(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476199
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】共振調整誘導充電器における充電電流の監視または制御
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20190218BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 301D
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-554598(P2016-554598)
(86)(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公表番号】特表2017-506873(P2017-506873A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】US2015017686
(87)【国際公開番号】WO2015130902
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年10月26日
(31)【優先権主張番号】14/194,144
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】グンダーソン, デイビッド, アレン
【審査官】
坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−502131(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/126963(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0260676(US,A1)
【文献】
再公表特許第98/034319(JP,A1)
【文献】
特開2010−226890(JP,A)
【文献】
特開2013−123237(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/090565(WO,A1)
【文献】
特開2005−237155(JP,A)
【文献】
特開2010−028898(JP,A)
【文献】
国際公開第98/034319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を電源からバッテリに磁気的に転送するためのバッテリ充電器であって、
前記バッテリ充電器は、駆動回路、送電機側調整回路、送電機側センサおよびコントローラを含み、
前記駆動回路は、前記電源に結合可能であり、前記電源からのエネルギーと一緒に変調信号を出力するように構成され、
前記変調信号は、デューティサイクルを有し、
前記送電機側調整回路は、携帯用ハンドヘルド電子機器の受電機側調整回路に隙間を介して磁気的に結合可能であり、前記受電機側調整回路の共振周波数と同一の共振周波数またはその近傍の共振周波数を有するように構成され、
前記送電機側センサは、前記送電機側調整回路の電圧を検出するように構成され、
前記コントローラは、前記駆動回路及び前記送電機側センサに結合され、
前記コントローラは、
前記駆動回路に、前記送電機側調整回路と前記受電機側調整回路の少なくとも一つの共振周波数と同一であるか又はその近傍である周波数を有し且つ第1デューティサイクルを有する変調信号を出力させて、
前記送電機側調整回路の検出された電圧に基づいて前記変調信号の第1デューティサイクルを変更し、
前記送電機側調整回路は、インダクタを含み、
前記送電機側センサは、前記インダクタのハイサイドに結合された第1端子を有するダイオードを含み、前記ダイオードの第2端子は、ローパスフィルタ及び電圧分圧器を介して、前記コントローラと結合されており、
前記ローパスフィルタ及び電圧分圧器は抵抗器を共有する、バッテリ充電器。
【請求項2】
前記送電機側センサはさらに、入力信号の電圧を前記ハイサイド電圧に比例して低減して、前記入力信号を前記コントローラへの入力に適した電圧レベルにするように構成されている、請求項1に記載のバッテリ充電器。
【請求項3】
前記コントローラはさらに、
検出された電圧がしきい値よりも大きい場合、前記デューティサイクルを減少させ、
検出された電圧が前記しきい値よりも小さい場合、前記デューティサイクルを増加させるように構成されている、請求項1又は請求項2に記載のバッテリ充電器。
【請求項4】
前記送電機側調整回路及び前記受電機側調整回路が互いに誘導結合されていない場合に、前記送電機側調整回路は、ピークしきい値電圧レベルを超えるハイサイド電圧を有するように構成されている、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバッテリ充電器。
【請求項5】
前記インダクタのハイサイド電圧がピークしきい値電圧レベルを超えると判断された場合に、前記コントローラは、休止モードに入るように構成されている、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバッテリ充電器。
【請求項6】
電力を送電機側回路から受電機側の回路に伝送して受電機側のバッテリを充電する方法であって、
前記送電機側回路は、インダクタを含み、
前記方法は、
電源によって提供される電圧を前記送電機側回路のインダクタを通じて変調することにより、電力供給サイクルを開始するステップ、
前記送電機側回路のインダクタのハイサイドにおいて電圧センサによって検出された電圧に対応する電圧レベルを決定するステップ、
決定された電圧レベルを所定のしきい値電圧レベルと比較するステップ、および
決定された電圧レベルと所定のしきい値電圧レベルとの比較に基づいて変調された電圧のデューティサイクルを変更するステップ
を含み、
電力供給サイクルを開始するステップにおいて、変調された電圧は、一定の所定の周波数と、第1デューティサイクルを有し、
前記送電機側回路のインダクタの電圧センサは、前記送電機側回路のインダクタのハイサイドに結合された第1端子を有するダイオードを含み、前記ダイオードの第2端子は、ローパスフィルタ及び電圧分圧器を介して、コントローラと結合されており、
前記ローパスフィルタ及び電圧分圧器は抵抗器を共有する、方法。
【請求項7】
変調された電圧の前記所定の周波数は、前記送電機側回路の共振周波数および前記受電機側回路の共振周波数のうち少なくとも一つに対応するものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記変調された電圧のデューティサイクルを変更するステップは、
前記送電機側インダクタのハイサイドでの前記決定された電圧レベルが前記所定のしきい値電圧レベルより大きい場合、前記デューティサイクルを減少させるステップ、および
