特許第6476134号(P6476134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6476134透明フレキシブルハードコーティングフィルム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476134
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】透明フレキシブルハードコーティングフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20060101AFI20190218BHJP
   C08G 59/30 20060101ALI20190218BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   C08J7/04 MCFC
   C08G59/30
   C08J5/18
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-557940(P2015-557940)
(86)(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公表番号】特表2016-506997(P2016-506997A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】KR2014001146
(87)【国際公開番号】WO2014129768
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2015年8月19日
【審判番号】不服2017-13446(P2017-13446/J1)
【審判請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0018030
(32)【優先日】2013年2月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514291196
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ビョン ス
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、グァン ムン
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ジ フン
【合議体】
【審判長】 近野 光知
【審判官】 大熊 幸治
【審判官】 橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−124441(JP,A)
【文献】 特開2009−280767(JP,A)
【文献】 特開2012−241118(JP,A)
【文献】 特開2009−517522(JP,A)
【文献】 特開2003−292891(JP,A)
【文献】 特開2010−134034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00- 59/72
C08J 7/04- 7/06
C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、分子1個当たり平均1種以上の脂環式エポキシ基を含むオリゴシロキサン[成分(A)];任意要素の分子1個当たり平均1種以上の脂環式エポキシ基または平均1種以上のオキセタン基を含む反応性希釈剤[成分(B)];及び、イオン重合開始剤[成分(C)]を含むイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を重合することによって、前記基材フィルム上に形成されたコーティング層と、を有し、
前記成分(A)が下記の化学式1で表される平均単位化学式を有するものであり、
前記成分(B)を追加に含む場合、前記成分(A)100重量部に対して5重量部〜50重量部の前記成分(B)を含むものであり、
前記成分(A)100重量部または前記成分(A)及び前記成分(B)の混合物100重量部に対して0.1重量部〜10重量部の前記成分(C)を含むものである、
[化学式1]
(RSiO3/2(RSiO2/2(RSiO1/2(SiO4/2(R1/2
前記化学式1において、
は、脂環式エポキシ基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換可能なC1−20アルキル基、置換可能なC2−20アルケニル基、置換可能なC2−20アルキニル基、及び置換可能なC6−20アリール基、脂環式エポキシ基からなる群より選択されるものであり、
前記R及びRに置換可能な置換基は、C1−20アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、ハロゲン、アリル基、メルカプト基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、ビニル基、ニトロ基、スルホン基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、アルキド基、ウレタン基、オキセタン基、フェニル基及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上であり、
は、線状または分枝状のC1−7アルキル基または水素であり、
aは、正数であり、
bは、0または正数であり、
cは、0または正数であり、
dは、0または正数であり、
eは、0または正数であり、
(b+c+d)/aは、0≦(b+c+d)/a≦0.25の範囲であり、
e/(a+b+c+d)は、0〜0.4の範囲の数である、
透明フレキシブルハードコーティングフィルム。
【請求項2】
前記成分(C)が陽イオン重合開始剤または陰イオン重合開始剤を含むものである、請求項1に記載の透明フレキシブルハードコーティングフィルム。
【請求項3】
基材フィルム上に、請求項1又は2に記載のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をコーティングし;及び、
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物のコーティング層を重合すること
を含む、
