特許第6476304号(P6476304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6476304ドア装置を制御するための方法、ならびにこの種類のドア装置およびそのための安全デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476304
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】ドア装置を制御するための方法、ならびにこの種類のドア装置およびそのための安全デバイス
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/43 20150101AFI20190218BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20190218BHJP
   E05F 15/74 20150101ALI20190218BHJP
   E05F 15/665 20150101ALI20190218BHJP
【FI】
   E05F15/43
   E06B9/84 D
   E05F15/74
   E05F15/665
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-538200(P2017-538200)
(86)(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公表番号】特表2018-506664(P2018-506664A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】EP2015074898
(87)【国際公開番号】WO2016116178
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】102015101017.8
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501394011
【氏名又は名称】エファフレックス・トーア−ウント・ジッヒャーハイツジュステーメ・ゲーエムベーハー・ウント・シーオー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100205121
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 浩忠
(72)【発明者】
【氏名】バートール ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ケェムザー ハンスーイェルク
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー マーティーン
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−115761(JP,A)
【文献】 特開2010−112036(JP,A)
【文献】 米国特許第07109677(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 − 15/79
E06B 9/00 − 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部ガイド(3)に案内され、駆動手段(4)によって駆動されて、ドア開口部のドア閉鎖平面の開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動可能なドアリーフ(2)を備えるドア装置(1)を制御するための方法であって、前記ドア装置(1)が安全デバイス(5)を備え、前記安全デバイス(5)が、少なくとも片側にある監視エリアであって、前記ドア開口部の前に位置付けられ前記ドア閉鎖平面に対して平行にずれている監視エリアを監視し、前記監視エリアにおいて物体(6)が検出され、ゆえに前記物体(6)と前記ドアリーフ(2)との衝突が内在的であるときに、停止ルーチンを実行する方法において、
前記物体(6)の現在位置を検出するステップと、
前記ドアリーフ(2)の前縁部(23)の現在位置を検出するステップと、
前記ドアリーフ(2)の移動方向を検出するステップと、
前記物体(6)および前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)の前記現在位置、ならびに前記ドアリーフ(2)の前記移動方向に応じて、前記停止ルーチンを開始するステップを備え、
前記移動方向において閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が前記物体(6)の位置をまだ通過していないときに、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の停止、および/または前記ドアリーフ(2)の前記移動方向の反転を開始すること
を特徴とするドア装置を制御するための方法。
【請求項2】
前記物体(6)の前記現在位置の前記検出が、特に光格子システム(52)などの光学検出器手段を使用して実行されることを特徴とする、請求項1に記載のドア装置を制御するための方法
【請求項3】
前記物体(6)の前記現在位置の前記検出が、前記監視エリアの部分エリアにおいて、異なる検出密度で実行されることを特徴とする、請求項1または2に記載のドア装置を制御するための方法
【請求項4】
前記物体(6)の前記現在位置を検出するために、前記ドア開口部の部分エリアだけが監視されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のドア装置を制御するための方法
【請求項5】
前記移動方向において前記閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が、前記物体(6)に隣接して位置付けられるときに、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の停止を開始することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のドア装置を制御するための方法
