(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6476340
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】副生ガス計測システム
(51)【国際特許分類】
G01K 17/00 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
G01K17/00 E
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-183444(P2018-183444)
(22)【出願日】2018年9月28日
【審査請求日】2018年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 孝太
(72)【発明者】
【氏名】藤島 英樹
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−115117(JP,A)
【文献】
特開平1−233355(JP,A)
【文献】
特開昭50−60290(JP,A)
【文献】
特開平1−313748(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0128798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 17/00
G01N 1/00−1/44
G01N 25/20−25/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副生ガスが流れる母管に対しその外壁側から内部に進入するように接続され、前記副生ガスをサンプルガスとして導入するガス導入口を前記母管内に開口させた導入管と、
前記導入管と接続され、前記導入管にて導入されたサンプルガスを移送する移送管と、
前記移送管と接続されていると共に前記母管に対しその外壁側から内部に進入するように接続され、前記移送管にて移送されたサンプルガスを排出するガス排出口を前記母管内に開口させた排出管と、
前記移送管から分岐する分岐管と、
前記移送管から前記分岐管へ流れてきたサンプルガスの熱量を計測する熱量計と、
前記移送管における前記分岐管の分岐位置よりも上流側の位置に介在されたサイクロン式のフィルタと、
を備える副生ガス計測システム。
【請求項2】
前記ガス導入口は、前記母管内における前記副生ガスの流れの上流側に向けられている、
請求項1に記載の副生ガス計測システム。
【請求項3】
前記ガス排出口は、前記母管内における前記副生ガスの流れの下流側に向けられている、
請求項1又は2に記載の副生ガス計測システム。
【請求項4】
前記導入管の前記母管内に進入している部位は、前記流れの上流側における進入の深さが、前記流れの下流側における進入の深さよりも浅くなっている状態で、前記ガス導入口の開口端面が傾斜面をなしている、
請求項2に記載の副生ガス計測システム。
【請求項5】
前記排出管の前記母管内に進入している部位は、前記流れの上流側における進入の深さが、前記流れの下流側における進入の深さよりも深くなっている状態で、前記ガス排出口の開口端面が傾斜面をなしている、
請求項3又は4に記載の副生ガス計測システム。
【請求項6】
前記導入管及び前記排出管は、少なくとも前記母管に対しその外壁側から内部にそれぞれ進入している部位が、互いに同軸的に配置された2重管構造を有する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の副生ガス計測システム。
【請求項7】
前記ガス導入口を前記母管内に開口させている位置は、前記ガス排出口を前記母管内に開口させている位置よりも、当該母管内における前記副生ガスの流れの上流側にある、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の副生ガス計測システム。
【請求項8】
前記分岐管上における前記熱量計での計測位置よりも上流側に設けられ、前記分岐管を流れるサンプルガス中のスケールを除去する第2のフィルタと、
前記分岐管上における前記第2のフィルタの取付位置よりも上流側に設けられ、前記分岐管を流れるサンプルガス中の湿分を除去する湿分分離器と、
をさらに備える請求項1から7までのいずれか1項に記載の副生ガス計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副生ガスの熱量を計測するための副生ガス計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所における鋼鉄の生産時には、例えば高炉ガス(BFG:Blast Furnace Gas)、転炉ガス(LDG:Linz-Donawitz converter Gas)、コークス炉ガス(COG:Coke Oven Gas)などの副生ガスが発生する。この副生ガスは、例えばコンバインドサイクル発電設備などのガスタービンに燃料ガス(作動媒体)として供給される。
【0003】
ところで、このような副生ガスは、一般的な燃料ガスに比べて熱量が小さいことから、燃料ガスとして適用する際には例えば熱量計による連続的な計測が必要となる。また、この種の副生ガスは、粉塵などの異物を多く含んでいるため、フィルタにより異物を除去して清浄化された後、熱量の計測が行われる。
