特許第6476164号(P6476164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許64761641−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476164
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/04 20060101AFI20190218BHJP
   C07C 209/24 20060101ALI20190218BHJP
   C07C 211/38 20060101ALI20190218BHJP
   C07C 211/62 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   C07C209/04
   C07C209/24
   C07C211/38
   C07C211/62
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-504752(P2016-504752)
(86)(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公表番号】特表2016-514730(P2016-514730A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】GB2014050969
(87)【国際公開番号】WO2014155118
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年1月12日
【審判番号】不服2018-4954(P2018-4954/J1)
【審判請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】61/805,654
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン, ニゲル
【合議体】
【審判長】 佐藤 健史
【審判官】 冨永 保
【審判官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−116349(JP,A)
【文献】 特公平6−11648(JP,B2)
【文献】 特開2004−315375(JP,A)
【文献】 特開2011−246429(JP,A)
【文献】 特開2011−51976(JP,A)
【文献】 特表2012−520263(JP,A)
【文献】 特開2010−254535(JP,A)
【文献】 特開2010−138087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1−アダマンチルジメチルアミンをジメチルカーボネートと反応させて1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートを製造することであって、ジメチルカーボネート:1−アダマンチルジメチルアミンのモル比が3から5の範囲である製造すること、及び
(b)1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートを水の存在下で水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムと反応させて、1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を製造することであって、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム:1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートのモル比が1.05から1.75の範囲である、製造すること、
を含む1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を調製するための方法。
【請求項2】
水の存在下での1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートと水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムとの反応が還流で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1−アダマンチルジメチルアミンとジメチルカーボネートとの反応が120−160℃の範囲の温度で実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートが水酸化カルシウムと反応する、請求項1からの何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
1−アダマンチルジメチルアミンが1−アダマンチルアミン塩酸塩、ホルムアルデヒド、ギ酸、及び1−アダマンチルジメチルアミンを製造するための無機塩基を反応させることにより製造される、請求項1からの何れか一項に記載の方法であって、ホルムアルデヒド:1−アダマンチルアミン塩酸塩のモル比が2.1から2.4の範囲であり、ギ酸:1−アダマンチルアミン塩酸塩のモル比が2.3から2.7の範囲である、方法。
【請求項6】
前記無機塩基が第I族金属の水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記無機塩基が水酸化ナトリウムである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
