救急車に組み込まれるなど、携帯型の情報機器以外の形態で実現されていてもよい。
【0021】
なお、救急隊員用端末装置200が、傷病者に関する情報の入力を受け付けて医療機関用端末装置300へ送信するようにしてもよい。救急車が傷病者受入先の医療機関に到着する前に、傷病者に関する情報を当該医療機関に提供することで、医療機関において傷病者受入の準備を進めることができる。
また、救急隊員用端末装置200が、救急車および救急隊員(救急活動を行う消防署員)の出動状況を示す情報の入力を受け付けるようにしてもよい。救急車および救急隊員の出動状況を示す情報を消防本部に提供することで、出動要請を行う消防本部の担当者が、救急車および救急隊員の状況を把握し得る。
救急隊員用端末装置200は、傷病者受入状況情報表示装置の例に該当する。
【0022】
医療機関用端末装置300は、医療機関による傷病者受入可否の通知を行う。具体的には、医療機関において担当者が当該医療機関の傷病者受入可否を入力すると、入力された傷病者受入可否を、サーバ装置100を介して救急隊員用端末装置200へ通知する。
医療機関用端末装置300は、例えば、医療機関に設置されたパソコン(Personal Computer;PC)にて実現される。
【0023】
なお、医療機関用端末装置300が、医療機関に対する傷病者の受入要請への応答や、傷病者の受入準備を支援するようにしてもよい。例えば、医療機関用端末装置300が、受入要請されている傷病者の状態の情報を医療機関の担当者に提供するようにしてもよい。また、医療機関用端末装置300が、医療機関への受入が決まり搬送中の傷病者の状態の情報を、当該医療機関で当該傷病者を引き受ける医師等に提供するようにしてもよい。
【0024】
サーバ装置100は、各端末装置(救急隊員用端末装置200及び医療機関用端末装置300)から情報を集約して一括管理し、各端末装置の要求に応じて情報を提供する。サーバ装置100は、例えば、救急医療情報システム1の運営を委託された運営会社のデータセンタに設置されたコンピュータにて実現される。
【0025】
サーバ装置100が、1つの消防本部の管轄内の救急隊員用端末装置200から情報を集約するようにしてもよいし、複数の消防本部の管轄内の救急隊員用端末装置200から情報を集約するようにしてもよい。例えば、サーバ装置100が、都道府県内全域の情報を集約するようにしてもよい。一般に、都道府県内には、例えば郡市毎など複数の消防本部が設置され、各消防本部は自らの管轄内の消防署に対して救急車の出動要請を行う。
救急医療情報システム1が、都道府県内全域について医療機関における傷病者受入状況の情報を集約することで、出動する救急隊員や、出動要請を行う消防本部の担当者は、県内の医療機関の救急患者受入状況を確認でき、より迅速に搬送先医療機関を選定し得る。
【0026】
ネットワーク900は、サーバ装置100と各端末装置との通信を媒介する。
ネットワーク900は、例えばインターネット(Internet)と、携帯電話網(通信事業者がスマートフォンや携帯電話などの携帯端末装置向けに提供する通信ネットワーク)との組み合わせにて実現される。但し、ネットワーク900として、インターネットと携帯電話網との組み合わせに限らず様々な通信ネットワークを用いることができる。例えば、ネットワーク900が、救急医療情報システム1専用の回線であってもよい。
【0027】
なお、救急医療情報システム1が、消防本部に設置される消防本部用端末装置を具備していてもよい。消防本部用端末装置が、救急隊員用端末装置200から得られた各救急車の出動状況を出動要請担当者に提供することで、消防本部から各消防署の救急車に対する出動要請を支援することができる。
【0028】
図2は、救急隊員用端末装置200の機能構成の構成を示す概略ブロック図である。同図において、救急隊員用端末装置200は、通信部210と、表示部220と、操作入力部230と、位置情報取得部240と、記憶部280と、制御部290とを具備する。制御部290は、優先度決定部291と、表示態様決定部292と、表示制御部293とを具備する。
【0029】
通信部210は、ネットワーク900(
図1)に接続して通信を行う。特に、通信部210は、サーバ装置100と通信を行う。さらには、通信部210は、情報取得部の例に該当し、医療機関が直近に傷病者を受け入れた時を示す情報を含む傷病者受入状況情報を、複数の医療機関それぞれについて取得する。ここでいう「時」は、時刻であってもよいし、所定の事象発生からの経過時間であってもよい。例えば、傷病者を受け入れた時を示す情報は、傷病者を受け入れた時刻を示す情報であってもよいし、傷病者を受け入れてからの経過時間を示す情報であってもよい。
【0030】
さらには、通信部210は、医療機関が傷病者を受け入れた時と、当該傷病者の重症度とを示す情報を含む傷病者受入状況情報を取得する。さらには、通信部210は、医療機関から通知される受入不可の通知を含む傷病者受入状況情報を取得可能である。さらには、通信部210は、医療機関が傷病者を受け入れた時と、当該医療機関が傷病者の受入を断った時とを示す情報を含む傷病者受入状況情報を取得する。
【0031】
表示部220は、例えば液晶パネルなどの表示画面を有し、各種画像を表示する。特に、表示部220は、医療機関の傷病者受入に関する情報の入力画面や表示画面を表示する。
さらには、表示部220は、医療機関による傷病者受入状況の表示として、医療機関を示すアイコンを表示する。その際表示部220は、表示態様決定部292が決定した表示態様でアイコンを表示することで、医療機関における傷病者受入状況、および、医療機関からの傷病者受入可否の通知の状況を表示する。
【0032】