前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが前記所定のしきい値電圧レベルより小さい場合、前記デューティサイクルを増加させるステップを含む、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記変調された電圧のデューティサイクルを変更するステップは、
前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが最大デューティサイクルより大きい場合、前記デューティサイクルを最大デューティサイクルに設定するステップ、および
前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが最小デューティサイクルより小さい場合、前記デューティサイクルを最小デューティサイクルに設定するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記受電機側インダクタのハイサイドの前記決定された電圧レベルを用いて、前記送電機側回路と前記受電機側回路が互いに誘導結合されていないかどうかを判断するステップをさらに含む、請求項6〜請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記送電機側回路と前記受電機側回路が互いに誘導結合されていない場合は、デューティサイクルを休止モードに対応するように調整するステップをさらに含む、請求項6〜請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
1又は複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、1又は複数の前記コンピューティングデバイスに請求項6に記載の方法を実行させる指令を含む非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項13】
1又は複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、1又は複数の前記コンピューティングデバイスの請求項7に記載の方法を実行させる指令を含む非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項14】
1又は複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、1又は複数の前記コンピューティングデバイスの請求項8に記載の方法を実行させる指令を含む非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項15】
1又は複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、1又は複数の前記コンピューティングデバイスの請求項9に記載の方法を実行させる指令を含む非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項16】
1又は複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、1又は複数の前記コンピューティングデバイスの請求項10に記載の方法を実行させる指令を含む非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項17】
1又は複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、1又は複数の前記コンピューティングデバイスの請求項11に記載の方法を実行させる指令を含む非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項18】
ポータブルデバイスに結合された受電機側充電回路をさらに備え、
前記受電機側充電回路は、バッテリの充電状態を判断することができ、
前記受電機側充電回路は、受電機側調整回路および受電機側センサを含み、
前記受電機側調整回路は、受電機側共振周波数を有し、
前記受電機側センサは、コントローラの入力に結合され、前記受電機側調整回路の電圧を検出するように構成され、
前記受電機側調整回路は、前記バッテリに結合可能であり、実質的に類似の共振周波数を有する前記送電機側調整回路と空間を介して誘導結合可能であり、
前記コントローラは、検出された電圧が前記受電機側調整回路のしきい値レベルより小さい場合、充電が行われていないと警告をするように構成される、請求項1に記載のバッテリ充電器。
【請求項19】
充電が行われていないという警告は、LEDのオンまたはオフを含む、請求項18に記載のバッテリ充電器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導充電は低コストの電子分野にますます多く使用されている無線充電技術である。ある誘導充電技術は、固定された周波数および可変デューティファクタを持つPWM方式の送電機側発振器を使用する。この方式は、送電機側のPWMデューティファクタを制御する際に、検出された受電機側の電流をフィードバックとして利用する必要があるという欠点がある。従来は、受電機側に設置された装置を用いて、受電機側の充電電流を検出して、検出された受電機側の充電電流情報をエアギャップを通じて受電機側から送電機側の部品に送電することにより、このようなフィードバックを実行した。送電機側装置と受電機側装置との間のこのような無線フィードバックメカニズムは、構成を複雑にし、コストを増加させるため、多くの低コストの電子応用分野には適していない。
【0002】
また、装置間の効率的な誘導電力伝送のためには、送電機側と受電機側の装置との間の適切な位置が重要である。既存のシステムは、装置間の位置が充電に影響を与えているか、その影響により不十分な充電または信頼できない充電が生じるか否かをテストすることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の選択を、簡略化した形態として紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求の範囲に記載された発明対象の重要な特徴を特定するために意図されたものではなく、請求項に記載された発明対象の範囲を決定するために用いられるように意図されたものでもない。
【0004】
