(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記3〜12の拘束指数を有する第1のゼオライトが、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−50、ZSM−57、ZSM−58、MCM−22型材料およびこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれたものであり、前記MCM−22型材料が、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ERB−1、EMM−10、EMM−10−P、EMM−12、EMM−13、UZM−8、UZM−8HS、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30およびこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれたものである、請求項1に記載の触媒組成物。
前記10族の少なくとも1種の第1の金属が、ニッケル、白金、パラジウムおよびこれらの混合物から成る群から選ばれたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
前記11〜15族の少なくとも1種の第2の金属が、銅、亜鉛、銀、ガリウム、インジウム、スズ、ビスマスおよびこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
前記供給原料がベンゼンまたはトルエンまたはこれらの両方をさらに含んでおり、前記の、より軽質の芳香族製品が、キシレン、ベンゼン、トルエンまたはこれらの2種以上の混合物を含んでいる、請求項8に記載のプロセス。
請求項8に記載のプロセスであって、前記適した転化条件が、少なくとも340℃〜515℃の温度、380kPa(55psia)〜4240kPa(615psia)の圧力および前記供給原料の重量基準で1〜100時間−1の範囲の重量空間速度(WHSV)を含み、請求項8に記載のプロセスが、前記適した転化条件の下で前記供給原料を接触させる工程のためのリアクターをさらに含んでおり、前記リアクターが前記触媒組成物の少なくとも1個の単一固定触媒床あるいは前記触媒組成物の少なくとも1個の流動床のいずれかを含んでいる、請求項8に記載のプロセス。
【背景技術】
【0003】
ベンゼンおよびキシレンの源は接触改質油であり、接触改質油は石油ナフサと水素との混合物を、適度に酸性の担体、たとえばハロゲン処理されたアルミナに担持された強力な水素化/脱水素化触媒、たとえば白金と接触させることによって調製される。通常、C
6〜C
8留分が改質油から分離され、芳香族または脂肪族選択性の溶媒で抽出されて、脂肪族含有量が比較的少ない芳香族化合物の混合物が製造される。芳香族化合物のこの混合物は通常BTXを、エチルベンゼンとともに含んでいる。
【0004】
石油精製業者はまた、ますます重要になっているプロセスとして、キシレンを製造するためにベンゼンまたはトルエンと価値の低いC
9+芳香族とをトランスアルキル化することによって、ベンゼンおよびキシレンを製造することに重点的に取り組んでいる。化学プラントは理想的には、トルエン/ベンゼンの並行供給を最小量にし潜在的にはそれを排除する一方で、できるだけ多くの重質C
9+芳香族を処理したいと考えている。トランスアルキル化活性および脱アルキル化活性の両方が、成功する触媒系にとって重要である。トランスアルキル化は、メチル基をトランスアルキル化してキシレンを形成する能力である。脱アルキル化活性は、C
9+芳香族に存在するエチルおよびプロピル基を脱アルキル化して、より低いメチル基/環の化学種の形成を可能にし、このより低いメチル基/環の化学種がより高いメチル基/環の化学種とトランスアルキル化してキシレンを形成することができる能力である。金属の機能としては、芳香族飽和の完全性を維持しながら、脱アルキル化の間に形成されたオレフィンを飽和することが要求される。化学プラントは供給原料中のC
9+量を増加させる方向に動いているので、許容可能な活性および触媒寿命は難しい課題になっている。
【0005】
積み重ねられた触媒床装置の使用によって脱アルキル化活性およびトランスアルキル化活性を分離することが、性能を劇的に改善することが示されている。1つの積み重ねられた触媒床装置が米国特許第5,942,651号に開示され、この装置の操作はトランスアルキル化反応条件の下で、C
9+芳香族炭化水素およびトルエンを含んでいる供給原料と、ZSM−12のような0.5〜3の範囲の拘束指数を有するゼオライトおよび水素化成分を含んでいる第1の触媒組成物と、を接触させる工程を含む。第1の接触工程から得られた流出物は次に、ZSM−5のような3〜12の範囲の拘束指数を有するゼオライトを含んでおり、第1の触媒組成物とは別個の床または別個のリアクター内にあってもよい第2の触媒組成物と接触させられて、ベンゼンおよびキシレンを含んでいるトランスアルキル化反応生成物が製造される。供給原料中のエチルベンゼンおよび/またはトランスアルキル化プロセスの間に形成されたエチルベンゼンは、エチルベンゼンの脱アルキル化によって部分的に破壊されてベンゼンおよびエチレンになる。
【0006】
別の積み重ねられた触媒床装置が米国特許第5,905,051号に開示されており、この装置は、炭化水素流れ、たとえばC
9+芳香族化合物を、その流れと第1の触媒組成物および第2の触媒組成物を含んでいる触媒系とを接触させることによって、C
6〜C
8芳香族炭化水素、たとえばキシレンに転化するプロセス用のものであり、当該これらの触媒組成物は、分離されたステージに存在して物理的に混合されたりブレンドされていないものであり、当該第1の触媒組成物は金属で促進された、アルミナまたはシリカで結合されたゼオライトベータであり、当該第2の触媒組成物はZSM−5であって、その中にケイ素、リン、イオウおよびこれらの組み合わせから成る群から選ばれた活性促進剤を取り込んでいるZSM−5である。米国特許第5,905,051号によれば、分離された触媒ステージの使用は、C
9+芳香族化合物およびナフタレンのキシレンへの転化率を向上させ、製品中の望ましくないエチルベンゼン量を減少させる。’051製品中のエチルベンゼンは、得られた製品のC
8芳香族留分の重量基準で約3〜7重量%のエチルベンゼンである。
【0007】
米国特許第8,183,424号、第8,481,443号および第9,006,125号は、C
6および/またはC
7芳香族炭化水素および水素とともに、芳香族炭化水素を脱アルキル化しかつ生成されたC
2+オレフィンを飽和して第1の流出物を製造するのに有効な条件の下で、(i)3〜12の範囲の拘束指数を有する第1のモレキュラーシーブおよび(ii)元素のIUPAC周期表の6〜12族の少なくとも第1および第2の異なる金属またはこれらの化合物を含んでいる第1の触媒と、接触させられたC
9+芳香族炭化水素供給原料のトランスアルキル化によってキシレンを製造するプロセスにおける積み重ねられた触媒床装置の改善された性能を開示している。第1の流出物の少なくとも一部は次に、C
9+芳香族炭化水素と当該C
6/C
7芳香族炭化水素とをトランスアルキル化するのに有効な条件の下で、3未満の拘束指数を有する第2のモレキュラーシーブを含んでいる第2の触媒と接触させられて、キシレンを含んでいる第2の流出物が生成される。
【0008】
MWW骨格構造を有する少なくとも1つのゼオライトを使用する積み重ねられた触媒床は、米国特許第8,163,966号にキシレンを含有する製品を製造するプロセスの中で開示され、そのプロセスはC
9+芳香族供給原料、水素およびC
6〜C
7芳香族供給原料と、MCM−22およびMCM−49から成る群から選ばれた第1のモレキュラーシーブおよび0.01〜5重量%の6〜10族の第1の金属元素を含んでいる第1の触媒とを、第1の条件の下で接触させて第1の製品を生成する工程、次に当該第1の製品の少なくとも一部とZSM−12およびモルデナイトから成る群から選ばれた第2のモレキュラーシーブおよび0〜5重量%の6〜10族の第2の金属元素を含んでいる第2の触媒とを第2の条件の下で接触させてキシレンを含んでいる第2の製品を生成する工程を含む。
【0009】
他のものは、単一床装置用の触媒およびプロセスを開示している。米国特許第6,867,340号は、担体および担体上に担持された金属成分から成る、様々な炭化水素の不均化/トランスアルキル化用の触媒を開示している。担体は、10〜80重量%の、10〜200の範囲のシリカ/アルミナのモル比を有するモルデナイトおよび/またはベータ型ゼオライト;0〜70重量%の、30〜500の範囲のシリカ/アルミナのモル比を有するZSM−5型ゼオライト;および5〜90重量%の、ガンマアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ベントナイト、カオリン、クリノプチロライトおよびモンモリロナイトから成る群から選ばれた少なくとも1種の無機バインダーを含んでいる。金属成分は、白金およびスズあるいは鉛のいずれかを含んでいる。この触媒は、ベンゼン、トルエンおよびC
9以上の芳香族化合物から不均化/トランスアルキル化によって芳香族の損失を大きく低減しながら混合キシレンが著しく高い収率で製造されることを可能にする。加えて、この触媒は、失活することなく長い期間その触媒活性を維持することができる。
【0010】
米国特許第7,626,064号は、C
7、C
9およびC
10芳香族をトランスアルキル化してキシレンの高い収率が得られる触媒およびプロセスを開示している。この触媒は、約60nm以下の、12員環通路の方向と平行な平均微結晶長さおよび少なくとも約0.10cc/グラムのメソ細孔容積を備えたMOR骨格構造型を有する微結晶の球状凝集体を含んでいる新規なUZM−14触媒物質を含んでいる。UZM−14触媒は、トランスアルキル化プロセスにおいて特に活性でありかつ安定している。
【0011】
米国特許第7,553,791号は、触媒組成物、該触媒組成物を製造するプロセスおよびC
