(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記異常検出部が切削異常を検出した場合、前記カッターで薄切りされた前記試料ブロックの薄切り部分が、前記試料ブロックから剥離する前に、前記試料ブロックの切削を停止させる、請求項1に記載の薄切片試料作製装置。
前記制御部は、前記異常検出部により切削異常が検出されるか監視する際に、前記切削力検出部により検出された切削力が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する、請求項4に記載の薄切片試料作製装置。
前記第2ステップにおいて切削異常が発生したと判定した場合、前記カッターで薄切りされた前記試料ブロックの薄切り部分が、前記試料ブロックから剥離する前に、前記第3ステップにおいて前記試料ブロックの切削を停止させる、請求項6に記載の薄切片試料作製方法。
前記異常検出ステップは、前記カッターで前記試料ブロックを切削した際に生じる切削力が、所定のしきい値以上であるか否かを判定するステップである、請求項6に記載の薄切片試料作製方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1態様に係る薄切片試料作製装置は、試料が包埋剤中に包埋された試料ブロックをカッターにより薄切りして薄切片試料を作製する薄切片試料作製装置であって、前記試料ブロックを搬送する搬送部と、前記カッターを備える切削部と、前記試料ブロックの切削を開始してから、前記試料ブロックの切削が完了するまでの間において、切削異常を検出する異常検出部と、少なくとも前記搬送部を制御する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記搬送部を制御して前記カッターと前記試料ブロックとを相対的に移動させることにより前記試料ブロックの切削を開始させ、前記異常検出部により切削異常が検出された場合、前記試料ブロックの切削を停止させる。
【0013】
本発明の第2態様に係る薄切片試料作製装置では、第1態様において、前記異常検出部が切削異常を検出した場合、前記カッターで薄切りされた前記試料ブロックの薄切り部分が、前記試料ブロックから剥離する前に、前記試料ブロックの切削を停止させる。
【0014】
本発明の第3態様に係る薄切片試料作製装置では、第1態様において、前記異常検出部が切削異常を検出した場合、前記カッターの搬送方向において、前記カッターの刃先の先端位置が、切削開始位置から前記試料ブロックの試料が埋め込まれた位置に到達する前に、前記試料ブロックの切削を停止させる。
【0015】
本発明の第4態様に係る薄切片試料作製装置では、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記異常検出部は、前記カッターが前記試料ブロックを切削する深さが、予め設定した切削深さ以上のときに異常を検出する。
【0016】
本発明の第5態様に係る薄切片試料作製装置では、第4態様において、前記異常検出部は、前記カッターで前記試料ブロックを切削した際に生じる切削力を検出する、切削力検出部である。
【0017】
本発明の第6態様に係る薄切片試料作製装置では、第5態様において、前記制御部は、前記異常検出部により切削異常が検出されるか監視する際に、前記切削力検出部により検出された切削力が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する。
【0018】
本発明の第7態様に係る薄切片試料作製方法は、試料が包埋剤中に包埋された試料ブロックをカッターにより薄切りして薄切片試料を作製する薄切片試料作製方法であって、前記カッターと前記試料ブロックとを相対的に移動させることにより、前記試料ブロックの切削を開始する第1ステップと、前記試料ブロックの切削を開始してから、前記試料ブロックの切削が完了するまでの間において、前記試料ブロックの切削異常が発生するか否かを判定する第2ステップと、前記第2ステップにおいて、切削異常が発生したと判定した場合、前記試料ブロックの切削を停止させる第3ステップと、を具備する。
【0019】
本発明の第8態様に係る薄切片試料作製方法では、第7態様において、前記第2ステップにおいて切削異常が発生したと判定した場合、前記カッターで薄切りされた前記試料ブロックの薄切り部分が、前記試料ブロックから剥離する前に、前記第3ステップにおいて前記試料ブロックの切削を停止させる。
【0020】
本発明の第9態様に係る薄切片試料作製方法では、第7態様において、前記第2ステップにおいて切削異常が発生したと判定した場合、前記カッターの搬送方向において、前記カッターの刃先の先端位置が、切削開始位置から前記試料ブロックの試料が埋め込まれた位置に到達する前に、前記第3ステップにおいて前記試料ブロックの切削を停止させる。
【0021】
本発明の第10態様に係る薄切片試料作製方法では、第7乃至第9態様において、前記第2ステップは、前記カッターが前記試料ブロックを切削する深さが、予め設定した切削深さ以上のときに、異常を検出する、異常検出ステップである。
【0022】
