【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、具体的には、これらの必要を満たすことを目的とする。
【0016】
したがって、本発明の一主題は、ケラチン繊維、特に睫毛及び眉毛の処置に使用される化粧用アセンブリであって、
- 40℃から120℃の間の融点を有し、組成物の総質量に対して少なくとも15質量%の融解性化合物を含む化粧用組成物と、
- 少なくとも1つのキャビティ(5)、好ましくは複数のキャビティ(5)を含む型(2)を含むデバイス(1)であって、前記化粧用組成物を1つ又は複数のキャビティ(5)内に存在する前記ケラチン繊維の少なくとも一部分上に成形する目的で、1つ又は複数のキャビティの各々の中に前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つが少なくとも部分的に導入されうるデバイス(1)とを含む、化粧用アセンブリである。
【0017】
あらゆる予測に反して、本発明は、個人の器用さにかかわらず、処理された繊維上の組成物の堆積物の形状を、正確に再現性良く制御することを可能にする。更に、このメイクアップ方法は、従来の手法を使用してはこれまで得られなかったメイクアップ結果を得ることを可能にする。特にそれは、ケラチン繊維の長さを有意に伸ばし、メイクアップ堆積物の厚さを増加させることを可能にしながら、滑らかで均質な、更には光沢のある効果を提供する。更に、それはまた、睫毛の表面に作られたメイクアップのシース内に、付け睫毛について検討したもののような追加の繊維を統合することを可能にする。
【0018】
その別の一態様によれば、本発明の一主題はまた、1つ又は複数のケラチン繊維、特に、1つ又は複数の睫毛又は眉毛の美容処置のための方法であって、40℃から120℃の間の融点を有し、組成物の総質量に対して少なくとも15質量%の融解性化合物を含む化粧用組成物を、前記ケラチン繊維が少なくとも部分的に導入される型(2)の1つ又は複数のキャビティ(5)を用いて、前記ケラチン繊維の少なくとも一部分上に成形する工程を少なくとも含む、方法である。
【0019】
そのまた別の態様によれば、本発明は、40℃から120℃の間の融点を有する化粧用組成物であって、前記化粧用組成物の総質量に対して少なくとも15質量%の融解性化合物を含む化粧用組成物の使用であって、ケラチン繊維、特に睫毛及び眉毛への型の適用を介して前記ケラチン繊維上に堆積させる目的で、前記型の少なくとも1つのキャビティ内の成形材料として前記化粧用組成物を適用するための、化粧用組成物の使用に関する。
【0020】
化粧用組成物
前述のとおり、本発明によるアセンブリにおける化粧用組成物は、40℃から120℃の間の融点を有し、組成物の総質量に対して少なくとも15質量%の融解性化合物を含む。
【0021】
特に、本発明による化粧用組成物は、40℃から100℃の間、好ましくは45℃から85℃の間の融点を有する。
【0022】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3、1999年に記載のとおり、熱分析(DSC)において観察された最高吸熱ピークの温度に相当する。融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社により「DSC Q2000」の名称で販売されている熱量計を使用して測定できる。
【0023】
測定プロトコルは、以下のとおりである。
【0024】
るつぼに入れた5mgの試料に、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇を施し、次に試料を、10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇を施す。第2の温度上昇中に、以下のパラメータを測定する。
- 観察された融解曲線の最大吸熱ピークの温度値に相当し、温度の関数として吸収された力の差の変動を表す、試料の融点(T
f)、
- Δhf:得られた融解曲線全体の積分に相当する、試料の融解エンタルピー。前記融解エンタルピーは、組成物を固体状態から流体状態に変化させるのに要するエネルギーの量である。それは、J/gで表される。
【0025】
かかる化粧用組成物は、25℃及び1atmで、流体であっても固体であってもよい。
【0026】
それは、水性又は無水、好ましくは無水であってもよい。
【0027】
それは、組成物の総質量に対して、42質量%以上、特に45%質量以上、或いは48%質量以上、優先的には50質量%以上の固体含有率を有していてもよい。
【0028】
本発明の目的では、「固体含有率」という用語は、不揮発物の含有率を示す。
【0029】
本発明による組成物の固体含有率(SCと略される)は、Mettler Toledo社製の市販のハロゲンデシケータ「Halogen Moisture Analyser HR 73」を使用して測定される。測定は、ハロゲン加熱によって乾燥された試料の質量損失に基づいて実施され、したがって、水及び揮発物が蒸発した時点での残留物の百分率を表す。
【0030】
この手法は、Mettler Toledo社により供給される装置の説明書に特に記載されている。
【0031】
測定プロトコルは、以下のとおりである。
【0032】
以下試料と称する組成物およそ2gを金属るつぼ上に広げ、これを、上述のハロゲンデシケータに入れる。次に、試料を、恒量が得られるまで120℃の温度に供する。試料の初期の質量に相当する試料の湿質量、及びハロゲン加熱後の試料の質量に相当する試料の乾燥質量を、精密天秤を使用して測定する。
【0033】
測定に伴う実験誤差は、プラス又はマイナス2%程度である。
【0034】
固体含有率は、以下のとおり算出される。
固体含有率(質量百分率で表す)=100×(乾質量/湿質量)。
【0035】
第1の変形実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、室温で流体である。
【0036】
本発明の目的では、「流体」という記述は、本発明による組成物が固体でないという事実を特徴づけることが意図されている。換言すれば、それは、流動特性を有するのに十分な流動性を明示する。例えば、マスカラタイプの組成物は、このタイプの流動性の代表である。
【0037】
特に、本発明による組成物は、有利には、室温及び室圧で、100Pa.s未満、好ましくは0.1Pa.sから50Pa.sの間、より一層良好には、1Pa.sから30Pa.sの間の粘度を有していてもよく、粘度は、Rheomat RM100(登録商標)を使用して特に測定される。
【0038】
かかる組成物は、水性であっても無水であってもよい。
【0039】
それは、水中ワックスエマルジョンの場合と同様に、水中油エマルジョンの形態であってもよい。それはまた、イソドデカン中のワックスの分散体の場合と同様に、無水媒体中のワックス粒子の分散体の形態であってもよい。
【0040】
この第1の変形実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、組成物の総質量に対して、15質量%から60質量%、好ましくは18質量%から55質量%、なおより一層良好には20質量%から50質量%の融解性化合物を含んでいてもよい。
【0041】
第2の変形実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、室温で固体である。
【0042】
本発明の目的では、「固体」という記述は、本発明による組成物が液体でないという事実を特徴づけることが意図されている。換言すれば、それは、流動特性を有しないのに十分な剛性を明示する。
【0043】
したがって、本発明による組成物は、有利には、室温及び室圧で、1000Pa.s超、好ましくは10 000Pa.s超の粘度を有していてもよい。
【0044】
かかる組成物は、水性であってもよく、特に、水中の融解性化合物のエマルジョンの形態であってもよく、又は無水であってもよい。特に、それは、有機溶媒、好ましくは揮発性溶媒、優先的には炭化水素系溶媒中の融解性化合物の分散体の形態であってもよい。
【0045】
かかる化粧用組成物は、好ましくは、無水である。
【0046】
この第2の変形実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、組成物の総質量に対して、40質量%から100質量%、好ましくは60質量%から100質量%、なおより一層良好には80質量%から100質量%の融解性化合物を含む。
【0047】
本発明による組成物は、適用前及び/又は適用中に加熱手段に供してもよい。
【0048】
これらの加熱手段は、化粧用組成物の融解性化合物の少なくとも一部分を融解するのに好適である。
【0049】
組成物は、45℃以上、或いは50℃以上、或いは55℃以上の温度まで局所的に加熱されてもよい。
【0050】
組成物の少なくとも一部を加熱する温度は、両端を含めて45℃から120℃の間、より一層良好には45℃から85℃の間であってもよい。
