特許第6476100号(P6476100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6476100空調システム、および空調システムの稼働状態報知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476100
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】空調システム、および空調システムの稼働状態報知方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20190218BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20190218BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20190218BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20190218BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20190218BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20190218BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20190218BHJP
【FI】
   F24F11/32
   G06K7/10 100
   F24F11/49
   F24F11/52
   F24F11/58
   F24F11/89
   F24F140:00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-186914(P2015-186914)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-62063(P2017-62063A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】浅利 知哉
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5669912(JP,B2)
【文献】 特開2008−015838(JP,A)
【文献】 特開2013−185343(JP,A)
【文献】 特開2000−234791(JP,A)
【文献】 特開昭55−095059(JP,A)
【文献】 特開2014−228259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/32
F24F 11/49
F24F 11/52
F24F 11/58
F24F 11/89
G06K 7/10
F24F 140/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システムに関する情報を格納する空調室外機と、前記空調室外機に格納された情報を、自端末のエネルギーを用いて読み取りおよび書き込み可能な携帯端末とを備えた空調システムにおいて、
前記空調室外機は、
前記携帯端末で空調システムに関する操作が行われたことにより、当該操作に基づいて前記携帯端末から書き込まれる命令コマンドを格納する制御データ格納部と、
前記空調システム内の稼働状態の識別に利用されるデータであり、前記制御データ格納部に前記命令コマンドが書き込まれる際に、予め格納した初期値から所定の第1状態値に書き換えられる識別用データを格納する識別用データ格納部と、
前記識別用データ格納部の識別用データが前記初期値から前記第1状態値に書き換えられたことを検知すると、前記識別用データを前記第1状態値から所定の第2状態値に書き換える通信制御部とを有し、
前記携帯端末は、
ユーザにより空調システムに関する操作が行われると、当該操作に基づく命令コマンドを生成し、前記空調室外機に実行させるために前記制御データ格納部に書き込むとともに、前記識別用データ格納部の識別用データを前記初期値から前記第1状態値に書き換え、所定時間経過後に前記識別用データ格納部の識別用データを読み出すリーダ/ライタ部と、
前記リーダ/ライタ部により読み出された識別用データが、前記第2状態値に書き換えられていないことを検知すると、前記空調室外機の非通電を報知するための出力情報を生成する出力制御部と
を有することを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記空調室外機には少なくとも1台の空調室内機が接続され、
前記空調室外機の前記通信制御部は、前記携帯端末から前記制御データ格納部に書き込まれた命令コマンドが前記空調室内機に関する情報要求であるときに、前記空調室内機から該当する情報を取得して前記携帯端末に提供するために前記制御データ格納部に格納するとともに、前記識別用データ格納部の識別用データを、前記第2状態値から所定の第3状態値に書き換え、