本発明の第11態様に係る薄切片試料作製方法では、第10態様において、前記異常検出ステップは、前記カッターで前記試料ブロックを切削した際に生じる切削力が、所定のしきい値以上であるか否かを判定するステップである。
【0023】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この説明において、実質的に重複する部分の詳細な説明については省略する。
【0024】
(実施の形態1)
<1.構成について>
1−1.薄切片試料作製装置の全体構成
まず、
図1を用い、本発明の実施の形態1に係る薄切片試料作製装置の全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100の全体的な構成を示す概略図である。
ここで、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100は、試料ブロック20をカッター41により薄切りして、薄切片試料24を作製し、作製した薄切片試料24をスライドガラス22に貼付する動作を自動的に且つ連続的に行う装置である。また、試料ブロック20は、試料台19上に載置され、被検体である試料20aをパラフィン等の包埋材20bの中に埋め込んだものである。試料20aとしては、例えば、人間や動物の組織などの生体試料や生検組織に関する試料等が挙げられる。この試料ブロック20の詳細については、後述する。
【0025】
図1に示すように、薄切片試料作製装置100は、試料ブロック収納部30と、搬送部1と、高さ検出部2と、異常検出部3と、切削部4と、供給リール5と、巻取リール6と、薄切片貼付部7と、スライドガラス搬送部8と、伸展部9と、制御部10と、を備える。
【0026】
試料ブロック収納部30は、複数の試料ブロック20を、整理した状態で収納する。
【0027】
搬送部1は、試料ブロック収納部30から薄切り処理される試料ブロック20を順次取り出して、位置A上に搬送した後、当該試料ブロック20を位置A〜Bの間で往復搬送可能に構成される。位置A〜Bは、搬送方向(±X方向)に直線的に整列している。また、搬送部1は、試料ブロック20の表層部分がカッター41により薄切り可能な高さに位置するように、試料ブロック20の高さ方向(±Z方向)を調整可能に構成される。さらに搬送部1に2軸の傾斜ステージを設け、試料ブロック20のXY平面に対する傾きを調整可能に構成される。
【0028】
高さ検出部2は、位置Aに搬送された試料ブロック20の高さ方向(±Z方向)における高さを検出する。具体的には、高さ検出部2は、位置Aに搬送された試料ブロック20の表面上の3点の高さ位置を検出することにより、試料ブロック表面の傾きを求める。次いで、搬送部1が試料ブロック表面が水平となるように傾きを補正した後、高さを検出する。
【0029】
異常検出部3は、試料ブロック20の切削を開始してから、試料ブロック20の切削が完了するまでの間の動作(以下、「薄切り動作」という。)において、切削異常を検出する。異常検出部3は、搬送経路の上流側(−X方向側)において、カッター41と対向するように搬送部1の端部に設置される。そのため、異常検出部3は、搬送部1に付随して移動する。異常検出部3の詳細については、後述する。
【0030】
切削部4は、カッター41を備え、切削位置Bに設置される。切削部4は、当該カッター41により、試料ブロック20を薄切可能に構成される。具体的には、まず、所定の高さ位置にカッター41が設定される。そこで、搬送方向(+X方向)に沿って、搬送部1によりカッター41と試料ブロック20とを相対的に移動させることにより、試料ブロック20を切削して、薄切り動作を行う。
【0031】
供給リール5は、繰り出しモータ51を備える。当該繰り出しモータ51が駆動することにより、供給リール5からキャリアテープ21が繰り出される。繰り出されたキャリアテープ21は、ガイドローラ81,82により案内されて、切削位置Bの上方に供給される。切削位置Bの上方に供給されたキャリアテープ21は、切削部4により試料ブロック20の表層部分を薄切りすることで得られた薄切片試料24を保持する。当該薄切片試料24を保持したキャリアテープ21は、ガイドローラ83に案内され、薄切片貼付部7へ送り出される。
【0032】
薄切片貼付部7は、キャリアテープ21の走行経路の上流側(−X方向側)に配置された一対のガイドローラ71と、キャリアテープ21の走行経路の下流側(+X方向側)に配置された一対のガイドローラ72とを備える。上記構成において、薄切片貼付部7は、キャリアテープ21に保持された薄切片試料24を、スライドガラス22上に貼り付ける。より具体的には、薄切片貼付部7は、一対のガイドローラ71の間と一対のガイドローラ72との間でキャリアテープ21を挟んで下方に撓ませ、当該キャリアテープ21に保持された薄切片試料24を、水などの接着液23が供給されたスライドガラス22上に接触させる。これにより、薄切片試料24が、スライドガラス22上に貼り付けられる。その後、薄切片試料24が貼付されたキャリアテープ21は、ガイドローラ84に案内されて、巻取リール6に巻き取られる。
【0033】
