【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項による方法によって達成される。主題の有利な実施形態およびさらなる発展形態は、従属請求項に記載されており、さらに以下の説明および図面によって明らかになるであろう。
【0006】
少なくとも一実施形態によると、半導体ボディを製造する方法を提供する。本方法は、特に、パッシベーション層が設けられた少なくとも1つの凹部を備えている半導体ボディを製造する方法とすることができる。
【0007】
さらなる一実施形態によると、半導体ボディを提供する。本半導体ボディは、1層または複数層の半導体層を備えていることができ、これらの半導体層は、好ましくは半導体積層体を形成しており、エピタキシャル成長法によって成長基板に形成することができる。本半導体ボディは、例えば、光電子的に活性な(optoelectronically active)半導体チップ(例えば発光半導体チップまたは光吸収半導体チップ)を製造するために設けられる半導体積層体とすることができる。この目的のため、本半導体ボディは、互いに異なる導電型を有するさらなる半導体層の間に配置されている少なくとも1つの光電子的に活性な領域(具体的には発光領域または光検出領域)を有する半導体積層体を備えていることができる。これに代えて、本半導体ボディは、光電子的に活性ではない半導体ボディとすることもできる。例えば、電子的半導体チップ(例えばトランジスタまたは他の電子デバイスなど)を製造する目的に、本半導体ボディを設けることができる。本半導体ボディは、キャリア要素の上に設けることができ、キャリア要素は、成長基板、または成長基板以外のキャリア基板とすることができる。
【0008】
本半導体ボディは、例えば、化合物半導体材料系(特に、III−V族化合物半導体系)をベースとすることができ、ヒ化物化合物半導体材料、リン化物化合物半導体材料、および/または窒化物化合物半導体材料を含む半導体層を備えていることができる。これに代えて、他の半導体材料(例えば、II−VI族化合物半導体材料、シリコン系半導体材料、またはゲルマニウム系半導体材料)も使用可能である。
【0009】
さらなる一実施形態によると、半導体ボディに第1のマスク層を形成する。半導体ボディは、特に、1層または複数層の半導体層の形に製造する点において、成長方向を有し、したがって半導体ボディは成長方向において主面を終端とする。第1のマスク層は、特に、成長方向において半導体ボディの終端である主面(成長方向に垂直とすることができる)に配置することができる。
【0010】
第1のマスク層は、特に、レジストマスク(すなわち特にフォトレジスト)とすることができる。第1のマスク層を、少なくとも1つの第1のマスク開口部を有するようにパターニングされた状態で形成する。少なくとも1つの第1のマスク開口部は、半導体ボディに少なくとも1つの凹部が形成される領域に位置する。第1のマスク層は、特に、半導体ボディに1つまたは複数の凹部が形成される(1つまたは複数の)領域に、1つまたは複数の第1のマスク開口部を備えていることができる。第1のマスク層に少なくとも1つの第1のマスク開口部を形成する目的で、例えば、半導体ボディの主面の大きな面積にわたり第1のマスク層を形成することができ、次いで、適切な露光工程を使用してパターニングして少なくとも1つの第1のマスク開口部を形成する。
【0011】
さらなる一実施形態によると、半導体ボディに第2のマスク層を形成する。第2のマスク層は、特に、第1のマスク層と半導体ボディとの間に形成される。言い換えれば、最初に半導体ボディに第2のマスク層を形成し、次いでその第2のマスク層に第1のマスク層を形成する。第2のマスク層は、特に、パターニングせずに大きな面積にわたり形成する(すなわち特に、第1のマスク層の少なくとも1つの第1のマスク開口部の領域に、開口部が存在しない)。したがって、第2のマスク層を形成する目的には、マスクを使用せずに、パターニングを行わない大面積法(large-area method)を使用することができる。したがって、パターニングされずに大きな面積にわたり形成されている第2のマスク層に、第1のマスク層を形成する。第2のマスク層は、特に、ハードマスクとすることができる。第2のマスク層は、例えば、酸化物または酸窒化物(好ましくは二酸化珪素(SiO
2)またはシリコン酸窒化物(SiON))を含む、またはこれらの材料から構成することができる。
【0012】
さらなる一実施形態によると、第1のマスク層における少なくとも1つの第1のマスク開口部の領域において、第2のマスク層における少なくとも1つの第2のマスク開口部と、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部とを形成する。言い換えれば、第1のマスク層が第1のマスク開口部を備えているすべての領域において、第2のマスク層に第2のマスク開口部を形成し、さらに半導体ボディに凹部を形成する。したがって第1のマスク層は、特に、第2のマスク層をパターニングする目的に使用され、このパターニングは、個別の手順において行われるのではなく、半導体ボディに少なくとも1つの凹部を形成する過程において行われる。
