特許第6476208号(P6476208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6476208エバネセント波生成装置およびその実施方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476208
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】エバネセント波生成装置およびその実施方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   G01N21/17 N
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-565573(P2016-565573)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公表番号】特表2017-509898(P2017-509898A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】FR2015050168
(87)【国際公開番号】WO2015110767
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年12月25日
(31)【優先権主張番号】1450661
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514024952
【氏名又は名称】ディアフィール
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】フグエス タリエル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク シャルパンティエ
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−501403(JP,A)
【文献】 特開平1−287447(JP,A)
【文献】 特開2009−153503(JP,A)
【文献】 特開2007−101327(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0301047(US,A1)
【文献】 Marie-Laure Anne et al.,Fiber evanescent wave spectroscopy using the mid-infrared provides useful fingerprints for metabolic profiling in humans,Journal of Biomedical Optics,2009年,Vol. 14(5),pp. 054033-1 -054033-9
【文献】 Shuo Cui et al.,From Selenium- to Tellurium-Based Glass Optical Fibers for Infrared Spectroscopies,Molecules,2013年,Vol. 18,pp. 5373-5388,doi:10.3390/molecules18055373
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
G01N 33/18
G01N 33/26
G01N 33/28
G01N 33/30
G01N 33/483
G01N 33/49
G01N 33/487
G01N 33/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの波長で光の伝播を可能にし、外向きにエバネセント波を生成する導波管(42)を有するサポート(14)を備える装置(10)であって、該導波管(42)と接触すると液体試料を受け、該導波管に該液体試料の一部を含浸させるよう構成された液体試料を受けるための手段と、液体試料と導波管(42)との間の接触を壊すための作動可能手段であって、サポート(14)に対して可動であり、かつ、該受け手段(60)の少なくとも一部を備える部材(58)を備え、該可動部材(58)は、該受け手段が導波管と接触すると液体試料を受けるよう適合された第1位置と、液体試料が該導波管(42)と接触しなくなるよう該受け手段(60)が構成される第2位置との間で可動である、該作動可能手段とを備えることを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