【請求項6】
前記移動方向において前記閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が前記物体(6)に隣接して位置付けられるときに、前記停止ルーチンが、所定の休止時間後に、前記ドアリーフ(2)の前記移動方向の反転を、低減された速度で開始することを特徴とする、請求項5に記載のドア装置を制御するための方法
【請求項7】
前記移動方向において前記閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が前記物体(6)の位置をすでに通過したときに、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の停止を開始することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のドア装置を制御するための方法
【請求項8】
前記移動方向において前記閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が前記物体(6)の位置をすでに通過しており、次いで前記物体(6)がもはや検出されないとき、前記停止ルーチンが、所定の移動方向への前記ドアリーフ(2)の移動の継続を、低減された速度で開始することを特徴とする、請求項7に記載のドア装置を制御するための方法
【請求項9】
開放移動の過程で前記物体(6)が検出されたとき、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の停止を開始することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のドア装置を制御するための方法
【請求項10】
前記物体(6)がもはや検出されなくなると、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の前記停止に続き、前記ドアリーフ(6)の開放移動を、低減された速度で開始することを特徴とする、請求項9に記載のドア装置を制御するための方法
【請求項11】
前記ドア装置(1)が避難路として機能し、適切な緊急開放信号が存在するとき、前記停止ルーチンが、物体(6)の検出にも関わらず、前記ドアリーフ(2)の開放移動を、低減された速度で、力のモーメントを大きくして開始することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載のドア装置を制御するための方法
【請求項12】
側部ガイド(3)に案内され、駆動手段(4)によって駆動されて、ドア開口部のドア閉鎖平面の開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動可能なドアリーフ(2)を備えるドア装置(1)であって、安全デバイス(5)を備え、前記安全デバイス(5)が、少なくとも片側にある監視エリアであって、前記ドア開口部の前に位置付けられ前記ドア閉鎖平面に対して平行にずれている監視エリアを監視し、前記監視エリアにおいて物体(6)が検出され、ゆえに前記物体(6)と前記ドアリーフ(2)との衝突が内在的であるときに、停止ルーチンを実行するドア装置(1)において、前記安全デバイス(5)が、
前記物体(6)の現在位置を検出するための手段(51)と、
前記ドアリーフ(2)の前縁部(23)の現在位置を検出するための手段(53)と、
前記ドアリーフ(2)の移動方向を検出するための手段(54)と、
前記物体(6)および前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)の前記現在位置、ならびに前記ドアリーフ(2)の前記移動方向に応じて、前記停止ルーチンを開始するための制御手段(55)と
を備え
前記移動方向において閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が前記物体(6)の位置をまだ通過していないときに、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の停止、および/または前記ドアリーフ(2)の前記移動方向の反転を開始すること
を特徴とするドア装置(1)。
【請求項13】
前記安全デバイス(5)が、少なくとも1つの光格子システム(52)を備えること
を特徴とする請求項12に記載のドア装置。
【請求項14】
前記安全デバイス(5)が、前記ドア開口部の両側に光格子システムを1つずつ備えること
を特徴とする請求項13に記載のドア装置。
【請求項15】
前記物体(6)の現在位置を検出するための前記手段(51)が、前記監視エリアの部分エリアにおいて異なる検出密度を備えることを特徴とする、請求項12から14のいずれかに記載のドア装置。
【請求項16】
前記監視エリアが、前記ドア開口部の部分エリアのみであることを特徴とする、請求項12から15のいずれかに記載のドア装置。
【請求項17】
側部ガイド(3)に案内され、駆動手段(4)によって駆動されて、ドア開口部のドア閉鎖平面の開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動可能なドアリーフ(2)を備えるドア装置(1)のための安全デバイス(5)であって、前記安全デバイス(5)が、少なくとも片側にある監視エリアであって、前記ドア開口部の前に位置付けられ前記ドア閉鎖平面に対して平行にずれている監視エリアを監視し、前記監視エリアにおいて物体(6)が検出され、ゆえに前記物体(6)と前記ドアリーフ(2)との衝突が内在的であるときに、停止ルーチンを実行する安全デバイス(5)において、
前記物体(6)の現在位置を検出するための手段(51)と、
前記ドアリーフ(2)の前縁部(23)の現在位置を検出するための手段(53)と、
前記ドアリーフ(2)の移動方向を検出するための手段(54)と、
前記物体(6)および前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)の前記現在位置、ならびに前記ドアリーフ(2)の前記移動方向に応じて、前記停止ルーチンを開始するための制御手段(55)を備え
