【課題を解決するための手段】
【0008】
これを達成するために、本発明は、感光性セル上に集光システムの自己整合を与える方法を提案する。
【0009】
本発明は、特に、少なくとも感光性の第1の部分を基板上に用意する第1の段階を含む、感光性デバイスの製造方法を提案する。感光性の第1の部分は、特定の波長の範囲内で活性である。不活性である第2の部分は、感光性の第1の部分を囲う。
【0010】
次いで、基板に対向する第1の部分の上部表面を覆う材料は、電気化学的プロセスによって活性である第1の部分の直上の親水性の層に選択的に配置され、第2の部分は、基板に対向する上部表面に疎水性の材料を含む。
【0011】
この方法は、第1の部分が活性である特定の波長の範囲内で透過性である材料を含む溶液を第1の部分及び第2の部分の上部表面全体に溶射する段階と、この材料を含む凸レンズを第1の部分上に形成する段階と、をさらに含む。
【0012】
従って、この方法は、親水性材料で感光性部分の上部表面を覆う第1の段階を含む、不活性である囲う部分は、疎水性の上部表面を有する。活性である第1の部分及び不活性である第2の部分の間に選択的に提供される親水性表面及び疎水性表面の間のこの差異は、好ましくは親水性表面上において、従って感光性部分上において、この溶液が滴を形成するための第2の段階において堆積されることを可能にする。“溶射”という用語は、広い意味で理解されるものであり、浸漬、噴霧又はスピンコーティング等の溶液を付ける複数の方法を含み得る。このように形成された滴は、集光システム、特に凸レンズを形成する。感光性部分上の光学システムの位置合わせは、従って即時である。そのため、この方法は、高価な位置合わせデバイス及び1つずつレンズを位置合わせするデバイスの必要性を取り除く。
【0013】
この方法の他の利点は、疎水性及び親水性の表面の組織が、あらゆる位置合わせ又はエッチング段階を必要とし得ないことである。第1の部分の上部表面は、多かれ少なかれ選択的に親水性にされ得る。“選択的に”という用語は、多かれ少なかれ、活性である第1の部分の直上の疎水性の層を得ることを可能にする電気化学的プロセスを行いながらマスクが使用されないことを意味する。このような親水性の層を作る選択的な性質は、電気的に中性である第2の部分とは対照的に活性である第1の部分の導電体の特性によって可能である。
【0014】
多様な電気化学プロセスは、親水性の層に第1の部分を覆う材料を配置することが考えられ得る。例えば、このような疎水性の層は、これらの部分の導電特性によって活性である第1の部分に選択的に行われる電着によって得られ得る。代替案として、第1の部分及び第2の部分を覆う予め疎水性である材料を堆積し、活性である第1の部分に電圧を印加することによって処理を行うことも可能である。この処理は、この材料を、活性である第1の部分のみの直上において選択的に親水性にする。
【0015】
有利には、親水性の材料は、活性である第1の部分の基板に対向する上部表面に選択的に堆積される。堆積は、第1の部分又は第2の部分上における選択的な位置合わせを可能にする利点を有する。例えば、活性である第1の部分が導電性であるとき、疎水性の材料は、活性である第1の部分の基板に対向する上部表面に選択的に電着され得る。
【0016】
基板に対向する第1の部分の上部表面が処理後に親水性にされることも可能である。実際に、不活性である第2の部分の親水性と区別されるように、活性である第1の部分に堆積される材料の親水性を調整することができることが有利である。あるいは、堆積された材料の親水性を修正するこの可能性は、第1の部分及び第2の部分の上部表面が同一の材料で覆われ、例えば電気的である処理が、活性である第1の部分の直上の領域のみを選択的に親水性にする実施形態を可能にする。
【0017】
親水性という用語は、本明細書において、例えば90°未満である接触角を有する表面に液体のフィルムを形成する性能を意味する。この特性は、特有のタイプの液体に限定されない。同様に、疎水性という用語は、例えば90°を超える接触角を有する表面に液体フィルムを形成する性能を意味する。
【0018】
この方法は、第1の部分の基板に対向する上部表面に親水性を有する材料を選択的に堆積する段階を含む。
【0019】
