(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476171
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/046 20060101AFI20190218BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
E03C1/046
E03C1/05
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-518160(P2016-518160)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-532024(P2016-532024A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】US2014057704
(87)【国際公開番号】WO2015048436
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】61/882,960
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512189727
【氏名又は名称】エーエス アイピー ホールドコー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・マックヘイル
(72)【発明者】
【氏名】マリン・マリノフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター・ピッチ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ・ジン・イェ
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0100593(US,A1)
【文献】
特開2007−289216(JP,A)
【文献】
実開昭63−045877(JP,U)
【文献】
米国特許第6370713(US,B2)
【文献】
特開2006−161420(JP,A)
【文献】
特開平10−121534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04− 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇口であって、
蛇口本体と、
ソープ分配出口と、
前記蛇口から水を放出するための吐水口と、
を備える蛇口と、
前記蛇口に流体連結された分配ユニットであって、
ソープタンクと、
前記ソープタンクと前記ソープ分配出口との間で流体連結されたソープチューブと、
ソープを、前記ソープタンクから前記ソープチューブを介して前記ソープ分配出口の外部にポンプ送りするためのポンプと、
を備える、分配ユニットと、
前記吐水口及び前記ソープ分配出口の下流に配置されたエアレータであって、前記吐水口から分配される水とソープが混合することを可能とすることなくソープを分配するために、前記ソープ分配出口に流体連結された貫通部を備えている、エアレータと、
を備えることを特徴とする蛇口一体型ソープ分配システム。
【請求項2】
前記分配ユニットの制御装置に通信可能に連結された近接センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記近接センサが、
予め決定された距離内での対象の存在を検出し、且つ
前記ポンプにソープを前記ソープ分配出口を通してポンプ送りするよう指示する信号を前記制御装置に提供するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記近接センサが、前記蛇口本体の外面内及び前記蛇口本体の外面上の少なくとも1つに位置づけられていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記分配ユニット、前記近接センサ及び前記ポンプの少なくとも1つに電力を提供するための電源をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記分配ユニットに通信可能に連結されたオン/オフスイッチをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記オン/オフスイッチは、作動されると、
前記近接センサへの動力のオンオフをトグル切り換えすることと、
前記制御装置への動力のオンオフをトグル切り換えすることと、
の一方のために前記分配ユニットに信号を送信するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
蛇口本体と、
前記蛇口本体に流体連結された電子的なソープディスペンサであって、
近接センサと、
前記近接センサに通信可能に連結された分配ユニットと、
ソープチューブを介して前記分配ユニットに流体連結されたソープ分配出口と、
を備える、電子的なソープディスペンサと、
を備えている蛇口一体型ソープ分配システムであって、
前記ソープ分配出口が、前記蛇口本体の端部に位置づけられた噴出ヘッド内に位置づけられており、
前記噴出ヘッドが、