請求項1または請求項2に記載の透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記基材フィルムがアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、スチレンアクリロニトリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びエーテルスルホン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を主成分として含むものである、請求項3に記載の透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記重合は、光照射または熱処理により行われることである、請求項3に記載の透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、透明フレキシブルハードコーティングフィルム及びその製造方法に関し、具体的に、耐スクラッチ性の表面を含む透明フレキシブルハードコーティングフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の様々な産業分野で用いられてきたガラスまたは金属のような材料は、産業が発達するにつれ、ガラスまたは金属材料が有する固有性質により広範囲な活用において限界を表している。例えば、ガラスのようなセラミックス材料の場合、外部衝撃や撓みにより割れ易いという問題点があり、金属材料も低い透明性と比重が大きいというデメリットがある。現在、このような問題点により、既に用いられてきたガラスまたは金属材料が徐々に高分子材料に取り替えられている実情である。しかし、このような高分子材料は、ガラスに比べて表面硬度(即ち、鉛筆硬度)が低いため、摩擦によりスクラッチが発生し易いというデメリットを有する。従って、高分子材料の需要増加と共に、これを改善するためのハードコーティング技術に多くの関心が集まっている。
【0003】
韓国公開特許第10−2010−0111671号公報は、4級アンモニウム基を備えるビニル基含有単量体及びこれと共重合可能な(メタ)アクリル系単量体を共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマー、3官能以上のビニル基を備えるポリウレタンオリゴマー及び/または2〜6官能のビニル基を備えるアクリル系モノマーを含有してなるハードコーティング層形成用の樹脂組成物及びこれを基材に塗布し、硬化して得られるフィルムを提案している。しかし、このようなフィルムは、4H〜6H(JIS K 5600−5−4)程度の鉛筆硬度であり、高硬度を要求する分野に適用するには問題点を表しており、また、アクリレート系列の硬化物は、脂環式エポキシ基の硬化物に比べて収縮率が高いというデメリットを有する。
【0004】
また、米国特許第8110296号明細書は、チタンのような遷移金属の炭化物または窒化物とシロキサンオキシド系またはジルコニウムオキシド系のセラミックスからなる準安定の混成結晶を含んだ単結晶構造のハードコーティングを提案している。しかし、このようなハードコーティングは、樹脂基盤ではないPVD(Physical Vapor Deposition)またはPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)のような真空蒸着に基づいた工程が必要であるため、コスト及び時間の面でかなり非効率的である。また、大部分のハードコーティングに関する先行技術は、高い硬度及び耐スクラッチ性の提供に焦点を当てているが、これをフィルムに適用する際に柔軟性が低下し、フィルムを成形するまたは曲げるときにハードコーティング膜が割れるため、常用化し難い。実際、鉛筆硬度3H〜9Hの範囲の耐スクラッチ性の表面を有しながら柔軟に曲げられる透明ハードコーティングフィルムを製作することは難しい実情である。従って、基材フィルムの柔軟性を維持しながら高い表面硬度を有するハードコーティング技術の開発がフィルムの応用を拡大するために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、分子1個当たり平均1種以上の脂環式エポキシ基を含むオリゴシロキサン[成分(A)];及び、イオン重合開始剤[成分(C)]を含むイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を用いて形成される、透明フレキシブルハードコーティングフィルム及びその製造方法を提供することができる。
【0006】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限られず、言及されていない更に他の課題は、以下の記載から当業者にとって明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1側面は、分子1個当たり平均1種以上の脂環式エポキシ基を含むオリゴシロキサン[成分(A)];及び、イオン重合開始剤[成分(C)]を含むイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を用いて形成される、透明フレキシブルハードコーティングフィルムを提供する。
【0008】
本願の第2側面は、基材フィルム上に、イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をコーティングし;及び、前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物のコーティング層を重合することを含む、前記本願の第1側面による透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
前述した本願の課題を解決するための手段によれば、基材フィルム上に、シロキサンハードコーティング組成物をコーティングし、これを重合することで透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製造することができる。本願は、透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造のための全ての工程が大気中で安定するため工程が簡単であるというメリットがある。また、既存のハードコーティング技術が高い表面硬度を提供するものの、曲げる際にコーティング膜が割れ易いという問題点があることに対し、本願は、高い耐スクラッチ性の表面硬度を有すると共にフィルムを曲げてもコーティング膜が割れない柔軟性を提供することができる。従って、本願の製造方法は、ハードコーティングフィルム応用分野の拡大に寄与できると基待される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付した図面を参照しながら、本願が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の実施例を詳しく説明する。ところが、本願は、多様な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限らない。そして、図面において、本願を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書の全体を通じて類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0011】