巻取リール6は、巻取モータ61を備える。当該巻取モータ61が、常時駆動することにより、巻取リール6には常に一定のトルクが与えられている。これにより、繰り出しモータ51の駆動により供給リール5から繰り出されたキャリアテープ21は、当該繰り出しと同時に巻取リール6に巻き取られる。
【0034】
スライドガラス搬送部8は、薄切片試料24が貼り付けられたスライドガラス22である薄切片付きスライドガラス22を伸展部9へ搬送する。また、スライドガラス搬送部8は、スライドガラス収納部(図示せず)から薄切片試料24が貼付されていないスライドガラス22を取り出して薄切片貼付部7の下方へ搬送する。
【0035】
伸展部9は、加温板(図示せず)を備え、スライドガラス搬送部8により搬送された薄切片試料24の皺の伸展を行うとともに、スライドガラス22上の水分を蒸発させて薄切片試料24をスライドガラス22上に密着固定させる。
【0036】
制御部10は、少なくとも搬送部1を制御する。通常は搬送部1のみではなく、高さ検出部2、異常検出部3、切削部4等の上記各構成を制御し、この薄切片試料作製装置100の全体の動作を制御する。制御部10は、入力部(図示せず)から入力される上記各構成からの情報に基づいて、上記各構成の動作を制御する。入力部は、例えば、薄切片付きスライドガラス22の製作枚数や、1枚のスライドガラス当たりの薄切片試料の貼り付け数等が入力可能に構成される。また、制御部10は、異常検出部3におけるフォースセンサにより検出される切削力と試料ブロック20の表面からの深さとの関係及び所定のしきい値を表すテーブルTA(第1テーブル)を備える。テーブルTAの詳細については、後述する。なお、
図1は、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100の全体的な構成の一例であって、それに限定するものではない。例えば、切削部により薄切りされた薄切片をスライドガラスに載置する方法や薄切片の伸展方法等、上述の構造や方法に限定されるものではなく、その他の構造や方法であっても何ら問題はない。
【0037】
1−2.試料ブロック
ここで、
図2及び
図3を用い、実施の形態1に係る試料ブロック20について、詳細に説明する。
【0038】
1−2−1.試料ブロックの構造
まず、
図2を用い、実施の形態1に係る試料ブロック20の構造について説明する。
図2は、
図1中の試料ブロック20の平面図である。
【0039】
図2に示すように、実施の形態1に係る試料ブロック20は、被検体である試料20aを包埋剤20bの中に埋め込んだ(包埋した)ものである。試料20aは、ここでは、その厚みが0.5mm〜5mm程度、または直径L1が0.5mm〜5mm程度の非常に微小な形状であって、生検を行う際に用いられる生検試料を一例に挙げる。ここで、「生検」とは、病変の検出または病変部の診断等を目的とするものであり、身体から組織の一部を採取した生検組織を用いて、病理診断を行うことをいう。このように、試料20aは、非常に微細であり、摂取される量も少ないため、病理診断の現場等において、非常に貴重な被検体である。したがって、当該現場において、試料20aを紛失することは、あってはならないことである。
【0040】
また、試料ブロック20は、長手方向(±X方向)の長さLXが30mmであり、短手方向(±Y方向)の長さLYが24mmである。包埋剤20bは、例えば日本国内で比較的広く使用されており、その融点が56℃〜58℃のパラフィンである。
【0041】
1−2−2.試料ブロックの断面構造
次に、
図3を用い、実施の形態1に係る試料ブロック20の断面構造について説明する。
図3は、
図2中のI−Iの方向から見た縦断面図である。
【0042】
図3に示すように、試料ブロック20は、試料台19上に載置される。図示するように、試料20aは、試料ブロック20の表面からの深さ方向(−Z方向)において、深さD1における位置の包埋剤20bの中に埋め込まれる。
【0043】
ここで、このような断面構成の試料ブロック20において薄切り動作を開始する際に、設定したカッター41の深さが、上記深さD1よりも浅い所定の深さに設定される場合、当該カッター41によって、試料20aを切削する。そして、所定の試料20aについて、包埋剤20bとともに、試料ブロック20の表層部分から薄切片試料24を薄切りする。そのため、試料20aの薄切片が包埋剤20bに包含された状態で、所定の薄切片試料24を作製することができる。
【0044】
一方、試料ブロック20の薄切り動作を開始する際に、実際に切削するカッター41の深さD2が、上記深さD1よりも深く(大きく)なってしまう場合(D2>D1)がある。この場合、何らの切削異常も検出されずに、当該深さD2にて、切削動作が開始されると、カッター41は、試料20aが包埋される深さD1よりも深い深さD2における包埋剤20b中を通過する(深切りする)。そのため、試料20aを切削せずに、切削動作が完了してしまう。この場合、試料20aは、包埋剤20bに含まれた状態で、試料ブロック20から剥離する。そして、試料20aは、粗削りや捨て切りといわれる準備段階の切削動作においては、スライドガラス22上に貼付されずに、そのまま破棄されることがある。その結果、非常に貴重な被検体である試料20aを、紛失するおそれがあった。