さらには、表示部220は、医療機関が受け入れた傷病者の重症度を示す情報を、当該医療機関を示すアイコン所定の位置を基準として当該傷病者の受入からの経過時間に応じた相対位置に表示することで、傷病者受入からの経過時間を表示する。例えば、表示部220は、アイコンに設定されている基準位置を中心とした場合の、重症度を示す情報の表示位置の、所定の向きからの角度にて、傷病者の受入からの経過時間を示す。
さらには、表示部220は、地図を表示し、当該地図における医療機関の位置に、当該医療機関を示すアイコンを表示する。これにより、救急隊員が、各医療機関の位置を把握し易くなる。
【0033】
さらには、表示部220は、アイコンに設定されている基準位置を中心として、傷病者を受け入れたこと又は受入を断ったことの表示位置の、所定の向きからの角度にて、傷病者の受入または受入を断ってからの経過時間を示す。これにより、救急隊員は、医療機関による傷病者受入、受入不可のいずれの履歴も把握することができ、さらに、傷病者受入または受入不可からの経過時間を把握することができる。
【0034】
操作入力部230は、例えば、表示部220の表示画面に設けられたタッチセンサを有する。表示部220の表示画面と操作入力部230のタッチセンサとでタッチパネルを構成してユーザ操作を受け付ける。
【0035】
位置情報取得部240は、例えばGPS機能を有して、救急隊員用端末装置200自らの位置情報を取得する。
位置情報取得部240が取得する救急隊員用端末装置200の位置情報に基づいて、制御部290が、救急隊員用端末装置200と医療機関との距離を算出することができる。例えば、優先度決定部291が、救急隊員用端末装置200と医療機関との距離を算出し、医療機関毎の優先度を決定する基準の1つとして用いることができる。なお、ここでいう救急隊員用端末装置200と医療機関との距離は、直線距離であってもよいし道のりであってもよい。
【0036】
記憶部280は、救急隊員用端末装置200の具備する記憶デバイスを用いて構成され、各種情報を記憶する。
制御部290は、救急隊員用端末装置200の各部を制御して各種機能を実現する。
優先度決定部291は、傷病者受入可否関連情報に基づいて医療機関毎の優先度を決定する。優先度決定部291が決定する優先度は、救急隊員が傷病者受入交渉相手として医療機関を選択する際の参考情報として用いられる。
【0037】
例えば、優先度決定部291は、以下の条件(1)〜(5)のうち少なくとも1つ以上に基づいて医療機関の優先順位を決定する。
(1)医療機関が、傷病者を積極的に受け入れる旨を通知している。
(2)医療機関が直近に受け入れた傷病者の重症度が低い。
(3)医療機関における直近の傷病者受入から30分以上経過している。
(4)医療機関の位置が、救急隊員用端末装置200の現在位置から近い。
(5)医療機関が傷病者受入不可に設定した時間の残り時間が短い。
【0038】
但し、優先度決定部291が用いる優先度の基準はこれに限らない。例えば、優先度決定部291が、優先度の基準として現在値からの到着時間の短い順を用いるようにしてもよい。この場合、表示部220は、各医療機関の情報は、到着時間の短い順に表示する。あるいは、優先度決定部291が、医療機関が受け入れた傷病者の重症度で優先順位付けを行うようにしてもよい。例えば、直近に受け付けた傷病者の重症度が軽いほど優先順位を高く設定するようにしてもよい。
【0039】
例えば、優先度決定部291は、条件(1)に基づいて医療機関の優先順位を決定し、優先順位が同じ医療機関について、条件(2)に基づいて優先順位を決定するというように、条件(1)〜(5)の順に適用して優先順位を決定する。
なお、条件(2)について、例えば傷病者の重症度が、死亡、軽症、中等症、重症の順に優先度を高くする。医療機関の負荷が小さいと考えられる順である。
【0040】
また、条件(5)について、医療機関は、「傷病者受入不可30分」、「傷病者受入不可60分」のように、傷病者受入不可を通知する際に時間を設定する。優先度決定部291は、設定された時間から経過時間を減算して残り時間を算出する。例えば、医療機関が傷病者受入不可30分と通知し、通知から16分経過した場合、優先度決定部291は、30分から16分を減算して残り時間14分と算出する。
【0041】
表示態様決定部292は、医療機関による傷病者受入可否の通知と、当該医療機関における直近の傷病者受入からの経過時間に基づいて、当該医療機関を示すアイコンの表示態様を決定する。
例えば、表示態様決定部292は、医療機関による傷病者受入可否の通知に基づいて、以下の色の円形のアイコンに決定する。
(a)一定時間受入不可:グレー。
(b)通知なし:水色。
(c)積極的受入:濃い青。
【0042】
例えば、表示態様決定部292は、医療機関から受入不可が通知された場合、当該医療機関を示すアイコンの色をグレーに決定する。そして、表示部220が、当該決定に基づいてグレーのアイコンを表示する。
その後、受入不可時間として設定されている時間が経過した場合に、表示態様決定部292は、当該医療機関を示すアイコンの色を水色に決定する。すなわち、表示態様決定部292は、当該アイコンの表示態様を、受入可否が通知されていない場合の表示態様として設定されている表示態様に決定する。そして、表示部220が、当該決定に基づいて水色のアイコンを表示する。このような表示変更を可能するために、医療機関用端末装置300は、傷病者受入不可の通知を送信する際、受入不可時間として設定されている時間を、傷病者受入不可の通知に含めて送信する。
なお、受入不可時間として設定されている時間が経過するまでに、当該医療機関からの受入不可の通知が再度あった場合、表示部220は、当該再度の通知に基づき、引き続きグレーのアイコンを表示する。一方、受入不可時間として設定されている時間が経過するまでに、当該医療機関からの受入可の通知があった場合、表示部220は、当該受入可の通知に基づき、アイコンに表示される色をグレーから水色に変更して表示する。
【0043】
また、表示態様決定部292は、医療機関における直近の傷病者受入からの経過時間に基づいて、以下の表示態様を選択する。