前記移動方向において閉鎖移動の過程で、前記ドアリーフ(2)の前記前縁部(23)が前記物体(6)の位置をまだ通過していないときに、前記停止ルーチンが、前記ドアリーフ移動の停止、および/または前記ドアリーフ(2)の前記移動方向の反転を開始すること
を特徴とする安全デバイス(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側部ガイドに案内され、駆動手段によって駆動されて、ドア開口部のドア閉鎖平面の開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動可能なドアリーフを備えるドア装置を制御するための方法に関し、ドア装置は安全デバイスを備え、安全装置は、少なくとも片側にある監視エリアであって、ドア開口部の前に位置付けられドア閉鎖平面に対して平行にずれている監視エリアを監視し、監視エリアにおいて物体が検出され、ゆえに物体とドアリーフとの衝突が内在的であるときに、停止ルーチンを実行する。本発明は、さらに、この種類のドア装置、およびそのための安全デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動動作可能ドアには、動いているドアの閉鎖縁部に障害物または人が当たり、それで損傷したり負傷したりしないように、安全対策が取られなくてはならないことが、一般的に知られている。
【0003】
この目的のために、よく知られているように、自動動作ドアの前縁部および/または当接縁部に、接触縁部保護部が配置されており、それは、対向力の発生時、すなわち、障害物の検出時には、ドアの駆動を停止する、および/または移動方向の反転という意味での「解放」を実行することもある。
【0004】
このような触知システム、すなわち、物体との接触に反応するシステムの欠点は、ドア駆動の停止および/またはその移動方向の反転をセンサが実行し得る前に、いずれにせよ接触が発生するということにある。したがって、少なくとも軽度な負傷または損傷が発生する可能性がある。
【0005】
別の知られている安全デバイスは、光バリア、および/または複数の光バリアから成る光格子が、ドア閉鎖平面に適用されて、安全光カーテンを生成することを提供するものである。この点についての有利なシステムが、EP0902157A2、およびEP0902158A2に記述されている。
【0006】
しかし、この種類のシステムは、ドアリーフによる誤った物体検出を回避するために、ドアリーフの前縁部の位置を検出する必要がある。この目的のために、特定の光バリアを順番に無視することが通常提供され、次いでそれにより、1つの光格子だけで作動することが可能になる。これらの例は、文献WO2014/040583A1、およびDE202014101131U1でも確認することができる。
【0007】
しかし、DE102007050334A1は、いくらか異なるシステムを記述しており、そのシステムでは、ドア閉鎖平面に障害物が入ることが、検出器ビームの途絶によって検出され、それによりモータ駆動の停止および/または反転を引き起こす。この目的のために、距離測定走査検出器を用いて、ドア開口部の角に近いドア閉鎖平面で好ましくは90°のエリアにわたって、検出器ビームが枢動される。検出された距離測定値の稼働時間を用いて、予め記憶された限界値と比較することによって、監視エリア内に妨害物体が存在するかどうかが検出され、ここで、物体が生じている場合には、検出器ビームの稼働時間が短くなる。光学的な安全システムは、この場合もドア閉鎖平面に位置付けられるので、誤警報を回避するために、予め決定された標準値によって、ドアリーフの前縁部の現在位置も考慮される。
【0008】
しかし、ドアリーフの移動エリアにおける危険箇所のこれらの種類の安全策は、物体との接触に反応するシステムと同様に、確実な態様で衝突を回避するには充分ではないことが多い。例えば、人が接近しそれと同時にドアリーフが動いている場合には、安全システムの技術的に所与の反応時間に起因して、人の頭部とドアリーフの前縁部が移動の過程で衝突し得ることを確実に排除することができない。さらに、ドアリーフが動いている間に、これらの知られている安全システムによってそれが検出されなければ、人はドアリーフの広いエリアにぶつかる恐れがある。経験によって示されるように、この場合、軽度の負傷、特に頭部の負傷が、常に回避され得るとは限らない。
【0009】
安全策の別の可能性は、ドア開口部の上方にセンサを適用するものであり、前記センサが、ドア閉鎖平面のわずかに前方で、地上まで届く、空間的奥行きの広がりも有し得る安全域を生成する。赤外線または超音波センサ、ならびにレーダセンサが、この目的のためには一般的である。さらに、ドア開口部のさらに前方域を検出し、それにより物体または人が接近するのを検出することも知られている。この点についての安全で有利な方法が、EP1470314A1に記述されている。
【0010】
しかし、動きセンサは、ドアリーフの近くに立っている人などの静止した物体は検出しないという欠点がある。それとは反対に、存在センサは、環境的な影響および照明条件に敏感である。さらに、例えば場所的な条件のために、センサを最適に配置することが常に可能であるとは限らないので、両方の種類のセンサが、ドアリーフの前の前方域を完全にはカバーしないという問題を有することが多い。その場合には、検出されずにドアに接近することが全く可能である。
【0011】
制限された部屋に設置されたドア装置、および/または人が絶えずドアの直ぐ近くで作業している応用分野のドア装置では、この状態は特に問題である。このことは、例えば、販売室およびスーパーマーケットの倉庫エリアにあるドアによく当てはまる。一方では、この場合、前方域は、製造および倉庫エリアとして使用されていることから、前方域監視を広いエリアわたって実施することは不可能であり、他方では、これらは比較的低いドアであることが多く、それにより、閉じつつあるドアリーフに反応する可能性がこの場合相対的に低い。人の負傷は、この場合確実な態様で常に排除され得るとは限らない。
【0012】
さらに、閉じたドアリーフに人が寄りかかっていて、次いでドアが突然開いたとき、例えば大きな閉鎖要素が顎や鼻に当たるということも起こる。ときには、従業員は、ドアが開いている間にドアフレームに腕をおいてもたれていることもあり、その結果、閉鎖プロセスの過程で指に打撲傷を受ける可能性があり得る。