【0004】
ここで、従来の副生ガス計測システムの一例を
図4に基づき説明する。
図4に示すように、従来の副生ガス計測システム80は、副生ガスの流れる母管81から、副生ガスをサンプルガスとして取り出すサンプルガス検出管82と、サンプルガス検出管82にそれぞれ介在されたサンプルガス止め弁83、84と、サンプルガス検出管82に取り付けられた熱量計92と、サンプルガス大気放出管91と、を備えている。
【0005】
熱量計92は、
図4に示すように、サンプルガス検出管82に連結された熱量計内配管87、第1、第2のフィルタ85、88、サンプリングガス減圧弁86、熱量計測部89、サンプルガス大気放出管91に連結されたサンプルガス排気管90を有している。各フィルタにより異物を除去されかつサンプリングガス減圧弁86により適切な圧力に減圧されたサンプリングガスは、熱量計測部89により熱量を計測された後、サンプルガス排気管90及びサンプルガス大気放出管91を通じて大気中に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−181468号公報
【特許文献2】特開平11−173989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来の副生ガス計測システム80の場合、例えば口径15〜25mmといった比較的口径の大きいサンプルガス検出管82によってサンプルガスを母管81から取り出していたことで、この配管内の容積が大きくなり過ぎて、これによりサンプルガスが熱量計92に到達して熱量が計測されるまでの時間に遅れが発生していた。また、従来の副生ガス計測システム80では、サンプルガス検出管82を通じて母管81から熱量計92へと直接的にサンプルガスを引き込でいたため、熱量計92内で除去すべき異物の量が多くなり、フィルタの交換周期が短縮されると共に、電気集塵機などの適用も必要であった。
【0008】
上述したように、サンプルガスの熱量の計測に遅れが生じると、これが要因となって例えばガスタービンにおける比較的大きな負荷変動を招き、場合によっては、ガスタービンバーナーの失火につながる可能性もあり、この際にはガスタービンが停止に至る結果となる。また、上記したフィルタの交換周期が短縮されることは、結果的に交換前ではフィルタ本来の性能が低下し、フィルタの目詰まりなどが要因となるサンプルガスの流量の抵下や供給圧力の低下が生じ、熱量計による適切な条件でサンプルガスの熱量を計測することが困難となる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、副生ガスの熱量の計測の遅れを抑制できると共にフィルタの交換寿命を長期化しつつ清浄なサンプルガスの熱量を適切な条件で計測することができる副生ガス計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る副生ガス計測システムは、導入管、移送管、排出管、分岐管、熱量計及びサイクロン式のフィルタを備えている。導入管は、副生ガスが流れる母管に対しその外壁側から内部に進入するように接続され、副生ガスをサンプルガスとして導入するガス導入口を母管内に開口させる。移送管は、導入管と接続され、導入管にて導入されたサンプルガスを移送する。排出管は、移送管と接続されていると共に母管に対しその外壁側から内部に進入するように接続され、移送管にて移送されたサンプルガスを排出するガス排出口を母管内に開口させる。分岐管は、移送管から分岐する。熱量計は、移送管から分岐管へ流れてきたサンプルガスの熱量を計測する。サイクロン式のフィルタは、移送管における前記分岐管の分岐位置よりも上流側の位置に介在されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、副生ガスの熱量の計測の遅れを抑制できると共にフィルタの交換寿命を長期化しつつ清浄なサンプルガスの熱量を適切な条件で計測することができる副生ガス計測システムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る副生ガス計測システムの構成を概略的に示す図。
【
図2】
図1の副生ガス計測システムが備える熱量計の周辺の構成を概略的に示す図。
【
図3】第2の実施形態に係る副生ガス計測システムの構成を概略的に示す図。
【
図4】従来の副生ガス計測システムの構成を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、本実施形態に係る副生ガス計測システム10は、例えばコンバインドサイクル発電設備のガスタービンなどに燃料ガス(作動媒体)として供給される副生ガスの熱量を計測するためのものである。副生ガス計測システム10は、取入れ管22及び戻し管27からなる移送管29、導入管21、第1のガス止め弁23、サイクロンセパレータ24、分岐管25、第2のガス止め弁26、排出管28を備えている。
【0014】