(ア)過去1時間以内に受入なし:アイコンを塗りつぶす。
(イ)30分〜1時間経過:白い線の丸(円周)を含むアイコンとする。
(ウ)30分以内:白い丸(塗りつぶし)を中心に含むアイコンとする。
なお、本実施形態では、表示態様決定部292が、アイコンの表示態様としてアイコンの表示色またはその組み合わせを決定する場合を例に説明するが、表示態様決定部292が決定する表示態様は色に限らない。例えば、表示態様決定部292が、アイコンの形状を決定するようにしてもよい。あるいは、表示態様決定部が、アイコン内に表示されるテキスト(文字または文字列)を決定するようにしてもよい。
【0044】
表示制御部293は、表示部220を制御して各種画像を表示させる。特に、表示制御部293は、表示部220に、医療機関を示すアイコンを、表示態様決定部292が決定した表示態様で表示させる。さらに、表示制御部293は、表示部220に、優先度決定部が決定した優先度をアイコン内に表示させる。
なお、救急隊員用端末装置200は、傷病者受入状況情報表示装置の例に該当する。
【0045】
図3は、サーバ装置100の機能構成の構成を示す概略ブロック図である。同図において、サーバ装置100は、通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、記憶部180と、制御部190とを具備する。
【0046】
通信部110は、ネットワーク900(
図1)に接続して各端末装置と通信を行う。
表示部120は、例えば液晶パネルなどの表示画面を有し、各種画像を表示する。
操作入力部130は、例えばキーボードおよびマウスなどの操作デバイスを有し、ユーザ操作を受け付ける。
上述したように、サーバ装置100は、例えば、データセンタに設置されたコンピュータにて実現されており、表示部120や操作入力部13は、当該コンピュータのメンテナンス端末装置として構成される。
【0047】
記憶部180は、サーバ装置100の具備する記憶デバイスを用いて構成され、各種情報を記憶する。
特に、記憶部180は、複数の救急隊員用端末装置200の各々が取得して送信する、医療機関への傷病者受入要請に関する情報を記憶する。記憶部180が、複数の救急隊員用端末装置200の各々からの情報を集約的に記憶することで、情報の共有が可能になる。
各医療機関の傷病者受入に関する情報のサーバ装置100への登録は、例えば、救急隊員用端末装置200が医療機関に対する傷病者受入要請の結果情報をサーバ装置100へ送信することで行われる。
【0048】
サーバ装置100は、傷病者受入要請の結果情報として例えば、傷病者の属性情報、事故等の種別、重症度、観察項目、交渉履歴、救急隊情報の全部または一部を記憶する。
例えば、サーバ装置100は、傷病者の属性情報として、傷病者の年齢又は性別又はこれらの組み合わせを記憶する。また、事故種別として、例えば交通事故、労働災害などの区別を記憶する。また、重症度として、例えば、重症、中等症、軽傷、死亡の4つの分類を記憶する。また、観察項目として、傷病者の状態を示す写真又はメモ又はこれらの組み合わせを記憶する。また、交渉履歴として、搬送先が決まった場合は、搬送先の医療機関及び決定時刻を記憶する。一方、搬送先が決まらなかった場合、交渉履歴として、交渉した医療機関、交渉時刻、及び、拒否された理由を記憶する。また、救急隊情報として、出動、現地到着、接触(傷病者との接触)等の動態、及び、救急車の位置情報を記憶する。
【0049】
制御部190は、サーバ装置100の各部を制御して各種機能を実行する。特に、制御部190は、各端末装置が送信する各種情報を記憶部180に記憶させる。また、制御部190は、各端末装置からの要求に応じて記憶部180から情報を読み出して送信する。
【0050】
図4は、医療機関用端末装置300の機能構成の構成を示す概略ブロック図である。同図において、医療機関用端末装置300は、通信部310と、表示部320と、操作入力部330と、記憶部380と、制御部390とを具備する。
【0051】
通信部310は、ネットワーク900(
図1)に接続して通信を行う。特に、通信部310は、サーバ装置100と通信を行う。
表示部320は、例えば液晶パネルなどの表示画面を有し、各種画像を表示する。特に、表示部320は、傷病者受入可否の通知の入力画面を表示する。
【0052】
操作入力部330は、例えばキーボードおよびマウスなどの操作デバイスを有し、ユーザ操作を受け付ける。特に、操作入力部330は、傷病者受入可否の通知の入力操作を受け付ける。
記憶部380は、医療機関用端末装置300の具備する記憶デバイスを用いて構成され、各種情報を記憶する。
制御部390は、医療機関用端末装置300の各部を制御して各種機能を実現する。特に、制御部390は、医療機関の担当者が操作入力部にて入力する傷病者受入可否の通知を、通信部310を介してサーバ装置100へ送信する。
【0053】
次に、
図5を参照して医療機関による傷病者受入可否の通知について説明する。
図5は、医療機関用端末装置300の表示部320が表示する傷病者受入可否の通知の入力画面の例を示す説明図である。同図において、領域A11は、傷病者受入可否の通知の現状を表示する領域である。
図5の例では、傷病者受入不可の通知となっており、また、設定した時間の経過まであと15分となっている。
【0054】
領域A12〜A17は、傷病者受入可否の通知の入力操作を行うための領域である。医療機関の担当者が、マウスクリックまたはタッチ操作で領域A12〜A17のいずれかを選択することで、医療機関用端末装置300は、傷病者受入可否の通知をサーバ装置100を介して救急隊員用端末装置200へ送信する。
【0055】
領域A12は、「優先受入」の操作入力領域である。優先受入は、傷病者を積極的に受け入れることを示す。
