特許第6476168号(P6476168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476168
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】感光性デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/054 20140101AFI20190218BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20190218BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01L31/04 620
   H01L31/04 266
   G02B3/00 A
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-514456(P2016-514456)
(86)(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公表番号】特表2016-520258(P2016-520258A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】FR2014051093
(87)【国際公開番号】WO2014188105
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】1354618
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504462489
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ドゥ・フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】センター ナショナル ド ラ ルシェルシュ サイエンティフィーク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミリアム・ペール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ・ギユモール
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ロンベ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ランコ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・コラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−リュク・プルーアル
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0272450(US,A1)
【文献】 国際公開第02/070413(WO,A1)
【文献】 特開平04−165301(JP,A)
【文献】 特開2006−023683(JP,A)
【文献】 特開2012−160691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性である第2の部分(2)によって囲われる、特定の波長の範囲内で活性である少なくとも感光性の第1の部分(1)を、基板(3)上に用意する第1の段階を含む、感光性デバイスの製造方法であって、
前記基板(3)に対向する前記第1の部分(1)の上部表面を覆う第1の材料が、電気化学的プロセスによって前記活性である第1の部分の直上の親水性の層に選択的に配置され、前記第2の部分(2)が、前記基板に対向する上部表面に疎水性である第2の材料を含み、
前記方法が、
前記特定の波長の範囲内で透過性である第3の材料を含む溶液を前記第1の部分(1)及び第2の部分(2)の上部表面全体に溶射する段階と、
前記第1の材料を含む凸レンズ(4、14)を前記第1の部分上に形成する段階と、
をさらに含み、
前記方法が、前記溶液を溶射する段階の前に、前記上部表面の親水性を増加するために、前記活性である第1の部分(1)の上部表面を処理する段階を含むことを特徴とする、感光性デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記第1の部分(1)の基板(3)に対向する上部表面に親水性を有する前記第1の材料(8)を選択的に堆積する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の部分(1)の基板(3)に対向する上部表面が、処理後に親水性の状態になる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料(8)がワイドバンドギャップ酸化物を有する親水性の材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料(8)が、ZnO、ドーピングされたZnO及びTiOからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶液を溶射する段階の前に、前記上部表面を紫外線に晒すことによって前記活性である第1の部分(1)の上部表面を処理する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶液を溶射する段階の前に、電位を印加することによって前記活性である第1の部分を処理する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液が硬化剤である第3の材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の材料がモノマーである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の部分上に凸レンズ(4、14)を形成するために前記溶液を硬化する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記硬化する段階が、前記第1の部分(1)の上部表面を紫外線に晒す段階を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