堆積された材料の親水性は、それらの最も広い意味で解釈されるものであり、すなわち、堆積された材料は、本質的に親水性であり得、又は、処理によって親水性にされ得る。同様に、堆積された材料の親水性を調整することが可能である。
【0020】
他の実施形態において、第1の部分の基板に対向する上部表面は、処理後に親水性の状態になり得る。
【0021】
例えば、第1の部分及び第2の部分の上部表面に同一の材料を堆積し、次いで、活性である第1の部分の直上の材料のみを選択的に親水性にする電気化学的処理を行うことが可能である。
【0022】
実際に、多くの材料は、感光性である第1の部分の上部表面を覆うために使用され得る。
【0023】
ZnO、ドーピングされたZnO又はTiO
2等のワイドバンドギャップ酸化物を使用することが特に有利である。これらの材料は、感光性の領域におけるこれらの酸化物の選択的堆積に対して速くて安価なプロセスの存在を考慮して本発明の方法に特に相応しい。例えば、仏国特許第2934611号には、太陽電池の吸収体の上部表面に選択的にZnOを電着する方法が開示されており、これらの吸収体は、照射されるときに導電性である。次いで、上部表面が電気絶縁性である、不活性である第2の部分を有することが有利である。
【0024】
ワイドバンドギャップ酸化物は、有利には、それらの上部表面に溶液を溶射する段階の前に、紫外線に対して露光することによる処理段階に晒される。ワイドバンドギャップ酸化物でコーティングされる、不活性である第1の部分の上部表面のこの露光は、ワイドバンドギャップ酸化物の上部表面の親水性を増加させる。この段階は、親水性の材料上に滴を形成する溶液を受けるための上部表面を用意する。紫外線に対する露光によるこの処理が何れにしてもマスクの使用を必要としないことに留意すべきである。親水性の材料を囲う疎水性の領域の親水性は、紫外線に対する露光によって影響されない。
【0025】
溶液の溶射の段階の前の活性である第1の部分の上部表面を処理するこの段階はまた、電位の印加、従って電流の通過によって行われ得る。選択的に電位を印加することを含むこのような処理は、活性である第1の部分の直上の材料の親水性を増加させる。この処理は、少なくとも部分的に導電性である、活性である第1の部分を覆う材料の特性を利用する。
【0026】
そのため、これらの2つの電磁気処理は、活性である第1の部分の直上の材料の親水性の選択的増加を可能にする。
【0027】
あるいは、活性である第1の部分の上部表面に少なくとも1つの反射防止層の堆積を使用することが可能である。反射防止層は、酸化物であり得る多くの層の積層体で構成され得る。反射防止層又は複数の反射防止層の使用は、集光システムに反射される入射光の割合を低減し、そのため、活性である第1の部分によって受け取られる光の量を増加させる。この層又は複数の層は、活性である第1の部分の上部表面に選択的に堆積され、親水性である露光された上部表面を有するように配置される。
【0028】
第1の部分及び第2の部分の直上における露光された上部表面に堆積される溶液は、複数の溶液から選択され得る。
【0029】
有利には、この溶液は、例えばモノマーである硬化剤を含む。
【0030】
例えば、それは、可視光スペクトルで透過性であり、高い屈折率を有する感光性樹脂を含み得る。このような感光性樹脂の実施例は、フォトレジストSU8又はフォトレジストAZ(登録商標)40XTである。第1の部分上に凸レンズを形成するために溶液を硬化する段階を有することが可能である。これは、溶液の滴を含む第1の部分の上部表面の熱処理によって又は第1の部分の上部表面の紫外線への露光によって硬化することを含み得る。この段階は、第1の部分及び第2の部分の露光された上部表面に溶液を溶射する段階の後に起こる。この硬化は、第1の部分上のレンズの形状を固め、活性である第1の部分上の親水性の上部表面とレンズとの間の永久的な接触を保証する。特定の硬化プロセスの性質がこの形状に影響を与えるので、硬化段階はまた、レンズの形状を定義するさらなる自由度を与えることができる。このようなものは、例えば熱焼鈍しを用いた場合である。
【0031】