領域A13は、「受入可能」の操作入力領域である。受入可能は、傷病者を受入可能であることを示す。
領域A14〜A17は、いずれも「受入不可」の操作入力領域であるが、それぞれ、受入不可の設定時間が異なる。領域A14、A15、A16、A17では、それぞれ、受入不可の設定時間が30分、60分、90分、120分となっている。例えば、領域A14の30分不可の場合、通知から30分間、傷病者を受け入れられないことを示す。
【0056】
なお、領域A18には、一斉受入要請の件数、及び、直近の一斉受入要請が行われた時刻が示されている。ここでいう一斉受入要請は、医療機関に対して一斉に傷病者の受入を要請することである。
また、領域A19には、当月の傷病者受入人数及び先月の傷病者受入人数が、重症度ごとに示されている。
【0057】
次に、
図6〜
図10を参照して、救急隊員用端末装置200による医療機関のアイコンの表示について説明する。
図6は、救急隊員用端末装置200の表示部220が表示する医療機関一覧画面の例を示す説明図である。
同図において、領域A211、A221、A231のそれぞれに1つの医療機関における傷病者受入状況が示されている。
【0058】
領域A211には、○○病院の傷病者受入状況が示されている。具体的には、領域A212には、直近3時間の傷病者受入の履歴が、時間軸を示す数直線の上側に記載されている。また、直近3時間の傷病者受入不可の履歴が、時間軸を示す数直線の下側に記載されている。傷病者受入を示す各アイコンは、時間軸を示す数直線において、傷病者受入の発生時(例えば、救急隊員が医療機関から受入可能の回答を得たタイミング)に対応する位置に配置されている。また、傷病者受入不可を示す各アイコンは、時間軸を示す数直線において、傷病者受入不可の発生時(例えば、救急隊員が医療機関から受入不可の回答を得たタイミング)に対応する位置に配置されている。
また、領域A211内に、医療機関を示すアイコンC11が表示されている。
【0059】
また、領域A221には、□□□□□□□□□□□病院の傷病者受入状況が示されている。具体的には、領域A222には、直近3時間の傷病者受入の履歴が、時間軸を示す数直線の上側に記載されている。また、直近3時間の傷病者受入不可の履歴が、時間軸を示す数直線の下側に記載されている。傷病者受入を示す各アイコンは、時間軸を示す数直線において、傷病者受入の発生時に対応する位置に配置されている。また、傷病者受入不可を示す各アイコンは、時間軸を示す数直線において、傷病者受入不可の発生時に対応する位置に配置されている。
また、領域A221内に、医療機関を示すアイコンC12が表示されている。
【0060】
また、領域A231には、○○○○○○医院の傷病者受入状況が示されている。具体的には、領域A232には、直近3時間の傷病者受入の履歴が、時間軸を示す数直線の上側に記載されている。また、直近3時間の傷病者受入不可の履歴が、時間軸を示す数直線の下側に記載されている。傷病者受入を示す各アイコンは、時間軸を示す数直線において、傷病者受入の発生時に対応する位置に配置されている。また、傷病者受入不可を示す各アイコンは、時間軸を示す数直線において、傷病者受入不可の発生時に対応する位置に配置されている。
また、領域A231内に、医療機関を示すアイコンC13が表示されている。
【0061】
図7は、救急隊員用端末装置200が表示する、直近30分以内に傷病者受入があった医療機関を示すアイコンの例を示す説明図である。同図では、
図6のアイコンC11が示されており、アイコンC11が、大きく領域A311とA312とに分けられている。領域A311は、アイコンC11における外側の円の領域である。領域A312は、アイコンC11における内側の円の領域である。領域A312には、優先度決定部291が決定した優先度が数字「01」にて示されている。
【0062】
上記のように、表示態様決定部292は、医療機関による傷病者受入可否の通知に基づいて、アイコンの表示色をグレー、水色又は濃い青のいずれかに決定する。
図7の例では、領域A311の色が水色になっている。
また、直近30分以内に傷病者を受け入れた医療機関の場合、表示態様決定部292は、
図7の例のように中心に白い丸(塗りつぶし)の領域A312を設けたアイコンに決定する。
【0063】
領域A313、A314及びA316には、傷病者を受け入れた履歴を示すアイコンが設けられている。また、領域A315には、傷病者受入不可の履歴を示すアイコンが設けられている。
表示態様決定部292は、傷病者の重症度に応じてこれらのアイコンの表示態様を決定する。例えば、表示態様決定部292は、アイコンの表示色を重症の場合は赤、中等症の場合は黄色、軽傷の場合は緑、死亡の場合は黒とする。領域A313〜A316の表示は、傷病者の重症度の表示の例に該当する。
なお、領域A313、A314及びA316のアイコンの色は、医療機関が受け入れた傷病者の重症度に関わらず固定とし、医療機関による受け入れからの経過時間のみを把握可能な態様で表示してもよい。
【0064】
また、これらのアイコンと基準点との位置関係で、傷病者受入と傷病者受入不可との区別、及び、傷病者受入又は傷病者受入不可の発生からの経過時間が示されている。
本実施形態では、円形のアイコンの中心を基準点として、基準点からの距離が比較的近い位置に傷病者受入を示すアイコンを配置し、基準点からの距離が比較的遠い位置に傷病者受入不可を示すアイコンを配置する。
図7の例では、領域A311の内側に、傷病者受入を示すアイコン(領域A313、A314及びA316)が示されている。また、領域A311の外側に、傷病者受入不可を示すアイコン(領域A315)が示されている。
【0065】
また、基準点から見て真上からの角度で傷病者受入又は傷病者受入不可の発生からの経過時間を示している。ここで、1周を60分に設定している。
