特許第6476384号(P6476384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6476384-レゾルバ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476384
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】レゾルバ
(51)【国際特許分類】
   H02K 24/00 20060101AFI20190225BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20190225BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   H02K24/00
   G01D5/20 110X
   H02K3/50 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-8376(P2015-8376)
(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2016-135005(P2016-135005A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 秀樹
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−324353(JP,A)
【文献】 特開2000−116063(JP,A)
【文献】 特開2004−274884(JP,A)
【文献】 特開2004−166414(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202918090(CN,U)
【文献】 特開2008−086179(JP,A)
【文献】 特開平10−309066(JP,A)
【文献】 特開2012−173137(JP,A)
【文献】 実開昭59−066355(JP,U)
【文献】 米国特許第04760299(US,A)
【文献】 特開2005−328638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 24/00
G01D 5/20
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコイルを有する輪状ステータと、
前記輪状ステータの外縁に接するように配置された筒状ケースと
を備え、
前記筒状ケースには、ケース本体と、前記輪状ステータの径方向に沿って前記ケース本体から延出されたケース延長壁とが設けられており、
前記ステータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材により前記ケース延長壁に固定されており、
ロータコイルを有する輪状ロータと、
前記輪状ロータの内縁に接するように配置されたシャフトと
をさらに備え、
前記シャフトには、シャフト本体と、前記輪状ロータの径方向に沿って前記シャフト本体から延出されたシャフト延長壁とが設けられており、
前記ロータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材により前記シャフト延長壁に固定されている
ことを特徴とするレゾルバ。
【請求項2】
前記ケース延長壁の先端には、前記輪状ステータの軸方向に沿って前記ケース延長壁から突出されたケース突出片が設けられており、
前記ステータコイルを前記ケース延長壁に固定する前記弾性材は、前記ケース本体の内周面、前記ケース延長壁及び前記ケース突出片により形成されるケース溝部に収められている
ことを特徴とする請求項1記載のレゾルバ。
【請求項3】
前記シャフト延長壁の先端には、前記輪状ロータの軸方向に沿って前記シャフト延長壁から突出されたシャフト突出片が設けられており、
前記ロータコイルを前記シャフト延長壁に固定する前記弾性材は、前記シャフト本体の外周面、前記シャフト延長壁及び前記シャフト突出片により形成されるシャフト溝部に収められている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレゾルバ。
【請求項4】
ロータコイルを有する輪状ロータと、
前記輪状ロータの内縁に接するように配置されたシャフトと
を備え、
前記シャフトには、シャフト本体と、前記輪状ロータの径方向に沿って前記シャフト本体から延出されたシャフト延長壁とが設けられており、
前記ロータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材により前記シャフト延長壁に固定されている
ことを特徴とするレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度を検出するレゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種のレゾルバとしては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来のレゾルバには、ステータコイルを有するステータと、ロータコイルを有するロータとが含まれている。ステータ及びロータのスロット内でステータコイル及びロータコイルが振動してステータコイル及びロータコイルが損傷することを回避するために、ステータコイル及びロータコイルには絶縁ワニスが含浸される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−173137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のレゾルバでは、ステータコイル及びロータコイルに絶縁ワニスを含浸させている。このような構成のレゾルバを宇宙空間で利用しようとすると、絶縁ワニスによるアウトガス発生や絶縁ワニスの熱膨張による精度劣化が発生する。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、絶縁ワニスの使用を回避しつつ、スロット内でのコイルの振動によるコイルの損傷を回避できるレゾルバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレゾルバは、ステータコイルを有する輪状ステータと、輪状ステータの外縁に接するように配置された筒状ケースとを備え、筒状ケースには、ケース本体と、輪状ステータの径方向に沿ってケース本体から延出されたケース延長壁とが設けられており、ステータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材によりケース延長壁に固定されており、ロータコイルを有する輪状ロータと、輪状ロータの内縁に接するように配置されたシャフトとをさらに備え、シャフトには、シャフト本体と、輪状ロータの径方向に沿ってシャフト本体から延出されたシャフト延長壁とが設けられており、ロータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材によりシャフト延長壁に固定されている。