本願の明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を介して「電気的に連結」されている場合も含む。
【0012】
本願の明細書の全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけではなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0013】
本願の明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。本願の明細書の全体において、使われている程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、またはその数値に近接した意味として使われ、本願の理解を助けるために、適確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に用いることを防止するために使われる。本願の明細書の全体において、使われている程度の用語「〜(する)ステップ」または「〜のステップ」は、「〜のためのステップ」を意味していない。
【0014】
本願の明細書の全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた用語「これらの組み合わせ」は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1種以上の混合または組み合わせを意味するものであり、前記構成要素からなる群より選択される1種以上を含むことを意味している。
【0015】
本願の明細書の全体において、「A及び/またはB」の記載は、「AまたはB、またはA及びB」を意味している。
【0016】
本願の明細書の全体において、用語「アルキル基」は、それぞれ、線状または分枝状のC1−20アルキル基、C1−15アルキル基、C1−10アルキル基、C1−8アルキル基またはC1−5アルキル基を含むものであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、またはこれらの可能な全ての異性質体を含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0017】
本願の明細書の全体において、用語「アルケニル基」は、前記正義されたアルキル基のうち、炭素数2以上のアルキル基に少なくとも一つの炭素−炭素二重結合が含まれた形態の1価の炭化水素基を意味するものであり、線状または分枝状のC2−20アルケニル基、C2−15アルケニル基、C2−10アルケニル基、C2−8アルケニル基またはC2−5アルケニル基を含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0018】
本願の明細書の全体において、用語「アルキニル基」は、前記正義されたアルキル基のうち、炭素数2以上のアルキル基に少なくとも一つの炭素−炭素三重結合が含まれた形態の1価の炭化水素基を意味するものであり、線状または分枝状のC2−20アルキニル基、C2−15アルキニル基、C2−10アルキニル基、C2−8アルキニル基またはC2−5アルキニル基を含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0019】
本願の明細書の全体において、用語「アリール基」は、一つ以上の環を有するアレン(arene)から一つの水素原子の除去により形成された1価の作用基を意味し、例えばフェニル、ビフェニル、ターフェニル(terphenyl)、ナフチル(naphthyl)、アントリル(anthryl)、ペナントリル(phenanthryl)、ピレニル(pyrenyl)、またはこれらの可能な全ての異性質体を含むものであることができるが、これに限られるものではない。前記アレンは、芳香族環を有する炭化水素であり、単環または多環炭化水素を含み、前記多環炭化水素は、一つ以上の芳香族環を含み、付加的な環として芳香族環または非芳香族環を含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0020】
本願の明細書の全体において、用語「シクロアルキル基」は、飽和炭化水素環を有する1価の作用基の形態として、C3−8シクロアルキル基またはC3−6シクロアルキル基を含むものであり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、またはこれらの可能な全ての異性質体を含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0021】
本願の明細書の全体において、用語「アルコキシ基」は、前記定義されたアルキル基と酸素原子が結合された形態として、C1−20アルコキシ基、C1−15アルコキシ基、C1−10アルコキシ基、C1−8アルコキシ基またはC1−5アルコキシ基を含むものであり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノ−ナデシルオキシ、エイコシルオキシ、またはこれらの可能な全ての異性質体を含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0022】
以下、本願の具体例を詳しく説明したが、本願はこれに限られるものではない。
【0023】
本願の第1側面は、分子1個当たり平均1種以上の脂環式エポキシ基を含むオリゴシロキサン[成分(A)];及び、イオン重合開始剤[成分(C)]を含むイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を用いて形成される、透明フレキシブルハードコーティングフィルムを提供する。
【0024】
本願の一具体例において、前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物が、分子1個当たり平均1種以上の脂環式エポキシ基または平均1種以上のオキセタン基を含む反応性希釈剤[成分(B)]をさらに含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0025】
