【実施例1】
【0090】
実施例
本発明は、下記の実施例でさらに定義される。実施例は、例示のみのために記載されていることが理解されるべきである。上記記載および実施例から、当業者は、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明の必須の特徴を確認することができ、本発明を様々な用途および条件で用いるために様々な変更および改変をすることができる。よって、本発明は、下記に説明される例示的な実施例によって限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
【0091】
略語
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミンテトラ酢酸
eq 当量
ESI エレクトロスプレーイオン化質量分析
g グラム
h 時間
L リットル
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
M モル
mg ミリグラム
min 分
mL ミリリットル(s)
mmol ミリモル
MS 質量分析
N 通常
NaHMDS ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NCS N−クロロコハク酸イミド
NMR 核磁気共鳴分光法
RT 保持時間
ssNMR 固体核磁気共鳴
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TIPSO トリイソプロピルシリルオキシ
TMS テトラメチルシラン
μL マイクロリットル
℃ 摂氏温度
【0092】
陽子磁気共鳴(
1H NMR)スペクトルは、Bruker AC300またはAC500に記録した。全てのスペクトルは、表示される溶媒中で決定され、化学シフトは、内部標準物質テトラメチルシラン(TMS)からのδユニット低磁場で記載し、プロトン間結合定数は、ヘルツ(Hz)で記載する。分裂パターンは、下記のように表記する:s,一重項;d,ニ重項;t,三重項;q,四重項;m,多重項;br,広域ピーク。低分解能質量スペクトル(MS)および見掛けの分子量(MH
+)または(M−H)
+は、Micromass platformで調べた。元素分析は、重量パーセントとして記載する。生成物は、カラムYMC S5 ODS(30x100mm)を、40.0mL/分の流速および8.0分のグラジエントで、40% メタノール−60% 水−0.1% TFAの溶媒組成物から開始し、溶媒組成物95% メタノール−5% 水−0.1% TFAまで用いて、プレパラティブHPLCによって精製した。生成物は、XTERAカラム(3.0x50mm S7)を、2分のグラジエント時間にわたって、溶媒A(10% メタノール−90% 水−0.1% トリフルオロ酢酸(TFA))から開始し、溶媒B(10% 水−90% メタノール−0.1% TFA)までで用いて、HPLC装置によって分析した。流速は5mL/分であり、生成物の保持時間(Rf)は220nm波長で測定した。
【0093】
中間体1
(6S,9R)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−ヒドロキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−5−オン
【化4】
(中間体1)
250mLの丸底フラスコにおいて、テトラヒドロフラン(5mL)中に(9R)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−5−オン(0.218g,0.49mmol)を溶解させて無色の溶液を得た。窒素下で−15℃(氷−メタノール槽)に冷却し、TBAF(0.490mL,0.490mmol)を加え、得られた明るい黄色の溶液を−15℃で1時間攪拌した。これを炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、酢酸エチルで希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、黄褐色の油状物を得た。100%以下の酢酸エチル/ヘキサンを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(25gシリカゲルカラム)により、所望生成物を得た(112mg,62%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.53 (dd, J=4.91, 1.64 Hz, 1 H) 7.85 (dd, J=7.68, 1.64 Hz, 1 H) 7.34 (dd, J=7.68, 4.91 Hz, 1 H) 7.00-7.16 (m, 3 H) 5.32 (s, 1 H) 4.94-5.04 (m, 1 H) 4.48 (dd, J=11.83, 3.02 Hz, 1 H) 2.14-2.48 (m, 4 H); 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -138.24--138.07 (m, 1 F) -140.70--140.50 (m, 1 F).
【0094】
中間体2
(5S,6S,9R)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−5−オール。
【化5】
(中間体2)
水素化ホウ素リチウム(0.982g,45.1mmol)を、N
2下にて0℃で(6S,9R)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−5−オン(5.0224g,11.27mmol)のシクロペンチルメチルエーテル(30mL)溶液に加えた。反応混合液を0℃で2時間攪拌し、続いて室温でさらに4時間攪拌した。該反応物を、メタノールを加えてクエンチした。反応混合液を0.5時間攪拌した。該溶媒を減圧下でほぼ留去し、粗物質を酢酸エチル中に入れ、水で3回洗浄した。0〜10%のヘキサン中の酢酸エチルによるフラッシュカラムで所望生成物を得た(3.28g,65%)。
【0095】
中間体3
(5R,6S,9R)−5−クロロ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン
【化6】
(中間体3)
オーブンで乾燥させた250mLの丸底フラスコにおいて、NCS(0.751g,5.62mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)中で懸濁させた。トリフェニルホスフィン(1.475g,5.62mmol)を加えた。窒素下で5分間攪拌し、(5S,6S,9R)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−5−オール(1.007g,2.250mmol)を灰色の懸濁液に一度に加えた。生じた赤みがかった懸濁液を室温で攪拌した。該固形物が徐々に溶解して黄褐色の溶液を得た。5時間後、LCMSにより変換が完了したことを示された。テトラヒドロフランを減圧中で留去し、残った赤色の油状物を60%以下の酢酸エチル/ヘキサンによるISCO(240gシリカカラム)によって直接精製した。純粋な酢酸エチルで溶出した非極性成分および生成物を、塩化メチレン中の10% メタノール(2.0M NH
4OH)で溶出した。生成フラクションを合わせて、50% 酢酸エチル/ヘキサンでFCCによって再精製して、無色の油状物として所望生成物を得た(869mg,83%)。MS(ESI)[M+H
+] = 466.22;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.55 (d, J=3.53 Hz, 1 H) 7.63 (br. s., 1 H) 7.20 (dd, J=7.68, 4.91 Hz, 1 H) 7.01-7.15 (m, 1 H) 6.90-7.01 (m, 1 H) 6.66-6.90 (m, 1 H) 5.55-5.85 (m, 1 H) 5.40-5.56 (m, 1 H) 3.96-4.33 (m, 1 H) 2.33 (br. s., 3 H) 2.09-2.20 (m, 1 H) 1.14-1.23 (m, 3 H) 1.04-1.14 (m, 9 H) 1.01 (d, J=7.30 Hz, 9 H).