の段階及び前記溶射する段階の間に、前記第2の部分(2)の上部表面の一部に、前記第1の部分(1)に接触する親水性の金属層(5)を堆積する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記活性である第1の部分(1)が、感光性セルの光吸収体である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性である第2の部分(2)が、電気絶縁体である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記特定の波長の範囲内で透過性である材料のコーティング(6)を前記レンズ(14)上に堆積する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の段階が、特定の波長の範囲内で活性である第1の部分(1)のアレイを基板(3)上に用意する段階を含み、前記第1の部分(1)が、不活性である第2の部分(2)によって互いに分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の段階が、前記第2の部分(2)を含む基板(3)における第1の部分(1)の選択的な堆積である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光システムを備える光電子デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
光検出器、発光ダイオード(LED)又は光起電装置等の光電子デバイスを採用する技術は、集光システムの使用を介して光活性の部分を作るための材料をより少なく使用することによる利益を得る。
【0003】
集光システムを採用するデバイスは、このようなシステムを有しないデバイスと比較して、所定の電力を生成するために、又は、所定の領域を照明するために、より少ない半導体材料を必要とする。太陽電池の場合には、集光システムの使用は、高い変換効率を有する、より低コストの光吸収材料を使用することを可能にする。
【0004】
感光性デバイスに対する集光システムの位置合わせは、達成するのが困難である。従来、この位置合わせは、高価な方法である、カメラ制御等の撮像方法を伴っていた。
【0005】
通常、感光性セルに対する光学システムの位置合わせは、セル毎に行われる。この連続的な位置合わせ方法は、ホスト基板上にセルを位置合わせするためにも頻繁に使用される精密ロボットを伴っていた。この技術は、高価であり、レンズの数、従ってセルが増加するので、実施するために時間が掛かるという欠点を有する。
【0006】
ある製造者は、感光性セル上においてこれらのセルに接触する、これらの“第2の”光学システムの位置合わせを容易にするための従前のフォトリソグラフィ段階を提案する。第2の光学システムは、通常、感光性セル上に配置され、より大きな“第1の”レンズと組み合わせられて使用されるレンズである。第1のレンズは、それらの焦点距離に実質的に相当する距離でセル上に位置する。この方法は、感光性セルの形状を考慮しながら、適切な配置でリソグラフィパターンを画定するために固有の位置合わせを必要とする欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、感光性デバイス上に集光システムを位置合わせする段階を単純化する方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これを達成するために、本発明は、感光性セル上に集光システムの自己整合を与える方法を提案する。
【0009】
本発明は、特に、少なくとも感光性の第1の部分を基板上に用意する第1の段階を含む、感光性デバイスの製造方法を提案する。感光性の第1の部分は、特定の波長の範囲内で活性である。不活性である第2の部分は、感光性の第1の部分を囲う。
【0010】
次いで、基板に対向する第1の部分の上部表面を覆う材料は、電気化学的プロセスによって活性である第1の部分の直上の親水性の層に選択的に配置され、第2の部分は、基板に対向する上部表面に疎水性の材料を含む。
【0011】
この方法は、第1の部分が活性である特定の波長の範囲内で透過性である材料を含む溶液を第1の部分及び第2の部分の上部表面全体に溶射する段階と、この材料を含む凸レンズを第1の部分上に形成する段階と、をさらに含む。
【0012】
従って、この方法は、親水性材料で感光性部分の上部表面を覆う第1の段階を含む、不活性である囲う部分は、疎水性の上部表面を有する。活性である第1の部分及び不活性である第2の部分の間に選択的に提供される親水性表面及び疎水性表面の間のこの差異は、好ましくは親水性表面上において、従って感光性部分上において、この溶液が滴を形成するための第2の段階において堆積されることを可能にする。“溶射”という用語は、広い意味で理解されるものであり、浸漬、噴霧又はスピンコーティング等の溶液を付ける複数の方法を含み得る。このように形成された滴は、集光システム、特に凸レンズを形成する。感光性部分上の光学システムの位置合わせは、従って即時である。そのため、この方法は、高価な位置合わせデバイス及び1つずつレンズを位置合わせするデバイスの必要性を取り除く。
【0013】
この方法の他の利点は、疎水性及び親水性の表面の組織が、あらゆる位置合わせ又はエッチング段階を必要とし得ないことである。第1の部分の上部表面は、多かれ少なかれ選択的に親水性にされ得る。“選択的に”という用語は、多かれ少なかれ、活性である第1の部分の直上の疎水性の層を得ることを可能にする電気化学的プロセスを行いながらマスクが使用されないことを意味する。このような親水性の層を作る選択的な性質は、電気的に中性である第2の部分とは対照的に活性である第1の部分の導電体の特性によって可能である。
【0014】
多様な電気化学プロセスは、親水性の層に第1の部分を覆う材料を配置することが考えられ得る。例えば、このような疎水性の層は、これらの部分の導電特性によって活性である第1の部分に選択的に行われる電着によって得られ得る。代替案として、第1の部分及び第2の部分を覆う予め疎水性である材料を堆積し、活性である第1の部分に電圧を印加することによって処理を行うことも可能である。この処理は、この材料を、活性である第1の部分のみの直上において選択的に親水性にする。
【0015】