【0051】
温度は、例えば、赤外線高温計、例えばFluke(登録商標)ブランドの機器を使用して、表面で測定できる。
【0052】
適用中、加熱された組成物のみが、ケラチン繊維、例えば睫毛と接触できる。
【0053】
化粧用組成物の温度は、適用時に火傷するリスクをもたらしてはならないことが理解される。
【0054】
したがって、組成物を適用前に加熱する場合、組成物を加熱する時点とケラチン物質への適用との間に、待ち時間が任意選択で必要となりうる。
【0055】
一変形実施形態によれば、組成物は、ケラチン繊維へのその適用と同時に加熱される。
【0056】
別の一変形実施形態によれば、組成物は、ケラチン繊維へのその適用前及び適用中に加熱される。
【0057】
組成物の総融解熱は、-20℃と120℃との間の組成物により消費される熱である。組成物の総融解熱は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して、ISO規格11357-3、1999年に従い、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇で得られたサーモグラムの曲線下面積と等しい。
【0058】
測定プロトコルは、以下のとおりである。
【0059】
5mgの組成物の試料をるつぼに入れ、10℃/分の加熱速度で-20℃から120℃の範囲の第1の温度上昇を施し、次に、10℃/分の冷却速度で120℃から-20℃に冷却する。試料を-20℃で5分間維持し、最後に、5℃/分の加熱速度で-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇を施す。
【0060】
第2の温度上昇中に、空のるつぼが吸収する力と、組成物の試料を含有するるつぼが吸収する力との差の変動を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数として吸収される力の差の変動を示す曲線のピークの頂点に相当する温度値である。
【0061】
温度Tcで消費される組成物の融解熱は、組成物を、-20℃における固体又は非常に粘性の高い状態から、温度Tcでの組成物の状態へと移行させるのに要するエネルギーの量Δhである。それは、J/gで表される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、化粧用組成物は、前記化粧用組成物が温度Tcまで加熱されるときに、組成物により-20℃からTcの間で消費される熱量Δhの、-20℃から120℃の間で消費される総熱量に対する比が、0.4超となるように選択される。
【0063】
この関係は、例えば、45℃から85℃の間の組成物の温度Tcについて確認される。
【0064】
したがって、加熱手段により組成物が達する温度Tcは、前記比が0.4以上、例えば0.5超となるように選択できる。換言すれば、加熱は、組成物の試料を温度Tcまで加熱するのに供給される熱量の、総熱量に対する比が、0.4以上となる温度まで実施され、かかるパラメータは、上述のDSCプロトコルに従い測定される。
【0065】
本発明による組成物は、固体状態から少なくとも部分的に液体状態に、又は好ましくは完全な液体状態にまで移行可能であり、且つ可逆的に移行可能である。
【0066】
上述のとおり、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、15質量%超の含有量の融解性化合物を含む。好ましくは、それは、組成物の総質量に対して、15質量%から100質量%、より一層良好には20質量%から95質量%の範囲の含有量の融解性化合物を有していてもよい。
【0067】
本発明の目的では、融解性化合物は、有利には、40℃から120℃の間の融点を有する。
【0068】
したがって、好ましくは、ケラチン繊維の処置に使用される化粧用アセンブリは、40℃から120℃の間の融点を有し、組成物の総質量に対して少なくとも15質量%の、40℃から120℃の間の融点を有する融解性化合物を含む化粧用組成物と、少なくとも1つのキャビティを含む型を含むデバイスであって、前記化粧用組成物を1つ又は複数のキャビティ内に存在する前記ケラチン繊維の少なくとも一部分上に成形する目的で、1つ又は複数のキャビティの各々の中に前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つが少なくとも部分的に導入されうるデバイスとを含む。
【0069】
好ましくは、この(これらの)化合物は、熱可塑性ポリマー、ワックス、半結晶性ポリマー、及びそれらの混合物から選択できる。
【0070】
したがって、特定の一実施形態によれば、前記融解性化合物は、結晶性鎖を有していてもよい。
【0071】
この実施形態において、このとき化粧用組成物は、複数の化合物の結晶性鎖の少なくとも一部分が少なくとも部分的に、或いは完全に融解するように、温度Tcまで加熱される。したがって、固体/液体状態変化は、融解性化合物の結晶部分の融解により、少なくとも部分的である。
【0072】
好ましくは、本発明による融解性化合物は、溶媒中の分散微粒子の形態ではない。
【0073】
熱可塑性ポリマー
本発明の目的では、「熱可塑性ポリマー」という用語は、高温で軟化し、成形できる一方で冷却後にその形状を保持するポリマーを意味することが意図されている。
【0074】
本発明の文脈において使用できる熱可塑性ポリマーは、熱可塑的である特性を有する、任意のポリマー若しくはコポリマー、又はポリマー及び/若しくはコポリマーの任意のブレンドである。
【0075】
熱可塑性ポリマーのなかでも、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、テレフタル酸ポリエチレン、及びそれらのブレンドが特に挙げられる。
【0076】
また挙げられるのは、脂肪族ポリエステル、特にポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、例えばポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)又はポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、ポリ乳酸(PLA)、コハク酸ポリブチレン(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ酸無水物、ポリビニルアルコール、及びそれらの誘導体、酢酸エステル、例えば酢酸/ポリビニル(PVAc)コポリマー、デンプン誘導体、多糖、例えば特にセルロースエステル等のセルロース誘導体、及びそれらの誘導体、特にセルロイド又はセルロースエーテル、並びにそれらの混合物である。
【0077】
特に、セルロースエステルのなかでも、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、及び硫酸セルロース、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0078】
セルロースエーテルのなかでも、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロ−ス(ethylmethycellulose)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びそれらの混合物が特に挙げられる。
【0079】
酢酸エステルのなかでも、酢酸/ポリビニルコポリマー、例えば特にエチレン酢酸ビニル(EVA)及びその誘導体が特に挙げられる。例えば、EVA/エチルセルロース又はEVA/デンプンコポリマーが挙げられる。
【0080】
本発明による組成物のなかでも特に好適な熱可塑性ポリマーとして、エチレン酢酸ビニル(EVA)、特にArkema社によりEvatane 28-800の名称で販売されているものが好ましくは挙げられる。
【0081】
本発明による化粧用組成物において、混合物、例えばNational Starch社によりCool Bind 34-1300(登録商標)の名称で販売されているエチレン酢酸ビニル及びパラフィンの混合物中に配合された熱可塑性ポリマーを特に使用できる。
【0082】
好ましくは、本発明の文脈において検討されるフィルム形成ポリマーは、ラテックスタイプの分散微粒子とは異なる。
【0083】
ワックス
「ワックス」という用語は、一般に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的状態変化を伴い、30℃以上の融点を有し、200℃まで、特に120℃までの融点を有しうる親油性化合物を意味することが意図されている。
【0084】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3、1999年に記載のとおり、熱分析(DSC)において観察された最高吸熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により「MDSC 2920」の名称で販売されている熱量計を使用して測定できる。