9+芳香族炭化水素を含有する供給原料を転化して、より軽質の芳香族製品および得られる製品のC
8芳香族留分の重量基準で約0.5重量%未満のエチルベンゼンを含有する該得られる製品を製造するプロセスを開示している。C
9+芳香族炭化水素は、トランスアルキル化反応条件の下で転化されてキシレンを含有する反応生成物になる。触媒組成物は、(i)少なくとも300のアルファ値を有する酸性成分および(ii)少なくとも300の水素化活性を有する水素化成分を含んでいる。この組成物は、少なくとも1種の水素化成分を少なくとも300のアルファ値を有する酸性成分中に組み入れることによって製造されることができる。
【0012】
トランスアルキル化技術におけるこれらの進展をもってしても、性能を改善する必要性が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本明細書および添付された特許請求の範囲のために、以下の用語が定義される。
【0020】
本明細書で使用される用語「C
n芳香族炭化水素」とは、1個の分子当たりn個の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味し、nは正の整数である。用語「C
n+芳香族炭化水素」とは、1個の分子当たり少なくともn個の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味する。用語「C
n−芳族炭化水素」とは、1個の分子当たりn個以下の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味する。
【0021】
本明細書で使用される用語「芳香族」とは、置換または非置換の、単核または多核の環状化合物を意味する。ベンゼン系列の化合物とともに複素環であるまたは複素環を含有する芳香族特性の化合物は、芳香族化合物の例である。しかし、これらの置換芳香族化合物は、芳香族核に結合された少なくとも1個の水素を含んでいなければならない。芳香族環は、アルキル基、アリール基、アルカリール基、ヒドロキシ基、アミン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シクロアルキル基、ハライド基およびこれらの基の混合物ならびに所望の反応を妨げない他の基で置換されていてもよい。
【0022】
用語「炭化水素」とは、炭素に結合された水素を含んでいる化合物の部類を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物および(iii)炭化水素化合物の混合物、たとえば異なる数値のnを有する炭化水素化合物の混合物を包含する。
【0023】
本明細書で使用される用語「より軽質の芳香族製品」とは、製品中の芳香族分子が供給原料中の芳香族分子の炭素原子よりも少ない炭素原子を有することを意味すると定義される。たとえば、トルエンおよび/またはベンゼンとのC
9+トランスアルキル化で得られる製品のうちの1種であるパラキシレンは8個の炭素原子を有し、これはC
9+芳香族分子中の9個以上の炭素原子よりも少ない。
【0024】
本明細書で使用される用語「IUPAC周期表」とは、2013年5月1日付の国際純粋応用化学連合の元素の周期表を意味し、これは「メルクインデックス」、第12版、Merch & Co.社、1996年刊の内表紙に記載されているとおりである。
【0025】
本明細書で使用される用語「メソモルデナイト」とは、TEAまたはMTEAから合成されたモルデナイトゼオライトを意味し、「メソモルデナイト」は30m
2/gを超えるメソ細孔表面積を有し、かつ当該モルデナイトは一次微結晶から構成された凝集体を含んでおり、当該一次微結晶は80nm未満のTEMによって測定された平均一次結晶サイズおよび2未満のアスペクト比を有しており、これらのことは米国特許仮出願第62/111,730号に開示されているとおりであり、同出願の内容は参照によって本明細書に取り込まれる。
【0026】
本明細書で使用される用語「中細孔径ゼオライト」とは、3〜12の拘束指数を有するゼオライトを意味する。
【0027】
本明細書で使用される用語「拘束指数」は、米国特許第3,972,832号および第4,016,218号に定義されており、これらの両方の内容は、参照によって本明細書に取り込まれる。
【0028】
本明細書で使用される用語「TEA」とは、テトラエチルアンモニウムカチオンを意味する。
【0029】
本明細書で使用される用語「MTEA」とは、メチルトリエチルアンモニウムカチオンを意味する。
【0030】
本明細書で使用される用語「MCM−22型モレキュラーシーブ」(または「MCM−22型の材料」または「MCM−22型材料」または「MCM−22型ゼオライト」)は、以下の1種以上を含む:
通常の一次結晶構成ブロック単位格子からつくられたモレキュラーシーブであって、その単位格子がMWW骨格構造トポロジーを有するもの。(単位格子は原子の空間配置であり、3次元空間に嵌め込まれるとその結晶構造を記述する。このような結晶構造は「ゼオライト骨格構造型のアトラス」、第5版、2001年刊で検討されており、その全内容は参照によって取り込まれる。)
通常の二次構成ブロックからつくられたモレキュラーシーブであって、この二次構成ブロックはそのようなMWW骨格構造トポロジー単位格子の2次元嵌め込みであり、1個の単位格子の厚さ、好ましくは1個のc軸単位格子の厚さの単層を形成するもの。
通常の二次構成ブロックからつくられたモレキュラーシーブであって、この二次構成ブロックは1個以上の単位格子の厚さの層であり、1個より多い単位格子の厚さの層は1個の単位格子の厚さの少なくとも2つの単層を積み重ね、詰め込みまたは結合することによってつくられる。そのような二次構成ブロックの積み重ねは、規則的な様式、不規則な様式、ランダムの様式またはこれらの任意の組み合わせであってもよいもの。および
任意の規則的なまたはランダムの、2次元または3次元のMWW骨格構造トポロジーを有する単位格子の組み合わせによってつくられたモレキュラーシーブ。
【0031】
MCM−22型としては、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームにd間隔の最大値を含んでいるX線回折パターンを有するモレキュラーシーブが挙げられる。この材料を特性付けるために使用されるX線回折データは、入射放射線として銅のK−アルファ二重線を使用する標準技術ならびにシンチレーション計数器および収集システムとして付帯されたコンピューターを備えた回折計によって得られる。
【0032】
本明細書で使用される用語「モレキュラーシーブ」は、用語「ゼオライト」と同義的に使用される。
【0033】
一次結晶に関して使用された場合に用語「アスペクト比」とは、TEMによって測定された微結晶の最長の(1方向の)長さを微結晶の幅で割ったものと定義され、微結晶の幅とはその最長の(1方向の)長さの中点におけるその最長の(1方向の)長さと直交する方向における微結晶の(1方向の)長さと定義され、アスペクト比は比較的小さく、たとえば2.0未満である。典型的には、一次結晶は、2.0超のアスペクト比を有する細長い結晶ではなく、板状結晶である。
【0034】
本明細書で使用される用語「一次結晶」とは、凝集体とは異なる、単一の分割できない結晶を意味する。一次結晶は典型的には、(化学結合というよりはむしろ)弱い物理的な相互作用によって一緒に付着して凝集体を形成する。「結晶」および「微結晶」の語は本明細書では互換的に使用される。
触媒組成物
【0035】
本発明のプロセスで使用される触媒組成物は、3〜12の拘束指数を有する第1のゼオライト、TEAまたはMTEAから合成されたモルデナイトゼオライトを含んでいる第2のゼオライト、IUPAC周期表の10族の少なくとも1種の第1の金属、およびIUPAC周期表の11〜15族の少なくとも1種の第2の金属を含んでおり、当該モルデナイトゼオライトは30m
2/gを超えるメソ細孔表面積を有しかつ一次微結晶から構成された凝集体を含んでおり、当該一次微結晶は80nm未満のTEMによって測定された平均一次結晶サイズおよび2未満のアスペクト比を有する。
【0036】
第1のゼオライトに関しては、好適な材料は3〜12の拘束指数を有し、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−50、ZSM−57、ZSM−58、MCM−22型材料およびこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれたものを含む。
【0037】
ZSM−5は米国特許第3,702,886号に記載されている。ZSM−11は米国特許第3,709,979号に記載されている。ZSM−22は米国特許第5,336,478号に記載されている。ZSM−23は米国特許第4,076,842号に記載されている。ZSM−35は米国特許第4,016,245号に記載されている。ZSM−48は米国第4,375,573号特許に記載されている。ZSM−50は米国特許第4,640,829号に記載されている。また、ZSM−57は米国特許第4,873,067号に記載されている。ZSM−58は米国特許第4,698,217号に記載されている。拘束指数およびその決定方法は、上で参照された米国特許第4,016,218号に記載されている。上記の特許のそれぞれの全内容は、参照によって本明細書に取り込まれる。
【0038】
MCM−22型材料は、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ERB−1、EMM−10、EMM−10−P、EMM−12、EMM−13、UZM−8、UZM−8HS、ITQ−1、ITQ-2、ITQ−30およびこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる。
【0039】