【0096】
中間体4
(5S,6S,9R)−5−アジド−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン
【化7】
(中間体4)
100mLの丸底フラスコにおいて、(5R,6S,9R)−5−クロロ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン(566mg,1.214mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)中に溶解させて、無色の溶液を得た。アジ化ナトリウム(474mg,7.29mmol)を加え、該混合物を窒素下にて室温で2.5時間攪拌した。LCMSにより一部のみの反応が示された。該混合物を50℃で終夜加熱した。15時間後、LCMSによりいくらかの除去生成物と共に完全な変換が示された。該混合物を水および酢酸エチルで希釈した。該層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、無色の油状物を得た。粗生成物をさらに精製し、特徴付けをすることなく、次の反応に用いた。小規模の精製により分析試料を得た:MS(ESI)[M+H
+] = 473.27;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.52-8.63 (m, 1 H) 7.75 (d, J=7.81 Hz, 1 H) 7.23-7.36 (m, 1 H) 6.95-7.17 (m, 2 H) 6.89 (br. s., 1 H) 5.28 (d, J=4.03 Hz, 1 H) 4.90 (d, J=9.07 Hz, 1 H) 3.79 (t, J=9.44 Hz, 1 H) 1.86-2.23 (m, 4 H) 1.16-1.30 (m, 3 H) 0.98-1.15 (m, 18 H); 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -137.68--137.36 (m, 1 F) -141.78--141.54 (m, 1 F).
【0097】
中間体5
(5S,6S,9R)−5−アジド−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−オール
【化8】
(中間体5)
100mLの丸底フラスコにおいて、(5S,6S,9R)−5−アジド−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−9−(トリイソプロピルシリルオキシ)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン(0.732g,1.549mmol)(粗製)をテトラヒドロフラン(8mL)中に溶解させて、無色の溶液を得た。TBAF(1.859mL,1.859mmol)を加え、得られた淡黄色の溶液を室温で1.5時間攪拌した。LCMSにより変換が完了したことが示された。テトラヒドロフランを留去し、残渣を水および酢酸エチルで希釈した。該層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、淡黄色の油状物を得た。60% 酢酸エチル/ヘキサンのFCCによる精製により、所望生成物(粗製重量:480mg)を無色の油状物として得た。小規模精製により、分析試料を得た:MS(ESI)[M+H
+] = 317.22;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.51 (dd, J=4.91, 1.38 Hz, 1 H) 7.99 (d, J=7.30 Hz, 1 H) 7.35 (dd, J=7.81, 5.04 Hz, 1 H) 7.06-7.20 (m, 2 H) 6.94-7.05 (m, 1 H) 5.91 (br. s., 1 H) 5.03 (d, J=10.32 Hz, 1 H) 4.92 (dd, J=11.21, 2.39 Hz, 1 H) 2.84-3.02 (m, 1 H) 2.37-2.49 (m, 1 H) 2.25-2.36 (m, 1 H) 2.07-2.17 (m, J=14.38, 4.94, 3.05, 3.05 Hz, 1 H) 1.40-1.64 (m, 1 H);
13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 158.48 (s, 1 C) 152.19-149.87 (dd, J=13.10 and 221Hz, 1 C) 149.72-147.42 (dd, J=13.87および219 Hz, 1 C) 146.16 (s, 3 C) 133.67 (s, 2 C) 133.23 (s, 1 C) 132.66 (d, J=10.79 Hz, 1 C) 124.43 (dd, J=6.94, 3.85 Hz, 2 C) 123.84 (br. s., 1 C) 122.89 (s, 2 C) 115.98 (d, J=17.73 Hz, 2 C) 70.94 (s, 3 C) 65.67 (s, 1 C) 45.43 (br. s., 1 C) 35.71 (s, 3 C) 33.45 (s, 2 C); 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -137.55--137.20 (m, 1 F) -142.28--141.89 (m, 1 F).
【0098】
中間体6
(5S,6S,9R)−5−アジド−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−イル 4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化9】
(中間体6)
100mLの丸底フラスコにおいて、(5S,6S,9R)−5−アジド−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−オール(0.490g,1.549mmol)(乾燥ベンゼンと共沸)および4−ニトロフェニル 4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.713g,1.859mmol)を、ジメチルホルムアミド(8mL)中に溶解させて、窒素下で淡黄色の懸濁液を得た。−15℃(氷−メタノール槽)に冷却し、NaHMDS(4.18mL,4.18mmol)を滴下して加えた。生じた黄褐色の溶液を、窒素下にて−10℃〜0℃で2時間、続いて室温で2時間攪拌した。LCMSにより完全な変換が示された。該反応を炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。該混合物を酢酸エチルで希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて、水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、黄褐色の油状物を得た。8% メタノール/塩化メチレンでFCCによる精製により、所望生成物(主要なピーク,632mg,3段階で73%)を淡黄色の泡状物として得た。MS(ESI)[M+H
+] = 561.27;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 11.50 (br. s., 1 H) 8.58 (d, J=3.78 Hz, 1 H) 8.11 (d, J=5.04 Hz, 1 H) 7.91 (d, J=7.30 Hz, 1 H) 7.33 (br. s., 2 H) 7.07-7.19 (m, 2 H) 6.92-7.06 (m, 2 H) 6.10 (d, J=9.32 Hz, 1 H) 5.23 (d, J=10.07 Hz, 1 H) 4.26-4.84 (m, 3 H) 2.46-3.34 (m, 4 H) 2.20-2.43 (m, 3 H) 2.01-2.13 (m, 1 H) 1.94 (d, J=12.34 Hz, 3 H); 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -137.30--137.01 (m, 1 F) -142.32--142.03 (m, 1 F).
