(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、自励振動式マッサージ装置1の概略構成を示す図である。
【0013】
自励振動式マッサージ装置1は、マッサージのための振動を発生するマッサージヘッド10と、マッサージヘッド10から出力された空気圧を伝達する第1のフィードバックドレインD1と、第1のフィードバックドレインD1からから伝達される空気圧を調整して出力する空気圧調整器30と、を備えている。なお、マッサージヘッド10の開放端側には、
図2に示すように、肌に直接接するアタッチメント20が装着される。
【0014】
さらに、自励振動式マッサージ装置1は、空気圧調整器30から出力された空気圧を伝達する第2のフィードバックドレインD2と、第2のフィードバックドレインD2から伝達される空気圧に基づいて波形信号を出力する自励振動回路40と、自励振動回路40に電源を供給する充電池50と、自励振動回路40から出力された波形信号に基づいてマッサージヘッド10内部の空気を振動させるスピーカ60と、を備えている。
【0015】
図3は、マッサージヘッド10の構成を示す断面図である。
マッサージヘッド10は、円筒状に形成された円筒筐体11と、円筒筐体11の内部に形成されたシリコン防水膜12と、円筒筐体11の内側に設けられたLED素子13と、を備えている。
【0016】
円筒筐体11の2つの対面のうちの一方の対面には、円筒筐体11の内部に向けて低周波振動を発生できるように、スピーカ60が装着されている。
【0017】
円筒筐体11の内部(2つの対面の間)には、外気に含まれる水分・油分・ホコリ等からスピーカ60保護するために、シリコン防水膜12が形成されている。シリコン防水膜12は、円筒筐体11の内部空間を2つに分割している。但し、スピーカ60が防水性の場合、シリコン防水膜12は省略可能である。
【0018】
このため、円筒筐体11内のシリコン防水膜12から開放端側の空間は、肌に低周波振動を伝達させる外気に接している。一方、円筒筐体11内のスピーカ60側の内部空間(スピーカ60とシリコン防水膜12との間の内部空間)は、外気からほぼ完全に遮断された内部空気室ARになっている。また、円筒筐体11には、この内部空気室ARの空気圧を空気圧調整器30へ伝達するための第1のフィードバックドレインD1が設けられている。
【0019】
円筒筐体11の開放端の内側には、1つ以上のLED素子13が設けられている。これにより、LED素子13の光は、アタッチメントに密着する肌に照射される。
【0020】
アタッチメントは、肌に対して主面又は裏面のいずれが対向する状態で、マッサージヘッド10に装着される。狭いエリアの肌を強めにマッサージする場合は、アタッチメント20の主面が肌に対向する。広いエリアの肌を弱めにマッサージする場合は、アタッチメント20の裏面が肌に対向する。
【0021】
図1に示すように、第1のフィードバックドレインD1は、マッサージヘッド10から出力された空気圧を空気圧調整器30に供給する。空気圧調整器30は、長細い袋状(管状)の部材である。空気圧調整器30は、第1のフィードバックドレインD1から供給された空気圧を一定レベルに調整してから、第2のフィードバックドレインD2を介して、出力する。
【0022】
第1のフィードバックドレインD1は、空気圧調整器30の長手方向の上流(入力)側に設けられている。但し、第2のフィードバックドレインD2は、空気圧調整器30の長手方向の下流(出力)側ではなく、空気圧調整器30の側面部に設けられている。さらに、空気圧調整器30内には、乾燥剤が設けられている。
【0023】
これにより、空気圧調整器30に湿気を含んだ空気が供給された場合でも、空気に含まれた湿気(水分)が空気圧調整器30の長手方向の下流部にたまり、乾燥剤によって湿気が除去される。このため、空気圧調整器30からは、常に、湿気が除去された空気が出力される。そして、第2のフィードバックドレインD2は、空気圧調整器30から出力された空気圧を自励振動回路40に供給する。
【0024】
図4は、自励振動回路40の機能的な構成を示すブロック図である。自励振動回路40は、振動波形検出器41と、前置増幅器42と、バンドパスフィルタ(BPF)43と、振動強度調整回路44と、電力増幅器45と、を備えている。
【0025】
振動波形検出器41は、例えば圧電素子等のセンサであり、第2のフィードバックドレインD2からの空気圧に応じて波形信号を検出する。前置増幅器42は、波形信号検出器41で検出された波形信号を増幅して出力する。
【0026】
BPF43は、前置増幅器42から出力された波形信号のうち所定帯域の信号を通過させる帯域制限フィルタである。
図5は、BPF43の周波数特性を示す図である。BPF43のBPFの周波数特性は、マッサージ用の低域周波帯(例えば、80Hzから120Hz)の範囲内の信号のみ通過するものである。なお、BPF43の代わりに、ローパスフィルタ(LPF)を使ってもよい。
【0027】
振動強度調整回路44は、BPF43から出力された波形信号の強度を調整する。電力増幅器45は、振動強度調整回路44から出力された波形信号の電力を増幅する。
【0028】
スピーカ60は、自励振動回路40の電力増幅器45から出力された信号に基づいて、100Hz(±20%)で最低共振周波数F0となる低周波振動を発生することで、マッサージヘッド10の内部空気を振動(加振)させる。つまり、スピーカ60は、低周波振動を発する。充電池70は、充放電可能な電池であり、自励振動回路40に電源を供給する。
【0029】
以上のように構成された波長可変型光源システム1の自励振動回路40は、正帰還一巡ループで構成されており、次のように動作する。