MCM−22型の材料としては、MCM−22(米国特許第4,954,325号に記載されている。)、PSH−3(米国特許第4,439,409号に記載されている。)、SSZ−25(米国特許第4,826,667号に記載されている。)、ERB−1(欧州特許第0293032号に記載されている。)、ITQ−1(米国特許第6,077,498号に記載されている。)およびITQ−2(国際特許出願公開第WO97/17290号に記載されている。)、MCM−36(米国特許第5,250,277号に記載されている。)、MCM−49(米国特許第5,236,575号に記載されている。)、MCM−56(米国特許5,362,697に記載されている。) およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。MCM−22型に含められるべき関連するゼオライトは、UZM−8(米国特許第6,756,030号に記載されている。)およびUZM−8HS(米国特許第7,713,513号に記載されている。)であり、これらの両方もMCM−22型のモレキュラーシーブとして使用されるのに適している。典型的には、MCM−22型のモレキュラーシーブは水素形態をしており、水素イオンを有し、たとえば酸性である。上記の特許のそれぞれの全内容は、参照によって本明細書に取り込まれる。
【0040】
第2のゼオライトは、特に合成混合物の構成を選択することによって、非常に小さい結晶サイズおよび大きいメソ細孔表面積を有する。非常に小さい一次結晶サイズは、モルデナイトの細孔内の活性部位への反応物化合物のアクセスを促進し、それによって触媒の効率を増加させる。
【0041】
第2のゼオライトは、TEAまたはMTEA構造指向剤から合成されたモルデナイトゼオライトを含んでおり、30m
2/gを超えるメソ細孔表面積を有し、また当該モルデナイトゼオライトは一次微結晶から構成された凝集体を含んでおり、当該一次微結晶は80nm未満のTEMによって測定された平均一次結晶サイズおよび2未満のアスペクト比を有する。第2のゼオライトのモルデナイトゼオライトは、メソモルデナイトゼオライトとも呼ばれる。
【0042】
メソモルデナイトゼオライトは凝集体、典型的に不規則な凝集体を含んでいる。凝集体は一次微結晶から構成され、この一次微結晶は、80nm未満、好ましくは70nm未満およびより好ましくは60nm未満、たとえば50nm未満のTEMによって測定された平均一次結晶サイズを有する。一次微結晶は、たとえば20nm超、任意的に30nm超のTEMによって測定された平均一次結晶サイズを有してもよい。
【0043】
任意的に、メソモルデナイトゼオライトの一次結晶は、X線回折によって測定されたa、bおよびc軸結晶ベクトルのそれぞれにおいて、80nm未満、好ましくは70nm未満およびいくつかの場合には60nm未満の平均一次結晶サイズを有する。一次微結晶は、X線回折によって測定されたa、bおよびc軸結晶ベクトルのそれぞれにおいて、任意的に20nmを超える、任意的に30nmを超える平均一次結晶サイズを有してもよい。
【0044】
メソモルデナイトゼオライトは一般に、一次結晶の凝集体と一緒にいくつかの凝集していない一次結晶の混合物を含んでいる。メソモルデナイトゼオライトの大部分、たとえば80重量%超、または90重量%超は、一次結晶の凝集体として存在する。凝集体は、典型的には不規則な形態である。凝集体についてのより詳細は、Walter,D.著、「ナノ材料中の一次粒子−弱凝集体−強凝集体」(ドイツ研究財団(DFG)編)、独国、ワインハイム、KGaA、Wiley−VCH Verlag GmbH & Co.、doi:10.1002/9783527673919、1〜24頁、2013年刊を参照せよ。有用であるには、メソモルデナイトゼオライトは強凝集体ではない。
【0045】
任意的には、メソモルデナイトゼオライトは、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、有利には少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の当該不規則な凝集体を含んでおりおよび任意的には当該不規則な凝集体から実質的に成り、当該不規則な凝集体は80nm未満、好ましくは70nm未満、およびより好ましくは60nm未満、たとえば50nm未満の一次結晶サイズを有する一次微結晶から構成される。好ましくは、本発明のメソモルデナイトゼオライトは10重量%未満の、TEMによって評価された80nmより大きいサイズを有する一次微結晶を含んでいる。好ましくは、本発明のメソモルデナイトゼオライトは、当該不規則な凝集体から構成され、当該不規則な凝集体は80nm未満のTEMによって測定された結晶サイズを有する微結晶から構成される。好ましくは、本発明のメソモルデナイトゼオライトは、実質的に針状または板状結晶を含んでおらず、たとえばTEMによって評価された個数による10%未満の針状または板状結晶を含んでいる。
【0046】
好ましくは、本発明のメソモルデナイトゼオライトの当該一次微結晶は、3.0未満の、より好ましくは2.0未満のアスペクト比を有しており、アスペクト比は、TEMによって測定された微結晶の最長の(1方向の)長さを微結晶の幅で割ったものと定義され、微結晶の幅はその最長の(1方向の)長さの中点におけるその最長の(1方向の)長さと直交する方向における微結晶の(1方向の)長さと定義される。
【0047】
当該一次微結晶の当該凝集体は、典型的には不規則な形態を有し、「二次」粒子であると呼ばれることがある。というのは、当該凝集体が「一次」粒子である微結晶の凝集体から形成されているからである。
【0048】
TEMによって測定された、一次微結晶の個数による少なくとも90%が20〜80nmの範囲に、好ましくは20〜60nmの範囲に一次結晶サイズを有するように、一次微結晶は狭い粒度分布を有してもよい。
【0049】
メソモルデナイトゼオライトは、30m
2/gを超える、好ましくは40m
2/gを超える、およびいくつかの場合には45m
2/gを超えるBETによって測定されたメソ細孔表面積を有する。
【0050】
メソモルデナイトゼオライトは、500m
2/gを超える、より好ましくは550m
2/gを超える、およびいくつかの場合には600m
2/gを超える全表面積を有する。全表面積は、内部細孔の表面積(ゼオライト表面積)およびまた結晶の外側の表面積(外側表面積)を含む。全表面積はBETによって測定される。
【0051】
好ましくは、メソモルデナイトゼオライトのメソ細孔表面積と全表面積との比は0.05を超えるものである。
【0052】
メソモルデナイトゼオライトは、好ましくは0.1mL/gを超える、より好ましくは0.12mL/gを超える、およびいくつかの場合には0.15mL/gを超えるメソ細孔容積を有する。
【0053】
本発明のメソモルデナイトゼオライトのSi:Al
2比は、好ましくは10超であり、たとえば10〜60、好ましくは15〜40の範囲にあってもよい。後処理されたモルデナイトゼオライトのSi:Al
2比は、好ましくは40〜300、より好ましくは60〜150の範囲にある。
【0054】
メソモルデナイトゼオライトは、以下の工程を含む方法によって調製されることができる:
a)ケイ素源、アルミニウム源、アルカリ金属(M)水酸化物、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA)、メチルトリエチルアンモニウム(MTEA)およびこれらの混合物から成る群から選ばれた構造指向剤(SDA)の源、任意的な種結晶および水を含んでいる合成混合物を準備する工程であって、当該合成混合物が以下のモル比を含む組成物を有する工程
【表1】
b)当該合成混合物を結晶化条件に付して、その細孔内に構造指向剤(SDA)を含んでいるモルデナイトゼオライトの結晶を形成する工程。合成混合物の成分は一緒にされ、結晶化条件の下に維持される。
【0055】
ケイ素(Si)の好適な源としては、シリカ、シリカのコロイド懸濁液、沈降シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、たとえばケイ酸カリウムおよびケイ酸ナトリウム、テトラアルキルオルトケイ酸塩ならびにヒュームドシリカ、たとえばアエロジルおよびカボシルが挙げられる。好ましくは、Siの源は、沈降シリカ、たとえばウルトラシル(Evonik Degussa社から入手可能)またはHiSil(PPG INDUSTRIES社から入手可能)である。
【0056】
アルミニウム(Al)の好適な源としては、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水和アルミナ、たとえばベーマイト、ギブサイトおよび/またはシュードベーマイト、アルミン酸ナトリウムおよびこれらの混合物が挙げられる。他のアルミニウム源としては、他の水溶性アルミニウム塩、またはアルミニウムアルコキシド、たとえばアルミニウムイソプロピルオキシド、またはアルミニウム金属、たとえばチップの形態をしたアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アルミニウム源は、アルミン酸ナトリウム、たとえば40〜45%の範囲の濃度を有するアルミン酸ナトリウムの水溶液、または硫酸アルミニウム、たとえば45〜50%の範囲の濃度を有する硫酸アルミニウム溶液である。
【0057】
上で述べたSiおよびAlの源の代わりにまたはそれらに加えて、アルミノケイ酸塩がSiおよびAlの両方の源として使用されてもよい。
【0058】
好ましくは、合成混合物中のSi:Al
2比は15〜40、より好ましくは20〜30の範囲にある。
【0059】
合成混合物はまた、アルカリ金属カチオンM
+の源も含んでいる。アルカリ金属カチオンM
+は好ましくは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンおよびナトリウムカチオンとカリウムカチオンとの混合物から成る群から選ばれる。ナトリウムカチオンが好ましい。好適なナトリウム源は、たとえばナトリウム塩、例としてNaCl、NaBrまたはNaNO
3、水酸化ナトリウムまたはアルミン酸ナトリウム、好ましくは水酸化ナトリウムまたはアルミン酸ナトリウムであってもよい。好適なカリウム源は、たとえば水酸化カリウムもしくはハロゲン化カリウム、例としてKClまたはKBr、または硝酸カリウムであってもよい。好ましくは、合成混合物中のM
