【実施例】
【0075】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0076】
糖ペプチドの合成
抗体の特異性評価のための糖ペプチドの合成法を以下に示した。いずれの化合物も特異性評価に用いるための架橋用のケトンを、また化合物1〜4にはCysを結合させた配列の化合物を合成した。
【0077】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-Cys-NH2(化合物1)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてTentaGel SRAM resin(0.24mmol/g,50mg, 12μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(48μmol)、HBTU(48μ mol)とHOBt(48μmol)、DIEA(72μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相 樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物1を得た (6.3 mg,収率22%)。
【0078】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Tn)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-Cys-NH2(化合物2)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてTentaGel SRAM resin(0.24mmol/g,100mg, 36μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(144μmol)、HBTU(144μmol)とHOBt(144μmol)、DIEA(216μmol)のDMF溶液で6分間反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
3GalNAcα(1→O)](43μmol)、HBTU(43μmol)とHOBt(43μmol)、DIEA(108μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(43μmol)とHOBt(43μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を 濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物2を得た(13.3 mg,収率15%)。
【0079】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(T)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-Cys-NH2(化合物3)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてTentaGel SRAM resin(0.24mmol/g,200mg, 48μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(192μmol)、HBTU(192μmol)とHOBt(192μmol)、DIEA(288μmol)のDMF溶液で6分間反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
4Galβ(1→3)Ac
2GalNAcα(1→O)(58μmol)、HBTU(58μmol)とHOBt(58μmol)、DIEA(144μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(58μmol)とHOBt(58μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物3を得た (22.0mg,収率17%)。
【0080】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Sialyl-T)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly- Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-Cys-NH2(化合物4)の合成
化合物3(10mM, 300μl, water)を1000mM HEPESバッファー(pH7.0, 30μl),1000mM HEPESバッファー(pH7.0, 30μl),1000mM MnCl2(6μl),150mM CMP−NeuAc(60μl),1.4U/mLα2,3−(O)−Sialyltransferase, Rat, Reconbinant, S. frugiperda(30μl, Calbiochem), water(74μl)を混合した反応液に混合した。25℃で24時間インキュベート後、反応液を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として 化合物4を得た(5.5 mg,収率60%)。
【0081】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物5)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.45mmol/g ,100mg, 45μmol, バイオタージ社製)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(180μmol)、HBTU(180μ mol)とHOBt(180μmol)、DIEA(270μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相 樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物5を得た (45.8 mg,収率45%)。
【0082】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Tn)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物6)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.45mmol/g ,100mg, 45μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(180μmol)、HBTU(180μ mol)とHOBt(180μmol)、DIEA(270μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