【0085】
測定プロトコルは、以下のとおりである。
【0086】
るつぼに入れた5mgのワックスの試料に、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇を施し、次に試料を、10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇を施す。第2の温度上昇中に、空のるつぼにより吸収される力と、ワックスの試料を含有するるつぼにより吸収される力との差の変動を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数として吸収される力の差の変動を示す曲線のピークの頂点に相当する温度値である。
【0087】
本発明による組成物において使用できるワックスは、動物、植物、鉱物又は合成由来の、室温で固体であるワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0088】
ワックスは、本発明の目的では、化粧品又は皮膚科学の分野において一般に使用されるものであってもよい。それらは特に、極性又は無極性であってもよく、炭化水素系、シリコーン及び/又はフルオロワックスであってもよく、エステル又はヒドロキシル官能基を任意選択で含む。それらはまた、天然又は合成由来のものであってもよい。
【0089】
a)無極性ワックス
本発明の目的では、「無極性ワックス」という用語は、下に定義する25℃での溶解度パラメータδ
aが、0(J/cm
3)
1/2に等しいワックスを意味することが意図されている。
【0090】
ハンセン3次元溶解度空間における溶解パラメータの定義及び計算は、論文C.M. Hansen著、The three-dimensional solubility parameters、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0091】
このハンセン空間によれば、
- δ
Dは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴づけ、
- δ
pは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及びまた誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴づけ、
- δ
hは、特定の相互作用力(例えば水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴づけ、
- δ
aは、式δ
a=(δ
p2+δ
h2)
1/2により決定される。
【0092】
パラメータδ
p、δ
h、δ
D及びδ
aは、(J/cm
3)
1/2で表される。
【0093】
無極性ワックスは、特に、炭素及び水素原子のみから構成され、ヘテロ原子、例えばN、O、Si及びPを含まない炭化水素系ワックスである。
【0094】
無極性ワックスは、微結晶ワックス、パラフィンワックス、オゾケライト及びポリエチレンワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0095】
挙げられるオゾケライトは、Ozokerite Wax SP 1020 Pである。
【0096】
使用できる微結晶ワックスとしては、Sonneborn社により販売されているMultiwax W 445(登録商標)、並びにParamelt社により販売されているMicrowax HW(登録商標)及びBase Wax 30540(登録商標)、並びにBaerlocher社により販売されているCerewax(登録商標) No. 3が挙げられる。
【0097】
本発明による組成物において無極性ワックスとして使用できるマイクロワックスとしては、特に、ポリエチレンマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)及び250S(登録商標)の名称で販売されているものが特に挙げられる。
【0098】
挙げられるポリエチレンワックスには、New Phase Technologies社により販売されているPerformalene 500-L Polyethylene及びPerformalene 400 Polyethylene、並びにHoneywell社により販売されているAsensa(登録商標) SC 211が含まれる。
【0099】
b)極性ワックス
本発明の目的では、「極性ワックス」という用語は、25℃での溶解度パラメータδaが、0(J/cm
3)
1/2以外であるワックスを意味する。
【0100】
特に、「極性ワックス」という用語は、化学構造が炭素及び水素原子から本質的に形成されるか、又はそれらからなりさえし、少なくとも1個の電気陰性度の高いヘテロ原子、例えば酸素、窒素、ケイ素又はリン原子を含むワックスを意味することが意図されている。
【0101】
極性ワックスは、特に、炭化水素系のフルオロ又はシリコーンワックスであってもよい。
【0102】
優先的には、極性ワックスは、炭化水素系ワックスであってもよい。
【0103】
「炭化水素系ワックス」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択で酸素及び窒素原子から本質的に形成されるか、又はそれらから構成されさえし、ケイ素又はフッ素原子を一切含有しないワックスを意味することが意図されている。それは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有していてもよい。
【0104】
本発明によれば、「エステルワックス」という用語は、少なくとも1つのエステル官能基を含むワックスを意味することが意図されている。本発明によれば、「アルコールワックス」という用語は、少なくとも1つのアルコール官能基を含む、すなわち、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル(OH)基を含むワックスを意味することが意図されている。
【0105】
特に、極性ワックスとして使用できるのは、以下から選択されるものである。
i)式R
1COOR
2のワックス(式中、R
1及びR
2は、原子の数が10個から50個の範囲である直鎖状、分枝状又は環状の脂肪鎖であり、これは、ヘテロ原子、例えばO、N又はPを含有でき、その融点は25℃から120℃の範囲である)、
ii)Heterene社によりHest 2T-4S(登録商標)の名称で販売されている、ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、
iii)一般式R
3-(-OCO-R
4-COO-R
5)のジカルボン酸のジエステルのワックス[式中、R
3及びR
5は、同一であるか又は異なっており、好ましくは同一であり、C
4〜C
30アルキル基(4個から30個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、R
4は、直鎖状又は分枝状のC
4〜C
30脂肪族基(4個から30個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、これは、1つ又は複数の不飽和を含んでいてもいなくてもよく、好ましくは直鎖状で不飽和である]、
iv)また挙げられるのは、直鎖状又は分枝状C
8〜C
32脂肪鎖を有する動物又は植物油の接触水素化により得られるワックス、例えば水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ヤシ油、及びまたセチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化により得られるワックス、
v)ビーズワックス、合成ビーズワックス、ポリグリセロール化ビーズワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オキシプロピレン化ラノリンワックス、コメヌカワックス、オウリキュリーワックス、エスパルトワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、ジャパンワックス、ハゼワックス、モンタンワックス、オレンジワックス、ローレルワックス、水添ホホバワックス、ヒマワリワックス、レモンワックス、オリーブワックス又はベリーワックス。
【0106】
別の一実施形態によれば、極性ワックスは、アルコールワックスであってもよい。本発明によれば、「アルコールワックス」という用語は、少なくとも1つのアルコール官能基を含む、すなわち、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル(OH)基を含むワックスを意味することが意図されている。挙げられるアルコールワックスには、例えば、New Phase Technologies社のC