本願の一具体例において、前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物は、前記成分(A)を前記成分(C)と混合する前に、前記成分(A)と前記成分(B)とを混合することをさらに含む方法により製造されるものであることができるが、これに限られるものではない。
【0026】
本願の一具体例において、前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物は、前記成分(A)、または、前記成分(A)及び前記成分(B)の混合物の約100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部の前記成分(C)を混合して前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造することを含む方法により製造されるものであることができるが、これに限られるものではない。例えば、前記成分(A)及び前記成分(C)を含む前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物の場合、前記成分(A)約100重量部に対して前記成分(C)を約0.1重量部〜約10重量部で混合して前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造することができ、前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)を含む前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物の場合、前記成分(A)と前記成分(B)とを混合して粘度が25℃で約10mPa・s〜約200,000mPa・sになるように混合物を先に製造した後、前記製造された混合物約100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部の前記成分(C)を混合して前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造することができる。
【0027】
本願の一具体例において、前記成分(A)が下記の化学式1で表される平均単位化学式を有するものであることができるが、これに限られるものではない:
【0028】
[化学式1]
(RSiO3/2(RSiO2/2(RSiO1/2(SiO4/2(R1/2
【0029】
前記の化学式1において、
、R、及びRは、それぞれ独立に、置換可能なC1−20アルキル基、置換可能なC2−20アルケニル基、置換可能なC2−20アルキニル基、及び置換可能なC6−20アリール基からなる群より選択されるものであるが、但し、前記R、R、及びRのうち平均1種以上は、脂環式エポキシ基であり、
【0030】
前記R、R、及びRに置換可能な置換基は、C1−20アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C1−20アルコキシ基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、ハロゲン、アリル基、メルカプト基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、ビニル基、ニトロ基、スルホン基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、アルキド基、ウレタン基、オキセタン基、フェニル基、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上であり、
【0031】
は、線状または分枝状のC1−7アルキル基または水素であり、
aは、正数であり、
bは、0または正数であり、
cは、0または正数であり、
dは、0または正数であり、
eは、0または正数であり、
(b+c+d)/aは、0〜1の範囲の数であり、
e/(a+b+c+d)は、0〜0.4の範囲の数である。
【0032】
例えば、前記成分(A)は、1種のオリゴシロキサンであってもよく、または特性が異なる2種以上のオリゴシロキサンを含んでなる配合物であってもよいが、これに限られるものではない。
【0033】
前記成分(B)は、前記成分(A)の粘度が約200,000mPa・sを超えるほど高い場合、その粘度を低めて加工を容易にするための反応性希釈剤として、1種の反応性希釈剤であってもよく、または特性が異なる2種以上の反応性希釈剤を含んでなる配合物であってもよいが、これに限られるものではない。例えば、前記成分(A)に前記成分(B)を添加して混合物を製造する場合、前記成分(B)の添加量は、特に制限されないが、前記混合物の粘度が25℃で約10mPa・s〜約200,000mPa・sになるように添加量が調節され得る。例えば、前記成分(A)及び前記成分(B)の混合物の粘度は、約10mPa・s〜約200,000mPa・s、約30mPa・s〜約200,000mPa・s、約50mPa・s〜約200,000mPa・s、約80mPa・s〜約200,000mPa・s、約100mPa・s〜約200,000mPa・s、約300mPa・s〜約200,000mPa・s、約500mPa・s〜約200,000mPa・s、約800mPa・s〜約200,000mPa・s、約1,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約1,500mPa・s〜約200,000mPa・s、約2,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約3,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約5,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約8,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約10,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約15,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約20,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約30,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約50,