(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機械的スカート間接続(7)が、前記圧縮面(11)と一体であり、前記摺動スカート(6)中に軸方向に配列されたマンドレルオリフィス(18)と協働するマンドレル(17)からなり、前記マンドレル17が、前記オリフィス(18)中に収容されることを特徴とする、請求項1に記載のピストン用封止デバイス。
前記摺動スカートばね(16)が、一方が前記マンドレル(17)の端部上で支持され、他方が前記摺動スカート(6)上で支持される弾性ワッシャー(19)であることを特徴とする、請求項2に記載のピストン用封止デバイス。
前記シリンダ(8)の内径よりも外径が実質的に小さい少なくとも1つのフローティングプレート(21)が、前記拡張可能な連続セグメント(9)と前記固定スカート(5)との間に、または前記セグメント(9)と前記摺動スカート(6)との間に直接的にまたは間接的に介挿されており、前記固定スカート側の前記軸方向セグメント面(14)および/または前記摺動スカート側の前記軸方向セグメント面(15)が、前記プレート(21)との封止接触を保ち、前記機械的スカート間接続(7)が前記プレート(21)を貫通することを可能にする少なくとも1つの軸方向プレートオリフィス(31)が横断していることを特徴とする、請求項1に記載のピストン用封止デバイス。
前記フローティングプレート(21)が、前記摺動スカート(6)に関して、または前記固定スカート(5)に関して前記プレート(21)を径方向にセンタリングする傾向があるプレートセンタリング手段(23)を含み、前記手段(23)が、前記スカート(5、6)の一方もしくは他方上に、または前記機械的スカート間接続(7)上に直接的にまたは間接的に支持されていることを特徴とする、請求項4に記載のピストン用封止デバイス。
前記フローティングプレート(21)が、前記摺動スカート(6)に関する、または前記固定スカート(5)に関する前記拡張可能な連続セグメント(9)の径方向センタリングのために協働するセグメント溝(22)を含むことを特徴とする、請求項4に記載のピストン用封止デバイス。
前記摺動スカート(6)が前記スカート(6)に関して前記拡張可能な連続セグメント(9)をセンタリングするために前記内側円筒セグメント面(12)と協働する拡張可能な連続セグメントセンタリング手段(40)、および/または前記スカート(6)に関して前記拡張可能な連続ロック解除セグメント(35)をセンタリングするために前記内側円筒ロック解除セグメント面(37)と協働するロック解除セグメントセンタリング手段(41)を有することを特徴とする、請求項1に記載のピストン用封止デバイス。
前記拡張可能な連続セグメント(9)および/または前記拡張可能な連続ロック解除セグメント(35)が、センタリングリングセンタリング手段(49)によりそれ自体が前記摺動スカート(6)に関してセンタリングされるセンタリングリングによって、前記摺動スカート(6)に関して概センタリング状態を保つことを特徴とする、請求項1に記載のピストン用封止デバイス。
【発明の概要】
【0005】
封止を達成するには、ピストンとそのシリンダとの間に小さい隙間を提供する方法がある。上記隙間は、機械の精密加工によって得られる。この手法は、数十から数百バールの圧力では効果的である。しかしながら、たとえば、1500バールまたは2000バールの超高圧下では、上記超高圧を受けることにより、ピストンが収容されるシリンダの直径が増大することにより、上記シリンダと上記ピストンとの間の公称隙間が大幅に増大するため、上記手法では、油漏れ率の増加につながる。
【0006】
代替的手法は、ピストンの外周に配列された溝に収容される封止を提供することからなる。しかるに、前述した超高圧下では、上記封止は、その溝中で変形し、シリンダに対して高圧を及ぼし、摩擦により高損失を発生させて、装備したオイルポンプの最終出力を損なう。さらに、シリンダの直径が圧力とともに増大するにつれて、上記封止は、上記ピストンと上記シリンダとの間のより大きい隙間おいて必要な封止を保証しなければならず、それにより、圧力の影響を受けて上記封止を押し出し、上記封止の破壊につながる傾向がある。
【0007】
別の手法は、ピストンを備えるオイルポンプを提供することであって、そのピストンの本体の全部または一部が、圧力により、上記ピストンがその中を移動するシリンダが受けるものに匹敵する変形を上記本体が受けるような剛性を有する、オイルポンプを提供することからなる。この手法は、上記ピストンと上記シリンダとの間に小さい隙間を保持することを可能にし、たとえば、「INNAS」社により、「INNAS」社の「フローティングカップ」油圧ポンプを製造するために採用されてきた。しかるに、上記手法は、ピストンの本体の剛性に実質的に匹敵する剛性を有するシリンダを備える場合にしか機能しないという欠点を有し、それは、高圧範囲内において、上記シリンダおよび上記ピストンの材料を極端に制限することにつながる。
【0008】
カップセグメントは、上記カップの領域における油漏れ率が過剰であるので、超高圧下で動作するピストンには適さない。さらに、上記カップは、上記圧力の影響を受けてシリンダの直径が増大するにつれてより大きくなる。これにより、装備されるオイルポンプの容積効率が低減する。さらに、上記シリンダの壁に対して上記セグメントにより及ぼされる圧力は、上記圧力が上昇するにつれてより大きくなる。この圧力上昇の影響により、上記セグメントと上記シリンダとの間の接触領域における摩擦による損失が増大し、それにより、上記オイルポンプの機械効率が低減する。
【0009】
特に、全般的にはピストンと関連する、特に、高圧オイルポンプのピストンと関連するこれらの様々な問題を解決するために、本発明によるピストン用封止デバイスは、採用される実施形態に応じて、以下のことを可能にする。
・ロバストでかつ耐久性のある方法で、2,000バール以上に達する極めて高い圧力下におかれた流体を任意のピストンが含む場合を含めて、上記圧力により上記シリンダが相当な変形を受けるにもかかわらず、上記ピストンとそれが協働するシリンダとの間に高度の封止を達成すること。
・上記ピストンと上記ピストンと協働するシリンダに対して流体が及ぼす圧力にかかわらず、摩擦による損失を小さくする、あるいは緩和すること。
【0010】