例えば、領域A313のアイコンで示される傷病者受入の場合、基準点P11が真上へ延びる線L11と、基準点P11と領域A313のアイコンの中心とを結ぶ線L12とのなす角度θを用いて、傷病者受入からの経過時間は、60分×θ(度)/360(度)と表される。
このように、表示部220が、傷病者受入の履歴、傷病者受入不可の履歴、傷病者の重症度、受入または受入不可が発生した時、医療機関からの傷病者受入可否の通知状況、及び、優先度を1つのアイコンに集約して表示することで、救急隊員は、1つのアイコンを見ることで医療機関の状況を把握することができる。
【0066】
図8は、救急隊員用端末装置200が表示する、直近30分〜60分の範囲で直近の傷病者受入があった医療機関を示すアイコンの例を示す説明図である。同図では、
図6のアイコンC12が示されており、アイコンC12が、大きく領域A321とA322とA323とに分けられている。領域A321は、アイコンC21における外側の円の領域である。領域A323は、アイコンC21における内側の円の領域である。領域A322は、領域A321とA323との中間の領域である。
また、領域A323には、優先度決定部291が決定した優先度が数字「02」にて示されている。
【0067】
上記のように、表示態様決定部292は、医療機関による傷病者受入可否の通知に基づいて、アイコンの表示色をグレー、水色又は濃い青のいずれかに決定する。
図8の例では、領域A321、領域A323の色が濃い青になっている。
また、直近30分〜60分の範囲で傷病者を受け入れた医療機関の場合、表示態様決定部292は、
図8の例のように中心に白い丸の線の領域A322を設けたアイコンに決定する。
【0068】
領域A324及びA325には、傷病者受入不可の履歴を示すアイコンが設けられている。また、領域A326には、傷病者を受け入れた履歴を示すアイコンが設けられている。
図7の場合と同様、表示態様決定部292は、傷病者の重症度に応じてこれらのアイコンの表示態様を決定する。
【0069】
また、これらのアイコンと基準点との位置関係で、傷病者受入と傷病者受入不可との区別、及び、傷病者受入又は傷病者受入不可の発生からの経過時間が示されている。
具体的には、
図7を参照して説明したのと同様、中心を基準点として、基準点からの距離が比較的近い位置に傷病者受入を示すアイコンを配置し、基準点からの距離が比較的遠い位置に傷病者受入不可を示すアイコンを配置する。ただし、中心を基準点として、基準点からの距離が比較的遠い位置に傷病者受入を示すアイコンを配置し、基準点からの距離が比較的近い位置に傷病者受入不可を示すアイコンを配置するようにしてもよい。
また、
図7の場合と同様、基準点から見て真上からの角度で傷病者受入又は傷病者受入不可の発生からの経過時間を示している。
図8の例でも、1周を60分に設定している。
【0070】
図9は、救急隊員用端末装置200が表示する、直近60分以内に傷病者を受け入れていない医療機関を示すアイコンの例を示す説明図である。同図では、
図6のアイコンC13が示されている。アイコンC13は、大きくは1つの領域A331となっている。なお、背景の色にかかわらずアイコンC13を識別できるように、アイコンの縁をグレーと白とで2重に縁取りしている。
また、領域A331には、優先度決定部291が決定した優先度が数字「03」にて示されている。
【0071】
上記のように、表示態様決定部292は、医療機関による傷病者受入可否の通知に基づいて、アイコンの表示色をグレー、水色又は濃い青のいずれかに決定する。
図9の例では、領域A331の色がグレーになっている。
また、直近60分以内に傷病者を受け入れていない医療機関の場合、表示態様決定部292は、
図9の例のように全体を塗りつぶした領域A331を設けたアイコンに決定する。
【0072】
領域A332には、傷病者受入不可の履歴を示すアイコンが設けられている。
図7の場合と同様、表示態様決定部292は、傷病者の重症度に応じてこれらのアイコンの表示態様を決定する。
【0073】
また、これらのアイコンと基準点との位置関係で、傷病者受入又は傷病者受入不可の発生からの経過時間が示されている。
具体的には、
図7を参照して説明したのと同様、基準点から見て真上からの角度で傷病者受入又は傷病者受入不可の発生からの経過時間を示している。
図9の例でも、1周を60分に設定している。
なお、
図9の例では、医療機関が直近60分以内に傷病者を受け入れていないので、アイコンC13には、傷病者受入を示すアイコンは表示されない。
【0074】
なお、アイコンの表示は、
図7〜
図9を参照して説明したものに限らない。
例えば、受入不可の残り時間をアイコン上に数字で示すようにしてもよい。あるいは、受入不可の残り時間に応じてアイコンの表示色の濃さを変化させるようにしてもよい。
【0075】
また、傷病者受入の履歴を、左から順に並べて表示するなど、上述した角度で経過時間を示す方法以外の方法で表示するようにしてもよい。
あるいは、傷病者受入の履歴のうち直近のものだけを表示するようにし、重症の傷病者を受け入れた後に、軽傷の傷病者を受け入れた場合は、あえて受入の履歴を更新しないようにしてもよい。
【0076】
図10は、救急隊員用端末装置200の表示部220が表示する地図表示画面の例を示す説明図である。同図において、表示部220は、地図上における医療機関の位置に、
図7〜
図9を参照して説明した医療機関を示すアイコンを表示している。これにより、救急隊員は、地図を参照することで、医療機関の位置と、医療機関における傷病者受入状況とを把握することができる。
【0077】
また、
図10において、最も優先度が高い医療機関のアイコンが大きく表示されている。これにより、救急隊員は、優先度が高い医療機関を容易に把握し得る。
なお、地図の表示に加えて救急隊員用端末装置200の現在の位置(救急隊員の現在の位置)から医療機関までのルートを表示するようにしてもよい。また、交通渋滞などの交通状況を表示するようにしてもよい。