+:Si比は、0.15〜0.32、より好ましくは0.20〜0.32の範囲にある。任意的に、M
+:Si比は0.30未満である。
【0060】
合成混合物はまた、水酸化物イオンの源、たとえばアルカリ金属水酸化物、例として水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムも含んでいる。水酸化物はまた、構造指向剤の対イオンとして、またはAlの源として水酸化アルミニウムを使用することによって存在することもできる。好ましくは、OH
−:Siの範囲は0.13を超えており、たとえば0.15〜0.32、好ましくは0.20〜0.32の範囲にあってもよい。任意的にOH
−:Si比は0.30未満である。
【0061】
合成混合物は任意的に種を含んでいる。種は、任意の適当なゼオライト種結晶、たとえばZSM−5種結晶またはモルデナイト種結晶であってもよい。好ましくは、種はメソ細孔性のモルデナイト結晶である。種は、合成混合物の、たとえば0重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%、たとえば0.1重量%〜5.0重量%の量で存在してもよい。好ましい実施形態では、合成混合物は種を含んでいる。
【0062】
構造指向剤は、SDAとも呼ばれ、TEAおよび/またはMTEA、好ましくはTEAであり、任意の適当な形態で、たとえばハロゲン化物として存在してもよいが、好ましくはその水酸化物の形態で存在する。構造指向剤の好適な源としては、TEABr、TEAOH、MTEACl、MTEABrおよびMTEAOHが挙げられる。構造指向剤の好ましい源はTEABrである。好ましくは、SDA:Si比は、0.005〜0.10、より好ましくは0.02〜0.10、とりわけ0.02〜0.05の範囲にある。
【0063】
小結晶のモルデナイトの合成が、合成混合物中に比較的高い固形分含有量を有することによって好まれる。好ましくは、H
2O:Si比は20以上、たとえば5〜20、好ましくは5〜17、とりわけ10〜17の範囲にある。
【0064】
合成混合物は、たとえば以下の表に示されたモル比で表現された組成を有してもよい。
【表2】
【0065】
結晶化は適当なリアクター容器、例えばポリプロピレン製のジャーまたはテフロン(商標)ライニングされたもしくはステンレス鋼製のオートクレーブの中で静的なあるいは撹拌された条件の下で実施されることができる。好適な結晶化条件としては、約100℃〜約200℃、たとえば約135℃〜約160℃の温度が挙げられる。好ましくは、温度は145℃未満である。合成混合物は、高められた温度で結晶化が生じるのに十分な時間、使用される温度で、たとえば約1日間〜約100日間、任意的に1日間〜50日間、たとえば約2日間〜約40日間保持されてもよい。合成混合物は、いくつかの場合には第1の温度で1時間〜10日間の第1の期間、そして次に第2のより高い温度に上げられて1時間〜40日間維持されてもよい。結晶化工程の後、合成された結晶は液体から分離され回収される。
【0066】
合成されたままの形態で、モルデナイトゼオライトは典型的には、以下のモル関係を有する化学組成を有する:
mQ:nSiO
2:Al
2O
3
この式で、
0.001≦m/n≦0.1、たとえば0.001≦m/n≦0.05であり、
nは少なくとも10、たとえば10〜60、好ましくは15〜40であり、および
Qは構造指向剤である。
【0067】
合成されたままのメソモルデナイトゼオライトはその細孔構造内に構造指向剤を含んでいるので、製品は通常、構造指向剤の有機部分、すなわちTEAおよび/またはMTEAがゼオライトから少なくとも部分的に除去されるように、使用前に活性化される。
【0068】
焼成されたメソモルデナイトゼオライトは、任意的にモルデナイトゼオライトを焼成して構造指向剤を除去することによって調製される。メソモルデナイトゼオライトはまた、イオン交換工程に付されて合成されたままの製品中に存在するアルカリまたはアルカリ土類金属イオンが他のカチオンに交換されてもよい。好ましい交換するカチオンとしては、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、たとえばアンモニウムイオンおよびこれらの混合物、より好ましくは水素イオンまたは水素前駆体が挙げられる。たとえば、メソモルデナイトゼオライトは、イオン交換工程に付されてアルカリまたはアルカリ土類金属イオンがアンモニウムカチオンに交換され、引き続いて焼成されてアンモニウム形態のメソモルデナイトゼオライトが水素形態のメソモルデナイトゼオライトに転換されてもよい。1つの実施形態では、メソモルデナイトゼオライトは、最初に、時には「前焼成」とも呼ばれる焼成工程に付されてメソモルデナイトゼオライトの細孔から構造指向剤が除去され、引き続いてイオン交換処理をされ、引き続いてさらなる焼成工程に付される。しかし、本発明のメソモルデナイトゼオライトの場合には、前焼成工程が必ずしも必要ではないことが見出された。代わりの実施形態では、メソモルデナイトゼオライトはかくして、事前の焼成工程(または前焼成)に付されることなく、イオン交換処理に付され、そして、イオン交換処理に引き続いて、焼成されて細孔から構造指向剤が除去され、それによって本発明の第2のゼオライトに使用される焼成されたメソモルデナイトゼオライトが提供される。
【0069】
イオン交換工程は、たとえばメソモルデナイトゼオライトを水性イオン交換溶液と接触させる工程を含んでいてもよい。このような接触は、たとえば1〜5回おこなわれてもよい。イオン交換溶液との接触工程は、任意的に環境温度であり、または代わりに高められた温度であってもよい。たとえば、メソモルデナイトゼオライトは、室温で水性硝酸アンモニウム溶液との接触によってイオン交換され、引き続いて乾燥および焼成されてもよい。
【0070】
好適な焼成条件としては、少なくとも約300℃、好ましくは少なくとも約370℃の温度で少なくとも1分間および概して20時間以内、たとえば1時間〜12時間加熱することが挙げられる。熱処理のために大気圧より低い圧力が使用されることができるけれども、大気圧が利便性の理由から望ましい。熱処理は約925℃までの温度で行なうことができる。たとえば、熱処理は酸素含有ガスの存在下で400℃〜600℃、たとえば500℃〜550℃の温度で実施されることができる。
【0071】
焼成されたメソモルデナイトゼオライトは典型的には、以下のモル関係を有する化学組成を有する:
nSiO
2:Al
2O
3
この式で、nは少なくとも10、たとえば10〜60、より特定的には15〜40である。
【0072】
本発明の触媒組成物は、3〜12の拘束指数を有する第1のゼオライト、メソモルデナイトゼオライトを含んでいる第2のゼオライト、IUPAC周期表の10族の少なくとも1種の第1の金属、およびIUPAC周期表の11〜15族の少なくとも1種の第2の金属を含んでいる。典型的には、第1のゼオライトはアルミノケイ酸塩であり、触媒組成物中の第1のゼオライトおよび第2のゼオライトの全重量基準で約1重量%〜約99重量%から、たとえば約20重量%〜約80重量%までの任意の量で含まれている。第2のゼオライトは、触媒組成物中の第1のゼオライトおよび第2のゼオライトの全重量基準で約1重量%〜約99重量%から、たとえば約20重量%〜約80重量%までの量でアルミノケイ酸塩として含まれている。
【0073】
第1のゼオライトおよび第2のゼオライトに加えて、触媒は、IUPAC周期表の10族の少なくとも1種の第1の金属、およびIUPAC周期表の11〜15族の少なくとも1種の第2の金属を含んでいる。10族金属の第1の金属としては、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)およびこれらの中性の金属またはイオンを含んでいる化合物、の1種以上、好ましくは白金またはパラジウムが挙げられるが、これらに限定されない。11〜15族の第2の金属としては、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)およびこれらの中性の金属またはイオンを含んでいる化合物、の1種以上、好ましくは銅、ガリウムまたはスズが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
触媒組成物は、触媒組成物の重量基準で少なくとも約0.005重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.10重量%から、約1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%までのIUPAC周期表の10族の第1の金属を含んでいる。触媒組成物は、約0.01重量%の該金属、たとえば0.02重量%以上から、0.5重量%、1.0重量%、2.0重量%、または3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%までのそのような第1の金属を含んでいてもよい。本発明の1つ以上の実施形態では、触媒組成物は、触媒組成物の重量基準で約0.005重量〜約5.0重量%の範囲の10族の少なくとも1種の第1の金属を有する。
【0075】
触媒組成物は、触媒組成物の重量基準で約0.005重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.10重量%から、約0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、または1.25重量%、または1.5重量%、または2.0重量%までのIUPAC周期表の11〜15族の第2の金属を含んでいる。触媒組成物は、触媒組成物の重量基準で約0.005重量%の該金属、たとえば0.01重量%以上から、0.5重量%、0.75重量%、1.0重量%、または1.25重量%、または1.5重量%、または2.0重量%までのそのような第2の金属を含んでいてもよい。本発明の1つ以上の代替形態では、触媒組成物は、触媒組成物の重量基準で約0.01重量〜約1.5重量%の範囲の11〜15族の少なくとも1種の第2の金属を有する。
【0076】