さらに、本発明によるピストン用封止デバイスは、適度な製造コストを有するために提供され、任意の複雑な実装プロセスまたは高価な材料を使用しない。
【0011】
当業者に知られるオイルポンプの半径方向ピストンまたは軸方向ピストンにその適用例に加えて、本発明によるピストン用封止デバイスは、少なくとも1つのピストンを備える任意の機械または装置に適用され、上記機械または上記装置は、限定されることなく、ポンプ、発動機またはジャッキである、あるいは、たとえば、圧力分配器またはブースタである。本発明による封止デバイスはまた、たとえいかなるものでも、シリンダとともに、または、任意のピストンに対して相補的形状の任意の他の凹型形状とともに封止を生成し、気体、液体または半固体元素を含有する、任意のタイプの任意のピストンに適用され得る。
【0012】
本発明の他の特徴は、本明細書に記載され、また、主要な請求項に直接的にまたは間接的に従属する従属請求項に記載される。
【0013】
本発明によるピストン用封止デバイスは、少なくとも端部のうちの1つが流体チャンバにより閉じられているシリンダ中を移動するピストンために提供され、上記ピストンが、少なくとも1つの固定スカートを含み、かつ、一方において、任意の機械的な油圧または空圧伝達手段に力を及ぼすためにピストン支持面を有し、他方において、流体チャンバに露出し、流体の圧力を受けることができる圧縮面を有する、少なくとも1つのピストンヘッドを備え、上記デバイスが、
・小さい隙間でシリンダに中に収容され、圧縮面側のピストンヘッドの延長部分に、ヘッドの軸に配置された、円筒形状の少なくとも1つの摺動スカートであって、上記摺動スカートが、ヘッドに関して長手方向に並進して移動することを可能にする機械的スカート間接続により、上記ヘッドに接続されている、少なくとも1つの摺動スカートと、
・摺動スカートの内側に配列され、摺動スカートを軸方向に貫通する少なくとも1つの圧力伝達チャネルと、
・ 固定スカートと摺動スカートとの間に介挿され、圧力伝達チャネルを介して流体の圧力を受ける内側円筒セグメント面、シリンダと接触することが可能な外側円筒セグメント面、固定スカートと直接的にまたは間接的に封止接触を保つ、固定スカート側の軸方向セグメント面、および、摺動スカートと直接的にまたは間接的に封止接触を保つ、摺動スカート側の軸方向セグメント面を備える、連続する環状形態の少なくとも1つの拡張可能な連続セグメントと、
・摺動スカートを固定スカートに近づけ、拡張可能な連続セグメントを軸方向に圧縮する傾向がある少なくとも1つの摺動スカートばねとを備える。
【0014】
本発明によるピストン用封止デバイスは、圧縮面と一体であり、摺動スカート中に軸方向に配列されたマンドレルオリフィスと協働するマンドレルからなる機械的スカート間接続を備え、マンドレルは、上記オリフィス中に収容されている。
【0015】
本発明によるピストン用封止デバイスは、一方がマンドレルの端部上で支持され、他方が摺動スカートで支持される弾性ワッシャーである摺動スカートばねを備える。
【0016】
本発明によるピストン用封止デバイスは、シリンダの内径よりも外径が実質的に小さく、拡張可能な連続セグメントと固定スカートとの間に、または上記セグメントと摺動スカートとの間に直接的にまたは間接的に介挿された少なくとも1つのフローティングプレートを備え、固定スカート側の上記軸方向セグメント面および/または摺動スカート側の軸方向セグメント面が、上記プレートとの封止接触を保ち、機械的スカート間接続が上記プレートを貫通することを可能にする少なくとも1つの軸方向プレートオリフィスが横断している。
【0017】
本発明によるピストン用封止デバイスは、特に
図8を見ると分かる、摺動スカートに関して、または固定スカートに関して上記プレートを径方向にセンタリングする傾向があるフローティングプレートを含み、上記手段は、上記スカートの一方もしくは他方上に、または機械的スカート間接続上に直接的にまたは間接的に支持されている。
【0018】
本発明によるピストン用封止デバイスは、摺動スカートに関する、または固定スカートに関する拡張可能な連続セグメントの径方向センタリングのために協働するセグメント溝を含むフローティングプレートを備える。
【0019】
本発明によるピストン用封止デバイスは、固定スカートであって、上記スカートの外側円筒表面上に配列されたスクレーパー溝中に収容された少なくとも1つのスクレーパーセグメントを含む、固定スカートを備える。
【0020】
本発明によるピストン用封止デバイスは、少なくとも1つの軸方向マイクロリーク溝を含む外側円筒セグメント面を備える。
【0021】
本発明によるピストン用封止デバイスは、固定スカートおよび/または摺動スカートとの封止を直接的にまたは間接的に生成するために、可撓性材料で作製された少なくとも1つの円形封止継手と協働する内側円筒セグメント面を備える。
【0022】
本発明によるピストン用封止デバイスは、内側円筒セグメント面の長さの軸方向部分であって、拡張可能な連続セグメントが、その軸方向長さのすべてにわたって、径方向では、摺動スカート側よりも、固定スカート側で厚くなく、剛性が低く、外側円筒セグメント面が、その一部については、上記セグメントの軸方向長さのすべてにわたって、ほぼ同じ直径のままであるような方法で、平均して、摺動スカートに最も近接している上記内側円筒面の長さの軸方向部分よりも大きい直径を有する、固定スカートに最も近接した内側円筒セグメント面の長さの軸方向部分を備える。
【0023】
本発明によるピストン用封止デバイスは、その外径が上記シリンダの内径よりも実質的に小さく、2つの拡張可能な連続セグメントの間に直接的にまたは間接的に介挿された、連続する環状形態の少なくとも1つの拡張可能な連続ロック解除セグメントを備え、上記拡張可能な連続ロック解除セグメントが、圧力伝達チャネルを介して流体の圧力を受ける内側円筒ロック解除セグメント面、シリンダを一緒に近づけることができる外側円筒ロック解除セグメント面、および各々が2つの拡張可能な連続セグメントのうちの1つとの封止接触を直接的にまたは間接的に保つ2つの軸方向ロック解除セグメント面を備える。
【0024】