30〜50アルコールワックスPerformacol(登録商標) 550 Alcohol、ステアリルアルコール及びセチルアルコールが含まれる。
【0107】
有利には、置換ポリシロキサン、好ましくは低融点のものであってもよい、シリコーンワックスを使用することも可能である。
【0108】
「シリコーンワックス」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含む、特にSi-O基を含む油を意味することが意図されている。
【0109】
このタイプの市販のシリコーンワックスのなかでも、Abilwax 9800、9801又は9810(Goldschmidt社)、KF910及びKF7002(信越化学工業株式会社)、又は176-1118-3及び176-11481(General Electric社)の名称で販売されているものが特に挙げられる。
【0110】
使用できるシリコーンワックスはまた、アルキル又はアルコキシジメチコン、及びまた(C
20〜C
60)アルキルジメチコン、特に(C
30〜C
45)アルキルジメチコン、例えばGE-Bayer Silicones社によりSF-1642の名称で販売されているシリコーンワックス又はDow Corning社によりSW-8005(登録商標) C30 Resin Waxの名称で販売されているC
30〜
45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンであってもよい。
【0111】
本発明の文脈において、特に有利なワックスとして挙げられるのは、ビーズワックス、例えば、Strahl & Pitsch社によりWhite Beeswax SP-453Pの名称で販売されている製品、又はパラフィンワックスである。
【0112】
半結晶性ポリマー
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の半結晶性ポリマーを含んでいてもよい。好ましくは、半結晶性ポリマーは、有機構造、及び30℃以上の融点を有する。
【0113】
本発明の目的では、「半結晶性ポリマー」という用語は、結晶性部分及び非晶質部分を含み、相温度、特に溶融点(固体-液体転移)の一次可逆的変化を有するポリマーを意味することが意図されている。結晶性部分は、主鎖中の側鎖(又はペンダント鎖)又はブロックのいずれかである。
【0114】
半結晶性ポリマーの結晶性部分が、ポリマー主鎖のブロックであるとき、この結晶性ブロックは、非晶質ブロックのものとは異なる化学的性質を有し、この場合において、半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプのブロックコポリマーである。結晶性部分が主鎖上のペンダント鎖であるとき、半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。
【0115】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは120℃未満である。
【0116】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは40℃以上、85℃未満である。
【0117】
本発明による半結晶性ポリマーは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で固体であり、30℃以上の融点を有する。融点値は、示差走査熱量計(DSC)、例えばMettler社によりDSC 30の名称で販売されている熱量計を使用して、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇で測定された融点に相当する。検討される融点は、サーモグラムにおける最高吸熱ピークの温度に相当する点である。
【0118】
結晶性鎖又はブロックに加えて、ポリマーのブロックは、非晶質である。本発明の目的では、「結晶性鎖又はブロック」という用語は、単独の場合には、温度が融点を超えるかそれ未満であるかに応じて、非晶質状態から結晶状態に可逆的に変化する鎖又はブロックを意味することが意図されている。本発明の目的では、「鎖」は、ポリマー主鎖に対してペンダントであるか、又は側方にある原子団である。「ブロック」は、主鎖に属する原子団であり、この原子団は、ポリマーの反復単位のうちの1つを構成する。
【0119】
半結晶性ポリマーの結晶性ブロック又は鎖は、各ポリマーの総質量の少なくとも30%、より一層良好には少なくとも40%を占めていてもよい。結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーである。結晶性ブロックを含有する本発明の半結晶性ポリマーは、ブロック又はマルチブロックコポリマーである。それらは、反応性二重結合(又はエチレン結合)を含有するモノマーの重合を介して、又は重縮合を介して得られる。本発明のポリマーが、結晶性側鎖を含有するポリマーであるとき、これらの側鎖は、有利には、ランダム形態又は統計的形態である。
【0120】
本発明の半結晶性ポリマーは、合成由来であってもよい。
【0121】
特に、半結晶性ポリマーは、以下から選択できる。
- 結晶性疎水性側鎖を保有する1種又は複数のモノマーの重合から得られる単位を含む、ホモポリマー及びコポリマー、
- 主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保有するポリマー、
- 脂肪族又は芳香族又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物、
- メタロセン触媒作用を介して調製されるエチレンとプロピレンとのコポリマー、並びに
- アクリル酸/シリコーンコポリマー。
【0122】
本発明において使用できる半結晶性ポリマーは、以下から特に選択できる。
- モノマーがEP 0 951 897に記載されている、制御結晶化のポリオレフィンのブロックコポリマー、
- 重縮合物、特に脂肪族又は芳香族又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプのもの、
- メタロセン触媒作用を介して調製されるエチレンとプロピレンとのコポリマー、
- 少なくとも1つの結晶性側鎖を保有するホモポリマー又はコポリマー、及び、主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保有するホモポリマー又はコポリマー、例えば文献US 5 156 911に記載のもの、例えばパンフレットIntelimer(登録商標) Polymers、Landec IP22 (Rev. 4-97)に記載のLandec社製Intelimer(登録商標)製品に相当するポリアクリル酸アルキル(C
10〜C
30)、例えば約145 000の分子量及び49℃の融点を有するポリアクリル酸ステアリルであるLandec社製の製品Intelimer(登録商標) IPA 13-1、
- 文献WO 01/19333に記載の、少なくとも1つの結晶性側鎖を保有する、特にフルオロ基を含有する、ホモポリマー又はコポリマー、
- アクリル酸/シリコーンコポリマー、例えばアクリル酸とポリジメチルシロキサングラフトを保有するアクリル酸ステアリルとのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを保有するメタクリル酸ステアリルのコポリマー、アクリル酸とポリジメチルシロキサングラフトを保有するメタクリル酸ステアリルとのコポリマー、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸ブチルと、アクリル酸2-エチルヘキシルと、ポリジメチルシロキサングラフトを保有するメタクリル酸ステアリルとのコポリマー。特に挙げられるのは、信越化学工業株式会社によりKP-561(CTFA名:アクリレーツ/ジメチコン)、KP-541(CTFA名:アクリレーツ/ジメチコン及びイソプロピルアルコール)、KP-545(CTFA名:アクリレーツ/ジメチコン及びシクロペンタシロキサン)の名称で販売されているコポリマーである、
- 並びにそれらの混合物。
【0123】
本発明の文脈において、特に有利な半結晶性ポリマーとして、ポリアクリル酸アルキル(C
10〜C
30)、例えばAir products and Chemical社によりIntelimer IPA 13-1 NGの名称で販売されている製品が挙げられる。
【0124】
好ましくは、本発明の文脈において、融解性化合物は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ビーズワックス、パラフィンワックス、ポリアクリル酸アルキル(C
10〜C
30)、酢酸ビニル/ステアリン酸アリルコポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
【0125】
本発明の文脈において、酢酸ビニル/ステアリン酸アリルコポリマー、例えばChimex社によりMexomere PQの名称で販売されている製品が特に挙げられる。