3GalNAcα(1→O)](54μmol)、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)、DIEA(135μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を 濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物6を得た(43.2 mg,収率39%)。
【0083】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser(Tn)-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物7)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.45mmol/g ,100mg, 45μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(180μmol)、HBTU(180μ mol)とHOBt(180μmol)、DIEA(270μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Ser[Ac
3GalNAcα(1→O)](54μmol)、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)、DIEA(135μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を 濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物7を得た(21.1 mg,収率19%)。
【0084】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr(Tn)-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物8)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.45mmol/g ,100mg, 45μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(180μmol)、HBTU(180μ mol)とHOBt(180μmol)、DIEA(270μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
3GalNAcα(1→O)](54μmol)、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)、DIEA(135μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を 濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物8を得た(48.2 mg,収率43%)。
【0085】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr(Tn)-Ser(Tn)-Ala-Pro-Asp-Thr(Tn)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser(Tn)-Thr(Tn)-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物9)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.45mmol/g ,100mg, 45μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(180μmol)、HBTU(180μ mol)とHOBt(180μmol)、DIEA(270μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
3GalNAcα(1→O)]またはFmoc−Ser[Ac
3GalNAcα(1→O)](54μmol)、HBTU(54μmol)とHOBt(54μmol)、DIEA(135μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(54μmol)とHOBt(54mol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を 濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物9を得た(37.8 mg,収率25%)。
【0086】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(T)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物10)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.90mmol/g ,200mg, 90μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450M Hz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(360μmol)、HBTU(360μ mol)とHOBt(360μmol)、DIEA(540μmol)のDMF溶液で6分間 反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
4Galβ(1→3)Ac
2GalNAcα(1→O)](108μmol)、HBTU(108μmol)とHOBt(108μmol)、DIEA(270μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(108μmol)とHOBt(108μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を 濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物10を得た(110 mg,収率46%)。
【0087】
5-oxohexanoyl-Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Sialyl-T)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly- Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr-NH2(化合物11)の合成
化合物8(10mM, 496μl, water)を1000mM HEPESバッファー(pH7.0, 30μl),1000mM MnCl2(8μl), 200mM CMP−NeuAc(95μl), 1.4U/mLα2,3−(O)−Sialyltransferase, Rat, Reconbinant, S. frugiperda(28μl, Calbiochem), water(212μl)を混合した反応液に混合した。25℃で24時間インキュベート後、反応液を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として 化合物11を得た(14 mg,収率96%)