【0045】
しかし、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100によれば、試料ブロック20の切削を開始してから、試料ブロック20の切削が完了するまでの間に、切削異常を検出する異常検出部3を備える。そのため、異常検出部3は、上述のように実際に切削するカッター41の深さD2が、予め設定したカッター41の深さよりも深く(大きく)なる場合、切削異常として、深く切削しすぎる深切り切削異常を検出する。そして、カッター41による、当該試料ブロック20の切削を停止することで、試料20aの紛失を防止することができる。
【0046】
次に、実施の形態1に係る異常検出部3について、詳細に説明する。
1−3.異常検出部
図4を用いて、実施の形態1に係る異常検出部3について説明する。
図4は、実施の形態1に係る異常検出部3を説明するための斜視図である。ここでは、異常検出部3は、カッター41で試料ブロック20を切削した際に生じる切削力を検出する、切削力検出部である。
図4に示すように、切削力検出部3は、搬送経路の上流側(−X方向側)において、カッター41と対向するようにホルダ固定部12の端部に当て止めして設置されるフォースセンサである。フォースセンサは、連結部品を介して搬送部1のベース板(図示せず)に固定されており、ベース板は搬送方向と同軸方向の直動ガイド(図示せず)を介してホルダ固定部12と連結されている。そのため、フォースセンサは、搬送経路に沿って、搬送部1に付随して移動する。
【0047】
1−3−1.フォースセンサについて
フォースセンサは、カッター41が試料ブロック20を切削する際に生じる切削力Nを検出して、これを所定の電圧に変換し、切削力データ信号FD(以下、単に「切削力FD」という。)として制御部10へ出力する。より具体的には、切削動作の際には、搬送方向(+X方向)に沿って、搬送部1によりカッター41と試料ブロック20とを相対的に移動させることにより、試料ブロック20を切削する。ここで、試料ブロック20は、搬送方向と直交する幅方向(±Y方向)において、試料台19が一対のホルダ11により挟まれて保持されることにより、ホルダ固定部12に固定されている。そのため、切削動作の際に発生する切削力Nは、搬送経路の下流側から上流側への向き(−X方向)に、ホルダ固定部12を介して切削力検出部3に加わり、フォースセンサにより検出される。
【0048】
1−3−2.駆動トルク検出部について
ここで、上記では、切削力検出部3として、フォースセンサを備える構成を一例に挙げて説明した。しかし、切削力検出部3は、上記構成に限られるものではない。そこで、
図10を用い、切削力検出部3の別例を説明する。
図10は、別例に係る切削力検出部3を備える薄切片試料作製装置の全体的な構成を示す概略図である。
【0049】
図10に示すように、別例に係る切削力検出部3は、駆動トルク検出部3Bを備え、カッター41で試料ブロック20を切削した際に生じる切削力を検出する。
【0050】
駆動トルク検出部3Bは、搬送方向(+X方向)に試料ブロック20を搬送するための、搬送部1が備える駆動モータ(例えば、サーボモータやトルク制御機能の付いたパルスモータ等)の駆動トルクを検出する。具体的には、モータのドライバーでトルク監視を行い、検出した駆動トルクを、上記ドライバーから駆動トルク信号として、制御部10へ出力する。
【0051】
ここで、駆動トルク検出部3Bにより検出される駆動トルクは、上記切削力FDと同様に、試料ブロック20の表面からの各深さに比例した所定の値を示す。つまり、駆動トルクと試料ブロック20の表面からの各深さとは、カッター41と試料ブロック20とが搬送方向(+X方向)において干渉する範囲である、切削開始位置から切削完了位置までの間において、比例関係にある。このように、別例に係る切削力検出部3は、駆動トルク検出部3Bにより、駆動トルクを検出することで、カッター41で試料ブロック20を切削した際に生じる切削力を検出する。
【0052】
また、
図10に示すように、別例に係る薄切片試料作製装置100Bでは、制御部10がテーブルTB(第2テーブル)を備える。テーブルTBは、上記テーブルTAと同様に、駆動トルク検出部3Bにより検出された上記駆動トルクと、試料ブロック20の表面からの深さとの関係、及び駆動トルクの所定のしきい値を表す。
【0053】
<2.薄切片試料作製処理について>
次に、
図5を用い、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100の薄切片試料作製処理について説明する。
図5は、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100の薄切片試料作製処理を示すフローチャートである。
図示するように、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100の薄切片試料作製処理は、切削準備処理S01と、切削開始から切削完了までの間の切削異常を検出する異常検出処理S02と、薄切片貼付スライドガラス作製処理S03と、に大別される。なお、以下の動作は、制御部10が、上記各構成を制御することにより実行される。