有利には、親水性の材料は、活性である第1の部分の基板に対向する上部表面に選択的に堆積される。堆積は、第1の部分又は第2の部分上における選択的な位置合わせを可能にする利点を有する。例えば、活性である第1の部分が導電性であるとき、疎水性の材料は、活性である第1の部分の基板に対向する上部表面に選択的に電着され得る。
【0016】
基板に対向する第1の部分の上部表面が処理後に親水性にされることも可能である。実際に、不活性である第2の部分の親水性と区別されるように、活性である第1の部分に堆積される材料の親水性を調整することができることが有利である。あるいは、堆積された材料の親水性を修正するこの可能性は、第1の部分及び第2の部分の上部表面が同一の材料で覆われ、例えば電気的である処理が、活性である第1の部分の直上の領域のみを選択的に親水性にする実施形態を可能にする。
【0017】
親水性という用語は、本明細書において、例えば90°未満である接触角を有する表面に液体のフィルムを形成する性能を意味する。この特性は、特有のタイプの液体に限定されない。同様に、疎水性という用語は、例えば90°を超える接触角を有する表面に液体フィルムを形成する性能を意味する。
【0018】
この方法は、第1の部分の基板に対向する上部表面に親水性を有する材料を選択的に堆積する段階を含む。
【0019】
堆積された材料の親水性は、それらの最も広い意味で解釈されるものであり、すなわち、堆積された材料は、本質的に親水性であり得、又は、処理によって親水性にされ得る。同様に、堆積された材料の親水性を調整することが可能である。
【0020】
他の実施形態において、第1の部分の基板に対向する上部表面は、処理後に親水性の状態になり得る。
【0021】
例えば、第1の部分及び第2の部分の上部表面に同一の材料を堆積し、次いで、活性である第1の部分の直上の材料のみを選択的に親水性にする電気化学的処理を行うことが可能である。
【0022】
実際に、多くの材料は、感光性である第1の部分の上部表面を覆うために使用され得る。
【0023】
ZnO、ドーピングされたZnO又はTiO等のワイドバンドギャップ酸化物を使用することが特に有利である。これらの材料は、感光性の領域におけるこれらの酸化物の選択的堆積に対して速くて安価なプロセスの存在を考慮して本発明の方法に特に相応しい。例えば、仏国特許第2934611号には、太陽電池の吸収体の上部表面に選択的にZnOを電着する方法が開示されており、これらの吸収体は、照射されるときに導電性である。次いで、上部表面が電気絶縁性である、不活性である第2の部分を有することが有利である。
【0024】
ワイドバンドギャップ酸化物は、有利には、それらの上部表面に溶液を溶射する段階の前に、紫外線に対して露光することによる処理段階に晒される。ワイドバンドギャップ酸化物でコーティングされる、不活性である第1の部分の上部表面のこの露光は、ワイドバンドギャップ酸化物の上部表面の親水性を増加させる。この段階は、親水性の材料上に滴を形成する溶液を受けるための上部表面を用意する。紫外線に対する露光によるこの処理が何れにしてもマスクの使用を必要としないことに留意すべきである。親水性の材料を囲う疎水性の領域の親水性は、紫外線に対する露光によって影響されない。
【0025】
溶液の溶射の段階の前の活性である第1の部分の上部表面を処理するこの段階はまた、電位の印加、従って電流の通過によって行われ得る。選択的に電位を印加することを含むこのような処理は、活性である第1の部分の直上の材料の親水性を増加させる。この処理は、少なくとも部分的に導電性である、活性である第1の部分を覆う材料の特性を利用する。
【0026】
そのため、これらの2つの電磁気処理は、活性である第1の部分の直上の材料の親水性の選択的増加を可能にする。
【0027】
あるいは、活性である第1の部分の上部表面に少なくとも1つの反射防止層の堆積を使用することが可能である。反射防止層は、酸化物であり得る多くの層の積層体で構成され得る。反射防止層又は複数の反射防止層の使用は、集光システムに反射される入射光の割合を低減し、そのため、活性である第1の部分によって受け取られる光の量を増加させる。この層又は複数の層は、活性である第1の部分の上部表面に選択的に堆積され、親水性である露光された上部表面を有するように配置される。
【0028】
第1の部分及び第2の部分の直上における露光された上部表面に堆積される溶液は、複数の溶液から選択され得る。
【0029】
有利には、この溶液は、例えばモノマーである硬化剤を含む。
【0030】
例えば、それは、可視光スペクトルで透過性であり、高い屈折率を有する感光性樹脂を含み得る。このような感光性樹脂の実施例は、フォトレジストSU8又はフォトレジストAZ(登録商標)40XTである。第1の部分上に凸レンズを形成するために溶液を硬化する段階を有することが可能である。これは、溶液の滴を含む第1の部分の上部表面の熱処理によって又は第1の部分の上部表面の紫外線への露光によって硬化することを含み得る。この段階は、第1の部分及び第2の部分の露光された上部表面に溶液を溶射する段階の後に起こる。この硬化は、第1の部分上のレンズの形状を固め、活性である第1の部分上の親水性の上部表面とレンズとの間の永久的な接触を保証する。特定の硬化プロセスの性質がこの形状に影響を与えるので、硬化段階はまた、レンズの形状を定義するさらなる自由度を与えることができる。このようなものは、例えば熱焼鈍しを用いた場合である。
【0031】
感光性の第1の部分は、電気的なコンタクトの存在を必要とし得る。これらのコンタクトは、例えば、第1の部分及び第2の部分を基板に形成する第1の段階と溶射する段階との間に堆積され得る。これらのコンタクトは、通常、第1の部分と接触する親水性の金属層の形態である。あるいは、金属コンタクトの堆積は、第1の部分及び第2の部分を形成する第1の段階中に行われ得る。
【0032】
これらの親水性の電気コンタクトの存在のさらなる利点は、それらが、感光性の第1の部分を溶射する段階の後に形成される滴の表面を拡張することである。実際に、第1の部分上に形成されるレンズのサイズを増加する電気コンタクトを使用することが可能である。この方法から得られる集光デバイスによって集められる光の量は、次いで、第1の光学システムとして形成されるレンズを用いるのに十分であり得る。これは、このような感光性セルを含むパネルを製造する方法を簡素化する。