本発明によるピストン用封止デバイスは、摺動スカートであって、上記スカートに関して拡張可能な連続セグメントをセンタリングするために内側円筒セグメント面と協働する拡張可能な連続セグメントセンタリング手段、および/または上記スカートに関して上記拡張可能な連続ロック解除セグメントをセンタリングするために内側円筒ロック解除セグメント面と協働するロック解除セグメントセンタリング手段を有する、摺動スカートを備える。
【0025】
本発明によるピストン用封止デバイスは、センタリングリングセンタリング手段によりそれ自体が摺動スカートに関してセンタリングされるセンタリングリングによって、上記スカートに関して概センタリング状態を保つ、拡張可能な連続セグメントおよび/または上記拡張可能な連続ロック解除セグメントを備える。
【0026】
非限定的な例としての添付の図面に関する以下の説明により、本発明、本発明が提示する特徴、および本発明が提供することができる利点をよく理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜
図17は、ピストン用封止デバイス1、その構成要素の様々な詳細、その変形形態、およびそのアクセサリーを示している。
【0029】
ピストン用封止デバイス1は、少なくとも端部のうちの1つが流体チャンバ27により閉じられているシリンダ8中を移動するピストン2のために提供され、上記ピストン2は、少なくとも1つの固定スカート5を含み、かつ、一方において、任意の機械的な油圧または空圧伝達手段33に力を及ぼすためにピストン支持面4を有し、他方において、流体チャンバ27に露出し、流体36の圧力を受けることができる圧縮面11を有する少なくとも1つのピストンヘッド3を備える。
【0030】
伝達手段33は、たとえば、
図1〜
図6に示すようなストラット34であり得ることに留意されたい。
【0031】
特に
図3から
図6を見ると、ピストン用封止デバイス1は、小さい隙間でシリンダ8中に収容され、圧縮面11側のピストンヘッド3の延長部分に、上記ヘッド3の軸に配置された、円筒形状の少なくとも1つの摺動スカート6を備え、上記摺動スカート6は、上記ヘッド3に対して長手方向に並進して移動することを可能にする機械的スカート間接続7により、上記ヘッド3に接続されており、上記機械的接続7は、上記スカート6とともに、摺動接続、摺動回動接続、摺動ボール継手接続、または任意の他のタイプの接続を規定し、小さい隙間が上記スカート6との間に残り、シリンダ8が封止を構成することが分かる。
【0032】
ピストン用封止デバイス1はまた、摺動スカート6の内側に配列され、この摺動スカート6を軸方向に貫通する少なくとも1つの圧力伝達チャネル10を備える。
【0033】
上記デバイス1はまた、固定スカート5と摺動スカート6との間に介挿され、圧力伝達チャネル10を介して流体36の圧力を受ける内側円筒セグメント面12、シリンダ8と接触することが可能な外側円筒セグメント面13、固定スカート5と直接的にまたは間接的に封止接触を保つ、固定スカート側の軸方向セグメント面14、および、摺動スカート6と直接的にまたは間接的に封止接触を保つ、摺動スカート側の軸方向セグメント面15を備える、連続する環状形態の少なくとも1つの拡張可能な連続セグメント9を備え、流体チャンバ27中の圧力がゼロであるとき、上記セグメント9がいかなるカップも含まず、上記セグメント9は、流体36により圧力伝達チャネル10を介して内側円筒セグメント面12に及ぼされる特定の圧力を超えた場合、外側円筒セグメント面13がその全周にわたってシリンダ8と接触するように、シリンダ8と直径隙間を残し、半径厚さを有する。
【0034】
図17に明確に示した本発明によるデバイス1の代替実施形態によれば、接触線42は、外側円筒セグメント面13上に突き出して配列され得ることに留意されたい。上記線42は、固定スカート5の方向に配向された上記線42側には、緩傾斜の長い勾配43が形成され、摺動スカート6の方向に配向された上記線42側には、急傾斜の短い勾配44が形成されるような方法で、摺動スカート6の方向に拡張可能な連続セグメント9の軸方向長さ上で実質的に偏心し得る。
【0035】
拡張可能な連続セグメント9、摺動スカート6または固定スカート5は、窒化され得る、接合され得る、ならびに/あるいはDLC(ダイヤモンド様炭素)で、あるいは、硬質なおよび/または摩擦係数が低い任意の他の被覆剤で被覆され得ることが規定される。外側円筒セグメント面13は、クラウンをもつ、シンプルな勾配をもつ、二重勾配をもつ、ショルダーをもつ、複雑な形状をもつ、あるいは、一般にはセグメントに適用可能であり、上記面13とシリンダ8との間の接触圧力の制御、上記面13と上記シリンダ8との間に形成される油膜の厚さの制御、または拡張可能な連続セグメント9の捻じれ運動、傾斜運動もしくは撓み運動の制御を可能にする任意のジオメトリをもつ外形を有することができることに留意されたい。
【0036】
さらに、外側円筒セグメント面13の外形は、拡張可能な連続セグメント9が、シリンダ8との接触線の両側で上記面13が受ける圧力の平衡化の影響を受けて素早く後退することを可能にするために斜角を付けてもよい。また、固定スカート側の軸方向セグメント面14、および/または摺動スカート側の軸方向セグメント面15ならびに/あるいはスカート5および/または摺動スカート6は、上記面14、15と上記スカート5、6との間の最良の可能な封止を保証するために、上記面14、15と上記スカート5、6との間の接触面を低減することを可能にする軸方向環状突起28を有することができる。
【0037】
上記面14、15が、拡張可能な連続ロック解除セグメント35またはフローティングプレート21と接触している場合に同じことがあてはまり、本発明による封止デバイスの特定の実施形態によれば、このフローティングプレート21は同様に、軸方向環状突起28を含むことができる。
【0038】
図2〜
図6に示すように、ピストン用封止デバイス1は、摺動スカート6を固定スカート5に近づけ、拡張可能な連続セグメント9を軸方向に圧縮する傾向がある少なくとも1つの摺動スカートばね16を備え、上記ばね16は、ベルビルワッシャー、任意のタイプの弾性ワッシャーでも、あるいは、ヘリカルワッシャー、ブレードワッシャー、トーションワッシャー、トラクションワッシャー、圧縮ワッシャー、または当業者に知られている任意のタイプとすることができる。
【0039】
図2〜