【0054】
2−1.切削準備処理S01
まず、
図5に示す切削準備処理S01について説明する。
はじめに、搬送部1は、試料ブロック収納部30から薄切り処理される試料ブロック20を順次取り出して、位置A上に搬送する。続いて、制御部10は、必要に応じて、当該試料ブロック20を位置A〜Bの間で往復搬送するように、搬送部1を制御する。
【0055】
続いて、高さ検出部2は、位置Aにおいて、試料ブロック20の高さ方向(±Z方向)における高さと、XY平面における試料ブロック表面の傾きを検出する。この際、高さ検出部2は、試料ブロック20の表面上の3点の高さ位置を検出することにより、試料ブロック20の傾きを検出する。続いて、制御部10は、高さ検出部2により検出された情報に基づいて、試料ブロック20の傾きを調整した後、試料ブロック20の表層部分の高さがカッター41により薄切り可能な高さに位置するように、搬送部1を制御する。続いて、制御部10は、所定の高さに調整された試料ブロック20が、切削位置Bに搬送されるように、搬送部1を制御する。以上のように、実施の形態1に係る切削準備処理S01を行う。
【0056】
2−2.異常検出処理S02
次に、
図6に沿って、切削開始から切削完了までの間の切削異常を検出する異常検出処理S02について説明する。
図6は、
図5中の異常検出処理S02を示すフローチャートである。図示するように、切削準備処理S01の後、まず、ステップS21において、切り込み量などの各種パラメータを基に、切削異常を検出するためのしきい値を決定する。ここで、「しきい値」とは、カッター41の深さが、試料ブロック20の表面からの限界深さDTH以上のときに、カッター41による試料ブロック20の切削を停止させる値をいう。また、決定された当該しきい値は、制御部10が備える記憶部(図示せず)等のテーブルTAに格納される。後述するように、制御部10は、テーブルTA中のしきい値を参照し、フォースセンサにより検出される切削力FDが当該しきい値を超えるか否かに基づき、切削異常(深切り切削異常)であるか否かを判定する。
【0057】
しきい値として、ここでは、試料ブロック20の表面からの限界深さDTH(約80μm)に対応する切削力FDTHに設定する場合を一例に挙げる。この場合、まず薄切片試料作製に用いる試料ブロック20と同様のパラフィンの種類の材料で形成された、しきい値決定用の試料ブロックを準備する。そして、準備したしきい値決定用の試料ブロックに対して、薄切片試料作製装置100により、薄切り動作を行う。その結果、フォースセンサから入力される切削力FDと当該試料ブロックの表面からの深さとの関係、及びしきい値FDTHを表すテーブルTAを取得する。そこで、次に、
図7を用いて、実施の形態1に係るテーブルTAについて、詳細に説明する。
【0058】
2−2−1.テーブルTA
次に、
図7を用い、実施の形態1に係るテーブルTAについて説明する。
上述したように、しきい値決定用の試料ブロックに対して、薄切片試料作製装置100により薄切り動作を行った結果、
図7に示すテーブルTAを取得する。
図7に示すテーブルTAは、フォースセンサから入力される切削力FDと、当該試料ブロック20の表面からの深さとの関係及びしきい値FDTHを表している。より具体的には、
図7に示すテーブルTAは、フォースセンサから入力される切削力(…,FDA,…,FDG,…)と、試料ブロックの表面からの深さ(…,DA,…,DG,…)との関係及びしきい値FDTHとこれに対応する限界深さDTHを表している。取得したテーブルTAは、制御部10の記憶部(図示せず)等に記憶される。
【0059】
なお、ここでは、上記テーブルTAが、切削力FDと試料ブロック20の表面からの深さとの関係を表(テーブル)形式で表す場合を一例として説明した。しかし、このような表(テーブル)形式に限定されることはない。例えば、制御部10が、切削力FDと試料ブロック20の表面からの深さとの関係式を表すパラメータを記憶する場合であってもよい。
【0060】
また、ここでは、試料ブロック20の表面からの深さ(切り込み量)DTと、試料ブロック20と同様のパラフィンの種類との2つのパラメータに基づいて、切削異常を検出するためのしきい値FDTHを決定する場合を説明した。しかし、しきい値を決定する際のパラメータは、これらに限られることはない。例えば、試料ブロック20のサイズ、カッター41の種類、又は搬送部1の移動による切削速度等のその他の各種パラメータに基づいて、同様にしきい値を決定することが可能である。また、しきい値を決定するステップS21は、必ずしもここで説明したタイミングで行う必要はない。例えば、薄切り動作の開始前に、同様にしきい値を決定し、あらかじめ取得したテーブルTAに格納させることも可能である。
【0061】
続いて、
図6に戻り、ステップS22において、制御部10は、試料ブロック20の切削動作を開始する。具体的には、制御部10は、搬送方向(+X方向)に沿って、カッター41と試料ブロック20とが相対的に移動するように、搬送部1を制御する。このように、試料ブロック20の表層部分をカッター41が移動することで、切削動作を開始する。切削動作時の搬送部1における搬送方向(X方向)の搬送速度(以下、「切削速度」という。)は、通常5mm/sec〜100mm/sec程度である。