前記可動部材(58)は、その第1及び第2位置の間で前記サポート(14)上を並進可動であるよう取り付けられ、該サポート(14)は、その第1及び第2位置の間で該可動部材(58)の動きを案内する手段(70、72)を備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記可動部材(58)がその第2位置に移動した時、該可動部材(58)の第2位置から第1位置への移動を係止するための手段(64)を備えることを特徴とする、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記係止手段(64)は、前記サポート(14)又は前記可動部材(58)の一方に形成され、かつ該可動部材(58)のその第2位置から第1位置への移動において、該サポート(14)又は該可動部材(58)の他方で変位ストップとして用いるよう構成された非復帰ピンまたはフィンガーを備えることを特徴とする、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記サポート上のカバー(44)を形成し、該サポート(14)と共に、前記導波管部分(42)を収納するエンクロージャ(52)を画定する部分を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記導波管(42)は前記サポートに取り付けられ、前記カバー(44)は、例えば溶接によって該サポートに密封されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記可動部材(58)は、前記導波管(42)部分の光の伝播の軸(40)に実質的に垂直な方向(34)に沿って並進可動であるよう取り付けられ、該可動部材(58)は、前記エンクロージャ内に収納され、前記サポート(14)と該導波管部分(42)との間を可動である液体試料を受けるための液溜め(60)を備える部分(58a)を備え、該可動部材の第1位置では、該液溜め(60)は導波管部分(42)に対し直角に配置され、第2位置では、該液溜め(60)は該導波管部分(42)から離れて位置することを特徴とする、請求項5又は6記載の装置。
【請求項8】
前記カバー(44)は、前記可動部材(58)がその第1位置にある時、該可動部材の受領液溜め(60)の反対側の前記エンクロージャ(52)内に開口する開口部(62)を備えることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記導波管を加熱する手段を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記導波管は、カルコゲニドグラスファイバー等、少なくとも1つの赤外波長で光を伝播できる材料から作られることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の装置を備えることを特徴とする、分光測定システム(12)。
【請求項12】
a)前記受け手段(60)に液体試料を配置することと、
b)所定時間中に、前記導波管の外面に該液体試料を含浸させることと、
c)前記接触破壊手段を作動して、該液体試料と前記光ファイバーとの間の接触を断つこととを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の装置を実行する方法。
【請求項13】
前記ステップc)で得た前記装置を、請求項11記載の分光システム(12)内に配置することを含むことを特徴とする、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エバネセント波吸収装置及びかかる装置を含む分光システム及び該装置の実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
10年間以上、科学及び医療分野は、光ファイバーを用いた非侵襲性診断法の開発にますます関心を寄せるようになっている。
【0003】
特に、赤外線分光技術の実行に用いるエバネセント波センサが特によく開発されている。この種の技術の関心は、赤外線がファイバーを伝播する際、エバネセント波がファイバーの外面を移動するファイバーの利用にある。
【0004】
生物試料を導波管に接触させると、エバネセント波は生物試料と相互作用し、これがエバネセント赤外線の一定の波長の吸収につながる。
【0005】
分光分析は、導波管の外面に接触する液体試料の有無で取得したスペクトルを比較し、そこから試料中に存在する物質を推定することを含む。
【0006】
分光分析を実施するには、通常、約800から10,000cm-1の中赤外範囲又は約400から800cm-1の遠赤外範囲を用いる。
【0007】
特に、主に数百から数十マイクロメータの直径を有するが、直径は必ずしもファイバーに沿って一定ではない光ファイバーの形態のエバネセント波センサの利用が知られている。
【0008】
文献WO2011/121086は、光ファイバーの少なくとも一部を折曲し、ファイバー中に波動伝搬歪みを生成し、曲線部におけるエバネセント波の率を局所的に高め、これによって生物試料の化合物検出の感度を上げることを開示する。
【0009】
しかしながら、感度の理由から、エバネセント波光ファイバーセンサは一般に、比較的小径の光ファイバーを用いる。使用した材料とその小径のため、曲線部は壊れやすい。
