特許第6476316号(P6476316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476316
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】フィルタカセット用封止ケース
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/08 20060101AFI20190218BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B01D63/08
   B01D63/00 500
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-553085(P2017-553085)
(86)(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公表番号】特表2018-510775(P2018-510775A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】US2016035133
(87)【国際公開番号】WO2017003625
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】62/186,773
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒリアー,ブライアン
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−274260(JP,A)
【文献】 特開2010−005620(JP,A)
【文献】 特開2011−031239(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0174711(US,A1)
【文献】 特開2008−238167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0257813(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0139741(US,A1)
【文献】 特表2003−502140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
B01D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過カセット、およびろ過カセットにボンディングまたはオーバモールドされない封止ケースを備えるろ過装置であって、封止ケースが、ろ過カセットの少なくとも前表面および後表面、ならびにろ過カセットの少なくとも1つの側表面上で、ろ過カセットを包囲し、封止ケースが、ろ過カセット内の少なくとも1つのポートと一致する少なくとも1つの開口部をさらに備え、封止ケースの内表面が略平坦であり、ろ過装置が、ろ過システム内に実装されたときに封止ケースとろ過カセット内の少なくとも1つのポートの周りとの間に液密シールを有する、ろ過装置。
【請求項2】
封止ケースが、互いに嵌合する2つの半体を備える、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
封止ケースの2つの半体が同一である、請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
封止ケースがエラストマ材料である、請求項1から3のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項5】
エラストマ材料が熱可塑性エラストマである、請求項4に記載のろ過装置。
【請求項6】
ろ過カセットがタンジェンシャルフローろ過(TFF)カセットである、請求項1から5のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項7】
ろ過カセット用の封止ケースであって、封止ケースが、ろ過カセットにボンディングまたはオーバモールドされず、ろ過カセット上に配置されたときに封止ケースが、ろ過カセットの少なくとも4つの側面を包囲し、ろ過システム内に実装されたときに封止ケースとろ過カセットの少なくとも1つのポートの周りとの間に液密シールを形成し、封止ケースが、互いに嵌合する2つの半体を備え、略平坦な内表面を有する、封止ケース。
【請求項8】
封止ケースの2つの半体が同一である、請求項7に記載の封止ケース。
【請求項9】
封止ケースがエラストマ材料である、請求項7または8に記載の封止ケース。
【請求項10】
封止ケースが熱可塑性エラストマ材料である、請求項9に記載の封止ケース。
【請求項11】
ろ過カセットがタンジェンシャルフローろ過(TFF)カセットである、請求項7から10のいずれか一項に記載の封止ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬液などの流体をろ過する装置、および装置を封止するためのガスケット。
【背景技術】
【0002】
タンジェンシャルフローろ過(TFF:Tangential Flow Filtration)は、サイズまたは分子量の差に基づいて、溶液または懸濁液中の成分を分離させるために膜を使用する分離プロセスである。用途としては、タンパク質、ならびにヌクレオチド、抗原、およびモノクローナル抗体などその他の生体分子の濃縮、清澄化、および脱塩;緩衝液交換;プロセス開発;膜選択研究;コロイド粒子を除去するためのクロマトグラフィ前の清澄化;デキストロースおよび抗生物質などの小分子の脱パイロジェン;細胞培養物、溶解物、コロイド懸濁液、およびウイルス培養物の回収、洗浄、または清澄化;ならびに試料調製を含む。