【0099】
化合物(I)
(5S,6S,9R)−5−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−イル 4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化10】
(I)
100mLの丸底フラスコにおいて、(5S,6S,9R)−5−アジド−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−イル 4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(620mg,1.106mmol)(中間体6)を、テトラヒドロフラン(5mL)中に溶解させて、無色の溶液を得た。トリメチルホスフィン(3.32mL,3.32mmol,トルエン中で1.0M)を加えた。該混合物を室温で攪拌した。2時間後、LCMSにより出発物質が存在しないことが示された。水(0.080mL,4.42mmol)を加え、該混合物をさらに3時間攪拌した。LCMSにより、所望生成物への完全な変換が示された。揮発性構成物質を減圧中で留去し、残渣を塩化メチレン中の10% メタノールでのFCCで直接精製して、生成物(510mg,85%)を白色の固形物として得た。MS(ESI)[M+H
+] = 535.23;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 10.39 (br. s., 1 H) 8.52 (d, J=3.78 Hz, 1 H) 8.09 (d, J=5.04 Hz, 2 H) 7.46 (br. s., 1 H) 7.26-7.38 (m, 1 H) 7.06-7.20 (m, 3 H) 6.94-7.05 (m, 1 H) 6.06-6.23 (m, 1 H) 4.31-4.78 (m, 4 H) 4.05 (spt, J=6.13 Hz, 1 H) 2.57-3.25 (m, 3 H) 2.17-2.38 (m, 3 H) 1.42-2.04 (m, 6 H); 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -136.90 (br. s., 1 F) -142.48--142.21 (m, 1 F).
【0100】
化合物(I)の結晶塩についてのハイスループット塩スクリーニング
ハイスループット結晶化は、化合物(I)の結晶塩の形成についてスクリーニングするために用いた。前記スクリーニングは、酸タイプ、酸レベル(当量)、および/または結晶化溶媒のタイプを試験した。各プレートは、96ウェルプレート(1プレートあたり12列の8行)を含有した。
【0101】
溶液は、400mgの化合物(I)を36mL THFおよび4mL H
2Oの混合液中に溶解させることによって調製した。該溶液(12.5mL)を24個のバイアルに移した。各バイアルに、以下の酸の0.25M EtOHストック溶液を加えた:
【表3】
【0102】
各バイアルの内容物を12個の結晶化ウェルに移し、乾燥するまで蒸発させた。蒸発により、各ウェルを、ロボット液体ハンドラー(robotic liquid handler)を用いて100μlの溶媒で満たした。下記の結晶化溶媒を試験した:メチルイソブチルケトン(MIBK、酢酸エチル、トルエン、THF、アセトニトリル、アセトン、イソプロパノール、エタノール、メタノール、1,2−ジクロロエチレン、イソプロパノール/水(50:50)、および水。次に、該プレートをテフロンセプタムで密封し、温度サイクルにかけた。該プレートを50℃で10時間保ち、続いて14時間かけて室温に冷ました。加熱/冷却サイクル後、ウェルの内容物を複屈折イメージングによって特徴付けした。認識された結晶ヒット物をPXRD分析でさらに特徴付けした。
【0103】
結晶塩形成は、酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、L−乳酸、マレイン酸、L−リンゴ酸、リン酸、およびコハク酸の存在下における化合物(I)について観察されなかった。結晶塩形成は、少なくとも1つの溶媒中のクエン酸、フマル酸、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、D−酒石酸、およびL−酒石酸の存在下における化合物(I)について観察された。化合物(I)の結晶塩の特性をさらに特徴付けした。
【0104】
塩スクリーニングおよび結晶塩の特徴付けの結果は、表3に示す。
表3
【表4】
【0105】
実施例1
(5S,6S,9R)−5−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[b]ピリジン−9−イル 4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート,ヘミ硫酸塩
エタノール/水溶液からの調製
化合物(I)(1g)を、70℃で17mLのエタノールおよび水(3:1)中に溶解させた(溶液A)。別個に、52μLの96% H
2SO
4(0.5当量)を、室温で8mLのエタノールおよび水(3:1)中に溶解させた(溶液B)。次に、30mgの種晶を溶液Aに加えた。溶液Bを、シリンジポンプで2時間かけて播種した溶液Aに加えた。生じたスラリーを70℃で1時間攪拌し、90分かけて20℃に冷ました。該スラリーを室温で終夜攪拌させた。該スラリーを濾過した。湿ったケーキを8mLのEtOH:水(3:1)の溶液で洗浄し、30℃で真空オーブン中にて終夜乾燥させて、1.01g(88.4モル%)の実施例化合物1を結晶固形物として得た。GADDSにより、結晶固形物が形態H−1.5であることが示された。
【0106】
テトラヒドロフラン/水溶液からの調製