【0033】
本発明の方法に対する多くの用途の可能性がある。
【0034】
活性である第1の部分が、感光性のセルの光吸収体である場合の感光性のセルに特に適用することができる。
【0035】
不活性である第2の部分は、好ましくは電気絶縁体である。ポリマーフィルムの電気絶縁体は、疎水性表面を有するという利点を与える。希土類セラミックス又は希土類酸化物等の他の材料はまた、疎水性の電気絶縁体に対して考えられ得る。
【0036】
レンズが感光性セル上に形成されると、感光性セルが活性である波長の範囲内で透過性である材料のコーティングを堆積することによってそれを厚くすることが可能である。
【0037】
このコーティングは、スペーサとして機能し、それによって光収集表面を増加させる。スペーサはまた、レンズの上部表面と、レンズに直接並ぶ感光性セルとの間の距離を増加させる。これは、感光性セルにおけるレンズの焦点の位置を最適化することを可能にする。
【0038】
この方法はまた、活性である複数の部分を含む集光デバイスを製造するために、産業規模において使用され得る。第1の段階は、次いで、特定の波長内で活性であり、不活性である第2の部分によって互いに分離される第1の部分のアレイを基板上に用意する段階を含む。
【0039】
活性である部分のアレイの生成は、より少ない原料を使用するプロセスを用いて行われ得る。特に、第1の段階中に、第2の部分を含む基板における第1の部分の選択的な堆積を行うことが有利である。あるいは、活性である第1の部分を基板に堆積し、次いで第2の部分を堆積することが可能である。
【0040】
本発明の方法は、当業者に周知の技術によって得られるデバイスより正確にレンズが感光性の領域上に位置合わせされる集光光電子デバイスを製造することを可能にする。
【0041】
従って、本発明はまた、少なくとも特定の波長の範囲内で活性である感光性の第1の部分と、第1の部分を囲う不活性である第2の部分と、を基板上に備える感光性デバイスを提案する。
【0042】
感光性デバイスは、第1の部分が、基板に対向する上部表面における電気化学的プロセスによって活性である第1の部分の直上の親水性の層に選択的に配置される材料を含み、第2の部分の基板に対向する上部表面が、疎水性の材料を含むという顕著な特徴を有する。
【0043】
さらに、親水性材料の上部表面に形成される凸レンズは、第1の部分の幾何学的中心に位置合わせされる、基板に垂直な光軸を有する。第1の部分の幾何学的中心及びこの光軸の間の位置合わせは、1ナノメートル未満であり得る。
【0044】
レンズの光軸及び感光性の第1の部分の幾何学的中心の間のこの微量の不整合は、カメラ及び精密ロボットを必要とする位置合わせ技術によって保証される不整合より小さいものであり得る。精密ロボットは、約100nmの間隔で正確にレンズを位置合わせし得る。本発明の方法は、レンズの光軸及び感光性の部分の幾何学的中心の間の不整合がナノメートル未満である、感光性の部分とのレンズの位置合わせを可能にする。この方法によって得られるデバイスは、従って、レンズの寸法が小さく、例えばマイクロメートスケールであるときに特に有効であり得る。
【0045】
以上に記載された方法から得られるデバイスは、100ミクロン未満の直径を有する実質的に円形のレンズにおいて特に有利な光学品質を与える。このようなサイズに関して、感光性の部分の幾何学的中心に対するレンズの光軸の不整合は、感光性の部分における集光の品質を低減させる収差を引き起こし得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、例示目的で与えられ、限定的ではない幾つかの例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0047】
図1】本発明の方法によって得られ得る例示的なデバイスを示す。
図2a】本発明の第1の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図2b】本発明の第1の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図2c】本発明の第1の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図3】第2の実施形態による本発明の方法によって得られるデバイスを示す。
図4a】本発明の第3の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図4b】本発明の第3の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図4c】本発明の第3の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図5a】本発明の第4の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図5b】本発明の第4の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図6a】本発明の第5の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図6b】本発明の第5の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
図7】本発明の第6の実施形態による、レンズを備え、不活性である部分によって囲われる、活性である感光性部分の製造方法の段階を示す。
【0048】
明確性のために、図面において表される種々の要素の寸法は、必ずしもそれらの実際の寸法に比例しない。図面における同一の参照符号は、同一の要素に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1に示されるように、本発明の対象は、第1に、集光を用いた感光性システムの製造に関する。このようなシステムは、例えば、金属コンタクト5によって電気的に接続された太陽電池1等のデバイスのアレイであり得る。太陽電池は、小型になるように設計され、それによって製造コストを低減し、これらの材料の使用が高いエネルギー効率を与えることを可能にする。これらの感光性セル1は、それらの上部表面にレンズ4を備え、レンズ4は、“第2の”光学システムを形成する。これらのレンズ上において、“第1の”光学システム104は、レンズ4に集光する。これらの第1の光学システムは、それらのより広い表面領域のために多量の光を集め、太陽電池1に集光するために使用される。第1の光学システム104の下に位置する第2の光学システム4は、二重レベルレンズシステムの受け入れ角を増加させることを可能にし、これは、正常ではない入射で第1の光学システム104に達する、より多くの光を太陽電池1が集めることができることを意味する。そのため、より多くの光が第1のレンズ104によって集められ、このシステムはまた、第2の光学システム4を介して第1のレンズ平面104に垂直ではない、より多くの光を集める。本発明の方法は、感光性セル1上における第2の光学システム、レンズ4の位置合わせを非常に容易にさせる。