また、優先度決定部291が、地図の縮尺に応じて、地図上に表示される医療機関のみを対象として優先度を決定するようにしてもよい。
なお、
図7〜
図10に例示されるアイコン表示において、表示部220が、傷病者受入履歴、又は、傷病者受入不可の履歴のいずれか一方のみを表示するように切替可能であってもよい。表示部220が、傷病者受入履歴、又は、傷病者受入不可の履歴のいずれか一方のみを表示することで、救急隊員が、傷病者受入履歴を傷病者受入不可の履歴と見誤ること、及び、傷病者受入不可の履歴を傷病者受入履歴と見誤る可能性を低減させ得る。
【0078】
なお、
図7〜
図10に例示されるアイコン表示において、表示部220が、アイコン表示対象の医療機関で受診可能な診療科を表示するようにしてもよい。例えば、表示部220が、外科、内科、産婦人科などの診療科を「外」、「内」、「産」などの頭文字で表示するようにしてもよい。表示部220が診療科を表示することで、救急隊員は、傷病の種類に応じて受入依頼先の医療機関を選択する際に参考にすることができる。
また、
図7〜
図10に例示されるアイコン表示において、表示部220が、アイコン表示対象の医療機関が心肺停止状態(Cardiopulmonary arrest;CPA)の傷病者を受け入れ可能か否かを表示するようにしてもよい。表示部220が、心肺停止状態の傷病者の受入可否を表示することで、救急隊員は、心筋梗塞または脳梗塞など一刻を争う傷病者の受入依頼先の医療機関を選択する際に参考にすることができる。
【0079】
次に、
図11を参照して救急隊員用端末装置200の動作について説明する。
図11は、救急隊員用端末装置200が医療機関のアイコンを地図に表示する処理手順の例を示すフローチャートである。
同図の処理において、通信部210は、医療機関毎の傷病者受入状況情報を取得する(ステップS101)。具体的には、通信部210は、サーバ装置100と通信を行って、医療機関毎の傷病者受入状況情報を受信する。
【0080】
また、表示部220は、地図を表示する(ステップS102)。例えば、表示部220は、救急隊員のユーザ操作によって指定された位置又は救急車の位置を中心に、設定されている縮尺で地図を表示する。当該地図の表示は、例えば、制御部290が実行する地図表示アプリケーションプログラムからの出力に従って、表示制御部293が表示部220を制御して行われる。
【0081】
次に、表示制御部293は、地図に表示されている範囲を検出する(ステップS103)。例えば、表示制御部293は、地図の表示における四隅それぞれの位置情報を緯度及び経度にて検出する。
また、表示制御部293は、地図の表示範囲に含まれる医療機関を検出する(ステップS104)。例えば、記憶部280が、各医療機関の位置情報(緯度及び経度)と、当該医療機関を示す識別情報とを対応付けて予め記憶しておく。そして、表示制御部293は、各医療機関の位置情報を記憶部280から読み出し、ステップ103で得られた地図の表示範囲に含まれる医療機関を示す識別情報を検出する。
【0082】
次に、優先度決定部291は、ステップS104で検出された医療機関の各々について、ステップS101で得られた傷病者受入状況情報に基づいて、医療機関の優先度を決定する(ステップS105)。
次に、表示態様決定部292は、ステップS101で得られた傷病者受入状況情報に基づいて、医療機関を示すアイコンの表示態様を決定する(ステップS106)。その際、表示態様決定部292は、
図7〜9を参照して説明したアイコンの塗り分けや、傷病者受入の履歴及び傷病者受入不可の履歴の各アイコンの表示を含めて、アイコンの各部の表示色を決定する。
【0083】
さらに、表示制御部293は、優先度が最も高い医療機関を示すアイコンの大きさを大きく設定する(ステップS107)。但し、表示制御部293が、優先度の高い医療機関を強調表示する方法は、アイコンの大きさを大きくする方法に限らない。例えば、表示制御部293が、アイコンの表示の輝度またはアイコンの形状など、アイコンの大きさ以外の態様で強調表示を行うようにしてもよい。
ステップS107の後、表示部220は、表示態様決定部292が決定した表示態様で医療機関のアイコンを表示する(ステップS108)。
ステップS108の後、
図11の処理を終了する。
【0084】
図12は、優先度決定部291が医療機関の優先度を決定する処理手順の例を示すフローチャートである。優先度決定部291は、
図11のステップS105において同図の処理を行う。
図12の処理において、優先度決定部291は、
図11のステップS104で検出された医療機関(地図の表示範囲に含まれる医療機関)の各々を、受入不可の通知に基づいてグループ分けする(ステップS201)。具体的には、優先度決定部291は、積極受入を通知している医療機関を優先度「A」のグループに分類する。また、優先度決定部291は、受入不可を通知している医療機関を優先度「C」のグループに分類する。また、優先度決定部291は、受入可否を通知していない医療機関(積極受入も受入不可も通知していない医療機関)を優先度「B」のグループに分類する。優先度「A」が優先度が最も高く、優先度「B」、「C」の順に優先度が低くなっていくことを示している。
【0085】
次に、優先度決定部291は、ステップS201で分類したグループ毎に、直近の傷病者受入からの経過時間によって医療機関の優先順位付けを行う。例えば、優先度決定部291は、ステップS201で優先度「A」に分類した医療機関の優先順を、直近の傷病者受入から時間が経過している順に、優先度「A1」、「A2」、・・・、のように優先度を設定する。数字が小さいほど(従って、直近の傷病者受入から時間が経過しているほど)優先度が高いことを示している。
【0086】