【0003】
従来のTFF装置は、ろ過膜および織りスクリーンのシートを積層することによって構築される。TFF装置はカセット構成に含まれることが可能である。個別の封止ガスケットがカセットの両側に配置され、このアセンブリは1組の上部および底部マニホールドまたはホルダ間のろ過システム内に実装される。マニホールドまたはホルダは、TFF装置内の複数の流路全体にろ過流体ストリームを分配するのに役立つ。マニホールドまたはホルダは、互いに締め付けられ、所望の流体封止を実現するためにTFF装置およびガスケットに対する機械的拘束を提供する。一般的なろ過システムは、多数のカセットを備えることができ、したがって多数のガスケットを備えることができる。しかしながら、多数のカセットおよびガスケットの実装は、ユーザにとって面倒であるばかりでなく、実装、修理、または交換の間にガスケットが抜け落ちる問題が起きやすくもある。さらに、不適切に揃えられた、または不適切に着座したガスケットが1つでもあれば、システムの漏れが生じる可能性がある。漏れが発生した場合、カセットおよびガスケットのシステム全体を取り外して実装し直す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不適切な組み立ておよび漏れの問題を回避する確実な方法でろ過カセットの実装および使用を簡素化する必要性が、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ろ過システムへの組み立ておよび実装の後の漏れを確実に防止する、ろ過カセット用の封止ケースを説明する。液密シールを得るため封止ガスケットをろ過装置に接合するためにボンディング、オーバモールド、および/または接着剤の使用に依存する従来技術の装置とは異なり、本発明は、ろ過カセット上に取り付けられ、ろ過システム内に実装されたときに封止ケースとろ過カセット内の少なくとも1つのポートの周りとの間に液密シールを提供する、封止ケースを提供することによって、これらの面倒で問題のあるステップを回避する。
【0006】
一般的なTFFろ過カセットの基本形状は、原則的には直方体である。ろ過カセットは、2つの主表面(前表面および後表面と称されてもよい)および4つの側表面を有する。一実施形態において、封止ケースは、少なくとも2つの主表面および少なくとも1つの側表面を包囲する。別の実施形態において、封止ケースはろ過カセットのうちの少なくとも4つ、5つ、または6つの側面を包囲し、封止ケースによって包囲される側面のうちの少なくとも2つは前表面および後表面を含む。
【0007】
別の実施形態において、封止ケースは、平坦または略平坦な内表面を有する。例えば、内表面は、ろ過カセットのポート穴と一致する突起または隆起領域を有していない。
【0008】
別の実施形態において、封止ケースは、互いに嵌合する2つの半体を備える。例えば、特定の実施形態において、封止ケースの2つの半体は同一である。別の実施形態において、封止ケースの2つの半体は同一ではない。
【0009】
一実施形態において、封止ケースはエラストマ材料である。特定の実施形態において、封止ケースは熱可塑性エラストマ材料である。別の実施形態において、封止ケースは熱硬化性材料である。
【0010】
本明細書にさらに説明されるように、封止ケースは、タンジェンシャルフローろ過(TFF)カセットなどのろ過カセットと共に使用されることが可能である。
【0011】
本明細書では、先に説明され以下にさらに説明されるようなろ過カセットおよび封止ケースの両方を備えるろ過装置も提供される。さらに、説明されたろ過装置のうちの1つ以上および1対のマニホールドまたはホルダを備えるろ過システムであって、ろ過装置はろ過システム内に実装されたときに液密シールを有する、ろ過システムも提供される。
【0012】
本発明の特定の実施形態を説明するために図面が提供されるが、これらは請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】小型ろ過カセット用封止ケースの1つの半体の上面図である。
図1B図1Aの線A−Aに沿った側面図である。
図1C図1Aの線B−Bに沿った側面図である。
図2A】大型ろ過カセット用の封止ケースの1つの半体の上面図である。
図2B図2Aの線A−Aに沿った側面図である。
図2C】逆の位置での図2Aの封止ケースの側面図である。
図2D図2Aの線B−Bに沿った側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aは、類似のサイズおよび形状のろ過カセットと共に使用するのに適した封止ケース1の1つの半体を示す。見てわかるように、封止ケースの寸法は、ケースが対象のろ過カセット上に取り付け可能となるようないずれか適切なサイズに適合可能である。市場で入手可能なろ過カセットの例は、Pellicon(R)2限外ろ過カセット(マサチューセッツ州Billerica、EMD Millipore Corporation)、ならびにその他業界で周知のものを含む。
【0015】
封止ケースは好ましくは、必要に応じて選択可能な、熱可塑性エラストマなどのエラストマ材料で形成される。例えば、材料の選択は、取り扱う流体との互換性、化学安定性、期待される耐用年数(例えば、単回使用、複数回使用、より長期間または短期間の連続または繰り返される締め付け圧など)のためであってもよい。適切な材料は、スチレンブロックコポリマー、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)とポリプロピレンとの混合物などで形成可能な、Santoprene(R)ポリマー、Kraton(R)熱可塑性エラストマ、およびDynaflex(R)エラストマなどのブランド名で販売されている、熱可塑性エラストマ、EPDMゴム、熱硬化性樹脂、シリコーン、および天然または合成ゴムを含むが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、封止ケースは2つ以上の材料で作られてもよい。例えば、封止ケースは、剛性熱可塑性成分、および熱可塑性エラストマなどのエラストマ材料を備えることができる。例えば、1つ以上の表面が剛性熱可塑性成分を備え、封止表面がエラストマ材料を備えてもよい。剛性熱可塑性成分は、例えば構造的完全性を提供する。エラストマ材料は、標準的な技術を用いて剛性熱可塑性成分上にオーバモールドされることが可能である。