【0050】
初めに、光電子デバイス、好ましくは感光性デバイスを製造する方法の段階を示す図2a、図2b及び図2cを参照する。この方法は、図2aに示されるように、第1に、第2の部分2によって囲われた第1の部分1を基板3上に組み立てることからなる。第1の部分1は、所定の波長の範囲内で活性である。“活性である”という用語は、第1の部分1が、注目に値する感光性又は発光スペクトルを示すことを意味するものと理解される。例えば、注目に値する感光性又は発光スペクトルは、吸収ピーク又は放出ピークの形態であり得る。これらの第1の部分1及び第2の部分2を生成するために使用される技術は、電着、プリンティング又はマスク用いた共蒸着等の、当業者に周知のボトムアップ方式であり得る。基板に接触する第1の部分1及び第2の部分2の表面は、以下では下部表面と称される。この表面に対向する表面は、上部表面と称される。
【0051】
図2bに示されるように、第1の部分1の上部表面は、親水性材料の層8が備えられる。この層8は、第2の部分2に触れることなく第1の部分1の上部面に選択的に堆積される。
【0052】
親水性という用語は、本明細書では、高い湿潤性を有する表面を形成するための性能を意味するものとして使用される。具体的には、以下の詳細な説明において、その上部表面における液体の堆積が、例えば90°未満である接触角を有する液体の滴の形成によって達成されるとき、材料は、親水性であると考えられる。接触角は、表面と気体/液体/固体界面における液体の滴に対する接線との間の角度として定義される。親水性という用語は、特定の液体のタイプに対する湿潤性の表面に関連する特性を制限するものではなく、水溶液、油又はあらゆる他の粘性液体を受容するための材料を特徴づけるために役立つことができる。
【0053】
疎水性という用語は、本明細書において親水性と称される材料より低い湿潤性の表面を形成する性能を有する材料を特徴づけるために本明細書において使用される。特に、その上部表面に堆積された液体のフィルムの接触角が例えば90°を超える場合に、材料は、疎水性であると考えられる。
【0054】
親水性材料の層8は、幾つかの層のスタックによって補完され、露光された表面は、親水性を有する。例えば、この特定の実施形態は、異なる屈折率を有する複数の材料の層を含む反射防止コーティングの場合に関するものであり得る。この方法が太陽電池又は光検知器を組み立てることからなる特有の場合において、活性である第1の部分1の電気接続部は、この層の積層体の堆積前に組み立てられるべきである。実際に、反射防止層は、しばしば、電気絶縁材料の薄層の表面に形成される。1つ又は複数の追加の層の堆積を必要とすることなく、層8が反射防止特性を有することも可能である。
【0055】
第1の部分1の形状が必ずしも円形である必要はないことに留意すべきである。例えば細長い又は長方形状を有する第1の部分1を組み立てることが可能である。この第1の部分1の表面に堆積される親水性の層8は、有利には、この第1の部分1の形状に従う。
【0056】
この層8は、有利には、ワイドバンドギャップ酸化物から選択される材料で作られ得る。これらの材料は、UV照射下で親水性であることが知られている。特に、亜鉛酸化物(ZnO)、場合によってはドーピングされた亜鉛酸化物又はチタン酸化物(TiO)及びインジウム錫酸化物(ITO)は、それらが容易に堆積されるという利点を与えるので、可能な材料である。仏国特許第2934611号には、Cu(In、Ga)Seセル上におけるZnOの電着に対する方法が開示されている。次いで太陽電池の形態である第1の部分におけるZnO等のワイドバンドギャップ酸化物の堆積を行うためにこの特許の技術を使用することが特に有利である。照射される際における太陽電池の吸収体の導電性によって、第1の部分1におけるZnOの電着は、選択的であり、自己整合的である。これらの酸化物の粗度を変えるための多くの技術は、当業者に周知であり、それは、それらの親水性を調整することができる。例えば、塩酸の水溶液等の酸水溶液を用いたエッチングは、これらの表面酸化物の粗度を増加させることができる。
【0057】
仏国特許第2,934,611号の技術を適用することによって、活性である第1の部分1におけるZnO等のワイドバンドギャップ酸化物の選択的な堆積から利益を得るために、電気絶縁体である不活性である第2の部分を使用することが特に有利である。
【0058】
層8を構成する材料の選択がZnO等のワイドバンドギャップ酸化物を使用するとき、この層8の上部表面を紫外線に晒す段階を提供することが有利である。このような段階は、層8の上部表面の親水性を増加させる。この親水性の増加は、本明細書において層8の上部表面に堆積された液体の滴の接触角の減少に相当する。
【0059】
有利には、層8を形成するために使用される材料の選択は、この層の光学特性を考慮する。第1の部分1が活性である波長の範囲と同一の波長の範囲において層8が透過性であることは、特に有利である。
【0060】
以上に記載された段階によって生成されたデバイスの上部表面の全ては、以下の特徴を有する:第1の部分1の直上である露光された表面は、特定の波長の範囲内で活性であるが、親水性であり、不活性である第2の部分の直上の露光された表面は、疎水性である。
【0061】
不活性である第2の部分2の直上の露光された表面の疎水性は、不活性である第2の部分を組み立てるために使用される材料の固有特性であり得る。例えば、第1の部分1が太陽電池である特定の用途において、不活性である第2の部分2は、有利には、生来疎水性を有する電気絶縁体である。それは、例えば、耐熱材料又はポリマーから選択され得る。
