(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476176
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】カテーテルコネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/12 20060101AFI20190218BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
A61M39/12
A61M39/10 100
A61M39/10 120
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-525069(P2016-525069)
(86)(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公表番号】特表2016-538908(P2016-538908A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】IB2014064604
(87)【国際公開番号】WO2015063623
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年9月4日
(31)【優先権主張番号】14/066,045
(32)【優先日】2013年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラジ、スティーブ・サイード
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−80494(JP,A)
【文献】
米国特許第4842592(US,A)
【文献】
特表2009−536562(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0089683(US,A1)
【文献】
特開2008−307089(JP,A)
【文献】
特開平11−319114(JP,A)
【文献】
特開昭54−21087(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0190388(EP,A2)
【文献】
欧州特許出願公開第2540338(EP,A1)
【文献】
米国特許第5059186(US,A)
【文献】
特開2008−302215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルコネクタであって、
近位端部分及び遠位端部分を有し、前記近位端部分から前記遠位端部分まで延在する中空内部を画定し、該中空内部を少なくとも部分的に通してカテーテルを受容するように構成された本体と、
キャビティを含み、かつ流体送達デバイスに接合されるように前記本体の前記近位端部分に配置された近位端ポートと、
前記本体の前記中空内部に配置されており、かつ前記カテーテルを受容するように構成された通路を含むシール部であって、前記シール部の少なくとも一部分が、前記近位端ポートの前記キャビティ内に配置されており、前記シール部の前記通路の一部分が前記カテーテルの周囲に向けて変形することにより、前記カテーテルが前記本体内において軸方向に固定されるように構成されている、該シール部と、
軸方向に延在しかつシャフト及びハウジングを含むプッシュ部とを含み、
前記シャフトが、該シャフトを貫通して画定されかつ前記カテーテルを受容するように構成されたボア孔を含み、
前記ハウジングが、前記本体の前記遠位端部分に配置されており、
前記ハウジングが、開口部を画定する内壁を含み、前記開口部が、前記内壁が前記シャフトの周囲に円周方向に係合する状態で前記シャフトを受容するように構成されており、
前記シャフトが、開位置及びロック位置間において軸方向に変位可能であるように構成されていることを特徴とするカテーテルコネクタ。
【請求項2】
前記シール部の前記通路の少なくとも一部分が、テーパ状内面を含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項3】
前記シール部が、テーパ状外面をさらに含み、
前記キャビティ内に配置させた前記シール部の前記一部分が、前記テーパ状外面を含むことを特徴とする請求項2に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項4】
前記近位端ポートが、前記カテーテルの近位端部を受容するように構成された凹部をさらに含み、
前記凹部が、前記キャビティに流体連通されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項5】
前記近位端ポートが、前記本体のねじ状内面に対応するねじ状外面をさらに含み、
前記近位端ポートの前記ねじ状外面が、前記本体の前記ねじ状内面に接合されるように構成されており、