図6に示した本発明によるピストン用封止デバイス1の変形形態によれば、機械的スカート間接続7は、圧縮面11と一体であり、摺動スカート6中に軸方向に配列されたマンドレルオリフィス18と協働するマンドレル17からなり得、上記マンドレル17は、上記オリフィス18中に収容され、円形または任意の他の可能なジオメトリの断面を有することができ、上記マンドレル17とマンドレルオリフィス18との間には十分な隙間が残され、それにより、圧力伝達チャネル10を構成する空間が残り、この圧力伝達チャネル10は、同様に、マンドレルオリフィス18中におよび/またはマンドレル17上に配列される少なくとも1つの長手方向溝の形態をとることができる。
【0040】
摺動スカートばね16は、一方がマンドレル17の端部上で支持され、他方が摺動スカート6上で支持される弾性ワッシャー19とすることができ、上記ワッシャー19は、たとえば、
図2、
図4および
図5に示すような絞りを含み得、その中心部は、マンドレル17の端部に配列された停止溝20中に部分的に収容され、上記ワッシャー19はまた、
図3および
図6に示した別の代替実施形態によれば、上記溝20中に収容されたサークリップ46と協働する波形ばねワッシャー45とすることができ、この場合、上記サークリップ46と上記波形ばねワッシャー45との間に平ワッシャー47が介挿され得ることに留意されたい。
【0041】
図2〜
図5および
図7〜
図16は、ピストン用封止デバイス1が、シリンダ8の内径よりも外径が実質的に小さく、かつ、拡張可能な連続セグメント9と固定スカート5との間に、または上記セグメント9と摺動スカート6との間に直接的にまたは間接的に介挿された少なくとも1つのフローティングプレート21をも含むことができ、固定スカート側の軸方向セグメント面14および/または摺動スカート側の軸方向セグメント面15は、上記プレート21との封止接触を保ち、機械的スカート間接続7が上記プレート21を貫通することを可能にする少なくとも1つの軸方向プレートオリフィス31が横断していることを示している。
【0042】
フローティングプレート21は、2つの拡張可能な連続セグメント9の間に、または、拡張可能な連続セグメント9と拡張可能な連続ロック解除セグメント35との間に介挿され得ることに留意されたい。さらに、フローティングプレート21は、窒化され得る、接合され得る、ならびに/あるいはDLC(ダイヤモンド様炭素)で、あるいは、硬質なおよび/または摩擦係数が低い任意の他の被覆剤で被覆され得る。
【0043】
変形形態として、フローティングプレート21は、特に
図8を見ると分かり、摺動スカート6に関して、または固定スカート5に関して上記プレート21を径方向にセンタリングする傾向があるプレートセンタリング手段23を含むことができ、上記手段23は、上記スカート5、6のうちの一方もしくは他方上に、または機械的スカート間接続7上に、またはさもなくば別のフローティングプレート21上に直接的にまたは間接的に支持されている。
【0044】
図5に示すように、フローティングプレート21はまた、摺動スカート6に関する、または固定スカート5に関する拡張可能な連続セグメント9の径方向センタリングに協働するセグメント溝22を含み得る。
【0045】
フローティングプレート21は、上記プレート21のうちの1つの面から他の面へと流体36を流すことを可能にする軸方向チャネル、および/または上記プレート21の中央から外周に向かって流体36が流れることを可能にする別の径方向チャネル、溝もしくはボアを含むことができることに留意されたい。
【0046】
図1〜
図5および
図7を見ると分かるように、ピストン用封止デバイス1の固定スカート5は、上記スカート5の外側円筒表面上に配列されたスクレーパー溝25中に収容された少なくとも1つのスクレーパーセグメント24を含むことができ、上記セグメント24は、固定スカート5と摺動スカート6との間に蓄積された油を常に保つような方法で、シリンダ8の内壁と永続的に接触したままであり、耐摩擦性および/または耐摩耗性材料を含むことも含まないこともある、あるいは、単純な継手または混用継手であり得る、あるいは、カップを含む金属リングであり得る、ゴムまたは弾性材のような可撓性材料で作製され得る。
【0047】
可撓性材料で作製される場合には、スクレーパーセグメント24は、窒化され得る、接合され得る、ならびに/あるいはDLC(ダイヤモンド様炭素)で、あるいは、硬質なおよび/または摩擦係数が低い任意の他の被覆剤で被覆され得る。上記セグメント24は、クラウンをもつ、円錐形の、あるいは、一般にはセグメントに適用可能であり、上記シリンダ8に対して上記セグメント24により及ぼされる接触圧力の制御、または、上記セグメント24と上記シリンダ8との間に形成される油膜の厚さの制御、あるいは、上記セグメント24の捻じれ運動、傾斜運動もしくは撓み運動の制御をも可能にする任意のジオメトリを有する外形を含むことができることに留意されたい。
【0048】
図3、
図5および
図7において、スクレーパー溝25は、有利には、固定スカート5の軸方向外周に生成されたボア29によって構成することができ、上記ボア29は、ボアワッシャー30と協働し、この構成により、非常に小さい直径のピストン2にスクレーパーセグメント24を装着することが可能になることが留意されよう。
【0049】
図17に示した変形形態によれば、外側円筒セグメント面13は、外側円筒セグメント面13が上記シリンダ8と接触しているときに、圧力を受けた非常に少量の油が拡張可能な連続セグメント9とシリンダ8との間を通過することを可能にする少なくとも1つの軸方向マイクロリーク溝26を含むことができる。
【0050】
図7において、内側円筒セグメント面12は、固定スカート5および/または摺動スカート6との封止を直接的にまたは間接的に生成するために、可撓性材料で作製された少なくとも1つの円形封止継手32と協働することができ、上記継手32は、ラウンド状断面、スクエア状断面、多角形断面、複雑な断面、または当業者により達成可能な任意のジオメトリの断面を有し得、上記封止は、内側円筒セグメント面12と固定スカート5および/または摺動スカート6との間に直接的に上記継手32により生成され得ること、あるいは、上記面21と上記スカート5、6との間に間接的に介挿された、少なくとも1つのフローティングプレート21および/または拡張可能な連続ロック解除セグメント35との封止を同時に生成することによって生成され得ることが留意されよう。