【0062】
絶縁性の疎水性ポリマーフィルムは、SU8、又はテトラフルオロエチレンに由来する化合物等の感光性樹脂(フォトレジスト)から選択され得る。第1の部分1を組み立てるときの焼鈍し中に達し得る高温に相応しい材料を有することが特に有利であり得る。これらの疎水性材料は、電気絶縁性であり、耐熱性であるが、希土類セラミックス、又はTherma Pur(登録商標)等のシーリング用途で使用される材料から選択され得る。希土類セラミックスのうち、CeO又はEr等の幾つかは、薄膜プロセスによって堆積され得る。
【0063】
さらに、活性である第1の部分を組み立てる前に、不活性である第2の部分2の上部表面に疎水性を有する材料の層を堆積する追加の段階を行うことも可能である。これは、希土類セラミックスを使用する実施形態において有利である。セラミックスをより少なく堆積するように、例えば一般的な無機絶縁層及び希土類セラミックスの薄層である疎水性の層の積層体を使用することも有利である。感光性部分1の堆積後であってZnO層8の堆積前に分子を接合することによって第2の部分2の表面を疎水性にすることも可能である。そのため、例えばオクタデシルトリクロロシラン(OTS)又はパーフルオロデシルトリクロロシラン(PETS)等のポリマーは、好ましくは、シリカに接合され、それは、金属コンタクト5又はZnOに接合されることなく、第2の部分2を形成するために電気絶縁体に役立つことができる。
【0064】
図2cによって提案されるように、この方法は、先の段階で製造されたデバイスの上部表面全体に溶液を付ける段階を含む。この溶液は、例えば水、モノマーを含有する溶液又はポリマーを含有する溶液であり得る。この溶液の堆積は、有利には、溶射によって、又は噴霧、浸漬若しくはスピンコーティングによって行われ得る。
【0065】
層8の上部表面及び不活性である第2の部分の上部表面の間の親水性の差異によって、先の段階で生成されたデバイスの露光された上部表面全体における溶液の特定の分布がもたらされる。溶液は、疎水性の表面に固着せず、滴を形成することなく流れ出る傾向にあり、それは、層8の上部表面上に滴形成で保持される。層8の上部表面における滴の接触角は、層8の上部表面の特性、溶液の特性及び周囲環境によって変化し得る。従って、溶液及び堆積条件を選択し、所望の形状の滴を得るように特定の様式で層8の上部表面を構成することが可能である。そのため、形成されたレンズの曲率半径は、特にレンズの焦点距離を調整することを可能にするこの方法の調整可能なパラメータである。例えば、溶液の塗布中に提供される材料の量に依存して、滴は、ドーム又は球形の一部の形態を取り得る。
【0066】
ある用途において、電界を印加することによって層8の上部表面に形成される滴に特定の形状が与えられ得る。
【0067】
有利には、溶液は、第1の部分1が活性である波長の範囲に適合可能な光学特性を有するように選択される。有利には、それは、この波長の範囲内で透過性である。
【0068】
溶液が含有し得る物質のうち、フォトレジストSU8等の感光性樹脂を含むことが可能であり、それは、紫外線下で重合可能であり、可視光スペクトルで透過性である。
【0069】
層8の上部表面における滴の形状を固めるために、加熱、又は、例えばフォトレジストに対して樹脂を固める放射線に対する露光等の熱処理段階を行うことが可能である。フォトレジストSU8の場合、これは、紫外線である。
【0070】
あるいは、ある特定の実施形態において、第1の部分1に堆積された滴を液体−固体転移に晒さないことが可能である。
【0071】
このような方式で形成されたレンズ4の形状及び光学特性を制御するために当業者に知られる技術が適用され得る。そのため、その粘度を修正するために溶液に含まれるモノマー又はポリマーの組成を適合させることが可能である。レンズ4を連続して数回浸漬させて、それを厚くすることも可能である。
【0072】
第1の部分における光の集中をさらに最適化するために、図3に表されるように、光電子デバイスに自己整合レンズを備える上記のデバイスと組み合わせて前記レンズ4の直上に位置する第2の集光システム104を使用することができる。例えばより大きな焦点距離のレンズであり得る、この第2の集光システムの位置合わせは、当業者に周知の位置合わせ技術を使用する。第2の集光システム104は、より多量の入射光を集めることを可能にする。活性である第1の部分を形成するために使用される原材料の節約は、入射光線に晒される前記第1の部分の上部表面の減少によって実現される。従って、この欠陥を補償するために第2の集光システム104を提供することが有利である。
【0073】
活性である第1の部分の直上の親水性表面を構成する代替的な方法が考えられる。この方法は、第1の部分1及び第2の部分2におけるZnO等のワイドバンドギャップ酸化物を堆積することからなる。堆積は、スパッタリング若しくは化学気相堆積によって、又は他の方法によって実現され得る。ZnOの堆積後又は堆積中に、基板は、表面全体を疎水性にするために、例えば脂肪酸の溶液に浸漬される。このような脂肪酸の例は、ステアリン酸である。疎水性領域の生成は、次いで、第1の部分1の導電性及び第2の部分2の電気絶縁性を利用することによって行われ得る。それを電解液、例えばKSOの希薄溶液に配置し、次いで直接的に分極し得る第1の部分を通してアノード電流を流すことによって、第1の部分1の直上であるZnOの表面は、修正され得、表面に存在する脂肪酸は、酸化電流の通過によって破壊され得る。これは、第1の部分の直上に自己整合親水性領域を生成し、第2の部分2の直上のZnOは、疎水性のままである。
【0074】
このように記載された方法は、光電子デバイスの種々のタイプに適用され得る。例えば、第1の部分1が、第1の部分1に電流を供給する電気接続部を有する、LED等の発光半導体であることが可能である。この方法は、InGaNベースのダイオード等のワイドバンドギャップ酸化物で構成される表面を有するLEDに特に相応しい。以上に記載された方法を用いることによるレンズの製造は、前記レンズを発光ダイオードに位置合わせするあらゆる段階を必要としない。レンズは、LEDからの光を、レンズの光学特性に依存する立体角に広げる。
【0075】