【0062】
続いて、ステップS23において、制御部10は、切削動作中の切削力FDを監視し、切削力がしきい値以上か否かを判定する。具体的には、制御部10は、上記テーブルTAを参照し、フォースセンサによりリアルタイムに検出される切削力FDと、上記テーブルTA中の切削力のしきい値FDTHとを比較する。そこで、制御部10は、フォースセンサにより検出される切削力FDが、上記テーブルTA中の切削力のしきい値FDTH以上であるか否かを判定する。このステップS23において、制御部10が、検出された切削力FDがしきい値FDTH未満と判定する場合(NO)、ステップS24へ進む。
【0063】
続いて、ステップS24において、制御部10は、薄切片試料を切り出して、切削動作を終了する(エンド)。
【0064】
一方、上記ステップS23において、制御部10が、検出された切削力FDがしきい値FDTH以上であると判定する場合(YES)、ステップS25へ進む。このステップS25において、制御部10は、テーブルTAに表す切削力FDと試料ブロック20の表面からの深さとの関係に基づいて、試料ブロック20が深切り切削異常であると判定する。そこで、制御部10は、搬送部1の搬送動作を停止させ、カッター41による試料ブロック20の切削動作を停止させる。ここで、
図8を用い、切削異常(深切り切削異常)の検出について、より詳細に説明する。
【0065】
2−2−2.切削異常(深切り切削異常)の検出
図8は、試料ブロック20の表面からの各深さDA〜DGにおける、試料ブロック20の表面上のカッター41の位置と切削力FDとの関係を示す図である。ここでは、試料ブロック20の表面からの深さとして、深さDA〜DG(DA:5μm,DB:10μm,DC:30μm,DD:50μm,DE:100μm,DF:200μm,DG:300μm)を一例に挙げる。実施の形態1では、フォースセンサから出力される電圧を、アンプを用いて増幅している。ここでは、フォースセンサが検出する上記切削力Nとこれを変換する電圧Vとの関係は、0.95N/Vであるが、アンプの種類によりこの関係は変化する。試料ブロック20に関して、試料ブロック20の短手方向(±Y方向)の長さLYは24mmである。試料ブロック20の試料20aは、生検組織である。また、試料ブロック20の包埋剤20bは、その融点が56℃〜58℃のパラフィンである。さらに、切削速度は、40mm/secである。
【0066】
上記条件下において、
図8に示すように、試料ブロック20の表面からの各深さDA〜DGにおける、フォースセンサにより検出される各切削力FDは、カッター41と試料ブロック20とが干渉しない領域では、検出されず、略0を示す。
【0067】
一方、カッター41と試料ブロック20とが搬送方向(+X方向)において干渉する領域の場合、上記各深さDA〜DGにおける各切削力FDは、試料ブロック20にカッター41が接触した位置P1から試料ブロック20からカッター41が離脱した位置P2までの間において、各深さに比例した略一定の値を示す。これは、試料ブロック20の表面からの深さが深い(厚みが大きい)ほど、カッター41が切削する試料20a及び包埋剤20bの体積及び重量が増大するため、切削に必要な切削力も増大するからである。このように、P1からP2までの間において、試料ブロック20の表面からの各深さDA〜DGと、フォースセンサにより検出される各切削力FDとは、比例関係にある。
【0068】
そのため、検出される切削力FDが設定したしきい値FDTH以上の場合、制御部10は、深切り切削異常が発生したと判定し、異常停止制御信号を搬送部1に送信する。異常停止制御信号を受けた搬送部1は、直ちに搬送動作を停止する。その結果、制御部10は、切削動作を停止させる(S25)。例えば、
図8に示す場合、しきい値が、試料ブロック20の表面からの限界深さDTH(約80μm)に対応する、切削力FDTHに設定されている。そのため、制御部10は、深さDE,DF,DGについて、フォースセンサにより検出される切削力FDがしきい値FDTH以上であると判定する。従って、制御部10は、これらの深さDE,DF,DGについては深切り切削異常が発生したと判定し、搬送部1の搬送動作を停止させ、切削動作を停止させる(S25)。このように、実施の形態1では、制御部10が、深さ100μm以上の深さDE,DF,DGについて、深切り切削異常が発生したと判定し、切削動作を停止させる。その結果、非常に貴重な被検体であって、微小な生検試料等の試料20aの紛失を防止することができる。
【0069】
2−2−3.切削動作における試料ブロック中のカッターの各停止位置
次に、
図9を用い、深切り切削異常が発生した場合のカッター41の各停止位置について、より詳細に説明する。
【0070】
2−2−3−1.カッターの切削開始位置について
まず、
図9(a)を用い、カッター41の切削開始位置について説明する。
図9(a)では、カッター41が切削開始位置PSの状態にある。ここから、搬送方向(+X方向)に試料ブロック20が移動することにより、試料ブロック20の切削が開始される。