本発明の一側面によると、電力を電源からバッテリに磁気的に転送するためのバッテリ充電器が提供される。前記バッテリ充電器は電源に結合可能である駆動回路を含み、いくつかの実施形態において、前記駆動回路は、前記電源からのエネルギーと一緒に、デューティサイクルを有する変調信号を出力するように構成される。前記バッテリ充電器は、携帯用ハンドヘルド電子機器の受電機側調整回路に隙間を介して磁気的に結合可能である送電機側調整回路をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記送電機側調整回路は前記受電機側調整回路の共振周波数と同一の共振周波数またはその近傍の共振周波数を有するように構成される。前記バッテリ充電器は、前記送電機側の調整回路のパラメータを検出するように構成されるセンサのような送電機側ィードバックデバイスと、前記駆動回路及び前記送電機側センサに結合されるコントローラとをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、前記駆動回路に、前記送電機側調整回路と前記受電機側調整回路の少なくとも一つの共振周波数と同一であるか又はその近傍である周波数を有し且つ第1デューティサイクルを有する変調信号を出力させて、前記送電機側調整回路の検出されたパラメータに基づいて前記変調信号の第1デューティサイクルを変更させる。
【0005】
本発明の一つ以上の実施形態において、前記送電機側センサは、前記送電機側調整回路の電圧を検出するように構成される。いくつかの実施形態において、前記送電機側センサはさらに、入力信号を前記ハイサイド電圧に比例してスケーリングして、前記入力信号が前記コントローラに好適に対応するように構成される。これに限定されない実施例において、前記送電機側センサは、前記インダクタのハイサイドに結合された第1端子を有するダイオードを含み、前記ダイオードの第2端子は、ローパスフィルタを介して、前記コントローラと結合されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記送電機側調整回路は、インダクタ及びコンデンサを含み、前記送電機側センサは、前記インダクタのハイサイドの前記送電機側の調整回路の電圧を検出するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記コントローラは、検出されたパラメータがしきい値よりも大きい場合、前記デューティサイクルを増加させ、検出されたパラメータが前記しきい値よりも小さい場合、前記デューティサイクルを減少させるように構成される。いくつかの実施形態において、前記インダクタのハイサイド電圧がピークしきい値電圧レベルを超えると判断された場合に、前記コントローラは、休止モードに入るように構成される。
【0008】
本発明の他の実施形態において、電力を送電機側回路から受電機側の回路に伝送して受電機側のバッテリを充電する方法が提供される。バッテリ充電方法は電源によって提供される電圧を前記送電機側回路のインダクタを通じて変調することにより、電力供給サイクルを開始するステップを含む。ここで、変調された電圧は、定数値の所定の周波数及び第1デューティサイクルを有する。バッテリ充電方法は前記送電機側インダクタのハイサイドから電圧センサによって検出された電圧に対応する電圧レベル変数を決定するステップ、及び決定された電圧レベル変数を所定のしきい値電圧レベルと比較するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、バッテリ充電方法は決定された電圧レベル変数と所定のしきい値電圧レベルとの比較に基づいて変調された電圧のデューティサイクルを変更するステップを含む。
【0009】
本発明の一つ以上の実施形態において、変調された電圧の前記所定の周波数は、前記送電機側回路の共振周波数および前記受電機側回路の共振周波数のうち少なくとも一つに対応する。
【0010】
多様な実施形態において、前記変調された電圧のデューティサイクルを変更するステップは、前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが前記所定のしきい値電圧レベルより大きい場合、前記デューティサイクルを減少させるステップ、および前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが前記所定のしきい値電圧レベルより小さい場合、前記デューティサイクルを増加させるステップを含む。いくつかの実施形態において、前記変調された電圧のデューティサイクルを変更するステップは、前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが最大デューティサイクルより大きい場合、前記デューティサイクルを最大デューティサイクルに設定するステップ、および前記送電機側インダクタのハイサイドの決定された電圧レベルが最小デューティサイクルより小さい場合、前記デューティサイクルを最小デューティサイクルに設定するステップを含む。
【0011】
限定されない本発明のいくつかの実施例は、前記受電機側インダクタのハイサイドの前記決定された電圧レベルを用いて、前記送電機側回路と前記受電機側回路が互いに誘導結合されていないかどうかを判断するステップをさらに含む。また、限定されない本発明のいくつかの実施例は前記送電機側回路と前記受電機側回路が互いに誘導結合されていない場合は、デューティサイクルを休止モードに対応するように調整するステップを含む。
【0012】
本発明の他の側面によると、命令を含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。この命令は、複数のコンピューティングデバイスによる実行に応答して、複数の前記コンピューティングデバイスに本明細書に記載した一つ以上の方法を実行させる。
【0013】
本発明の他の側面によると、受電機側充電回路が提供される。前記受電機側充電回路はポータブルデバイスに結合され、充電状態を判断することができる。前記受電機側充電回路は、共振周波数を有する調整回路、及びコントローラの入力に結合される受電機側フィードバック装置(例えば、センサ)を含む。いくつかの実施形態において、前記受電機側センサは、前記調整回路のパラメータを検出するように構成される。前記調整回路は、バッテリに結合可能であり、実質的に類似の共振周波数を有する送電機側回路と空間を介して誘導結合可能である。いくつかの実施形態において、前記コントローラは、検出されたパラメータがしきい値レベルより小さい場合、充電が行われていないと警告をするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
特許請求の範囲に記載された発明の前述した側面とそれに付随する利点は、添付の図面と一緒に後述の発明の詳細な説明を参照することにより、より容易に把握される。
【
図1】本発明の一つ以上の側面を実行するバッテリ充電システムの一例である。
【
図2】本発明の一つ以上の側面により、高電圧センサを含む代表的な受電機側装置を示す回路およびブロック図である。
【
図3】は、本発明の一つ以上の側面により、
図1及び2の送電機側または受電機側の回路での使用に適合する代表的な電圧センサを示す回路図である。
【
図4】は、本発明の一つ以上の側面により、
図1に示された送電回路での使用に適合する代表的な電力駆動回路を示す回路図である。
【
図5】は、本発明の一つ以上の側面により、充電検出回路の一例を示すブロック図である。
【
図6】は、本発明の一つ以上の側面により、受電回路の充電電流の検出及びコントロルを開始する代表的な方法を示すフローチャートである。