1−アダマンチルアミン塩酸塩、ホルムアルデヒド、ギ酸、及び無機塩基の反応が1−アダマンチルアミン塩酸塩とギ酸を混合し、続いて無機塩基の添加、次いで、ホルムアルデヒドを加えることにより実施される、請求項5から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートが水酸化カルシウムと反応する、請求項5から8の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−アダマンチルトリメチル−アンモニウム水酸化物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物は、ゼオライト製造のための鋳型剤として使用され得る。1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物のような有機アミンのアンモニウム塩を調製する標準的な経路は、有機アミンが硫酸ジアルキル又はヨウ化メチル等のアルキル化剤と反応するアルキル化工程を含む。例えば、米国特許第8252943号は、二重結合した窒素原子を含有する化合物を硫酸ジアルキルと硫酸ジアルキルの両方のアルキル基の関与により反応し、可能ならば、硫酸アニオンを含有する結果として生じるイオン性化合物をアニオン交換に供することにより、アンモニウム化合物を調製する方法を開示する。同様に、米国特許第8163951号は、四級アンモニウム化合物を調製するための方法を教示し、それは、sp混成した窒素原子を含む化合物を硫酸ジアルキル又はリン酸トリアルキルと反応すること、及び結果として生じるアンモニウム化合物をアニオン交換に供することを含む。米国特許出願公開第2012/0010431号は、1−アダマンチルジメチルアミンを硫酸ジメチルと反応し、1−アダマンチルトリメチルアンモニウム硫酸塩を提供し、次に、OHイオンで担持されたイオン交換体でアニオン交換に供されることを含む1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を調製するための方法を開示する。更に、米国特許第4859442号は、実施例1で、1−アダマンチルアミンのヨウ化メチルとのアルキル化、次いでイオン交換樹脂でヨウ化物アニオンのイオン交換による1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物の調製を記載する。
【0003】
いかなる化学的な方法においても、1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を調製するための方法におけるなお一層の改善を実現することは、望ましい。我々は、高収率で廃棄物を削減した1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を製造する新しい方法を発見してきた。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、1−アダマンチルトリメチル−アンモニウム水酸化物を調製する方法である。該方法は、1−アダマンチルジメチルアミンをジメチルカーボネートと反応させて1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートを製造し、次いで、水の存在下で水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムと反応させて、1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を製造することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の方法は、1−アダマンチルジメチルアミンをジメチルカーボネートと反応させて1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートを製造することを含む。1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートは、その後、水の存在下で水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムと反応して、1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を製造する。
【0006】
1−アダマンチルジメチルアミンは、いかなる知られている方法により製造されてもよい。好ましくは、1−アダマンチルジメチルアミンは、最初に1−アダマンチルアミン塩酸塩、ホルムアルデヒド、ギ酸、及び1−アダマンチルジメチルアミンを製造するための無機塩基との反応により製造される。ホルムアルデヒド:1−アダマンチルアミン塩酸塩のモル比が2.1から2.4の範囲であり、ギ酸:1−アダマンチルアミン塩酸塩のモル比が2.3から2.7の範囲である。
【0007】
このアルキル化工程は、溶媒の添加のないニートで好ましくは実施される。好ましくは、該アルキル化工程は、1−アダマンチルアミン塩酸塩とギ酸の混合に続いて無機塩基の添加を伴う。好ましくは、該無機塩基は、第I族金属の水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩である。より好ましくは、該無機塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0008】
無機塩基は、固体として加えられてもよいが、無機塩基の水溶液(水酸化ナトリウムの水溶液など)を用いることが好ましい。無機塩基の添加は、好ましくは、50℃未満の温度、最も好ましくは周囲温度で実施される。ホルムアルデヒドは、好ましくは、その後、アルキル化反応混合物に加えられる。水性で安定化したホルムアルデヒド溶液(例えば、10%未満のメタノールで安定化した)が、好ましくは利用される。二酸化炭素ガスの放出は、ホルムアルデヒドのアルキル化反応混合物への添加の間観察され得る。典型的に、アルキル化反応混合物は、約0.25時間より長い期間、50℃より高い温度、より好ましくは60から95℃で加熱される。反応温度は、また、反応の過程の間、上昇し得る。例えば、90から95℃の範囲の温度に上昇する前に、温度は、最初、70から85℃の範囲の温度で維持され得る。反応は、典型的に1から24時間実施される。