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約80,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約100,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約120,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約150,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約180,000mPa・s〜約200,000mPa・s、約10mPa・s〜約180,000mPa・s、約10mPa・s〜約150,000mPa・s、約10mPa・s〜約120,000mPa・s、約10mPa・s〜約100,000mPa・s、約10mPa・s〜約80,000mPa・s、約10mPa・s〜約50,000mPa・s、約10mPa・s〜約30,000mPa・s、約10mPa・s〜約20,000mPa・s、約10mPa・s〜約15,000mPa・s、約10mPa・s〜約10,000mPa・s、約10mPa・s〜約8,000mPa・s、約10mPa・s〜約5,000mPa・s、約10mPa・s〜約3,000mPa・s、約10mPa・s〜約2,000mPa・s、約10mPa・s〜約1,500mPa・s、約10mPa・s〜約1,000mPa・s、約10mPa・s〜約800mPa・s、約10mPa・s〜約500mPa・s、約10mPa・s〜約300mPa・s、約10mPa・s〜約100mPa・s、約10mPa・s〜約80mPa・s、約10mPa・s〜約50mPa・s、または約10mPa・s〜約30mPa・sであってもよいが、これに限られるものではない。
【0034】
前記反応性希釈剤は、脂環式エポキシ基を分子1個当たり平均1種以上含むものであることができるが、これに限られるものではない。前記脂環式エポキシ基を含む前記反応性希釈剤は、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、シクロヘキセンビニルモノオキシド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−1,3−ジオキソラン、及びビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限られるものではない。
【0035】
前記反応性希釈剤は、オキセタン基を分子1個当たり平均1種以上含むものであることができるが、これに限られるものではない。前記オキセタン基を含む前記反応性希釈剤、例えば、3−メチルオキセタン、2−メチルオキセタン、3−オキセタノール、2−メチレンオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3,3−オキセタンジメタンチオール、2−エチルヘキシルオキセタン、4−(3−メチルオキセタン−3−イル)ベンゾニトリル、N−(2,2−ジメチルプロピル)−3−メチル−3−オキセタンメタンアミン、N−(1,2−ジメチルブチル)−3−メチル−3−オキセタンメタンアミン、キシレンビスオキセタン、3−エチル−3[{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}メチル]オキセタン、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、及び4−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ブタン−1−オールからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限られるものではない。
【0036】
本願の一具体例において、前記透明フレキシブルハードコーティングフィルムに利用される前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物は、前記成分(B)の反応性希釈剤を含んで製造されてもよく、または、含まずに製造されてもよい。
【0037】
本願の一具体例において、前記成分(C)が陽イオン重合開始剤または陰イオン重合開始剤を含むものであることができるが、これに限られるものではない。前記成分(C)は、前記成分(A)及び前記成分(B)に含まれる脂環式エポキシ基またはオキセタン基の重合のためのイオン重合開始剤である。例えば、前記成分(C)の添加量は、特に制限されるものではないが、前記成分(A)、または、前記成分(A)及び前記成分(B)の混合物の約100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部で添加することができるが、これに限られるものではない。例えば、前記成分(C)の添加量は、前記成分(A)、または、前記成分(A)及び前記成分(B)の混合物の約100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部、約0.5重量部〜約10重量部、約1重量部〜約10重量部、約1.5重量部〜約10重量部、約2重量部〜約10重量部、約3重量部〜約10重量部、約5重量部〜約10重量部、約7重量部〜約10重量部、約9重量部〜約10重量部、約0.1重量部〜約9重量部、約0.1重量部〜約7重量部、約0.1重量部〜約5重量部、約0.1重量部〜約3重量部、約0.1重量部〜約2重量部、約0.1重量部〜約1.5重量部、約0.1重量部〜約1重量部または約0.1重量部〜約0.5重量部であってもよいが、これに限られるものではない。
【0038】
前記陽イオン重合開始剤としては、ブレンステッド-ローリーの酸・塩基の正義、またはルイス酸・塩基の正義による酸を発生させることができる物質として当業者に公知なものを限りなく用いることができ、例えば、3−メチル−2ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、イッテルビウム(III)トリフルオロメタンスルホネート塩、サマリウム(III)トリフルオロメタンスルホネート塩、エルビウム(III)トリフルオロメタンスルホネート塩、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ランタニウム(III)トリフルオロメタンスルホネート塩、テトラブチルホスホニウムメタンスルホネート塩、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ジトリルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート塩、9−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)チアンスレニウムヘキサフルオロホスフェート塩、及び1−(3−メチルブタ−2−エニル)テトラヒドロ−1H−チオフェニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩からなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限られるものではない。
