(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476209
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】腕時計のブレスレット
(51)【国際特許分類】
A44C 5/00 20060101AFI20190218BHJP
G04B 37/16 20060101ALI20190218BHJP
G04G 17/04 20060101ALI20190218BHJP
G04G 17/06 20060101ALI20190218BHJP
G04G 21/04 20130101ALN20190218BHJP
G04G 21/02 20100101ALN20190218BHJP
【FI】
A44C5/00 D
A44C5/00 Z
G04B37/16 J
G04G17/04
G04G17/06
!G04G21/04
!G04G21/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-566211(P2016-566211)
(86)(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公表番号】特表2017-522915(P2017-522915A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2016062275
(87)【国際公開番号】WO2016202576
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】15172993.6
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】フォスティニス,ディミトリ
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−055623(JP,A)
【文献】
特開2000−259577(JP,A)
【文献】
特開平07−012965(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0194976(US,A1)
【文献】
実開昭58−077493(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0062392(US,A1)
【文献】
米国特許第9292008(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
G04B 37/16
G04G 17/04
G04G 17/06
G04G 21/02
G04G 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレスレット又はストラップと、腕時計ケース(12)とを含む、腕時計であって、
前記ブレスレット(1)は、第1のプリント回路部分(4)を格納した第1のアーム(48)、及び第2のプリント回路部分(6)を格納した第2のアーム(50)を含み、
前記第1のアーム(48)は、中央部品(8)を介して前記第2のアーム(50)に接続され、前記中央部品(8)は、前記腕時計ケース(12)を設置するための台座として機能するよう配設され、また前記第1のプリント回路部分(4)と前記第2のプリント回路部分(6)との間の電気的連続性を保証するための手段を含み、
前記第1のプリント回路部分(4)及び前記第2のプリント回路部分(6)のうちの少なくとも一方は、少なくとも1つのマイクロコントローラ(26)を支持し、他方の前記プリント回路部分は、前記マイクロコントローラ(26)に電流を供給する少なくとも1つの電気エネルギ源(34)を支持し、
前記腕時計ケース(12)は、前記ブレスレット(1)から電気的に完全に独立している、腕時計。
【請求項2】
前記第1のプリント回路部分(4)と、前記第2のプリント回路部分(6)と、前記第1のプリント回路部分(4)と前記第2のプリント回路部分(6)との間の電気的連続性を保証するための前記手段を含む前記中央部品(8)とは、単一部品として作製されることを特徴とする、請求項1に記載の腕時計。
【請求項3】
前記中央部品(8)は、少なくとも1つのアーチ(8a、8b、68)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の腕時計。
【請求項4】
前記中央部品(8)は、インサート(14)によって被覆されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の腕時計。
【請求項5】