【0013】
形成される少なくとも1つの凹部は、第1のマスク層が形成されている主面から、好ましくは半導体ボディの成長方向に平行な方向に、半導体ボディの中に突き出す。半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部は、特に、止まり穴タイプの凹部(すなわち半導体ボディを完全に貫通するのではなく半導体ボディの中に突き出している凹部)を形成することができる。したがって凹部は、半導体ボディの表面によって形成される側面および底面を備えていることができる。この場合に側面は、底面を囲んでおり、半導体ボディの複数の異なる結晶面によって形成することができる。特に、少なくとも1つの第2のマスク開口部と、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部は、第1のマスク開口部から見たとき凹部が第2のマスク開口部と一緒にアンダーカット部(undercut)を形成するように、形成される。言い換えれば第2のマスク層は、第2のマスク開口部の領域において、凹部の側面よりも突き出しているオーバーハング部(overhang)を形成している。したがって第1のマスク層から凹部を見たとき、凹部の側面の少なくとも一部は、第2のマスク層の陰になって見えない。
【0014】
さらなる一実施形態によると、少なくとも1つの第2のマスク開口部および少なくとも1つの凹部を、ジョイントパターニング法(joint patterning method)を使用して(特に、ジョイントエッチング法(joint etching method)を使用して)形成する。少なくとも1つの第2のマスク開口部および少なくとも1つの凹部を形成するジョイントエッチング法は、特に、湿式化学エッチング法とすることができる。これに代えて、第1のエッチング法を使用して少なくとも1つの第2のマスク開口部を形成し、少なくとも1種類の第2のエッチング法を使用して少なくとも1つの凹部を形成することも可能である。したがって、少なくとも1つの第2のマスク開口部および少なくとも1つの凹部を、2段階エッチング法(すなわち第1のエッチング法と第2のエッチング法が順々に実行される)を使用して形成することができる。少なくとも1つの第2のマスク開口部を形成するための乾式化学エッチング法は、例えば、フッ素含有ガス(特に、フッ素プラズマ)を使用するエッチング法とすることができる。第2のエッチング法は、湿式化学エッチング法とすることができる。特に、第1のエッチング法および第2のエッチング法は、それぞれ第2のマスク層の材料および半導体ボディの材料(特に、アンダーカット部の形成にも関して)に適合させることができる。この点において、半導体ボディの半導体材料の一部を、第1のエッチング法によって早い段階で除去し、第2のエッチング法を使用して半導体ボディにおける凹部の最終的な形状(特にアンダーカット部)を形成することも可能である。
【0015】
さらなる一実施形態によると、第2のマスク層と、少なくとも1つの凹部の側面および底面とに、パッシベーション層を形成する。すなわち特に、パッシベーション層が、第2のマスク層と、少なくとも1つの凹部の側面および底面とに、パターニングされずに大きな面積にわたり形成される。
【0016】
さらなる一実施形態によると、パッシベーション層を形成する前、かつ少なくとも1つの第2のマスク開口部および半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部を形成した後に、第1のマスク層を、例えば適切なリフトオフ法によって除去する。したがってパッシベーション層を第2のマスク層に例えば直接形成することができる。パッシベーション層を形成した後、パッシベーション層を形成する前には露出していた、第2のマスク層の表面と、第2のマスク開口部の領域における半導体ボディの表面と、半導体ボディにおける凹部の表面、のすべてを、パッシベーション層が覆っていることが好ましい。特に、パッシベーション層は、第2のマスク層の平面視および凹部の平面視で見たとき、第2のマスク層によって陰になっている半導体ボディにおける凹部の領域も覆う。したがってパッシベーション層は、連続的な層を形成することが好ましく、この層は、半導体ボディとは反対側の第2のマスク層の表面から、少なくとも1つの第2のマスク開口部を経て、アンダーカット部と、少なくとも1つの凹部の表面に延在する。このステップは、無方向性堆積法(non-directional deposition method)、例えば化学気相成長法(例:プラズマ化学気相成長法(PECVD)や原子層成長法(ALD)など)を使用することによって行うことができる。パッシベーション層を形成するときには、陰になっている領域もパッシベーション層によって被覆することができるように、被覆される表面のコンフォーマルコーティングが可能な方法が特に有利である。パッシベーション層は、特に、電気絶縁性材料を含むことができる。パッシベーション層は、例えば、酸化物または酸窒化物(例:二酸化珪素(SiO