化合物(I)(1g)を、50℃で10mLのTHFおよび水(4:1)中に溶解させた(溶液A)。別個に、52μLの96% H
2SO
4(0.5当量)を、室温で10mLのTHF中に溶解させた(溶液B)。次に、0.5mLの溶液Bを溶液Aに加え、続いて20mgの種晶を加えた。該溶液は、薄いスラリーに変化した。溶液Bの残りの量は、シリンジポンプを用いて2時間かけてスラリーにした。該スラリーを50℃で1時間攪拌し、続いて1時間かけて20℃に冷ました。該スラリーを室温で終夜攪拌した。該スラリーを濾過した。湿ったケークを8mLのTHF:水=3:1で洗浄し、真空オーブン中で30℃にて終夜乾燥させて、1.06g(92.8モル%)の実施例化合物1を結晶固形物として得た。GADDSにより、結晶固形物が形態H−1.5であることが示された。
【0107】
安定性実験
実施例化合物1の固形安定性は、試料を様々な温度および相対湿度条件に1、2および4週間曝すことによって試験した。効力%(%pot.)および合計不純物%(%total imp.)を表4に示す。結果により、化合物(I)のヘミ硫酸塩の結晶形態H1.5−1が、4週間の保存後に、合計不純物レベルがほとんど増加せず、および/または効力が減少しないことによって示されるように、試験された保存条件下で安定であることが示される。
表4
ヘミ硫酸塩の形態H1.5−1の固形安定性
【表5】
% pot.=効力%
% total imp.=合計不純物%
HIL/UV:高強度の光/紫外線
【0108】
実施例化合物1についての吸湿等温線を
図5に示す。実施例化合物1は、25%から75%の間の相対湿度および5%から95%の間の相対湿度でそれぞれ、0.8重量%および2.8重量%の吸湿重量増加を示す。これらの結果により、化合物(I)のヘミ硫酸塩が試験された条件下で低い吸湿性を有し、または吸湿性を有していないことが示された。
【0109】
形態H1.5−1
表5は、NISTおよび他の適切な標準物質を用いて2θで較正した回転キャピラリーを備える回折計(CuKα)で収集した質の高いパターンに基づいて、実施例化合物1について約25℃で測定した特徴的なPXRD回折ピーク位置(2θ±0.1度)を示す。
表5
PXRDピーク位置(度2θ±0.1)
【表6】
【0110】
表6は、TMSで標準化した実施例化合物1についての特徴的な固体NMRピーク位置δ(ppm)を示す。
表6
ssNMRピーク位置−δ(ppm)
【表7】
【0111】
実施例化合物1の他の結晶形態
形態P22C:形態H1.5−1を60℃で2時間または75℃で5分間加熱することによって調製した。形態H1.5−1および形態P22Cとの間の水分活性実験により、形態H1.5−1が>23%の相対湿度でより安定であることが示された。
形態P33:形態H1.5−1は、様々な温度のPXRD実験において50℃から75℃の間で形態P33に変換した。形態H1.5−1を105℃で5分間加熱した後にも観察されるか、または、乾燥粉末形態H1.5−1を乾燥EtOHまたはIPAc中でスラリーにすることによって調製した。元素分析により、形態P33がヘミ硫酸一水和物であることが示された。固体NMRにより、形態P33が単一相(single phase)であることが示された。形態H1.5−1と形態P33との間の水分活性実験により、形態H1.5−1が>23%の相対湿度でより安定であることが示された。
形態P35:モレキュラ・シーブス(7% RH)を用いて、乾燥MeOH中の形態H1.5−1のスラリーから調製した。60℃で乾燥させた場合に形態P33に変換した。
【0112】
水スラリー中での安定性
実施例化合物1の水スラリーを調製し、室温で保存した。2日後、化学的な分解はあまり生じず;PXRDパターンに変化はなく、結晶形態H1.5−1が水スラリー中で安定であることが示された。
【0113】
熱重量分析走査および示差走査熱量測定、ならびにPXRDであまり変化は見られなかった。
【0114】
化合物(I)のヘミ硫酸塩を化合物(I)の他の塩と比較し、特に有益であることを見出した。化合物(I)のヘミ硫酸塩は、化合物(I)の他の塩と比較して物理的に安定で、かつ化学的に安定である塩を供するという驚くべき効果を有する。さらに、ヘミ硫酸塩は、安定な結晶形態である形態H1.5−1で供される驚くべき利点を有する。例えば、化合物(I)のヘミ硫酸塩は、結晶形態として再現性よく調製され、低い吸湿性を示し、相対湿度および/または温度の変化に応じて結晶形態または水和状態が容易に変化することはなかった。対照的に、クエン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、リン酸塩、およびL−酒石酸塩は、周囲温度および相対湿度条件で吸湿性を示し、結果として、重量変化、水和状態の変化、および/または相転移を生じた。結晶塩の形成は、ハイスループット塩スクリーニングにおいて、酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、L−乳酸、マレイン酸、L−リンゴ酸、およびコハク酸の存在下での化合物(I)については見られなかった。さらに、ヘミ硫酸塩の調製には、D−酒石酸などの高価な物質の使用の必要はなかった。
【0115】
生物学的方法
インビトロ薬理
組織培養
SK−N−MC細胞は、アール塩を含有するMEMおよび10% ウシ胎児血清(インビトロジェン)を添加したL−グルタミン(インビトロジェン)からなる培地中で単層として、5% CO
2中にて37℃で増殖させた。
【0116】
膜調製
粗膜は、CGRP受容体を発現するSK−N−MC細胞から調製した。該細胞をリン酸緩衝生理食塩水(155mM NaCl,3.3mM Na
2HPO
4,1.1mM KHPO