【0039】
前記陰イオン重合開始剤は、3級アミンまたはイミダゾルを含むものであることができるが、これに限られるものではない。例えば、前記陰イオン重合開始剤は、ο−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、及び2−エチル−4メチルイミダゾルからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限られるものではない。
【0040】
本願の第2側面は、基材フィルム上に、イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をコーティングし;及び、前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物のコーティング層を重合することを含む、前記本願の第1側面による透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法を提供する。
【0041】
本願の一具体例において、前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物は、前記組成物約100重量部に対して約0.1重量部〜約100重量部で有機溶媒をさらに含むものであることができるが、これに限られるものではない。前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を基材フィルム上にコーティングして透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製造するときに、前記組成物の粘度とコーティング膜の厚さを調節し、コーティング性を容易くするために前記有機溶媒を添加することができるが、これに限られるものではない。前記有機溶媒の量は、特に制限されず、例えば、前記組成物約100重量部に対して約0.1重量部〜約100重量部、約0.3重量部〜約100重量部、約0.5重量部〜約100重量部、約1重量部〜約100重量部、約2重量部〜約100重量部、約3重量部〜約100重量部、約5重量部〜約100重量部、約8重量部〜約100重量部、約10重量部〜約100重量部、約15重量部〜約100重量部、約20重量部〜約100重量部、約40重量部〜約100重量部、約60重量部〜約100重量部、約80重量部〜約100重量部、約0.1重量部〜約80重量部、約0.1重量部〜約60重量部、約0.1重量部〜約40重量部、約0.1重量部〜約20重量部、約0.1重量部〜約15重量部、約0.1重量部〜約10重量部、約0.1重量部〜約8重量部、約0.1重量部〜約5重量部、約0.1重量部〜約3重量部、約0.1重量部〜約2重量部、約0.1重量部〜約1重量部、約0.1重量部〜約0.5重量部または約0.1重量部〜約0.3重量部であってもよいが、これに限られるものではない。
【0042】
前記有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限られるものではない。
【0043】
前記透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法は、コーティング膜との接着力を高めるためにコーティングに先立って前記基材フィルムに対してUVオゾン処理、火炎処理、脱ガス処理またはプラズマ処理などの表面処理をさらに含むことができるが、これに限られるものではない。前記シロキサンハードコーティング組成物をコーティングするのに用いる基材フィルムは特に制限されないが、そのガラス遷移温度(T)が前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物の重合に必要な熱処理温度以上のものを選択して用いることができる。
【0044】
本願の一具体例において、前記機材フィルムがアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、スチレンアクリロニトリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びエーテルスルホン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を主成分として含むものであることができるが、これに限られるものではない。
【0045】
本願の一具体例において、前記重合は、光照射または熱処理により行われることができるが、これに限られるものではない。前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を前記基材フィルム上にコーティングし、光照射または熱処理により行われる重合過程を経ると、高い表面硬度と共に優れた柔軟性を有する透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製造することができる。例えば、前記光照射による重合の場合、添加した重合開始剤に適当な波長領域と光量を調節する必要があり、後続熱処理を通じて均質のコーティング膜を得ることができる。前記熱処理の温度は、特に制限されないが、本願に係る透明フレキシブルハードコーティングフィルムに用いられた前記基材フィルムのガラス遷移温度(T)以下で行われることができるが、これに限られるものではない。前記熱処理による重合の場合、添加した重合開始剤に適当な温度領域と熱量とを調節する必要があり、前記温度領域は、本願に係る透明フレキシブルハードコーティングフィルムに用いられた前記基材フィルムのガラス遷移温度(T)以下で行われることができるが、これに限られるものではない。
【0046】
前記基材フィルム上に、イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をコーティングした後、重合させて得られる本願に係る前記透明フレキシブルハードコーティングフィルムは、鉛筆硬度約3H〜約9Hの範囲の耐スクラッチ性の表面硬度を有し、柔軟性を表すことができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を用いて本願をさらに具体的に説明するが、本願がこれに限られるものではない。