【0013】
緊急出口または避難路として使用されるドア装置では、別の特定の問題が生じている。この場合、避難路が自由に通れるようになるように、接近されるときドア装置が強制的に開放されることが必要である。これは、ドアの前方域を監視することによって規則的に実施される。従来の前方域センサの場合、上述した検出の抜け穴が残っており、その結果、避難する人が横から接近することが、検出されることなく可能であり得る。人が大きな集団になった場合、人の集まりがドアリーフを押すことがあり、その場合、ドアの開放が圧力によって完全に防止されるという状況が、避難する人にとっては特に問題である。
【0014】
人の適切な保護、またはドア装置および/もしくは他の物に対する損傷からの適切な保護を保証する別の知られている解決策は、光バリア、および/または複数の光バリアから成る光格子を、ドア閉鎖平面のわずかに前および後ろに適用し、それによりドアリーフの移動平面の両側に安全光カーテンを生成することである。
【0015】
さらに、DE102008017244A1は、ドア閉鎖平面を障害物および/または物体から保護するために、垂直または水平移動ドアを制御するための方法および装置を開示している。この目的のために、監視エリアの境界に距離測定走査検出器が配置され、距離測定走査検出器は、ドア閉鎖平面の前と後ろに検出器ビームを提供して距離を測定し、それに同期して検出器ビームを放射して、監視エリア全体にわたって分岐した検出器ビーム走査システムを提供する。これらの検出器ビームの稼働時間は、予め記憶された参照値と比較され、ここで監視エリアに物体が生じている場合には、稼働時間が短くなり、その結果、確実な態様で物体が検出され得る。この場合、検出器出力信号は制御ユニットに出力され、制御ユニットは、モータ駆動の停止および/または反転を引き起こす。
【0016】
しかし、ドア閉鎖平面の前または後ろに配置された検出要素による、ドアリーフの移動エリアにおける危険箇所のこれらの種類の安全策も、人が接近しそれと同時にドアリーフが動いているときには充分ではないことが多い。したがって、安全システムの特定の反応時間が必然的に存在し、その結果、例えば人の頭部とドアリーフの前縁部または広いエリアとが、移動の過程で衝突する可能性を、確実に排除することはできない。さらに、ドアリーフの移動方向を即座に反転させることは、規則で定められた通りではあるが、例えばドアの閉鎖エリアにいる人などに対してさらなる危険の発生源にもなり得る。経験から示されるように、頭部、とりわけ、額、鼻、および耳の擦り傷による少なくとも軽い負傷は、この場合常に回避され得るとは限らない。
【0017】
実際には、ドア装置の設置場所、寸法、および動作モードに応じて、異なる種類のリスク状態があり、そのリスク状態のそれぞれに適応された安全システムが存在する。しかし、これらのすべては、上で説明したようにそれぞれの弱点を有する。技術に関しては個々の種類の安全システムを互いに結合することが少しでも可能な程度までは、部分的にも達成されている。しかし、これは非常に大きな構造上の手間とそれに対応するコストをもたらすことになる。それでも、所与のリスクを完全かつ確実に取り除くことはできない。さらに、従来の安全システムは、停止ルーチンが相対的に単純に構築されているので、疑わしい場合にはドアリーフ移動を常に停止させるように適応されており、このことは製造プロセスに減損および時間遅延をもたらすことになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
これを始まりとして、本発明の目的は、ドア装置を制御するための改善された方法であって、人を危険に晒すことおよび物を損傷するリスクを、構造上の手間をほとんどかけずにさらに低減させる方法を提供することである。さらに、それに対応して改善されたドア装置、およびそのための安全デバイスが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
手順に関しては、この目的は請求項1の方法ステップによって解決される。本発明による方法は、側部ガイドに案内され、駆動手段によって駆動されて、ドア開口部のドア閉鎖平面の開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動可能なドアリーフを備えるドア装置を制御するように機能し、ドア装置は安全デバイスを備え、方法は、安全デバイスが、少なくとも片側にある監視エリアであって、ドア開口部の前に位置付けられドア閉鎖平面に対して平行にずれている監視エリアを監視し、監視エリアにおいて物体が検出され、ゆえに物体とドアリーフとの衝突が内在的であるときに、停止ルーチンを実行することを提供する。方法は、物体の現在位置を検出するステップと、ドアリーフの前縁部の現在位置を検出するステップと、ドアリーフの移動方向を検出するステップと、物体およびドアリーフの前縁部の現在位置、ならびにドアリーフの移動方向に応じて、停止ルーチンを開始するステップによって、特に特徴付けられる。
【0020】
したがって、本発明は、衝突のリスクがあるときに、ドア装置の動的状態を考慮に入れるということを初めて提供する。特に、本発明によれば、検出された物体とドアリーフの前縁部との相対位置が、適切な停止ルーチンを選択するときに、初めて考慮される。さらに、リスクの潜在性に関する著しい差は、実際のところ詳細にはドアリーフの移動方向からもたらされるので、本発明によれば、ドアリーフの移動方向も初めて考慮される。
【0021】
従来の安全デバイスは、監視エリア内の物体の存在だけを検出し、次いでモータ駆動の停止および/または反転によって単純な停止ルーチンを実施することに制限されるが、本発明による制御方法は、ここで初めて、ドアリーフの前にある物体の事実上の具体的なリスク度合いを考慮に入れる。
【0022】
本発明の過程で、実際に問題のある事例を徹底的に観察したことにより、例えば、妨害物体が監視エリア内で検出されたとき、その妨害物体が、物体の前にまだあるドアリーフに面しているのか、またはすでに通過したドアリーフに面しているのかが、実質的に重要であることが示された。
【0023】