前記近位端ポートが前記本体に係合されたときに前記シール部が圧迫され、該シール部によって前記カテーテルの周囲が圧迫されかつ該カテーテルがシールされることにより、前記カテーテルが前記本体内において軸方向に固定されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項6】
前記プッシュ部が、前記本体とは別体の要素であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項7】
前記シャフトが、前記プッシュ部が前記開位置をとるときに前記ハウジングに当接するように構成されたプッシュキャップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項8】
前記シャフトが、半径方向リップ部を含み、
前記ハウジングの前記内壁が、前記半径方向リップ部を受容するように構成された対応する溝を含み、
前記プッシュ部を前記開位置及び前記ロック位置間において変位させたときに、前記半径方向リップ部が前記溝内において変位するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項9】
前記プッシュ部の前記シャフトの近位端側に配置された板状体をさらに含み、
前記開位置においては、前記シャフトが、前記カテーテルコネクタに対する前記カテーテルの抜き差しが自在となるように前記板状体に係合するように構成されており、
前記ロック位置においては、前記板状体によって前記カテーテルが前記本体内において軸方向にロックされるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項10】
前記板状体が、半径方向に中心開口部まで延在する複数のスポーク状部分をさらに含み、
前記開位置においては、前記シャフトが前記中心開口部を通過することにより、前記複数のスポーク状部分が前記本体の前記近位端部分に向けて押され、それによって前記カテーテルコネクタに対する前記カテーテルの抜き差しが自在となるように構成されており、
前記ロック位置においては、前記複数のスポーク状部分が前記本体内において前記カテーテルに係合しかつ該カテーテルを軸方向にロックするように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項11】
前記本体の外面上に配置された1若しくは複数のフランジをさらに含み、
前記フランジが、前記カテーテルコネクタをユーザが把持するのを補助するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【請求項12】
前記本体が、1若しくは複数の視覚的表示部をさらに含み、
前記視覚的表示部が、前記カテーテルコネクタをユーザが操作するのを補助するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に医療用カテーテルの分野に関し、より詳細には、カテーテルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置のためにカテーテルを用いて流体を患者に送達したり患者から取り出したりすることがよく知られている。例えば、米国特許第7,959,623号明細書(特許文献1)には、様々な実施形態のインフュージョンカテーテルを用いて流体薬剤をポンプからチューブを介して創傷部位へ送達する疼痛管理システムが記載されている。そのような構成では、通常、カテーテルをチューブ、流体リザーバまたは他の流体送達デバイスなどの様々なデバイスに接続するために、カテーテルコネクタが用いられる。特許文献1のシステムにおいては、カテーテルの近位端に医療用チューブの遠位端を接続するために、従来のトーイボースト(Toughy Borst)コネクタが用いられている。
【0003】
トーイボースト・コネクタに加えて、様々な他の構成のカテーテルコネクタが利用可能である。例えば、米国テキサス州ファーマーズ・ブランチのエピメド・インターナショナル社(Epimed International)では、「スティングレイ(Stingray)(登録商標)コネクタ」として知られているロープロファイルのツイストロック式カテーテルコネクタを製造している。このコネクタは、軸方向に整合された2つの部分を有しており、開位置へ回すと第1の部分においてカテーテルを挿入することができ、続いて閉位置へ回すと、カチッという音及び触覚でカテーテルとの完全な係合が確認できる。第2の部分はチューブまたは他の流体送達デバイスに接続され、流体がコネクタを通してカテーテルへ送達されることになる。
【0004】
英国のスミスメディカル・インターナショナル社(Smiths Medical International Ltd.)は、リビングヒンジで互いに結合された2つの部分からなるカテーテルコネクタを「EpiFuse(登録商標)」という商品名で提供している。該コネクタは、コネクタのベース部に設けられた孔にカテーテルを挿入し、ヒンジ結合された2つの部分で挟み込んでロックすることでカテーテルを保持するコネクタである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,959,623号明細書
