特許第6476218号(P6476218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476218
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】扉用ロックハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 15/02 20060101AFI20190218BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20190218BHJP
   E05C 9/02 20060101ALI20190218BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20190218BHJP
   F24C 15/02 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   E05B15/02 D
   E05B65/00 J
   E05C9/02
   F24C1/00 330A
   F24C15/02 J
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-22106(P2017-22106)
(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公開番号】特開2018-128205(P2018-128205A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】天野 敏孝
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−183522(JP,A)
【文献】 実公昭28−011191(JP,Y1)
【文献】 特開平10−317763(JP,A)
【文献】 特開2004−052378(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02796647(EP,A1)
【文献】 実開平07−021953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
F24C 15/02
E05C 9/00 − 9/24
E05B 15/02
E05B 63/14
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部を開閉するように筐体に取り付けられ、ガスケットを介して後面板で開口部を密閉する扉のロックハンドル装置であって、
前記扉に取り付けられるハンドル組立体と、当該ハンドル組立体を間に挟む両側の離れた位置において前記扉に取り付けられる一対の掛金組立体と、これらの掛金組立体と前記ハンドル組立体とを結合する一対の連結部材と、前記掛金組立体に対向するように前記筐体にそれぞれ取り付けられる一対の受金組立体とを具備し、
前記ハンドル組立体は、前記扉の前面板に固着される固定受座と、当該固定受け座に軸周り回転自在に支持され前端側が操作ハンドルに固定され前記前面板を前後方向に垂直に貫通して後端側が当該前面板の裏側への突出するハンドル軸と、当該ハンドル軸の前端側に固着され前記前面板と平行な面に沿ってハンドル軸と一体に開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転操作可能な操作ハンドルと、当該ハンドル軸の後端側に固着され前記前面板と平行な面に沿って操作ハンドルと一体に開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転する駆動レバーとを具備し、
前記掛金組立体は、前記扉の前面板の後面側に固着される軸受け部材と、当該軸受け部材に前記前面板に対して垂直に支持される枢軸と、当該枢軸の周りに前記前面板と平行な面に沿って回転自在に支持され開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転する掛金体とを具備し、
前記連結部材は、前記掛金組立体の掛金体を前記駆動レバーと一体に開位置・半開位置・閉位置の間で回転させるように、一端側において前記駆動レバーに枢支され、他端側において前記掛金体に枢支され、前記ハンドル軸に対して互いに同じ一方の片側に直線上に配置され、
前記受金組立体は、筐体に固定される取付座と、当該取付座から前記扉の前面板と平行に前記枢軸の軸心に向かって半径方向に延出する係合ピンとを具備し、
前記掛金体は、前記枢軸と同心の概略扇型状に半径方向へ延出する係合部と、前記枢軸に対して前記係合部と反対側に延出して前記駆動レバーに対向し、前記連結部材の他端を枢支するレバー部とを具備し、
前記係合部の前面側には、前記受金組立体の係合ピンの裏側に係合する第1の係合凹部及び第2の係合凹部と、両係合凹部間において斜面を介して前方へ隆起する隆起部とが、前記枢軸と同心円周上に並んで形成され、
前記第1の係合凹部は、前記第2の係合凹部よりも後方に配置され、