4,pH7.4)で2回すすぎ、10mM Tris(pH7.4)および5mM EDTAからなる低浸透圧性溶解緩衝液中で4℃にて5〜10分間インキュベートした。該細胞をプレートからポリプロピレン管(16x100mm)に移し、ポリトロンを用いてホモジェナイズした。ホモジェナイズ物を32,000xgで30分間遠心分離した。該ペレットを、0.1% 哺乳類プロテアーゼ阻害剤クックテイル(Sigma)を含有する冷たい低浸透圧性溶解緩衝液中に再懸濁し、タンパク質濃度についてアッセイした。SK−N−MCホモジェナイズ物を一定分量とし、−80℃で保存した。
【0117】
放射性リガンド結合アッセイ
化合物(I)を可溶化し、100% DMSOを用いて連続希釈を行った。化合物の連続希釈物からの一定分量を、アッセイ緩衝液(50mM Tris−Cl pH7.5,5mM MgCl
2,0.005% Triton X−100)で25倍にさらに希釈し、(体積50μl)を96ウェルアッセイプレートに移した。[
125I]−CGRP(GE HealthcareまたはPerkin−Elmer)をアッセイ緩衝液で72pMに希釈し、50μlの体積を各ウェルに加えた。SK−N−MC膜を融解し、新たに調製した0.1% 哺乳類プロテアーゼ阻害剤クックテイル(Sigma)を含有するアッセイ緩衝液で希釈し、再度ホモジェナイズした。SK−N−MCホモジェナイズ物(7μg/ウェル)を100μlの体積中に加えた。続いて、アッセイプレートを室温で2時間インキュベートした。0.5% PEI中に予め浸したガラス繊維フィルター(Whatman GF/B)により濾過し、すぐに過剰量の冷たい洗浄緩衝液(50mM Tris−Cl pH7.5,0.1% BSA)を加えることによりアッセイを停止した。非特異的な結合を1μM ベータ−CGRP(Bachem)で定めた。タンパク質結合放射活性は、ガンマまたはシンチレーションカウンターを用いて調べた。生じたデータは、四パラメータ競合結合式(XLfit v2.0)を用いて解析し、IC
50は、50%の放射性リガンド結合を置き換えるために必要とされる化合物(I)の濃度として定義した。[
125I]−CGRPの最終アッセイ濃度は、18pMであった。[
125I]−CGRPについての平均K
dは、25.4pMである。化合物(I)は、少なくとも2つの別々の実験で評価した。この実験において、化合物(I)のヒトCGRP受容体IC
50値は、0.04nMであった。
【0118】
インビボ薬物動態実験
インビボ実験は、40mgのファモチジンで予め処置したヒトにおける遊離塩基化合物(I)の薬物動態を、処置していないヒトと比較して行った。
【0119】
ヒトEDTA血漿中の化合物(I)は、Triple Quad 5500質量分光計におけるuHPLC−MS/MS検出による液体−液体抽出を用いて解析した。この方法は、安定な同位体で標識された[
13C
2,D
4]−化合物(I)を内部標準として利用した。50μLのMeOH:水(20/80)中の100ng/mLの[
13C
2,D
4]−化合物(I)および4% 酢酸緩衝溶液を含有する50μL 1M NH
4OAcを、0.100mLの各実験試料、品質管理(QC)試料、および校正基準に加え、該試料を600μL メチル tert−ブチルエーテル(MTBE)で15分間攪拌させることによって抽出した。有機層の450μLを除去し、乾燥するまで蒸発させた。残渣を200μLの再構成溶液(0.01% 酢酸を含有する10mM NH
4OAc中の30% アセトニトリル)中で再構成させた。全ての液体を移す工程は、内部標準液を加える場合を除き、Perkin Elmer JANUS Mini(登録商標)液体ハンドラーを用いて行った。10μLの一定分量の抽出した試料をuHPLC−MS/MSシステムに注入した。uHPLCは、LEAP HTC PALオートサンプラーを備えたLEAP 4X Ultra uHPLCシステムを用いて行った。移動相Aは、10mM NH
4OAcおよびACN/水(10:90)中で0.01% 酢酸を含有し、移動相Bは、10mM NH
4OAcおよびACN/水(90:10)中で0.01% 酢酸を含有した。クロマトグラフ分離は、Acquity(登録商標)uHPLC BEH C18カラム(1.7μm,2.1x50mm)を用いて、化合物(I)の分析のために28% 移動相Bから構成される0〜1.5分で定組成溶離液、次いで0.1分で28% B〜100% Bの線形増加から構成されるグラジエント溶離液、続いてカラムを洗い流すためにそれを100% Bで1.1分間保持することによって行った。続いて、該グラジエントを0.1分以内に28% Bに戻し、3.7分の流動時間で28%に0.9分間保持した。流速は0.6mL/分であり、カラム温度は60℃の条件を保った。検出は、陽性ESIでターボイオンスプレーイオン化と共にAB Sciex Triple Quad 5500質量分光計を用い、複数反応モニタリング(multiple reaction monitoring)(MRM)モードを用いて行った。前記MRM移行は、化合物(I)については、m/z535→256であり、[
13C
2,D
4]−化合物(I)については、m/z541→256であった。データ収集および定量化は、AB Sciex Analyst(登録商標)1.5.1ソフトウェアを用いて行った。検量線は、化合物(I)について0.500〜500ng/mlであり、1/x2加重線形回帰モデルに適合させた。試料分析中、ヒトEDTA血漿で調製された化合物(I)の低、幾何平均、中および高濃度を示す分析品質管理(QC)試料の4つのレベルは、各分析流動ごとに各濃度レベルで4回反復して解析した。これらのQC試料からの結果を用いて、ヒトEDTA血漿中の化合物(I)の回折について事前に設定した許容基準に基づいて、実験試料を含有する流動分析物を受け入れるか、受け入れない。
【0120】
この実験の結果を表7および