【0051】
本発明によるピストン用封止デバイス1の変形形態によれば、拡張可能な連続セグメント9が、その軸方向長さのすべてにわたって、径方向では、固定スカート側5で、摺動スカート6側よりも厚くなく、剛性が低く、外側円筒セグメント面13が、その一部については、上記セグメント9の軸方向長さのすべてにわたって、ほぼ同じ直径のままであるような方法で、固定スカート5に最も近接している内側円筒セグメント面12の長さの軸方向部分は、平均して、摺動スカート6に最も近接している上記内側円筒面12の長さの軸方向部分よりも大きい直径を有することができる。
【0052】
この特定のジオメトリにより、特に、拡張可能な連続セグメント9が、流体チャンバ27の圧力の増大中に、摺動スカート6の方向に、圧力を受けた少量の油または任意の他の流体36を、ポンプのように駆動することが可能になることが理解されよう。
【0053】
この配列は、上記セグメント9が、ピストン2とシリンダ8との間に中間圧力の封止を生成するように要求される場合に当てはまり、この目的のために、一方における、最低圧力の上記封止を生成するために摺動スカート6に最も近接して配置された拡張可能な連続セグメント9と、他方における、最高圧力の上記封止を生成するために固定スカート5に最も近接して置かれた別の拡張可能な連続セグメント9との間に位置することに留意されたい。したがって、上記セグメント9が中間圧力で動作すると、シリンダ8と接触した後に生成され、流体チャンバ27中の圧力が上昇し続けるポンプ効果によって、より低い圧力で動作し、摺動スカート6により近接して配置される直ぐ隣の拡張可能な連続セグメント9が、流体チャンバ27の圧力の上記増大中に後退することが可能になる。この後退の効果は、本発明によるピストン用封止デバイス1により発生する摩擦を制限するために必要である。
【0054】
図2および
図4、ならびに
図6〜
図16に示すように、本発明によるピストン用封止デバイス1は、その外径が、シリンダ8の内径よりも実質的に小さく、2つの拡張可能な連続セグメント9との間に直接的にまたは間接的に介挿された、連続する環状形態の少なくとも1つの拡張可能な連続ロック解除セグメント35を含むことができ、上記拡張可能な連続ロック解除セグメント35は、圧力伝達チャネル10を介して流体36の圧力を受ける内側円筒ロック解除セグメント面37、シリンダ8を一緒に近づけることができる外側円筒ロック解除セグメント面38、および各々が2つの拡張可能な連続セグメント9のうちの1つとの封止接触を直接的にまたは間接的に保つ2つの軸方向ロック解除セグメント面39を備える。
【0055】
上記ロック解除セグメント37は、カップを含んでおらず、シリンダ8との直径方向隙間が残り、かつ、上記ロック解除セグメント37と封止接触しており、固定スカート5に最も近接している拡張可能な連続セグメント9が、シリンダ8と接触した時点後に、上記ロック解除セグメント37の外側円筒ロック解除セグメント面38と上記シリンダ8との間に依然として特定の距離があるような径方向厚さを有することに留意されたい。拡張可能な連続セグメント9とシリンダ8との接触の確立後、流体チャンバ27中の圧力が増大し続けるにつれて、外側円筒ロック解除セグメント面38の直径が増大し続け、それにより、上記2つの拡張可能な連続セグメント9の上記面38とシリンダ8との間に含まれる流体36の圧力を増大させ、したがって、上記ロック解除セグメント37と封止接触しており、摺動スカート6に最も近接している拡張可能な連続セグメント9のシリンダ8との接触線の両側で外側円筒セグメント面13が受ける圧力を平衡化する傾向がある。
【0056】
その結果、上記拡張可能な連続セグメント9は、上記ロック解除セグメント37と封止接触しており、固定スカート5に最も近接している拡張可能な連続セグメント9に対して、ピストン2とシリンダ8との間の封止を保証するための責任を果たすような方法で、素早く後退することができる。拡張可能な連続ロック解除セグメント35は、窒化され得る、接合され得る、ならびに/あるいはDLC(ダイヤモンド様炭素)で、あるいは、硬質なおよび/または摩擦係数が低い任意の他の被覆剤で被覆され得ることに留意されたい。
【0057】
さらに、軸方向ロック解除セグメント面39は、接触面を減らし、上記面39と拡張可能な連続セグメント9との間の接触圧力を、または、上記面39とフローティングプレート21との間の接触圧力を増大させる軸方向環状突起28を含むことができる。上記突起28は、本発明によるピストン用封止デバイス1の封止を補強する。
【0058】
特に
図6を見ると、摺動スカート6は、変形形態として、上記スカート6に関して拡張可能な連続セグメント9をセンタリングするために内側円筒セグメント面12と協働する拡張可能な連続セグメントセンタリング手段40、および/または上記スカート6に関して拡張可能な連続ロック解除セグメント35をセンタリングするために内側円筒ロック解除セグメント面37と協働するロック解除セグメントセンタリング手段41を有することができることが分かる。
【0059】
図2〜
図4および
図8に表されたピストン用封止デバイス1の別の変形形態によれば、拡張可能な連続セグメント9および/または拡張可能な連続ロック解除セグメント35は、たとえばマンドレル17と協働することができるセンタリングリングセンタリング手段49によってそれ自体が上記スカート6に関してセンタリングされるセンタリングリングによって、摺動スカート6に関して概センタリング状態を保つことができる。
【0060】
機械的スカート間接続が上記リング49を横断することを可能にする少なくとも1つの軸方向オリフィスがセンタリングリング49を横断し、このセンタリングリングは、上記リング49の1つの面から他の面へと流体36を流すことを可能にする軸方向チャネル、および/または上記プレート49の中央から外周に向かって流体36が流れることを可能にする別の径方向チャネル、溝もしくはボアを含むことができることを留意されたい。
【0061】
本発明の動作
固定スカート5と摺動スカート6との間に介挿された3つの拡張可能な連続セグメント9を備え、拡張可能な連続ロック解除セグメント35が各セグメント9の間に介挿された、ピストン用封止デバイス1の動作は、非限定的な代替実施形態として上記デバイス1が示されている