前記操作ハンドルが半開位置にあるとき前記掛金体の第1の係合凹部に前記係合ピンを係合させることによって前記扉を前記筐体に対して半開状態に配置し、前記操作ハンドルが閉位置にあるとき前記掛金体の第2の係合凹部に前記係合ピンを係合させることによって前記扉を前記筐体に対して密閉状態に配置するように構成されることを特徴とする扉のロックハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームオーブンなどにおける扉の開閉操作に使用される扉用ロックハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スチームオーブンなどの調理機器に使用される扉用ロックハンドル装置では、筐体内の蒸気や熱気が逃げないように、ガスケットを介して扉を締め込んで密閉した状態でロックする必要がある。この種の扉用ロックハンドル装置では、扉を貫通するハンドル軸に掛金体が設けられ、この掛金体に係合する受金体が筐体側に設けられ、操作ハンドルの開位置と閉位置間の正逆回転により、掛金体と受金体とが係合、離脱するようになっている。特許文献1に記載のロックハンドル装置においては、操作ハンドルが半開位置にあるとき掛金体の第1の係合凹部に係合ピンを係合させることによって扉を筐体に対して半開状態に配置し、操作ハンドルが閉位置にあるとき掛金体の第2の係合凹部に係合ピンを係合させることによって扉を筐体に対して密閉状態に配置するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−183522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のロックハンドル装置においては、単一のハンドル軸に掛金体が設けられ、これが単一の受金体に係合するものであるため、扉が大型化すると、その全周を筐体に対して均一に締め付けることができない。
したがって、本発明は、扉を筐体に対して閉位置・半開位置・全開位置の三段階で開閉操作することができるロックハンドル装置において、扉が大型化しても、その全周を筐体に対して均一に締め付けることができるものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の扉用ロックハンドル装置1は、筐体51の開口部を開閉するように筐体51に取り付けられ、ガスケット53を介して後面板52bで開口部を密閉する扉52のロックハンドル装置であって、扉52に取り付けられるハンドル組立体2と、このハンドル組立体2から離れた位置において扉52に取り付けられる掛金組立体3と、この掛金組立体3とハンドル組立体2とを結合する連結部材4と、掛金組立体3に対向するように筐体51に取り付けられる受金組立体5とを具備する。ハンドル組立体2は、固定受座6、ハンドル軸8、操作ハンドル7、駆動レバー9を具備する。固定受座6は扉52の前面板52aに固着される。ハンドル軸8は、固定受け座6に軸周り回転自在に支持され、前端側が操作ハンドル7に固定され、前面板52aを前後方向に垂直に貫通して後端側が前面板52aの裏側への突出する。操作ハンドル7は、ハンドル軸8の前端側に固着され、前面板52aと平行な面に沿ってハンドル軸8と一体に開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転操作可能である。駆動レバー9は、ハンドル軸8の後端側に固着され、前面板52aと平行な面に沿って操作ハンドル7と一体に開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転する。掛金組立体3は、軸受け部材10、枢軸11、掛金体12を具備する。軸受け部材10は、扉52の前面板52aの後面側に固着される。枢軸11は、軸受け部材10に、前面板52aに対して垂直に支持される。掛金体12は、枢軸11周りに、前面板52aと平行な面に沿って回転自在に支持され、開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転する。連結部材4は、掛金体12を駆動レバー9と一体に開位置・半開位置・閉位置の間で回転させるように、一端側において駆動レバー9に枢支され、他端側において掛金体12に枢支される。受金組立体5は、筐体51に固定される取付座13と、当該取付座13から扉52の前面板52aと平行に、扉52が閉位置にあるときの掛金組立体3の枢軸11の軸心に向かって半径方向に延出する係合ピン14とを具備する。掛金体12は、枢軸11と同心の概略扇型状に半径方向へ延出する係合部15を具備する。係合部15の前面側には、受金組立体5の係合ピン14の裏側に係合する第1の係合凹部15a及び第2の係合凹部15bと、両係合凹部間において斜面15cを介して前方へ隆起する隆起部15dとが、枢軸11と同心円周上に並んで形成される。第1の係合凹部15aは、第2の係合凹部15bよりも後方に配置される。操作ハンドル7が半開位置にあるとき、掛金体12の第1の係合凹部15aに係合ピン14を係合させることによって、扉52を筐体51に対して半開状態に配置し、操作ハンドル7が閉位置にあるとき、掛金体12の第2の係合凹部15aに係合ピン14を係合させることによって扉52を筐体51に対して密閉状態に配置するように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の扉用ロックハンドル装置1は、単一の操作ハンドル7の単純な回転操作のみによって、ガスケット53aを圧縮しながら比較的大型の扉52を筐体51の開口周縁枠に均等に密着させて筐体51の開口を密閉することができ、また、扉52の開放操作時に、半開による高圧蒸気の放出過程を経て、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る扉のロックハンドル装置の正面図である。
