特許第6476124号(P6476124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6476124身体機能および/または身体特性をモニタするための装置ならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476124
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】身体機能および/または身体特性をモニタするための装置ならびに方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   A61B5/00 102C
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-540133(P2015-540133)
(86)(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公表番号】特表2015-536712(P2015-536712A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2013072850
(87)【国際公開番号】WO2014068077
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】12191186.1
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジャスミン・グローシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン−ペーター・スペングラー
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ベンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ・リーデラー
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−301963(JP,A)
【文献】 特開2012−100005(JP,A)
【文献】 特開平08−089483(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0004904(US,A1)
【文献】 特開2002−099971(JP,A)
【文献】 特開2009−082655(JP,A)
【文献】 特開2003−174396(JP,A)
【文献】 特開2008−036354(JP,A)
【文献】 実開昭58−065135(JP,U)
【文献】 実開平03−072031(JP,U)
【文献】 特開2010−148718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/03
A61B 5/06−5/22
G08B 19/00−21/24
G08B 23/00−31/00
H04M 3/16−3/20
H04M 3/38−3/58
H04M 7/00−7/16
H04M 11/00−11/10
B60K 25/00−28/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための装置であって、身体機能および/または身体特性に関する測定値を決定するセンサ(3)と、測定値に基づいて、それぞれの身体機能および/または身体特性の危険な状態を検知するためのユニット(5)と、危険な状態が検知された場合、患者に警告情報を提供するためのユニット(7、8)と、危険な状態に確認応答するための確認応答ユニット(11)と、対応する身体機能および/または身体特性に関する情報を送信するための送信器(15)とを含み、ここで、該送信器(15)は、危険な状態の検知から所定の期間の後、確認応答ユニット(11)が患者によって操作されなかった場合のみ起動可能であり、ここで、確認応答ユニットは、マイクロホン、および確認応答が確実に患者から来るようにするため、マイクロホンが受けた音声信号を解析するように配置された音声認識ユニットを含み、ここで、該送信器(15)は、従来型の電話網および/もしくは公共の移動電話網を介して、乗物、ならびに/または移動電話および/もしくは電話網と通信するように動作可能であり、ここで、乗物に送信される情報は、乗物の制御装置に対する停止命令、または運転手に対する運転手に乗物を停止させる指示および/もしくは要求を含む、前記装置。
【請求項2】
起動後に送信器(15)によって送信される情報は、緊急信号および/または位置情報である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
危険な状態を検知するためのユニット(5)は、センサ(3)によって記録された測定値が、少なくとも1つの閾値と比較され、かつ/または許容された測定範囲もしくは禁止された測定範囲内にあるかどうか解析され、次いで、測定値について、比較または解析の結果に応じて危険な状態であるかどうかを判断するように動作可能である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの閾値、許容された測定範囲または禁止された測定範囲は、患者またはHCPによって予め設定可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
送信器(15)は、公共の移動電話網用の、および/または衛星網用の送信器、および/または従来型の電話網用の送信器を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
