【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題は、請求項1に記載される特徴を有する装置によって解決される。
【0007】
本発明による装置は、身体機能に関する値を記録するためのセンサと、測定値に基づいて、身体機能および/または身体特性の、危険な、該当する場合には病理学的な状態(以下では略して:危険な状態)を検知するためのユニットと、危険な状態が検知された場合、好ましくは視覚的および/または聴覚的に、患者に警告情報を提供するためのユニットと、危険な状態に確認応答(acknowledgement)するための確認応答ユニットと、対応する身体機能および/または身体特性に関する情報、たとえば緊急信号および/または位置情報を送信するための送信器とを含み、送信器は、危険な状態の検知後、所定の期間、たとえば数分が過ぎた後、確認応答ユニットが操作されなかった場合のみ起動可能である。確認応答ユニットが所定の期間内に操作された場合、情報を送信するためのユニットは機能しないままである。
【0008】
一般に、危険な状態、または身体機能に対するそうした状態の影響および身体機能に関する測定値は、治療のための健康管理実務者(HCP)(treating health care practitioner)、および/またはそれぞれの保険局(health authority)によって決められる。たとえば、一般的には、血液中のグルコースの濃度が40mg/dlのレベルを下回った場合は低血糖であり、濃度が243mg/dl(13.5mmol/l)のレベルを上回った場合は高血糖であると解釈される。脈拍数の危険値は、個々に決定することができ、通常は患者の年齢および身体状態によって決まる。
【0009】
本発明による装置は、患者が元気で、あるいは、危険な状態にもかかわらず患者自身で必要な測定を行うことができる場合を意味するすべての場合には、主治医(attending person)および/または救急隊員に知らせないという利点を有する。これにより、不要な費用および支出が避けられる。同時に、患者が、実際には危険な状態のために適切に実施していないか、または自身で行うことができず、したがって、所与の時間内に危険な状態に関する警告情報に確認応答しない場合には、送信器が起動され、それぞれの情報、たとえば、モニタされた身体機能およびその状態に関する情報、ならびに/または患者もしくは患者の身体特性に関する情報が、それぞれ主治医または救急隊員に送信される。
【0010】
モニタされた身体機能およびその状態に関する情報は、たとえば、どの身体機能がモニタされたかに関する情報、センサによって得られた現在の測定値、および危険な状態の検知がそれに基づいて行われる閾値を含む。
【0011】
患者または患者の身体特性に関する情報は、たとえば、患者の名前、住所、電話番号、または、たとえば組み込まれたGPSセンサによって決定することが可能な現在の位置を含む。
【0012】
本発明の装置の他の利点は、それが、高齢者が一人でいることの実現性を高めることにある。突然の身体機能障害によって落下した場合、ハイトゲージ(高度計)が、患者の身体に固定された測定器の、患者のフラット(flat)内に位置する床またはセンサ要素に対する距離を測定することができる。この場合、身体特性は、床に対するハイトゲージの位置である。この実施形態は、たとえば患者のフラットを意味する「ホモゾーン(homezone)」にしか適用することができない。
【0013】
他の実施形態では、センサは、GPSのような位置センサを含む。さらに、患者および/またはHCPは、地理的な区域、および該当する場合には対応する時間の情報を決めることができる。こうした区域は、許容された区域および/または禁止された区域とすることができる。患者の位置が、禁止された区域内または許容された区域外にあることが検知された場合、好ましくは、時刻および/または曜日がさらに考慮された場合、ディスプレイに変則的な位置が示され、先に説明したように患者がそれに確認応答することができる。それは、許容可能な区域および/または禁止された区域を、対応する時刻および/または曜日に応じて決めることが可能であることを意味する。患者が所定の期間内に危険な状態に確認応答しない場合には、送信器が起動され、好ましくは患者の位置および緊急信号を送信する。この実施形態は、認知症または見当識障害の(disoriented)患者に対して重要であり得る。
【0014】
さらなる実施形態では、センサによって測定される患者の身体特性は、時間依存のセンサの位置の変化を含む。通常と異なり位置が変わらない場合には、少なくとも2つの理由があり得る。第1に、患者が病気を患っている可能性があり、したがって動かない。第2に、患者がセンサを身に着けていないことである。第2のケースの発生は、さらにセンサの位置を決定することによって第1の状況と区別することができる。センサが患者のフラット(「ホモゾーン」)周辺の地理的な区域内に位置する場合には、患者がセンサを身に着けておらず、センサが患者の家にある蓋然性が高い。したがって、患者が救助を必要とする可能性がある危険な状態を検知するために、危険な状態を検知するためのユニットは、位置が変わらない時間を所定の時間の閾値と比較し、好ましくは、さらにセンサの地理的な位置、または時刻および/もしくは曜日を考慮する。
【0015】
したがって、センサが、時間を測定し、曜日を決定するクロックを含むと有利である。
【0016】