【
図7】は、本発明の一つ以上の側面により、受電回路の充電電流を検出し及びコントロルする代表的な方法を示すフローチャートである。
【
図8】は、本発明の一つ以上の側面により、送電回路が受電回路の充電電流の最小値と最大値を検出し及び制御するための代表的な方法を示すフローチャートである。
【
図9】は、本発明の一つ以上の側面により、複数の装置間の結合が適切か否かを判断するための代表的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に記載された発明の詳細な説明は、本発明の様々な実施形態を説明するために意図されたものであり、唯一の実施形態を表すために意図されたものではない。本開示の各実施形態は、単に例示や説明として提供され、他の実施形態よりも好ましい実施形態であるか、より効果的な実施形態として解釈されてはならない。ここで提供される説明例は、開示された形態に正確に合致するか、又は特許請求の範囲に記載された発明が開示された形で制限されるように意図されたものではない。
【0016】
後述する説明は、例えば、電動歯ブラシ、電動スキンブラシ等のポータブル電子機器のバッテリの誘導充電に関するシステム、装置、および/または方法の例を提供する。これに関連し、誘導充電は、一般的にコイル状の送電機側インダクタ(第1インダクタ)を含む。送電機側インダクタは、コイル状の受電機側インダクタ(第2のインダクタ)と離れているが、磁気的には、結合可能である。第1インダクタ及び第2インダクタは一緒に、関連するポータブル電子機器のバッテリ充電のためにギャップを介して送電機側から受電機側にエネルギーを伝達する変圧器を形成する。ここに記載された例は、送電機側に位置する装置からのフィードバックを利用して、受電機側の充電電流を制御するための技術を説明する。
【0017】
後述する記載では、本発明の1つ又は複数の実施形態について十分な理解を提供するために、様々な具体的詳細を記載する。しかし、本発明の多くの実施形態が具体的な詳細の一部又は全部がなくても実施することができるということは当業者に自明である。一部の例では、本発明の多様な側面が不必要に曖昧とならないように、公然知られた処理のステップについては、詳細に説明しない。 また、本発明の実施形態は、ここに記載された特徴の任意の組み合わせも使用することができる。
【0018】
図1には、本発明の一つ以上の側面を実行するバッテリ充電システム20の一例が示される。
図1に示すように、システム20は、送電回路30及び受電回路40を含み、送電回路30と受電回路40は、空間またはギャップ145(例えば、空気、プラスチックおよび/または他の絶縁体または非導電性材料)によって離れている。送電回路30は、送電制御回路54によって駆動される送電(すなわち、第1の)インダクタコイル50を含んでいる。送電制御回路54によって駆動される場合、それに応じて、送電インダクタコイル50によって生成される磁場の一部が受電回路40の受電(すなわち、第2の)インダクタコイル60と結合する。受電インダクタコイルの誘導電流は、例えば関連する携帯用電子機器のバッテリ70を充電するために充電回路62によって使用される。後述するように、送電制御回路54は、バッテリ70をより向上された速度及び信頼性で誘導充電するための一つ以上の部品を含んでいる。送電側と送電機側、受電側と受電機側はそれぞれ明細書全体を通して同様の意味で使用されている。
【0019】
送電インダクタコイル50を駆動するために、送電制御回路54は、電源102からの電力を受け取る。本発明の様々な実施形態によれば、電源102は、DC電圧を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電源102によって提供されるDC電圧はAC-DCコンバータ(スイッチング型コンバータまたはリニア型コンバータ)を利用して、壁電源または主電源から出ている。追加的にまたは選択的には、いくつかの実施形態において、電源102は、タイプA型USB(Universal Serial Bus)インターフェイスを含んでいる。 USBインターフェイスは、標準のUSB電源に差し込むことができる。標準のUSB電源は、時々壁キューブまたは電源キューブと参照され、AC主電源にプラグインして、その主電源をUSBプロトコルに対応したDC電圧及び電流に変換するように構成される。また、USBインターフェイスは、適切な駆動電力を受け取るために、標準の電源USBハブまたは電源USBポートに差し込まれる。電源102の代表的な実施形態は、+ 5Vと+ 9Vの間の多様な電圧レベル、0.5Aと2.5Aの間の多様な電流レベルを提供する。他の電圧及び電流のレベルが、本発明の実施形態の電源102によって使用され得る。電源102によって提供されるDC電圧にはある程度のリップルが含まれる。また、電力供給器によって提供される実際の電圧または電流は、通常、±10%まで変動し得る。以下で詳細に説明するように、本発明の側面は、このようなリップルを含む充電電流を補償して、従来技術のバッテリ充電システムよりも複雑せずに、より速く、より信頼性の高い誘導充電を可能にする。
【0020】
図1において、送電制御回路54は、コントローラ120、電力駆動回路124、およびフィードバック装置134を含んでいる。また、送電制御回路54は、部品電源、発振器またはクロック、メモリ等の選択的な部品を含んでも良い。例えば、コントローラ120及び他の選択された部品に電力を供給するために部品の電源が使用され得る。部品電源115は、電源102またはバッテリ、コンデンサ等の他の電源から電力を受け取ることができる。
【0021】
図1、
図3、および
図4を参照して、送電制御回路54の構成についてさらに詳細に説明する。電力駆動回路124は、電源102からエネルギーと一緒に電圧のような変調信号をコントローラ120によって生成された制御信号に応じて出力するように構成される。一実施形態では、電力駆動回路124は、例えばQ1 A/ Bデュアル補償MOSFET系の装置であり、この実施例は、
図4に示されている。以下でさらに詳細に説明するように、変調信号の周波数及びデューティサイクルはコントローラ120によって制御される。いくつかの実施形態では、周波数はクロックサイクルまたは発振器に固定され、デューティサイクルを調整可能(例えば、変動可能)としても良い。
【0022】
電力駆動回路124は、多様な構成で実装され得る。