図9〜
図16について考察すると理解されよう。
【0062】
本発明による上記デバイス1のこの実施形態によれば、流体チャンバ27は、圧力が可変である流体36で満たされており、上記流体36は油である。上記油の圧力の影響を受けて、ピストン2は、機械的伝達手段33を押すことができ、これらの伝達手段は、
図1〜
図6に開示される非限定的な例によれば、ストラット34の形態をとることが留意されよう。
【0063】
封止デバイス1の動作の理解を促進するために、本明細書では、第1の拡張可能な連続セグメント9、摺動スカート6側から「低圧セグメントA」、第2の「中間圧力セグメントB」、および第3の「高圧セグメントC」について言及する。したがって、この上述のセグメントCは、固定スカート5に最も近接して位置するセグメントである。
【0064】
同様に、本明細書では、低圧セグメントAと中間圧力セグメントBの間に位置する拡張可能な連続ロック解除セグメント35「低圧ロック解除セグメントD」について言及し、中間圧力セグメントBと高圧セグメントCの間に位置する拡張可能な連続ロック解除セグメント35「中間圧力ロック解除セグメントE」についても言及する。
【0065】
したがって、
図9〜
図16に表された封止デバイス1は、4つの動作モードに応じたシリンダ8中のピストン2の封止を保証し、上記モードの各々は、流体チャンバ27中に含まれている油により圧縮面11に対して及ぼされ得る圧力範囲に対応する。
【0066】
本発明によるデバイス1の動作の説明を簡略化するために、
図9〜
図16の図にしたがって、拡張可能な連続セグメント9が軸方向環状突起28を含み、環状突起のすべてが、同じ接触直径を有する場合についてのみ考察する。同様に、流体チャンバ27において特定の油圧が優勢ではないときに、低圧セグメントAの外側円筒セグメント面13、中間圧力セグメントBの外側円筒セグメント面13、および高圧セグメントCの外側円筒セグメント面13が同じ直径を有することについて考察する。
【0067】
したがって、本発明によるピストン用封止デバイス1の動作は以下の通りである。
【0068】
図9に示したように流体チャンバ27において低圧が優勢である場合には、ピストン2とシリンダ8との間の封止を保証するために、かつ、上記チャンバ27中に含まれている油が、上記ピストン2と上記シリンダ8との間から流出すること防止するために、拡張可能な連続セグメント9を利用しない。この低レベルの圧力では、摺動スカート6と上記シリンダ8との間に存在する小さい隙間のみによって、上記封止が達成される。
【0069】
流体チャンバ27において優勢な圧力は低いが、それにもかかわらず、3つの拡張可能な連続セグメント9の各々の内側円筒セグメント面12に、そして、2つの拡張可能な連続ロック解除セグメント35の各々の内側円筒ロック解除セグメント面37に直ちに伝達される。上記圧力は、摺動スカート6の内側に配列された圧力伝達チャネル10を介して、上記面12、37に伝達され、上記チャネル10は、上記スカート6を軸方向に貫通している。
【0070】
図9に示すように、この結果として、3つの拡張可能な連続セグメント9の外側円筒セグメント面13の直径は実質的に増大するが、上記面13がシリンダ8と接触するには十分でなくなる。同様に、2つの拡張可能な連続ロック解除セグメント35の外側円筒ロック解除セグメント面28の直径は実質的に増大するが、シリンダ8の壁から特定の距離が残っている。
【0071】
図9〜
図16では、たとえば
図6についても、流体チャンバ27中に含まれている油は、圧力伝達チャネル10を介して、次いで、低圧セグメントAと摺動スカート6との間から、任意の拡張可能な連続セグメント9とそれが協働する拡張可能な連続ロック解除セグメント35との間から、高圧セグメントCと固定スカート5との間から流出することができないか、あるいは、ほとんど流出することができないことが留意されよう。実際には、これらの構成要素は、一方では摺動スカートばね16によって、他方では、摺動スカート6に対して油の圧力により生成され、固定スカート5に摺動スカート6を近づける傾向がある力によって、互いに軸方向に圧縮される。上記力は、上記圧力と摺動スカート6の直径のセクションとの積から、上記圧力と低圧セグメントAの軸方向環状突起28の接触直径のセクションとの積を引いた差にほぼ等しいことに留意されたい。前に開示したように、上記突起は、上記摺動スカート6と上記セグメントAとの間の封止を保証する。
【0072】
図9〜
図16では、低圧セグメントAの平均径方向厚さは、中間圧力セグメントBの平均径方向厚さよりも小さく、中間圧力セグメントBの平均径方向厚さは、高圧セグメントCの平均径方向厚さよりも小さいことが留意されよう。したがって、同じ油圧の影響下では、低圧セグメントAの外側円筒セグメント面13の直径は、中間圧力セグメントBの上記面13の直径よりも増大し、中間圧力セグメントBの上記面13の直径は、高圧セグメントCの上記面13の直径よりも増大する。
【0073】
同じ原理によれば、低圧ロック解除セグメントDの平均径方向厚さは、中間圧力ロック解除セグメントEの径方向厚よりも小さい。この結果として、同じ油圧の影響下では、低圧ロック解除セグメントDの外側円筒ロック解除セグメント面28の直径は、中間圧力ロック解除セグメントEの外側円筒ロック解除セグメント面28の直径よりも増大する。
【0074】
流体チャンバ27中に含まれている油の圧力が増大し続けるにつれて、3つの拡張可能な連続セグメント9の外側円筒セグメント面13の直径は、
図10に示すように、低圧セグメントAのこの外側円筒セグメント面13がシリンダ8と周方向接触するまで増大し続ける。
【0075】
上記面13によりシリンダ8に対して及ぼされる接触圧力は、
図17において詳細に視認できるような低圧セグメントAの上記面13の外形により詳細にあらかじめ定められており、この外形は、同様に、中間圧力セグメントBおよび高圧セグメントCの外側円筒セグメント面13に適用可能であることに留意されたい。したがって、油により上記セグメントAの内側円筒セグメント面12に対して及ぼされる圧力は、剛性と組み合わされ、この内側円筒セグメント面12の外形は、上記セグメントAとシリンダ8との間に要求される封止を構成する。
【0076】
流体チャンバ27において圧力が増大し続けるにつれて、低圧セグメントAの外側円筒セグメント面13の直径はシリンダ8に対して増大した圧力を及ぼし、