【0088】
5-oxohexanoyl-Pro-Pro-Thr-Thr-Thr-Pro-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Thr-Thr- Thr-Leu-Pro-Pro-Thr-NH2(化合物12)の合成
ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.48mmol/g ,25mg, 12μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(48μmol)、HBTU(48μmol)とHOBt(48μmol)、DIEA(72μmol)のDMF溶液で9分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/ v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン(95: 2.5:2.5, v/v/v)で1時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えて pH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物12を得た(7.2 mg,収率30%)。
【0089】
5-oxohexanoyl-Pro-Pro-Thr-Thr(Tn)-Thr(Tn)-Pro-Ser-Pro-Pro-Pro-Thr-Ser-Thr-
Thr(Tn)-Thr(Tn)-Leu-Pro-Pro-Thr-NH2(化合物13)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてRink Amide-ChemMatrix resin(0.48mmol/ g,25mg, 12μmol)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(48μmol)、HBTU(48μmol)とHOBt(48μmol)、DIEA(72μmol)のDMF溶液で9分間反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
3GalNAcα(1→O)](14μmol)、PyBOP(14μmol)とHOAt(14μmol)、DIEA(36μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、PyBOP(14μmol)とHOAt(14μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射 (40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5, v/v/v)で1時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物13を得た(4.7 mg,収率14%)。
【0090】
5-oxohexanoyl-Ser-Ala-Ser-Thr-Gly-His-Ala-Thr-Pro-Leu-Pro-Val-Thr-Asp-Thr-Ser-Cys-NH2(化合物14)の合成
ペプチド固相合成は、固相担体としてTentaGel SRAM resin(0.24mmol/g,200mg, 48μmol,ラップポリマー社製)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(192μmol )、HBTU(192μmol)とHOBt(192μmol)、DIEA(288μm ol)のDMF溶液で6分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85,v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5,v/v)で2時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物14を得た(9.0 mg,収率11%)。
【0091】
5-oxohexanoyl-Ser-Ala-Ser-Thr-Gly-His-Ala-Thr(Tn)-Pro-Leu-Pro-Val-Thr-Asp-Thr- Ser-Cys-NH2(化合物15)の合成
糖ペプチド固相合成は、固相担体としてTentaGel SRAM resin(0.24mmol/g,200mg, 48μmol,ラップポリマー社製)を用いた。アミノ酸伸長反応は、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、Fmocアミノ酸誘導体(192μmol)、HBTU(192μmol)とHOBt(192μmol)、DIEA(288μmol)のDMF溶液で6分間反応した。糖鎖置換アミノ酸伸長反応は、Fmoc−Thr[Ac
3GalNAcα(1→O)](58μmol)、HBTU(58μmol)とHOBt(58μmol)、DIEA(144μmol)のDMF溶液でマイクロ波照射下10分間反応した。さらに、HBTU(58μmol)とHOBt(58μmol)を加えてマイクロ波照射下10分間反応した。無水酢酸/DIEA/DMF(10:5:85, v/v/v)溶液で室温下1分間処理して未反応のアミノ基のアセチル化を実施した。続いて、マイクロ波照射(40W、2450MHz、50℃)の条件下、20%ピペリジン/DMFで3分間処理してFmoc基を脱保護した。糖ペプチドの合成は、これら3工程(1)各種Fmocアミノ酸での伸長、(2)アセチル化処理、(3)脱Fmoc化を順 次繰り返した。得られた固相樹脂をトリフルオロ酢酸:水(95:5, v/v)で2時間処理した。反応液を濾過しエーテルを加えて沈殿させて、粗結晶を得た。粗生成物をメタノールに溶解して、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0−12.5に調整して室温下1時間処理した。10%酢酸を加えてpH7付近に調整した後、溶媒を留去した。得られた残渣を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製を行い、凍結乾燥粉末として化合物15を得た(13.0 mg,収率14%)。
【0092】
化合物1〜15の同定データを以下にまとめて記載する。
MUC1由来糖ペプチドのMALDI-TOFMSスペクトル(
図1)
(a)化合物1, m/z calcd for C100H160N30O34S [M + H]+ 2358.151, found 2358.383;
(b)化合物2, m/z calcd for C108H173N31O39S [M + H]+ 2561.231, found 2561.457;
(c)化合物3, m/z calcd for C114H183N31O44S [M + H]+ 2723.283, found 2723.504;
(d)化合物4, m/z calcd for C125H200N32O52S [M + H]+ 3014.379, found 3014.640