【0009】
1−アダマンチルジメチルアミンは、四級化工程の前にアルキル化反応混合物から好ましくは分離される。好ましくは、アルキル化反応混合物は、20℃未満の温度、より好ましくは3から15℃に冷却され、pHは、更なる無機塩基(水酸化ナトリウムなど)の添加により13より大きいpHに調整される。冷却された溶液は、好ましくはその後、溶媒抽出工程に供される。抽出溶媒は、好ましくはC又はそれ以上の炭化水素、より好ましくはトルエンである。炭化水素:溶媒の重量比は、好ましくは約0.5:1から約3:1である。
【0010】
溶媒抽出は、適切な温度で簡便に行われる。好適な温度は、約10℃から100℃、好ましくは15℃から60℃の範囲である。抽出は、炭化水素相では1−アダマンチルジメチルアミンを含み、水相ではメタノール及び塩を含有する結果となる。これらの二相は、容易に分離され、炭化水素相は、炭化水素を1−アダマンチルジメチルアミンから除去するために、溶媒ストリッパーを用いて取り除かれ得る。結果として得られる1−アダマンチルジメチルアミンは、更にろ過され残留するいかなる不溶性物質も除去され得る。
【0011】
本発明の方法において、1−アダマンチルジメチルアミンは、ジメチルカーボネートと反応され、四級化工程で1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートを製造する。
【0012】
好ましくは、1−アダマンチルジメチルアミンとジメチルカーボネートの反応は、高温高圧、例えば、オートクレーブ中で実施される。典型的に、1−アダマンチルジメチルアミン/ジメチルカーボネートの反応混合物は、約80℃から約200℃の温度で、約0.25時間よりも長い期間(好ましくは約48時間未満)、密封容器中で自発生圧力下、加熱される。より好ましくは、該反応混合物は、約100℃から約175℃の範囲の温度、最も好ましくは約120℃から約160℃で加熱される。反応圧力は、約100から180psigに上がってもよい。反応は、バッチ式、連続式、撹拌槽若しくはCSTR反応器のようないかなる反応槽若しくは反応装置を用いる反連続式で行われてもよい。好ましくは、ジメチルカーボネート:1−アダマンチルジメチルアミンのモル比が3から5の範囲である。
【0013】
反応が完了した後、1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートは、好ましくは回収される。好適な回収方法は、ろ過及び洗浄、ロータリーエバポレーション、遠心分離などを含む。好適な実施態様において、反応混合物は、周囲温度に冷却され、反応混合物の一部は、生じ得るいかなるメタノールも除去するために取り除かれる(好ましくは25%を超える反応体積を減少する)。残りのスラリーは、10℃未満の温度に更に冷却され得、1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネート生成物は、ろ過により単離され、その後、冷ジメチルカーボネートで洗浄され得る。白色の結晶性生成物は、減圧下で更に乾燥され、最終的な1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートを製造する。
【0014】
1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートは、水の存在下で水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムと最終的に反応させて、1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物を製造する。水に加えて、該反応は、他の溶媒(例えばアルコール類)の存在下で実施されてもよいが、追加の溶媒は必要ではない。少なくとも1モル当量の水が1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートと比較して利用されるが、好ましくは、過剰の水が使用される。1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートに対してモル過剰量の水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムは、好まれ、更に好ましくは水酸化カルシウム(水酸化マグネシウム):1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートのモル比が1.05から1.75の範囲である。
【0015】
好ましくは、1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネート/水酸化カルシウム(水酸化マグネシウム)の反応混合物は、高温、好ましくは還流で加熱される。蒸気温度が一定になるまで、生成するメタノールは、徐々に蒸留される。
【0016】
1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネート生成物は、好ましくは生じる炭酸カルシウム(炭酸マグネシウム)及び過剰の水酸化カルシウム(水酸化マグネシウム)から単離される。好ましくは、反応混合物は、15℃未満の温度に冷却され、析出したカルシウム又はマグネシウム塩(例えば、CaCO及びCa(OH))がろ別される。ろ過ケーキは、好ましくは追加の水で洗浄され、母液及び洗浄ろ液は合わせられ得る。1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートは、水溶液として用いられてもよく、乾燥、ストリッピングなどにより水から更に単離され得る。