他の特有の有利な用途は、光検出器又は太陽電池等の感光性デバイスに関連する。以上に記載された方法を用いることによって、第1の部分1の表面領域が低減し、従って製造コストを低減し、第1の部分1の直上に配置される集光システムによって提供される向上したエネルギー効率から利益を受ける。本発明は、活性である第1の部分1上に集光システムを位置合わせする費用が嵩む段階を取り除く。
【0076】
第1の部分1が太陽電池である特有の場合において、第1の部分1は、有利には光吸収体であり得る。光吸収体は、例えば、薄膜マイクロセルで使用されるCu(In、Ga)Seの合金で製造され得る。他の材料、好ましくは、CdTe、CZTS、非晶質シリコン又は単結晶シリコン等の、その表面の酸化物の局所的な堆積を受けることができる光吸収体を形成する材料は、この方法に適合可能である。
【0077】
第1の部分1が太陽電池セルの光吸収体である実施形態は、さらなる利点を与える。それは、薄膜マイクロセルに関連する用途において、光吸収体の上部にCdS及びZnSの“バッファ”層を堆積する段階を取り除くことを可能にし得る。これらのバッファ層は、通常、化学浴析出によって製造され、それは、基板全体上にCdSの層の堆積を必要とする選択的ではないプロセスである。太陽電池の外側の領域の疎水性を維持するように、ZnS又はCdSのバッファ層を維持し、電着によって選択的にそれらを堆積することも可能である。
【0078】
これらのバッファ層の堆積を避け、局所的な堆積を行うことによって、使用者は、特に費用を節約し、不活性である第2の部分を意味する、太陽電池セルの外側の領域の生来の疎水性の化学的性質を維持する。
【0079】
また、太陽電池用途の光吸収体を形成する第1の部分1に関連して、図4aに示されるように、第1の部分1の周囲には、第2の部分2の上部表面の一部に、金属電気コンタクト5が含まれる。これらの周囲の電気コンタクト5は、通常、抵抗損失を最小化するために集光太陽電池システムで使用される。これらの金属コンタクト5は、有利には、集電デバイスに接続される。次いで、親水性の層8及び第2の部分2の上部表面に溶液を溶射する段階中に溶液の滴が広がる表面まで延長するこれらの金属コンタクトの生来の親水性を利用することが可能である。このプロセスに関連する段階は、図4a、4b及び4cに示される。
【0080】
金属コンタクト5は、例えばポリマーを用いてそれらの親水性を調整するために選択的に処理され得る。金属5のこの処理又は機能化は、例えばチオールである選択的な化学溶液に浸漬することによって達成される。この浸漬は、金属5の親水性を増加させ、又は、逆にそれを疎水性にし得る。親水性の層8及び金属は、次いで、それらの電気化学的挙動の差異によって区別され得る。そのため、金属コンタクトは、親水性領域の画定において自由度を与える。
【0081】
金属コンタクト5の堆積は、このプロセスの種々のステージで起こり得る。好ましい実施形態によれば、活性である第1の部分1を囲うための第2の部分2にリセスが形成される前に、それは、第2の部分2における堆積によって起こる。あるいは、第1の部分1が形成された後であって、親水性の材料の層8が堆積される前に、金属コンタクト5は、堆積され得る。この実施形態において、効果的な電気接触は、ZnOの層8の堆積と同時に金属部分5及び活性である第1の部分1の間に生成される。
【0082】
第1の部分1の製造中に起こる、500℃から600℃の間であり得る温度での熱焼鈍し中に金属コンタクト5を保護するために、例えば酸化物又は炭化物の薄層で金属コンタクト5を覆うことが可能である。
【0083】
図4cによって提案されるように、太陽電池吸収体上に形成されるレンズのサイズを実質的に調整するために、周囲の金属コンタクトを使用することが可能である。
【0084】
図4cに示される構造は、太陽電池吸収体上に形成されるレンズの下にスペーサ層を含まない。レンズによって集められた光は、活性である第1の部分の表面積より大きい表面積を有するレンズの屈折力によって集光される。これの利点は、より多量の光をレンズが集めることを可能にすることであり、その殆どが、活性である第1の部分1に焦点される。さらに、周囲の金属領域5は、放射線を反射するミラーとして作用し得、それは、次いで、レンズで部分的に反射され、吸収体1に焦点が合わされ得る。これは、吸収体1を含まない領域における光学損失を制限する。
【0085】
図5a及び5bに表されるように、集光システム14を形成する段階の後に、スペーサ6を生成する追加の段階を加えることが可能である。“スペーサ”という用語は、集光システム14及び活性である第1の部分1の間における、基板に垂直な距離を置くことを指すものとして使用される。このスペーサ6は、有利には、均一に且つ一定の厚さでレンズ14及び不活性である第2の部分2を覆うコーティングを堆積することによって作られる。有利には、このスペーサ6は、レンズ14と実質的に同一の屈折率を有する材料で構成される。スペーサ6は、2つの利点を与える:一方では、それは、集光システム14を厚くし、入射光に晒される領域を拡大し、他方で、それは、活性である第1の領域1からレンズ14を遠ざける。そのため、活性である第1の部分に注目に値する多量の光を集めることが可能であり、システムの光学効率を増加させる。しかしながら、マイクロレンズ14のプロファイルが大きな厚さに維持されないので、このスペーサ6の厚さを制限することが有利である。
【0086】
薄膜太陽電池を製造する方法を用いることに関連する他の利点は、それが、第1の部分1及び第2の部分2の製造中に追加の段階を可能にすることである。初めに、図6a及び図6bに示されるように、不活性である第2の部分2のみが存在しながら、基板が構成され得る。この第2の部分2は、通常、電気絶縁体で形成され得る。第1の部分1は、電着又はインク堆積を用いた選択的な堆積によって生成される。この実施形態は、光吸収体を製造するために必要とされる原材料をあまり使用しない。
【0087】
第1の部分1の前に第2の部分2を堆積することによって、第1の部分1の堆積の品質を改善することも可能である。実際に、第1の部分1の電着は、次いで、第1の部分1を受けるための空間内で、第2の部分2の外側の領域で本質的に起こる。インクベースの堆積において、第2の部分2の疎水性及びこの部分の高さの差は、第1の部分1を受けるための空間のインクの選択的堆積に寄与する。
【0088】