期間は、患者および/またはHCPによって予め設定可能である、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
確認応答ユニットは、押しボタン、および/または複数のキーをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための装置と、運転手のいる乗物のための制御装置とを含むシステムであって、制御装置が、モニタ用の装置の送信器から、停止命令、または運転手に乗物を停止させる指示もしくは要求を受けた場合、制御装置は、乗物の停止を開始する、または乗物の運転手に対する対応する指示もしくは要求の表示を開始する、かつ/または乗物の他の安全モードを開始するように動作可能である前記システム。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための装置と、運転手のいる乗物のための制御装置とを含むシステムであって、制御装置が、乗物の中に位置するモニタ用の装置の送信器から、停止命令、または運転手に乗物を停止させる指示もしくは要求を受けた場合、制御装置は、乗物の停止を開始する、または乗物の運転手に対する対応する指示もしくは要求の表示を開始する、かつ/または乗物の他の安全モードを開始するように動作可能である前記システム。
【請求項10】
患者の身体機能および/または身体特性をモニタするため方法であって:
身体機能および/または身体特性に関する測定値を決定する工程と、
測定値に基づいて、それぞれの身体機能および/または身体特性の危険な状態を検知する工程と、
危険な状態が検知された場合、患者に警告情報を提供する工程と、
身体機能および/または身体特性の危険な状態の検知から所定の期間の後、患者による危険な状態への確認応答が検知されなかった場合のみ、対応する身体機能および/または身体特性に関する情報を送信する工程であって、音声信号は、確認応答の検出のためマイクロホンによって記録され、受けた音声信号の解析は、確認応答が確実に患者から来るようにするため、音声認識ユニットによって行われ、情報は、乗物の制御装置に対する停止命令、または乗物の運転手に対する運転手に乗物を停止させる指示および/もしくは要求を含み、情報は、従来型の電話網および/もしくは公共の移動電話網を介して、乗物、ならびに/または移動電話および/もしくは電話網に送信される工程と
を含む前記方法。
【請求項11】
決定された測定値は、少なくとも1つの閾値と比較される、かつ/または測定値は、許容された測定範囲または禁止された測定範囲内にあるかどうか解析され、次いで、測定値について、比較または解析の結果に応じて危険な状態であるかどうかが判断される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
情報は、公共の移動電話網用の送信器を介して、かつ/または衛星網を介して、かつ/または従来型の電話網を介して送信される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
患者またはHCPは、期間、閾値、および/または許容された測定範囲もしくは禁止された測定範囲を予め設定する、請求項1012のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体機能および/または身体特性に関する測定値を決定するセンサを含む、患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者(人間または動物)の身体機能をモニタするための装置は、たとえば血糖計または脈拍計として知られている。こうしたデバイスは、血液中のグルコースの濃度または脈拍数(pulse frequency)など、特定の身体機能の測定値を評価する。ほとんどの場合、そうしたデバイスは、たとえば高い脈拍数、高血糖または低血糖などの危険な状態を検知し、必要なときには、それぞれの警告および警告信号を与えるように構成される。
【0003】
さらに、たとえばGPSを用いて、ある人の一連の地理的な位置をその人の行程(covered way)に沿って決定および格納する、たとえばスマートホンなどの、人の身体特性をモニタするための装置が知られている。
【0004】
糖尿病の治療など治療を受けている患者、特に子供または高齢者の場合、治療の目標値の経過(lapse)には、しばしば十分に対処することができない危険な状況がある。この場合、特に子供の親、身内(relative)または救急隊員は、迅速で的確な救助を行うために、そうした状態について知らされることに関心がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、患者の身体機能および/または身体特性をモニタし、危険な状況の場合、身内または救急隊員に知らせるために、実際的な工程を開始するデバイスを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題は、請求項1に記載される特徴を有する装置によって解決される。
【0007】
本発明による装置は、身体機能に関する値を記録するためのセンサと、測定値に基づいて、身体機能および/または身体特性の、危険な、該当する場合には病理学的な状態(以下では略して:危険な状態)を検知するためのユニットと、危険な状態が検知された場合、好ましくは視覚的および/または聴覚的に、患者に警告情報を提供するためのユニットと、危険な状態に確認応答(acknowledgement)するための確認応答ユニットと、対応する身体機能および/または身体特性に関する情報、たとえば緊急信号および/または位置情報を送信するための送信器とを含み、送信器は、危険な状態の検知後、所定の期間、たとえば数分が過ぎた後、確認応答ユニットが操作されなかった場合のみ起動可能である。確認応答ユニットが所定の期間内に操作された場合、情報を送信するためのユニットは機能しないままである。