図4に示される実施形態では、電力駆動回路124Aは、PチャネルMOSFET 404およびNチャネルMOSFET 406を含むQ1 A/Bデュアル補償MOSFET系の装置として実装され得る。 PチャネルMOSFET 404のドレインは、電源102に接続されて、PチャネルMOSFET 404のソースは、調整回路80およびNチャネルMOSFET 406のドレインに接続される。 NチャネルMOSFET 406のソースは、グランドに接続されている。 2個のMOSFET 404、406のゲートは、コントローラ120に接続されて、コントローラ120は、MOSFET 404、406をオン・オフにするように構成される。一実施形態で、発振器の周期のデューティサイクル%の間に電流を調整する回路80に注入するとき、コントローラ120は、PチャネルMOSFET 404をオンにして、NチャネルMOSFET 406をオフにするように構成される。発振器の周期の残りの時間(非デューティサイクル%)中、PチャネルMOSFET 404はオフにされ、NチャネルMOSFET 406はオンにされて、調整回路80からの電流が排出される。電力駆動回路124Aは、例えば、集積回路として実装され得る。
【0023】
電力駆動回路124からの変調電圧は、送電インダクタコイル50を駆動する。示された実施形態では、送電インダクタコイル50は、コンデンサ74と一緒に調整回路80を構成する。
図1に示すように、送電インダクタコイル50及び送電コンデンサ74は、ノード136を介して直列に接続する。送電インダクタコイル50及び送電コンデンサ74について、異なる設定を使用しても良い。例えば、送電コンデンサ74及び送電インダクタコイル50を並列に接続しても良い。送電調整回路80が共振周波数を有することが理解されるべきである。共振周波数は、送電回路30のインダクタンスとキャパシタンスだけでなく、送電インダクタコイル50および送電コンデンサ74の相対的な配置(例えば、並列または直列)に依存する。特定の実施形態では、送電インダクタコイル50は、鉄製のコイルインダクタを含み、コンデンサ74は、セラミックコンデンサを含む。他のタイプのコンデンサ及びインダクタを使用しても良い。
【0024】
本発明の態様によれば、発明者は、分析、回路シミュレーション、およびプロトタイプのテストを通じて、送電インダクタコイル50のハイサイドの電圧レベルが送電機側の回路30と受電機側の回路40との間で伝送される電力に比例すると判断した。これに関連し、送電制御回路54は、フィードバック装置134を含んでいる。フィードバック装置134は、送電調整回路80のパラメータを検出し、潜在的な変調信号を調整するための検出されたパラメータをコントローラ120に送電するように構成される。示された実施形態では、フィードバック装置134は、ノード136(インダクタコイル50のハイサイド)に接続された電圧センサを使用して送電インダクタコイル50のハイサイドの電圧レベルを検出するように構成される。
図5〜
図8に関連してさらに詳細に説明されているように、送電インダクタコイル50のハイサイドの検出された電圧レベルがバッテリ70に提供される充電電流を制御するために使用される。
【0025】
このフィードバックメカニズムは、従来技術の誘導充電システムよりも向上された信頼性、速度、および効率性のような多くの利点を提供する。また、誘導充電システムを使用すれば、通常の直接接触コネクタを密封されたケース内に加工する必要がないので、気密に密封されたケースの製造が容易になる。これは防水装置の全体の製造コストを低減し、信頼性と性能を向上させる結果をもたらす。
【0026】
フィードバック装置134の電圧センサは、多様な構成で実装され得る。
図3に図示された実施形態では、代表的な電圧センサ165は、電圧分配回路及びローパスフィルタとして実装される。これに関連し、電圧センサ165は、ローパスフィルタ360、電圧分圧器361、およびダイオード364を含んでいる。分圧器361は、コントローラ120への入力に適したレベルで検出された電圧信号をダウンスケールする。電圧センサ165は、選択的に、安全クランプ359を含む。安全クランプ359は、電子機器にダメージを与える、瞬間的な電圧スパイクの発生を減らすことができる。ダイオード364は、送電インダクタコイル50から受け取った電圧を整流し、ローパスフィルタ360は、整流された電圧の処理を助ける。
【0027】
「電圧センサ」という用語は、回路ノードの電圧レベルを直接的または間接的に検出するために使用されているすべてのセンサを含むように広く解釈されるべきである。回路ノードの電圧レベルを検出するために、他のタイプのセンサを使用しても良い。
図1を参照すると、コントローラ120は、電力駆動回路124及びフィードバック装置134と接続される。コントローラ120は、電力駆動回路124が変調信号を調整回路80に出力するように構成される。代表的な実施形態では、変調信号は、例えば、コントローラ120によって生成されたクロックサイクルに対応する周波数を有するパルス幅変調された矩形波の電圧波形である。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、TSSOP-10 SMDのようなRenesas社の16ビットプロセッサである。他のタイプのコントローラが使用することができる。いくつかの実施形態では、変調電圧の周波数は、コントローラ120によって制御される発振器の周波数に対応する。発振器は、コントローラ120と一体に構成されるか、またはコントローラ120と分離されている。
【0028】
コントローラ120は、変調電圧を調整するように構成される。いくつかの実施形態では、変調電圧は、送電調整回路80および/または送電回路30の共振周波数と同一であるかその近傍の固定周波数を有する。例えば、52KHzまたは160KHzと同一またはその近傍の周波数を有する変調電圧を送電調整回路に使用しても良い。しかし、これらの周波数に限定されるものではない。現在知られているかまたは今後開発される技術を利用して、変調電圧を提供するために、コントローラ120、電力駆動回路124、および電源102の他の構成を使用しても良い。
【0029】
図1を参照して、受電回路40についてさらに詳細に説明する。
図1に示すように、受電回路40は、受電インダクタコイル60と充電回路62を含んでいる。受電インダクタコイル60は、受電コンデンサ202と一緒に、受電調整回路204を構成する。上述したように、充電回路62は、誘導結合により受電インダクタコイル60に誘導された充電電流からバッテリ70を充電するように構成される。いくつかの実施例では、受電インダクタコイル60は、鉄製のコイルインダクタを含んでいる。様々なソリッドコアのインダクタを含む他のタイプのインダクタを受電インダクタコイル60に使用しても良い。いくつかの実施例では、バッテリ70は単一のニッケル水素(NiMH)セルを含む。他の実施例では、バッテリは、複数のセルおよび/または他のバッテリケミストリーを含む。例えば、バッテリ70は、ニッケルカドミウム(NiCad)、鉛系またはリチウム系バッテリ等を含む。
【0030】