前記腕時計ケース(12)は、直径の両端として対向する2ペアの角状部(38)を含み、
前記インサート(14)は2つのガイド要素(40)を含み、前記ガイド要素(40)は、前記角状部(38)の各ペアの間に配置されるよう配設され、またそれぞれ、前記腕時計ケース(12)への前記ブレスレット(1)の取り付けを可能とするためのピン(44)の通過のための孔(42)によって穿孔される
ことを特徴とする、請求項4に記載の腕時計。
【請求項6】
前記第1のアーム(48)及び前記第2のアーム(50)は、前記第1のプリント回路部分(4)及び前記第2のプリント回路部分(6)を、第1のオーバモールド層(46)を用いてオーバモールドすることによって形成されることを特徴とする、請求項5に記載の腕時計。
【請求項7】
前記インサート(14)もまた、前記第1のオーバモールド層を用いてオーバモールドされることを特徴とする、請求項6に記載の腕時計。
【請求項8】
前記腕時計は、接続部品(58)によって互いに対して接続された第1のストランド(54)及び第2のストランド(56)で形成されたスリーブ(52)を含み、
前記第1のストランド(54)及び前記第2のストランド(56)は中空であり、またそれぞれ、前記第1のアーム(48)及び前記第2のアーム(50)がその中で摺動できるような開口(60)を備える
ことを特徴とする、請求項6又は7に記載の腕時計。
【請求項9】
前記スリーブ(52)は、周縁部(66)に沿って互いに接合された上側バンド(62)及び下側バンド(64)で形成されることを特徴とする、請求項8に記載の腕時計。
【請求項10】
前記ブレスレット(1)は、プラスチック又はエラストマ材料の第2の層を用いてオーバモールドされることを特徴とする、請求項6又は7に記載の腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計のブレスレット又はストラップに関する。より具体的には、歩発明は、少なくとも1つの電子機能を実行するために配設された1つ又は複数の電子構成部品を格納する、腕時計のブレスレットに関する。
【背景技術】
【0002】
1つ又は複数の電子機能を有し、かつ例えばスマートフォンタイプの移動体電話と通信できる、接続型腕時計に関連する強い傾向が、現在の市場には存在する。しかしながら接続型腕時計の場合、このような腕時計の審美的品質、時間管理品質、密閉品質よりも、このような腕時計が使用を提供する電子機能の範囲に重点が置かれる。従って、現在市場で入手可能な接続型腕時計は、魅力的でなく、かつ比較的脆性の物体であり、日々の使用には、そのユーザによる相当な注意が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、1つ又は複数の電子機能を腕時計ケースと関連させることができるブレスレット又はストラップを提供することによって、上述の課題及びその他の課題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は腕時計のブレスレットに関し、上記ブレスレットは、第1のプリント回路シートを格納した第1のブレスレットストランド、及び第2のプリント回路シートを格納した第2のブレスレットストランドを備え、上記第1のブレスレットストランドは、中央部品を介して上記第2のブレスレットストランドに接続され、上記中央部品は、腕時計ケースのための台座として機能するよう配設され、また第1のプリント回路シートと第2のプリント回路シートとの間の電気的連続性を保証するための手段を備え、上記第1及び第2のプリント回路シートのうちの少なくとも一方は、少なくとも1つの電子構成部品を支持し、他方は、上記電子構成部品に電流を供給する少なくとも1つの電気エネルギ源を支持する。
【0005】
本発明の更なる特徴によると、上記第1のプリント回路シートと、上記第2のプリント回路シートと、上記第1のプリント回路シートと上記第2のプリント回路シートとの間の電気的連続性を保証するための上記手段を含む上記中央部品とは、単一部品として作製される。
【0006】
本発明の別の特徴によると、上記第1のプリント回路シート及び上記第2のプリント回路シートは、第1のプラスチック材料を用いてオーバモールドされる。
【0007】
本発明の更に別の特徴によると、上記中央部品は、上記第1のプラスチック材料を用いてオーバモールドされる。
【0008】
本発明の更に別の特徴によると、上記中央部品は、インサートによって被覆される。
【0009】
本発明の更なる特徴によると、上記第1のプラスチック材料を用いてオーバモールドされた上記第1及び第2のプリント回路シートと、上記硬質インサートによって被覆された上記中央部品とで形成された、上記ブレスレットは、第2のプラスチック若しくはエラストマ材料を用いてオーバモールドされる、又はスリーブに挿入される。
