(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476048
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20190218BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20190218BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20190218BHJP
【FI】
F21S43/241
F21W103:10
F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-88450(P2015-88450)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-207498(P2016-207498A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梅原 恵治
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−101057(JP,A)
【文献】
特開2015−72748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/235 − 43/251
F21W 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、光源と、該光源から入射する光を長手方向に導く過程で出射させて発光する導光体を収容して成る車両用灯具において、
前記導光体の長手方向端面を第1入射面として該第1入射面に前記光源を対向させて配置し、
前記導光体の本体部の長手方後端部に、前記光源からの光出射方向とは逆方向に本体部と略平行に延びる段状の延長部を一体に形成し、該延長部と本体部とを接続する接続部の内面を、前記第1入射面に隣接する第2入射面とし、同接続部の外面を反射面とし、
前記第2入射面から前記導光体の接続部内に入射する光を前記反射面で反射させて前記延長部へと導くよう構成したことを特徴とする車両用用具。
【請求項2】
前記光源をLEDで構成し、該LEDの半値角外の範囲に前記第2入射面を配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1入射面と前記第2入射面との境界線と前記LEDの光軸とが成す角度αを、前記LEDの半値角θの1/2の30°<α<60°に設定したことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から入射する光によって発光する導光体を備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用灯具の光源として、発光効率が高くて長寿命、且つ、省電力である等の利点を有するLED(発光ダイオード)が使用される傾向にある。例えば、アクセサリランプやテールランプ等においては、LEDから出射する指向性の強い光を導光体に入射させ、導光体に入射した光を内部で全反射させながら導く過程で、該導光体の裏面に形成された反射ステップによって反射させて正面側の出射面から出射させることによって導光体の全体を発光させることが行われている。このような車両用灯具に関して、特許文献1には
図5に示すようなサイドターンシグナルランプが提案されている。
【0003】
即ち、
図5は特許文献1において提案されたサイドターンシグナルランプの平断面図であり、図示のサイドターンシグナルランプ101は、車両の左右に配置されるサイドミラー110に設けられている。
【0004】
図示のサイドターンシグナルランプ101は、サイドミラー110の前面形状に沿って配置されたハウジング102とその開口部を覆う透明なアウタレンズ103によって画成された灯室104内に、導光体(インナーレンズ)105と、該導光体106の内側端部(
図5の左端部)の入射面105aに対向して配置されたLED106等を収容して構成されており、LED106が配置された部分は蒸着シート107によって覆われている。ここで、導光体105の外側端面(
図5の右端面)は出射面105bを構成しており、導光体105の外側端部の裏面には複数の反射ステップ105cが形成されている。
【0005】
斯かるサイドターンシグナルランプ101において、不図示の電源からLED106に電流が供給されると該LED106が発光し、その光は、導光体105の入射面105aから該導光体105内に入射する。そして、導光体105内に入射した光は、内部で全反射を繰り返しながら外側端部に向かって進み、その一部は反射ステップ105cによって反射して車両前方(
図5の上方)と側方に向かって出射し、他の光は、導光体105の出射面105bから車両後方(
図5の下方)に向かって出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−075608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において提案された
図5に示すサイドターンシグナルランプ101においては、LED106の光出射方向後方(内側)部分を発光させることができず、発光範囲を広げることができないという問題がある。因みに、LEDの光出射方向後方(内側)を発光させるには、LEDの向きを変えたり、LEDや導光体の数を増やす等の対策が必要となり、このような構成はスペース的に無理がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、光源の光出射方向後方も発光させることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、光源と、該光源から入射する光を長手方向に導く過程で出射させて発光する導光体を収容して成る車両用灯具において、前記導光体の長手方向端面を第1入射面として該第1入射面に前記光源を対向させて配置し、前記導光体の本体部の長手方後端部に、前記光源からの光出射方向とは逆方向に本体部と略平行に延びる段状の延長部を一体に形成し、該延長部と本体部とを接続する接続部の内面を、前記第1入射面に隣接する第2入射面とし、同接続部の外面を反射面とし、前記第2入射面から前記導光体の接続部内に入射する光を前記反射面で反射させて前記延長部へと導くよう構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記光源をLEDで構成し、該LEDの半値角外の範囲に前記第2入射面を配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記第1入射面と前記第2入射面との境界線と前記LEDの光軸とが成す角度αを、前記LEDの半値角θの1/2の30°<α<60°に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1発明によれば、導光体の長手方向端部に、本体部と略平行に延びる延長部を形成し、該延長部と本体部とを接続する接続部の内面を、本体部端面の第1入射面に隣接する第2入射面とし、同接続部の外面を反射面とし、第2入射面から導光体の接続部内に入射する光を反射面で反射させて延長部へと導くようにしたため、延長部が光源から出射する光の一部によって発光し、光源の光出射方向後方も発光させて導光体の発光範囲を拡大することができる。