【特許文献2】米国特許第7,635,355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医師や看護師にはカテーテルコネクタを調整及び/または検討する時間がほとんどないし全くないので、カテーテルへのカテーテルコネクタの結合は迅速かつ容易に行われる必要がある。それゆえ、医療の分野では、迅速かつ信頼性のある接続を提供する新たな、改良されたカテーテルコネクタが絶えず求められている。本発明は、そのようなコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的及び利点は、以下の説明においてある程度述べられるか、説明から明白であるか、本発明の実施を通じて分かるであろう。
【0008】
特定の態様では、本発明は、カテーテルコネクタに関する。カテーテルコネクタは、本体と、近位端ポートと、シール部とを含む。本体は、近位端部分及び遠位端部分を有する。さらに、本体は、近位端部分から遠位端部分まで延在する中空内部を画定する。中空内部は、自身を少なくとも部分的に通してカテーテルを受容するように構成されている。近位端ポートは、キャビティを含み、かつ流体送達デバイス、例えば、ポンプ、リザーバ、シリンジなどに接合されるように本体の近位端部分に配置されている。このポートは、任意の従来の構造、例えばルアーロック型フィッティングを有することができる。シール部は、本体の中空内部に配置されており、かつカテーテルを受容するように構成された通路を含む。さらには、シール部の少なくとも一部分は、近位端ポートのキャビティ内に配置されている。さらに、シール部は、カテーテルを本体内において軸方向に固定するためにカテーテルの周囲を圧迫するように構成されている。
【0009】
他の実施形態では、シール部は、テーパ状内面、テーパ状外面、またはそれらの組合せを含むことができる。具体的には、シール部の通路の少なくとも一部分がテーパ状内面を含むことができる。さらには、シール部はテーパ状外面をさらに含むことができ、ここで、キャビティ内に配置させたシール部の一部分がテーパ状外面を含む。別の実施形態では、近位端ポートは、カテーテルの近位端部分を受容するように構成された凹部を含むことができる。したがって、凹部は、カテーテルがカテーテルコネクタ内に挿入されたときにカテーテルのためのハードストップ部を提供する。さらに、凹部をキャビティに流体連通させることができる。
【0010】
特定の実施形態では、近位端ポートは、本体のねじ状内面に対応するねじ状外面を含むことができる。したがって、ねじ状外面は、本体のねじ状内面に接合されるように構成される。さらに、近位端ポートのねじ状外面が本体のねじ状内面に係合されたとき、近位端ポートは、シール部を圧迫し、シール部によってカテーテルの周囲が圧迫されることにより、カテーテルが本体内において軸方向に固定されるように構成されている。
【0011】
別の追加的な実施形態では、カテーテルコネクタは軸方向に延在するプッシュ部を含み、該プッシュ部はシャフト及びハウジングを有する。シャフトは、該シャフトを貫通して画定されかつカテーテルを受容するように構成されているボア孔を含む。ハウジングは、本体の遠位端部分に配置されており、開口部を画定する内壁を含む。開口部は、内壁がシャフトの周囲において円周方向に係合する状態でシャフトを受容するように構成されている。さらに、シャフトは、開位置及びロック位置間において軸方向に変位可能であるように構成されている。
【0012】
他の実施形態では、シャフトは、プッシュ部が開位置をとるときにハウジングに当接するように構成されたプッシュキャップを含むことができる。さらに別の実施形態では、シャフトは、ハウジングの内壁の溝に対応する半径方向リップ部を含むことができる。他の実施形態では、半径方向リップ部は、シャフトの周囲においてシャフトに対して切れ目なく係合する連続的な円周方向部材であってよい。同様に、ハウジング内壁の溝は、連続的な半径方向リップ部を受容するように構成された連続的な円周方向溝であってよい。さらに、半径方向リップ部は、プッシュ部が開位置及びロック位置間で変位するときに、ハウジング内壁の溝内において変位するように構成することができる。
【0013】
他の実施形態では、カテーテルコネクタは、本体内に配置された板状体を含むことができる。例えば、一実施形態では、プッシュ部のシャフトの近位端とシール部の遠位端との間に板状体を配置することができる。したがって、プッシュ部が開位置をとるときに、シャフトは、カテーテルコネクタに対するカテーテルの抜き差しが自在となるように板状体に係合するように構成されている。プッシュ部がロック位置をとるときには、板状体によってカテーテルが本体内において軸方向にロックされるように構成されている。具体的には、板状体は、半径方向に中心開口部まで延在する複数のスポーク状部分を含むことができる。したがって、開位置において、シャフトは中心開口部を通過することにより、複数のスポーク状部分が本体の近位端部分に向けて押され、それによってカテーテルコネクタに対するカテーテルの抜き差しが自在となる。さらに、ロック位置において、複数のスポーク状部分は、本体内においてカテーテルに係合して軸方向にロックするように構成されている。複数のスポーク状部分は、任意の適切な形状、例えば、三角形、矩形、円弧形状、または同様の形状などであってよいことを理解されたい。他の実施形態では、複数のスポーク状部分の各々は、傾斜端部を含むことができる。したがって、シャフトを容易に挿入できるように、傾斜端部の各々を本体の近位端部分に向けて付勢してもよい。