(e)化合物5, m/z calcd for C97H156N29O33 [M + H]+ 2255.142, found 2254.927;
(f)化合物6, m/z calcd for C105H169N30O38 [M + H]+ 2458.221, found 2457.954;
(g)化合物7, m/z calcd for C105H169N30O38 [M + H]+ 2458.221, found 2458.077;
(h)化合物8, m/z calcd for C105H169N30O38 [M + H]+ 2458.221, found 2458.159
(i)化合物9, m/z calcd for C137H221N34O58 [M + H]+ 3270.538, found 3270.308
(j)化合物10, m/z calcd for C111H179N30O43 [M + H]+ 2620.274, found 2620.049;
(k)化合物11, m/z calcd for C122H196N31O51 [M + H]+ 2911.369, found 2911.207;
MUC2由来糖ペプチドのMALDI-TOFMSスペクトル(
図2)
(l)化合物12, m/z calcd for C90H144N20O31 [M + Na]+ 2024.020, found 2024.111;
(m)化合物13, m/z calcd for C122H196N24O51 [M + Na]+ 2836.338, found 2836.501
MUC4由来糖ペプチドのMALDI-TOFMSスペクトル(
図3)
(n) 化合物14, m/z calcd for C73H181N20O28S [M + Na]+ 1777.804, found 1777.910;
(o) 化合物15, m/z calcd for C81H131N21O33S [M + Na]+ 1980.884, found 1981.045;
【0093】
実施例1
Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Tn)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thrを抗原として 用いたモノクローナル抗体の作製
Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Tn)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-ThrのC末端にキャ リアータンパク質結合に必要なCysを付加した化合物
Gly-Val-Thr-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr(Tn)-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-Val-Thr Cys-NH2(85μg)をキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)とコンジュゲートし、マウスBDF-1テールベースに投与し免疫反応を惹起した。17日後に同様の方法で化合物3の追加免疫を行い、3日後に採血して腸骨リンパ節を採集した。採集した細胞はミエローマ細胞SP2と細胞融合後、HAT選択培地で培養し抗体 産生細胞を選択した。次に、得られたハイブリドーマの培養上清をELISAプレート上にまき、化合物2との結合反応でスクリーニングした。
【0094】
融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、目的のモノクローナル抗体SN-101を産生するハイブリドーマ株3A9-4B1(NPMD受託番号NITE BP-01845)および目的のモノクローナル抗体SN-102を産生するハイブリドーマ株3C10-E11を樹立した。
【0095】
実験例2 モノクローナル抗体(SN-101及びSN-102)産生細胞株の培養と、抗体の精製取得
培養法:SN-101を産生するハイブリドーマ株NITE BP-01845を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI-1640培地で増殖させた。回収した8.1×10
6個の細胞に対し、22 mlの無血清培地Panserin H4000(PAN-Biotech)を加えて懸濁し、培養することにより、この培地への馴化を行った。馴化した細胞を同培地で1.0×10
8個程度まで増殖させ、5.0×10
5/mlとなるように継代した。これを2週間静置培養した後に、遠心分離により培養上清を得た。もう一方の抗体SN-102を産生するハイブリドーマ株3C10-E11についても上記方法と同様に培養し、培養上清を得た。
【0096】
精製法:培養したハイブリドーマ株NITE BP-01845から、SN-101を以下の方法で精製した。培養上清200 mLを0.45 μmのフィルターでろ過し、抗体精製の材料とした。または培養上清に硫酸アンモニウムを加えて50%飽和とし、10000 g、20分間の遠心分離により沈殿を回収した。これを10 mlのPBSに溶解し、さらに同溶液に対して透析したものを精製材料として、HiTrap Protein G HPカラム(GEヘルスケア)によるアフィニティークロマトグラフィーに供した。AKTA explorer 100(GEヘルスケア)に接続したHiTrap Protein G HPカラムを、20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)で平衡化し、試料を添加した。同緩衝液でカラムに結合しない不要な成分を洗浄した後に、結合した抗体を0.1 Mグリシン塩酸緩衝液(pH 2.5)で溶出し、少量の1 Mトリス塩酸緩衝液(pH 9.0)の添加により中和した。また、カラムを通過した画分を繰り返しカラムに添加、溶出することにより、抗体の回収率が向上した。ここまでの作業を通して、SN-101を2.3 mg得ることができた。もう一方の3C10-E11の培養上清200 mLからは、同様の精製法を行った結果、SN-102が8.3 mg得られた。
【0097】
実施例3 抗体との反応特異性評価
糖ペプチド固定化アレイの作製
糖鎖固定化アレイ用基板(住友ベークライト社製)を2M HClで37℃、2時間処理し、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)の脱保護を行った。水で2回洗浄後、乾燥させ、基板表面にアミノオキシ基を作製した。表1に示した各合成糖ペプチドにスポッティング溶液(25mM AcOH/Pyridine, 0.005%Triton X-100, pH 5.4)を加え溶解し、スポッター(BioChip Arrayer,、Cartesian社製)、スポットピン(CMP, ピン径0.4mm、Arraylt社)を用いて基板にスポッティングし、80℃、1時間反応させ、基板に糖ペプチドを固定化した。水で1回洗浄後、10mg/mLの無水コハク酸に浸漬させ、室温で3時間反応し、未反応のアミノオキシ基の保護を行った。水で2回洗浄し、乾燥した。