【0010】
本発明の更なる特徴によると、上記スリーブは単一部品として作製される、又は周縁部に沿って互いに接合された上側バンド及び下側バンドで形成される。
【0011】
本発明の更なる特徴によると、上記腕時計ケースは、直径の両端として対向する2ペアの角状部を含み、上記硬質インサートは2つのガイド要素を含み、上記ガイド要素は、角状部の各ペアの間に配置されるよう配設され、またそれぞれ、上記腕時計ケースへの上記ブレスレットの取り付けを可能とするためのピンの通過のための孔によって穿孔される。
【0012】
これらの特徴の結果として、本発明は、少なくとも1つの電子機能を実行するために必要な電子構成部品を格納し、かつ腕時計ムーブメントを内包する腕時計ケースに取り付けられる、ブレスレットを提供する。この腕時計ムーブメントは、電子式ムーブメント、機械式ムーブメント、又はこれら2つのムーブメントの組み合わせであってよい。いずれの場合においても、上記腕時計ムーブメントを内包する上記腕時計ケースは、1つ又は複数の電子機能を実行可能とする本発明によるブレスレットの追加によって、影響を受けない。従って、本発明のブレスレットの追加によってユーザに追加の電子機能を提供する一方で、上記腕時計ケースの審美的特性、密閉特性、時間管理特性は完全なままとなる。
【0013】
上記ブレスレットが使い古された場合、又は上記ブレスレットが内包する上記電気エネルギ源が使い果たされた場合、上記ブレスレットは新しいブレスレットに容易に交換できる。当然のことながら、ある変形例によると、上記電気エネルギ源は再充電可能であってもよい。また、異なる複数の電子機能を実施するよう配設されたブレスレットを製造することも想定でき、これによりユーザは、自身の必要を満たす電子機能を提供するブレスレットを選択できる、又は同時に複数の異なるブレスレットを購入できるようになる。
【0014】
本発明の更なる利点によると、プリント回路シートが2つのブレスレットストランド内に配置されているという事実、及びこれらのプリント回路シートが互いに電気的に接続されているという事実は、ブレスレットの内部に格納される電子構成部品の数を増加させることができ、これによってユーザが利用可能な電子機能の数を増加させることができること、又は上記2つのブレスレットストランドの間に、最適な様式で複数の電子構成部品を分散させることができることを意味している。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明によるブレスレットの一実施形態に関する以下の詳細な説明から、より明らかになるだろう。この例は、添付の図面を参照して、単なる非限定的な例示として挙げられているものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明によるブレスレットの斜視図であり、ここで第1のプリント回路シートは、腕時計ケースのための台座として機能するよう配設された中央部品を介して、第2のプリント回路シートに接続され、この中央部品は、上記第1のプリント回路シートと上記第2のプリント回路シートとの間の電気的連続性を保証するための手段を含み、硬質インサートによって被覆されている。
【
図2】
図2は、
図1と同様の図であり、ここで上記第1のプリント回路シート及び上記第2のプリント回路シートは、第1のプラスチック又はエラストマ材料を用いてオーバモールドされている。
【
図3】
図3は、
図2のブレスレットの、長手方向軸に沿った垂直断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のブレスレットが挿入されるスリーブの図である。
【
図5A-5B】
図5A、5Bは、
図4のスリーブの変形実施形態を示し、これは上側バンド及び下側バンドを含み、上記上側バンドと上記下側バンドの間には、本発明によるブレスレットが配設され、また上記上側バンド及び上記下側バンドは、例えばシームによって又は熱溶着によって、その周縁部に沿って互いに組み付けられている。
【
図6】