当業者は、第1の金属がより大きい接触脱水素活性を有する1種以上の金属、たとえばPtおよび/またはPdを含んでおり、より少ない量の、たとえば触媒組成物の重量基準で約0.005重量%〜約0.1重量%の範囲の、たとえば触媒組成物の重量基準で約0.01重量%〜約0.6重量%、または約0.01重量%〜約0.05重量%のその第1の金属が必要になることがあることを理解するだろう。
【0077】
金属成分が、より低度の脱水素活性を有する1種以上の金属、たとえばGa、In、Zn、CuおよびSn、の1種以上を含んでいる場合には、より大きい量の、たとえば触媒組成物の重量基準で約0.005重量%〜約5重量%の範囲の、たとえば触媒組成物の重量基準で約0.01重量%〜約1.5重量%、または約0.1重量%〜約1重量%のその第2の金属が必要になることがある。
【0078】
金属成分、たとえば第1の金属および/または第2の金属は、任意の様式で触媒組成物に付与されてもよく、たとえば従来の方法によって、例として触媒粒子を形成する前にまたはその後で、第1のゼオライトおよび/または第2のゼオライトに、関連する金属の化合物の溶液を含浸またはイオン交換することによって付与されてもよい。
【0079】
本発明のトランスアルキル化プロセスで使用される温度および他の条件に耐性を有する別の材料を、触媒組成物中の第1のゼオライトおよび第2のゼオライトに組み入れることが望ましいことがある。そのような材料としては、活性なおよび不活性な材料ならびに合成または天然に存在するゼオライトとともに無機材料、たとえばクレー、シリカおよび/または金属酸化物、たとえばアルミナが挙げられる。無機材料は天然に存在するものか、あるいはシリカと金属酸化物との混合物を含むゼラチン状沈降物またはゲルの形態をしたものでもよい。
【0080】
本発明の触媒は、アルミナ、シリカ、クレー、チタニア、ジルコニアおよびこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれた少なくとも1種のバインダーをさらに含んでいる。第1のゼオライトおよび第2のゼオライトと併用される材料、すなわちこれらと組み合わされたまたはこれらの合成の際に存在する材料であって、それ自体が触媒的に活性である材料は、触媒組成物の転化率および/または選択性を変えることがある。不活性な材料は、反応速度を調節するための他の手段を用いずに経済的で秩序ある様式でトランスアルキル化製品が得られることができるように、転化量を調節するための希釈剤としての役割を適切に果たす。これらの触媒的に活性または不活性な材料は、商業用操作条件下の触媒組成物の破砕強さを改善するために、たとえば天然に存在するクレー、例としてベントナイトおよびカオリン中に組み入れられてもよい。商業的使用の際に触媒組成物が粉体の様な材料に崩壊するのを防ぐことが望ましいので、良好な破砕強さを有する触媒組成物を提供することが望ましい。
【0081】
触媒組成物用のバインダーとして第1のゼオライトおよび第2のゼオライトと複合材料化されることができる天然に存在するクレーとしては、モンモリロナイトおよびカオリン科が挙げられ、これらの科は、サブベントナイトおよびディキシー、マクナミー、ジョージアおよびフロリダクレー等として一般に知られているカオリンを含み、ディキシー、マクナミー、ジョージアおよびフロリダクレー等中の主要な鉱物成分はハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトまたはアナウキサイトである。このようなクレーは、もともと採掘されたまたは最初に焼成、酸処理もしくは化学変性に付されたままの未加工の状態で使用されることができる。
【0082】
上記の材料に加えて、第1のゼオライトおよび第2のゼオライトは、多孔性マトリクスバインダー材料、たとえばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、トリア、ベリリア、マグネシアおよびこれらの組み合わせ、例としてシリカアルミナ、シリカマグネシア、シリカジルコニア、シリカトリア、シリカベリリア、シリカチタニアとともに3成分組成物、たとえばシリカアルミナトリア、シリカアルミナジルコニア、シリカアルミナマグネシアおよびシリカマグネシアジルコニアから成る群から選ばれた無機酸化物と複合材料化されてもよい。コロイド形態をした上記の多孔性マトリクスバインダー材料の少なくとも一部を付与して触媒組成物の押し出しを容易にすることも有利であることがある。
【0083】
各ゼオライトは通常、最終の触媒組成物が触媒組成物の重量基準で5〜90重量%、典型的には10〜60重量%の範囲の量でバインダーまたはマトリクス材料を含有するようにバインダーまたはマトリクス材料と混合される。
【0084】
使用前に、触媒組成物のスチーム処理が用いられて、その触媒組成物の芳香族水素化活性が最小化されてもよい。スチーム処理プロセスでは、触媒組成物は通常、少なくとも260℃〜650℃の温度で、少なくとも1時間、特には1〜20時間、100〜2590kPa−aの圧力および約0.002時間
−1〜約20時間
−1のWHSVで、5%〜100%のスチームと接触させられる。
【0085】
加えて、触媒組成物を炭化水素供給原料と接触させる前に、水素化成分は硫化処理されることができる。これは、約320℃〜480℃の範囲の温度で、触媒をイオウの源、たとえば硫化水素と接触させることによって好都合に達成される。イオウの源は、搬送ガス、たとえば水素または窒素によって触媒と接触させられることができる。
【0086】
触媒組成物を炭化水素供給原料と接触させた後、触媒はコーキングまたは金属の凝集によって失活されることがある。失活された触媒は、酸素または酸素含有化合物、たとえばオゾン、オキシ塩素、二酸化炭素等を含んでいる流れを用いてコーク燃焼すること;酸化−還元サイクル、酸塩化物処理等を使用して金属再分散をすること;液状炭化水素または無機および/もしくは有機化学化合物、たとえば水、エタノール、アセトン等の水溶液で洗うこと;または水素を含んでいる流れを用いて活性化すること;によって好都合に再生されることができる。再生または活性化は、環境温度〜約600℃の温度範囲、約100kPa−a〜約5000kPa−aの圧力範囲および約0.2時間
−1〜約100時間
−1のWHSVで実施されることができる。
供給原料
【0087】
本発明のプロセスで使用される供給原料は、少なくとも8個の炭素原子を有する1種以上の芳香族化合物、たとえばC
8+芳香族炭化水素を含んでいる。特定のC
8+芳香族炭化水素としては、エチルベンゼンおよびジメチルベンゼン異性体が挙げられる。典型的には、このようなC
8+芳香族炭化水素は、大気圧で約135℃〜約230℃の範囲の沸点を有する芳香族化合物を含んでいる。
【0088】
1つ以上の実施形態では、そのような供給原料は、9個以上の炭素原子を有する芳香族化合物、たとえばC
9+芳香族炭化水素を含んでいる。典型的な供給原料中に認められる特定のC
9+芳香族化合物としては、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、デュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)、ヘミメリテン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、エチルトルエン、エチルキシレン、1,2−メチルエチルベンゼン、1,3−メチルエチルベンゼン、1,4−メチルエチルベンゼン、プロピル置換ベンゼン、ブチル置換ベンゼン、ジメチルエチルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、メチルブチルベンゼンおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0089】
C
9+芳香族の適当な源は、芳香族に富む任意の石油精製所プロセスからの任意のC
9+留分である。この芳香族留分は、かなり大きい割合のC
9+芳香族、たとえば少なくとも80重量%のC
9+芳香族を含有し、その場合に好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%超の炭化水素がC
9〜C
12の範囲にある。有用であり得る典型的な石油精製所留分としては、接触改質油、流動接触分解(FCC)ナフサまたは移動床接触分解(TCC)ナフサが挙げられる。
【0090】
供給原料はまた、ベンゼンまたはトルエンまたはベンゼンとトルエンとの混合物を含んでいてもよい。したがって、1つの実用的な実施形態では、トランスアルキル化リアクターへの供給原料はエチルベンゼン、C
9+芳香族炭化水素およびトルエンを含んでいる。供給原料としてはまた、トランスアルキル化反応自体の流出物製品の蒸留によって得られる、リサイクルされた/未反応の/製造されたベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびC
9+芳香族も挙げられてよい。典型的には、トルエンは供給原料の約5重量%〜約90重量%を構成し、C
9+は約10重量%〜約95重量%を構成する。典型的な軽質供給原料では、トルエンは全供給原料の約40重量%〜約90重量%、たとえば約50重量%〜約70重量%を構成し、他方、C
9+芳香族成分はトランスアルキル化反応ゾーンへの全供給原料の約10重量%〜約60重量%、たとえば約30重量%〜約50重量%を構成する。典型的な重質供給原料では、トルエンは全供給原料の約15重量%〜約50重量%、たとえば約25重量%〜約40重量%を構成し、他方、C
9+芳香族成分はトランスアルキル化反応ゾーンへの全供給原料の約50重量%〜約85重量%、たとえば約60重量%〜約75重量%を構成する。
炭化水素転化プロセス
【0091】
C
8+芳香族炭化水素を含んでいる供給原料から、より軽質の芳香族製品への転化プロセスは、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含んでいる当該より軽質の芳香族製品を製造するのに適当な転化条件の下で、本発明の触媒組成物のいずれか1種の存在する状態で、当該供給原料と任意的な水素とを接触させる工程を含む。