【0098】
培養上清を下記反応溶液で10倍希釈した。糖ペプチド固定化アレイにハイブリカバー(住友ベークライト社製)を被せ、希釈溶液70μLを展開し、室温で2時間反応した。ハイブリカバーを外し下記洗浄溶液及び水で一回ずつ基板を洗浄した。基板を乾燥させた後、ハイブリカバーをかぶせ、Anti-IgG(H+L), Mouse, Goat-Poly, Cy3(ロックランドイムノケミカルズ社製)を下記溶液で1μg/mLに調製したものを基板上に展開し、室温で1時間反応した。反応後、前記洗浄液で洗浄。測定はスキャナ(Typhoon TRIO+、GEヘルスケア)を用いてCy3の蛍光強度を測定した。蛍光応答のデジタル画像はArray VisionTMSoftware version 8(GEヘルスケア)を用いて作成した。結果を
図4に示す。反応溶液:50mM Tris・HCl (pH 7.4)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% Tween 20 洗浄溶液:50mM Tris・HCl (pH 7.4)、100mM NaCl、1mM CaCl
2、MnCl
2、MgCl
2、0.05% Tr iton X-100
【表1】
化合物1〜4:配列番号3
化合物5〜11:配列番号1
化合物12〜13:配列番号4
化合物14〜15:配列番号5
【0099】
抗体SN-101及び抗体SN-102の特徴
抗体SN−101及び抗体SN−102は、それぞれMUC1に由来する糖ペプチドの糖鎖Tn構造及び修飾位置を下記のように特異的に認識し結合した。
SN−101
(i)配列番号3で示されるアミノ酸配列を有するペプチドの8位のスレオニンにTn糖鎖が結合した糖ペプチド
Gly−Val−Thr−Ser−Ala−Pro−Asp−(Tn)Thr−Arg−Pro−Ala−Pro−Gly−Ser−Thr−Ala−Pro−Pro−Ala−His−Gly−Val−Thr−Cysに結合し
(ii)前記MUC1由来の糖ペプチドのTn糖鎖が、T又はSTに置換された糖ペプチドに結合せず
(iii)配列番号3で示されるアミノ酸配列を有するペプチド(naked peptide)に結合せず、
(iv)MUC2のタンデムユニットペプチド又はMUC4のタンデムユニットペプチドにTnが修飾された糖ペプチドに結合しなかった。
【0100】
SN−102
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するペプチドの8位のスレオニンにTn糖鎖が結合した糖ペプチドGly−Val−Thr−Ser−Ala−Pro−Asp−(Tn)Thr−Arg−Pro−Ala−Pro−Gly−Ser−Thr−Ala−Pro−Pro−Ala−His−Gly−Val−Thrに結合し
(ii)前記MUC1由来の糖ペプチドのTn糖鎖が、T又はSTに置換された糖ペプチドに結合しないか、結合しても弱い結合であり
(iii)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するペプチド(naked peptide)に結合せず、
(iV)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するペプチドの14位のセリン、15位のスレオニンにTn糖鎖が修飾された糖ペプチドには結合せず
(V)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するペプチドのスレオニン、セリンの全てにTn糖鎖が修飾された糖ペプチドには結合し
(iv)MUC2のタンデムユニットペプチド又はMUC4のタンデムユニットペプチドにTnが修飾された糖ペプチドに結合しなかった。
【0101】
実施例4 患者血清中のMUC1糖ペプチドの検出
抗体SN-101を用いて、乳癌、前立腺癌、肝細胞癌、膵癌、大腸癌及び卵巣癌検体血清中に抗原糖ペプチドが検出されるかを検討した。検体数は、臨床的に明らかに該疾患と診断された患者血清5〜10例、陰性コントロールとして正常血清数例とした。正常血清では抗原糖ペプチドが検出されなかったが、患者血清では抗原糖ペプチドが検出された。
【0102】
実施例5 抗体SN-101及び抗体SN-102によるMUC1 発現細胞の免疫蛍光染色
乳癌細胞株OCUB-Mを10% FBSを含むD-MEM中で5% CO
2下、37℃で一晩培養した。培地を吸引除去し、PBSで細胞層を洗浄後、4%パラホルムアルデヒドを含むPBSで10分間固定した。続いて0.1% Triton X
TM-100を含むPBSで浸透処理した後に、ブロッキングバッファー(1% BSA含有PBS)で20分間ブロッキングを行った。次にブロッキングバッファーで希釈した抗体SN-101または抗体SN-102の10 μg/mL溶液を1時間反応させた。陰性コントロールには、一次抗体の代わりにブロッキング液を反応させたものを用意した。抗体溶液を除き、PBSで洗浄した後に、2 μg/mL のAlexa FluorR 555標識抗マウスIgG抗体を反応させた。PBSで洗浄し、封入した後に、オールインワン蛍光顕微鏡 BZ-9000(KEYENCE)で観察したところ、特異的な染色像が得られた(
図5参照)。
【0103】
実施例6 細胞増殖阻害実験
DMEM (10% FBS) 培地にて培養した乳癌細胞 OCUB-M を 1 ウェルあたり3x10
3個となるように96ウエルプレートに播種した。5%CO
2 雰囲気下37℃で 48 時間培養した後、抗体SN-101を終濃度 0.565 mg/mL、あるいは1.13 mg/mL となるように添加した。5%CO
2雰囲気下37℃で48 時間培養した後、Cell Titer 96Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay (Promega) 試薬を1 ウェルあたり、20 μL 添加、5%CO
2雰囲気下37℃で2 時間インキュベートした。490 nm の吸光度を測定した結果、コントロールと比較して濃度依存的に細胞数の減少を認めた(
図6参照)。
【0104】
実施例7 ガレクチン3結合阻害実験
8ウェル型チェンバースライドに、RPMI-1640(10% FBS)に浮遊させた乳癌細胞MCF-7を4.8x10
3個ずつ添加し、5%CO
2雰囲気下、37℃で16時間培養した。培地を吸引除去し、細胞が2 mm浸る程度の4% ホルムアルデヒド in PBSを加えた。細胞を15分間固定した。固定液を吸引除去し、PBSで各5分間、3回洗浄した。ブロッキングバッファー(5% BSA含有PBS)で1時間ブロッキングをおこなった。ブロッキング液を吸引除去し、当該抗体のみ、様々な濃度のSN-101とガレクチン3とを混合し、4℃で2時間インキュベートした。抗体を吸引除去した後、PBSで各5分間、3回洗浄した。Cy5ラベル化抗マウスIgG抗体を添加し、暗室、室温で1時間インキュベートした。2次抗体を吸引除去した後、PBSで各5分間、3回洗浄した。オールインワン蛍光顕微鏡BZ-9000(KEYENCE)で観察したところ、当該抗体濃度依存的にガレクチン3とMUC1との結合阻害が認められた。