ウォーターラインと水分配出口との間で流体連結された第1内部導管と、
前記ソープチューブと前記ソープ分配出口との間で流体連結された第2内部導管と、
を備えており、
前記蛇口一体型ソープ分配システムが、前記水分配出口及び前記ソープ分配出口の下流で前記噴出ヘッドの前記端部に配置されたエアレータをさらに備えており、
前記エアレータが、前記水分配出口から分配される水とソープが混合することを可能とすることなくソープを分配するために、前記ソープ分配出口に流体連結された貫通部を備えていることを特徴とする蛇口一体型ソープ分配システム。
【請求項9】
前記分配ユニットが、
通信ラインを介して前記近接センサに通信可能に連結された制御装置と、
前記ソープチューブを介して前記ソープ分配出口に流体連結されたソープタンクと、
前記制御装置に通信可能に結合されており、且つ対象が前記近接センサの予め決定された距離内に検出されたときに前記ソープ分配出口にソープをポンプ送りするために前記ソープタンクに流体連結された、ポンプと、
を備えていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ソープ分配出口が、前記蛇口本体の内側及び前記蛇口本体の外側の少なくとも1つに位置づけられていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記水分配出口が、前記ソープ分配出口を環状に取り囲むことと、
前記水分配出口及び前記ソープ分配出口が、並んで配置されていることと、
の一方を特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ウォーターライン及び前記ソープチューブの少なくとも一方を包囲するホースをさらに備えていることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記噴出ヘッドが、引抜型噴出ヘッドであり、
前記ホースが、前記ウォーターライン及び前記ソープチューブに流体結合されたままの一方で、前記引抜型噴出ヘッドを前記蛇口本体から離れるように引くことを可能にする余長を含んでいることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ソープタンクが、前記蛇口本体と流体連結されるように、前記蛇口本体に直接取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連仮出願に対する相互参照)
本出願は、2013年9月26日付けで出願された米国仮出願番号61/882,960の利益を主張するものであり、これにより、当該仮出願の開示は、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、全体として、蛇口及びタッチフリー式ソープディスペンサに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のソープディスペンサは、交換可能なソープ容器を有する、固定されたカウンター一体型ユニットと、ポータブルユニット、例えばソープ分配吐出口を有するボトルと、を含んでいる。このようなソープディスペンサの1つの明確な欠点は、それらが、人がディスペンサの一部にタッチすることを必要とし、この一部が、人が除去したい極めて多くのタイプの細菌のすみかとなる可能性があることである。ソープを分配するタイミングを決定するために近接センサを使用するタッチフリー式ソープディスペンサが、現在利用可能である。しかしながら、このようなユニット、同様にそれらの典型的な対応物は、カウンター上に立設するか又はカウンターのデッキを介して独立して取り付けられなければならない独立した製品である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概して、本発明の目的は、蛇口と一体化されたタッチフリー式ソープ分配システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示される蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの実施形態は、デッキの上方の感知機構と、蛇口本体と完全に又は部分的に一体化することができるソープ分配(出口)ノズルと、を含むことができる。ソープタンク、電源及びポンプ機構を収納する分配ユニットは、デッキ(例えばカウンター又は洗面台デッキ)の下方に取り付けられ、且つソープチューブを介してソープ分配ノズルに流体接続することができる。他の実施では、分配ユニットの構成要素の1つ以上が、デッキの上方に取り付けられている。
【0006】
本発明のさらなる他の目的及び利点は、明細書からある程度明白であり、且つある程度明らかになる。
【0007】
結果として、本発明は、本明細書で記載される構造で例示されるすべての、構造の特徴、要素の組み合わせ及びパーツの配置を含み、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記されている。
【0008】
本発明の実施形態のより完全な理解のために、添付の図面と関連して与えられる以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に従った蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの概略図を示す。