導入管21は、副生ガスが流れる母管18に対しその外壁側から内部に進入するように接続されている。導入管21は、母管18内を流れる副生ガスをサンプルガスとして導入するガス導入口21aを、母管18内に開口させている。また、母管18は、副生ガスを上記したガスタービン側へ燃料ガスとして供給する。さらに上記した導入管21のガス導入口21aは、母管18内の軸心まで延び、母管18内を流れる副生ガスを採取(サンプリング)する。なお、導入管21における外壁は、配管挿脱部18aによって包囲されている。
【0015】
移送管29は、導入管21と接続されている。移送管29は、導入管21によって導入されたサンプルガスを移送する。
図1、
図2に示すように、分岐管25は、移送管29から分岐し、サンプルガスを、後述する熱量計39へ供給する例えば10mm以下の口径の供給管である。熱量計39は、移送管29から分岐管25へと流れてきたサンプルガスの熱量を計測する。
【0016】
図1に示すように、サイクロンセパレータ24は、移送管29における分岐管25の分岐位置よりも上流側の位置に介在されたサイクロン式のフィルタ(第1のフィルタ)である。サイクロンセパレータ24は、移送管29を移送されるサンプルガス中の異物を遠心分離して捕捉する、目詰まりのない実質的にメンテナンスフリーのフィルタである。
【0017】
排出管28は、移送管29と接続されていると共に母管18に対しその外壁側から内部に進入するように接続されている。排出管28は、移送管29によって移送されたサンプルガスを排出するガス排出口28aを、母管18内に開口させている。排出管28のガス排出口28aは、母管18内の軸心まで延び、移送管29によって移送されたサンプルガスを副生ガスとして母管1内へ帰還させる。ここで、導入管21、移送管29、排出管28は、ガス導入口21aから、サイクロンセパレータ24、分岐管25の分岐位置を経て循環しつつガス排出口28aへとつながる循環流路を構成する。
【0018】
第1のガス止め弁23は、移送管29上におけるサイクロンセパレータ24よりも上流側の位置に設けられた開閉弁である。第1のガス止め弁23は、閉塞時に移送管29内のサンプルガスの流れを停止させる。一方、第2のガス止め弁26は、移送管29上における分岐管25の分岐位置よりも下流側の位置に設けられている。この第2のガス止め弁26も、移送管29内の開口を開閉する開閉弁であり、閉塞時に移送管29内のサンプルガスの流れを停止させる。
【0019】
なお、上記した移送管29は、前述したように、取入れ管22及び戻し管27から構成されている。具体的には、取入れ管22の一端部は、導入管21と接続されている。取入れ管22の他端部は、戻し管27の一端部と接続され、さらに、戻し管27の他端部は、排出管28と接続されている。サイクロンセパレータ24は、取入れ管22に設けられている。分岐管25は、取入れ管22から分岐している。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る副生ガス計測システム10は、さらに、減圧弁31、サンプルガス逃がし弁32、サンプルガス大気放出管33、ドレンセパレータ34、ドレントラップ35、サンプルガス差圧計(DPG:Differential Pressure Gauge)37、サンプルガス差圧計元弁36a、36b、第2のフィルタ38、及び上記した熱量計39を備えている。
【0021】
図1、
図2に示すように、前述した分岐管25は、サイクロンセパレータ24の下流側で移送管29(取入れ管22)から分岐して延び、減圧弁31、ドレンセパレータ34、第2のフィルタ38を介して熱量計39に接続されている。減圧弁31は、分岐管25を流れてきたサンプルガスを、熱量計39による計測が最適な条件となる圧力まで減圧する。
【0022】
サンプルガス大気放出管33は、分岐管25からさらに分岐されている。サンプルガス逃がし弁32は、減圧弁31の下流側における分岐管25内の圧力が必要以上に上昇することを回避するための開閉弁である。サンプルガス大気放出管33は、開放されたサンプルガス逃がし弁32を通過するサンプルガスを、大気中に放出する。つまり、サンプルガス逃がし弁32及びサンプルガス大気放出管33は、減圧弁31の下流側で分岐管25内に加わり得る過大な圧力から分岐管25を保護する。
【0023】
第2のフィルタ38は、分岐管25上における熱量計39での計測位置よりも上流側に設けられている。第2のフィルタ38は、分岐管を流れるサンプルガスの清浄度を上げるために当該サンプルガス中の微小なスケール(粉塵)を除去する例えば紙タイプのフィルタである。ドレンセパレータ34は、分岐管25上における第2のフィルタの取付位置よりも上流側に設けられている。ドレンセパレータ34は、分岐管25を流れるサンプルガス中の湿分を除去する湿分分離器である。ドレントラップ35は、ドレンセパレータ34によって除去された湿分(ドレン)を貯留する。
【0024】
サンプルガス差圧計37は、第2のフィルタ38の上流側で分岐管25から一旦分岐すると共に、第2のフィルタ38の下流側で分岐管25に再合流する第2の分岐管37aに設けられている。第2の分岐管37a上におけるサンプルガス差圧計37の上流側及び下流側には、サンプルガス差圧計37の稼働時に開放されるサンプルガス差圧計元弁36a、36bがそれぞれ設けられている。すなわち、サンプルガス差圧計37は、分岐管25における第2のフィルタ38の上流側と下流側との圧力差を算出する。これにより、第2のフィルタ38の目詰りの状況などを把握でき、第2のフィルタ38の交換時期を判別することが可能となる。