感光性の第1の部分は、電気的なコンタクトの存在を必要とし得る。これらのコンタクトは、例えば、第1の部分及び第2の部分を基板に形成する第1の段階と溶射する段階との間に堆積され得る。これらのコンタクトは、通常、第1の部分と接触する親水性の金属層の形態である。あるいは、金属コンタクトの堆積は、第1の部分及び第2の部分を形成する第1の段階中に行われ得る。
【0032】
これらの親水性の電気コンタクトの存在のさらなる利点は、それらが、感光性の第1の部分を溶射する段階の後に形成される滴の表面を拡張することである。実際に、第1の部分上に形成されるレンズのサイズを増加する電気コンタクトを使用することが可能である。この方法から得られる集光デバイスによって集められる光の量は、次いで、第1の光学システムとして形成されるレンズを用いるのに十分であり得る。これは、このような感光性セルを含むパネルを製造する方法を簡素化する。
【0033】
本発明の方法に対する多くの用途の可能性がある。
【0034】
活性である第1の部分が、感光性のセルの光吸収体である場合の感光性のセルに特に適用することができる。
【0035】
不活性である第2の部分は、好ましくは電気絶縁体である。ポリマーフィルムの電気絶縁体は、疎水性表面を有するという利点を与える。希土類セラミックス又は希土類酸化物等の他の材料はまた、疎水性の電気絶縁体に対して考えられ得る。
【0036】
レンズが感光性セル上に形成されると、感光性セルが活性である波長の範囲内で透過性である材料のコーティングを堆積することによってそれを厚くすることが可能である。
【0037】
このコーティングは、スペーサとして機能し、それによって光収集表面を増加させる。スペーサはまた、レンズの上部表面と、レンズに直接並ぶ感光性セルとの間の距離を増加させる。これは、感光性セルにおけるレンズの焦点の位置を最適化することを可能にする。
【0038】
この方法はまた、活性である複数の部分を含む集光デバイスを製造するために、産業規模において使用され得る。第1の段階は、次いで、特定の波長内で活性であり、不活性である第2の部分によって互いに分離される第1の部分のアレイを基板上に用意する段階を含む。
【0039】
活性である部分のアレイの生成は、より少ない原料を使用するプロセスを用いて行われ得る。特に、第1の段階中に、第2の部分を含む基板における第1の部分の選択的な堆積を行うことが有利である。あるいは、活性である第1の部分を基板に堆積し、次いで第2の部分を堆積することが可能である。
【0040】
本発明の方法は、当業者に周知の技術によって得られるデバイスより正確にレンズが感光性の領域上に位置合わせされる集光光電子デバイスを製造することを可能にする。
【0041】
従って、本発明はまた、少なくとも特定の波長の範囲内で活性である感光性の第1の部分と、第1の部分を囲う不活性である第2の部分と、を基板上に備える感光性デバイスを提案する。
【0042】
感光性デバイスは、第1の部分が、基板に対向する上部表面における電気化学的プロセスによって活性である第1の部分の直上の親水性の層に選択的に配置される材料を含み、第2の部分の基板に対向する上部表面が、疎水性の材料を含むという顕著な特徴を有する。
【0043】
さらに、親水性材料の上部表面に形成される凸レンズは、第1の部分の幾何学的中心に位置合わせされる、基板に垂直な光軸を有する。第1の部分の幾何学的中心及びこの光軸の間の位置合わせは、1ナノメートル未満であり得る。
【0044】
レンズの光軸及び感光性の第1の部分の幾何学的中心の間のこの微量の不整合は、カメラ及び精密ロボットを必要とする位置合わせ技術によって保証される不整合より小さいものであり得る。精密ロボットは、約100nmの間隔で正確にレンズを位置合わせし得る。本発明の方法は、レンズの光軸及び感光性の部分の幾何学的中心の間の不整合がナノメートル未満である、感光性の部分とのレンズの位置合わせを可能にする。この方法によって得られるデバイスは、従って、レンズの寸法が小さく、例えばマイクロメートスケールであるときに特に有効であり得る。
【0045】
以上に記載された方法から得られるデバイスは、100ミクロン未満の直径を有する実質的に円形のレンズにおいて特に有利な光学品質を与える。このようなサイズに関して、感光性の部分の幾何学的中心に対するレンズの光軸の不整合は、感光性の部分における集光の品質を低減させる収差を引き起こし得る。