【
図2】いくつかの実施形態に従った一体型タッチフリー式ソープ分配システムを有する洗面所蛇口の斜視図を示す。
【
図3】いくつかの実施形態に従った一体型タッチフリー式ソープ分配システムを有するキッチン蛇口を示す。
【
図4A】いくつかの実施形態に従った蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの斜視図を示す。
【
図4B】いくつかの実施形態に従った蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの斜視図を示す。
【
図5】いくつかの実施形態に従った噴出ヘッドの断面図を示す。
【
図6】いくつかの実施形態に従った蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの一部分の概略図を示す。
【
図7】本発明の蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの実施形態で組み込むことができる例示的な水濾過システムを示す。
【
図8】本発明の蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システムの実施形態で組み込むことができるツーインワンエアレータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、
図1は、本発明のいくつかの実施形態に従った蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システム100の概略図を示している。システム100は、蛇口102を含み、蛇口102は、ソープ分配ノズル104、センサ106及びオン/オフスイッチ108を含んでいる。システム100は、分配ユニット110をさらに含み、分配ユニット110は、ソープタンク112、ポンプ114、制御装置116及び電源(例えばバッテリー)118を収納している。センサ106は、手(又は他の対象、例えば汚れた皿)が、蛇口102の吐水口の下方の範囲に配置されたときを感知することができ、且つソープ分配ノズル104を介するソープの自動的なタッチフリー分配を始動させることができる。
【0011】
図1に描くように、蛇口102は、単一ハンドル型キッチン蛇口であるが、蛇口102は、任意の適切なタイプの蛇口、例えば機械的に操作されるデュアル制御もしくはシングル制御型蛇口、引抜型蛇口、引下型蛇口又はキッチンもしくは洗面所(すなわち洗面台又は浴槽/シャワー)のためのハンズフリー電子センサ蛇口であってもよいことを理解されたい。
【0012】
蛇口102は、取付デッキ(例えばカウンター)101から延在する蛇口本体102bと、水を分配するための吐水口102aと、を含んでいる。蛇口102は、取付金具103のような
図1に描く任意の適切な取付金具を使用してカウンター101に取り付けられる。手動の水制御部102cが、水温を調節するため且つ蛇口102を通る水の流れを制御するために混合バルブに機械的に連結されている。
【0013】
ソープは、ソープ分配ノズル104を介して分配され、ソープ分配ノズル104は、
図1に描くように、蛇口102の吐水口内に一体化されてもよい。蛇口102の吐水口にソープ分配ノズル104を一体化することは、使用者が吐水口の下方の範囲でセンサ106の領域に自身の手を配置したときにソープが自動的に分配されるので、特に有利である。しかしながら、他の実施形態では、ソープディスペンサ104は、蛇口102の任意の他の都合の良い場所に(例えば、
図3に対して以下で説明する蛇口の本体の側面に又は
図5に対して以下で説明する吐水口内に)位置づけられてもよい。
【0014】
センサ106は、近接している対象の存在を感知することができる任意の適切なセンサであり、例えば容量センサ、誘導センサ、レーザー測距器、磁気センサ又は赤外線センサである。センサ106は、蛇口102上又は蛇口102の近くの適切な場所(例えば蛇口102の本体)に設置され、このため、ソープは、使用者の手がセンサ106の予め選択された距離(例えば6’’)内に来るとソープ分配ノズル104を介して分配される。例えば、ソープ分配ノズル104が蛇口102の吐水口に一体化されると、センサ106は蛇口102の本体上に位置づけられる。
【0015】
オン/オフスイッチ108は、タッチフリー式ソープ分配機構のオンオフをトグル切り換えするためにシステム100内に含まれる。このために、オン/オフスイッチ108は、通信ライン120を介して分配ユニット110の1つ以上の要素(例えば制御装置116及び/又はバッテリー118)と通信可能に連結され、通信ライン120は、適切なコネクタによる電気配線及び/又はワイヤレス接続を使用して実現されてもよい。いくつかの実施形態では、オン/オフスイッチ108は、蛇口102の本体上に設けられている。しかしながら、オン/オフスイッチは、蛇口102の吐水口上、カウンター101上又は分配ユニット110上を含む任意の他の都合の良い場所に設置されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、分配ユニット110は、デッキ空間を最大化するためにデッキ101の下方に取り付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、分配ユニット110の1つ以上の要素が、デッキ101の上方又は部分的に上方に配置されてもよい。分配ユニット110は、蛇口シャンクに又は壁もしくは他の適切な構造体に容易に取り付けるように構成することができる。分配ユニット110と蛇口102との間で流体連結された、十分な長さのソープチューブ122が、さまざまな取付場所を提供することができる。