次に、優先度決定部291は、ステップS202で同じ優先順位となった医療機関について、救急隊員用端末装置200の現在位置から当該医療機関までの距離に基づいて、優先順位付けを行う(ステップS203)。例えば、ステップS202で直近の傷病者受入から経過時間を分単位まで比較して優先順位付けを行う場合、直近の傷病者受入から経過時間が分単位まで同じ医療機関には同じ優先順位が付される。これらの医療機関に対してステップS203で更に優先順位付けを行う。優先度決定部291は、救急隊員用端末装置200の現在位置から近い医療機関ほど小さい数字の優先順位(高い優先度を示す優先順位)を付す。
【0087】
次に、優先度決定部291は、ステップS203でも同じ優先順位となった医療機関について、直近に受け入れた傷病者の重症度に基づいて、優先順位付けを行う(ステップS204)。優先度決定部291は、傷病者の重症度が軽いほど小さい数字の優先順位(高い優先度を示す優先順位)を付す。
ステップS204の後、
図12の処理を終了し、
図11の処理へ戻る。
なお、ステップS201でのグループ分けが、ステップS202〜S204での優先順位付けよりも優先される。例えば、優先度「A3」と優先度「B1」とでは、優先度「A3」の方が優先度が高い。
【0088】
なお、優先度決定部291が決定する優先度は、
図12の処理によるものに限らない。例えば、上記のように、
(1)医療機関が、傷病者を積極的に受け入れる旨を通知している。
(2)医療機関が直近に受け入れた傷病者の重症度が低い。
(3)医療機関における直近の傷病者受入から30分以上経過している。
(4)医療機関の位置が、救急隊員用端末装置200の現在位置から近い。
(5)医療機関が傷病者受入不可に設定した時間の残り時間が短い。
の順に優先度を決定するようにしてもよい。この場合、優先度決定部291は、
図12のステップS202〜S204の処理に代えて、上記(2)〜(5)の順で優先順位付けを行う。
【0089】
以上のように、通信部210は、医療機関が直近に傷病者を受け入れた時を示す情報を含む傷病者受入状況情報を、複数の医療機関それぞれについて取得する。また、表示態様決定部292は、医療機関における直近の傷病者受入からの経過時間に基づいて当該医療機関を示すアイコンの表示態様を決定する。そして、表示部220は、医療機関を示すアイコンを、表示態様決定部292が決定した表示態様で表示する。
これにより、表示部220は、医療機関における傷病者受入状況を色で表示することができる。表示部220の表示を参照した救急隊員は、表示部220の表示から得られた情報を参考にして、傷病者の受入を依頼する医療機関を探すことができる。この点において、救急隊員用端末装置200によれば、救急隊から医療機関への傷病者の受け渡しが円滑に行われるよう支援することができる。
【0090】
また、通信部210は、医療機関が傷病者を受け入れた時と、当該傷病者の重症度とを示す情報を含む傷病者受入状況情報を取得する。
そして、表示部220は、医療機関が受け入れた傷病者の重症度を示す情報を、当該医療機関を示すアイコンにおける所定の位置を基準として当該傷病者の受入からの経過時間に応じた相対位置に表示する。
これにより、表示部220の表示では、傷病者の重症度を示す情報の表示位置で、傷病者の受入からの経過時間を示すことができる。
【0091】
また、表示部220は、アイコンに設定されている基準位置を中心とした場合の、重症度を示す情報の表示位置の、所定の向きからの角度にて、傷病者の受入からの経過時間を示す。
これにより、表示部220の表示では、傷病者の重症度を示す情報の表示位置で、傷病者の受入からの経過時間を示すことができる。
【0092】
また、通信部210は、医療機関から通知される受入不可の通知を含む傷病者受入状況情報を取得し得る。また、表示態様決定部292は、さらに、受入不可の通知の有無に基づいてアイコンの表示態様を決定する。
これにより、表示部220は、医療機関からの受入不可の通知の有無を、アイコンの色で示すことができる。
【0093】
また、表示態様決定部292は、受入不可が通知された後、受入不可時間として設定されている時間が経過するまでに、前記医療機関からの受入可否の通知がなかった場合、受入可否が通知されていない場合の表示態様として設定されている表示態様に決定する。
これにより、表示部220は、受入不可の通知の有無をアイコンの色で表示する際、受入不可の設定時間の経過を反映させることができる。
【0094】
また、表示部220は、地図を表示し、当該地図における医療機関の位置に、当該医療機関を示すアイコンを表示する。
これにより、地図を参照した救急隊員は、医療機関の位置と共に、医療機関の傷病者受入状況を把握することができる。
【0095】
また、通信部210は、医療機関が傷病者を受け入れた時と、当該医療機関が傷病者の受入を断った時とを示す情報を含む傷病者受入状況情報を取得する。
そして、表示部220は、アイコンに設定されている基準位置を中心として、傷病者を受け入れたこと又は受入を断ったことの表示位置の、所定の向きからの角度にて、傷病者の受入または受入を断ってからの経過時間を示す。
これにより、表示部220は、傷病者受入の履歴及び傷病者受入不可の履歴のいずれも、傷病者受入または傷病者受入不可の発生からの経過時間と共に表示することができる。
【0096】
なお、以上では救急隊員用端末装置がアイコンの表示態様を決定する場合を例に説明したが、サーバ装置がアイコンの表示態様を決定するようにしてもよい。この点について
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は、本実施形態の一変形例に係る救急隊員用端末装置の機能構成の構成を示す概略ブロック図である。同図において、救急隊員用端末装置420は、通信部210と、表示部220と、操作入力部230と、位置情報取得部240と、記憶部280と、制御部421とを具備する。制御部421は、アイコン取得部422と表示制御部293とを具備する。