【0071】
2−2−3−2.試料の包埋位置前のカッターの切削停止位置について
次いで、
図9(b)を用い、カッター41の切削停止位置について説明する。ここでは、深切り切削異常を検出した場合において、試料ブロック20中のカッター41の刃先の先端位置PBが、切削開始位置から試料20aが埋め込まれた試料ブロック20中の位置PCに到達する前に、切削動作が停止する場合について説明する。
ここで、試料ブロック20中において、カッター41側における試料ブロック20の端部の位置をPAとし、深切り切削異常を検出して停止するカッター41の刃先の先端位置をPBとし、カッター41側における試料20aが埋め込まれた位置をPCとする。また、位置PAと位置PBとの間の距離を停止距離X0とし、位置PAと位置PCとの間の距離を包埋距離X1とする。
【0072】
図9(b)に示すように、異常な深さで切削動作を開始すると、制御部10により、深切り切削異常が検出され、切削動作を停止させる。ここで、カッター41の刃先の先端位置PBが、切削開始位置から試料20aが埋め込まれた位置PCに到達する前に、切削動作が停止するためには、停止距離X0が包埋距離X1よりも小さいこと(X0<X1)が必要である。そのため、制御部10は、停止距離X0が包埋距離X1よりも小さくなるように、搬送部1を制御する。このように、停止距離X0が包埋距離X1よりも小さくなるように制御することで、生検試料等の貴重な試料20aは、カッター41により損傷を受けることはない。その結果、切削動作による試料20aの損傷を防止することができる。
【0073】
さらに、試料20aの包埋位置PCは、必ずしも包埋剤20bの中央付近とは限らない。例えば、試料20aの包埋位置PCが、カッター41側における試料ブロック20の端部の位置PA側に寄って位置する場合も考えられる。そこで、このような試料20aの包埋状況を考慮すると、停止距離X0は、3mm以下であることが好ましい。また、停止距離X0は、2mm以下であることがより好ましい。さらに、停止距離X0は、1mm以下であることがより好ましい。さらに、停止距離X0は、0.5mm以下であることが最も好ましい。
【0074】
2−2−3−3.薄切り部分が剥離する前のカッターの切削停止位置について
次いで、
図9(c)を用い、薄切り部分22が剥離する前のカッター41の切削停止位置について説明する。ここでは、深切り切削異常を検出した場合において、カッター41で薄切りされた薄切り部分22が試料ブロック20から剥離する前に、切削動作を停止させる場合について説明する。
ここで、試料ブロック20中において、薄切り部分22が剥離しない限界の位置をPDとし、カッター41と対向する側の試料ブロック20の端部の位置をPEとする。また、位置PAと位置PDとの間の距離を剥離限界距離X2とする。
【0075】
図9(c)に示すように、カッター41で薄切りされた薄切り部分22が、試料ブロック20から剥離する前に、切削動作を停止させるためには、停止距離X0が剥離限界距離X2よりも小さいこと(X0<X2)が必要である。そのため、制御部10は、停止距離X0が剥離限界距離X2よりも小さくなるように、搬送部1を制御する。より具体的には、制御部10は、深切り切削異常を検出した場合に、カッター41の刃先の先端位置PBが、切削開始位置から試料20aの包埋位置PCを超え、遅くとも薄切り部分22が剥離しない限界の位置PDに到達する前に、切削動作を停止させる。このように、制御することで、薄切り部分22中の生検試料等の貴重な試料20aは、試料ブロック20から剥離することはない。その結果、切削動作による試料20aの紛失を防止することができる。
【0076】
2−2−3−4.薄切り部分が剥離するカッターの切削停止位置について
次いで、
図9(d)を用い、薄切り部分22が試料ブロック20から剥離するカッター41の切削停止位置について説明する。ここでは、停止距離X0が剥離限界距離X2よりも大きい場合(X0>X2)、について説明する。
【0077】
図9(d)に示すように、カッター41の刃先の先端位置PBが、薄切り部分22が剥離しない限界の位置PDを超えて、なお切削動作を継続すると、薄切り部分22が試料ブロック20から剥離する危険性が高い。例えば、
図9(d)に示す状態の薄切り部分22は、屑吸引による吸引または屑吹き飛ばしにより容易に千切れる場合や、カッター41が逆行した際に切削口から千切れる場合等により、試料ブロック20から剥離する危険性が高い。
【0078】
しかし、本実施の形態1では、フォースセンサにより切削力FDを検出してから、搬送部1を停止させるまでの間において、カッター41が試料ブロック20を切削する距離(以下、「応答停止距離」という。)が、例えば0.26mm程度である。そのため、
図9(d)に示すような、試料20aが試料ブロック20から剥離することを防止することができる。
【0079】
なお、上記応答停止距離は、0.3mm以下であることが好ましい。上述した通り、本実施の形態1では、応答停止距離は、0.26mm程度である。さらに、応答停止距離は、制御部10が備える制御ソフトウェア(図示せず)を最適化することにより、必要に応じてより短縮化することができる。