図8に示す。化合物(I)のAUCおよびCmaxにおける著しい減少は、予め処置していないヒトと比較して40mgのファモチジンで処置したヒトで見られた。
表7
【表8】
【0121】
インビボ実験は、ファモチジンまたはペンタガストリンで処置したイヌにおいて遊離塩基化合物(I)および化合物(I)のヘミ硫酸塩の薬物動態を比較して行った。
【0122】
150mgの遊離塩基またはヘミ硫酸塩としての化合物(I)を含有するカプセル剤を調製した:
1.化合物(I)遊離塩基カプセル剤:50重量%の化合物(I)、42重量%の微結晶セルロース、3重量%のクロスカルメロースナトリウム、4重量%のKlucel EXF ヒドロキシプロピルセルロース、0.5重量%のステアリン酸マグネシウム、0.5重量%のコロイド性二酸化ケイ素
2.化合物(I)ヘミ硫酸塩カプセル剤:57%の実施例化合物1(化合物(I)のヘミ硫酸塩、結晶形態H1.5−1)、40%の微結晶セルロース、3%のクロスカルメロースナトリウム。
【0123】
4匹の雄イヌ(10kg)は、下記の3つの処置プロトコールに従って処置した:
処置1:化合物(I)遊離塩基カプセル剤の経口投与の数時間前にペンタガストリン(6μg/kg,IP)で予め処置。
処置2:化合物(I)遊離塩基カプセル剤の経口投与の3時間前に40mgのファモチジンで経口的に予め処置。
処置3:化合物(I)ヘミ硫酸塩カプセル剤の経口投与の3時間前に40mgのファモチジンで経口的に予め処置。
【0124】
血液試料は、化合物(I)遊離塩基カプセル剤または化合物(I)ヘミ硫酸塩カプセル剤の投与後0、0.5、1、2、4、8、および24時間で収集し、EDTAチューブで保存した。イヌEDTA血漿中の化合物(I)は、Triple Quad 5500質量分光計における液体−液体抽出およびuHPLC−MS/MS検出を用いて分析した。イヌEDTA血漿の0.050mLの一定分量をアッセイについて使用した。この方法は、安定な同位体で標識した[
13C
2,D
4]−化合物(I)を内部標準として利用した。MeOH:水(20/80)中の50μLの200ng/mLの[
13C
2,D
4]−化合物(I)および4%の酢酸緩衝溶液を含有する50μLの1M NH
4OAcを0.050mLの各実験試料、品質管理(QC)試料、および校正基準に加え、該試料を、600μLのメチル tert−ブチルエーテル(MTBE)で15分間振盪させることにより抽出した。450μLの有機層を除去し、乾燥するまで蒸発させた。残渣を300μLの再構成溶液(0.01% 酢酸を含有する10mM NH
4OAc中の30% アセトニトリル)で再構成した。全ての液体を移す工程は、内部標準液を加える場合を除いて、Perkin Elmer JANUS Mini(登録商標)液体ハンドラーを用いて行った。抽出した試料の5μLの一定分量をuHPLC−MS/MSシステムに注入した。このuHPLCは、LEAP HTC PALオートサンプラーを備えたLEAP 4X Ultra uHPLCシステムを用いて行った。移動相Aは、10mM NH
4OAcおよびACN/水(10:90)中の0.01% 酢酸を含有し、移動相Bは、10mM NH
4OAcおよびACN/水(90:10)中の0.01% 酢酸を含有した。カラムクロマトグラフ分離は、Acquity(登録商標)uHPLC BEH C18カラム(1.7μm,2.1x50mm)を用いて、化合物(I)の分析のために28% 移動相Bから構成される0〜1.5分で定組成溶離液、続いて0.1分で28% Bから100% Bの線形増加から構成されるグラジエント溶離液、次いでカラムを洗い流すための1.1分間の100% Bに保持することによって行った。次いで、前記グラジエントを0.1分以内に28% Bに戻し、3.7分の合計流動時間で0.9分間28%で保持した。該流速は、0.6mL/分であり、カラム温度は、60℃の条件に保った。検出は、陽性ESIでターボイオンスプレーイオン化と共にAB Sciex Triple Quad 5500質量分光計を用い、複数反応モニタリング(MRM)モードを用いて行った。MRM移行は、化合物(I)については、m/z 535→256、[
13C
2,D
4]−化合物(I)については、m/z 541→256であった。データ収集および定量化は、AB Sciex Analyst(登録商標)1.5.1ソフトウェアを用いて行った。検量線は、化合物(I)について3.00〜3000ng/mLの範囲であり、1/x2加重線形回帰モデルに適合させた。試料分析中、ヒトEDTA血漿で調製された化合物(I)の低、幾何平均、中および高濃度を示す分析品質管理(QC)試料の4つのレベルは、各分析流動ごとに各濃度レベルで4回反復して解析した。これらのQC試料からの結果を用いて、ヒトEDTA血漿中の化合物(I)の回折について事前に設定した許容基準に基づいて、実験試料を含有する流動分析物を受け入れるか、受け入れない。
【0125】
この実験の結果を表8および
図9に示す。ペンタガストリンで予め処置したイヌ(低い胃pH)と比較して、遊離塩基化合物(I)で処置した後にファモチジンで予め処置したイヌ(高い胃pH)において、AUCおよびCmaxにおける著しい減少が見られた。ファモチジンで予め処置したイヌに実施例化合物1(化合物(I)のヘミ硫酸セスキ水和物塩)を投与すると、AUCおよびCmaxであまりに低い減少を示した。この特定の実験において、化合物(I)のヘミ硫酸塩は、ファモチジンで予め処置した後に投与されると、2596ng/mLのC
max値、12473ng・h/mLのAUC
0−24hr、および34.73%のバイオアベイラビリティを供した。対照的に、同様の実験において、化合物(I)遊離塩基は、ファモチジンで予め処置した後に投与されると、245ng/mLのC
max値、1762ng・h/mLのAUC