【0126】
水性相
本発明によるアセンブリの化粧用組成物は、水性相を含んでいてもよく、これは、組成物の連続相を形成できる。
【0127】
水性相は、水を含んでいてもよい。それはまた、少なくとも1種の水溶性溶媒を含んでいてもよい。
【0128】
本発明の文脈において、「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり、水混和性である化合物を意味する。
【0129】
本発明による組成物において使用できる水溶性溶媒はまた、揮発性であってもよい。
【0130】
本発明による組成物において使用できる水溶性溶媒のなかでも、特に、1個から5個の炭素原子を含有する低級モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、並びに2個から8個の炭素原子を含有するグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールが特に挙げられる。
【0131】
水性相は、例えば水及び任意選択で水混和性溶媒から構成され、一般に、組成物の総質量に対して、30質量%から80質量%の範囲、好ましくは、40質量%から70質量%の範囲の含有率で本発明による組成物中に存在する。
【0132】
揮発性溶媒
本発明による化粧用組成物は、1種又は複数の揮発性溶媒を含んでいてもよい。
【0133】
本発明の文脈において、「揮発性溶媒」という用語は、室温(20℃)及び大気圧で液体であり、0.1mmHg超、好ましくは0.1mmHgから300mmHgの間、より一層優先的には、0.5mmHgから200mmHgの間の20℃での蒸気圧を有する化合物を意味することが意図されている。
【0134】
この揮発性溶媒は、水、非シリコーン有機溶媒、シリコーン有機溶媒、又はそれらの混合物であってもよい。揮発性非シリコーン有機溶媒として、以下が挙げられる。
- C
1〜C
4揮発性アルカノール、例えばエタノール又はイソプロパノール、
- C
5〜C
7揮発性アルカン、例えばn-ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、2,3-ジメチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2-メチルペンタン又は3-メチルペンタン、
- 液体C
1〜C
20酸と揮発性C
1〜C
8アルコールとのエステル、例えば酢酸メチル、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル又は3-エトキシプロピオン酸(ethoxypopionate)エチル、
- 室温で液体であって、揮発性であるケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン又はアセトン、
- 揮発性ポリオール、例えばプロピレングリコール、
- 揮発性エーテル、例えばジメトキシメタン、ジエトキシエタン又はジエチルエーテル、
- 揮発性グリコールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル又は酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、
- 揮発性炭化水素系油、例えば8個から16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油、及びそれらの混合物、特に分枝状C
8〜C
18アルカン、例えばC
8〜C
18イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン又はイソデカン、例えば、Isopar又はPermethylの商品名で販売されている油、及びそれらの混合物。また挙げられるのは、ネオペンタン酸イソヘキシル又はイソデシルである、
- 揮発性C
4〜C
10ペルフルオロアルカン、例えばドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン又はデカフルオロペンタン、
- 揮発性ペルフルオロシクロアルキル、例えば、F2 Chemicals社によりそれぞれFlutec PC10、Flutec PC30及びFlutec PC60の名称で販売されている、ペルフルオロメチルシクロペンタン、1,3-ペルフルオロジメチルシクロヘキサン及びペルフルオロデカリン、並びにまたペルフルオロジメチルシクロブタン及びペルフルオロモルホリン、
- 以下の式
CH
3-(CH
2)
n-[Z]
t-X-CF
3
に相当する揮発性フルオロアルキル又はヘテロフルオロアルキル化合物[式中、tは、0又は1であり、nは、0、1、2又は3であり、Xは、2個から5個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状の二価のペルフルオロアルキル基であり、Zは、O、S又はNRを表し、Rは、水素、-(CH
2)
n-CH
3又は-(CF
2)
m-CF
3基であり、mは、2、3、4又は5に等しい]。
【0135】
揮発性フルオロアルキル又はヘテロフルオロアルキル化合物のなかでも、3M社によりMSX 4518(登録商標)及びHFE-7100(登録商標)の名称で販売されているメトキシノナフルオロブタン、並びに3M社によりHFE-7200(登録商標)の名称で販売されるエトキシノナフルオロブタンが特に挙げられる。
【0136】
好ましくは、溶媒は、その沸点が200℃未満であるように選択される。
【0137】
特定の一実施形態によれば、非シリコーン有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、アセトン及びイソドデカンから選択される。
【0138】
揮発性シリコーン溶媒として挙げられるのは、2個から7個のケイ素原子を有する直鎖又は環状シリコーンから選択される、低粘度を有するシリコーン化合物であり、これらのシリコーンは任意選択で、1個から10個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を含み、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びそれらの混合物である。特定の一実施形態によれば、シリコーン化合物は、シクロペンタジメチルシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンから選択される。
【0139】
特定の一実施形態によれば、揮発性シリコーン溶媒は、50センチストーク未満の粘度を有する。
【0140】
揮発性シリコーンは、好ましくは環状であり、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルテトラシロキサンから選択される。
【0141】
例として挙げられるのは、Dow Corning社によりDC-245の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、Dow Corning社によりDC-200 Fluid 1 cstの名称で販売されているオクタメチルトリシロキサン、及びDow Corning社によりDC-200 Fluid 1.5 cstの名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。
【0142】
この環状揮発性シリコーンは、一般に、低粘度、例えば25℃で5cSt未満の粘度を有する。
【0143】
好ましくは、揮発性シリコーンは環状であり、Dow Corning社によりDC-245の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサンである。
【0144】
好ましくは、化粧用組成物は、20%未満の揮発性溶媒、好ましくは、10%未満の揮発性溶媒を含み、より一層優先的には、化粧用組成物は、揮発性溶媒を含まない。
【0145】
着色剤
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の着色剤を含む。
【0146】
この着色剤は、好ましくは、粉末物質、脂溶性染料及び水溶性染料、並びにそれらの混合物から選択される。
【0147】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の粉末着色剤を含む。粉末着色剤は、顔料及び真珠層から、好ましくは顔料から選択できる。
【0148】
顔料は、白色であっても有色であってもよく、無機及び/又は有機であってもよく、コーティングされていてもされていなくてもよい。無機顔料のなかでも、任意選択で表面処理された金属酸化物、特に二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛又は酸化セリウム、並びにまた酸化鉄、酸化チタン又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルーが挙げられる。挙げられる有機顔料のなかには、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びコチニールカルミン系又はバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウム系のレーキがある。