NiMHやNiCadのようなバッテリは、過充電の防止ができないか、または希望する電流レベルがバッテリに転送されることの保証ができない電流技術を利用して正確に充電することが難しい。充電速度は、環境条件だけでなく、実際の装置の部品の値における変化に依存し、特にNiCadおよびNiMHバッテリは、温度のような環境条件に依存する。特定の実施例では、NiCadバッテリの使用および廃棄に関するより厳しい国際的な規制のため、NiMHバッテリが使用される。以下でさらに詳細に説明するように、本発明の装置および方法は、測定された受電機側の情報を(フィードバックとして)ギャップ145を介して無線で送電機側の部品に送電する必要がなく、希望の電流レベルを有するバッテリ70の提供を保証することを助けられる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、受電調整回路204、充電回路62、およびバッテリ70は、すべて携帯用電子機器内に収納されている。代表的な携帯用電子機器は、携帯電話、タブレットデバイス、スキンクレンジング装置のような携帯用パーソナルケア機器などを含むことができる。一実施形態では、携帯用電子装置は、気密に密封されたハンドヘルドスキンクレンジング装置である。誘導充電は湿気があったり濡れている環境で使用されるデバイスに特に有用である。誘導充電により、電子機器を防水ケース内に配置することができるからである。
【0032】
図1を参照すると、受電インダクタコイル60とコンデンサ202は並列に接続する。しかし、インダクタコイル60とコンデンサ202が、互いに直列に接続しても良い。他のタイプのコンデンサを使用しても良い。受電調整回路204は、共振周波数を有し、この共振周波数は、受電インダクタコイル60と受電コンデンサ202の配置の関数であり、また、受電回路40のインダクタンスとキャパシタンスの関数である。いくつかの実施形態では、受電調整回路204および/また他の受電回路の部品は、送電調整回路80および/または送電回路30の共振周波数と同一であるか、またはその近傍の共振周波数を有するように構成および配置される。
【0033】
図2には、代表的な受電回路(40A)を説明する回路およびブロック図が示されている。
図2に示すように、ノード208から受電インダクタコイル60のハイサイドに結合されている電圧センサ265が提供される。このように、電圧センサ265は、受電インダクタコイル60のハイサイド電圧を検出して、その電圧を充電回路62に出力する。受電回路40Aは、
図9に開示された方法に使用するのに適している。受電回路40Aは、
図1に示された送電回路30と一緒に使用するのに適していることを理解してほしい。また、受電回路40Aは、他の調整送電回路と互換性がある。送電回路は、受電回路40Aと互換性のあるフィードバック装置134を含む必要がない。
【0034】
図6は、受電機側の充電電流を送電機側が監視および調整を開始する方法500を示す。ブロック502で、方法が開始する。ブロック505で、送電回路30がパワーオンにされる。パワーオンは電源102を有効化すること、および/またはコントローラ120のような送電制御回路54の部品に電力を供給することを含む。いくつかの実施形態では、送電回路30と受電回路40が互いにしきい値近傍に位置すること、またはこれらのデバイスが互いに結合されていることに応じて、自動的にパワーオンを行うことができる。いかなる電力でも受電回路に伝達されれば、結合されていると判断することができる。ブロック507で、受電回路30は、発振器を共振周波数に設定することができる。ブロック509で、PWMデューティファクタ変数が初期値に設定される。初期値は、希望の受電機側充電電流に対応したデューティファクタに基づく。例えば、初期値は、以前に実行された方法500から保存された平均のデューティサイクルに基づいたものでも良いが、これに限定されるものではない。ブロック511で、発振器を起動する。代表的な実施形態では、発振器の周波数は52 KHzであるが、他の周波数を使用しても良い。本願明細書に説明されているように、発振器の周波数は、送電調整回路80、受電調整回路204、および/または受電回路40の共振周波数に基づく。ブロック513で、変調信号は、
図1に関連して説明したように、送電調整回路80に提供される。
【0035】
図7は、受電機側の充電電流を送電機側が監視および調整する方法514の一実施例である。いくつかの実施形態では、方法500の一つ以上のステップが行われた後、方法514が行われる。方法514は、ブロック515から始まる。ブロック517で、送電インダクタコイル50のハイサイド電圧レベルが決定される。この電圧レベルは、
図1に関連して説明したように決定され得る。例えば、ノード136の電圧センサ165を利用して、検出された電圧レベルをサンプリングし、この検出された電圧をコントローラ120に入力することにより、決定することができる。例えば
図1で説明したように、コントローラ120に入力する前に、サンプリングされた電圧をアナログからデジタル信号に変換するか、アップスケールまたはダウンスケールするか、フィルタリングするか、または他の処理および/または変形を行うこともできる。代表的な実施形態で、検出された電圧レベルはピーク電圧レベルに対応する。
【0036】
ブロック520で、決定されたハイサイド電圧がコントローラ120に関連するメモリに保存されたセットポイント電圧と比較される。いくつかの実施形態では、セットポイント電圧は、受電機側のバッテリ70にマッチングして生成された希望の充電電流に対応する所定値である。ブロック522で、ハイサイド電圧がセットポイント電圧よりも大きいかどうかを決定するテストが行われる。 「YES」の場合は、デューティファクタ変数は、ブロック524で減少した値となる。いくつかの実施形態では、デューティファクタ変数を減少量は、所定量になり得る。他の実施形態で、減少量は、決定されたハイサイドインダクタ電圧とセットポイント電圧との比較関数にしても良い。例えば、判定されたハイサイドインダクタ電圧がセットポイント電圧の大きさの150%である場合において、PWMデューティファクタ変数の減少量は、決定されたハイサイドインダクタ電圧がセットポイント電圧の大きさの110%である場合よりも大きい。
【0037】
ブロック522で、「NO」の場合、方法514は、ブロック526に進み、ここで他のテストが行われる。ブロック526で、決定された送電インダクタコイルの電圧がセットポイント電圧よりも小さい場合、方法514はブロック528に進み、ここで、PWMデューティファクタ変数が増加される。ブロック524で説明した減少と同様に、ブロック528での増加の大きさは、所定値またはブロック520においける比較関数である。ブロック526で、「NO」の場合、決定されたハイサイド電圧はセットポイント電圧とほぼ同一である。したがって、方法514は、ブロック517に戻り、ここでハイサイド電圧レベルが再び判定される。
【0038】
ブロック524および528を参照すると、方法514は、ポイントAからサブの方法548にジャンプすることができる。いくつかの実施形態では、ポイントAからのジャンプは省略され、方法514は、ブロック532に直接進み、ここで変調電圧のPWMデューティファクタがデューティファクタ変数の電流値に対応するように変更される。ブロック532の後、方法514は、ブロック517に戻り、ここで他のハイサイド電圧レベルがサンプリングされる。
【0039】