例えば前者の場合、事実上のリスクが存在するのは、ドアリーフが閉じ、それによりドアリーフの端板が、その前縁部で前方の物体に当たり、物体に実質的な負傷および/または損傷を引き起こすときである。
【0024】
一方、ドアリーフが閉じる過程であり、すでに物体の位置を通過している場合には、物体は、衝突の場合ドアリーフの広いエリアに当たることになるので、物体に対するリスクは典型的には低い。ここで、人は、擦り傷などを負うかもしれないが、このことは、ドアリーフの前縁部と直接衝突するほど危機的ではないと評価されるべきである。また、検出された物体が、例えばフォークリフトなどの物である場合には、ドアリーフの広いエリアに対する損傷を本来であれば懸念するべきであるが、全体的な状態は、例えばフォークリフトのフォーク部にドアリーフの前縁部が当たることほど危機的ではないと思われる。
【0025】
ドアリーフが開放移動中であり、その前縁部が物体の位置をすでに通過しているときには、事例が異なる。本発明の過程において、この場合にドアリーフの移動を停止させることは適当ではないことがわかってきた。ドアリーフは、検出された物体から離れるように動いているので、この場合いずれにせよ衝突のリスクは存在しない。
【0026】
この起こり得る集まり(constellation)の選択は、ドア装置の実際の動作において、本発明によるドア装置の選択的な制御が有する利点を明らかにする。ドアリーフによってもたらされる危険に応じた適切な停止ルーチンを選択することによって、それぞれの状態に対して充分な態様で、リスク状態に対応することが可能になる。しかし同時に、そのようなドア装置の動作の不必要な中断が回避され、それにより製造プロセスへの干渉などが少なく保たれ得ることも達成される。したがって、ドア装置の、特に経済的で、実用性を重視した動作が可能である。
【0027】
このことは、緊急出口として、避難路で使用されるドア装置であって、したがって適切な緊急開放信号が存在する場合には、いずれにせよ開くことが意図され、自動停止によって遮断されることが決してあってはならないドア装置を有する特定の状態も含む。
【0028】
さらに、本発明による方法は、比較的少ない技術的な手間で実行することができる。したがって、監視エリア内の物体を検出する過程で、相対的に少ない付加的な手間で、監視エリア内の物体の正確な位置を判定することが全く可能である。同時に、例えばドアリーフの移動方向も、駆動制御によって検出され得る。さらに、付加的に、例えばドアリーフの閉鎖度合い、およびその前縁部の位置が、この態様で検出され得る。事前プログラムされた反応パターンを用いて安全デバイスの適切な事前調整を行うことによって、事実上のリスク潜在性を判定すること、およびそれに応じて適切な停止ルーチンを定義することが可能である。
【0029】
同時に、本発明による制御方法は、付加的な前方域監視が不要であることから、制限された部屋において使用されるドア装置に適用することもできる。
【0030】
したがって、本発明によるドア装置のための制御方法は、初めて、それぞれの具体的なリスク状態を考慮し、危険に晒された人の保護および物に対する損傷の回避も視野に、その具体的なリスク状態に経済的に有用な態様で対処する。
【0031】
本発明による方法の有利なさらなる発展形態は、従属請求項2〜12の主題である。
【0032】
したがって、物体の現在位置は、光学検出器手段を使用することによって検出され得る。ゆえに高い信頼性を伴って使用可能な承認された検出システムがここでは利用され得る。特に、光格子システムは、所望の監視エリアの特に良好な領域監視を可能にすることから、ここで使用される。
【0033】
さらに、物体の現在位置は、監視エリアの部分エリアで、検出密度を変えることによって検出されてもよい。このことは、それにより異なるリスク状態に対処することができるという利点を有する。したがって、例えば、人の手を確実に検出することは、手の占める空間が少ないことから、頭部を検出するよりも難しい。言い換えれば、手を確実に検出するためには、頭部の検出よりも大きな検出密度を必要とする。例えば、そのフォーク部が他の大型構造部よりも検出するのがより難しいフォークリフトの場合も同様の状態になる。したがって、監視エリアにおける異なる検出密度の提案された使用法により、動作現場におけるそれぞれの具体的な要件を、さらによりよく満たすことができる。
【0034】
さらに、物体の現在位置を検出するために、ドア開口部の部分エリアだけが監視されることも可能である。このことは、ドア装置の通常動作において、妨害物体がとりわけドア開口平面の部分的な区分だけにあることが予想される場合に、特に有用である。この場合、監視の手間はコアエリアに集中することになり、このことは制御を容易にする。
【0035】
移動方向において閉鎖移動の過程で、ドアリーフの前縁部が物体の位置をまだ通過していないときに、停止ルーチンがドアリーフ移動の停止、および/またはドアリーフの移動方向の反転を開始する場合、前縁部が物体に当たることが、特に確実な態様で回避され得る。
【0036】
一方で、ドアリーフの前縁部が、移動方向において閉鎖移動の過程で物体に隣接しているときに、停止ルーチンが、ドアリーフ移動の停止を開始すると有利である。この場合、物体が、ドアリーフの端板および/または広いエリアにぶつかるリスクが存在するが、このことは、ドアリーフが停止しているときには比較的、非危機的である。そうでない場合には、ドアリーフが物体に擦れて、それにより人に擦り傷などができ、物の場合には、物、および/またはドアリーフに対する損傷が生じるリスクがある。これらの問題は、本発明によるこの過程のドアリーフ移動を停止させる方策によって、回避される。
【0037】
移動方向において閉鎖移動の過程で、ドアリーフの前縁部が物体に隣接しており、ドアリーフが停止したとき、所定の休止時間後に、停止ルーチンがドアリーフの移動方向の反転を低減された速度で開始すれば、これにより明らかに低いリスクで問題状態の解決が可能であることから、さらに有利である。このように、事業運営の減損が可能な限り少なくなる。
【0038】