【0092】
このプロセスは、任意の適当なリアクター、たとえば放射状流、固定床、連続流または流動床のリアクター中で実施されることができる。1つの代替的な実施形態では、当該適当な転化条件の下で当該供給原料を接触させるリアクターは、当該触媒の少なくとも1つの単一固定触媒床を含んでいる。別の代替的な実施形態では、当該適当な転化条件の下で当該供給原料を接触させるリアクターは、当該触媒の少なくとも1つの移動触媒床を含んでいる。
【0093】
転化条件としては、典型的には約340℃〜約515℃、たとえば約400℃〜約454℃の範囲の温度;約380kPa−a〜約4240kPa−a、たとえば約1480kPa−a〜約3550kPa−aの圧力;約1〜約5、たとえば約1〜約3の水素と炭化水素とのモル比および約0.2時間
−1〜約100時間
−1、たとえば1時間
−1〜約100時間
−1のWHSVが挙げられる。トランスアルキル化反応条件は、重質芳香族供給原料を実質的な量のC
6〜C
8芳香族化合物、たとえばベンゼン、トルエンおよびキシレン、とりわけベンゼンおよびキシレンを含んでいる製品に転化するのに十分なものである。トランスアルキル化反応条件はまた、供給原料中のエチルベンゼンをベンゼンおよびエタンに転化するのに十分なものである。
実施例
【0094】
以下の実施例は本発明を例示する。多数の修正および変化が可能であり、添付された特許請求の範囲を超えない範囲内で、本明細書に記載されたものを超えて本発明が他様に実施されてもよいことが理解されなければならない。
実験
平均一次粒子サイズおよび一次粒子サイズ分布の測定
【0095】
平均一次粒子サイズおよび一次粒子サイズ分布の測定は、以下のように行なわれた。ゼオライトサンプルのいくつかのTEM写真が撮られ、一次粒子が同定され測定された。1を超えるアスペクト比を有するそれぞれの一次粒子について、最長の(1方向の)長さが、最も遠く離れた粒子の端にある2点間に直線を引くことによって同定された。次に、その最長の(1方向の)長さと45°をなす斜線に沿いかつその最長の(1方向の)長さ方向の中点を通る一次粒子の長さが、粒子サイズとして測定された。それぞれの測定値が、そのサンプルで認められたサイズの範囲をカバーする約10個の粒子サイズの範囲のうちの1個に割り振られることによってグループ分けされた。300個を超える一次粒子が測定され、次に各粒子サイズ範囲中の個数がプロットされて、
図10に示されたように粒子サイズ分布が示された。たとえば、約187.5、250、312.5、375、437.5、500、562.5および625オングストロームを中心としたサイズ範囲が使用されることができよう。Y軸上の結晶個数値のパーセント(%)が、各グループ内の粒子の個数/測定された粒子の全個数×100から計算された。
BETによる全表面積およびメソ細孔表面積の測定
【0096】
全BET表面積およびt−プロット法ミクロ細孔表面積が、350℃で4時間焼成されたゼオライト粉体を脱ガスした後にMicromeritics社製Tristar II 3020測定器を用いた窒素吸着/脱着法によって測定された。メソ細孔表面積は、全BET表面積からt−プロット法ミクロ細孔表面積を減じることによって得られた。メソ細孔容積は、同じデータセットから導かれた。この方法に関する、より多くの情報は、たとえば「多孔性の固体および粉体の特性解析:表面積、孔サイズおよび密度」、S.Lowellら、Springer社、2004年刊に見出されることができる。
X線回折パターン
【0097】
X線回折データ(粉末XRDまたはXRD)は、銅Kアルファ線を使用するVANTEC社製多重チャンネル検知器を備えたBruker社製D4 Endeavor回析装置を用いて収集された。回析データは0.018度の2シータ(シータはブラッグ角である。)を用いる走査モードによって、各ステップについて約30秒の有効計測時間を使用して記録された。
a、bおよびc軸ベクトルにおける結晶サイズの測定
【0098】
a、bおよびc軸結晶ベクトルにおける結晶サイズが、シェラーの式(P.Scherrer、N.G.W. Gettingen、Math−Phys.、第2巻、96〜100頁、(1918年))を使用してX線回折パターンにおける3個の(200)、(020)および(002)ピークに基づいて計算された。この方法およびゼオライトへのその適用は、A.W.Burton、K.Ong、T.Rea、I.Y.Chan、Microporous and Mesoporous Materials、第117巻、75〜90頁、(2009年)にも記載されている。ここに記載された測定法については、Materials Data社によるJade版9.5.1X線回折分析ソフトウェアが使用されて計算が実施された。
アルファ値
【0099】
アルファ値は触媒の分解活性の指標であり、米国特許第3,354,078号ならびにJournal of Catalysis、第4巻、527頁(1965年);第6巻、278頁(1966年)および第61巻、395頁(1980年)に記載されており、それぞれの内容は参照によって本明細書に取り込まれる。本明細書で使用された試験の実験条件は、Journal of Catalysis、第61巻、395頁(1980年)に詳細に記載された538℃の一定温度および可変流量を含んでいた。
【実施例1】
【0100】
メソモルデナイト結晶
メソモルデナイト結晶が、9,300gの水、804gの臭化テトラエチルアンモニウム(TEABr)(50%溶液)、2,544gのウルトラシルPM変性シリカ、584gのアルミン酸ナトリウム溶液(45%)および612gの50%水酸化ナトリウム溶液から調製された混合物から合成された。次に、30gのモルデナイトの種がこの混合物に添加された。得られた混合物は以下のモル組成を有していた。
【表3】
【0101】
混合物は、250RPMで72時間、撹拌付きの5ガロン(18.9リットル)のオートクレーブ中で290°F(143.3℃)で反応された。生成物はろ過され、脱イオン水(DI)で洗われそして250°F(121℃)で乾燥された。合成されたままの材料のXRDパターンは、モルデナイトトポロジーの典型的な純粋相を示した。合成されたままの材料のSEM(
図1)は、≦0.05μmの小さい微結晶から構成された不規則な形状をした凝集体のモルホロジーを示した。従来技術による、より低い多孔度のモルデナイト結晶と比較して、より小さくかつより均一の結晶がこの改善された合成法から製造された。得られた合成されたままのメソモルデナイト結晶は、約20.7のSiO
2/Al
2O
3モル比を示した。
【0102】
合成されたままの結晶メソモルデナイトは、室温で硝酸アンモニウム溶液を用いた3個のイオンの交換によって水素の形態に変換され、引き続いて250°F(121℃)で乾燥され、1000°F(538°C)で6時間焼成された。得られたH形態のメソモルデナイト結晶は、637/(580 + 56)m
2/gの全表面積/(ミクロ+メソ)表面積および0.43cc/gのメソ細孔容積を有していた。ヘキサン吸着量は53.3mg/gおよびアルファ値は1,200であった。
【実施例2】
【0103】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒(65/15/20重量比)
触媒が、混和機中で65部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および15部のZSM−5(米国特許第3,702,886号によってつくられ、538℃で焼成され、約60/1のSi/Al
2モル比を有するものを基準)および20部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が、押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は、121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。空気焼成の後に得られた触媒の特性は以下のとおりであった:アルファ値=570およびヘキサン吸着量53.5mg/g。
【実施例3】
【0104】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:4×Sn
実施例2からの押し出し成形物(65/15/20重量比)が、インシピエントウェットネス含浸法で硝酸テトラアンモニウム白金として0.03重量%のPtを、および塩化Sn(II)として0.073重量%のSnを共含浸された(4:1のSn:Ptモル比)。触媒は680°F(360℃)で3時間空気中で焼成された。
【実施例4】
【0105】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:6×Cu
実施例2からの押し出し成形物(65/15/20重量比)が、インシピエントウェットネス含浸法で硝酸テトラアンモニウム白金として0.03重量%のPtを、および硝酸銅(II)2.5水和物として0.06重量%のCuを共含浸された(6:1のCu:Ptモル比)。触媒は680°F(360℃)で3時間空気中で焼成された。
【実施例5】
【0106】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:12×Cu
実施例2からの押し出し成形物(65/15/20重量比)が、インシピエントウェットネス含浸法で硝酸テトラアンモニウム白金として0.03重量%のPtを、および硝酸銅(II)2.5水和物として0.12重量%のCuを共含浸された(12:1のCu:Ptモル比)。触媒は680°F(360℃)で3時間空気中で焼成された。
【実施例6】
【0107】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:6×Ga
実施例2からの押し出し成形物(65/15/20重量比)が、インシピエントウェットネス含浸法で硝酸テトラアンモニウム白金として0.03重量%のPtを、および硝酸ガリウム(III)として0.064重量%のGaを共含浸された(6:1のGa:Ptモル比)。触媒は680°F(360℃)で3時間空気中で焼成された。