図6は、第1及び第2のプリント回路部分を互いに対して電気的に接続するための導電性経路を支持するアーチを1つのみ有する、中央部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、限定するものではないが好ましくは機械式ムーブメントである腕時計ムーブメントを内包する腕時計ケースを、少なくとも1つの電子機能の実行のために必要な1つ又は複数の電子構成部品がその厚さ内に格納されたブレスレットと関連させることからなる、一般発明概念に由来するものである。これらの特徴の結果として、腕時計ケースに、このような腕時計を接続型腕時計へと変更することになる1つ又は複数の更なる電子機能を追加しながら、上記腕時計ケースの審美的外観、機械的特性、時間管理品質は不変のままとなる。本発明は機械式ムーブメントの場合に特に有利である。というのは、本発明は、このような腕時計がそのユーザに提供できるサービスの範囲を増大させながら、機械式ムーブメントの、ユーザの感情に影響する側面を保持できるためである。
【0018】
図1は、本発明によるブレスレットの斜視図である。全体として一般参照番号1によって示されるこのブレスレットは、中央部品8によって第2のプリント回路部分6に接続される第1のプリント回路部分4で形成された、プリント回路シート2を含み、上記中央部品8は、第1のプリント回路部分4と第2のプリント回路部分6との間の電気的連続性を保証するための手段を含む。
【0019】
中央部品8は、第1のプリント回路部分4及び第2のプリント回路部分6から分離させてよい。このような場合、電線等の追加の電気接続手段を、第1のプリント回路部分4と中央部品8との間、及び中央部品8と第2のプリント回路部分6との間に設けなければならなくなるが、これは必ずしも非常に便利であるとは言えない。このため、本発明の好ましい実施形態によると、第1のプリント回路部分4、中央部品8、第2のプリント回路部分6は、単一部品として作製される。従って中央部品8もまた、プリント回路シート部分で形成されることになり、その上には、第1のプリント回路部分4と第2のプリント回路部分6との間の電気的連続性を保証するために、1つ又は複数の導電性経路が構成されることになる。
【0020】
特に
図1に示すように、おおよそ環状である中央部品8は、腕時計ケース12のミドルケース10の外径に略対応する外径を画定する2つのアーチ8a、8bで形成され、上記ミドルケース10は、腕時計ケース12と中央部品8との間にインサート14を挿入することによって、中央部品8の上側に配設されるよう構成される。このインサート14は硬質リング16を含み、上記硬質リング16のジオメトリは、中央部品8のジオメトリと同一であり、またこの硬質リング16は、接着結合等のいずれの適切な手段によって、中央部品8に取り付けられる。この硬質リング16は、中央部品8に剛性及び機械的強度を与え、また腕時計ケース12のための台座として機能する。中央部品8はそのリング形状により、腕時計ケース12の裏側を視認可能なままとすることが理解される。
【0021】
これより、ブレスレット1の長手方向軸に沿って延在する平面における断面図である
図3をより詳細に参照して、本発明によるブレスレット1を精査する。この図に示すように、腕時計ケース12は、1組の針、即ち時針20a、分針20bを駆動する腕時計ムーブメント18を内包する。これらの時針20a及び分針20bは文字盤22の上側で動き、風防ガラス24によって被覆される。
【0022】
腕時計ケース12の内部に格納された腕時計ムーブメント18は、いずれのタイプのものであってよいことを理解することが重要である。これは、純粋に機械式のムーブメント、又は純粋に電子式のムーブメント、又は電子機械式ムーブメントであってよい。腕時計ムーブメント18が機械式又は電子式であるという性質は、本発明の目的に関して実際には何ら重要ではない。というのは、腕時計ケース12が本発明によるブレスレット1とは完全に独立しており、またこのようなブレスレット1の追加には、腕時計ケース12の内部に格納された様々な構成部品のいずれの改造が不要であるためである。
【0023】
従って以上から、本発明は、腕時計ムーブメント18が機械式ムーブメントである場合に特に有利であることが理解される。実際のところ、このような純粋に機械式の腕時計ムーブメント18を内包する腕時計ケース12に、本発明のブレスレット1を追加することにより、腕時計ケース12の審美的外観、機械的品質、密閉を損なうことなく、前例のない電子機能をユーザに提供できる。
【0024】
上述のように、第1のプリント回路部分4は、中央部品8を介して第2のプリント回路部分6に電気的に接続され、これらの上には、これら2つのプリント回路部分4、6の間の電気的連続性を保証する1つ又は複数の導電性経路が構成される。このような構成は多数の利点を有し、その中でも以下が挙げられる:ブレスレットにより多くの電子機能を持たせることができ、これによってユーザが利用可能な電子機能の数を増加させることができること、又は2つのブレスレットストランドの間に、最適な様式で複数の電子構成部品を分散させることができること。特に、プリント回路シートのうちの一方の上に1つ又は複数の電気エネルギ源を設置し、他方のプリント回路シート上に電子構成部品を設置することを想定できる。