本来的に、太陽電池が薄膜セルであるとき、基板の上部表面に生成される、後方コンタクトを形成する導電層7を提供することが有利である。この層は、伝統的には、銅、インジウム、ガリウム及びセレンに基づくセル、いわゆるCIGSセルの場合においてモリブデン層である。層7が連続的であるとき、太陽電池セルは、平行に接続される。後方コンタクト7は、場合によっては不連続であり得、それは、セルを直列に接続することを可能にする。
【0089】
以上に記載された方法が、不活性である第2の部分によって囲われる少なくとも1つの活性である第1の部分に関連するけれども、それは、有利には、例えば光検出器のアレイ、LED又は太陽電池である、活性である第1の部分1のアレイに関連し、活性である各第1の部分1は、不活性である第2の部分によって囲われる。
【0090】
以上に記載される方法から得られるデバイスは、カメラ及び精密ロボットを利用した位置合わせ技術によって得られるものより優れた感光性セル上に集光システムの位置合わせの品質を与える。以上に記載された方法を用いることによって、太陽電池上にレンズを位置合わせするときに位置合わせ誤差がない。
【0091】
(例示的な実施形態)
図7の10ステップに概略的に示されるように、本発明は、第1に、後方コンタクトを形成する層7を含む基板3を製造することを提案する。この第1段階S70に続いて、段階S71の前記基板3に絶縁層2を堆積する。この基板3上に、SU8樹脂等の絶縁材料の層2が備えられ、金属コンタクト5は、段階S72で堆積される。次いで、段階S73において金属コンタクト5においてサイトがエッチングされ、それは、後方コンタクト7を形成する層まで延長する。
【0092】
次の段階S74は、例えばCu(In、Ga)Se等の合金の電着及びインクプリンティングによって太陽電池吸収体1を選択的に堆積することからなる。この堆積に続いて、材料を結晶化するために500℃から600℃であり得る温度で焼き鈍しする。S75で示される段階において、ZnO等のワイドバンドギャップ酸化物は、前の段階から得られるデバイスに電着される。ZnOは、太陽電池吸収体1に選択的に堆積され、それは、太陽電池吸収体を囲う電気絶縁体2と異なって導電性である。ZnO層8が、太陽電池吸収体1を囲う金属コンタクト5の金属と接触することが望まれ、この接触は、層8の堆積条件によって決定される。導電性になるように、ZnOは、好ましくはドーピングされる。
【0093】
この段階に続いて、ZnOの上部表面を紫外線に晒す段階S76が行われる。紫外線へのこの露光は、ZnOの親水性を増加させる。
【0094】
これに続いて、段階S77において、ZnOの上部表面及び電気絶縁体2に溶射されるSU8樹脂の堆積が続く。これは、周囲の金属コンタクト5にわたって分布され、親水性であるZnOの上部表面における滴の形成をもたらし、一方で、SU8樹脂は、電気絶縁体の上部表面に広がる。
【0095】
次に、紫外線への前記樹脂の露光は、S78で示される段階において、ZnO8及び金属コンタクト5によって形成されるアセンブリに位置する滴を硬化し、太陽電池上に固体のレンズを形成する。
【0096】
最後に、レンズ14の屈折率と実質的に同一の屈折率を有する樹脂の堆積が行われる。S79で示されるこの段階はまた、前記樹脂を硬化することを含み、それによって、レンズの上部表面及び太陽電池の間の距離を生成するために、レンズ及び層を厚くする二重の機能を満たすスペーサ6を形成する。
【0097】
(例示的な実施形態2)
第1に、後方コンタクト7を形成する層を含む基板3が製造される。この第1段階に続いて、前記基板3における絶縁層2の堆積が行われる。ポリマー、アルミナ又なシリカ等の絶縁材料の層2がこの基板3上に備えられ、次いで、後方コンタクト7を形成する層までずっと延長するリセスがエッチンされる。
【0098】
次の段階は、例えばCu(In、Ga)Se等の合金を電着又はインクプリンティングによって太陽電池吸収体1を選択的に堆積することからなる。この堆積に続いて、焼鈍しが行われる。次の段階において、ZnO等のワイドバンドギャップ酸化物8は、先の段階で得られたデバイスに堆積される。この堆積は、必ずしも選択的ではなく、溶射又は化学気相堆積によって行われ得る。次いで、ワイドバンドギャップ酸化物の層8の親水性を保証するために表面処理が行われる。例えば、ステアリン酸又はテフロン(登録商標)が表面に堆積され得る。
【0099】
この段階に続いて、基板3が電解液に浸漬され、導電性領域、すなわち感光性である第1の部分1と電解液との間に電位が印加される電気化学的段階が行われる。次いで、これらの第1の部分に電流が流れ、ZnOの表面状態を変える。そのため、第1の部分1の直上のZnOは、疎水性表面の堆積物の脱離によって、若しくは、この堆積物の酸化によって、又は、疎水性材料が堆積されなかった場合にZnOの表面状態を変えることによって、親水性を得る。第1の部分の導電性及び第2の部分の絶縁性のために、疎水性/親水性のこの変化は、デバイス上で自己整合される。
【0100】
これに続いて、ZnO及び電気絶縁体の上部表面に溶射されるSU8樹脂の堆積が行われる。これがZnOの上部表面における滴の形成をもたらす一方で、SU8樹脂は、電気絶縁体の上部表面に広がる。
【0101】
次に、紫外線に対する前記樹脂の露光は、ZnO及び金属コンタクトによって形成されるアセンブリに位置する滴を硬化させる。
【0102】
最後に、金属コンタクトは、第2の部分2の直上のZnO上に堆積される。この堆積は、ポリマーレンズ及びZnOの間の化学的な差異のために、自己触媒的であり得る。電気化学的にそれを実施することも可能である。
【0103】
本発明は、既に記載された実施形態に限定されるものではなく、等価な実施形態を含む。
【0104】
例えば、多くの異なる材料で作られる不活性である部分によって囲われた異なる形状及び異なる光学特性の感光性セルのアレイを想定することも可能である。
【0105】
レンズは、活性である部分に達する入射放射線のスペクトル内の特定の波長を選択するためのフィルタとして機能し得る。
【0106】
本発明の方法はまた、発光ダイオードの直上の光学システムの形成に適用され得る。
【符号の説明】
【0107】
1 感光性の第1の部分
2 第2の部分
3 基板
4 凸レンズ
5 金属コンタクト
6 スペーサ
7 導電層
8 親水性材料の層
14 凸レンズ、第2の光学システム
104 第1の光学システム
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7