【0025】
さらに、上記したドレンセパレータ34は、サンプルガス中の湿分を除去することから、例えば紙タイプの第2のフィルタ38における性能の劣化を抑制できる。また、移送管29(取入れ管22)上における分岐管25の分岐位置よりも上流側に設けられたサイクロンセパレータ24によって、異物の除去された比較的清浄なサンプルガスが分岐管25を通じて第2のフィルタ38へと導かれる。これにより、第2のフィルタ38の目詰まりなどが抑制されるので、第2のフィルタ38の交換寿命の長期化を図ることができる。
【0026】
ここで、本実施形態の副生ガス計測システム10では、導入管21のガス導入口21aは、
図1に示すように、母管18内における副生ガスの流れの上流側に向けられている。より具体的には、導入管21の母管18内に進入している部位は、当該流れの上流側における進入の深さが、当該流れの下流側における進入の深さよりも浅くなっている状態で、ガス導入口21aの開口端面が傾斜面をなしている。
【0027】
一方、排出管28のガス排出口28aは、母管18内における副生ガスの流れの下流側に向けられている。詳述すると、排出管28の母管18内に進入している部位は、当該流れの上流側における進入の深さが、当該流れの下流側における進入の深さよりも深くなっている状態で、ガス排出口28aの開口端面が傾斜面をなしている。
【0028】
前述した導入管21では、母管18内の副生ガスの流れによる動圧によって、ガス導入口21aから導入管21の内部への副生ガス(サンプルガス)の引き込み力が生じる。一方、排出管28では、母管18内の副生ガスの流れによる静圧によって、排出管28の内部からのサンプルガス(副生ガス)の引き出し力が生じる。上記したガス排出口28aの周辺には、カルマン流などを生じさせることが可能となる。これらのことから、多くの流量の副生ガス(サンプルガス)を、母管18から、導入管21、移送管29(取入れ管22及び戻し管27)を経て排出管28へと、効率的に循環させることができる。
【0029】
ここで、
図1に示すように、上述した導入管21の径方向に沿った断面(導入管21の水平断面)とガス導入口21aの開口端面とがなす角度(ガス導入口21aの開口端面における傾斜面の角度)α1は、例えば30°以上90°未満であることが好ましく、45°以上80°以下であればより好ましい。角度α1が30°未満になると、副生ガスの流れに起因する動圧が、ガス導入口21a付近に加わり難くなる。
【0030】
一方、
図1に示すように、排出管28の径方向に沿った断面(排出管28の水平断面)とガス排出口28aの開口端面とがなす角度(ガス導入口21aの開口端面における傾斜面の角度)α2は、例えば30°以上80°以下であることが好ましく、45°以上60°以下であればより好ましい。角度α2は鋭角となる。
【0031】
また、導入管21のガス導入口21a及び排出管28のガス排出口28aは、母管18内の軸心付近まで延びている(進入している)。つまり、母管18の内壁付近と比べて母管18の軸心付近では、副生ガスの流速が速く動圧も高いので、ガス導入口21aから導入管21の内部への副生ガスの引き込み力を高めることができる。さらに、母管18の軸心付近では、上記したように副生ガスの流速が速く静圧が小さいので、排出管28の内部からのサンプルガス(副生ガス)の引き出し力を高めることができる。また、前述した導入管21及び排出管28、並びに母管18、移送管29(取入れ管22及び戻し管27)は、円管により構成されていてもよいし、矩形管で構成されていてもよい。さらに、導入管21、排出管28、分岐管25、母管18の口径の比率は、例えば、導入管21の口径を1とした場合、以降の配管の順に、1/2、1/5、6であることなどが例示される。また、上記した導入管21のガス導入口21aに代えて、導入管のガス導入口を、導入管本体の側面(母管18内の副生ガスの流れと対向する位置の導入管本体の外周面)に設けてもよい。
【0032】
さらに、本実施形態の副生ガス計測システム10では、
図1に示すように、導入管21及び排出管28は、少なくとも母管18に対しその外壁側から内部にそれぞれ進入している部位が、互いに同軸的に配置された2重管構造を有している。すなわち、導入管21の内径が、排出管28の外径よりも、大きく構成されており、互いの径方向に間隙を空けつつ導入管21の内側に排出管28が同軸的に配置されている。また、導入管21の内側に位置する排出管28は、そのガス排出口28aが、導入管21のガス導入口21aよりも突出する位置関係で構成されている。
【0033】
なお、排出管28と連結される戻し管27の外径は、導入管21と連結される取入れ管22の内径よりも、小さく構成されている。この戻し管27の少なくとも一部が、取入れ管22に対しその外壁側から内部に進入し、このような戻し管27の少なくとも一部は、取入れ管22の内側に対して径方向に間隙を空けて配置されている。したがって、母管18内から導入されるサンプリングガスは、排出管28の外壁と導入管21の内壁との間隙を通りつつ取入れ管22内に取り入れられる。一方、戻し管27を流れるサンプリングガスは、導入管21の内側に位置する排出管28内を経由して母管18内に戻る。