【0149】
真珠層は、白色真珠光沢顔料、例えばチタン又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされたマイカ、有色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄でコーティングされたチタンマイカ、特にフェリックブルー又は酸化クロムでコーティングされたチタンマイカ、上述のタイプの有機顔料でコーティングされたチタンマイカ、及びまたオキシ塩化ビスマス系真珠光沢顔料から選択できる。また挙げられる真珠層の例には、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然マイカが含まれる。
【0150】
挙げられる市販の真珠層のなかには、Engelhard社により販売されている(マイカ系)真珠層Timica、Flamenco及びDuochrome、Merck社により販売されているTimiron真珠層、Eckart社により販売されているマイカ系Prestige真珠層、並びにSun Chemical社により販売されている合成マイカ系Sunshine真珠層がある。
【0151】
真珠層は、より具体的には、黄、ピンク、赤、青銅、オレンジ、茶、金及び/又は銅の色又は色合いを有していてもよい。
【0152】
脂溶性染料は、例えば、Sudan Red、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、ダイズ油、Sudan Brown、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー及びアナトーである。
【0153】
好ましくは、本発明による組成物中に含有される顔料は、金属酸化物から選択される。
【0154】
本発明による組成物はまた、少なくとも1つの微粒子又は非微粒子、水溶性又は水不溶性着色剤を、好ましくは、組成物の総質量に対して、少なくとも0.01質量%の割合で含んでいてもよい。
【0155】
明らかな理由から、この量は、所望の色効果の強さ及び検討される着色剤により与えられる色の強さに関して有意に変化しがちであり、その調整は明らかに、当業者の能力の範囲内である。
【0156】
これらの着色剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から30質量%、特に6質量%から22質量%の範囲の含有率で存在していてもよい。
【0157】
好ましくは、着色剤は、組成物の総質量に対して2質量%以上、有利には、組成物の総質量に対して、両端を含む6質量%から22質量%の間の含有率で存在する1種又は複数の金属酸化物から選択される。
【0158】
デバイス
前述のとおり、本発明による化粧用アセンブリは、化粧用組成物に加えて、型を含むデバイスを含有し、型は、少なくとも1つのキャビティ、好ましくは複数のキャビティを含み、組成物を1つ又は複数のキャビティ内に存在する前記ケラチン繊維の少なくとも一部分上に成形する目的で、1つ又は複数のキャビティの各々の中に前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つが少なくとも部分的に導入されうる。
【0159】
型
成形は、型の1つ又は複数のキャビティ内でインサイチュで実施され、組成物が造形されることを可能にする。したがって、組成物は、型の1つ又は複数のキャビティの形状に一致しうる。
【0160】
型は、それぞれが少なくとも部分的に型のキャビティを定義する1つ又は複数のインプリントを含んでいてもよい。好ましくは、型は、単一のキャビティに限定されない。特に、型は、少なくとも2つのキャビティ、好ましくは少なくとも6つのキャビティ、より一層優先的には少なくとも10個のキャビティを含む。
【0161】
型は、それぞれが1つ又は複数のインプリントを含む少なくとも2つの部分を含んでいてもよく、前記2つの部分のうちの一方のインプリントは、型の部分が合わせられるときに型の1つ又は複数のキャビティを形成するよう、少なくとも1つの他の部分のインプリントの反対側に配置され、インプリントのそれぞれは、特に丸い断面、とりわけ円弧、楕円弧又は放物線断面、特に半円形断面のインプリントである。
【0162】
型は、少なくとも2つの部分を含んでいてもよく、型の部分が合わせられるときに型の1つ又は複数のキャビティを形成するよう、一方の部分は、1つ又は複数のインプリントを含み、前記インプリントのそれぞれは、特に丸い断面、とりわけ円弧、楕円弧又は放物線断面、特に半円形断面のインプリントであり、他方の部分は、インプリントを欠いている。かかる型は、キャビティを形成するよう型の2つの部分を互いの反対側に配置するときに、それほどの精確性を要しないという利点を有する。
【0163】
インプリントは、ケラチン繊維の形状と一致するよう、丸い断面のインプリントであってもよい。
【0164】
インプリントは、互いと平行であってもよい。
【0165】
インプリントは、型の一部分のみに沿って、特に前記型の前面に、すなわち、ケラチン繊維が導入される側に配置できる。
【0166】
各インプリントは、75μmから1.5mmの間の深さを有していてもよい。
【0167】
型は、ケラチン繊維に対して、その1つ又は複数のキャビティ内での繊維の成形中に、静止したままであってもよい。
【0168】
型は、好ましくは、ケラチン繊維に沿って、その1つ又は複数のキャビティ内での繊維の成形中に、移動しない。
【0169】
型は、使い捨てであってもなくてもよい。
【0170】
型の表面は、成形された組成物上に滑らかな外表面及び光沢のある外観を付与するよう滑らかであってもよい。
【0171】
成形中、例えば組成物の硬化又は乾燥のために要する期間、例えば典型的には10秒から60秒の期間に、ケラチン繊維とキャビティとの間に相対速度はありえない。
【0172】
型のキャビティ
1つ又は複数のキャビティの容積は、少なくとも2倍で、より一層良好には10倍から100倍で、それ又はそれらを満たすケラチン繊維の一部の容積を超えてもよい。
【0173】
各キャビティの容積は、0.08mm
3から220mm
3の間の範囲であってもよい。
【0174】
1つ又は複数のキャビティはそれぞれ、円形、半円形、楕円形又は多角形断面を有していてもよく、これはキャビティに沿って移動するときに一定であってもなくてもよい。
【0175】
1つ又は複数のキャビティはそれぞれ、形状が略円筒状であってもよい。
【0176】
1つ又は複数のキャビティはそれぞれ、組成物により成形された繊維に先細の外観を与え、必要に応じて引き離すことによる繊維の離型を容易にするように、漸減する断面を有していてもよい。
【0177】
1つ又は複数のキャビティはそれぞれ、ケラチン繊維の少なくとも一部分に、特に頭部を、例えば球の一部の形状に成形する目的のために、それらの長さの一部で略円筒形状を有し、それらの長さの別の一部で拡大された、特に球状の形状を有していてもよい。
【0178】
1つ又は複数のキャビティはそれぞれ、5mmから30mmの間の長さ及び150μmから3mmの間の幅、特に直径を有していてもよい。30mmの長さ及び3mmの直径の場合には、容積は50倍で増加しうる。
【0179】
各キャビティは、導入されたケラチン繊維の湾曲を近似的に再現するか、又は増加させる曲線状の長手方向軸を有する細長の形状を有していてもよい。したがって、成形は、ケラチン繊維の視認性を増加させる一方で、それらの湾曲を強調することを可能にする。
【0180】
1つ又は複数のキャビティの湾曲の半径は、15mmより高くてもよい。特に、それは、15mmから25mmの間の範囲でありうる。
【0181】
各キャビティは、反対に、特に直線状又は折れ線状の長手方向軸を有する、導入されたケラチン繊維の湾曲を再現しない細長の形状を有していてもよい。1つ又は複数のキャビティは、あらゆる方向に、特に睫毛を横断して伸びていてもよい。1つ又は複数のキャビティは、任意のタイプの、例えば波状又は格子状のパターンを形成してもよい。
【0182】
各キャビティは、曲線状又は直線状の長手方向軸を有する細長の形状を有していてもよく、キャビティは、それぞれ平行でない長手方向軸を有していてもよい。
【0183】
1つ又は複数のキャビティが細長の形状を有するとき、ケラチン繊維は、好ましくは、1つ又は複数のキャビティ内にそれらの長手方向軸に沿って導入される。
【0184】
細長の形状のキャビティが、ケラチン繊維のより通常の美容処置法を実施することを可能にするとはいえ、細長の形状でないキャビティで新しい効果が得られる。例えば、1つ又は複数のキャビティはそれぞれ、略球又は多面体の形状、特に、例えばケラチン繊維の端部でボールを形成するように、0.4mmから5mmの間の直径を有する球状を有していてもよい。