【0016】
封止ケースは、封止ケースが取り付けられるろ過カセット内の少なくとも1つ以上のポート(図示せず)に対応してこれと一致する、1つ以上の開口部10を有する。封止ケースは、封止ケース1の2つの半体を嵌合させることによって、ろ過カセットに取り付けられる。具体的には、封止ケースは、接着剤またはその他のボンディング方法を用いることなく、ろ過カセットに取り付けられる。例えば、ケースはろ過カセット上にオーバモールドされない。代わりに、封止ケース1の2つの半体がろ過カセットの周りに配置されて互いに嵌合する。当業者によって理解されるように、封止ケースの2つの半体を嵌合させるために、多くの構成が使用されてよい。例えば、図1Bにより具体的に示されるように、封止ケースの縁は、封止ケースの他方の半体にある補完的な形状14bの相手側と一致するように設計された、二段階の凹み14aを有してもよい。
【0017】
封止ケースの両方の半体は同一であってもよい。図1Bは、封止ケースの1つの半体がその補完的な半体と同一である、この実施形態の1つの設計を例示する。類似の設計が図2Bに例示されている。封止ケースの2つの同一の半体は、1つの封止ケース半体を反転させて他方の封止ケース半体に対して180°回転させることによって、適切に嵌合することが可能である。これは1つの好適な実施形態であるものの、封止ケースの2つの半体は同一ではないが、2つの半体が互いに嵌合できるように補完的なままであることは、等しく考えられる。
【0018】
二段階の凹みに加えて、封止ケースの2つの半体を嵌合させるためのその他の構成が使用されることも可能である。例えば、「ボールとソケット」の突起と凹みがあり、ボールは球形、立方体、菱形、またはその他のこのような形状であってもよい。あるいは、様々な隆起および溝が使用されてもよい。さらにまた、2つの半体は、各半体の外周の周りで(例えば、補完的な溝または凹みを通じて)各半体と接合する嵌合ストリップによって、接合されてもよい。これらおよびその他の「スナップフィット」コンビネーションは、当該技術分野において知られている。2つ以上の嵌合構成が使用されてよいこともまた、理解されるだろう。
【0019】
一実施形態において、ろ過カセット上への取付の前に、封止ケースの2つの半体は分離している。別の実施形態において、ろ過カセット上への取付の前に、封止ケースの2つの半体は、例えば蝶番を用いて1つの縁で、接合されている。
【0020】
図1Cおよび図2Dに具体的に見られるように、一旦組み立てられるとろ過カセットに隣接することになるケースの側面である、封止ケースの内表面12は、平坦または原則的に平坦である。つまり、内表面は、特に1つ以上の開口部10に、またはその付近に、隆起した突起、縁、またはリングがない。具体的には、封止ケース1の内表面12は、封止ケース1をろ過カセットに取り付けた後、ろ過カセットの対応するポート内に部分的にも完全にも突起しない。平坦または原則的に平坦な内表面12が好ましいものの、開口部10に隣接する内表面は、ろ過カセットの対応するポート内に部分的にも完全にも突起せずに開口部10を包囲する、隆起した縁またはリングを有することも、考えられる。
【0021】
図2Aおよび図2Cに示される封止ケース内の凹み16は、ろ過カセット上の類似の凹み(図示せず)に対応してこれと一致する。封止ケース内の凹み16およびろ過カセットは、タイロッド、ネジ溝付きのピンまたはボルト、あるいはろ過カセットを揃えてろ過システムのアセンブリを固定するためにマニホールドまたはホルダと共に従来使用されたような他の締め付け装置の使用に適応している。ろ過システムは、各々が、封止ケースが取り付けられた1つ以上のろ過カセットを備えてもよい。一旦組み立てられると、締め付けホルダおよび締め付け装置は、ろ過カセットの各々の1つ以上のポートの周りに液密シールが形成されるように、封止ケースが取り付けられたろ過カセット上に圧力をかける。
【0022】
有利なことに、封止ケースは、個別のガスケットを必要とせず、またろ過カセットにガスケットをボンディングする必要もなく、液密シールを提供する。本明細書に説明された封止ケースの使用は、ろ過システム内への組み立ておよび実装の後の漏れを確実に防止する。組み立ては効率的であり、ユーザの労力をあまり必要としない。封止ケースは、ろ過カセットを有する滅菌済みユニットとして提供されてもよい。封止ケースおよびろ過カセットは、単回使用後に廃棄されてもよく、再利用される必要がないので、さらに解体して再滅菌するステップの必要性を排除する。
【0023】
本発明は、その例示的実施形態を参照して具体的に図示および説明されてきたが、添付請求項に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更がなされてもよいことは、当業者によって理解されるだろう。代替および追加実施形態を生み出すために、説明された装置の様々な技術的特徴が様々なやり方で組み合わせられてもよいことも、理解されるべきである。
【0024】
本明細書において引用されるすべての特許、特許公報、および参考文献の教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D