【0048】
下記、実施例に記載される成分(A)の化学式は、平均単位化学式で記載し、CEは、脂環式エポキシ基を表す略称であり、Phは、フェニル基を表す略称であり、MCは、メタクリル基を表す略称であり、Meは、メチル基を表す略称である。
【0049】
<実施例1>
成分(A):(CESiO3/2(MeO1/20.05
成分(B):(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート;及び、
成分(C):トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩。
【0050】
前記成分(A)と前記成分(B)とを100:0、100:5、100:10、100:30、及び100:50の重量比でそれぞれ独立に混合し、それぞれの混合物100重量部に対して2重量部の前記成分(C)を混合して5種類のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造した。
【0051】
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をプラズマにより表面処理された100μm厚さのPET(ポリエステル系樹脂)フィルムの上に、10μm、40μm、及び80μmでそれぞれ独立に、厚さを異なるようにしてコーティングした後、これを水銀UVランプ(80mW/cm)に10秒間露出し、80℃の温度で30分間熱処理を実施して透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製作した。前記コーティングの際に、必要によって前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物に有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を添加してコーティングの厚さを調節した。
【0052】
<実施例2>
成分(A):(CESiO3/20.9(MCSiO3/20.1(MeO1/20.04
成分(B):(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート;及び、
成分(C):トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩。
【0053】
前記成分(A)と前記成分(B)とを100:0、100:5、100:10、100:30、及び100:50の重量比でそれぞれ独立に混合し、それぞれの混合物100重量部に対して2重量部の前記成分(C)を混合して5種類のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造した。
【0054】
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をプラズマにより表面処理された100μm厚さのPET(ポリエステル系樹脂)フィルムの上に、10μm、40μm、及び80μmでそれぞれ独立に、厚さを異なるようにしてコーティングした後、これを水銀UVランプ(80mW/cm)に10秒間露出し、80℃の温度で30分間熱処理を実施して透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製作した。前記コーティングの際に、必要によって前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物に有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を添加してコーティングの厚さを調節した。
【0055】
<実施例3>
成分(A):(CESiO3/20.8(PhSiO2/20.2(MeO1/20.04
成分(B):(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート;及び、
成分(C):トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩。
【0056】
前記成分(A)と前記成分(B)とを100:0、100:5、100:10、100:30、及び100:50の重量比でそれぞれ独立に混合し、それぞれの混合物100重量部に対して2重量部の前記成分(C)を混合して5種類のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造した。
【0057】
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をプラズマにより表面処理された100μm厚さのPET(ポリエステル系樹脂)フィルムの上に、10μm、40μm、及び80μmでそれぞれ独立に、厚さを異なるようにしてコーティングした後、これを水銀UVランプ(80mW/cm)に10秒間露出し、80℃の温度で30分間熱処理を実施して透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製作した。前記コーティングの際に、必要によってイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物に有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を添加してコーティングの厚さを調節した。
【0058】
<実施例4>
成分(A):(CESiO3/2(MeO1/20.05
成分(B):3−エチル−3[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチルオキセタン;及び、
成分(C):トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩。
【0059】
前記成分(A)と前記成分(B)とを100:0、100:5、100:10、100:30、及び100:50の重量比でそれぞれ独立に混合し、それぞれの混合物100重量部に対して2重量部の前記成分(C)を混合して5種類のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造した。
【0060】