2)やシリコン酸窒化物(SiON))を含むことができる。特に、第2のマスク層とパッシベーション層とが同じ材料を含むことも可能である。
【0017】
さらなる一実施形態によると、少なくとも1つの凹部の底面から、パッシベーション層を除去する。すなわち特に、パッシベーション層を除去することによって、少なくとも1つの凹部の底面の少なくとも一部が露出する。さらに、半導体ボディとは反対側の第2のマスク層の面からもパッシベーション層を除去することができる。特に、少なくとも1つの凹部の側面の少なくとも一部にパッシベーション層が残るように、少なくとも1つの凹部の底面からパッシベーション層を除去することができる。言い換えれば、したがって少なくとも1つの凹部の底面が露出し、その一方で側面は、パッシベーション層の少なくとも一部によって覆われたままである。パッシベーション層は、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部の側面のみに残っていることが特に好ましい。
【0018】
パッシベーション層は、例えば方向性エッチバック法(directional etch back method)によって除去することができ、したがって、少なくとも1つの凹部の底面からと、オプションとして、半導体ボディとは反対側の第2のマスク層の面から、意図的にパッシベーション層を除去することができる。方向性エッチバック法は、例えばフッ素含有ガス(例:フッ素プラズマ)を使用する例えば乾式化学エッチング法とすることができる。第2のマスク層と、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部とによってアンダーカット部が形成され、したがって少なくとも1つの凹部の側面が第2のマスク層によって陰になるため、方向性エッチバック法の場合、少なくとも1つの第2のマスク開口部を通じて、凹部の底面のみにアクセスでき、凹部の側面にはアクセスできないようにすることが可能である。このように、パッシベーション層を除去する目的に、大きな面積にわたる方向性エッチバック法(large-area directional etch back method)を使用することができ、個別のマスクは必要ない。代わりに第2のマスク層が、パッシベーション層を除去するのに必要なマスクを形成する。
【0019】
したがって、本明細書に記載されている方法は、半導体ボディに少なくとも1つの凹部を画成するステップと、第2のマスク層に第2のマスク開口部を形成するステップの組合せを含む自己調整プロセス順序(self-adjusting process sequence)を備えている。これによって単純化されたプロセス制御が可能となり、したがって公知の方法と比較してコストが低下し、必要な空間も小さくなる。これに加えて、パッシベーション層を除去する手順において、少なくとも1つの凹部の側面が十分に陰になるように第2のマスク層が少なくとも1つの凹部の側面の上方に十分に大きいオーバーハング部を形成している限りは、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部の側面の傾斜に関する要件が生じない。
【0020】
さらなる一実施形態によると、第2のマスク層は、パッシベーション層を選択的に除去した後に半導体ボディに残る。第2のマスク層は、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部の側面におけるパッシベーション層と一緒に、半導体ボディ上に連続的な絶縁層を形成することができる。この絶縁層は、少なくとも1つの凹部の底面のみを実質的に覆わないように構成することができる。
【0021】
さらなる一実施形態によると、第1のマスク層と第2のマスク層との間にエッチング停止層を形成する。したがってエッチング停止層は、少なくとも1つの第1のマスク開口部を有する第1のマスク層を形成する前に、第2のマスク層にカバー層として形成することができる。
【0022】
さらなる一実施形態によると、上述した、第2のマスク層における少なくとも1つの第2のマスク開口部を形成する過程において、第1のマスク層における少なくとも1つの第1のマスク開口部の領域に、エッチング停止層における開口部をさらに形成する。エッチング停止層の材料によっては、エッチング停止層における開口部を、第2のマスク層における少なくとも1つの第2のマスク開口部の形成と同時に(すなわち同じ方法によって)形成することができる。これに代えて、エッチング停止層における少なくとも1つの開口部を形成する目的に、個別の方法(特に、エッチング法)を使用することができる。エッチング停止層は、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、または酸化アルミニウム(Al