図11に示すように、中間圧力セグメントBの外側円筒セグメント面13の直径および高圧セグメントCの直径は、中間圧力セグメントBの外側円筒セグメント面13がシリンダ8と周方向接触するまで増大し続ける。この段階において、高圧セグメントCの径方向厚さが中間圧力セグメントBの径方向厚さよりも大きく、ならびにその剛性も同様であるので、油圧は、上記高圧セグメントCの外側円筒セグメント面13がシリンダ8と周方向接触するには不十分なままである。
【0077】
シリンダ8と周方向接触すると、中間圧力セグメントBは、低圧セグメントAとして機能することによって、上記中間圧力セグメントBと上記シリンダ8との間の封止を生成する。
【0078】
この段階において、低圧セグメントAと中間圧力セグメントBは両方ともシリンダ8と接触しており、低圧セグメントAのみが、ピストン2とシリンダ8との間を通過し得る加圧下の油を効果的に止める。
【0079】
流体チャンバ27において圧力が増大し続けるにつれて、低圧ロック解除セグメントDの作用のおかげで、低圧セグメントAにより保証される効果的な封止を中間圧力セグメントBに伝達することができる。
【0080】
実際には、低圧セグメントAと、中間圧力セグメントBと、低圧ロック解除セグメントDの外側円筒ロック解除セグメント面38と、シリンダ8の壁との間に残された小さな空間に、超低圧の油が閉じ込められる。この空間は、その容積の非常に小さな絶対的低減が、そこに含まれている油の圧力の実質的な相対的増大をもたらすほど小さい。
【0081】
流体チャンバ27において圧力が増大し続けるにつれて、低圧ロック解除セグメントDの外側円筒ロック解除セグメント面38の直径が増大し、上記面38は、上記空間中に含まれている油を圧縮する。上記油は次いで、低圧セグメントAの外側円筒セグメント面13に対して増大した圧力を及ぼし、上記圧力は、流体チャンバ27中に含まれている油により圧力伝達チャネル10を介して上記低圧セグメントAの内側円筒セグメント面12に対して及ぼされる圧力に近づく。
【0082】
上記空間において特定の圧力を超えると、低圧セグメントAは、もはやシリンダ8と接触し続けることはできず、
図12に示すように、後退する。この場合、シリンダ8との封止はもはや保証されず、流体チャンバ27の圧力は、低圧セグメントAと、中間圧力セグメントBと、低圧ロック解除セグメントDの外側円筒ロック解除セグメント面38と、シリンダ8の壁との間に最初に残された空間まで直ちに伝搬する。これは、
図13に示すように、低圧ロック解除セグメントDの後退を終了し、同様に低圧ロック解除セグメントDの後退を終了する効果を有する。
【0083】
したがって、この段階では、中間圧力セグメントBのみが、ピストン2とシリンダ8との間の必須の封止を保証したままとなる。
【0084】
流体チャンバ27において圧力が増大し続けるにつれて、
図14〜
図16に示すように、封止の構築における作用の同じシーケンスが、中間圧力セグメントBと高圧セグメントCとの間に起こり、前に使用された低圧ロック解除セグメントDは、上記シーケンスにおいて、中間圧力ロック解除セグメントEと置換される。
【0085】
図1〜
図5および
図7において、スクレーパーセグメント24は、有利には、固定スカート5の外側円筒表面上に配列されたスクレーパー溝25中に、または、上記スカート5の軸方向外周に形成されたボア29中に提供され得ることが留意されよう。このスクレーパーセグメント24は、ピストン2がシリンダ8中で実行することができる迅速な往復移動が、加速によって、一方では拡張可能な連続セグメント9とシリンダ8との間に含まれ、他方では拡張可能な連続ロック解除セグメント35と上記シリンダ8との間に含まれている油を減圧することを防止する。実際には、任意の拡張可能な連続セグメント9がこれまで役目を果たしてきた封止を、固定スカート5により近接して配置された隣接する拡張可能な連続セグメント9に伝達するために後退しなければならない任意の拡張可能な連続セグメント9がこれを効果的に行うことができるように、上記油の存在は必要である。この後退は、流体チャンバ27の圧力を連続的に増大させるために、後退しなければならない上記セグメント9の直後の固定スカート5の方向に位置する拡張可能な連続ロック解除セグメント35が、その外側円筒ロック解除セグメント面38とシリンダ8との間に閉じ込められた油を効果的に圧縮することができる場合にのみ動作することができる。この条件は、後退しなければならない拡張可能な連続セグメント9の外側円筒セグメント面13に対して油により及ぼされる圧力が、上記セグメント9の内側円筒セグメント面12に対して上記油により及ぼされる圧力に近づき、それにより、必要に応じて上記セグメント9を効果的に後退させるために必要である。
【0086】
有利には、摺動スカート6は、低圧セグメントAがシリンダ8と周方向接触する圧力よりも流体チャンバ27中の圧力が低くなるたびに、常に、摺動スカート6自体とシリンダ8との間から非常に少量の油が流出することを可能にすることに留意されたい。したがって、摺動スカート6およびスクレーパーセグメント24は、常に、一方では拡張可能な連続セグメント9とシリンダ8との間に、他方では拡張可能な連続ロック解除セグメント35と上記シリンダ8との間に油を保つ。
【0087】
固定スカート5とシリンダ8との間に残された小さい隙間により、任意選択で、スクレーパーセグメント24を使用する必要がなくなることがあることが留意されよう。
【0088】
本発明によるピストン用封止デバイス1は、流体チャンバ27において優勢な圧力が上下しているように動作し、拡張可能な連続セグメント9は各々、あらかじめ定められた圧力範囲内でシリンダ8と周方向接触することに留意されたい。
【0089】
流体チャンバ27における上昇圧力段階では、特定の圧力範囲にわたって、ただ1つの拡張可能な連続セグメント9がシリンダ8と接触しており、他の圧力範囲では、拡張可能な連続セグメント9がこれまで役目を果たしていた封止を、固定スカート5により近接して配置された隣接する拡張可能な連続セグメント9に伝達する場合、これらの2つの隣接する拡張可能な連続セグメント9は、一時的に、シリンダ8と同時に接触していることが留意されよう。本発明によるピストン用封止デバイス1により行われるこの特定の動作により、ピストン2とシリンダ8との間の油漏れがある場合であっても、それを最小限に抑えることが可能になる。