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をプラズマにより表面処理された100μm厚さのPET(ポリエステル系樹脂)フィルムの上に、10μm、40μm、及び80μmでそれぞれ独立に、厚さを異なるようにしてコーティングした後、これを水銀UVランプ(80mW/cm)に10秒間露出し、80℃の温度で30分間熱処理を実施して透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製作した。前記コーティングの際に、必要によって前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物に有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を添加してコーティングの厚さを調節した。
【0061】
<実施例5>
成分(A):(CESiO3/2(MeO1/20.05
成分(B):4−((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)ブタン−1−オール;及び、
成分(C):トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩。
【0062】
前記成分(A)と前記成分(B)とを100:0、100:5、100:10、100:30、及び100:50の重量比でそれぞれ独立に混合し、それぞれの混合物100重量部に対して2重量部の前記成分(C)を混合して5種類のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造した。
【0063】
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をプラズマにより表面処理された100μm厚さのPET(ポリエステル系樹脂)フィルムの上に、10μm、40μm、及び80μmでそれぞれ独立に、厚さを異なるようにしてコーティングした後、これを水銀UVランプ(80mW/cm)に10秒間露出し、80℃の温度で30分間熱処理を実施して透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製作した。前記コーティングの際に、必要によって前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物に有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を添加してコーティングの厚さを調節した。
【0064】
<実施例6>
成分(A):(CESiO3/2(MeO1/20.05
成分(B):(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート;及び、
成分(C):1−(3−メチルブタ−2−エニル)テトラヒドロ−1H−チオフェニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩。
【0065】
前記成分(A)と前記成分(B)とを100:0、100:5、100:10、100:30、及び100:50の重量比でそれぞれ独立に混合し、それぞれの混合物100重量部に対して2重量部の前記成分(C)を混合して5種類のイオン重合性シロキサンハードコーティング組成物を製造した。
【0066】
前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物をプラズマにより表面処理された100μm厚さのPET(ポリエステル系樹脂)フィルムの上に、10μm、40μm、及び80μmでそれぞれ独立に、厚さを異なるようにしてコーティングした後、これを90℃の温度で2時間の間熱処理を実施して透明フレキシブルハードコーティングフィルムを製作した。前記コーティングの際に、必要によって前記イオン重合性シロキサンハードコーティング組成物に有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を添加してコーティングの厚さを調節した。
【0067】
<実験例1>鉛筆硬度試験
本実施例により製造された透明フレキシブルハードコーティングフィルムの表面硬度を測定するために、ASTM D3363による鉛筆硬度計を用い、その結果を下記の表1に示した。
【0068】
<実験例2>屈曲試験
本実施例により製造された透明フレキシブルハードコーティングフィルムの柔軟性を評価するために、屈曲半径10mmの屈曲試験(bending test)をハードコーティング層を内側にして1,000回繰り返し、これによるクラック(crack)発生有無により通過有無を確認し、その結果を下記の表1に○(クラックの発生無し)、X(クラックの発生有り)で示した。
【0069】
<実験例3>耐スクラッチ性試験
本実施例により製造された透明フレキシブルハードコーティングフィルムの耐スクラッチ性を評価するために、#0000のスチールウォールを用いて2.45N/cmの荷重でハードコーティングフィルムの表面を300回繰り返して擦り、これによるスクラッチ発生有無により通過有無を確認し、その結果を下記の表1に○(スクラッチの発生無し)、X(スクラッチの発生有り)で示した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1に示されたように、本実施例による前記透明フレキシブルハードコーティングフィルムは、最小3H以上、最大9Hの高い表面硬度を有する優れた耐スクラッチ性と共に屈曲半径10mmの屈曲試験(bending test)を最小1,000回以上通過する柔軟な特性を提供することを確認することができた。
【0072】
前述した本願の説明は例示のためのものであり、本願が属する技術分野の通常の知識を持った者は、本願の技術的思想や必須的な特徴を変更しなくても、他の具体的な形態に容易に変形可能であるということが理解できるだろう。よって、以上で記述した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないことを理解するべきである。例えば、単一型に説明されている各構成要素は分散して実施されることができると共に、これと同様に、分散したものと説明されている構成要素も、結合された形態に実施されることができる。
【0073】
本発明の範囲は、前記の詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、さらに、その均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本願に係る透明フレキシブルハードコーティングフィルムは、高い耐スクラッチ性の表面硬度を有すると共にフィルムを曲げてもコーティング膜が割れない柔軟性を提供することができ、本願に係る透明フレキシブルハードコーティングフィルムの製造方法はハードコーティングフィルムの応用分野の拡大に寄与できると基待される。