0−24hr、および4.54%のバイオアベイラビリティを供した。
表8
ヘミ硫酸塩または遊離塩基としての化合物(I)の150mgのイヌにおける投与のための薬物動態パラメータ
【表9】
【0126】
化合物(I)のヘミ硫酸塩は、化合物(I)遊離塩基と比較して、特に有利であることが見出された。化合物(I)のヘミ硫酸塩は、患者に対して、化合物(I)のバイオアベイラビリティにおける変動を抑え、および/または化合物(I)のバイオアベイラビリティを増加させるという驚くべき有益な点を有する。これらのインビトロおよびインビボデータに基づいて、ヘミ硫酸塩は、遊離型よりも患者間のバイオアベイラビリティにおける一貫性についての著しい利益を供することが期待される。例示されるように、制酸薬、プロトンポンプ阻害剤、またはH
2−受容体アンタゴニストなどの胃酸のpHを上昇させうる薬を投与される患者集団において、ヘミ硫酸塩形態は、著しく高まったバイオアベイラビリティを供する。
【0127】
単一結晶データ(LVL)
データは、Bruker−Nonius CAD4連続回折計で収集した。単位格子パラメータは、25高角反射(high-angle reflections)の実験上の回折計設定の最小二乗解析により取得した。強度は、θ−2θ可変走査技術(variable scan technique)で一定温度にてCuKα線(λ=1.5418Å)を用いて測定し、ローレンツ偏光因子についてのみ補正した。バックグラウンド計数は、走査時間の半分の走査時に収集した。あるいは、単一結晶データは、CuKα線(λ=1.5418Å)を用いてBruker−Nonius Kappa CCD2000システムで収集した。測定した強度データの索引および処理は、コレクトプログラムスイート(Collect program suite)中のHKL2000ソフトウェアパッケージ(Otwinowski, Z & Minor, W. (1997) in Macromolecular Crystallography, eds. Carter, W.C. Jr. & Sweet, R.M. (Academic, NY), Vol. 276, pp307-326)を用いて行った。(Collect Data collection and processing user interface: Collect: Data collection software, R. Hooft, Nonius B.V., 1998)。あるいは、単一結晶データは、CuKα線(λ=1.5418Å)を用いてBruker−AXS APEX2 CCDシステムで収集した。測定した強度データの索引および処理は、APEX2ソフトウェアパッケージ/プログラムスイート(APEX2 Data collection and processing user interface: APEX2 User Manual, v1.27; BRUKER AXS, Inc., Madison, WI)を用いて行った。
【0128】
示される場合、結晶は、データ収集中にOxford cryosystem(Oxford Cryosystems Cryostream cooler: J. Cosier and A.M. Glazer, J. Appl. Cryst., 1986, 19, 105)の低温ストリームで冷却した。
【0129】
これらの構造を直接的な方法によって溶解し、一部に改変を加えたSDPソフトウェアパッケージ(SDP, Structure Determination Package, Enraf-Nonius, Bohemia NY)、または結晶学的パッケージMAXUS(maXus solution and refinement software suite: S. Mackay, C.J. Gilmore, C. Edwards, M. Tremayne, N. Stewart, K. Shankland. maXus: a computer program for the solution and refinement of crystal structures from diffraction data)もしくはSHELXTL(Sheldrick, GM. 1997, SHELXTL. Structure Determination Programs. Version 5.10 or greater, Bruker AXS, Madison, Wisconsin)のいずれかを用いて実測された反射に基づいて精密化した。
【0130】
生じた原子パラメータ(座標および温度因子)は、全マトリックス最小二乗法により精密化した。精密化で最小化した関数は、Σ
w(|F
o|−|F
c|)
2であった。R
w=[Σ
w(|F
o|−|F
c|)
2/Σ
w|F
o|
2]
1/2[式中、wは、実測された強度における誤差に基づく適当な重み関数である]である場合、Rは、Σ||F
o|−|F
c||/Σ|F
o|と定義する。差分地図(Difference maps)を精密化の全ての段階で試験した。水素を等方性温度因子を用いて理論上の位置に導入したが、水素パラメータは変化しなかった。
【0131】
単一結晶データ(WFD)
CuKα線(λ=1.54056Å)を放射する黒鉛のモノクロメータを備えたBruker SMART 2K CCD回折計を用いて、室温で回折データを収集した。全データセットは、4.98cmの結晶−検出器間の距離で2θ範囲にわたりωスキャンモードを用いて収集した。経験的吸収補正には、回折計を備えたSADABSルーチン(routine)を利用した(Bruker AXS. 1998, SMART and SAINTPLUS. Area Detector Control and Integration Software, Bruker AXS, Madison, Wisconsin, USA)。最終的な単位格子パラメータは、全データセットを用いて決定した。