【0090】
図17は、ピストン用封止デバイス1の代替実施形態にしたがって提供され得る拡張可能な連続セグメント9の外側円筒セグメント面13の外形を示す。上記外形は、外側円筒セグメント面13上に突き出して配列され、摺動スカート6の方向に拡張可能な連続セグメント9の軸方向長さ上で実質的に偏心している接触線42を規定する。上記外形の結果として、固定スカート5の方向に配向された上記線42側では、緩傾斜の長い勾配43となり、摺動スカート6の方向に配向された上記線42側では、急傾斜の短い勾配44となる。
【0091】
外側円筒セグメント面13の外形のこの非限定的な例は、上記線42に対して及ぼされる力が低いままであるという事実にもかかわらず良好な封止を達成するために、接触線42の領域において十分に高い接触圧力を保証する。実際には、上記力は、緩傾斜の長い勾配43の長さにわたって内側円筒セグメント面12に対して油により及ぼされる圧力から、その固有の剛性に起因して拡張可能な連続セグメント9の後退力を引いた差となる。
【0092】
接触線42に対して及ぼされる力がわずかに不足していることにより、上記線42とシリンダ8との間の接触面における摩擦による損失が小さくなる。しかるに、上記線42の接触の幅が小さくなった結果、シリンダ8に対する上記線42の接触圧力が高くなり、上記圧力は、良好な封止を提供する。
【0093】
ここでは、緩傾斜の長い勾配43の高さおよび急傾斜の短い勾配44の高さは、実際には、数マイクロメートルにすぎないことが規定され得る。特に、緩傾斜の長い勾配43の高さは、上記勾配43が配列される拡張可能な連続セグメント9が後退するために、上記勾配43に隣接する拡張可能な連続ロック解除セグメント35が、この勾配43とシリンダ8との間の油に圧縮するときに、ならびに圧縮すべきときに、上記勾配43とシリンダ8との間に十分な空間があるように算出される。
【0094】
上述したピストン用封止デバイス1の動作に関する記載を読むと、ピストン2が含み得る拡張可能な連続セグメント9および拡張可能な連続ロック解除セグメント35の数は制限されないことが容易に推測されるであろう。また、ピストン2とシリンダ8との間に生じる摩擦による損失は、上記ピストン2が含む拡張可能な連続セグメント9の数が増えるにつれて小さくなることが理解されよう。
【0095】
超低圧時には、上記デバイス1は、拡張可能な連続セグメント9とシリンダ8との間に有意な摩擦を発生させず、摺動スカート6とシリンダ8との間に残された小さい隙間により十分に封止が達成されることを想起されたい。
【0096】
封止のために油の圧力が流体チャンバ27において上昇したとき、任意の拡張可能な連続セグメント9とシリンダ8との間の摩擦は、上記圧力の影響を受けて上記セグメント9の外側円筒セグメント面13により上記シリンダ8に対して及ぼされる力は、その剛性に起因して上記セグメント9が発生させた対向する後退力によって低減されるので制限されたままであり、上記セグメント9が発生させた対向する後退力は、上記セグメント9の直径の増大に反比例することに留意されたい。しかるに、上記シリンダ8に対して上記面13により及ぼされる周方向の接触圧力は、良好な封止を保証するのに充分な高さを保つことができ、上記圧力は、詳細には、
図17に例として表されるように、上記面13の外形によってあらかじめ定められる。
【0097】
したがって、本発明によるピストン用封止デバイス1は、流体チャンバ27中に含まれている油が、2,000バール以上のオーダーの超高圧を受ける場合であっても、適度の摩擦と良好な封止の両方を維持することを可能にする。実際には、そのような圧力から生じるシリンダ8の直径の実質的な変動は、本発明によるデバイス1の動作も、良好な封止を保証するデバイス1の能力も妨げず、摩擦のレベルを低くする。これは、各拡張可能な連続セグメント9が、必要な圧力に基づいて上記シリンダ8と周方向接触し、必要な封止を生成するためにその外側円筒セグメント面13と上記シリンダ8との間に必要な接触圧力を発生させるために、有利には、シリンダ8の剛性を考慮して各拡張可能な連続セグメント9の径方向厚さは算出される、という事実に由来する。
【0098】
一般に、本発明によるピストン用封止デバイス1は、少なくとも、摺動スカート6、拡張可能な連続セグメント9、拡張可能な連続ロック解除セグメント35、およびシリンダ8を作り出すために高い機械加工精度を必要とし、上記精度は、低圧時の正確な封止を保証し、上記セグメント9、35と上記シリンダ8との間に残された隙間を最小限に抑えるために必要である。
【0099】
さらに、超高圧時のコンテキストで上記デバイス1が使用される場合、拡張可能な連続セグメント9が、過剰な機械的歪みを受けて高い疲労応力を受けないために、シリンダ8の剛性は十分に高くなければならない。
【0100】
したがって、一方では拡張可能な連続セグメント9および拡張可能な連続ロック解除セグメント35のそれぞれの径方向厚さ、他方では上記セグメント9、35とシリンダ8との間に残された隙間は、本発明によるピストン用封止デバイス1の動作を決定する主要な因子であることが留意されよう。同じことが、上記セグメント9、35の径方向剛性に対するシリンダ9の径方向剛性にも当てはまる。さらに、外側円筒セグメント面13上の接触線42の軸方向配置、ならびにシリンダ8上の上記線42の接触の幅は、上記線42を備えるセグメントの内側円筒セグメント面12に印加された圧力の関数として、本発明によるデバイス1の動作を実質的に決定する。いずれの場合も、上記デバイス1の設計および寸法設定は、有利には、有限要素法を使用することができる。
【0101】
また、本発明によるピストン用封止デバイス1の作動原理は、高強度で、機械抵抗が高く、疲労抵抗が高い材料で製造される拡張可能な連続セグメント9および拡張可能な連続ロック解除セグメント35を示唆するものである。
【0102】
本発明によるピストン用封止デバイス1の可能性は、上述した適用例に限定されるものではなく、さらに、上記説明は例として与えられたものにすぎず、記載された任意の他の等価物により実施の詳細と置き換えることによって、そこから逸脱しない上記発明の範囲をいかなる方法でも限定しないことを理解されたい。