さらに、移動方向において閉鎖移動の過程で、ドアリーフの前縁部が物体の位置をすでに通過したときに、停止ルーチンが、ドアリーフ移動の停止を開始してもよい。この場合、ドアリーフが物体に擦れることが確実な態様で回避され得る。したがって、人の負傷、および/または物に対する損傷が、より一層確実に回避され得る。
【0039】
この点について、移動方向において閉鎖移動の過程で、ドアリーフの前縁部が物体の位置をすでに通過しており、次いで物体がもはや検出されないとき、停止ルーチンが、所定の移動方向へのドアリーフの移動の継続を低減された速度で開始すれば、さらに有利である。したがって、ドアリーフが、先行技術でない限りは、停止状態で留まらず、または開放さえされ、念のため低減された速度ではあるが、その意図する移動を続けることから、事業運営への干渉が大幅に回避され得る。
【0040】
さらに、開放移動の過程で物体が検出されたとき、停止ルーチンが、ドアリーフ移動の停止を開始することも可能である。このことは、物体の直接的な損傷および/または負傷をもたらす恐れがある通常はさらに大きく分厚い端板の衝突を回避するのと同じくらい確実に、ドアリーフが物体に擦れることを回避する。
【0041】
この点について、物体がもはや検出されなくなると、停止ルーチンが、ドアリーフ移動の停止に続き、低減された速度でドアリーフの開放移動を開始すれば、さらに有利である。この場合も、これにより事業運営への干渉を特に少なく保つことが可能になる。
【0042】
さらに、ドア装置が避難路として機能し、適切な緊急開放信号が存在する場合には、停止ルーチンが、物体の検出にも関わらず、ドアリーフの開放移動を、低減された速度で、力のモーメントを大きくして開始することも可能である。その利点は、避難移動をしている関係する人にとって、この場合停止ルーチンがトラップにならず、いずれにしても通路を開放することである。このことは、ドア装置の前に多くの群衆が集まり、ドアリーフに圧力を加えることになった場合でも、関係する人にとって実質的に安全性を高める。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、請求項13の特徴を有するドア装置が提供される。ドア装置は、側部ガイドに案内され、駆動手段によって駆動されて、ドア開口部のドア閉鎖平面の開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動可能なドアリーフを備え、ドア装置は、少なくとも片側にある監視エリアであって、ドア開口部の前に位置付けられドア閉鎖平面に対して平行にずれている監視エリアを監視する安全デバイスであって、監視エリアにおいて物体が検出され、ゆえに物体とドアリーフとの衝突が内在的であるときに、停止ルーチンを実行する安全デバイスをさらに備える。安全デバイスは、物体の現在位置を検出するための手段と、ドアリーフの前縁部の現在位置を検出するための手段と、ドアリーフの移動方向を検出するための手段と、物体およびドアリーフの前縁部の現在位置、ならびにドアリーフの移動方向に応じて、停止ルーチンを開始するための制御手段とを備える。
【0044】
本発明によるドア装置は、特に良好な安全状態によって特徴付けられ、それにより、人もしくは物品ならびに/または家具および設備を危険に晒すことが、特に確実な態様で回避され得る。さらに、本発明によるドア装置の安全デバイスは、ドアリーフにおける事実上のリスクに応じた停止ルーチンの制御に起因して、ドア装置の特に実用性を重視した経済的な動作を可能にする。具体的には、回避可能な停止、または望ましくない開放移動による不必要な動作の中断が、確実に防止される。さらに、本発明によるドア装置は、比較的少ない構造上の手間を用いて提供され得、高い確実性によって特徴付けられる。
【0045】
本発明によるドア装置の有利なさらなる発展形態は、従属請求項14〜16の主題である。
【0046】
したがって、ドア装置の安全デバイスは、少なくとも1つの光格子システムを備えてもよい。これにより、実際に承認された非常に確実性の高い検出デバイスを使用することが可能になる。安全デバイスは、付加的に、所望の監視エリアの特に適切な領域監視を可能にする。特に好ましい実施形態では、ドア開口部の両側に、それぞれ1つの光格子システムが設けられてもよい。この場合、本発明により改善された安全性が、片側だけで達成され得るのではなく、両側で達成され得る。
【0047】
さらに、物体の現在位置を検出するための手段が、監視エリアの部分エリアにおいて異なる検出密度を備えることも可能である。したがって、対応する方法の特徴に関して上ですでに説明されたように、監視エリアの異なる部分エリアの具体的なリスク状態に対処することが可能である。こうして、監視の確実性が再び高められる。
【0048】
さらに、監視エリアは、ドア開口部の単に部分エリアであってもよい。したがって、類似した方法の特徴に関してすでに上でなされた説明に対応して、監視エリアを、関連するコアエリアに集中させることが可能であり、このことは、安全デバイスの構築を全体として容易にする。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、ドア装置で使用されることが意図される請求項17の特徴を有する安全デバイスが提供される。安全デバイスは、独立した要素として提供されてもよく、この目的のために提供されたドア装置に設置されてもよく、および/または既存のドア装置にレトロフィットされてもよい。したがって、安全デバイスは、独立して管理可能なユニットを構成する。本発明による安全デバイスは、上で説明された効果および利点を、請求項1に記載の方法および/または請求項13に記載のドア装置を用いて達成することを可能にする。
【0050】
本発明による安全デバイスは、従属請求項18によれば、付加的に、ドア装置の特徴に類似した特徴によってさらに発展されてもよく、対応する有利な効果が達成される。
【0051】
以下で、本発明が、線描の図面を用いて実施形態において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明による、上昇式ドア装置の概略的な側面図である。
図2】起こり得るリスク場面を概略的に表す図である。
図3】起こり得るリスク場面を概略的に表す図である。