最大及び最小のPWMデューティファクタの調整のための方法548の実施例を示す
図8を参照する。方法548は、別個に実行されるか、またはポイントAから開始する方法514のサブの方法として行われ得る。ブロック552でテストが行われる。具体的には、PWMデューティファクタ変数がPWM最大値よりも大きい場合、方法548は、ブロック554に進み、PWMデューティファクタ変数がPWM最大値に変更される。そうでない場合、方法548は、ブロック558に進み、他のテストが行われる。具体的には、PWMデューティファクタ変数がPWM最小値よりも小さい場合、PWMデューティファクタ変数は、PWM最小値に変更される。 PWM最大値は、特定の受電機側のバッテリの安全動作に対応する所定値、すなわち最大充電電流に対応する所定値になり得る。 PWM最小値は、送電回路と受電回路の結合が解除されたかどうかを定期的にテストするのに必要な最小値になり得る。 PWM最小値は、「休止モード」に対応し、休止モードは、送電回路30と受電回路40の結合が解除されたり、お互いしきい値の近傍を外れたときに対応する。いくつかの実施形態では、PWM最小値は20%のPWMデューティサイクルに対応し、PWM最大値は40%のPWMデューティサイクルに対応する。しかし、他のデューティサイクルの割合が本発明の範囲に含まれることを理解してほしい。ブロック560で、方法548が返される。いくつかの実施形態では、方法548はブロック532に戻される。
【0040】
図9は、送電回路30と受電回路40が適切に結合されているかどうかを判断するための代表的な方法700を示すフローチャートである。方法700は、送電回路と受電回路が磁気的に結合されているかどうかの判断と共にブロック702から開始することができる。デバイスが結合されているかどうかを判断するためには、多様な方法が使用され得る。送電機側と受電機側が互いに磁気的に結合されているが、互いに「適切に結合」されていない可能性がある。適切な結合は、送電回路と受電回路が互いに物理的に並べ替えし、配置され、送電機側から受電機側のエネルギー伝達が臨界効率で行われることを要する。送電機側と受電機側が「適切に結合」されていない場合、電力が無駄になって、またはバッテリ70に十分な充電電流が供給されないことがあり得る。
【0041】
ブロック704で、受電インダクタコイル60のハイサイド電圧が決定される。例えば、
図2に示されたこのような電圧は、受電機側の電圧センサ256または
図4に示された電圧センサ265Aを利用して決定される。ブロック706で、受電インダクタコイル60の測定されたハイサイド電圧を臨界充電電圧と比較する。臨界充電電圧は、臨界電力伝送効率に対応する所定の臨界値電圧レベルのパラメータである。
図2及び
図5に関連して説明したように、受電機側インダクタコイルのハイサイド電圧は、受電回路40で生成された充電電流に比例する。ブロック708で、受電回路40の上端電圧が臨界値充電電圧よりも小さいかどうかを判断するテストが行われる。 「YES」の場合、方法700は、ブロック712に進み、装置が「適切に結合」されていないかどうかが判断される。ブロック708で、「NO」の場合、方法700は、送電機側と受電機側が「適切に結合」していると判断する。送電機側と受電機側が「適切に結合」されている場合、受電回路40は、LEDをオンにして、ユーザーに送電機側と受電機側が「適切に結合」されていると表示する。ブロック714で、送電機側と受電機側が「適切に結合」されていない場合、受電回路40は、ユーザーに警告を出力することができる。警告は、一つ以上のLEDのオン/オフまたはユーザーに音を出力することができる。ブロック710および712で、方法700は、ブロック702またはブロック704のいずれかに返す。
【0042】
方法700は、消費電力を削減するなどの、従来の方法よりも多くの利点を提供する。送電回路と受電回路が物理的に配置されていない場合は、送電機側から受電機側への電力伝送効率は低減され得る。送電回路と受電回路が「適切に結合」されていない場合は、受電回路のバッテリを充電するのに多くの時間がかかり得る。したがって、ユーザーに送電回路と受電回路が互いに「適切な結合」(適切に物理的に配置)されている場合、誘導充電効率を向上させることができ、これは従来技術よりも相当な利点を提供することができる。
【0043】
図5は、方法700または代表的な受電装置60Aと共に使用するに適する代表的な充電回路62Aを示す。代表的な充電回路62Aは、コントローラ484と、充電表示出力装置486を含む。コントローラ484は、受電インダクタコイル(図示せず)のハイサイド402に接続される。充電表示出力装置486は、例えば、スピーカーや多様なカラーの一つ以上のLEDを含む。コントローラ484は、充電表示出力装置486を制御して、LEDをオフまたはオンにしたり、音を出力することができる。本発明の一実施形態は、多くの利点を提供する。例えば、受電回路40とバッテリ70は、通常、携帯用ハンドヘルド機器、携帯電話、カメラ、または携帯用パーソナルケアケア機器のような高価な装置の部品と一緒に一つのケース内に収納される。もし、フィードバック回路が受電機側と一体に構成され、フィードバック回路が故障した場合、装置全体を交換する必要があり、これは高コストであるため、ユーザーの負担となる。送電機側の電子機器を交換することは、通常の受電機側の電子機器を交換するよりも容易であり、低コストになる。
【0044】
コントローラ120、484のようなコントローラは、あらゆるタイプのコントローラまたはプロセッサであっても良く、ここで説明した機能を実行する適切な一つ以上のコントローラに実装されても良い。ここで、「コントローラ」または「プロセッサ」という用語が使用されたが、コントローラは単一の集積回路(IC)または複数の集積回路を使用するものを含む。または、コントローラは、コントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、並列プロセッサ、マルチコアプロセッサ、カスタムIC、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、適応コンピューティングIC、(例えば、 RAM、DRAM及びROMのような)関連するメモリ、及び他のIC及びコンポーネントのようなものが一緒に接続され、配列され、グループ化された他の部品を使用するものを含んでも良い。一部の実施形態において、コントローラは、フィードバック装置134又はクロック、発振器、リレー、バッファ回路等のような他のコンポーネントからのフィードバック信号を処理するために、A / Dコンバータを含んでもよい。
【0045】