【0034】
このように、導入管21及び排出管28を2重管構造にしたことで、部品の設置スペースの有効活用が図れると共に、導入管21及び排出管28と母管18との連結箇所を実質的に一箇所に集約でき、これにより、配管どうしの連結の簡易化を図ることができる。
【0035】
既述したように、本実施形態の副生ガス計測システム10では、母管18から、導入管21、移送管29(取入れ管22及び戻し管27)、排出管28を経て、母管18へと帰還する循環系を形成したことで、多くの量のサンプルガスを循環させることができるので、サンプルガスにおける熱量の計測の遅れを抑制することができる。これにより、例えばガスタービンの負荷変動などが要因となってガスタービンを停止させてしまうことなどを回避できる。また、副生ガス計測システム10では、移送管29上における分岐管25の分岐位置よりも上流側に、メンテナンスフリーのサイクロンセパレータ24を設けたことで、分岐管25を通じて熱量計39に向うサンプルガス中の異物を除去することができる。
【0036】
これに加えて、熱量計39による計測に最適な圧力にサンプルガスを減圧する減圧弁31の下流側に、ドレンセパレータ34を設置したことで、さらにその下流側に位置する紙タイプの第2のフィルタ38における交換寿命を延命させることが可能となる。さらに詳述すると、ガスタービンの燃料ガスとして使用する副生ガスは、入口圧力を2MPa程度まで上昇させる必要があるものの、ガスタービン入口における副生ガスは飽和に近い状態で送られるため、熱量計で計測されるサンプルガスも同様に飽和に近い状態であり、これが要因となってドレンが発生する。しかしながら、上記したドレンセパレータ34を設置したことで、第2のフィルタ38の性能の劣化を抑制することができる。
【0037】
したがって、本実施形態の副生ガス計測システム10によれば、副生ガスの熱量の計測の遅れを抑制できると共に、第2のフィルタ38などの交換寿命を長期化しつつ清浄なサンプルガスの熱量を適切な条件で計測することができる。
【0038】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態を
図3に基づき説明する。なお、
図3において、
図1に示した第1の実施形態中の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付与し重複する説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態に係る副生ガス計測システム50は、第1の実施形態における副生ガス計測システム10の取入れ管22及び戻し管27からなる移送管29、及び排出管28に代えて、取入れ管52及び戻し管57からなる移送管59、及び排出管58を備えている。
【0039】
すなわち、本実施形態の副生ガス計測システム50は、導入管21のガス導入口21aを母管18内に開口させている位置が、排出管58のガス排出口58aを母管18内に開口させている位置よりも、当該母管18内における副生ガスの流れの上流側にある。
【0040】
したがって、本実施形態の副生ガス計測システム50によれば、導入管21、排出管58、取入れ管52及び戻し管57をレイアウトするうえでの自由度が高まり、構造の簡素化を図ることができる。また、副生ガス計測システム50では、導入管21が一重管であることから、導入管21の開口面積が増加し、しかもガス排出口58aがガス導入口21aから離間した位置にあることから、母管18との間で副生ガスが導入及び排出される際の互いに流れの干渉が生じ難く、これにより、サンプルガスを、導入管21、移送管59、排出管58を通じて好適に循環させることができる。
【0041】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
10,50…副生ガス計測システム、18…母管、21…導入管、21a…ガス導入口、22,52…取入れ管、24…サイクロンセパレータ、25…分岐管、27,57…戻し管、28,58…排出管、28a,58a…ガス排出口、29,59…移送管、34…ドレンセパレータ、35…ドレントラップ、38…第2のフィルタ、39…熱量計。
【要約】
【課題】副生ガスの熱量の計測の遅れを抑制できると共にフィルタの交換寿命を長期化しつつ清浄なサンプルガスの熱量を適切な条件で計測できる副生ガス計測システムを提供。
【解決手段】本発明の一態様に係る副生ガス計測システムでは、導入管は、副生ガスが流れる母管に対しその外壁側から内部に進入するように接続され、副生ガスをサンプルガスとして導入するガス導入口を母管内に開口させる。移送管は、導入管と接続され、導入管にて導入されたサンプルガスを移送する。排出管は、移送管と接続されていると共に母管に対しその外壁側から内部に進入するように接続され、移送管にて移送されたサンプルガスを排出するガス排出口を母管内に開口させる。分岐管は、移送管から分岐する。熱量計は、移送管から分岐管へ流れてきたサンプルガスの熱量を計測する。サイクロン式のフィルタは、移送管における前記分岐管の分岐位置よりも上流側の位置に介在されている。
【選択図】
図1