【0185】
各キャビティは、好ましくは、水平方向に閉じており、その結果、組成物は成形中に水平方向に逃げない。
【0186】
各キャビティは、細長の形状を有していてもよく、その長手方向端部の少なくとも1つにおいて閉じていてもよい。
【0187】
各キャビティは、ケラチン繊維の非存在下で、実質的に完全に閉じられた、とりわけ完全に閉じられた空間を構成できる。この場合、キャビティ内に少なくとも部分的に導入された各ケラチン繊維の一部は、合わせられた型の2つの部分の間に把持されてもよく、一方でケラチン繊維の別の一部は、キャビティ内に伸びる。キャビティは、ケラチン繊維が導入される側で、ケラチン繊維がキャビティ内へと通過することを可能にするように、変形可能であり、好ましくは伸縮する軟質壁を介して閉じられていてもよい。
【0188】
一変形形態として、各キャビティは、ケラチン繊維の非存在下で、半開放空間を構成できる。特に、各キャビティは、キャビティ内に少なくとも部分的に導入されたケラチン繊維が外部と連通する1つの端部を除いて、閉じられた空間を定めうる。したがって、各キャビティは、ケラチン繊維が、ケラチン繊維が導入される開口部を介して導入される側で、外部へと開放されていてもよい。
【0189】
1つ又は複数のキャビティ内に導入されたケラチン繊維の自由端は、好ましくは、1つ又は複数のキャビティを超えない。
【0190】
キャビティのうちの少なくとも2つは、接続されていなくてもよい。キャビティのすべてが、接続されていなくてもよい。
【0191】
キャビティは、互いに平行であってもなくてもよい。
【0192】
キャビティは、一定の間隔で、例えば、中心から中心までが1mmから2mmの間隔で、配置できる。
【0193】
キャビティ数は、1つ以上、特に2つ以上、好ましくは6つ以上、より好ましくは10個以上であってもよい。
【0194】
顎部
1つ又は複数のキャビティは、2つの顎部を、特に顎部のうちの一方の他方に対する並進及び/又は回転運動により、合わせることにより形成できる。
【0195】
2つの顎部は、ケラチン繊維が導入されるときに引き離すことができ、ケラチン繊維が導入されるキャビティを形成するように、再び閉じることができる。
【0196】
顎部は、型を担持しても、又は、それと一体であってもよい。
【0197】
顎部は、特に、型のキャビティの長手方向軸と垂直な幾何学的な軸の周囲で、曲線状であってもよい。
【0198】
一方又は両方の顎部がカラム上で摺動するシステムを、ケラチン繊維が導入されるときに2つの顎部を引き離し、キャビティを形成するようそれらを再び閉じるために使用できる。
【0199】
また使用できるのは、顎部がヒンジにより接続されるシステムである。
【0200】
また使用できるのは、顎部が接続されず、任意選択でガイドシステムにより互いと結合されるシステムである。
【0201】
2つの顎部は、好ましくは、キャビティ内に存在する組成物を逃がさないよう十分よく嵌合する。
【0202】
顎部は、例えば型の変形を緩和するために、エラストマー材料を含んでいてもよい。
【0203】
型の変形
キャビティの容積を低減し、例えば、組成物をキャビティ内に導入された繊維の周囲に分布させるために、ケラチン繊維が配置された型を変形させることが有利でありうる。
【0204】
型は、軟質材、特にエラストマー材料を含んでいてもよい。
【0205】
伸張性、特にエラストマーの型は、デッドボリュームの問題を回避するため及び/又は繊維を組成物中により良好に統合させるために、組成物を圧縮することを可能にする。型は、軟質材、特にエラストマー材料で完全にできていてもよい。
【0206】
型は、軟質部分及び非軟質部分を含んでいてもよい。型は特に、軟質、特にエラストマー材料で、例えば0.5mmから2mmの範囲の厚さにわたって表面が被覆されていてもよい。
【0207】
型の変形は、圧縮、例えば指での機械的圧縮、又は空気圧、又は水圧、又は吸引により実施できる。例えば、トリガーを引くことにより、1つの顎部と型との間に過度の圧力を創出でき、これは、型の2つの部分を互いへと圧縮し、デッドゾーンを防止する効果を有する。
【0208】
離型
組成物は、好ましくはケラチン繊維の周囲でのその粘着力を失うことなしに、一方で型により付与された表面仕上げを保持しながら、型から離型して、引き抜くことができる。
【0209】
劣化なしの組成物の離型が所望される。
【0210】
型は、離型を容易にするために、伸張性、特にエラストマーであってもよい。
【0211】
型の1つ又は複数のキャビティは、非粘着性コーティングを有していてもよく、又は、非粘着特性を付与することを目的とする処理を経ていてもよい。したがって、型は表面に、特にシリコーン又はPTFEタイプの低接着性材料を含んでいてもよい。非粘着性生成物、特に油、シリコーン、PTFE粉末又は窒化ホウ素の層もまた、型のキャビティに適用されてもよい。
【0212】
デバイスは、組成物でコーティングされた繊維の型からの分離を容易にするよう、型及び/又は1つ又は複数のキャビティ内に含有される組成物に作用するために、自動又は非自動離型システムを含んでいてもよい。この離型システムは、型を、前記型に対して圧縮されることにより変形させる、一連のブレード又は他の起伏を含んでいてもよい。型の変形はキャビティのレベルで生じうるのであり、そのことにより、成形された物質の突出しを容易にする。
【0213】
成形後に、組成物のブリッジが複数のキャビティを、望ましくない仕方で互いに接続しうる。デバイスは、成形後の少なくとも2つのキャビティの間の組成物のブリッジを切断するために使用される、ブレード又は他の起伏を含んでいてもよい。これらのブレード又は他の起伏は、キャビティ間のブリッジの上に合わせることにより作用できる。これらのブレードを、型に追加できる。
【0214】
組成物のブリッジを切断するために使用されるブレード又は他の起伏は、顎部のうちの1つにより担持されうる。この場合、他方の顎部は、ブレード若しくは他の起伏から見て平面又はブレード若しくは他の起伏が嵌合する溝を有していてもよい。ブレード又は他の起伏は、2つの顎部上に更に配置でき、結果として、顎部のうちの1つの1つのブレード又は他の起伏が、他方の顎部の1つのブレード又は他の起伏の上に合わさる。
【0215】
成形された組成物の離型は、好ましくは、特に、型の変形、2つの顎部を互いから引き離すこと、及び/又は、ケラチン繊維を型から引き出すことにより、機械的に実施される。
【0216】
組成物の離型は、必要に応じて、互いに接着する2つのシートが剥離により分離されるように、型の一部の一方の端部において引き、それを他の部分から分離することにより実施できる。成形された組成物の離型は、更に、一変形形態によれば、物理化学的に、特に、型又は、前記型とケラチン繊維上に成形された組成物との間の、型の内側に存在するフィルムコーティングを、溶媒で少なくとも部分的に溶解させることにより、少なくとも部分的に実施されてもよい。
【0217】
組成物の提供
組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体を、前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つに、より一層良好には前記ケラチン繊維のそれぞれに、それらが型に導入される前に堆積させてもよい。この場合、型を閉じることは、キャビティ内に組成物を分布させることができ、必要に応じて、過剰な組成物を型から締め出すことができる。
【0218】
化粧用組成物の少なくとも一部分、特に化粧用組成物全体が、型内に繊維が導入される前に、型内に最初から存在していてもよい。これは、型の1つ又は複数のキャビティ内に導入される組成物の計量を容易にしうる。組成物は、密閉包装中に型とともに収容されていてもよい。
【0219】
組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体が、少なくとも1つの注入チャネルを介して、型内に注入されてもよい。
【0220】
型は、型内にケラチン繊維が導入される前に、組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体が存在するインプリントを含んでいてもよい。インプリントは、型のキャビティを、前記型が閉じられるときに定義する。
【0221】
型は、インプリントをそれぞれ含む少なくとも2つの部分を含んでいてもよく、型内にケラチン繊維が導入される前に、組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体が、型の少なくとも一部分、特にすべての部分内に存在する。組成物は例えば、型を閉じる前に、インプリントを完全に満たし、インプリント内にのみ存在する。
【0222】
型はまた、過量の組成物で前もって満たされていてもよく、その結果、その物質は、例えばわずかに曲線を描くことにより、キャビティよりも高くなる。このようにして、睫毛の周囲の生成物の非存在が一切回避され、完全な注型の形成が保証される。