図13の各部のうち
図2の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(210、220、230、240、280、293)を付して説明を省略する。
救急隊員用端末装置420は、傷病者受入状況情報表示装置の例に該当する。
【0097】
救急隊員用端末装置200(
図2)が、アイコンの表示態様を自ら決定するのに対し、救急隊員用端末装置420は、サーバ装置が決定した表示態様でアイコンを表示する。例えば、記憶部280が、アイコンの表示態様を示す表示態様情報を識別情報と一対一に対応付けて予め記憶しておく。
ここで記憶部280が記憶する表示態様情報は、いろいろなデータ形式の情報とすることができる。例えば、記憶部280が、表示態様情報として、アイコンの枠及び色の情報を記憶するようにしてもよい。ここでいうアイコンの「枠」の情報は、
図7の領域A311及びA312のように、アイコンの塗り分けを示す情報である。また、アイコンの「色」の情報は、アイコンの枠の情報が示す領域毎の色を示す情報である。
あるいは、記憶部280が、表示態様情報を例えばビットマップ等の画像データの形式で記憶するようにしてもよい。
なお、記憶部280が記憶する表示態様情報は、例えば色の濃さをパラメータ値で設定できるなどパラメータを有していてもよい。
【0098】
そして、アイコン取得部422は、サーバ装置が決定したアイコンの表示態様を示す識別情報を取得し、当該識別情報に対応付けられている表示態様情報を取得する。表示制御部293は、アイコン取得部422が取得した表示態様情報に基づいて、表示部220にアイコンを表示させる。
【0099】
図14は、本変形例に係るサーバ装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、サーバ装置410は、通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、記憶部180と、制御部411とを具備する。制御部411は、優先度決定部412と、表示態様決定部413とを具備する。
図13の各部のうち
図3の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、120、130、180)を付して説明を省略する。
サーバ装置410は、アイコン表示態様決定装置の例に該当する。
【0100】
制御部411は、
図3の制御部190と同様の処理を行う。加えて制御部411は、優先度決定部412及び表示態様決定部413にて、救急隊員用端末装置420に表示させるアイコンの表示態様を決定する。
優先度決定部412は、
図2の優先度決定部291と同様の処理を行って医療機関毎の優先度を決定する。
【0101】
なお、優先度決定部291について説明した優先度の基準には、医療機関の位置が救急隊員用端末装置の現在位置から近いか否かなど、救急隊員用端末装置200毎の情報を用いる基準がある。そこで、優先度決定部412では、救急隊員用端末装置420の各々から情報を取得し、救急隊員用端末装置420毎に、当該救急隊員用端末装置420での医療機関の優先度を決定するようにしてもよい。あるいは、優先度決定部412が、救急隊員用端末装置420毎の情報を必要としない基準のみを用いるようにしてもよい。あるいは、救急隊員用端末装置が優先度決定部を備え、サーバ装置が表示態様決定部を備えるようにしてもよい。
【0102】
表示態様決定部413は、
図2の表示態様決定部292と同様の処理を行って、医療機関を示すアイコンの表示態様を決定する。特に、表示態様決定部413は、表示態様決定部292と同様、直近の傷病者受入からの経過時間に応じて、アイコンの枠(アイコンの塗り分けのパターン)を決定する。また、表示態様決定部413は、表示態様決定部292と同様、医療機関による傷病者受入可否の通知に基づいてアイコンの表示色を決定する。
表示態様決定部413は、決定した表示態様を示す識別情報を、通信部110を介して救急隊員用端末装置420へ送信する。表示態様から識別情報への変換のために、記憶部180は、記憶部280が記憶している表示態様情報と識別情報とを対応づけた情報と同じ情報を予め記憶しておく。そして、表示態様決定部は、記憶部180が記憶している当該情報に基づいて、表示対応を識別情報に変換する。
【0103】
一方、
図7の数字「01」のように優先度を示す数字とアイコンとの合成は、救急隊員用端末装置420(例えば、アイコン取得部422)が行う。
また、
図7の領域A314〜316に例示される傷病者受入可否の履歴を示すアイコンは、時間経過に応じて表示位置を更新する必要がある。そこで、救急隊員用端末装置420(例えば、アイコン取得部422)が、傷病者受入可否の履歴を取得して、当該履歴を示すアイコンを、医療機関を示すアイコンに合成する。あるいは、救急隊員用端末装置420では、傷病者受入可否の履歴を表示しないようにしてもよい。
【0104】
また、医療機関による受入不可の通知から、受入不可時間として設定されている時間が経過した際のアイコン表示の更新について、サーバ装置410が時間経過を検出して、更新後のアイコンの表示態様を救急隊員用端末装置420に通知するようにしてもよい。
あるいは、サーバ装置410は当該変更を積極的には行わず、次にアイコン表示を更新するタイミングまで、傷病者受入不可の通知のアイコン表示(グレーでのアイコン表示)を継続するようにしてもよい。
【0105】
なお、制御部190、290及び390の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、コンパクトディスク等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0106】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。