【0010】
そこで、ファイバーの曲線部に対する外的機械的ダメージに対する保護手段の追加が、出願人の名前による文献FR2978547から知られる。
【0011】
わかるように、センサの感度及び信頼性の向上が、ファイバーセンサの開発にとって重要である。
【0012】
従って、光ファイバーと異なる形状を有する導波管の場合、導波管の曲率を変更することは困難か、不可能でさえある。
【発明の概要】
【0013】
本発明は特に、簡単で効果的で経済的な方法で検出感度を改良することを目的とする。
【0014】
このため、本発明は、光ファイバーと接触する外的媒体の光学署名を検出するため外向きにエバネセント波を生成する少なくとも1つの波長の光の伝播を可能にする導波管を有するサポートを備える装置を提供し、該装置は、導波管と接触すると液体試料を受け、導波管に液体試料の一部を含浸させるよう構成された液体試料を受けるための手段と、液体試料と導波管との間の接触を壊すための作動可能手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によると、この装置は、光ファイバー上で液体試料を受けること、及び、その上に試料中に存在し、分析すべき化合物又は対象分子を付着させることを可能にする。作動可能な接触破壊手段を一体化することで、液体試料の液滴をその後除去できる。したがって、試料中に存在する溶媒は、従来技術のように測定に影響することがなくなる。
【0016】
光ファイバーを従来技術のように曲線部と共に用いる必要がないと、これは当然可能である。
【0017】
本発明の別の特徴によると、前記作動可能手段は、サポートに関して可動であり、かつ、前記受け手段の少なくとも一部を備える部材を備え、該可動部材は、前記受け手段が導波管と接触すると液体試料を受けるよう適合された第1位置と、前記受け手段が、液体試料が導波管と接触しなくなるよう構成された第2位置との間を可動である。
【0018】
可動部材は、その第1及び第2位置の間でサポート上を並進可動であるよう取り付けられ、サポートは、その第1及び第2位置の間で可動部材の動きを案内する手段を備えるのが好ましい。
【0019】
このような案内手段は、サポートから突出するパッドでよく、その間を可動部材が並進移動することができる。
【0020】
この装置は、可動部材がその第2位置へ移動した場合、第2位置から第1位置への可動部材の動きを係止するための手段を備えることが好ましい。
【0021】
このような手段は、可動部材がその第1位置に戻り、試料が再び光ファイバーと接触することを防ぐために望ましい。これはまた、確実に各装置を、単一試料のみ付着させるために用い、その後、分析完了時点で処分することで、生体試料が混同されることや結果の誤解釈を防ぐ。
【0022】
実際には、操作者はこの目的のために設けられた受け手段に液滴を置き、可動部材をその第1位置から第2位置へ移動させることで、可動部材がその第1位置に戻ることを防ぐ。
【0023】
本発明の実施態様では、前記係止手段は、サポート又は可動部材の一方に形成され、可動部材のその第2位置から第1位置への移動において、サポート又は可動部材の他方で変位ストップとして用いるよう構成された非復帰ピンまたはフィンガーを備える。
【0024】
本発明の別の特徴によると、装置は、サポート上のカバーを形成し、サポートと共に導波管部分を収納するエンクロージャを画定する部分を備える。
【0025】
本発明のさらに別の特徴によると、導波管はサポートに取り付けることができ、カバーは、例えば溶接によってサポートに密封される。
【0026】
本発明の特定の実施態様では、可動部材は、導波管部分の光の伝播軸に実質的に垂直な方向に沿って並進可動であるよう取り付けられ、可動部材は、エンクロージャ内に収納され、サポートと導波管部分との間を可動な液体試料を受けるための液溜めを備える部分を備え、可動部材の第1位置では、液溜めは導波管部分に対し直角に配置され、第2位置では、液溜めは導波管部分から離れて位置するようになっている。
【0027】
カバーは、可動部材がその第1位置にある時、その受け液溜めの反対側のエンクロージャ内に開口する開口部を備えることが有利である。
【0028】
操作者は、例えばカバー開口部を介して、ピペットを用いて液体を注入し、可動部材がその第1位置にある時、液体が可動部材の受領液溜めに受けられることを理解しなければならない。
【0029】
導波管は、カルコゲニドグラスファイバー等、少なくとも1つの赤外波長で光を伝播できる材料から作られる光ファイバーであることが好ましい。
【0030】
本発明はさらに、上述のタイプの装置を備える分光システムに関する。
【0031】
本発明はまた、上述の装置を実行するための方法に関し、それは、
a)受け手段に液体試料を配置することと、
b)所定時間中に、導波管の外面に液体試料を含浸させることと、
c)接触破壊手段を作動して、液体試料と光ファイバーとの間の接触を断つこととを含む。