【0007】
また、本発明に係るレゾルバは、ロータコイルを有する輪状ロータと、輪状ロータの内縁に接するように配置されたシャフトとを備え、シャフトには、シャフト本体と、輪状ロータの径方向に沿ってシャフト本体から延出されたシャフト延長壁とが設けられており、ロータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材によりシャフト延長壁に固定されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレゾルバによれば、ステータコイル又はロータコイルは、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材によりケース延長壁又はシャフト延長壁に固定されているので、絶縁ワニスの使用を回避しつつ、スロット内でのコイルの振動によるコイルの損傷を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】発明の実施の形態によるレゾルバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態によるレゾルバの断面図である。図において、本実施の形態のレゾルバは、輪状ステータ1、筒状ケース2、ステータ押板3、輪状ロータ4、シャフト5及びロータ押板6を有している。
【0011】
周知のように、輪状ステータ1は、輪状ステータ1の周方向に互いに間隔を置いて設けられた複数のティース10と、各ティース10にそれぞれ設けられたステータコイル11とを有している。
【0012】
筒状ケース2は、輪状ステータ1の外縁に接するように配置された筒状体である。輪状ステータ1の外縁は、筒状ケース2に設けられた段部2aに嵌められている。ステータ押板3は、筒状ケース2との間に輪状ステータ1を挟持するように筒状ケース2に取り付けられた輪状板である。このように筒状ケース2及びステータ押板3によって輪状ステータ1が挟持されることで、筒状ケース2に対する輪状ステータ1の位置が固定されている。
【0013】
筒状ケース2には、ケース本体20、ケース延長壁21及びケース突出片22が設けられている。ケース本体20は、筒状ケース2の筒状部分である。ケース延長壁21は、輪状ステータ1の径方向1aに沿ってケース本体20から延出された壁部であり、筒状ケース2に固定された輪状ステータ1を軸方向1bに沿って見たときにステータコイル11と重なる位置まで延在されている。ケース突出片22は、ケース延長壁21の先端から軸方向1bに沿って突出されている。
【0014】
本実施の形態の輪状ステータ1のステータコイル11は、弾性材7によりケース延長壁21に固定されている。弾性材7としては、シリコーン系接着剤を用いることができる。弾性材7は、固着することによりステータコイル11及びケース延長壁21に付着される。このステータコイル11をケース延長壁21に固定する弾性材7は、ケース本体20の内周面、ケース延長壁21及びケース突出片22により形成されるケース溝部23に収められている。なお、ステータコイル11には、絶縁ワニスは含浸されていない。
【0015】
周知のように、輪状ロータ4は、輪状ロータ4の周方向に互いに間隔を置いて設けられた複数のティース40と、各ティース40にそれぞれ設けられたロータコイル41とを有している。
【0016】
シャフト5は、輪状ロータ4の内縁に接するように配置された筒状体である。シャフト5の内部には、図示しない回転軸が嵌入される。輪状ロータ4の内縁は、シャフト5に設けられた段部5aに嵌められている。ロータ押板6は、シャフト5との間に輪状ロータ4を挟持するようにシャフト5に取り付けられた輪状板である。このようにシャフト5及びロータ押板6によって輪状ロータ4が挟持されることで、シャフト5に対する輪状ロータ4の位置が固定されている。
【0017】
シャフト5には、シャフト本体50、シャフト延長壁51及びシャフト突出片52が設けられている。シャフト本体50は、シャフト5の筒状部分である。シャフト延長壁51は、輪状ロータ4の径方向4aに沿ってシャフト本体50から延出された壁部であり、シャフト5に固定された輪状ロータ4を軸方向4bに沿って見たときにロータコイル41と重なる位置まで延在されている。シャフト突出片52は、シャフト延長壁51の先端から軸方向4bに沿って突出されている。
【0018】
本実施の形態の輪状ロータ4のロータコイル41は、弾性材8によりシャフト延長壁51に固定されている。弾性材8としては、シリコーン系接着剤を用いることができる。弾性材7は、固着することによりロータコイル41及びシャフト延長壁51に付着される。このロータコイル41をシャフト延長壁51に固定する弾性材8は、シャフト本体50の内周面、シャフト延長壁51及びシャフト突出片52により形成されるシャフト溝部53に収められている。なお、ロータコイル41には、絶縁ワニスは含浸されていない。
【0019】
このようなレゾルバでは、ステータコイル11及びロータコイル41は、絶縁ワニスが含浸されておらず、弾性材7,8によりケース延長壁21又はシャフト延長壁51に固定されているので、絶縁ワニスの使用を回避しつつ、スロット内でのコイル11,41の振動によるコイル11,41の損傷を回避できる。このレゾルバは、宇宙空間での使用に特に有効である。
【0020】
また、ステータコイル11をケース延長壁21に固定する弾性材7がケース溝部23に収められ、ロータコイル41をシャフト延長壁51に固定する弾性材8がシャフト溝部53に収められるので、弾性材7,8の塗布時に弾性材7,8が他の構成に付着する可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0021】
1 輪状ステータ
11 ステータコイル
2 筒状ケース
20 ケース本体
21 ケース延長壁
22 ケース突出片
23 ケース溝部
4 輪状ロータ
41 ロータコイル
5 シャフト
50 シャフト本体
51 シャフト延長壁
52 シャフト突出片
53 シャフト溝部
7,8 弾性材
図1