【0014】
特定の実施形態では、カテーテルコネクタは、本体の外面上に配置された1若しくは複数のフランジをさらに含むことができる。該フランジは、カテーテルコネクタをユーザが把持及び/または回動させるのを補助するように構成されている。さらに別の実施形態では、カテーテルコネクタは、本体の外面上に1若しくは複数の視覚的表示部を含むことができ、該視覚的表示部は、カテーテルコネクタをユーザが操作するのを補助するように構成されている。
【0015】
別の態様では、カテーテルコネクタの使用方法が開示されている。カテーテルコネクタは、シール部を内設したタイプのものである。本方法は、針及びカテーテルの遠位端部を患者に挿入するステップと、カテーテルの近位端部を、カテーテルコネクタの遠位端部分内に挿入し、かつ近位端ポートのキャビティ内に配置させたシール部の少なくとも一部分に通すステップと、カテーテルコネクタの近位端部分に配置された近位端ポートのキャビティ内に流体を注入するステップと、シール部によりカテーテルの周囲を圧迫させることによって、カテーテルの一部分が固定されるようにするステップとを含む。
【0016】
特定の実施形態では、近位端ポートのキャビティ内に流体を注入するステップは、シール部及びカテーテル間において気密シールを形成する流体圧力を提供する。他の実施形態では、本方法は、カテーテルコネクタの遠位端部分に配置されたプッシュ部を軸方向に開位置まで押動するステップと、プッシュ部のボア孔を通してカテーテルの近位端部を挿入するステップと、プッシュ部をロック位置まで変位させるステップとをさらに含む。さらに、本方法は、プッシュ部とともに配置された板状体を通してカテーテルの近位端部を挿入するステップを含むことができ、板状体は、プッシュ部がロック位置をとるときに、カテーテルコネクタ内においてカテーテルを一時的にロックするように構成されている。カテーテルコネクタの板状体は、半径方向に中心開口部まで延在する複数のスポーク状部分をさらに含むことができる。こうして、本方法は、プッシュ部がロック位置をとるときに、複数のスポーク状部分がカテーテルコネクタ内においてカテーテルに係合しかつ該カテーテルをロックするように、中心開口部を通してカテーテルの近位端部を挿入するステップをさらに含むことができる。
【0017】
他の実施形態では、本方法は、患者から針を抜き取るステップと、プッシュ部を軸方向に開位置まで押動するステップと、カテーテルコネクタからカテーテルを取り外すステップと、カテーテルから該カテーテルを通して針を抜き取るステップとをさらに含むことができる。さらには、本方法は、プッシュ部を軸方向に開位置まで再び押動するステップと、カテーテルの少なくとも一部分がシール部内に挿入されるようにカテーテルをカテーテルコネクタに再び挿入するステップと、シール部及び近位端ポートの位置を互いにより近づけることによりシール部を圧迫するように近位端ポートをカテーテルコネクタの近位端部分内で固定するステップとをさらに含むことができる。特定の実施形態では、シール部を圧迫するように近位端ポートをカテーテルコネクタの近位端部分内で固定するステップは、シール部がカテーテルの周囲を圧迫するように近位端ポートのねじ状外面をカテーテルコネクタの本体のねじ状内面にねじ込むことによってカテーテルを本体内において軸方向に固定するステップをさらに含む。
【0018】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点については、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されるであろう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部をなすものであり、本発明の種々の実施形態を図示し、以下の説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の態様によるカテーテルコネクタの一実施形態の斜視図。
【
図2】本発明の態様によるカテーテルコネクタのロック位置における一実施形態の断面図。
【
図3】本発明の態様によるカテーテルコネクタの開位置における一実施形態の断面図。
【
図4】本発明の態様によるカテーテルに接続されたカテーテルコネクタの別の実施形態の斜視図。
【
図5】本発明の態様によるカテーテルコネクタの別の実施形態の分解斜視図。
【
図6】本発明の態様による板状体の一実施形態の上面図。
【
図7】本発明の態様による
図6の実施形態のA−A線断面図。
【