図4】起こり得るリスク場面を概略的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1の図によれば、ドア装置1は、本実施形態では上昇式ドアとして構成される。ドア装置1は、側部ガイド3によって案内されるドアリーフ2を備え、部分断面図である図1の概略図では1つのガイド3のみが示される。示されていないガイドは、図示されるガイド3の設計に類似した設計のものであり、図示されるガイド3に面して配置され、それにより、ドアリーフ2が、側部ガイド間に収容され、そこで垂直方向に動くように案内される。
【0054】
開放位置では、ドアリーフ2は、図示されていないらせん状の区分にコイルとして、ドアまぐさの領域に収容される。閉鎖位置では、ドアリーフ2は、側部ガイド3間の自由に通れる通路空間、すなわちドア開口部のエリアを、地面まで完全に閉鎖する。ドアリーフ2は、ラメラアーマ(lamella armor)21を備え、ラメラアーマ21は、互いに対して角度を成すように互いに連結された、ドア開口部に対して横方向に延在するラメラから構築される。端板22が、下側端部としてドアリーフ2の最下部のラメラに続いている。端板は、慣習的に個々のラメラよりも大きくなるように設計され、ドア装置1が閉じられると、端板は、そこに形成された前縁部23で地面に止まる。
【0055】
ドアリーフ2は、駆動手段によって駆動され、駆動手段は、ここでは電気モータとして構成されており、それにより、ドアリーフ2は、開放位置と閉鎖位置との間で往復するように移動することができる。本実施形態では、駆動手段4は、まぐさ領域に設けられておりここでは詳細に図示されていない駆動軸を、所望の回転方向に駆動し、それによりドアリーフ2をその端部位置間で移動させる。
【0056】
ドア装置1はさらに、ドア開口部の前に位置付けられドア開口平面に対して平行にずれた監視エリアを監視する安全デバイス5を備え、それにより、物体6とドアリーフ2との衝突を回避し、またはそのような衝突の結果をいずれにしても制限する。
【0057】
安全デバイス5は、複数の検出手段を備え、複数の検出手段は互いに接続され、本実施形態では駆動手段4にも接続されている。
【0058】
したがって、安全デバイス5は、検出された物体6の現在位置を検出するための手段51を備え、手段51は、本事例では光格子システム52のデータを使用する。
【0059】
光格子システム52は、ドア閉鎖平面に対して監視エリアを画成する。図1から理解され得るように、本実施形態では、監視エリアは、ドア開口部の高さにおいてドア閉鎖平面の部分エリアに制限されている。
【0060】
光格子システム52は複数の光バリア52a〜52hを備え、それぞれの光バリアが送信器および受信器を備え、送信器および受信器は、ドア開口部の両側に位置付けられ、向かい合っている。図示される実施形態では、光バリア52a、52b、52c、および52dは、光バリア52d、52e、52f、52g、および52hよりも互いの距離が長い。したがって、検出密度は、ここでは人として図示される物体6の頭部領域では、物体6の上半身部分の領域でよりも低く、上半身部分の領域では、ほどんどの場合、関係する人の手も危険に陥ることがある。
【0061】
ドア閉鎖平面、すなわち、ドアリーフ2の移動平面からの光格子システム52の距離は、一方では、ドア装置1の全体的なサイズを制限して維持するために、他方では、好ましくは物体6の早期の検出を可能にするために、可能な限り小さくなるように寸法設定される。実際には、ドア装置1の動作現場における具体的な環境、ならびにドアリーフ2の寸法および移動速度などが、実質的に影響を及ぼす。典型的には、ドアリーフ2の移動平面からの光格子システム52の距離は、10cm〜50cmの範囲にある。しかし、特定の応用事例では、他の距離が選択されてもよい。
【0062】
さらに、安全デバイス5は、ドアリーフ2の前縁部23の現在位置を検出するための手段53を備え、その手段53は、本実施形態では、駆動手段4からそのデータを取得する。この目的のために、完全に閉じたドアでのゼロ位置と比較された駆動手段4の回転角度データが、前縁部23の位置を検出するために参照される。
【0063】
さらに、安全デバイス5は、ドアリーフ2の移動方向を検出するための手段54を備える。この手段54も、ドアリーフの移動方向をその回転方向によって検出するために、駆動手段4のデータを使用する。
【0064】
安全デバイス5は、さらに、手段51、53、および54のデータを取り、評価する制御手段55を備える。物体6が検出された場合、制御手段は、物体6の現在位置、ドアリーフ2の前縁部23の現在位置、およびドアリーフ2の移動方向に応じて、適切な停止ルーチンを開始する。その具体的な構成は、言及した3つのパラメータによって決まり、したがって、ドアリーフ2の前のそれぞれのリスク状態に直接対処する。制御手段55は、この目的のために、適切な態様で駆動手段4を制御する。
【0065】
図2図4は、起こり得るリスク状態の3つの例を概略的に示す。
【0066】
図2は、ここでは詳細には示されていないドアリーフ2が、閉鎖移動している状態を示しており、このことが矢印P1によって示される。ドアリーフ2は、物体6のちょうど上に位置付けられている。同時に、物体6は、ドア閉鎖平面に向かって移動し、このことが、さらなる矢印P2によって示される。このような状態では、ドアリーフ2の前縁部23によって、ここでは人として図示される物体6の重大な負傷が引き起こされ得る。この場合、制御手段55は、ドアリーフ2の即時停止、および、原則として、ドアリーフ2の移動方向の早急な反転も開始することになる。
【0067】
図3は、ドアリーフ2がその開放位置に移動している間に、物体6が検出された状態を示す。このことが、矢印P3によって示される。したがって、本事例では人として識別される物体6が、頭部を通って摺動するラメラアーマ21によって擦り傷を負うリスクがある。さらに、ドアリーフ2の、原則としていくらか分厚い端板22が、物体6の頭部の端部にぶつかるという事実によって、さらに重大な負傷が引き起こされる恐れがある。この場合、ドアリーフ2の移動は、制御手段55によって即時に停止される。物体6が監視エリアから離れたことを手段51が検出するときのみ、低減された速度で開放移動を続けることが許可される。
【0068】