【0223】
自動性
デバイスは、自動化できる。単一のトリガリングが、一連の動作、例えば成形組成物でのキャビティの充填、及び、離型を実施するよう型を変形させるために型に及ぼされる作用を実施することを可能にしうる。型を閉じることもまた、自動化できる。
【0224】
デバイス
デバイスは、組成物の温度を上昇させるのに寄与する少なくとも1つの加熱素子を含んでいてもよく、温度の上昇が、組成物の状態の変化、特に、融解による固体状態から液体状態への変化を誘導する。
【0225】
温度の上昇中に、組成物は型内に存在していても型の外側に存在していてもよい。組成物は、型の温度の上昇中に型の外側に存在していてもよく、特に少なくとも1つの注入チャネルを介して、型内に液体状態で注入されてもよい。
【0226】
加熱は、型を閉じる際に自動的に始動できる。一変形形態として、加熱は型を閉じる前に始動でき、視覚及び/又は音声インジケーターが、ユーザーに対して、型を閉じるため及び/又は繊維を適所に置くための所望の温度に達したことを信号で伝える。
【0227】
デバイスは、物質を入れるための少なくとも1つのシステムであって、化粧用組成物の一部又は全部を型の1つ又は複数のキャビティ内に導入するのに寄与し、特に、1つ又は複数の型のキャビティと連通する1つ又は複数の注入チャネルを含む、少なくとも1つのシステムを含んでいてもよい。組成物は、例えば、リザーバー中に含有され、ピストン又はポンプが、それを型の1つ又は複数のキャビティに流入させることを可能にする。
【0228】
デバイスは、特に化粧用組成物による光又はマイクロ波放射の吸収により、組成物の温度を上昇させるのに寄与する、少なくとも1つの光素子、特にIR、UV若しくは可視光素子、又はマイクロ波素子である加熱素子を含んでいてもよい。
【0229】
顎部は、手動で閉じられてもよい。
【0230】
デバイスは、ケラチン繊維を導入することを可能にするよう2つの顎部を引き離し、前記ケラチン繊維上でそれらを閉じるために、1つの手の指のうちの少なくとも1つ、例えば親指又は人指し指を導入できる、少なくとも1つのハウジングを含むクランプの形態であってもよい。
【0231】
デバイスは、ケラチン繊維を導入することを可能にするよう2つの顎部を引き離し、前記ケラチン繊維上でそれらを閉じるために、1つの手の指のうちの2つ、例えば親指及び人指し指を導入できる、2つのハウジングを含むクランプの形態であってもよい。これらのハウジングのそれぞれが、着脱可能又は着脱不能であってもよい。これらのハウジングのそれぞれは、回転方向に配向されることが可能であってもなくてもよい。
【0232】
美容処置方法
前述のとおり、その別の一態様によれば、本発明はまた、1つ又は複数のケラチン繊維、特に、1つ又は複数の睫毛又は眉毛の美容処置のための方法であって、40℃から120℃の間の融点を有し、組成物の総質量に対して少なくとも15質量%の融解性化合物を含む化粧用組成物を、前記ケラチン繊維が少なくとも部分的に導入される型(2)の1つ又は複数のキャビティ(5)を用いて、前記ケラチン繊維の少なくとも一部分上に成形する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0233】
特に、前記ケラチン繊維は、任意選択で個別に、前記キャビティ内に少なくとも部分的に導入される。
【0234】
組成物は、前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つの長さの少なくとも4分の3に、より一層良好には、前記ケラチン繊維のそれぞれの長さの少なくとも4分の3に堆積させてもよい。
【0235】
繊維の長さは、繊維が平らに置かれるときに、皮膚の表面からその自由端まで測定される。
【0236】
組成物は、前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つの長さの一部にだけ、より一層良好には、前記ケラチン繊維のそれぞれの長さの一部にだけ堆積させてもよい。
【0237】
好ましくは、化粧用組成物は、その融点以上の温度とされる。
【0238】
型の1つ又は複数のキャビティを、2つの顎部を合わせることにより形成でき、顎部は、組成物が固化するまで閉じられたままである。
【0239】
特定の一実施形態によれば、化粧用組成物は、前記ケラチン繊維のうちの少なくとも1つと少なくとも1つの追加の繊維とのうちの少なくとも一部分上に成形され、化粧用組成物により、ケラチン繊維に対する追加の繊維の結合、特に、ケラチン繊維を延長するのに寄与する追加の繊維の結合が、2つのタイプの繊維間の軸の重なりの有無にかかわらず確実に行われる。
【0240】
ケラチン繊維
本発明による処置法が適用されるケラチン繊維は、好ましくはヒト、特に睫毛又は眉毛、より好ましくは睫毛である。
【0241】
ケラチン繊維は毛髪であってもよい。したがって、毛髪を、特にその長さの一部、例えば、その剛性の増加のために根元部上で、及び/又は、その外観を改善するために端部上で処置することが可能である。
【0242】
本発明により成形されたケラチン繊維を、他の生成物、例えばマスカラで、又は、高温面との接触により、後処置することが可能である。
【0243】
前記ケラチン繊維のそれぞれを、各キャビティ内に少なくとも部分的に導入できる。前記ケラチン繊維のうちの少なくとも2つを、同じキャビティ内に少なくとも部分的に導入できる。少なくとも1つのキャビティが、1つの繊維だけを含有していてもよい。
【0244】
追加の繊維
本発明によるアセンブリ及び方法はまた、追加の繊維を既存のケラチン繊維に、組成物を介して結合することを可能にする一方で、その接続の視認性を制約し、そのことにより、ケラチン繊維に、より長い且つ/又はより厚い外観を与えることを可能にする。
【0245】
このように、組成物は、少なくとも1つの前記ケラチン繊維及び少なくとも1つの追加の繊維の少なくとも一部分上に成形できる。このように、デバイスは、1つ又は複数の追加の繊維を含んでいてもよく、ケラチン繊維に対する追加の繊維の結合、特に、ケラチン繊維を延長するのに寄与する追加の繊維の結合が、2つのタイプの繊維間の軸の重なりの有無にかかわらず確実に行われる。
【0246】
組成物は、ケラチン繊維のうちの少なくとも1つの長さの一部だけ、及び少なくとも1つの追加の繊維の長さの一部だけに、より一層良好には、ケラチン繊維のそれぞれの長さの一部だけ、及び追加の繊維のそれぞれの長さの一部だけに堆積させてもよい。
【0247】
追加の繊維を、ケラチン繊維に向けられるそれらの端部のみにおいて、好ましくは10mm未満、好ましくは5mm未満の長さにわたって、組成物で被覆できる。
【0248】
デバイスは、前記追加の繊維のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、それらは、型の1つ若しくは複数のキャビティ内に事前に位置決めされているか、又は、それらを事前に位置決めすることを可能にする支持体と連結されている。この支持体は、例えば水で洗浄することにより、着脱可能又は吸収可能であってもよい。
【0249】
追加の繊維は、ユーザーのケラチン繊維と同色の合成繊維であってもよく、特に、ユーザーの睫毛よりも暗い色であってもよく、特に黒色である。典型的には、繊維は、直径が50μmから200μm、長さが5mmから25mmの間であり、自然な睫毛と似せるために先細にできる。
【0250】
組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体は、それらが型に導入される前に、追加の繊維上に堆積させてもよい。
【0251】
組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体は、追加の繊維上に堆積させてもよい一方で、前記ケラチン繊維は型内に存在する。
【0252】
組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体が、型内に追加の繊維が導入される前に、型内に最初から存在していてもよい。
【0253】
組成物の少なくとも一部分、特に組成物全体が、少なくとも1つの注入チャネルを介して、型内に注入されてもよい。
【0254】
このとき、熱は、追加の繊維をケラチン繊維に結合することを可能にする。
【0255】
デバイスは、2つの顎部を含んでいてもよく、顎部のうちの少なくとも1つは、加熱素子を含む。
【0256】
デバイスは、光源及び2つの顎部を含んでいてもよく、2つの顎部のうちの少なくとも1つが、光源により放出される放射の少なくとも一部を透過させ、結果として前記放射は組成物に到達する。
【0257】
ケラチン繊維は、特にそれらに型内の追加の繊維の構成に適合する長さを与えるために、型への導入前に切断できる。
【0258】
本発明による粒子及び調製方法の適用の他の特徴、利点及び方法は、本発明の分野の非限定的例証として提示される本発明の例示的実施形態及び添付の図面検討からより明らかとなるだろう。