図8】本発明の態様によるカテーテルコネクタの別の実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本発明の1若しくは複数の実施形態、本発明の実施例について、詳細に見てみることにする。本発明の実施例は、図面に示されている。各実施例及び実施形態は、本発明を説明する目的で与えられるものであり、本発明を制限する意図はない。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴を別の実施形態とともに用いて他の実施形態を生み出すことができる。本発明は、本発明の趣旨及び範囲に入るこれら及び他の変更形態及び変形形態を含むものである。
【0021】
位置関係を表す用語である「近位」及び「遠位」は、本明細書において、種々の構成要素の互いに対する位置及び患者に対する位置を表すために用いられる。「遠位」は、創傷部位に最も近い方向を指し(例えば、コネクタの遠位端部分は、カテーテル挿入部位に向けられた端部である)、「近位」は反対方向を指す(例えば、カテーテルの近位端部は、コネクタの遠位端部分に挿入される)。
【0022】
ここで図面を参照すると、
図1〜
図5は、本発明によるカテーテルコネクタ10の一実施形態の様々な図を示している。図のように、カテーテルコネクタ10は、近位端部分23及び遠位端部分25を有する本体12を含む。近位端部分23は、流体送達デバイス(図示せず)に接合されるように近位端部分に接して配置された近位端ポート14を含む。流体送達デバイスは、当分野で既知の任意の適切なデバイス、例えば、ポンプ、リザーバ、シリンジなどであってよい。さらに、近位端ポート14は、任意の従来の構造、例えばルアーロック型フィッティングを有することができる。例えば、図のように、近位端ポート14は、コネクタ10を流体送達デバイスに結合するのを補助するためのフィッティング19を含む。他の実施形態では、近位端ポート14は、キャビティ13及び凹部21をさらに含む。凹部21は、キャビティ13に流体連通されており、かつカテーテル11の近位端部を受容するように構成されている。一実施形態では、凹部21は、第1の寸法部分及び第2の寸法部分を含む。したがって、凹部21は、第1及び第2の寸法部分間において、カテーテル11の変位を制限するためのストッパであるハードストップ部を画定し、それによって、カテーテル11を最大で第2の寸法部分までしかコネクタ10内に挿入できないようにすることができる。そのようなハードストップ部は、カテーテル11が適所に配置されていることをユーザに知らせることができる。
【0023】
特に
図2、
図3及び
図5を参照すると、カテーテルコネクタ10には、カテーテルコネクタ10内において複数のシーリング機能を提供することができるシール部15も含まれている。図のように、シール部15は、本体12の中空内部31に配置されている。さらに、シール部15は、カテーテル11を受容するように構成された通路16を含む。さらに、シール部15の通路16は、近位端ポート14に対して軸方向に整合するように構成されている。
図2及び
図3に示されているように、シール部15の少なくとも一部分は、近位端ポート14のキャビティ13内に配置されている。したがって、一実施形態では、流体がキャビティ13に送達されたとき、キャビティ13内において流体圧力が増大し、それによってコネクタ10内においてカテーテル11の周囲でシール部15が変形する。具体的には、別の実施形態では、流体圧力は、カテーテル11の周囲において密封または気密シールを提供することができる。別の実施形態では、近位端ポート14は、本体12のねじ状内面33に対応するねじ状外面17を含むことができる。したがって、近位端ポート14のねじ状外面17を本体12のねじ状内面33に係合させたとき、近位端ポート14がシール部15を圧迫し、シール部15によりカテーテル11の周囲が圧迫されるとともにカテーテル11がシールされ、それによって本体12内においてカテーテル11が軸方向に固定されるように構成されている。
【0024】
別の追加的な実施形態では、通路16は、様々な径及び/またはテーパ状内面27を有する1若しくは複数のセクションを有することができる。例として、通路16は、
図2及び
図3の実施形態に示されているように、3つのセクションを有する。図において符号1を付した第1のセクションでは、通路16は、第1の径D
1から第2の径D
2に向かってテーパ状(先細)になっている。第1の径D
1はカテーテル11の径よりも大きいが、第2の径D
2は第1の径D
1よりも小さく、ただしカテーテル11の径よりは大きい。それゆえ、カテーテル11を容易に通路16の第1の径D
1を有する部分に挿入し、シール部15を通して第2の径D
2を有する部分へ案内することができる。符号2を付した通路16の第2のセクションは、断面全体の径が第2の径D
2に等しい真っ直ぐなセクションである(すなわちテーパ状になっていない)。符号3を付した第3のセクションは、第2の径D
2から第3の径D
3に向かってテーパ状になっている。第3の径D
3は、カテーテル径に最も近い径である。さらには、
図2及び