【0132】
全ての構造を直接的な方法によって溶解し、SHELXTLソフトウェアパッケージを用いて全マトリックス最小二乗技術によって精密化した(Sheldrick, GM. 1997, SHELXTL. Structure Determination Programs. Version 5.10, Bruker AXS, Madison, Wisconsin, USA.)。精密化で最小化された関数は、Σ
w(|F
o|−|F
c|)
2であった。R
w=[Σ
w(|F
o|−|F
c|)
2/Σ
w|F
o|
2]
1/2(式中、wは、実測された強度における誤差に基づく適当な重み関数である)である場合、Rは、Σ||F
o|−|F
c||/Σ|F
o|として定義する。差分フーリエ地図(Difference Fourier maps)を精密化の全ての段階で試験した。全ての非水素原子は、異方性熱変位パラメータで精密化した。水素結合で結合した水素原子を最終的な差分フーリエ地図に配置し、他の水素原子の位置は標準的な結合の長さおよび角度を用いて理論上の構造から算出した。それらは、等方性温度因子が割り当てられ、固定したパラメータを用いて構造因子の算出に含まれる。
【0133】
PXRD(Philips)
約200mgをPhilips粉末X線回折(PXRD)サンプルホルダーに詰めた。該試料をPhilips MPDユニット(45KV,40mA,CuKα)に移した。データは、2〜32の2シータ範囲(連続スキャンモード、スキャン速度0.03度/秒、オートダイバージェンス(auto divergence)および散乱防止スリット(anti scatter slit)、受光スリット(receiving slit):0.2mm,サンプルスピナー(sample spinner):ON)にて室温で収集した。
【0134】
PXRD(GADDS−NB)
X線粉末回折(PXRD)データは、Bruker C2 GADDSを用いて取得した。放射線は、CuKα(40KV,40mA)であった。試料−検出器の距離は、15cmであった。粉末試料は、直径1mmまたはそれ以下の密封したガラスキャピラリー中に置いた;該キャピラリーをデータ収集中回転させた。データは、少なくとも1000秒の試料露出時間で3≦2θ≦35°について収集した。生じた二次元回折角度(two-dimensional diffraction arcs)を統合して、3〜35度の2θの範囲において、0.02度の2θのステップサイズで従来の一次元PXRDパターンを作成した。
【0135】
DSC(オープンパン)
示差走査熱量測定(DSC)実験は、TA instruments(登録商標)モデルQ2000、Q1000または2920で行った。試料(約2−6mg)は、アルミニウムパンで重みを加え、100分の1ミリグラムまで正確に記録し、DSCに移した。該機器を窒素ガスで50mL/分にてパージした、データは、10℃/分の加熱速度で室温から300℃の間で収集した。該プロットは、減少した吸熱ピークで作成した。
【0136】
TGA(オープンパン)
熱重量分析(TGA)実験は、TA Instruments(登録商標)モデルQ500または2950で行った。試料(約10−30mg)を予め重量を測定した白金パンに置いた。試料の重量は、正確に測定し、該装置で1000分の1ミリグラムまで記録した。該炉は、窒素ガスを用いて100mL/分でパージした。データは、10℃/分の加熱速度で室温から300℃までの間で収集した。
【0137】
固体核磁気共鳴法(SSNMR)
全ての固体C−13NMR測定は、Bruker AV−400、400MHz NMR分光計を用いて行った。高分解能スペクトルは、高出力プロトン脱カップリング、およびTPPMパルスシーケンスおよび約12kHzのマジック角回転(magic-angle spinning)(MAS)を有する傾斜振幅交差分極(ramp amplitude cross-polarization)(RAMP−CP)を用いて得た(A.E. Bennett et al, J. Chem. Phys.,1995, 103, 6951)、(G. Metz, X. Wu and S.O. Smith, J. Magn. Reson. A,. 1994, 110, 219-227)。約70mgの試料を、キャニスターデザインジルコニアローター(canister-design zirconia rotor)に詰め込み、各実験に用いた。化学シフト(δ)は、38.56ppmに設定された高周波共鳴で外部基準のアダマンタンを基準とした(W.L. Earl and D.L. VanderHart, J. Magn. Reson., 1982, 48, 35-54)。
【0138】
VTI(ドライオン)
吸湿等温線は、約10mgの試料を用いて、VTI SGA−100 Symmetric Vapor Analyzerで収集した。該試料を、0.0005wt%/分の損失速度が得られるまで60℃で10分間乾燥させた。該試料は、25℃および3または4、5、15、25、35、45、50、65、75、85、および95% RHで試験した。各RHにおける平衡は、35分間の0.0003重量%/分の速度が達成されるか、または最大600分で達成された。
【0139】
本開示が前記例示の実施例に限定されるものではなく、その必要な態様から逸脱することなく他の特定の形で具体化できることは、当業者にとって明らかである。それゆえ、実施例は、例示として考慮されるべきであって、限定されるものとして考慮されるべきではなく、前記実施例ではなく特許請求の範囲を参照し、よって特許請求の範囲の意味と範囲内にある全ての変更は、本発明に受け入れられることが望ましい。