【0017】
それは、ゼオライト製造のための鋳型剤として使用され得る。ゼオライトの合成は、よく知られている技術であり、一般にケイ素源、アルミニウム源、(その上、所望であれば、他の金属源)、及び1−アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネート鋳型剤から構成され、十分な温度と時間でモレキュラーシーブを生成する。典型的なケイ素源は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、シリコンアルコキシド、及びこれらの混合物を含む。典型的なアルミニウム源は、 アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、硫酸アルミニウム、及び硝酸アルミニウムを含む。
【0018】
ゼオライトの合成は、典型的に水の存在下で行われる。アルコールのような他の溶媒が存在してもよい。反応混合物が生成した後、それは、十分な温度と時間反応し、モレキュラーシーブを生成する。典型的に、反応混合物は、約100℃から約250℃の温度で、約0.25時間よりも長い期間(好ましくは約96時間未満)、密封容器中自生圧力下で、加熱される。反応は、バッチ式、連続式、撹拌槽若しくはCSTR反応器のようないかなる反応槽若しくは反応装置を用いる反連続式で行われてもよい。反応が完了した後、ゼオライトは、回収される。
【0019】
合成されるにつれて、ゼオライトは、孔中に鋳型剤の一部を含有するであろう。鋳型剤を除去するいかなる好適な方法が使用され得る。鋳型の除去は、典型的に空気又は酸素と不活性ガスの混合のような酸素含有ガスの存在下で加熱する高温により行われる。好ましくは、ゼオライトは、250℃よりも高い温度で加熱され鋳型剤を除去する。約275℃から約800℃の温度が好ましい。
【0020】
次の以下の実施例は、単に本発明を説明するだけである。当業者は、本発明の精神と特許請求の範囲に含まれる多くの変形を認めるであろう。
【実施例】
【0021】
実施例1: 1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物の調製
1−アダマンチルジメチルアミンの合成:
99%の1−アダマンチルアミン塩酸塩(500g、2.66モル)は、窒素雰囲気下で反応フラスコ中に入れられ、97%のギ酸(306g、6.65モル)が続いて入れられる。反応混合物は、室温で撹拌され、次いで、水酸化ナトリウムの32%w/w水溶液(326g、2.61モル)は、50℃未満の温度で30分を超えて加えられ、次に反応混合物は、75−80℃に加熱される。7−8%のメタノールで安定化されているホルムアルデヒドの37%w/w水溶液(475g、5.86モル)は、その後、反応混合物に加えられる。ガス(二酸化炭素)の発生は、添加の間観察され、反応温度は、終始75−80℃に維持される。
【0022】
反応器の内容物の温度は、反応混合物を30分で95℃にするために上昇し、この温度で次の3時間維持される。GC分析は、ジメチルアミンに対し>97%の転化率を示す。反応混合物は、その後、5℃に冷却され、水酸化ナトリウムの32%w/w水溶液(200g)は、反応混合物をpH14に調整するために添加される。この撹拌された反応混合物に対し、99%のトルエン(1250mL)が加えられ、反応混合物が二相になる。上の有機相は分離され、溶媒を含まなくされ、不溶物を除去するために、その後、ろ過される透明な黄色の液体を提供する。1−アダマンチルジメチルアミンの全収率は、472グラム(理論値の97.5%)であり、GCの面積%が約96.2%で残りの1.8%がトルエンである。
【0023】
アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネートの合成:
1−アダマンチルジメチルアミン(500g、2.79モル)とジメチルカーボネート(1000g、11.1モル)がオートクレーブ中に入れられ、該反応器の内容物は、140℃で8時間加熱され、反応器の圧力が140psig(965kPa)まで上がる。周囲温度に冷却しいかなる残圧も放出した後、オートクレーブの内容物(流動性のあるスラリー)は、ロータリーエバポレーターに移され生成し得るいかなるメタノールも除去するであろう溶媒を除去され体積が半分に減少する。残りのスラリーは、0℃に冷却され、生成物は、ヌッチェフィルターでのろ過により単離される。ろ過ケーキは、冷ジメチルカーボネート(500mL)で洗浄され、続いて別の冷ジメチルカーボネート(200mL)で洗浄され、真空下で乾燥して668グラムの収量のオフホワイトの結晶固体(理論量の89%)を提供する。H−NMR分析は、構造と一致する。
【0024】
1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物の合成:
アダマンチルトリメチルアンモニウムメチルカーボネート(383g、1.42モル)は、水(1000mL)を加えられ、続いて水酸化カルシウム(148g、2.0モル)が添加される。この添加は、発熱的である。反応混合物は、その後、還流まで加熱され、蒸気温度が一定になるまで、生成するメタノールは、徐々に蒸留される。反応混合物は、その後、10℃まで徐々に冷却され、析出した炭酸カルシウム及び過剰の水酸化カルシウムは、ヌッチェフィルターでろ別される。ろ過ケーキは、水(200mL)で洗浄され、母液及び洗浄ろ液は合わせられる。1−アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物生成物の収量は、20.2%w/wの含有率を示す1284グラムの溶液である。