図3の実施形態に示されているように、(第3のセクション3に隣接する)シール部15の外面29もテーパ状であってよい。したがって、シール部15の近位端部分におけるテーパ状面27、29によって形成された尖っていない面または鋭い縁部35は、流体が近位端ポート14のキャビティ13に流入するときにカテーテル11の周囲においてより効率的なシールを形成する。他の実施形態では、通路16は、3つよりも多いかまたは少ないセクションを有することもできる。全ての実施形態について、通路16の径は、シール部15の遠位側におけるカテーテル11の外径よりも大きい径から、シール部15の近位側におけるカテーテル11の外径の実寸に近い径まで変化する。
【0025】
他の実施形態では、カテーテルコネクタ10は、本体12の遠位端部分25に設けられた軸方向に延在するプッシュ部18を含むこともできる。別の実施形態では、プッシュ部18は、本体12とは別体をなす要素であって、本体12に対してその遠位端部分25において接続されている。あるいは、プッシュ部18は、本体12と一体をなすものであってもよい。プッシュ部18は、開位置(
図3)及びロック位置(
図2)間において軸方向に変位可能であるように構成されている。さらに、プッシュ部18は、シャフト22及びハウジング28を含む。シャフト22は、該シャフト22を貫通して画定されたボア孔20を含み、ボア孔20は、近位端ポート14に対して軸方向に整合されており、ボア孔20内に挿入されるカテーテル11を摺動可能に受容する大きさを有する(
図4)。ハウジング28は、本体12の遠位端部分25内に収容されるように構成されている。さらに、ハウジング28は、自身を貫通して開口部32を画定する内壁30を含む。ハウジング28の開口部32は、ハウジング28の内壁30がシャフト22の周囲において円周方向に係合するようにしてシャフト22を受容するように構成されている。例えば、図の実施形態に示されているように、シャフト22は略円筒形状を有し、開口部32は対応する円筒形状を有する。シャフト22及びハウジング28は、当分野で既知の任意の適切な対応する形状を有することができることを理解されたい。
【0026】
他の実施形態では、プッシュ部18はプッシュキャップ24を含むこともでき、プッシュキャップ24は、プッシュ部18が開位置をとるときにハウジング28に当接するように構成されている。それゆえ、プッシュキャップ24は、ハウジング28に対するシャフト22の変位の範囲を制限し得る。さらには、プッシュ部18は、半径方向リップ部26を含むことができる。例えば、
図2、
図3及び
図5の実施形態に示されているように、半径方向リップ部26は、プッシュ部18の近位端部分に配置される。他の実施形態では、半径方向リップ部26は、プッシュ部18に沿って任意の位置に配置することができる。特定の実施形態では、半径方向リップ部26は、ハウジング28の内壁30の一部分の周囲において該部分に対して切れ目なく係合する連続的な円周方向部材であってよい。
【0027】
さらには、ハウジング28の内壁30において、シャフト22の半径方向リップ部26に対応する溝34を形成することができる。一実施形態では、溝34は、半径方向リップ部26を受容するように構成された、連続的な円周方向溝であってよい。さらに、プッシュ部18が開位置(
図3)及びロック位置(
図2)間において変位するときに、半径方向リップ部26が溝34内で変位するように構成することができる。
【0028】
他の実施形態では、カテーテルコネクタ10は、任意選択で、カテーテルコネクタ10内においてカテーテル11を固定するように構成された板状体36を含むことができる。板状体36は、コネクタ10の本体12内の任意の適切な位置に配置することができる。例えば、図の実施形態に示されているように、板状体36は、プッシュ部18のボア孔20とシール部15の通路16との間に配置される。したがって、プッシュ部18が開位置(
図3)をとるときに、シャフト22は、カテーテルコネクタ10に対するカテーテル11の抜き差しが自在となるように板状体36に係合するように構成されている。さらに、プッシュ部18をロック位置(
図2)まで変位させると、板状体36によって本体12内においてカテーテル11が軸方向にロックされる。
【0029】
具体的には、
図5〜
図7を参照すると、板状体36は、その外周部37から中心開口部39に向けて半径方向に延在する複数のスポーク状部分38を含むことができる。それゆえ、プッシュ部18が開位置をとるとき(すなわち、ユーザがプッシュ部18を本体12の近位端部分23に向けて押動したとき)、プッシュ部18のシャフト22は板状体36の中心開口部39を通過するように構成されている。したがって、複数のスポーク状部分38は、本体12の近位端部分23の方向に向けられており、中心開口部39に対するカテーテル11の抜き差しが自在となっている。プッシュ部18をロック位置まで変位させる(すなわち、ユーザがプッシュ部18のをロック状態を解除する)と、複数のスポーク状部分は、コネクタ10の本体12内においてカテーテル11を取り囲んで軸方向にロックするように構成されている。
【0030】