前記携帯端末のリーダ/ライタ部は、前記ユーザにより前記空調室内機に関する情報を要求する操作が行われたことにより、当該操作に基づく命令コマンドを前記制御データ格納部に書き込むとともに前記識別用データ格納部の識別用データを前記初期値から前記第1状態値に書き換え、所定時間経過後に読み出した識別用データが、前記出力制御部により前記第2状態値に書き替えられたことを検知した後、所定時間が経過すると、前記識別用データ格納部の識別用データを再度読み出し、
前記携帯端末の出力制御部は、前記リーダ/ライタ部により再度読み出された識別用データが前記第3状態値に書き換えられていないことを検知すると、前記空調室外機と前記空調室内機との間の通信に異常が発生したことを報知するための出力情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記携帯端末の出力制御部は、ユーザに行われた操作に基づく命令コマンドを前記制御データ格納部に書き込む処理が正常に実行されなかったことを検知すると、前記空調室外機と自携帯端末との間の通信に異常が発生したことを報知するための出力情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
空調システムに関する情報を格納する空調室外機と、前記空調室外機に格納された情報を、自端末のエネルギーを用いて読み取りおよび書き込み可能な携帯端末とを備え、前記空調室外機が、前記携帯端末で空調システムに関する操作が行われた際に当該操作に基づいて前記携帯端末から書き込まれる命令コマンドを格納する制御データ格納領域と、自システム内の稼働状態の識別に利用される識別用データを格納する識別用データ格納領域とを有する空調システムの、
ユーザにより前記携帯端末で空調システムに関する操作が行われると、前記携帯端末が、当該操作に基づく命令コマンドを生成して、前記空調室外機に実行させるために前記制御データ格納領域に書き込むとともに、前記識別用データ格納領域の識別用データを、予め格納された初期値から所定の第1状態値に書き換えるステップと、
前記空調室外機が、前記識別用データ格納領域の識別用データが前記初期値から前記第1状態値に書き換えられたことを検知すると、前記識別用データを前記第1状態値から所定の第2状態値に書き換えるステップと、
前記携帯端末が、前記命令コマンドを書き込むとともに前記識別用データを前記第1状態値に書き換えた後、所定時間が経過したときに前記識別用データ格納領域の識別用データを読み出して、読み出した識別用データが前記第2状態値に書き換えられていないことを検知すると、前記空調室外機の非通電を報知するための出力情報を生成するステップと
を有することを特徴とする空調システムの稼働状態報知方法。
【請求項5】
前記空調室外機には少なくとも1台の空調室内機が接続され、
前記携帯端末から前記制御データ格納領域に書き込まれた命令コマンドが前記空調室内機に関する情報要求であるときに、前記空調室外機が、前記空調室内機から該当する情報を取得して前記携帯端末に提供するために前記制御データ格納領域に格納するとともに、前記識別用データ格納領域の識別用データを、前記第2状態値から所定の第3状態値に書き換えるステップと、
前記携帯端末が、前記命令コマンドを書き込むとともに前記識別用データを第1状態値に書き換えた後、所定時間が経過したときに読み出した識別用データが前記第2状態値に書き替えられたことを検知し、その後所定時間が経過したときに前記識別用データ格納領域の識別用データを再度読み出し、再度読み出した識別用データが前記第3状態値に書き換えられていないことを検知すると、前記空調室外機と前記空調室内機との間の通信に異常が発生したことを報知するための出力情報を生成するステップとをさらに有する
ことを特徴とする請求項4に記載の空調システムの稼働状態報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調システム、および空調システムの稼働状態報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用の空調システムとして、1台の室外機に複数台の室内機が接続されたマルチエアコンがある。マルチエアコンでは、室外機において、接続された各室内機の稼働に関する情報(例えば設定温度やセンサ情報)が逐次取得されて一括管理されている。そして、管理者がリモートコントローラを操作して室外機と通信を行うことにより、室外機や各室内機の稼働に関する情報をリモートコントローラに出力させたり、設定変更操作を行ったりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5669912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した空調システムにおいて、リモートコントローラから行った操作が正常に実行されなかった場合、その原因としては例えば、室外機が通電されていないことや、空調システム内の通信に不具合が生じていることが考えられる。