確認応答ユニットは、押しボタン、または同時に押さなければならない複数のキーおよびボタンを含むことができる。さらに確認応答ユニットは、所定の単語または所定の文などの患者からの音声信号を受け、次いでこうした音声信号の音声解析を行い、それを所定の単語または文と比較する、マイクロホンを含むことができる。後者の場合、確認応答は、所定の単語または文を繰り返す患者によってのみ行うことができる。患者からの音声信号を解析する音声認識システムを確認応答ユニットに組み込むことにより、確実にそれぞれの患者から確認応答が来るようにすることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、送信器は、起動された後、それぞれの緊急呼び出しを送信するように装備される。本発明による送信器は、国際的に認められた緊急信号、または患者が現在いる国もしくは地域に応じて、地域的に認められた緊急信号を、それぞれの移動電話または従来型の電話の緊急呼び出しの受信者に送信する。これにより、救急隊員がきわめて迅速に現場に行き、危険な状態の患者を救助することが可能になる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、危険な状態を検知するためのユニットは、センサによって得られた身体機能および/または身体特性の測定値を、少なくとも1つの閾値と比較することが可能であり、したがって、ユニットは、この比較の結果に応じて危険な状態であるかどうかを判断することができる。その点では、少なくとも1つの独立した閾値が好ましいが、この閾値は、たとえば患者の年齢による変動の影響を受けるため、患者またはHCPによって予め設定される。それに応じて、センサによって記録された測定値を、その測定値が、たとえば所定の地理的な位置または区域など、許容された測定範囲または禁止された測定範囲内にあるかどうかを解析することができ、次いで、その測定値について、比較または解析の結果に応じて危険な状態であるかどうかが判断される。患者またはHCPによって予め設定することに関する前述の説明は、類似の許容または禁止された測定範囲に当てはまる。
【0019】
他の好ましい実施形態では、送信器は、必要な場合には衛星を介した、公共の移動電話網用の送信器を含む。周知の移動電話網を介して、患者または危険な状態に関する情報を、高速かつ容易に、できるだけ迅速に送信することができる。
【0020】
さらに、送信器は、特に従来型の電話網および/もしくは公共の移動電話網を介して、乗物、ならびに/または移動電話および/もしくは電話網と通信するように動作可能であると有利である。そうした情報経路を介して、本発明による装置は、事故を効果的に回避するために、患者が現在その中にいる可能性がある乗物に情報を送信することもできる。運転手である可能性がある患者の危険な状態に関する情報の送信後、乗物の制御装置は、その乗物を制御された方法で停止させること、ならびに/または運転手に乗物を停止させるためにそれぞれの指示および/もしくは要求を示すことができる。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態には、患者による状態への確認応答が行われなければならない決められた期間を、患者および/またはHCPによって予め設定することができるという利点もある。
【0022】
前述の課題は、請求項7の特徴を有する方法によってさらに解決される。
【0023】
特に、患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための方法は:
・ 身体機能および/または身体特性に関する測定値を決定する工程と、
・ 測定値に基づいて、それぞれの身体機能および/または身体特性の危険な状態を検知する工程と、
・ 危険な状態が検知された場合、好ましくは視覚的および/または聴覚的に、患者に警告情報を提供する工程と、
・ この身体機能および/または身体特性の危険な状態の検知から所定の期間の後、危険な状態への確認応答が検知されなかった場合のみ、対応する身体機能および/または身体特性に関する情報、たとえば緊急信号および/または位置情報を送信する工程であって、情報は、好ましくは乗物の制御装置に対する停止命令、または乗物の運転手に対する運転手に乗物を停止させる指示および/もしくは要求を含む工程と
を含む。
【0024】
これまで装置に関して説明したように、本発明の方法によって、実際に危険な状況にある患者を効果的に救助することが可能になる。
【0025】
好ましい実施形態では、決定された測定値は少なくとも1つの閾値と比較され、かつ/または測定値は、たとえば所定の地理的な位置または区域など、許容された測定範囲または禁止された測定範囲内にあるかどうかが解析され、次いで、測定値について、比較または解析の結果に応じて危険な状態であるかどうかが判断される。その点では、すべての測定値を比較および/もしくは解析するかどうか、または手順を固定するために、測定値をより大きい間隔で比較および/もしくは解析するかどうか、たとえば、測定値を10個ごとに比較および/もしくは解析するかどうかは、測定値のタイプによって決まる。後者の可能性は、特に危険な状態がゆっくり生じ、急に現れない場合に該当する。
【0026】
確認応答の検知に対する他の実施形態では、音声信号は、好ましくはマイクロホンによって記録され、好ましくはさらに、受けた音声信号の音声解析、および/または受けた音声信号の音声認識が行われ、受けた音声信号の音声解析、および/または受けた音声信号の音声認識の結果に基づいて、患者が危険な状態に確認応答したかどうかを判断する。
【0027】
本発明はさらに、患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための前述の装置と、運転手のいる乗物のための制御装置とを含むシステムに関し、制御装置が、好ましくは乗物の中に位置するモニタ用の装置の送信器から、停止命令、または運転手に乗物を停止させる指示もしくは要求を受けた場合、制御装置は、乗物の停止を開始する、または乗物の運転手に対する対応する指示もしくは要求の表示を開始する、かつ/またはハザードフラッシュの動作を開始することのような乗物の他の安全モードを開始するように動作可能である。
【0028】
本発明のさらなる目的、特徴、利点および用途は、一実施形態に関する以下の説明および図から得ることができる。記載および/または図示される特徴はすべて、個々に、または任意の組合せとして、特許請求の範囲におけるその配置またはその戻り参照(back reference)に関係なく、本発明の主題をなす。