【0008】
一般に、危険な状態、または身体機能に対するそうした状態の影響および身体機能に関する測定値は、治療のための健康管理実務者(HCP)(treating health care practitioner)、および/またはそれぞれの保険局(health authority)によって決められる。たとえば、一般的には、血液中のグルコースの濃度が40mg/dlのレベルを下回った場合は低血糖であり、濃度が243mg/dl(13.5mmol/l)のレベルを上回った場合は高血糖であると解釈される。脈拍数の危険値は、個々に決定することができ、通常は患者の年齢および身体状態によって決まる。
【0009】
本発明による装置は、患者が元気で、あるいは、危険な状態にもかかわらず患者自身で必要な測定を行うことができる場合を意味するすべての場合には、主治医(attending person)および/または救急隊員に知らせないという利点を有する。これにより、不要な費用および支出が避けられる。同時に、患者が、実際には危険な状態のために適切に実施していないか、または自身で行うことができず、したがって、所与の時間内に危険な状態に関する警告情報に確認応答しない場合には、送信器が起動され、それぞれの情報、たとえば、モニタされた身体機能およびその状態に関する情報、ならびに/または患者もしくは患者の身体特性に関する情報が、それぞれ主治医または救急隊員に送信される。
【0010】
モニタされた身体機能およびその状態に関する情報は、たとえば、どの身体機能がモニタされたかに関する情報、センサによって得られた現在の測定値、および危険な状態の検知がそれに基づいて行われる閾値を含む。
【0011】
患者または患者の身体特性に関する情報は、たとえば、患者の名前、住所、電話番号、または、たとえば組み込まれたGPSセンサによって決定することが可能な現在の位置を含む。
【0012】
本発明の装置の他の利点は、それが、高齢者が一人でいることの実現性を高めることにある。突然の身体機能障害によって落下した場合、ハイトゲージ(高度計)が、患者の身体に固定された測定器の、患者のフラット(flat)内に位置する床またはセンサ要素に対する距離を測定することができる。この場合、身体特性は、床に対するハイトゲージの位置である。この実施形態は、たとえば患者のフラットを意味する「ホモゾーン(homezone)」にしか適用することができない。
【0013】
他の実施形態では、センサは、GPSのような位置センサを含む。さらに、患者および/またはHCPは、地理的な区域、および該当する場合には対応する時間の情報を決めることができる。こうした区域は、許容された区域および/または禁止された区域とすることができる。患者の位置が、禁止された区域内または許容された区域外にあることが検知された場合、好ましくは、時刻および/または曜日がさらに考慮された場合、ディスプレイに変則的な位置が示され、先に説明したように患者がそれに確認応答することができる。それは、許容可能な区域および/または禁止された区域を、対応する時刻および/または曜日に応じて決めることが可能であることを意味する。患者が所定の期間内に危険な状態に確認応答しない場合には、送信器が起動され、好ましくは患者の位置および緊急信号を送信する。この実施形態は、認知症または見当識障害の(disoriented)患者に対して重要であり得る。
【0014】
さらなる実施形態では、センサによって測定される患者の身体特性は、時間依存のセンサの位置の変化を含む。通常と異なり位置が変わらない場合には、少なくとも2つの理由があり得る。第1に、患者が病気を患っている可能性があり、したがって動かない。第2に、患者がセンサを身に着けていないことである。第2のケースの発生は、さらにセンサの位置を決定することによって第1の状況と区別することができる。センサが患者のフラット(「ホモゾーン」)周辺の地理的な区域内に位置する場合には、患者がセンサを身に着けておらず、センサが患者の家にある蓋然性が高い。したがって、患者が救助を必要とする可能性がある危険な状態を検知するために、危険な状態を検知するためのユニットは、位置が変わらない時間を所定の時間の閾値と比較し、好ましくは、さらにセンサの地理的な位置、または時刻および/もしくは曜日を考慮する。
【0015】
したがって、センサが、時間を測定し、曜日を決定するクロックを含むと有利である。
【0016】
確認応答ユニットは、押しボタン、または同時に押さなければならない複数のキーおよびボタンを含むことができる。さらに確認応答ユニットは、所定の単語または所定の文などの患者からの音声信号を受け、次いでこうした音声信号の音声解析を行い、それを所定の単語または文と比較する、マイクロホンを含むことができる。後者の場合、確認応答は、所定の単語または文を繰り返す患者によってのみ行うことができる。患者からの音声信号を解析する音声認識システムを確認応答ユニットに組み込むことにより、確実にそれぞれの患者から確認応答が来るようにすることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、送信器は、起動された後、それぞれの緊急呼び出しを送信するように装備される。本発明による送信器は、国際的に認められた緊急信号、または患者が現在いる国もしくは地域に応じて、地域的に認められた緊急信号を、それぞれの移動電話または従来型の電話の緊急呼び出しの受信者に送信する。