2O
3)から構成することができる。この場合、エッチング停止層の開口部を選択的に形成するためには、リン酸(H
3PO
4)が特に適している。したがって、少なくとも1つの第2のマスク開口部と、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部とを形成した後、エッチング停止層が、半導体ボディとは反対側の第2のマスク層の面のみに残ることが好ましい。
【0023】
第2のマスク層における少なくとも1つの第2のマスク開口部を形成する前にエッチング停止層を形成する代替方法として、少なくとも1つの第2のマスク開口部および少なくとも1つの凹部を形成した後、エッチング停止層を大きな面積にわたり形成することもできる。特に、第1のマスク層を除去した後に、エッチング停止層を形成することができる。言い換えれば、パッシベーション層を形成する前に、エッチング停止層を、パッシベーション層に関して前述した方法で形成することができる。すなわち具体的には、この場合にエッチング停止層は、形成した後、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部の側面および底面を覆う。
【0024】
エッチング停止層を形成するタイミングには関係なく、パッシベーション層を形成した後にエッチング停止層がパッシベーション層によって完全に覆われるように、エッチング停止層にパッシベーション層を形成することができる。すなわち言い換えれば、エッチング停止層を大きな面積にわたり形成する場合、パッシベーション層も同様に大きな面積にわたりエッチング停止層に形成する。
【0025】
特に、最低でも、少なくとも1つの凹部の底面からパッシベーション層を除去するステップは、前述した状態にエッチング停止層が存在する状態においても行うことができる。エッチング停止層が、特に、少なくとも1つの凹部の底面も覆う場合、半導体ボディにおける凹部の底面の領域におけるパッシベーション層を選択的に除去した後に、パッシベーション層と同様に、エッチング停止層を方向性エッチング法によって選択的に除去することができる。
【0026】
特に前述した方向性エッチバック法を使用するときには、パッシベーション層を選択的に除去している間、エッチング停止層の使用によって、第1のマスク層または第2のマスク層と、半導体ボディにおける凹部の底面とを保護することができる。例えば酸化アルミニウムは、エッチング停止層の材料として使用される場合、フッ素含有ガスに抗するように極めて選択的に作用し、したがってフッ素含有ガスのような物質によってパッシベーション層を除去するときに、エッチング停止層の下に位置する材料が保護される。エッチング停止層の使用によって、特に、パッシベーション層を除去する方法の持続時間に関する厳しい要件なしに、プロセス制御を継続させることができる。したがって、長時間にわたりオーバーエッチングを行うことができ、このとき第2のマスク層が損傷する、あるいはエッチングにより除去されるという問題は生じない。パッシベーション層の直前にエッチング停止層を堆積させる場合、少なくとも1つの凹部の底面からと、半導体ボディとは反対側の第2のマスク層の面から、エッチング停止層およびパッシベーション層が除去された後、少なくとも1つの凹部の側面の少なくとも一部に、エッチング停止層がパッシベーション層と一緒に残る。この場合、エッチング停止層は、機能的には、半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部の側面の不動態化に貢献する。
【0027】
さらなる一実施形態によると、少なくとも1つの貫通接続部を有する半導体チップを製造する方法において、ここまでの実施形態の1つまたは複数に従って、パッシベーション層が設けられた少なくとも1つの凹部を有する半導体ボディを作製する。貫通接続部を完成させる目的で、側面にパッシベーション層が設けられた凹部を、導電性材料(特に、金属または合金)によって満たすことができる。半導体ボディにおける少なくとも1つの凹部は、好ましくは凹部の底面の領域にのみパッシベーション層が存在しないため、凹部を満たす導電性材料は、底面においてのみ、半導体ボディの対応する半導体層(底面を形成している)に電気的に良好に接続されている。これにより、半導体ボディの反対側からこの半導体層に電気的に接触することが可能になる。半導体ボディは、第2のマスク層によって形成される面によって、例えば接合層を使用してキャリアの上に取り付けることができる。したがって、少なくとも1つの貫通接続部が接触している半導体層に、キャリアの側の半導体ボディの面から接触を形成することができる。
【0028】
さらなる利点、有利な実施形態、およびさらなる発展形態は、図面に関連して以下に説明する例示的な実施形態によって明らかになるであろう。