複数のスポーク状部分38は、任意の適切な形状、例えば、三角形、矩形、円弧形状、または同様の形状などであってよいことを理解されたい。追加的な実施形態では、複数のスポーク状部分38の各々は、互いに形状が同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、一実施形態では、複数のスポーク状部分38の各々は、傾斜端部40を含むことができる。したがって、シャフト22を容易に挿入できるように、傾斜端部40の各々を本体12の近位端部分23に向けて付勢してもよい。このように、板状体36の傾斜端部40は、カテーテルコネクタ10内においてカテーテル11を固定するのを補助するように構成されている。
【0031】
再び
図1〜
図5を参照すると、カテーテルコネクタ10は、カテーテルコネクタ10をユーザが把持及び/または回動させるのを補助するための1若しくは複数のフランジ44を含むこともできる。フランジ44は、カテーテルコネクタ10の外面上の任意の位置に設けることができる。例えば、図のように、フランジ44は本体12の外面48上に構成される。あるいは、
図8に示されているように、フランジ144は、プッシュ部118の外面148上に配置されてもよい。他の実施形態では、コネクタは、
図8に示されているように、複数の位置にそれぞれフランジを含むことができる。さらに、フランジ44、144は、カテーテルコネクタ10、110の任意の位置に配置することができることを理解されたい。具体的には、フランジ44、144は、本体12の互いに反対側に配置させるか、またはカテーテルコネクタ10、110の外周の周囲において任意の適切な配置で互いから離間させてもよい。このように、カテーテルコネクタ10、110をユーザが回動させるのを補助するために、フランジ44、144はユーザに対して迅速かつ容易な把持を可能にする。
【0032】
別の態様では、本明細書に記載のカテーテルコネクタの使用方法が開示されている。本方法は、カテーテルを一時的、長期的、または両者の組合せで使用するステップを含み得る。カテーテルコネクタの一時的な使用は、通常、シリンジなどによる流体及び/または薬剤の迅速投与に関連する使用を指し、一般的には、患者に留置される針を含む。カテーテルコネクタの長期使用は、通常、ポンプなどによる流体及び/または薬剤の長期的投与に関連する使用を指し、一般的には、患者から抜き取られる針を含む。したがって、カテーテルコネクタ10は、コネクタ10が一時モードで操作されているのか長期モードで操作されているのかを示す1若しくは複数の視覚的表示部を含むことができる。例えば、
図5に示されているように、コネクタ10の本体12には、「ロック(LOCK)」(長期モードに対応する)及び「処置(PROCEDURE)」(一時モードに対応する)という文字が含まれている。当分野において、コネクタ10のモードを示すために任意の適切な文字または表示を用いることができることを理解されたい。
【0033】
カテーテルコネクタ10の一時的な使用を含む一実施形態では、ユーザは先ず、針/カテーテルアセンブリ(針及びカテーテルを含むアセンブリ)の遠位端部を患者に挿入することができる。ユーザは次に、カテーテルがコネクタ内においてハードストップ部に到達するまでカテーテルの近位端部をカテーテルコネクタの遠位端部分内に挿入することができる。一実施形態では、ハードストップ部は近位端ポート14の凹部21と同義である。他の実施形態では、カテーテル11をカテーテルコネクタ10内の任意の位置で止まるように構成することができる。例えば、カテーテル11をシール部15の少なくとも一部分に所定距離だけ挿入することができる。正しく挿入されたら、ユーザは、プッシュ部18を軸方向に開位置まで押動することにより、プッシュ部18のシャフト22を板状体36に係合させ、板状体36にカテーテル11が挿入されるようにする。ユーザは次に、プッシュ部18をロック位置まで変位させることによって、コネクタ10内においてカテーテル11を一時的にロックすることができる。ユーザは次に、近位端ポート14のキャビティ13内に流体が注入されるように、カテーテルコネクタ10を流体送達デバイス(例えば、シリンジ)に接続することができる。流体の注入によって生じる流体圧力が、カテーテル11の周囲に向けてシール部15を変形させ、それによって、カテーテルコネクタ10内においてカテーテル11の近位端部がシールされる。カテーテル11をロックする板状体36と、カテーテル11の周囲に向けて変形しかつカテーテル11をシールするシール部15との組合せは、針が尚も患者に挿入されたままの状態で、必要に応じて、ユーザが患者に流体を迅速かつ効果的に投与することができるように、カテーテルコネクタ10内においてカテーテル11を一時的に固定する。
【0034】