【0017】
分配ユニット110のソープタンク112が、例えばソープタンク112の頂部の近くに形成された開口部を介して液体ソープで再充填することができる固定型ボトル又は他の容器であってもよい。他の実施形態では、分配ユニット110は、適切なドッキング機構、例えばネジ式連結、1つ以上の留め具、又は重力の支援によりソープタンク112を保持するように構成された容器を介して予め充填されたソープボトルを受けてもよい。センサ106が、予め選択された距離内に対象の存在を感知すると、ポンプ114は、ソープタンク112から液体ソープをポンプ送りし、ソープチューブ122を介してソープ分配ノズル104から外部に出す。ポンプ114は、例えば従来型の液圧式ポンプ又は圧電液圧ポンプである。
【0018】
制御装置116は、ソープを分配するかどうか及びソープを分配するタイミングを決定するためにシステム100のさまざまな要素から信号を受信する。例えば、制御装置116は、対象がセンサ106から予め選択された距離内にあるかどうかを示す信号をセンサ106から受信し、この信号は、ソープの分配を始動させる。制御装置116がこのような信号を受信すると、制御装置116は、ポンプ114にソープタンク112からソープ分配ノズル104の外部にソープをポンプ送りし始めるよう指示する信号を伝達する。制御装置116は、オン/オフスイッチ108から信号を受信してもよく、これに応えて、センサ106への動力及び/又はポンプ114への動力のオンオフをトグル切り換えする。あるいは又は追加的に、オン/オフスイッチ108は、制御装置116への動力のオンオフをトグル切り換えしてもよい。
【0019】
センサ106、ポンプ114及び制御装置116を含むシステム100の要素を稼働させるための電力は、任意の適切な供給源又は供給源の組み合わせによってもたらされる。例えば、動力は、分配ユニット110内に位置づけられたバッテリー118によって、且つ/又はACもしくはDC電源から供給される。センサ106とオン/オフスイッチ108と分配ユニット110との間で電力及び/又は信号を中継するための通信ライン120は、ソープチューブ122、高温水供給ライン124及び低温水供給ライン126と並行して蛇口102へ延びている。
【0020】
図2は、いくつかの実施形態に従った一体型タッチフリー式ソープ分配システム200を有する洗面所蛇口の斜視図を示している。システム200は、一体型ソープディスペンサノズル204及びセンサ206を有する蛇口202を含んでいる。分配ユニット210は、ソープタンク、ポンプ、制御装置及びバッテリーを含んでおり、ソープチューブとコネクタを有する電気配線とを介して蛇口に接続されており、デッキ201の下側に取り付けられている。取付金具203が、デッキ201の頂部側に蛇口202を取り付けるために設けられている。
【0021】
図3は、いくつかの実施形態に従ったキッチン蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システム300を示している。システム300は、電子的な水制御部330及び手動の水制御部302c双方を有するキッチン蛇口302と、電子的なソープディスペンサ340と、を含んでいる。システム300は、カウンターに取り付けられ、且つカウンターの下方に取り付けられた分配ユニット(例えば
図1の分配ユニット110)に連結されている。
【0022】
電子的なソープディスペンサ340は、
図1のセンサ106及びソープ分配ノズル104にそれぞれ対応するセンサ342及びソープ分配ノズル344を一体化している。電子的なソープディスペンサ340は、都合よく設置された一体型タッチフリー式ソープ分配ユニットを提供するために、蛇口302の本体の側面から外側に突出している。いくつかの実施形態では、電子的なソープディスペンサ340のハウジングは、使用者が要求に応じてセンサ342及びノズル344を再位置決めすることを可能にするために、蛇口302に回転可能に連結されている。
【0023】
電子的な水制御部330は、制御装置に通信可能に連結されており、制御装置は、吐水口から分配される水の温度を制御するために、蛇口302の電子的に制御可能な混合バルブを調節することができる。制御装置は、電子的なソープディスペンサ340の稼働も制御する分配ユニットの制御装置(例えば
図1の制御装置116)、又は電気的に制御可能な混合バルブを制御するために設けられた独立した制御装置であってもよい。あるいは、電子的な水制御部が、手動の混合バルブ302cをすでに通過した混合水の流れを制御するために使用され、この場合、オン/オフ制御部のみが、電子的に設けられ、温度は、混合バルブの手動での調節によって決定される。
【0024】