図2図1のロックハンドル装置の側面図である。
図3図1のロックハンドル装置の平面図である。
図4図1のロックハンドル装置における掛金体の正面図である。
図5図1のロックハンドル装置における掛金体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2図3において、ロックハンドル装置1は、スチームオーブンなどの筐体51の扉52を開閉操作するためのもので、筐体51と扉52の後面板52bとの間のガスケット53を圧縮して開口を密閉した状態で、扉52を筐体51にロックすることができる。
【0009】
図1図2において、ロックハンドル装置1は、扉52に取り付けられるハンドル組立体2と、このハンドル組立体2から離れた上方及び下方位置において扉52に取り付けられる一対の掛金組立体3と、この掛金組立体3とハンドル組立体2とを結合する連結部材4と、掛金組立体3に対向するように筐体51に取り付けられる受金組立体5とを具備する。
【0010】
図1図2において、ハンドル組立体2は、固定受座6と、操作ハンドル7と、ハンドル軸8と、駆動レバー9とを具備する。
【0011】
図2において、固定受座6は、扉52の前面板52aに固着される。ハンドル軸8は、固定受け座6に軸周り回転自在に支持され、前端側が操作ハンドル7に固定され、前面板52aを前後方向に垂直に貫通し、後端側が前面板52aの裏側への突出する。
【0012】
操作ハンドル7は、ハンドル軸8の前端側に固着され、前面板52aと平行な面に沿ってハンドル軸8と一体に、相互に所定の回転角度離れた開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転操作可能である。
【0013】
駆動レバー9は、ハンドル軸8の後端側に固着され、前面板52aと平行な面に沿って、操作ハンドル7と一体に開位置c・半開位置b・閉位置cの間を正逆回転する。駆動レバー9の先端部に、上方へ伸びる連結部材4、下方へ延びる連結部材4の一端が枢着される。
【0014】
図2,3に示すように、掛金組立体3は、軸受け部材10、枢軸11、掛金体12を具備する。
【0015】
軸受け部材10は、扉52の前面板52aの後面側に固着される。枢軸11は、軸受け部材10に、前面板52aに対して垂直に支持される。
【0016】
掛金体12は、枢軸11周りに、前面板52aと平行な面に沿って回転自在に支持され、開位置・半開位置・閉位置の間を正逆回転する。
【0017】
連結部材4は、掛金体12を駆動レバー9と一体に開位置・半開位置・閉位置の間で回転させるように、一端側において駆動レバー9に枢支され、他端側において掛金体12に枢支される。
【0018】
図3に示すように、受金組立体5は、筐体51に固定される取付座13と、係合ピン14とを具備する。係合ピン14は、取付座11から、扉52の前面板52aと平行に、扉52が閉位置にあるときの掛金組立体3の枢軸11の軸心に向かって半径方向に延出する。
【0019】
図4,5に示すように、掛金体12は、枢軸11と同心の概略扇型状に半径方向へ延出する係合部15と、これと反対方向得延出するレバー部16とを具備し、レバー部16に連結部材4の端部が枢着される。
【0020】
係合部15の前面側には、受金組立体5の係合ピン14の裏側に係合する第1の係合凹部15a及び第2の係合凹部15bと、両係合凹部間において斜面15cを介して前方へ隆起する隆起部15dとが、枢軸11と同心円周上に並んで形成される。第1の係合凹部15aは、第2の係合凹部15bよりも後方に配置される。操作ハンドル7が半開位置にあるとき、掛金体12の第1の係合凹部15aに係合ピン14を係合させることによって、扉52を筐体51に対して半開状態に配置し、操作ハンドル7が閉位置にあるとき掛金体12の第2の係合凹部15bに係合ピン14を係合させることによって扉52を筐体51に対して密閉状態に配置するように構成される。
【0021】
操作ハンドル7が半開位置にあるとき、掛金体12の第1の係合凹部10aに係合ピン14が係合し、扉52を筐体51に対して半開状態に配置する。操作ハンドル7が閉位置にあるとき、掛金体12の第2の係合凹部10bに係合ピン14が係合し、ガスケットを圧縮した状態で扉52を筐体51に対して密閉する。操作ハンドル7が開位置にあるとき、掛金体12が係合ピン14から外れて、扉52を開放することができる。操作ハンドル7を閉位置から開位置へ回転する途上で、半開位置を経ることにより、この位置で筐体51内の高温高圧の蒸気を逃がして安全に扉52を全開することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ロックハンドル装置
2 ハンドル組立体
3 掛金組立体
4 連結部材
5 受金組立体
6 固定受座
7 操作ハンドル
8 ハンドル軸
9 駆動レバー
10 軸受部材
11 枢軸
12 掛金体
13 取付座
14 係合ピン
15 係合部
15a 第1の係合凹部
15b 第2の係合凹部
15c 斜面
15d 隆起部
16 レバー部
51 筐体
52 扉
53 ガスケット
図1
図2
図3
図4
図5