【0080】
続いて、
図6に戻り、上記切削停止(S25)の後、ステップS26において、制御部10は、異常終了時の所定の処理を行い、この異常検出処理S02を終了する(エンド)。例えば、制御部10は、異常終了時の所定の処理として、切削動作を停止させた試料ブロック20について、搬送経路の上流側(−X方向側)に逆行させるように搬送部1を制御し、試料ブロック20の切削口からカッター41を抜き出す。そして、切削が停止された試料ブロック20を搬送ラインから外すことで、試料20aを紛失することなく、試料20aを回収することができる。
【0081】
なお、この異常検出処理S02は、試料ブロック20をカッター41によって薄切りして薄切片試料24を切り出す動作(本削り)の際に限られるものではない。例えば、上記本削りを行って、薄切片試料24を得るにあたって、有用な試料20aの観察を行うためには、試料ブロック20の表面に、試料20aの部分が十分に存在していることが必要である。そこで、試料20aについて観察用の表面を得るために、試料ブロック20の表面を所定の厚さまで切削する動作(粗削り)してから、上記本削りが行われる。また、上記本削りの直前に、薄切り精度を高めるために数回の切削動作(捨て切り)を行うこともある。そのため、異常検出処理S02は、このような粗削りや捨て切りを行う際においても同様に行うことが可能である。
【0082】
2−3.薄切片貼付スライドガラス作製処理S03
次に、
図5に戻り、薄切片貼付スライドガラス作製処理S03について説明する。
まず、上記異常検出処理S02の後、
図1に示すように、薄切りされた薄切片試料24は、切削位置Bの上方に供給されたキャリアテープ21に貼り付けられて、保持される。
【0083】
続いて、キャリアテープ21に保持された薄切片試料24は、スライドガラス22上に搬送され、薄切片貼付部7により貼り付けられる。より具体的には、薄切片貼付部7は、一対のガイドローラ71の間と一対のガイドローラ72との間でキャリアテープ21を挟んで下方に撓ませ、当該キャリアテープ21に保持された薄切片試料24を、水などの接着液23が供給されたスライドガラス22上に接触させる。これにより、薄切片試料24は、スライドガラス22上に貼り付けられる。
【0084】
続いて、薄切片が貼り付けられたスライドガラス22は、スライドガラス搬送部8により、伸展部9へ搬送される。続いて、伸展部9へ搬送された薄切片試料24は、伸展部9の加温板により皺が伸展され、スライドガラス22上の水分が蒸発して、スライドガラス22上に密着固定される。以上のように、実施の形態1に係る薄切片貼付スライドガラス作製処理S03を行う。
【0085】
<3.作用効果について>
以上説明したように、実施の形態1に係る薄切片試料作製装置100では、制御部10は、異常検出部3により切削異常が検出されるか否かを判定し(S23)、異常検出部3により切削異常が検出された場合、搬送部1の搬送動作を停止させ、カッター41による試料ブロック20の切削を停止させる(S25)。
【0086】
これによって、試料ブロック20の切削を開始してから、試料ブロック20の切削が完了するまでの間に、切削異常を検出し、当該試料ブロック20の切削を停止することで、試料20aの紛失を防止することができる。
【0087】
例えば、実施の形態1の場合、異常検出部3は、カッター41で試料ブロック20を切削した際に生じる切削力FDを検出するフォースセンサを備えた、切削力検出部である。制御部10は、テーブルTAを参照し、フォースセンサにより検出された切削力FDが、テーブルTA中の所定のしきい値FDTH以上であるか否かを判定する(S23)。切削力FDが、テーブルTA中の所定のしきい値FDTH以上である場合、制御部10は、テーブルTAが表す切削力FDと試料ブロック20の表面からの深さとの関係に基づいて、試料ブロック20の深切り切削異常が発生したと判定し、異常停止制御信号を搬送部1に送る。異常停止制御信号を受けた搬送部1は、直ちに搬送動作を停止する。その結果、制御部10は、切削動作を停止させる(S25)。
【0088】
その結果、非常に貴重な被検体であって、微小な生検試料等の試料20aの紛失を確実に防止することができる。
【0089】
(他の実施の形態)
上記実施の形態1,2では、異常検出部3の一例として、切削力FDを検出するフォースセンサや、駆動トルクを検出する駆動トルク検出部を備えることで、深切り切削異常を検出する構成を説明した。しかし、異常検出部3は、これらの構成に限られるものではない。
【0090】
例えば、他の実施の形態として、異常検出部3が、試料ブロック20の薄切り部分の周辺を撮像する撮像センサを備える構成であっても、適用することが可能である。この場合、当該撮像センサで撮像された画像データは、制御部10に入力される。そこで、制御部10は、入力された当該画像データに基づいて、試料ブロック20の切削を開始してから、カッター41が試料ブロック20に接触するまでの間において、切削異常であるか否かを判定する。そして、切削異常である場合に、制御部10は、搬送部1の搬送動作を停止させ、切削動作を停止させる。