しかし、これらの原因を特定して復旧作業を行うためには、管理者が室外機や室内機の内部を確認して稼働状態を詳細に把握しなければならず、手間と時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空調システムの稼働状態を、簡易な操作で詳細に報知することが可能な空調システム、および空調システムの稼働状態報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によれば空調システムは、空調システムに関する情報を格納する空調室外機と、空調室外機に格納された情報を自端末のエネルギーを用いて読み取りおよび書き込み可能な携帯端末とを備える。空調室外機は、携帯端末から空調システムに関する操作が行われたことにより、予め格納した識別用データが初期値から所定の第1状態値に書き換えられたことを検知すると、当該識別用データを第1状態値から所定の第2状態値に書き換える。携帯端末は、ユーザにより空調システムに関する操作が行われると識別用データを初期値から第1状態値に書き換え、その後所定時間経過すると識別用データを読み出し、第2状態値に書き換えられていなければ、空調機の非通電を報知するための出力情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態による空調システムの構成を示す全体図である。
図2】本発明の一実施形態による空調システムを示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による空調システムに利用する携帯端末、室外機内のフラッシュROMおよび通信制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈一実施形態による空調システムの構成〉
本発明の一実施形態による空調システムの全体構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による空調システム1は、近距離無線通信(NFC)で利用されるNFCタグを備えた空調室外機(以下、単に「室外機」と称する)10と、室外機10に接続された複数の空調室内機(以下、単に「室内機」と称する)20−1、20−2・・・20−nと、NFCリーダ・ライタ機能を備えた携帯端末30とを備える。そして、携帯端末30が室外機10の所定位置にかざされることにより、非接触で、携帯端末30のNFCリーダ・ライタ機能による室外機10のNFCタグの読み取りおよび書き込みが実行可能になる。
【0009】
空調システム1の詳細な構成について、図2を参照して説明する。室外機10には、通信用基板11と空調機制御用基板12とが組み込まれている。通信用基板11には、フラッシュメモリROM111と、通信制御部112とが搭載されている。フラッシュメモリROM111は、室外機10および室内機20−1〜20−nの動作制御に関する情報(命令コマンドや、命令コマンドの実行により取得された情報)を格納する制御データ格納領域1111と、空調システム1内の稼働状態の識別に利用される識別用データを格納する識別用データ格納領域1112とを有し、これらの領域はNFCタグとして構成されている。通信制御部112は、フラッシュメモリROM111と空調機制御用基板12と間の通信を制御するマイコンで構成され、フラッシュメモリROM111に格納された情報の読み出しおよび書き込み処理を実行する機能、制御データ格納領域1111から読み出した命令コマンドを実行する機能、および、識別用データ格納領域1112から読み出した識別用データを監視する機能等を有する。
【0010】
空調機制御用基板12には、室外機10および室内機20−1〜20−nからこれらの動作に関する情報(設定値、センサ情報値等)を所定時間間隔で取得するとともに、室外機10および各室内機20−1〜20−nの動作を制御する空調制御部121と、室外機10および室内機20−1〜20−nから取得した情報を記憶する空調機情報記憶部122と、通信制御部123とが搭載されている。通信制御部123は、空調制御部121と、空調機情報記憶部122と、通信用基板11との間の通信を制御するマイコンで構成されている。
【0011】
携帯端末30は、例えばスマートデバイスで構成され、室外機10および室内機20−1〜20−nの監視および制御を行うためのリモートコントローラとして機能し、ユーザインタフェース部31と、書き込み情報生成部32と、NFCリーダ/ライタ部33と、識別用データ監視部34と、出力制御部35とを有する。
【0012】
ユーザインタフェース部31はタッチパネルディスプレイや、マイクおよびスピーカで構成され、当該空調システム1のユーザである管理者による操作情報を入力するとともに、当該入力した操作情報に基づいて生成された出力情報を出力する。
【0013】
書き込み情報生成部32は、ユーザインタフェース部31から入力された操作情報に基づいて、フラッシュROM111内の制御データ格納領域1111および識別用データ格納領域1112に書き込む情報を生成する。
【0014】