いくつかの実施形態では、電子的な水制御部330は、蛇口302に近接する使用者の手の位置を感知することができる1つ以上の距離センサを採用する。1つ以上の距離センサは、低温側インジケータ332及び高温側インジケータ334に対する使用者の手の位置(又は他の適切な対象)を検出することによって使用者が水温を調節することを可能にする。デジタルディスプレイ又は機械的インジケータ(例えば温度計)として実現することができる温度インジケータ336が、選択された水温の表示を使用者に与える。いくつかの実施形態では、蛇口の下方での使用者の手の存在を感知して吐水口302aから水の分配を開始させることができる近接センサ338が、(例えば吐水口302aの近くの蛇口本体302の下側に)設けられている。
【0025】
蛇口に電子的な水制御部及び電子的なソープディスペンサが設けられている実施形態、例えば
図3に描いた実施形態では、制御装置(例えば
図1の制御装置116)は、1つ以上の統制されたパターンでソープ及び水を分配するようにプログラムされてもよい。例えば、1つのパターンでは、制御装置は、ポンプ及び電気的に制御可能な混合バルブに、第1間隔(例えば2秒)では水のみを分配するように、第2間隔(例えば1秒)ではソープのみを分配するように、且つ第3間隔(例えば10秒又は使用者の手がセンサに近接して感知されなくなるまで)では水のみを分配するように指示する。第2の例では、制御装置は、ポンプ及び電気的に制御可能な混合バルブに、第1間隔(約2秒)では水及びソープをともに分配するように、且つ第2間隔(例えば10秒又は使用者の手がセンサに近接して感知されなくなるまで)では水のみを分配するように指示する。いくつかの実施形態では、使用者は、複数の予め規定されたパターンから選択すること、又は水及びソープを分配するためのカスタムパターンを規定することを許容される。
【0026】
電子的に制御可能な混合バルブが設けられていない実施形態では、制御装置は、提供されるソープの投与量を制御してもよい。例えば、使用者の手がセンサに近接して検出されると、制御装置は、ポンプに予め規定された間隔(例えば2秒)でソープを分配するように指示する。任意の時点で、使用者は、手動の水制御機構を使用して、例えば蛇口302の混合バルブを手動で調節するために設けられた手動の水制御装置302cを使用して蛇口から水を手動で分配する。
【0027】
図4A及び
図4Bは、いくつかの実施形態に従った、さらに別の蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システム400の斜視図を示している。特に、
図4A及び
図4Bは、カウンター401の上方の蛇口402に流体的に取り付けられたソープタンク412を示している。ソープタンク412は、ドッキング機構413を使用して蛇口402に取り外し可能に連結されており、ドッキング機構は、ネジ式連結部、1つ以上の留め具、又は重力の支援によりソープタンク412を保持するように構成された容器を含んでいる。ソープタンク412のデッキ上方での取付は、システム400のためのソープを変更すること及び再充填することを容易にする。
【0028】
水濾過システムが、同様の方式で蛇口402内に設けられることもできる(例えば
図7参照)。
【0029】
いくつかの実施形態では、ソープは、蛇口402の噴出ヘッド450内に位置づけられたソープディスペンサから分配される。それに応じて、蛇口402は、
図5で説明するようにソープ及び水を分配するように構成されてもよく、
図5は、いくつかの実施形態に従った噴出ヘッド450の断面図を示している。噴出ヘッド450は、出口452a及び454aから外部に水及びソープをそれぞれ運ぶための内部導管452及び454を含んでいる。内部導管452及び454は、水を混合バルブから噴出ヘッド450へ運ぶウォーターライン425と、液体ソープをソープタンクから噴出ヘッド450へ運ぶソープチューブ422と、のそれぞれに流体連結されている。いくつかの実施形態では、ウォーターライン425及びソープチューブ422は、ともにホース427内で蛇口本体を通って延びている。他の実施形態では、ウォーターライン425及びソープチューブ422は、ホース内に制限されることなく蛇口本体を通って独立して延びている。
【0030】
出口452a及び454aは、蛇口402から水及びソープを分配するために吐水口450の端部に位置づけられた開口部であり、且つ任意の適切なレイアウトで配置されている。
図5に描くように、出口452aは、出口454aを環状に取り囲んでいるが、他のレイアウト、例えば並んでいる配置が明らかに考えられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、出口452a及び454aは、噴出ヘッド450の端部に配置されたツーインワンエアレータ456(