これにより、救急隊員がきわめて迅速に現場に行き、危険な状態の患者を救助することが可能になる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、危険な状態を検知するためのユニットは、センサによって得られた身体機能および/または身体特性の測定値を、少なくとも1つの閾値と比較することが可能であり、したがって、ユニットは、この比較の結果に応じて危険な状態であるかどうかを判断することができる。その点では、少なくとも1つの独立した閾値が好ましいが、この閾値は、たとえば患者の年齢による変動の影響を受けるため、患者またはHCPによって予め設定される。それに応じて、センサによって記録された測定値を、その測定値が、たとえば所定の地理的な位置または区域など、許容された測定範囲または禁止された測定範囲内にあるかどうかを解析することができ、次いで、その測定値について、比較または解析の結果に応じて危険な状態であるかどうかが判断される。患者またはHCPによって予め設定することに関する前述の説明は、類似の許容または禁止された測定範囲に当てはまる。
【0019】
他の好ましい実施形態では、送信器は、必要な場合には衛星を介した、公共の移動電話網用の送信器を含む。周知の移動電話網を介して、患者または危険な状態に関する情報を、高速かつ容易に、できるだけ迅速に送信することができる。
【0020】
さらに、送信器は、特に従来型の電話網および/もしくは公共の移動電話網を介して、乗物、ならびに/または移動電話および/もしくは電話網と通信するように動作可能であると有利である。そうした情報経路を介して、本発明による装置は、事故を効果的に回避するために、患者が現在その中にいる可能性がある乗物に情報を送信することもできる。運転手である可能性がある患者の危険な状態に関する情報の送信後、乗物の制御装置は、その乗物を制御された方法で停止させること、ならびに/または運転手に乗物を停止させるためにそれぞれの指示および/もしくは要求を示すことができる。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態には、患者による状態への確認応答が行われなければならない決められた期間を、患者および/またはHCPによって予め設定することができるという利点もある。
【0022】
前述の課題は、請求項7の特徴を有する方法によってさらに解決される。
【0023】
特に、患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための方法は:
・ 身体機能および/または身体特性に関する測定値を決定する工程と、
・ 測定値に基づいて、それぞれの身体機能および/または身体特性の危険な状態を検知する工程と、
・ 危険な状態が検知された場合、好ましくは視覚的および/または聴覚的に、患者に警告情報を提供する工程と、
・ この身体機能および/または身体特性の危険な状態の検知から所定の期間の後、危険な状態への確認応答が検知されなかった場合のみ、対応する身体機能および/または身体特性に関する情報、たとえば緊急信号および/または位置情報を送信する工程であって、情報は、好ましくは乗物の制御装置に対する停止命令、または乗物の運転手に対する運転手に乗物を停止させる指示および/もしくは要求を含む工程と
を含む。
【0024】
これまで装置に関して説明したように、本発明の方法によって、実際に危険な状況にある患者を効果的に救助することが可能になる。
【0025】
好ましい実施形態では、決定された測定値は少なくとも1つの閾値と比較され、かつ/または測定値は、たとえば所定の地理的な位置または区域など、許容された測定範囲または禁止された測定範囲内にあるかどうかが解析され、次いで、測定値について、比較または解析の結果に応じて危険な状態であるかどうかが判断される。その点では、すべての測定値を比較および/もしくは解析するかどうか、または手順を固定するために、測定値をより大きい間隔で比較および/もしくは解析するかどうか、たとえば、測定値を10個ごとに比較および/もしくは解析するかどうかは、測定値のタイプによって決まる。後者の可能性は、特に危険な状態がゆっくり生じ、急に現れない場合に該当する。
【0026】
確認応答の検知に対する他の実施形態では、音声信号は、好ましくはマイクロホンによって記録され、好ましくはさらに、受けた音声信号の音声解析、および/または受けた音声信号の音声認識が行われ、受けた音声信号の音声解析、および/または受けた音声信号の音声認識の結果に基づいて、患者が危険な状態に確認応答したかどうかを判断する。
【0027】
本発明はさらに、患者の身体機能および/または身体特性をモニタするための前述の装置と、運転手のいる乗物のための制御装置とを含むシステムに関し、制御装置が、好ましくは乗物の中に位置するモニタ用の装置の送信器から、停止命令、または運転手に乗物を停止させる指示もしくは要求を受けた場合、制御装置は、乗物の停止を開始する、または乗物の運転手に対する対応する指示もしくは要求の表示を開始する、かつ/またはハザードフラッシュの動作を開始することのような乗物の他の安全モードを開始するように動作可能である。
【0028】
本発明のさらなる目的、特徴、利点および用途は、一実施形態に関する以下の説明および図から得ることができる。記載および/または図示される特徴はすべて、個々に、または任意の組合せとして、特許請求の範囲におけるその配置またはその戻り参照(back reference)に関係なく、本発明の主題をなす。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による装置の第1の状況における概略的な上面図である。
図2図1の本発明による装置の警告状況における概略的な図である。