図4は、避難路として機能するドア装置1の前のパニック状態を示し、ドアリーフ2は閉じており、複数の物体6、ここでは複数の人が、ドアリーフ2を押している。ドア装置1のための緊急開放信号が存在する場合には、それでもなお、物体6をさらに危険に晒すことを回避するために、避難路を開放することが必要である。次いで、制御手段55は、この緊急開放信号に反応して、ドアリーフ2の開放移動を、低減された速度で、力のモーメントを大きくして、駆動手段4を介して開始する。懸念される擦り傷などの負傷は、概して、人が避難する原因である例えば火事などの事実上のリスク状態ほど危機的ではないので、人がドアリーフ2を押していても、開放移動が開始される。
【0069】
これらの例示的な事例からまとめられ得るように、安全デバイス5の制御手段55は、物体6の現在位置、ドアリーフ2の前縁部23の現在位置、およびドアリーフ2の移動方向に関して判定されたパラメータに基づいて、リスク状態に対して充分な、ドアリーフ移動に関する反応を開始するように適応されるように構成される。そのような反応パターンは、制御手段55に予めプログラムされており、次いで、パラメータに応じて自動的に選択され、駆動手段4においてトリガされてもよい。
【0070】
以下に、制御手段55の、ユーザ固有にプログラム可能な反応パターンのためのスキームが、例として示される。
I.ドアリーフ2の閉鎖プロセス中の事象の過程
− ドア装置1が開いている
− 閉鎖命令が与えられる
− すべての安全システムが解除される、そうでない場合は、閉鎖が行われない
− 閉鎖プロセスが始まる
− 光格子システム52の少なくとも1つの光ビームの途絶
+ ドアリーフ2は、監視エリアの頭部保護エリアより上(光バリア52a〜52d)か? そうであればステップAを続ける
+ ドアリーフ2は、監視エリアの頭部保護エリア内(光バリア52d〜52h)か? そうであればステップBを続ける
+ ドアリーフ2は、監視エリアの、指の打撲保護エリア内か? そうであればステップCを続ける
+ ドアリーフ2は、監視エリアより下か? そうであればステップDを続ける。
ステップA:ドアリーフ2の停止および早急な反転プロセス、閉鎖プロセスの自動再開
ステップB:ドアリーフ2の停止、休止時間、および減速した反転プロセス、新規の閉鎖命令を待機
ステップC:ドアリーフ2の停止、休止時間、および上の光格子も途絶されていない場合、減速した反転プロセス
ステップD:ドアリーフ2の停止、および光格子システム52の解放後のドアリーフ2の減速した閉鎖プロセス。
II.ドアリーフ2の開放中の事象の過程
− ドア装置1が閉じている
− 開放命令が与えられる
− 光格子システム52が途絶されていない、そうでない場合は、開放は行われない
− 光格子システム52の光ビームの途絶
− ドアリーフ2の開放移動の停止
− 光ビームの解放
− 低減された速度でのドアリーフ2の開放移動の継続。
III.避難路でのドア装置1におけるパニック防止
開始状態a:
− ドア装置1が閉じている
− 光格子システム52が反応しない(ドアリーフ2の近くで物体が検出されない)
− 任意のコントローラからの開放命令
− 所定の最高速度でドア装置が開く。
開始状態b:
− ドア装置1が閉じている
− 光格子システム52が反応する(すなわち、ドアリーフの近くに人、おそらく群衆がいる)
− 低減された速度での、力のモーメントを大きくしたドアリーフ2の即時開放。
【0071】
駆動デバイス55の反応パターンの示されたスキームは、ほとんどの応用分野に対して例示的なものである。しかし、特定の状態では、物体7および/またはドア装置1の構成要素を保護するために、逸脱が必要なことがあり、このことは、制御手段55に個々にプログラムされなければならない。
【0072】
説明された実施形態に加えて、本発明は、さらなる構成手法を可能にする。
【0073】
言うまでもなく、説明されたドア装置は、ローラシャッタおよび/または上昇式ドアに制限されない。代わりに、本発明は、何らかの他の種類のドア装置、および、ドアリーフが対応した態様で移動するドア閉鎖平面の何らかの他の向きにおいても、容易に使用され得る。さらに、ドア装置は、小型のドア装置などであってもよい。しかし、好ましくは、ドア装置は、迅速に移動する産業用ドア、特に産業用上昇式ドアとして構成される。
【0074】
ドアリーフは、ラメラ、区分から形成されてもよく、または1片のドアリーフとして形成されてもよい。したがって、ドアリーフ2が、開放位置ではドアのまぐさにコイルとして利用可能であることは必要ではない。代わりに、ドアリーフ2は平坦に延在するように案内されてもよい。
【0075】
物体の現在位置は、光学検出器手段以外の何らかの他の種類によって検出されてもよい。例えば、超音波センサ、レーダセンサなどを使用することも可能である。同様に、検出器ビームシステムは、例えばDE102008017244A1から知られるに至ったように、物体の検出のためにも使用され得る。
【0076】
さらに、物体の現在位置を検出するための手段は、簡略化された実施形態においては、監視エリア全体にわたって均一に分配された検出密度を備えてもよい。
【0077】
説明されたように、監視エリアは、ドア開口部の部分エリアであってもよい。しかし、代替的な実施形態では、ドア開口部の全エリアが監視されてもよい。
【0078】
ドアリーフ2の前縁部23の位置が、駆動手段4における回転角度に基づいて検出される場合、開放状態のドアリーフ2の端部位置が、ここでのゼロ点として使用されてもよい。あるいは、ドアリーフ2の前縁部23の位置の検出は、駆動手段4とは無関係の別のセンサによって実行されてもよい。したがって、例えば、端板22内のチップに反応し、こうしてその位置を判定する特定の検出ユニットが、ガイド3の領域に配置されてもよい。
【0079】
同様に、ドアリーフ2の移動方向は、特にガイド3の領域における適切なセンサ要素によって検出されてもよく、その結果、この場合、駆動手段4の回転方向データへのアクセスが不要である。
【0080】
検出されたリスク状態において駆動手段4をトリガすることは、制御手段55の直接アクセスによるのではなく、例えばドア装置のシステム制御ユニットを介して間接的に実行されてもよい。他の適切なトリガ可能性が用いられてもよい。
図1
図2
図3
図4