NFCリーダ/ライタ部33は、書き込み情報生成部32で生成された情報をフラッシュROM111の該当する領域に書き込むとともに、フラッシュROM111内の情報の書き込み状況に応じて、所定のタイミングで識別用データ格納領域1112内の識別用データを読み出して識別用データ監視部34に送出する。ここで実行される識別用データの読み出しタイミングについては、後段で詳細に説明する。
【0015】
識別用データ監視部34は、NFCリーダ/ライタ部33で読み出された識別用データを監視し、監視状況に基づいて、室外機10の通電状態または空調システム1内の通信状態に異常が発生したか否かを判断する。
【0016】
出力制御部35は、識別用データ監視部34において、室外機10の通電状態または空調システム1内の通信状態に異常が発生したと判断されたときに、該当する異常の発生を管理者に報知するための出力情報を生成してユーザインタフェース部31からテキスト情報や音声情報で出力させる。これらの情報を出力させる際に、携帯端末30を振動させて管理者の注意をひくようにしてもよい。
【0017】
〈一実施形態による空調システムの動作〉
次に、本実施形態による空調システム1の動作について、図2および3を参照して説明する。図3は、空調システム1において実行される処理を示すフローチャートである。
【0018】
本実施形態において空調システム1の稼働中は、室外機10の空調機制御用基板12の空調制御部121において、接続された室内機20−1〜20−nの設定値やセンサ情報が所定時間間隔で取得され、通信制御部123を介して空調機情報記憶部122に送出され記憶されている。
【0019】
また、室外機10の通信用基板11のフラッシュメモリROM111内の識別用データ格納領域1112には、識別用データの初期値「0」が予め格納され(S1)、通信用基板11の通信制御部112においてフラッシュメモリROM111内の識別用データ格納領域1112の識別用データの値が所定時間間隔で読み出されて監視されている(S2)。
【0020】
上述した処理が実行されている状態で、管理者が携帯端末30を室外機10の通信用基板11に対応する位置にかざしてNFCにより通信可能な状態にし、ユーザインタフェース部31で室内機20−1〜20−nに関する情報、例えば現在の設定値の情報を表示させるための操作を行うと、当該操作に基づいて室内機20−1〜20−nの現在の設定値の情報要求が入力される。以下に、空調システム1が正常に稼働しているときに、当該情報要求が入力されて実行される処理について説明する。
【0021】
携帯端末30のユーザインタフェース部31において室内機20−1〜20−nの現在の設定値の情報要求が入力されると(S3の「YES」)、書き込み情報生成部32において、「室内機20−1〜20−nの現在の設定値の情報要求」を実行させるための命令コマンドが生成されるとともに、識別用データを初期値「0」から所定の第1状態値「1」に書き換えるための識別用データ更新情報が生成される。
【0022】
次に、NFCリーダ/ライタ部33により、生成された命令コマンドがフラッシュメモリROM111の制御データ格納領域1111に書き込まれるとともに、生成された識別用データ更新情報に基づいて識別用データ格納領域1112内の識別用データが「0」から「1」に書き換えられる(S4、S5;図1および2の矢印a)。ここで、携帯端末30と空調室外機10との間でNFCによる通信が行われるときには、携帯端末30から発信される電波エネルギーが用いられるため、室外機10が通電状態となっていなくても携帯端末30から室外機10への情報の書き込み処理および携帯端末30による室外機10からの情報の読み出し処理が可能である。
【0023】
識別用データ格納領域1112内の識別用データが「0」から「1」に書き換えられると、室外機10の通信用基板11の通信制御部112において、当該書き換えが実行されたことが検知される(S6;矢印c)。
【0024】
通信制御部112で識別用データが「0」から「1」に書き換えられたことが検知されると(S6の「YES」)、通信制御部112により、識別用データ格納領域1112内の識別用データが「1」から第2状態値「2」に書き換えられる(S7、S8;矢印d)。
【0025】
一方、携帯端末30では、ステップS4における命令コマンドの書き込みおよび識別用データの書き換え処理が正常に実行されたか否かが確認され(S9;矢印b)、正常に実行されたと判断されると(S9の「YES」)、所定時間経過後に(S10の「YES」)NFCリーダ/ライタ部33により識別用データ格納領域1112内の識別用データが読み出され(S11;矢印b)、識別用データ監視部34に送出される。そして、識別用データ監視部34において、読み出された識別用データが「2」に書き換えられているか否かが判定される(S12)。識別用データが「2」に書き換えられていれば(S12の「YES」)、室外機10内が通電されて正常に稼働していると判断される。
【0026】
また、室外機10の通信制御部112では、識別用データの「1」から「2」への書き換え後、制御データ格納領域1111から命令コマンドが読み出され、実行される(S13)。ここでは、格納された命令コマンドに基づいて、空調機制御用基板12の通信制御部123を介して空調機情報記憶部122から室内機20−1〜20−nの現在の設定値の情報が取得される(矢印e、f)。