【0013】
請求項2及び3記載の発明によれば、LEDの半値角外の弱い光が導光体の延長部に導かれ、この弱い光によって延長部が発光する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る車両用灯具の分解斜視図である。
【
図2】本発明に係る車両用灯具のアウタレンズを取り外した状態の正面図である。
【
図5】特許文献1において提案されたサイドターンシグナルランプの平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る車両用灯具の分解斜視図、
図2は同車両用灯具のアウタレンズを取り外した状態の正面図、
図3は
図2のA−A線断面図、
図4は
図3のB部拡大詳細図である
本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両の前部左右に配置されるアクセサリランプとして使用されるものであって、左右のアクセサリランプの基本構成は同じであるため、以下、一方の車両用灯具1についてのみ図示及び説明する。
【0017】
アクセサリランプとして使用される車両用灯具1は、
図1に示すように、L字状に屈曲したハウジング2と、導光体3及びアウタレンズ4を備えている。ここで、ハウジング2は、ABS等の不透明樹脂によって一体成形されており、
図3に示すように、該ハウジングの2前面開口部の周延に、アクリル等の透明樹脂によって構成された前記アウタレンズ4の外周縁が被着されて該アウタレンズ4がハウジング2と一体化されている。
【0018】
而して、
図3に示すように、ハウジング2とその前面開口部を覆うアウタレンズ4によって灯室5が画成されており、この灯室5内に、L字状に屈曲する前記導光体3、光源であるLED6、該LED6を実装した基板7等が収容されている。ここで、導光体3は、導光性を有するポリカーボネイト等の透明樹脂によって一体成形されており、その本体部3Aの長手方向両端部(
図2には一方のみ図示)には、LED6の光出射方向後方(
図3の上方)に本体部3Aと略平行に延びる延長部3Bが段状に一体に形成されている。
【0019】
そして、
図4に詳細に示すように、導光体3の本体部3Aの長手方向端面(
図4には一方のみ図示)は平坦な第1入射面3aを構成しており、この第1入射面3aに対向するようにLED6が配置されている。尚、LED6は、ハウジング2に取り付けられた基板7(
図3参照)の下面に、その光出射方向が下向きとなるように実装されている。
【0020】
ところで、
図4に詳細に示すように、導光体3の一端部においては、本体部3Aと延長部3Bが接続部3Cによって互いに接続されている。そして、この接続部3Cの内面は、本体部3Aの端面に形成された前記第1入射面3aに隣接する第2入射面3bを構成しており、同接続部3Cの外面は、斜めに傾斜する平面状の反射面3cを形成している。尚、導光体3の本体部3Aの裏面と延長部3Bの裏面には、横方向(
図4の紙面垂直方向)に延びるV溝状の複数の反射ステップ3dがそれぞれ形成されている。
【0021】
ここで、導光体3の接続部3Cに形成された第2入射面3bは、LED6の半値角θ(=60°〜120°)外の範囲に配置されており、この第2入射面3bと第1入射面3aとの境界線LとLED6の光軸xとが成す角度αは、LED6の半値角θ(=60°〜120°)の1/2の30°<α<60°に設定されている。尚、以上はL字状に屈曲する導光体3の一端部の構成についてのみ図示及び説明したが、他端部の構成も一端部のそれと同じであるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0022】
以上のように構成された車両用灯具1において、バッテリ等の不図示の電源からLED6に電流が供給されると該LED6が発光し、LED6から下方に向かって出射する光の一部(LED3の半値角θ内の強い光)は、導光体3の第1入射面3aから本体部3Aの内部へと入射する。そして、導光体3の本体部3A内に入射した光は、本体部3Aの内部を全反射を繰り返しながら他端側に向かって進む過程で、本体部3Aの裏面に形成された反射ステップ3dによって反射して本体部3Aの正面から車両前方(
図4の左方)へと出射するため、本体部3Aの全体が発光する。尚、図示しないが、導光体3の他端部に配置されたLEDも発光し、その光の一部によっても導光体3の本体部3Aが発光する。
【0023】
又、LED6から下向きに出射する光の他の一部(LED6の半値角θ外の範囲に向かう弱い光)は、
図4に示すように、導光体3の第2入射面3bから接続部3C内に入射する。そして、導光体3の接続部3C内に入射した光は、接続部3Cの反射面3cで反射して延長部3Bへと導かれ、延長部3B内を全反射しながら
図4の上方(LED6の光出射方向とは反対側)へと進む過程で、延長部3Bの裏面に形成された反射ステップ3dによって反射して正面から車両前方に向かって出射する。このため、導光体3においては延長部3Bも本体部3Aと同様に発光し、当該車両用灯具1においては、LED6の光出射方向後方の部分も発光し、発光範囲が拡大する。尚、図示しないが、導光体3の他端側に配置されたLEDからの光の一部(LEDの半値角θ外に向かう弱い光)によって延長部が同様に発光する。
【0024】
以上のように、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、導光体3の長手方向端部に、本体部3Aと略平行に延びる延長部3Bを形成し、該延長部3Bと本体部3Aとを接続する接続部3Cの内面を、本体部3Aの端面の第1入射面3aに隣接する第2入射面3bとし、同接続部3Cの外面を反射面3cとし、第2入射面3bから接続部3C内に入射する光を反射面3cで反射させて延長部3Bへと導くようにしたため、延長部3BがLED6からの光の一部によって発光し、LED6の光出射方向後方も発光させて導光体3の発光範囲を拡大することができるという効果が得られる。
【0025】
尚、以上は本発明をアクセサリランプとして使用される車両用灯具に対して適用した形態について説明したが、本発明は、他の任意の用途に供せられる車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両用灯具
2 ハウジング
3 導光体
3A 導光体の本体部
3B 導光体の延長部
3C 導光体の延長部
3a 導光体の第1入射面
3b 導光体の第2入射面
3c 導光体の反射面
3d 導光体の反射ステップ
4 アウタレンズ
5 灯室
6 LED(光源)
7 基板
L 第1入射面と第2入射面との境界線
x LEDの光軸
α 第1入射面と第2入射面との境界線と光軸とが成す角度
θ LEDの半値角