図8参照)内に水及びソープを向ける。さまざまな実施形態では、ツーインワンエアレータ456は、(例えば圧入又はネジ式接続により)噴出ヘッド450に連結された独立した構成要素であるか、又はツーインワンエアレータ456は、噴出ヘッド450と一体的に形成されてもよい。ツーインワンエアレータ456は、噴出ヘッド450のための複数の有益な機能を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、ツーインワンエアレータ456は、出口452aから分配された水とソープが混合することを可能にすることなく、ソープを出口454aから直接分配することを可能にする貫通部を含んでいる。これらの実施形態では、ツーインワンエアレータ456の出口端部に配置されたワイヤメッシュスクリーンである、エアレータのスクリーンが、出口454aに対応する開口部を含んでおり、これにより、ソープがメッシュスクリーンと相互作用することなく出口454aから流れることを可能にする。他の実施形態では、ツーインワンエアレータ456は、出口452a及び454aとスクリーンとの間に混合チャンバを含んでいる。これらの実施形態では、ソープ及び水は、噴出ヘッド450から分配される前に混合チャンバ内で混合される。
【0033】
いくつかの実施形態では、蛇口402は、噴出ヘッド450を蛇口本体から離れるように引くことが可能である引抜タイプ蛇口である。ホース427は、噴出ヘッド450が蛇口402に対するそのドッキング位置にあるときに、たるむ。この余長は、噴出ヘッド450をその延在位置へ蛇口402から離れるように引くことを可能にする。しかしながら、ウォーターライン425及びソープチューブ422は、蛇口402が引抜型蛇口又は標準的な固定型蛇口であるかどうかにかかわらずホース427を通って経路を定められることを理解されたい。
【0034】
図6は、いくつかの実施形態に従った、蛇口一体型タッチフリー式ソープ分配システム400の一部分の概略図を示す。特に、
図6は、どのようにウォーターライン425及びソープチューブ422が引抜型蛇口又は固定型蛇口のホース427を通って経路を定められるかを描いている。ポンプ414(例えば圧電性マイクロポンプ)は、ソープタンク412の開口部に連結されており、これによりポンプ414に通信可能に連結された制御装置416によって指示されるときにソープをソープチューブ422を通してポンプ送りする。バッテリー418又は別の適切な電源が、制御装置416及びポンプ414のための必要な動力を提供することができる。
【0035】
ソープチューブ422は、第1セクション422a、連結部422b及び第3セクション422cを含んでいる。第1セクション422aは、第1端部においてポンプ414に且つ第2端部において連結部422bを介して第3セクション422cに流体連結されている。ソープチューブ422のさまざまなセクションの連結は、例えば1つ以上の摩擦連結、ネジ式連結又はクランプを使用してなされる。同様に、ウォーターライン425は、第1セクション425a、連結部425b及び第3セクション425cを含んでいる。第1セクション425aは、第1端部において蛇口402の混合バルブに且つ第2端部において連結部425bを介して第3セクション425cに流体連結されている。
【0036】
結果として、本発明の実施形態は、独立した機械的又はタッチフリー式ソープディスペンサの必要性を排除する。ソープディスペンサを蛇口と一体化することは、水出口に近接することが最も必要とされる場所でソープを手動でポンプ送りして提供することを排除することによって日常的な作業を簡単にする。本発明の実施形態は、水、エネルギー及び時間を節約するだけでなく、有益なことに、キッチン及び浴槽カウンター並びにデッキ不動産を自由にする。
【0037】
開示された実施形態は、電気を使用することなく機械的に動作するが、本発明の実施形態は、ソフトウエアもしくはハードウエア又は双方の組み合わせの制御論理の形態で実施することができる。例えば、特別な実施形態は、用途特有の一体型回路又はプログラムされた論理回路を使用することによって実施される。全体として、特別な実施形態の機能は、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって達成される。データ又は指示の通信又は伝送は、有線、無線で又は任意の他の適切な手段によって行われる。また、本発明の実施形態の要素は、特定の用途に従って有益なように可能とされるか又は不可能とされる。
【0038】
さらに、上記から明らかとされる側面、特徴及び利点は、効率的に達成され、また、所定の変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく開示された本発明の実施形態においてなされるので、本明細書に含まれるすべての事項が説明的であり且つ限定的な意味でないと解釈されるべきであるということが意図されることを理解されたい。
【0039】
以下の特許請求の範囲は、本明細書で説明された本発明の包括的且つ特別な特徴の全てをカバーし、本発明の範囲の全ての提示は、記載事項として、提示の中間に属するといわれてもよいことも理解されたい。
【符号の説明】
【0040】
102,202,302,402 蛇口、102a,302a 吐水口、102b 蛇口本体、104,204 ソープ分配出口、106,342 近接センサ、108 オン/オフスイッチ、110 分配ユニット、112,412 ソープタンク、114,414 ポンプ、116,416 制御装置、118,418 電源、120 通信ライン、122,422 ソープチューブ、330 電子的な水制御部、340 電子的なソープディスペンサ、425 ウォーターライン、427 ホース、450 噴出ヘッド、452 第1内部導管、452a 水分配出口、454 第2内部導管、456 エアレータ