【実施例7】
【0108】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:12×Ga
実施例2からの押し出し成形物(65/15/20重量比)が、インシピエントウェットネス含浸法で硝酸テトラアンモニウム白金として0.03重量%のPtを、および硝酸ガリウム(III)として0.13重量%のGaを共含浸された(12:1のGa:Ptモル比)。触媒は680°F(360℃)で3時間空気中で焼成された。
【実施例8】
【0109】
実施例3〜7の性能評価
金属の機能が、実施例2からの押し出し成形物(65重量%のメソモルデナイト、15重量%の非凝集性小結晶ZSM−5および20重量%のアルミナ)に2元金属系を含浸することによって調べられた。実施例3〜7における触媒が以下の表4に同定された供給原料ブレンドを使用してマイクロユニットリアクター中で評価された。
表4−供給原料ブレンド
【表4】
【0110】
3〜4グラムの各触媒がそれぞれリアクター中に充填された。触媒は水素中で加熱され、770°F(410℃)で活性化された。温度がその後806°F(430℃)に上げられ、液体供給原料が12時間の脱エッジング(de−edging)の期間導入された。この脱エッジング期間に引き続いて、条件が変更されて触媒性能が評価された。脱エッジングの条件およびその後の反応条件は以下のとおりである:脱エッジングの条件:WHSV=3時間
−1、H
2/HC=1、温度=12時間にわたって806°F(430℃)および圧力=391psig(2696kPa)。温度走査条件:WHSV=3時間
−1、H
2/HC=3、温度=716°F(380℃)および圧力=391psig(2696kPa)。生成物はオンラインGCによって分析された。実施例3〜7についての性能比較が以下の表5に記載される。
【表5】
【0111】
表5の結果は、C
9+芳香族炭化水素とトルエン(またはトルエン/ベンゼンの組み合わせ)との反応による、より軽質の芳香族製品、たとえばキシレンへの転化は、芳香環からのアルキル基の脱アルキル化の間に生成されたオレフィンを飽和する金属機能が要求されることを示す。この金属機能が十分でないと、オレフィンはアルカンに有効に飽和されないで芳香環に戻って再付加されることになる。より低い脱アルキル化活性、たとえばより低いエチル芳香族の転化が観察されることになる。この金属機能の活性が高すぎると、芳香環損失の増加によって示されるように芳香環が飽和されることになる。白金(Pt)は単独でオレフィンを飽和するのに非常に優れていることが知られているが、環の飽和についてのその活性は高すぎる。Ptへの第2の金属の追加は白金の活性を和らげて、重質芳香族炭化水素転化触媒のための理想的な金属機能をもたらすことができる。表5から分かるように、Pt/Sn、Pt/GaおよびPt/Cuはすべて、非常に良好な性能を示す。エチル芳香族の転化率が大きく、かつ環の損失が小さい。
【実施例9】
【0112】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt(混和機使用)
触媒が、混和機中で65部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および15部のZSM−5(米国特許第3,702,886号によってつくられ、538℃で焼成され、約60/1のSi/Al
2モル比を有するものを基準)および20部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。0.03重量%のPtという目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金の水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例10】
【0113】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:2×Cu(混和機使用)
混合物が、実施例9と同じように混和機中でつくられた。硝酸銅(II)2.5水和物が、塩化テトラアンミン白金の水溶液に添加された。0.03重量%のPtおよび0.02重量%のCuという目標押し出し成形物に形成される前に、この溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例11】
【0114】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:6×Cu(混和機使用)
混合物が、実施例9と同じように混和機中でつくられた。硝酸銅(II)2.5水和物が、塩化テトラアンミン白金の水溶液に添加された。0.03重量%のPtおよび0.06重量%のCuという目標押し出し成形物に形成される前に、この溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例12】
【0115】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:2×Ga(混和機使用)
混合物が、実施例9と同じように混和機中でつくられた。硝酸ガリウム(III)が、塩化テトラアンミン白金の水溶液に添加された。0.03重量%のPtおよび0.02重量%のGaという目標押し出し成形物に形成される前に、この溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例13】
【0116】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:9×Ga(混和機使用)
混合物が、実施例9と同じように混和機中でつくられた。硝酸ガリウム(III)が、塩化テトラアンミン白金の水溶液に添加された。0.03重量%のPtおよび0.1重量%のGaという目標押し出し成形物に形成される前に、この溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例14】
【0117】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:6×Zn(混和機使用)
混合物が、実施例9と同じように混和機中でつくられた。硝酸亜鉛(II)2.5水和物が、塩化テトラアンミン白金の水溶液に添加された。0.03重量%のPtおよび0.06重量%のZnという目標押し出し成形物に形成される前に、この溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例15】
【0118】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:4×Sn(混和機使用)
混合物が、実施例9と同じように混和機中でつくられた。塩化スズが、塩化テトラアンミン白金の水溶液に添加された。0.03重量%のPtおよび0.07重量%のSnという目標押し出し成形物に形成される前に、この溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例16】
【0119】
メソモルデナイト/ZSM−11/アルミナ触媒/Pt:4×Sn(混和機使用)
触媒が、混和機中で65部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および15部のZSM−11(米国特許第3,709,979号によってつくられ、538℃で焼成され、約30/1のSi/Al
2モル比を有するものを基準)および20部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。0.03重量%のPtおよび0.07重量%のSnという目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金および塩化スズの水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−11、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例17】
【0120】
メソモルデナイト/ZSM−11/アルミナ触媒/Pt:3×Ga(混和機使用)
混合物が、実施例16と同じように混和機中でつくられた。0.03重量%のPtおよび0.03重量%のGaという目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金および硝酸ガリウム(III)の水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−11、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例18】
【0121】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:6×Cu(混和機使用)
触媒が、混和機中で72部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および18部のZSM−5(米国特許第3,702,886号によってつくられ、538℃で焼成され、約60/1のSi/Al
2モル比を有するものを基準)および10部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。0.03重量%のPtおよび0.06重量%のCuという目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金および硝酸銅(II)2.5水和物の水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例19】
【0122】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:3×Ga(混和機使用)
触媒が、混和機中で45部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および25部のZSM−5(米国特許第3,702,886号によってつくられ、538℃で焼成され、約60/1のSi/Al