【0032】
この方法の次の工程では、ステップc)で得た装置を、分光分析目的のために分光システム内に配置する。
【0033】
非制限的例として示す以下の説明を、添付の図面を参照しながら読むことにより、本発明はよりよく理解され、本発明のその他詳細、利点、特徴が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1-2】図1及び図2は、本発明に係る装置を形成する各種部品の略上面図である。
図3図3は、図2の閉鎖領域を拡大した略図である。
図4A図4Aは、本発明に係る装置のカバーのない略斜視図である。
図4B図4Bは、本発明に係る装置のカバーの略斜視図である。
図5図5は、カバー付きの本発明の装置の略斜視図である。
図6図6は、カバーのない本発明に係る装置の略上面図であり、可動部材がその第1位置にある。
図7図7は、カバーのない本発明に係る装置の略上面図であり、可動部材がその第2位置にある。
図8図8は、カバーのある本発明に係る装置の略上面図であり、可動部材がその第1位置にある。
図9図9は、カバーのある本発明に係る装置の略上面図であり、可動部材がその第2位置にある。
図10-11】図10から図11は、本発明に係る装置の動作/利用法の原則を示す。
図12-13】図12及び図13は、本発明に係る装置を備える分光システムの略斜視図である。
【0035】
図1から図9は、本発明に係る、図12及び図13に示すような分光システム12と共に用いることを目的とする光ファイバー装置10の一実施態様を示す。装置は、いわゆる把持部18と、光ファイバーセンサ自体を形成するための反対部20とを備える細長い形状の支持壁16を備えるサポート14を備える。把持部18は、装置10の保持を容易にする平行リッジ(図示せず)を備えてよい。
【0036】
サポートの光ファイバー部分は、多角形形状を有し、支持壁16に実質的に垂直に延びるリブ22を備える。このリブ22は、細長いサポートの把持部18の反対側の端部に形成した第1壁24を備え、その端部で互いから離れて2つの第2壁26に延び、互いに平行な2つの第3壁28に延び、2つの第4壁30によって延び、互いに向って収束し、その自由端において、長手方向34に沿って第1壁24の反対側に配置された空間32を画定する。
【0037】
第1壁24の端部及び第4壁30の自由端は、支持壁の反対方向に突出するパッド36a、36b、36c、36dを備える。
【0038】
第3壁28はそれぞれ側耳38を保持し、側耳38は方向34に垂直な同方向40だが、反対側に向って互いに離れるよう延びる。
【0039】
光ファイバー部分42は、側耳38においてその端部42a、42bを載置し、方向40に延びる。
【0040】
図4Bに示すように、装置10はカバー44を備え、その周囲は、底壁48に垂直に延びるリム46を保持する。リム46は、サポート14のリブ22に支持されるよう閉じた辺縁を形成する。このリム46は、その上に4つのブラインド穴50a、50b、50c、50dが形成され、サポート14のリブ22の第1壁24及び第4壁30のパッド36a、36b、36c、36dと協働する。サポート14のリブ22上に設置されたカバー44は、リブ22及び支持壁16と共にエンクロージャ52を画定する。カバー44はまた、サポート14の耳38上に配置されるのに適した2つの側耳54を備える。この側耳54はそれぞれ、曲線壁を有する切欠き56を備え、その部分は、光ファイバー部分42の全体を好適に受ける。
【0041】
本発明によると、装置は光ファイバーと接触する液滴を受けるための手段と、ファイバー部分42との接触後にこの液滴を除去するよう作動可能な手段とを備える。
【0042】
図面に示す実施態様では、作動可能手段は、エンクロージャ内部に配置された第1部58aと、エンクロージャ52外に配置され、把持可能な第2部58bとを備える移動部材58を備える。可動部材58は、光ファイバー部分42の軸40に対して垂直な方向34に沿って細長い形状を有する。可動部材58の第1部58aは、第2部58bの反対側の端部に液溜め60を備える。このような液溜め60は、以下の説明から読めるように、液体試料を受けるためのものである。サポートのリブ22の高さと、可動部材58の第1部58aの厚さとは、エンクロージャ52内の光ファイバー部分の部分と支持壁との間の空間が、可動部材58の第1部58aをその中に導入するのに十分であるように決定される。
【0043】
図6及び図7に示すように、可動部材58は、光ファイバー42と支持壁18との間に液溜め60が挿入された第1位置(図6)と、液溜め60が光ファイバー部分42から離れて位置する第2位置(図7)との間でサポート14上を並進するよう取り付けられる。
【0044】
液滴の液体試料を液溜め60内へ挿入できるよう、カバー44は、可動部材58がその第1位置にある時、液溜め60と並ぶように配置された開口部62を備える(図8)。
【0045】