したがって、本明細書では、コントローラという用語は、単一のIC、またはカスタムIC、ASIC、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、FPGA、アダプティブ・コンピューティングICの配列、またはマイクロプロセッサ・メモリまたは追加的なRAM、DRAM、SDRAM、SRAM、MRAM、ROM、FLASH、EPROM、もしくはE2PROMのような関連する任意のメモリと一緒に後述の機能を実行する集積回路の何らかの他のグループを同等に意味しかつ含むものと理解すべきである。コントローラ(コントローラ120,484など)は、それに関連するメモリと一緒に、前述のように、本発明の方法を実行するように(プログラミング、FPGA相互接続、またはハード配線を介して)なされてよいかあるいは構成されてよい。たとえば、この方法は、関連するメモリならびに他の同等の構成要素を含むコントローラに、コントローラまたはプロセッサが動作している(すなわち、電源がオンであり機能している)ときに後続の実行のための1組のプログラム命令またはその他のコード(または同等の構成もしくはその他のプログラム)としてプログラムされかつ記憶されてよい。同様に、コントローラが全体的または部分的にFPGA、カスタムIC、および/またはASICとして実施されてよいが、FPGA、カスタムICまたはASICは、本発明の方法を実施するように設計、構成、および/またはハード配線されてよい。たとえば、コントローラは、コントローラ、マイクロプロセッサ、DSP、および/またはASICの配列として実現されてよい。これらは、それぞれ、メモリに関連して本発明の方法を実施するようにプログラムされるか、設計されるか、なされるか、もしくは構成されたコントローラと集合的に呼ばれる。
【0046】
データ・レポジトリ(またはデータベース)を含んでよいメモリは、任意のコンピュータまたは他の機械可読データ記憶媒体内に設けられ、現在公知であるかあるいは将来利用可能になる、メモリ・デバイスまたは情報を記憶もしくは伝送するその他の記憶デバイスもしくは通信デバイスを含む任意の数の形態で具体化されてよい。このようなメモリには、限定ではないが、揮発性であっても非揮発性であってもよく、削除可能であっても削除不能であってもよい、メモリ集積回路(「IC」)または集積回路のメモリ部分(コントローラまたはプロセッサIC内の常駐メモリなど)が含まれ、RAM、FLASH、DRAM、SDRAM、SRAM、MRAM、FeRAM、ROMまたはEPROMあるいは選択される実施形態に応じて公知であるかまたは公知になる任意の他の種類のメモリ、記憶媒体、またはデータ記憶装置もしくはデータ記憶回路が含まれる。また、このようなコンピュータ可読媒体には、電磁または光キャリア波または他の転送メカニズムのように、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラム・モジュール、またはデータ信号もしくは変調信号内のその他のデータを具体化する任意の形態の通信媒体が含まれる。また、このようなコンピュータ可読媒体には、電磁、光、音響、RF、または赤外線信号等を含む有線又は無線の信号内のダータ又は他の情報をエンコードする任意の情報伝達媒体が含まれる。メモリは、様々なルックアップ・テーブル、パラメータ、係数、その他の情報およびデータ、(本発明のソフトウェアの)プログラムまたは命令、およびデータベース・テーブルのようなその他の種類のテーブルを記憶するようになされてよい。
【0047】
上述したように、コントローラは、本発明のソフトウェアおよびデータ構造を使用して、たとえば、本発明の方法を実行するようにプログラムされてよい。したがって、本発明のシステムおよび方法は、このようなプログラミングを行うか、あるいは上述のコンピュータ可読媒体内に具体化される1組の命令および/またはメタデータのようなその他の命令を下すソフトウェアとして具体化されてよい。また、メタデータは、ルックアップ・テーブルまたはデータベースの様々なデータ構造を定義するのに利用されてもよい。このようなソフトウェアは、限定するものではないが、たとえば、ソース・コードまたはオブジェクト・コードの形態であってよい。ソース・コードはさらに、何らかの形態の命令またはオブジェクト・コード(アセンブリ言語命令または構成情報を含む)にコンパイルされてよい。本発明のソフトウェア、ソース・コード、またはメタデータは、C、C++、SystemC、LISA、XML、Java(登録商標)、Brew、SQLおよびその変形例(たとえば、SQL99またはSQLの独自バージョン)、DB2、Oracle、または本明細書で論じた機能を実行し、様々なハードウェア定義言語もしくはハードウェア・モデリング言語(たとえば、Verilog、VHDL、RTL)および結果として得られるデータベース・ファイル(たとえば、GDSII)を含む任意の他の種類のプログラミング言語のような任意の種類のコードとして具体化されてよい。したがって、本明細書で同等に使用される「構成」、「プログラム構成」、「ソフトウェア構成」、または「ソフトウェア」は、任意の構文またはシグネチャを有し、(たとえば、コントローラ120、484を含むプロセッサまたはコンピュータにインスタンス化またはロードされて実行されるときに)指定された関連する機能または方法を実現するかあるいは実現するものと解釈できる任意の種類の任意のプログラミング言語を意味する。
【0048】
本発明のソフトウェア、メタデータ、または他のソース・コードおよび結果として得られる任意のビット・ファイル(オブジェクト・コード、データベース、またはルックアップ・テーブル)は、コンピュータまたはその他の機械可読データ記憶媒体のいずれかのような任意の有形の記憶媒体内に、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラム・モジュール、または上記にメモリに関して論じたようなその他のデータとして具体化されてよい。
【0049】
その上、図面/図中のいかなる信号矢印も、特別に言及されなければ、単なる例示であって限定するものではないと考えられるべきである。ステップの要素の組合せも、特に分離または結合する機能が不明瞭な場合または予測可能な場合には、本発明の範囲内に入るものと見なされることになる。本明細書および後続の特許請求の範囲の全体にわたって用いられる離接的用語(「または」)は、別様に示されなければ、接続的意味と離接的意味の両方を有する「および/または」を意味するように一般に意図されている(「排他的論理和」の意味に限定されない)。また、本明細書の記述で用いられ、後続の特許請求の範囲の全体にわたって用いられる、「の中」の意味は、文脈が明確に別様の指示をしなければ、「の中」および「の上」を含む。
【0050】
本発明の原理、代表的な実施形態及び動作モードは、前述の説明に記載されている。しかし、保護されることを意図した本開示の態様は、開示された特定の実施形態に限定して解釈されるべきでない。さらに、本明細書に開示された実施形態は、例示とみなされるべきであり、これらに限定されない。本発明の精神から逸脱しない範囲において、変形及び変更が他者によりなされ、また、これらの均等物を採用することができることを理解されたい。したがって、このような全ての変形、変更及び均等物は、開示された主題の精神及び範囲に含まれることが明示的に意図される。