【0030】
人体の肌にアタッチメントの端部が接触すると、肌が微小振動する。このとき、マッサージヘッド10内の空気圧に変動が生じて、その空気圧の変動が
図2に示すシリコン防水膜12を介して、マッサージヘッド10の内部空気室ARに伝達される。内部空気室ARの空気圧の変動は、
図1に示す第1のフィードバックドレインD1、空気圧調整器30、第2のフィードバックドレインD2を経由して、
図3に示す自励振動回路40の振動波形検出器41に伝達される。
なお、シリコン防水膜12が設けられていない場合でも、肌が微小振動すると、その空気圧の変動は、第1のフィードバックドレインD1、空気圧調整器30等を経由して、自励振動回路40の振動波形検出器41に伝達される。
【0031】
振動波形検出器41は、空気圧調整器30から伝達された空気圧の変動に応じた振動波形を検出する。前置増幅器42は、振動波形検出器41により検出された振動波形を増幅する。
【0032】
BPF43は、前置増幅器42により増幅された振動波形に対して、
図5に示すフィルタリング処理を行って、所定帯域の振動波形を出力する。振動強度調整回路44は、BPF43からの振動波形を予め設定された強度になるように調整する。電力増幅器45は、振動強度調整回路44で調整された振動波形の電力を増幅して、スピーカ60へ出力する。
【0033】
スピーカ60は、電力増幅器45からの信号に基づいて、低周波振動を発生する。スピーカ60で発生された低周波振動は、内部空気室AR、シリコン防水膜12を介して、円筒筐体11及びアタッチメント内の空気を伝播して、人体の肌に到達する。したがって、マッサージヘッド10は、肌に直接接触することなく、アタッチメント内の空気を介して、低周波振動を肌に与える。
【0034】
そして、人体の肌は、スピーカ60からの低周波振動が与えられると所定の周波数(50Hz以下)で共振する。共振した低周波振動は、アタッチメント及び円筒筐体11内の空気を伝播して、シリコン防水膜12を介して、内部空気室ARに到達する。この結果、内部空気室AR内の空気も共振する。内部空気室AR内の共振の影響を受けた空気圧は、第1のフィードバックドレインD1等を介して、再び振動波形検出器41に伝達される。
【0035】
このようにして、肌の振動による空気圧の変動が振動波形検出器41により検出されると、その検出結果に基づいてスピーカ60が肌を振動させることになり、自動発振が行われる。つまり、この正帰還一巡ループによって、自励振動の共振周波数により肌は自励振動する。
【0036】
なお、自励振動の共振周波数は、人体部位により異なり、腹部や胸部(女性)では数Hz、手足の部位では数十Hz、肩こり等の局部では百数十Hzである。
【0037】
図6は、自励振動式マッサージ装置1のマッサージ効果を説明する図である。
従来の超音波美顔器は、肌に駆動部分を直接当てて、表皮(肌の表面に近い部分)のみ高速振動でタッピング(軽くたたく作業)する。このため、真皮や皮下組織までマッサージの振動が届かず、十分なマッサージ効果を得られなかった。
【0038】
また、従来の低周波治療器は、微弱な電気(50Hz〜100Hzの低周波)を人体に通し、その刺激で筋肉を直接マッサージする。しかし、肌に直接電気的な刺激を与えるために、肌にピリピリした痛みを感じることがある。特に、ヤーマンの垂直振動美顔器は、接触子で30Hzの固定周波数で人体の肌を叩くので、皮下の毛細血管を痛めてしまう問題がある。
【0039】
これに対して、本実施形態に係る自励振動式マッサージ装置1は、スピーカ60により例えば80Hzから120Hzの範囲内で低周波振動を発生して、肌に直接あたるアタッチメントで密閉された空間において低周波振動を伝播させることで、アタッチメント20が接している周辺の肌を中心に肌全体を50Hz以下で共振させる。この共振振動は、真皮や皮下組織を伝播し、SMAS筋膜や深層表情筋まで到達する。
【0040】
したがって、自励振動式マッサージ装置1は、人体の肌に接触することなく、表皮に限らず、深層表情筋まで効果的なマッサージをすることができる。また、自励振動式マッサージ装置1は、人体の肌に電気的な刺激を加えないため、ぴりぴりした痛みを感じさせることがない。さらに、自励振動式マッサージ装置1は、肌の部位に適した共振周波数を自動的に検出して、空気圧の低周波振動で当該部位をマッサージするので、毛細血管を傷めることなく、当該部位に効果的なマッサージを行うことができる。
【0041】
以上のように、自励振動式マッサージ装置1は、肌に直接接触することなく、肌の共振に応じて肌の深部まで振動を与えることができるので、美容に効果的なマッサージを行うことができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で設計変更されたものにも適用される。例えば、アタッチメント20は、
図2に示す形状に限定されるものではなく、例えば次のような形状であってもよい。
【0043】
図7は、
図2と異なる形状のアタッチメント20aを示す図である。アタッチメント20aの開口部(肌に密着する部分)は、目の下側のくぼみ部分の形状に合わせた形状になっている。このため、アタッチメント20aは、目の下のマッサージのときに使用される。
【0044】
目の下のくぼみ部分は、皮膚が薄く、非常にデリケートな部分である。このため、従来のマッサージ器は、目の下のくぼみ部分を擦ったり、直接接触したりして、マッサージすることができなかった。これに対して、自励振動式マッサージ装置1は、目の下のくぼみ部分に接触することなく、目の下のくぼみ部分の共振周波数で低周波振動を付与することで、目の下のくぼみ部分に適したマッサージをすることができる。