光ファイバー42は、液滴の付着中にピペット端部によって生じ得る損傷を防ぐためにカバー44の開口部62に対向して位置しないことにも注意しなければならない(図8)。
【0046】
可動部材58は、可動部材58がその初期第1位置からその第2位置に移動した時、その第1位置に戻らないよう配置された非復帰手段を備える。このため、可動部材58の第1部58aと該部材の第2部58bとを結合する結合部66の両側に延びる非復帰ピン64又はフィンガーを備える(図2図4A図6、及び図7)。このようなピン64は、可動部材58の変位と反対方向に互いに関して離れるように軸40に対して傾斜している。
【0047】
実際には、可動部材58がその第1位置からその第2位置に移動すると、ピン64はまず第4壁30の自由端の中間部66に沿って予めストレスがかけられ、中間部66がエンクロージャ52を出ると共に横方向に広がり、ピン64の自由端が第4壁30の自由端に載るようになるため、可動部材58がその第1位置に戻るのを防ぐ。
【0048】
可動部材58の並進移動を容易にするため、変位案内手段を設ける。このため、エンクロージャ52内部は、2つのパッド68を備え、その間で可動部材58の第1部58aの横方向突出70が接触できる。同様に、このような突出は、可動部材58がその第2位置にある時、第4壁30の自由端に載る2つの肩を画定し、これにより、可動部材58がサポートから外れることを防ぐ。このように、可動部材58は、その第2位置に永続的に係止される。
【0049】
案内手段はまた、第1部58aの2つの側面72を備え、これらは実質的に平行であり、可動部材58がその第1位置からその第2位置へ変位する間、第4壁30の自由端によって摺動可能に支持される。
【0050】
案内手段は、カバー44の底面に形成されたパッド74をさらに備え、その大きさは、第1部58aと接触し、可動部材58がその変位中に傾斜して、光ファイバー42を損傷し得ることを防ぐよう決定される。
【0051】
パッド68及びその他2つの追加パッド76は、カバー44がサポートのリブ22上に取り付けられた時、カバー44の底に接触するよう決定された同じ高さを有する。
【0052】
本発明に係る装置は、次のように位置決めされる。まず、可動部材58がエンクロージャ52内部に配置され、光ファイバー部分42が軸40に沿ってリブ22の耳38に取り付けられ、そしてカバー44がサポート14のリブ22に取り付けられ、例えば、半田ごての先端との溶融等によってその上に溶接される。分析対象の生体試料の液滴を、カバー44の開口部62を介して挿入し、可動部材58の液溜め60に受け、次いで、可動部材58をその第1位置(図10)からその第2位置へ移動し、ここで、液滴は光ファイバー42ともはや接触しておらず(図11)、可動部材58のサポート14上の変位は係止される。
【0053】
そして、最後のステップ中、光ファイバー装置は、光ファイバー部分42の一方の端部42bを赤外線放射手段に、他方の端部42aを分析及び処理手段に接続する手段を備える分光システム12の凹部78に配置される。光ファイバーの端部42aを開いて放射手段から放射された光と、光ファイバーを出る光とをレンズを用いて結合することができる。
【0054】
システムは、閉じることにより赤外線の放射時に光ファイバー装置を収納する凹部を不透明にするカバー80を備える。
【0055】
本発明の範囲を逸脱することなく、可動部材は液溜めの底壁となり得、生体液を保持する閉鎖位置と、生体液を排出可能にする開放位置との間で軸周囲を回転可動し得る。
【0056】
実際には、生体試料を受ける手段は、5から20μlの範囲の容量を有する試料を受けるよう構成される。
【0057】
可動部材及び支持壁に形成された溝や一致リブ等、他の種類の案内手段も可能である。
【0058】
装置は、光ファイバーを加熱する手段を備えることもできる。このような手段は、試料液滴の除去後に作動し、光ファイバーと接触する残余液体を除去するのに有利である。ここで、温度を35℃に上げると、溶媒、例えば水の排出を容易にすることによって、測定時間を50%短縮することが可能であることに注意する。
【0059】
代替装置によると、加熱手段は、水滴を除去するための手段であってもよく、これにより上述の可動手段は必要なくなる。
【0060】
さらに別の代替装置によると、水滴を除去する手段は、光ファイバーと水滴との間の接触領域に例えば空気供給手段を備える送風手段を含んでよい。この装置は、水滴を除去するための手段も含む。
【0061】
本発明を、光ファイバーとの組み合わせで図面を参照しながら説明した。しかしながら、波の伝播とエバネセント波の生成を可能にするあらゆる種類の導波管を用いることができるのは理解されなければならない。このような導波管は、例えば当業者に周知である、DNAバイオチップタイプの装置に用いられるもののように、帯形状を有し得る。
図1
図2-3】
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13