図3図1の本発明による装置の送信情報に関する状況の概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜3に示すモニタ装置は、ウォッチケースに似たハウジング1、脈拍数センサ3の形の身体機能の測定値を記録するためのセンサを含む。脈拍数センサは既に知られており、したがって、その動作方法についてこれ以上記載しない。
【0031】
さらに、ハウジング1は、身体機能の危険な状態に関する検知のためのデバイス5を含む。本明細書に記載の実施形態の場合、脈拍数センサ3によって検知された脈拍数が、たとえば毎分220という第1の閾値を超えているかどうかを決定するデバイス5が提供される。したがって、デバイス5は、脈拍数センサ3と連結される。本発明の装置に保存された脈拍数に対する閾値は、HCPまたは患者によって変更することができる。
【0032】
デバイス5が、予め設定された脈拍数に関する閾値を上回ったことを検知した場合、危険な状態を表示するためのユニットは、たとえば、拡声器7による警告情報としての鋭い音、および/またはディスプレイ8による警告情報としての点滅する光信号を発生させ、患者に現在の危険な状態を知らせる。拡声器7および/またはディスプレイ8は、デバイス5に連結される。患者の危険な状態が検知され、拡声器7が鋭い警告音を発生させ、ディスプレイ8が警告信号を示す本発明の装置の状況を図2に示す。
【0033】
ここで、患者は、自身がこの状態を本当に危険であると考えるかどうか、またこの場合に、自身がさらなる測定を行うことができるかどうかを判断する可能性がある。
【0034】
患者が、状態が自身の身体機能に影響を及ぼすほど危険ではない、または助力なしで適切な手段を講じることができると判断した場合、患者は、たとえば押しボタン11、あるいは、たとえばハウジングの横に収容された2つの押しボタンを同時に操作することによって、警告信号に確認応答する。次いで、拡声器7および/またはディスプレイ8からの警告信号が停止し、本発明の装置は、連続的にまたは所定の決められた間隔で、脈拍数などの身体機能または身体特性の測定値を記録する、図1に示す通常の状態に戻る。
【0035】
本発明による装置は、やはりハウジング1の中に配置された、クロックパルスを伴うクロック13をさらに備え、クロック13は、クロック13と連結されたデバイス5による身体機能の危険な状態の検知の後、予め設定された期間の終了を判断する。そうした期間は、たとえば10分とすることができる。前述のように、この期間内に患者が警告信号に確認応答しない場合には、この期間の終了直後に、図3に示すように、送信器15が起動され、送信器15は、無線通信網、たとえば公共の移動電話網を通して、それぞれ患者の身体状態および/または患者自身に関する情報を送信する。情報は、ネットワーク提供者がその情報を地域または国の緊急呼び出しとして認識するように作成することができる。次いで、ネットワーク提供者は、この情報を患者の近くの緊急サービス提供者に転送する。
【0036】
さらに、情報を、本発明による装置に前もって保存されている、親もしくは子供などの身内、または主治医の電話番号に送信することもできる。
【0037】
次に、緊急サービスのスタッフ、または主治医および身内は、さらなる測定を行い、特に、たとえば患者の現在位置に救急車を派遣するなど、患者に対して即時の救助を提供することができる。
【0038】
さらに、送信器15は、乗物、ならびに/または移動電話および/もしくは電話網と通信するためのユニットを含むことができる。本発明によれば、特に装置と患者がそれによって移動している乗物との通信を、事故の危険性が高まった危険な状態の出現のように提供することができる。運転手に関する危険な状況についての情報が乗物に送信された場合には、乗物の制御システム/装置が乗物を自動的に停止させること、またはハザードフラッシュの動作を開始することのような乗物の他の安全モードを開始することを可能にすることができる。したがって、患者の危険な状態が検知された場合に乗物に送信される情報は、乗物の制御装置に対する停止命令、または運転手に対する運転手に乗物を停止させる指示および/もしくは要求を含む。別法として、または追加として、情報を患者自身の移動電話に送信することもでき、その移動電話から、さらに身内、主治医または救急隊員に送信することができる。
【0039】
図1〜3に示す本発明による装置は、たとえば、脈拍数も高血糖または低血糖に対する指標であるため、糖尿病患者をモニタするために用いることが可能である。同様に、本発明による装置は、たとえば癲癇を患う患者のモニタ(欠神(absence)の測定、電極による測定)、または心臓の状態によって苦しむ患者のモニタ(心臓の不整脈の記録)のために用いることができる。後者のケースでは、心臓の不整脈を、たとえば移植されたペースメーカまたは除細動器によって測定することができ、記録された結果は本発明による装置に送信される。必要な場合には、危険な状態の検知を、ペースメーカまたは除細動器において決定することもできる。この場合、モニタ装置は、ペースメーカまたは除細動器と連結することができる。他の使用例は、高齢者、特に認知症または見当識障害を患う患者に関係する。こうした患者の位置を用いて、たとえば、患者が立ち入り禁止区域(no−go−area)に到達した場合など、危険な状態が生じているかどうかを判断することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ハウジング
3 脈拍数センサ
5 脈拍数の限界値を超えたかどうかを検知するデバイス
7 拡声器
8 ディスプレイ/インジケータ、特に光学ディスプレイまたはLED
11 確認応答用の(押し)ボタン
13 クロック
15 送信器
図1
図2
図3