2モル比を有するものを基準)および30部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。0.03重量%のPtおよび0.03重量%のGaの目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金および硝酸ガリウム(III)の水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例20】
【0123】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:4×Sn(混和機使用)
触媒が、混和機中で65部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および15部のZSM−5(米国特許第3,702,886号によってつくられ、538℃で焼成され、約60/1のSi/Al
2モル比を有し、高度に凝集した結晶を基準)および20部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。0.03重量%のPtおよび0.07重量%のSnという目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金および塩化スズの水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例21】
【0124】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:4×Sn(混和機使用およびスチーミング)
実施例15からの触媒が、大気圧における完全なスチーム中で600°F(316℃)で4時間スチーミングされた。
【実施例22】
【0125】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:4×Sn(混和機使用およびスチーミング)
実施例15からの触媒が、大気圧における完全なスチーム中で800°F(427℃)で4時間スチーミングされた。
【実施例23】
【0126】
実施例9〜22の性能評価
メソモルデナイトおよびZSM−5またはZSM−11からつくられかつ2種の異なる金属を有する共押し出し成形物が、性能を調べられた。実施例9〜22の触媒が、上記の表4で同定された供給原料ブレンドを使用してマイクロユニットリアクター中で評価された。3〜4グラムの各触媒がそれぞれリアクターに充填された。触媒は水素中で加熱され、770°F(410℃)で活性化された。温度がそれから806°F(430℃)に上げられ、液体供給原料が12時間の脱エッジングの期間導入された。脱エッジング期間に引き続いて、条件が変更されて触媒性能が評価された。脱エッジングの条件およびその後の反応条件は以下のとおりである:脱エッジングの条件:WHSV=3時間
−1、H
2/HC=1、温度=12時間にわたって806°F(430℃)および圧力=391psig(2696kPa)。温度走査条件:WHSV=3時間
−1、H
2/HC=3、温度=716°F(380℃)および圧力=391psig(2696kPa)。生成物はオンラインGCによって分析された。実施例4および9〜22についての性能比較が以下の表6に記載されている。
【表6】
【0127】
表6の結果は、メソモルデナイトおよび10員環ゼオライト、たとえばZMS−5またはZMS−11を含有するアルミナ結合触媒が、成形物に形成される前に金属が加えられた場合に興味深い性能を示すことを示す。実施例4および実施例11を比較すると、両方の触媒はゼオライトおよびバインダー含有量の点で同じような配合割合(65重量%のメソモルデナイトゼオライト、15重量%のZSM−5、20重量%のアルミナ)を有するが、Pt/Cuは異なる方法で添加されている。成形物に形成される前に金属が加えられた実施例11は劇的に、より高い活性およびキシレン収率を示す。環損失は、インシピエントウェットネス含浸法によってではなく成形物に形成される前に金属が添加される場合の方がわずかに良いとしても、ほぼ同程度である。Pt/Ga、Pt/CuおよびPt/Snは、触媒押し出し成形物が形成される前に加えられた場合に良好な性能を示す。Ptのみのサンプルである実施例9と比較して、第2の金属を追加すると環損失が減少する。Ptに基いた2元金属系中の第2の金属が全て同じように作用するわけではない。第2の金属としてZnを添加すると(実施例14)活性の劇的な減少が認められる。2元金属系としてPt/GaおよびPt/Cuを使用すると、Pt単独よりも非常に良好な活性、キシレン収率およびはるかに低い環損失が認められる。Pt/Snも高い活性およびキシレン収率をもたらすが、環損失はPt/GaおよびPt/Cuを使用している同じような配合物よりも高い(実施例15と実施例10〜13との比較)。芳香環の損失は、金属活性が高すぎる場合のマイナスの効果である。
【0128】
さらに、10員環ゼオライトの選択は性能に影響を及ぼすことがある。実施例15と50とは、同じようなSi/Al
2比を有するが異なるモルホロジー(凝集体対非凝集体)を有するZSM−5の2つのタイプを比較している。非凝集性結晶は、より高い脱エチル化活性を示し、これはZSM−5の差異に大部分が起因している。ZSM−11もまた、実施例16および17に示されるようにこの触媒系における非常に有効な10員環である。
【実施例24】
【0129】
メソモルデナイト/ZSM−5/アルミナ触媒/Pt:3×Ga(混和機使用)
触媒が、混和機中で65部(538℃で焼成されたものを基準)の実施例1からのメソモルデナイト結晶および15部のZSM−5(米国特許第3,702,886号によってつくられ、538℃で焼成され、約60/1のSi/Al
2モル比を有するものを基準)および20部のアルミナ(538℃で焼成されたものを基準)の混合物からつくられた。0.03重量%のPtおよび0.03重量%のGaという目標成形物に形成される前に、塩化テトラアンミン白金および硝酸ガリウム(III)の水溶液が混和機に加えられた。十分な水が添加されて、押出機で押し出し可能なペーストが製造された。メソモルデナイト、ZSM−5、アルミナおよび水の混合物が押し出し成形物へと押し出され、それから121℃で乾燥された。乾燥された押し出し成形物は、538℃で窒素(N
2)中で焼成されて、有機テンプレートが分解され除去された。N
2焼成された押し出し成形物は飽和空気で湿らされ、1Nの硝酸アンモニウムで交換されて、ナトリウムが除かれた。硝酸アンモニウム交換の後、押し出し成形物は脱イオン水で洗われて残留する硝酸イオンが除かれ、その後乾燥された。アンモニウム交換された押し出し成形物は121℃で乾かされ、538℃で空気中で焼成された。
【実施例25】
【0130】
様々なゼオライト−バインダー比を有するメソモルデナイト共押し出し成型物の実施例19〜24の性能評価
触媒の活性が、メソモルデナイトおよびZSM−5ゼオライト含有量を変化させることによって調べられた。実施例19〜24における触媒が以下の表7に同定された供給原料ブレンドを使用してマイクロユニットリアクター中で評価された。
表7−供給原料ブレンド
【表7】
【0131】
3グラムの各触媒がそれぞれリアクター中に充填された。触媒は水素中で加熱され、770°F(410℃)で活性化された。温度がその後806°F(430℃)に上げられ、液体供給原料が12時間の脱エッジングの期間導入された。この脱エッジング期間に引き続いて、条件が変更されて触媒性能が評価された。脱エッジングの条件およびその後の反応条件は以下のとおりである:脱エッジングの条件:WHSV=3時間
−1、H
2/HC=1、温度=12時間にわたって806°F(430℃)および圧力=391psig(2696kPa)。温度走査条件:WHSV=3時間
−1、H
2/HC=3、温度=689〜691°F(365〜366℃)および圧力=391psig(2696kPa)。生成物はオンラインGCによって分析された。実施例19〜24についての性能比較は以下の表8に記載されている。
【表8】
【0132】
表8の結果は、メソモルデナイトゼオライトとZSM−5とバインダーとの比を変えると性能に影響を与えることができることを示す。実施例19および24を比較すると、上記の比に応じて、より少ない全ゼオライト含有量を有する配合物は、より多い全ゼオライト含有量を有する配合物よりも実際には活性が大きいことがあり得ることが分かる。実施例19では全ゼオライト含有量70重量%であるのに対して実施例24は80重量%の全ゼオライト含有量を有してはいるけれども、メソモルデナイトゼオライトの量を実施例24における65重量%から実施例19における45重量%に減少させ、かつZSM−5の量を実施例24における15重量%から実施例19における25重量%に増加させると、80重量%/20重量%のC
9+/トルエン供給原料基準で、より高いC
9+転化率とともにより高いエチル芳香族転化率およびキシレン収率が得られる。
【0133】
全ての特許、特許出願、試験手順、優先権書類、論文、刊行物、マニュアルおよび本明細書で引用された他の文書は、そのような開示物が本発明と矛盾しない程度においておよびそのような取り込みが許される全ての管轄地域に対して、参照によって完全に取り込まれる。
【0134】
数値の下限および数値の上限が本明細書に示されている場合には、任意の下限から任意の上限までの範囲が考慮される。
【0135】
本発明の典型的な実施形態が詳細に記載されてきたけれども、本開示発明の精神および範囲から逸脱しない様々な他の修正が、当業者には明らかであり、当業者によって容易になされることができることは理解されるだろう。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は本明細書に記載された実施例および説明に限定されるのではなく、本発明に属するすべての特許可能な新規な特徴を、本発明が属する分野の当業者によってその等価物として扱われるであろうすべての特徴を含めて包含するものと解釈されることが意図されている。