【0027】
通信用基板11の通信制御部112において室内機20−1〜20−nの設定値の情報が取得されると、通信制御部112により制御データ格納領域1111に書き込まれるとともに、識別用データ格納領域1112の識別用データが「2」から第3状態値「3」に書き換えられる(S14、S15;矢印d)。
【0028】
一方、携帯端末30では、ステップS12において識別用データが「2」に書き換えられていると判定されてから(S12の「YES」)、所定時間経過後に(S16の「YES」)、NFCリーダ/ライタ部33により識別用データ格納領域1112内の識別用データが読み出され(S17;矢印b)、識別用データ監視部34に送出される。そして、識別用データ監視部34において、読み出された識別用データが「3」に書き換えられているか否かが判定される(S18)。
【0029】
識別用データが「3」に書き換えられていれば(S18の「YES」)、室外機10により室内機20−1〜20−nからの情報が正常に取得されており、室外機10と室内機20−1〜20−nとの間の通信が正常に行われている判断される。そして、要求した情報(室内機20−1〜20−nの現在の設定値)がNFCリーダ/ライタ部33により制御データ格納領域1111から読み出される。読み出された情報は、出力制御部35の制御によりユーザインタフェース部31に出力される。これにより、管理者は携帯端末30上で室内機20−1〜20−nの現在の設定値の情報を確認することができる。
【0030】
また識別用データ監視部34において識別用データが「3」に書き換えられていると判定されたときに、書き込み情報生成部32において、識別用データを「3」から初期値の「0」に書き換えるための識別用データ更新情報が生成される。そして、NFCリーダ/ライタ部33により、生成された識別用データ更新情報に基づいて識別用データ格納領域1112内の識別用データが「3」から「0」に書き換えられる(S19、S20;矢印a)。識別用データが「3」から「0」に書き換えられると、携帯端末30は、ステップS3の管理者による操作の有無を監視する状態に戻る。また、室外機10のフラッシュROM111内の識別用データ格納領域1112に格納されている識別用データは初期値の「0」に戻る(S1)。
【0031】
また、室外機10の通信制御部112において識別用データ格納領域1112の識別用データが「0」に書き換えられたことが検知され(S21の「YES」)、ステップS2に戻って識別用データの監視が継続される。
【0032】
上述したように動作する空調システム1内において、異常が発生したときに実行される処理について説明する。
【0033】
まず、ステップS4において携帯端末30から命令コマンドの書き込みおよび識別用データの書き換え処理が開始されたが、これらの処理が正常に実行されなかったとき(S9の「NO」)には、携帯端末30において、携帯端末30と室外機10との間のNFCによる通信(矢印aおよびb)に異常が発生したと判断される。そして、NFCによる通信の異常を報知するための出力情報が出力制御部35で生成されてユーザインタフェース部31から出力され(S22)、管理者に報知される。
【0034】
また、ステップS11において携帯端末30により読み出された識別用データが「2」に書き換えられていなかったとき(S12の「NO」)には、携帯端末30において、室外機10が通電されていないと判断される。そして、室外機10の非通電を報知するための出力情報が出力制御部35で生成されてユーザインタフェース部31から出力され(S23)、管理者に報知される。
【0035】
また、ステップS17において携帯端末30により読み出された識別用データが「3」に書き換えられていなかったとき(S18の「NO」)には、携帯端末30において、室外機10と室内機20−1〜20−nとの間、または室外機10内の通信に異常が発生したと判断される。そして、室外機10と室内機20−1〜20−nとの間、または室外機10内の通信に異常が発生したことを報知するための出力情報が出力制御部35で生成されてユーザインタフェース部31から出力され(S24)、管理者に報知される。
【0036】
以上の本実施形態によれば、ユーザが携帯端末を室外機にかざす操作のみで、室外機や室内機の内部まで確認する手間をかけることなく、空調システム内で異常が発生した際の原因に関係する情報をユーザに報知することが可能になる。
【0037】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…空調システム、10…空調室外機、11…通信用基板、12…空調機制御用基板、
20−1〜20−n…室内機、30…携帯端末、31…ユーザインタフェース部、
32…書き込み情報生成部、33…NFCリーダ/ライタ部、34…識別用データ監視部、
35…出力制御部、111…フラッシュROM、112…通信制御部、
121…空調制御部、122…空調機情報記憶部、123…通信制御部、
1111…制御データ格納領域、1112…識別用データ格納領域
図1
図2
図3