カテーテルコネクタ10の一時的な使用の後に長期的な使用が望まれるような他の実施形態では、ユーザは、患者からカテーテル11を通して針を抜き取ることができる。ユーザは次に、プッシュ部18を開位置まで押動するのを補助するために、針のハブ(針基)またはユーザ自身の指のいずれかを用いることができる。こうして、板状体36の複数のスポーク状部分38は、本体12の近位端部分23の方向に向けられ、それによって、固定されていたカテーテル11がコネクタ10から取り外される。ユーザは次に、カテーテル11から針を抜き取ることができる。針を抜き取った後、ユーザは、カテーテル11及びコネクタ10を長期的に再接続することができる。したがって、ユーザは再びプッシュ部18を開位置まで押動し、カテーテル11を再びハードストップ部(通常は凹部21に相当する)に到達するまで挿入する。ユーザは次に、任意選択で、プッシュ部18をロック位置まで変位させることもできる。カテーテルコネクタ10内においてカテーテル11を長期的にロックするために、ユーザは、近位端ポート14を締め付ける、すなわち近位端ポート14をカテーテルコネクタ10の本体12の近位端部分23にねじ込むことによって、シール部15を圧迫する。一実施形態では、コネクタ10は、近位端ポート14の締め付けを止めるタイミングをユーザに知らせる視覚的表示部を含むことができる。別の実施形態では、ユーザは、近位端ポート14を、それ以上締め付けることができなくなるまで締め付けることができる。こうして、近位端ポート14は、カテーテル11の周囲に向けてシール部15を圧迫し、それによって、一時的な固定に関連してすでに説明した流体圧力及び板状体の構成よりも確実な接続をもたらす。長期モードにおいてコネクタ10からカテーテル11を取り外すためには、ユーザは、ただ単に、シール部15がそれ以上圧迫されないように近位端ポート14を逆回りにねじ回転させる、すなわち緩めるだけでよい。このようにして、カテーテル11を容易に抜き去ることができる。
【0035】
別の実施形態では、カテーテル11の一時的な固定が必要ない場合があり、その場合、ユーザは単に、上記した一時的な使用に関連するステップを無視すればよい。この場合、ユーザは先ず、針/カテーテルアセンブリの遠位端部を患者に挿入する。ユーザは次に、患者からカテーテルを通して針を抜き取る。ユーザは次に、本体12の中空内部31に、かつ少なくとも部分的にシール部15内に、カテーテル11を挿入する。ユーザは次に、近位端ポート14を締め付ける、すなわち近位端ポート14をカテーテルコネクタ10の本体12の近位端部分23にねじ込むことによって、カテーテル11の周囲に向けてシール部15を圧迫することができる。この実施形態は、本明細書に記載されているような、例えば
図1に示されているようなプッシュ部18及び板状体36の構成を含んでも含まなくてもよいことを理解されたい。
【0036】
ここで
図8を参照すると、カテーテルコネクタは、カテーテル102とともに使用するためのより大きなコネクタアセンブリ100の一部分であってよい。図のように、コネクタアセンブリ100は、近位端部(カテーテルコネクタ110内に固定される)と、遠位端部(図示せず)と、ルーメン106を画定する壁104とを有するカテーテル102を含む。上記したように、カテーテルコネクタ110は、近位端部分123及び遠位端部分125を有する本体112を含む。近位端部分123は、流体送達デバイス(図示せず)に接合されるように当該近位端部分に接して配置された近位端ポート114を含む。カテーテルコネクタ110は、本明細書に記載の機構のうちの任意のものを含み得ることを理解されたい。例えば、カテーテルコネクタ110は、本体112(図示せず)内に配置させたシール部、開位置及びロック位置間において変位するように構成されたプッシュ部118、ハウジング128、及び板状体(図示せず)をさらに含むことができる。
【0037】
さらには、コネクタアセンブリ100は、カテーテル102及びカテーテルコネクタ110を患者に対して固定するための固定具154を含むことができる。固定具154は、当分野で既知の任意の適切な固定具であってよいことを理解されたい。例えば、固定具154は、患者または他の適切な表面に貼り付けるように構成されたベース部155を含むことができる。さらに、固定具154は、フランジ144を固定するための1若しくは複数の溝を含むことができる。さらに、固定具154は、米国フロリダ州のゼフォン・インターナショナル社(Zefon International Inc.)製の「グリップロック(Grip-Lok)(登録商標)」固定具を含むことができる。この固定具は、患者の皮膚に貼り付けられる粘着ベース層を含む。該ベース層の上面に付された粘着パッド上に、カテーテルコネクタアセンブリが押し付けられる。その後、ベルクロ(登録商標)密閉層がカテーテルに折り重ねられ、ベース層の上面に付着させられる。米国特許第7,635,355号明細書(特許文献2)には、別の適切な固定具154であって、患者の皮膚に貼り付けられるアンカーパッド及びその上に配置された保持部を有する固定具が開示されている。これまでに説明した固定具は、説明の目的で与えられたものであり、本明細書に記載のカテーテルコネクタに任意の適切な固定具を配置することができることを理解されたい。
【0038】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、当然のことながら、本発明に含まれる主題は、これらの特定の実施形態に限定されるものではない。それどころか、本発明の主題は、本発明の趣旨及び以下の特許請求の範囲に含まれ得る全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むものである。