【0025】
図3を精査すると明らかになるように、加速度計28のためのマイクロコントローラ26、大気圧センサ30、磁気センサ32といった電子構成部品が、第1のプリント回路部分4の表面上に設置され、その一方で、電流源34及び、例えばBluetooth(登録商標)、Wi‐Fi又はNFCインタフェースを用いて別の装置と通信できる集積回路36が、第2のプリント回路部分6上に設置される。
【0026】
図1を精査すると、特に、腕時計ケース12が、直径の両端として対向する2ペアの角状部38を含み、インサート14が2つのガイド要素40を含み、上記ガイド要素40が、腕時計ケース12をインサート14上に配置した場合に角状部38の各ペアの間に配置されるよう配設されることが明らかとなる。これら2つのガイド要素40はそれぞれ、腕時計ケース12へのブレスレット1の取り付けのためのピン44の通過のための孔42によって穿孔される。
【0027】
全ての電子構成部品が各プリント回路部分4、6上に設置され、インサート14が中央部分8上に適切に配置されると、この組立体をプラスチック又はエラストマ材料の第1の層46を用いてオーバモールドして、第1のアーム48、第2のアーム50を形成する。この第1のオーバモールド層46の目的は、プリント回路部分4、6上に設置された電子構成部品を外的な衝撃から保護すること、並びに得られるアーム48、50に形状及び機械的強度を与えることである。好ましくは、ピン44は、上記オーバモールド作業中に、角状部38及びガイド要素40を通して係合して、孔42がオーバモールド材料によって塞がれるのを防止する。
【0028】
上記オーバモールド作業によって得られ、インサート14によって被覆された中央部分8によって互いに接続された2つのアーム48、50を含み、またその厚さ内に、1つ又は複数の所望の電子機能の実行のために必要な電子構成部品を格納する、ブレスレット1は、最後にスリーブ52内部で摺動させられ、このスリーブ52は、
図4に示す例では、接続部品58によって互いに対して接続された第1のストランド54及び第2のストランド56を含み、この接続部品58は、インサート14によって被覆されたブレスレット1の中央部分8を受承するように、サイズ及び形状が適合されている。このスリーブ52は例えば、第1のストランド54及び第2のストランド56を中空とし、かつそれぞれに開口60を設けることによって、上記2つのアーム48、50がその中で摺動できることを保証しながら、エラストマ材料を成形又は射出成形することによって得られる。
図5A、5Bに示す変形実施形態によると、スリーブ52は上側バンド62及び下側バンド64を含み、上側バンド62と下側バンド64の間には、本発明によるブレスレット1が配設され、また上側バンド62及び下側バンド64は、例えばシームによって又は熱溶着によって、その周縁部66に沿って互いに組み付けられている。
【0029】
言うまでもないことであるが、本発明は上述の実施形態に限定されず、また当業者は、添付の請求項によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形例を想定できる。特にスリーブ52の代替例として、本発明によるブレスレット1を、2つのアーム48、50及びこれらを接続する中央部分8を、第1のオーバモールド層46のために使用した材料と同一であっても異なっていてもよいプラスチック又はエラストマ材料の第2の層を用いてオーバモールドすることを意図した、第2のオーバモールド作業に供することを想定できる。また
図6に示すように、中央部分8は、第1のプリント回路部分4と第2のプリント回路部分6とを互いに電気的に接続するための導電性経路を支持するためのアーチ68を1つだけ有してよい。
【符号の説明】
【0030】
1 ブレスレット
2 プリント回路シート
4 第1のプリント回路部分
6 第2のプリント回路部分
8 中央部分
10 ミドルケース
12 腕時計ケース
14 インサート
16 硬質リング
18 腕時計ムーブメント
20a 時針
20b 分針
22 文字盤
24 風防ガラス
26 マイクロコントローラ
28 加速度計
30 大気圧センサ
32 磁気センサ
34 電力供給源
36 集積回路
38 角状部
40 ガイド要素
42 孔
44 ピン
46 第1のオーバモールド層
48 第1のアーム
50 第2のアーム
52 スリーブ
54 第1のストランド
56 第2のストランド
58 接続部品
60 開口
62 上側バンド
64 下側バンド
66 周縁部
68 アーチ